2008/01/14 鈴木邦男

「読書戦争」奮戦記。07年の総括

①「月30冊のノルマ」を33年間続けてきた

若松孝二監督(左)と。(1/5テアトル新宿)

 去年は何冊、本を読んだのか。その報告をしなくてはいけない。毎年正月の恒例行事だ。手帳を見てみる。手帳は「HANDY MEMORY 2007」だ。株式会社日本法令が出している。世界で一番、使いやすい手帳だ。そこに、スケジュールを書き、読んだ本も書いている。「行動と思索」のMEMORYだ。
本は著者・タイトル・出版社だけを書いている。読んだその日にメモをしている。内容については、別に「ノート」をとっている。前は大学ノートにとっていたが、これだとカバンに入れとくと、曲ったり、くちゃくちゃになる。だから、表紙の固い「キャンパス・ノート」を使っている。「大学」から「キャンパス」と、日本語を英語にしただけのようだが、かなり違う。表紙が固いから、コクヨの原稿用紙を入れる時には、このノートが下敷きのかわりになる。その二つを、角形3号(B5サイズ)の大型封筒に入れて、カバンに入れる。そうすると、いつでもどこでも原稿が書ける。
この「キャンパス・ノート」にはいろんな種類がある。いろんなものを使い、浮気しているが、「Edinburgh」が一番使いやすいかな、と思っている。前は「Boston Note」や「Colombia University」を使っていた。外国の大学名が多い。そこに、本の内容を書く。と言っても、強烈に感動した点とか。疑問に思った点。これは、調べてみよう…。と思った点だ。それを抜き書きして、自分の感想を書く。
自分の本なら、線を引き、書き込めばいいが、貧しくて本を買えない。図書館の本が多い。だから、ノートをとってから、返している。学生時代の方が、自由に本を買っていた。「月2万円の仕送り」の時の方が精神的・学問的にもリッチだった。毎日お祈りをし、正しい生活をしていた。非合法闘争なんてしなかった。穢れのない清らかな日本人だった。今は、汚れちまった悲しみに、だよ。

(左から)平岡正明さん、若松監督、雨宮処凛さん、鈴木(1/5)

 では去年の読書数だ。

1月54冊
2月32冊
3月37冊
4月31冊
5月32冊
6月33冊
7月32冊
8月35冊
9月43冊
10月41冊
11月30冊
12月32冊

 「月30冊読破」のノルマは完璧にこなしている。それに、40冊以上を読んだ「優良月間」が三つもある。1月(54冊)、9月(43冊)、10月(41冊)だ。偉い。がんばったね、と彼らに表彰状を手渡した。
「雨にも負けず、カゼ(風邪)にも負けず、ひたすら読書したあなたは立派です。『ペッ!本なんか読んで何になるんだ。ヒマ人め!』という世の冷たい視線に耐えながら、必死に努力しました。酒・タバコ・女を断ち、友達も失い、貧困にあえぎながら、ただ無意味なノルマを達成することだけに情熱を燃やしました。世の中では全く報われない、この無意味な読書欲・ノルマ達成の偉業を讚え、ここに表彰します」 と、1月君、9月君、10月君の3名に表彰状を手渡した。3名とも涙を流して感動してました。特に、54冊を達成した1月君は大泣きでした。号泣でした。

 では、去年の合計です。パチパチと算盤(そろばん)を入れます。オッ!432冊でした。これを12で割ると36です。去年は「月平均・36冊」を読破したのです。立派です。ついでに、ここ9年間の記録も公開しましょう。

2007年(平成19年)432冊(月平均36冊)
2006年(平成18年)419冊(月平均34.9冊)
2005年(平成17年)438冊(月平均36冊)
2004年(平成16年)412冊(月平均34.3冊)
2003年(平成15年)486冊(月平均40.5冊)
2002年(平成14年)427冊(月平均35.5冊)
2001年(平成13年)398冊(月平均35.1冊)
2000年(平成12年)435冊(月平均36冊)
1999年(平成11年)461冊(月平均38.4冊)

 ずっと順調にノルマを果たしている。目立つのは03年だ。486冊(月平均40.5冊)だ。この記録は破れないだろう。又、破る気もない。〈数字〉にばかりこだわると、読みやすい、易しい、薄い本ばかりになってしまう。だから、月に30冊読めればいいや、と思っている。それも「月平均」で。たとえば、書き下ろし本の仕事で忙しくて、1ヶ月間全く本を読まない月があってもいい。次の月に60冊を読んで、「月平均30冊」にすればいい。そんなこともやってみたいね、今年は。

②読書環境汚染を許すな!

