2010/11/08 鈴木邦男

前衛映画祭in奈良ルネッサンス

①最も古い都で、アバンギャルドな試みが

篠田正浩監督(中央)、岸田秀さん(右)と(10/31)
篠田正浩監督(中央)、岸田秀さん(右)と(10/31)

奈良は日本の中心。日本の原郷ですね。この古い日本の都で、「前衛映画祭」が開かれたのです。最も古い都で、最も新しい先端アートです。

これはまさに、革命的であり、エキサイティングな試みだと思いました。「ベオグラード1999」が上映され、それを撮った映画監督金子遊さんと私は対談しました。

この日と翌日は、他にも多くの映画監督や文化人が奈良に結集しました。若松孝二、足立正生、篠田正浩、岸田秀、原将人、吉増剛造、灰野敬二…と。豪華な顔ぶれが、古都で討論し、雄叫びをあげました。古都ルネッサンスです。

私個人にとっても、とても勉強になった旅でした。今までは地方に行っても、日帰りで帰ることが多かったのです。ところが今回は、奈良に2泊もしました。自分の出番以外は、いろいろと出歩き、勉強し、インプットしました。2日間で、随分と知的・精神的収穫がありました。やはり奈良は違う、と思いました。

10月30日(土)、朝、大雨の中、東京駅へ。台風が来てるそうです。新幹線は大丈夫かな。でも、大丈夫でした。京都まで新幹線。それから近鉄で奈良へ。「遷都クン」がいたので写真を撮る。遷都1300年祭のキャラクターです。

金子遊監督とトーク(10/30)
金子遊監督とトーク(10/30)

それから、奈良県立美術館へ。「正倉院展」を見る。ネットを見たら、「2時間、3時間も並んでた」と書かれていたので、覚悟して行ったら、「30分待ち」。

思ったよりすいていた。雨のせいもあるだろう。正倉院展はよかったですね。千年以上も前に、ペルシャなどから、多くの美術品、文化が来ていた。それらが、今も、ちゃんと残っている。素晴らしい。

元・米沢市議の鳥海茂太さんは、今、イランとの友好関係をつくるべく努力している。「千年以上前からペルシャの物が入って来たし、イランとは長い長い付き合いがあるんだ」と言ってました。その言葉が分かりました。

外に出て、奈良公園に行ったら、鹿が沢山いる。150円の「鹿センベイ」を買って、鹿にあげました。ドッと集まって来て、ねだります。ポックにはチョコもあったので、あげたら食べてました。ここの鹿は、神の都の鹿だけあって、皆、きれいだし、おとなしい。昔、広島の安芸の宮島に行ったら、あそこの鹿は怖かった。食べ物を持ってると、大きな鹿たちが集団で、ドドドーッと駆け寄ってくる。体当たりする。怖かった。広島と奈良の鹿の違いは一体、何なんだろうか。「県民性」なのかな、と思いました。

保田輿重郎さんの家で(10/31)
保田輿重郎さんの家で(10/31)

歩き回って、疲れたので、目に付いた喫茶店に入りました。「子供はお断り」と書かれている。アダルトな喫茶店だろう。「しろあむ」と看板が出ている。横に「万華鏡の店」とも。

恐る恐るドアを押して入ったら、「あら、鈴木さん。いらっしゃい」。エッ?知ってる人かな。と思ったら、「たかじんで見てます」。マスターのお母さんだ。マスターはカウンターの中でコーヒーを煎れてくれる。いろんな種類の万華鏡がある。驚いた。日本には江戸時代に入ってきたそうだ。

中にある模様だけでなく、先端にレンズが付いていて、外の景色を取り入れて、万華鏡のデザインにするものもある。凄い世界だ。「自分の過去が見えるものはありますか」「それはないです」。でも、楽しかったです。中には高価な万華鏡もある。沢山の種類がある。子供に壊されては困るので「入店禁止」なんですな。納得。

それから、東大寺へ。奈良の大仏を見る。デカイ。昔、高校生の時に見たけど、こんなに大きくないと思った。急に大きくなったのだろうか。私のように。

②豪華出演者の「ベオグラード1999」

保田さんのお宅で
保田さんのお宅で

それから、今日の上映・トークの会場「スタジオ・ワルハラ」に行きました。よく分からない名前だが、ワグナーのオペラに出てくる神の名前らしい。と、「万華鏡」のマスターが言ってました。「ワルハラ」で聞いたら、本当にそうでした。

知らなかったですね。私なんて、学がないから、「悪いセクハラおやじ」のことかと思いました。「お前のことだ」と言われてるようで、ギョッとしました。

6時から、「ベオグラード1999」の上映。1時間半だ。「三島由紀夫割腹自決40周年」と出ている。1999年当時の一水会の激しい闘争の記録だ。国内で警察と揉めている。ヘルメットをかぶって過激に闘っている。

でも、外国に出ても、連帯を求めて活発に運動をしている。貴重なドキュメンタリーだ。登場人物も豪華だ。木村三浩氏、活動家で亡くなったS子さん、雨宮処凛さん(一水会の街宣車に乗って演説している)。西部邁さん、宮台真司さん、見沢知廉、シェシェリ、コシュトニツア、ミレンコビッチ。実にいい映画だ。この頃のことを思うと私も胸が熱くなる。血がたぎる。

乾淑子先生と
乾淑子先生と

上映後、金子遊監督とトークをした。監督は、「私は、むしろ左翼なので、一水会の運動に対しては批判的に撮った」と言う。そういうナレーションも流れる。

だが、そうした距離を保って、緊張関係の中で撮ったから、いい映画になったと思う。又、リアリティがあると思う。歴史に残る映画だ。私なら、いくら文章で書いても、「それはお前の見方だろう」「主観だ」と言われてしまう。

その点、こうした批判的な「映像」ならば客観性があるし、これからの歴史にも耐えられる。又、S子さんや、見沢知廉氏への「鎮魂歌」にもなっている。2人とも、「撮っておいてくれて