テアトル新宿でのトーク(1/5)

 最近思うが、本は、「買う」よりも「読む」方が金がかかる。400円の文庫を読むために、喫茶店ルノアールで3時間いたとする。コーヒー1杯で3時間じゃ申し訳ないと思い、こぶ茶なども追加注文する。軽く1000円はオーバーする。でも、それだけの価値はある。
昔は家で何時間でも集中して読んでたが、今は出来ない。いい机やイスがないし、電話が鳴る。FAXが来る。セールスが来る。
「もしもし、高橋ですけど」と玄関のドアをノックする音がする。知り合いか、あるいは本を読んだ人が突然、訪ねて来たのか。読書を中断して出る。「あのー、『ものみの塔』の高橋です。今日は聖書のお話をさせて頂こうと思いまして…」「間に合ってます」と断わった。聖書なら、オラの方が詳しい。
そんなこんなで、家では読めん。だから喫茶店や、駅のベンチ、スーパーの休憩用のイスで読むことが多い。その時、「読書環境」として考えるのは、「S・D・M」だ。
あれっ、産経新聞にいた時、「SDM」という課にいたな。偶然の一致だ。広告局のSDMという課だった。「サンケイ・リビング」という無料紙があった。それを配布する地区割りを作り、配布の戦略を練り、配達員を募集し、確保する。そんな仕事をしていた。SDMは「サンケイ・ダイレクトメール」の略だったのかな。でも、課長はうるさいし、細かいし、課の人間はバラバラ。まとまりがない。文句ばっかり言ってた。愛社心がないんだな。だから、「SDM」は「サンケイ・ダメで・メチャクチャ」の略だ。と言われた。誰がこんな事を言ってたんだろう。うまいね。
さて、話を戻す。「読書環境」の「SDM」だ。これは、「静・暖・明」の略だ。「静か。暖かい。明るい」。この三要素があれば、快適に本は読める。そう言ってるんですな、この人は。君達のように、「Y・M・C」は考えない。Yは安い。Mはメイドがかわいい。(メイド喫茶になんかもう行かない)。Cは近い。でも、それじゃ本は読めん。だから、「安・メイ・近」よりも、「静・暖・明」ですよ。

佐藤優さん(左)と(12/27阿佐ケ谷ロフト)

 では、去年1年間、どんな本を読んで来たんだろう。じゃ、432冊を一挙公開だ!と思ったけど、全部書き出すのは大変だ。戦争、思想、文学、パソコン関係の本が多い。昔、読んだ本も再読している。というケースもある。カタイ本、やわらかい本、わけのわからん本、ためになった本、下らないと思った本…など様々だ。タイトルに魅かれて読んだけど、つまらない。でも途中でやめたら「1冊」にならない。ノルマの為に泣く泣く、読み通した。という本もある。「ノルマ式読書法」の悲劇だ。そんなこともあるさ。
それに金を出して買おうとは思わないが、図書館で見て、「何だ、これは!」と思い、つい借りて読んだのもある。中には恥ずかしい本もある。大工原秀子『老年期の性』(ミネルヴァ書房)なんて、恥ずかしくて、とても書けない。書いたか。もう、そっちの欲望はないし、全ての欲望を「読書欲」に昇華させた私だが、他の人達は一体どうしてるんだろうと好奇心で、ついつい借りて読んじゃった。戦争ものでは、

  • 小林信彦『一少年の観た〈聖戦〉』(ちくま文庫)
  • 玉岡かおる『タカラジェンヌの太平洋戦争』(新潮新書)
  • 林茂雄『マッカーサーへの手紙』(図書出版社)

などが面白かった。そうか。パソコンに入れておけば、ジャンル別に紹介出来るんだね。来年からそうしよう。今年はアトランダムに紹介しよう。それも、皆が書店で探しやすい、買いやすい本を。

③これが07年に読んだ本だわさ!

 では、面白かった本、気になった本…などだ。

「読書術」について、今まで5冊の本を出してきた
『超読書術』(かんき出版)
  • 平野共余子『天皇と接吻』(草思社)
    《映画論だ。面白い》
  • 篠田達明『歴代天皇のカルテ』(新潮新書)
  • 林雅行『天皇を愛する子どもたち』(青木書店)
    《面白い学校が一杯紹介されている》
  • 織田一朗『「時」の国際バトル』(文春新書)
  • 安田好弘『「生きる」という権利』(講談社)
  • 原 武史『鉄道ひとつばなし』(講談社現代新書)
  • 小森陽一『天皇の玉音放送』(五月書房)
  • 佐藤八寿子『ミッション・スクール』(中公新書)
  • ローマン・マックウィリアル『19世紀イギリスの民衆と政治文化』(昭和堂)
  • 山崎晃嗣『私は偽悪者』(牧野出版)
  • 内藤陽介『皇室切手』(平凡社)
  • 上野正彦『「薮の中」の死体』(新潮社)
  • 櫻井よしこ『「真相箱」の呪縛を解く』(小学館文庫)
  • 絓(すが)秀実『1968年』(ちくま新書)
    《1968年が全ての転機なんだね》
  • 内藤陽介『満州切手』(角川選書)
  • 大塚英志『公民の民族学』(作品社)
  • 青木理『北朝鮮に潜入せよ』(講談社現代新書)
『行動派のための読書術』(長崎出版)
  • 鎌田慧『大杉栄語録』(岩波新書)
  • 山本譲司『累犯障害者』(新潮社)
  • 森達也・斎藤貴男『日本人と戦争責任』(高文研)
  • 保坂正康『50年前の憲法大論争』(講談社現代新書)
  • 渡部直己『不敬文学論序論』(ちくま学芸文庫)
  • 片島紀男・平沢武彦『国家に殺された画家』(新風舎文庫)
    《平沢貞通の話だ》
  • 小西豊治『憲法「押しつけ」論の幻』(講談社現代新書)
  • 林信吾『反戦軍事学』(朝日新書)
  • 福原直樹『黒いスイス』(新潮新書)
    《スイスの幻想を破壊してくれる》
  • 佐高信『城山三郎の昭和』(角川文庫)
  • 片山宗臣『パソコンが野球を変える』(講談社現代新書)
  • 金原克範『〈子〉のつく名前の女の子は頭がいい』(洋泉社新書)
    《確かにそれは言える。〈邦〉の名のつく男の子は愛国者だし》
  • 土井たか子・佐高信『護憲の一分』(角川oneテーマ21)
『読書大戦争』(彩流社)
  • 佐藤優『私のマルクス』(文芸春秋)
  • 佐藤優『国家の謀略』(小学館)
  • 佐藤優『国家を斬る』(同時代社)
  • 佐藤優『国家と神とマルクス』(太陽企画出版)
  • 佐藤優・鈴木宗男『反省』(アスコム)
  • 広瀬弘忠『人はなぜ危険に近づくのか』(講談社+α新書)
    《私も昔は、危険に近づいていた》
  • 船曳建夫『右であれ左であれ。わが祖国日本』(PHP新書)
  • ハリス『日本滞在記』(岩波文庫)
  • 家永三郎『革命思想の先駆者・植木枝盛の人と思想』(岩波新書)
    《これは最高にいい本だ!》
『闘う日本語』(エスエル出版会)
  • 佐高信『西郷隆盛伝説』(角川学芸出版)
  • 小田実『中流の復興』(生活人新書)
  • 毛利敏彦『明治六年政変』(中公新書)
  • 渡辺萩渓『字をうまくみせるコツ』(宝島新書)
    《おかげで、うまくなった!》
  • 品川正治『これからの日本の座標軸』(新日本出版社)
  • 稲田朋美『百人斬り裁判から南京へ』(文春新書)
  • 松岡正剛『17歳のための、世界と日本の見方』(春秋社)
  • むのたけじ『戦争いらぬやれぬ世へ』(評論社)
  • 勢古浩爾『思想なんかいらない生活』(ちくま新書)
  • 鷲田小彌太『学者の値打ち』(ちくま新書)
  • 木村三浩『憂国論』(彩流社)
  • 木村三浩『「男気」とは何か』(宝島社新書)
  • 中山治『日本人はなぜ多重人格なのか』(洋泉社)
  • 中島英通『皇位継承を考える=男系主義への疑問』((株)イグサミナ)
  • 戸川幸夫『小説・嘉納治五郎』(読売新聞社)
  • 田中森一『反転』(幻冬舎)
  • 辻井喬『新祖国論』(集英社)
  • 雨宮処凛『オールニートニッポン』(祥伝社新書)
  • 早見慶子『I LOVE 過激派』(彩流社)
  • 古牧和郎『集団ストーカー』(普遊舎ブラック新書)
  • 森村泰昌『「美しい」って何だろう』(理論社)
遠藤誠さんとの共著『行動派の整理学』(現代書館)
  • みうらじゅん『正しい保健体育』(理論社)
  • 窪島誠一郎『わが愛する夭折画家たち』(講談社現代新書)
  • 佐野洋子『100万回生きたねこ』(講談社)
    《うーん、いい本だね》
  • 司修『戦争と美術』(岩波新書)
  • 吹浦忠正『捕虜たちの日露戦争』(NHKブックス)
    《感動的な本だ》
  • デュラン・れい子『一度も植民地になったことがない日本』(講談社+α新書)
  • 藤巻一保『吾輩は天皇なり』(学研新書)
    《「熊沢天皇」の話だ。いろんなことを教わった》
  • 魚住昭『証言・村上正邦』(講談社)
  • 才神時雄『松山収容所』(中公新書)
    《感動的な本だ》
  • 内山幸樹『仮想世界で暮らす方法』(ブルーバックス)
    《おかげで、私も今は仮想世界で暮らしている》
  • 和光晴生『赤い春』(集英社インターナショナル)
  • 姫野友美『女はなぜ突然怒り出すのか?』(角川oneテーマ21)
  • 内田洋子『ジャーナリズムとしてのパパラッチ』(光文社新書)
  • 古田求『バルトの楽園』(潮出版社)
    《これもいい。日本人に誇りが持てる》
  • 多田文明『ついていったら、だまされる』(理論社)
  • 粕谷一希『二十歳にして心朽ちたり』(洋泉社新書)
  • 古田一彦『無条件降伏は戦争をどう変えたか』(PHP新書)
    《これは考えさせられた》
  • 福島みずほ編『憲法学校』(明石書店)
  • 竹田恒泰・辛酸なめ子『皇室へのソボクなギモン』(扶桑社)
  • 坂口弘『歌集・常しへの道』(角川書店)
  • 原彬久『戦後史のなかの日本社会党』(中公新書)
  • 浅羽通明『天皇・反戦・日本』(幻冬舎)
  • 佐伯紅緒『アイランド』(徳間書店)
  • 島田裕巳『日本の10大新宗教』(幻冬舎新書)
  • 森達也『死刑』(朝日出版社)
  • 文芸春秋編『同級生交歓』(文春新書)
  • 佐高信・田中眞紀子『問答有用』(朝日新聞社)
  • 管賀江留郎『戦前の少年犯罪』(築地書館)
    《これは文字通り、衝撃的な本だった。「最近、少年犯罪が増えた」なんて言ってるが、全て嘘だ。戦前の方が圧倒的に多いし、残忍だ。「昔はよかった。皆が助け合っていた」なんて嘘だ。それを、実証している。私も考えが変わった。近いうちに、キチンと紹介してみたい》

④「毎日6時間は読書する」と佐藤優氏

「地下鉄博物館」で。(左は人形・右は人間)

 アトランダムに並べてみたが、これでも全体の1割か2割だ。さらにもっと凄い本を読んでるし、体系的に読んだ本もある。ヤバイ本で公表出来ないものもある。福田恆存、田中卓さんの全集も読んでいる。でも、皆が手に入れやすいのを主に紹介した。それに日本や世界の思想全集などは、昔、読みまくった。それについては私の「読書論」の本、5冊に書いた。興味があったら、読んでほしい。
井上ひさしの本は300冊位あるだろうが、五分の二は読んでると思う。井上のもっとも長い小説(だと思う)の『四千万歩の男』(講談社文庫・全5巻)を読破した。これだけでも、大変な作業だと思う。日本全国を歩き回って、全国の地図を作った伊能忠敬の話だ。1巻が700ページ位あるし、大変だったが、面白かった。
それと、必要があって川本三郎の本を20冊以上読んだ。『荷風と東京』、『荷風好日』、『同時代を生きる「気分」』、『マイ・バック・ページ』、『林芙美子の昭和』、『ミステリーと東京』などだ。 さらに、去年のメインは実は、吉村昭なのだ。何と58冊読んでいる。吉村だけで2ヵ月分だ。07年は「吉村イヤー」になるだろう(鈴木史の中で)。脚本家の高木尋士さんは吉村作品をほとんど読破したそうだ。それに最近は、筑摩の「思想全集」シリーズを読みまくっている。私は〈量〉では勝ってるが、〈質〉では高木氏に負けている。近々、高木氏の〈読書戦争〉の体験記を聞いてみたいと思う。
私の読んだ吉村昭の作品は58冊だが、全部紹介すると大変なので、その中でも、これはと思うものをあげる。

『彰義隊』、『島抜け』、『帰艦セズ』、『関東大震災』、『彦九郎山河』、『ポーツマスの旗』、『長英逃亡』、『逃亡』、『ふぉん・しいぼるとの娘』、『背中の勲章』、『黒船』、『天狗争乱』

 …などだ。吉村作品としては『破獄』や『漂流』『零式戦闘機』が有名だが、『長英逃亡』、『関東大震災』、『天狗争乱』の迫力はそれ以上だと思った。『天狗争乱』には、右翼や左翼の非合法活動のルーツが全てあると思った。それで、元日本赤軍の和光晴生さんにこの本を送ってあげた。
そして、『ふぉん・しいぼるとの娘』だ。吉村作品の中では一番長い。そして最高傑作かもしれない。あのシーボルトと、その娘のイネの話だが、こんな凄い物語があったのかと驚いた。又、ゆっくりと紹介してみたい。

 12月27日(木)に「死刑」の問題で、佐藤優さん、森達也さんと話し合った。阿佐ヶ谷ロフトで。この時、森さんに『死刑』(朝日出版社)をもらった。実にいい本だった。3年もかけて取材したという。森さんの本の中でも最高傑作だろう。佐藤さんも死刑の問題については考え、書いている。この時、せっかくだから、佐藤さんの「読書時間」について聞いてみた。
というのは、犬塚哲爾氏にこんな話を聞いていたからだ。「佐藤優は凄いよ。一日を4分割して生きてるそうだ」と。1日は24時間。4分割は6時間だ。まず、睡眠に6時間。原稿執筆に6時間。読書に6時間。あとの6時間で、人に会ったり、食事、入浴したり、「雑用」の全てだ。
ホントかよ、と思った。6時間寝て、6時間書く。この程度は分かる。忙しい人はこの位やっている。しかし、「6時間、読書」というのは、まずいない。特に超多忙な人は、こんなに本を読んでない。だから、ホントかよと思って、12月27日に聞いた。そうしたら、本当だという。ただし、最近は書くことが多い。「執筆・6時間」じゃきかない。という。でも、読書時間はとるようにしている…と。
「先月は〆切が90本あったし、出版した本が6冊あった」という。1ヵ月だよ。ヒャー、信じられない数だ。それでいて、本を毎日、6時間読む。超人だよ。それを聞いてから、自分がやけに小さく見えた。無力感にさいなまれ、生きている価値はないと思った。こんな超人と、とても対等にトークなんか出来ない。そう思った。だから、ただ相槌を打つしか出来なかった。

【だいありー】
「地下鉄博物館」で。皇居(光の塔)のまわりを地下鉄が走る
  1. 1月7日(月)1日家で原稿を書いていた。1日4分割は無理だが、1年を4分割しようかな。1〜3月は、「書く」。4〜6月は「読む」。7〜9月は「雑用」。10〜12月は「眠る(冬眠)」。冬にまとめて寝るなんて無理か。クマじゃあるまいし。じゃ、クマになるか。「クマのプーさん」に似てるって生徒に言われたし。
  2. 1月8日(火)今年こそ、「ハリー・ポッター症候群」を治そうと思う。ハリーじゃなかったかな。ヘンリーじゃないし。そうだ。メターだ。「メタボリック症候群」だ。それを治そうと思った。貧乏だし、1日1食にして本を読もう。石原結實の『空腹力』(PHP新書)を読んだら、「空腹」をつくることが「やせる、若返る、健康」になる元だと言う。
    人間の体は、300万年の歴史のうち、299万9950年間は飢餓に耐えてきた。いま食べたら次にいつ食べることが出来るか分からない時代が長く続いてきたので、食べた以上、脂肪として留めようとする。だから、空腹の時は免疫力が高まり、健康になる。「食い過ぎ・冷え」が万病の元だという。私は余り食ってないと思ったけど、これでも食べ過ぎだったんだ。1日に1食にするとか、断食するとか、もっと運動して、脂肪を燃やすようにしなくっちゃ、と思った。
    「腹八分目に病なし。腹十二分で医者足らず」。又、6千年前のエジプトでは、こう言われてたそうな。
    「A man lives on a quarter of what he eats,the other three quarters lives on his doctor.」
    (人間は食べる量の4分の1で生きている。残りの4分の3は医者が食っている)
  3. 1月9日(水)図書館。6時半から一水会の新年会。会費を出すと、元手をとらなくちゃ損だと思って、ガツガツ食う。これが悪いのだ。「空腹力」はどうした。「メタボ」打倒はどうした。悩む。意志の弱い私でござんす。
  4. 1月10日(木)「空腹力」で1日、原稿を書いた。
  5. 1月11日(金)3時半、目黒の雅叙園。JR総連2008年新春賀詞交歓会。ここの雅叙園は、もの凄く豪華だし、食事も豪華だ。「新年会くらい、〈打倒メタボ〉を忘れて食わなくちゃ」と思った。飲んだ。食った。全くダメだ。「読書ノルマ」のようには行かない。常石敬一さん、伊藤成彦さんから興味深い話を聞いた。次に紹介しよう。この日の夜中1時からのTBS「R30」でロフトが紹介されたそうだ。私も出たらしい。見っぱぐったが、ロフトに行ったら見せてくれるだろう。
  6. 1月12日(土)「ぜひ行って見るべきですよ」と原武史さん(作家)に言われてたので、埼玉県(遠い!)の「鉄道博物館」に行く。いろいろ勉強になりました。年末には 「地下鉄博物館」にも行ったし。「地下活動博物館」にも行った(そんなのネーか。でも、あったら面白い。武装共産党、連合赤軍の人達を展示し、そこで、放し飼いにする。 歴史の生きた教材になる)。
【お知らせ】
  1. 月刊『創』(2月号)の連載では「皇居美術館」について書きました。奇想天外な危ない企画です。でも面白いシンポジウムでした。その時のレポートですよ。「地下鉄博物館」では、皇居の周りに地下鉄が幾重にも走ってる様子が模型で展示されている。その中央は皇居だが、「光の円筒」で表現している。天にそびえ立つ「皇居美術館」のイメージとそっくりだ。だから、皇居美術館の提唱者に写真を送ってやった。
    『月刊TIMES』(2月号)の連載は、「野村秋介・死の予告」です。自決する直前に野村さんは『さらば群青』(二十一世紀書院)という本を出した。その本の帯には何と「これは遺書だ!」と書かれていた。何故、皆は気付かなかったのか。公安も僕らも。その謎に迫っています。
  2. 1月16日(水)一水会フォーラム。7時、高田馬場サンルートホテル。講師は井川一久氏(元朝日新聞編集委員。元ハノイ支局長)。「ベトナム独立戦争の陰に日本人の血涙」。知られざる貴重な歴史が聞けます。
  3. 1月21日(月)午後7時から、阿佐ケ谷ロフト。早見慶子さんの『I LOVE 過激派』出版記念トーク。私も出ます。
  4. 1月22日(火)午後7時半、高田馬場の「トリック・スター」に出ます。杉浦正士さんの歌。そして2人のトークです。「トリック・スター」は高田馬場・早稲田口から1分。柳原ビルの「ルノアール」の向かい地下です。
    電話は03(3232)6616です。料金は2500円(ドリンク付)です。
  5. 2月6日(水)7時、阿佐ケ谷ロフト。久しぶりで塩見孝也さん(元赤軍派議長)と一騎打ち。連合赤軍事件について。激論が期待されるでしょう。
  6. 2月10日(日)午後7時半。阿佐ケ谷ロフトで、「ユーストーク」のイベント。「愛国心」について。保坂展人さん(社民党)、雨宮処凛さん、そして私が出ます。
  7. 2月に筆坂秀世さんと私のトークが社民党本部で行われる予定でしたが、予定が延びて、4月になるそうです。日時が決まったら又、報告します。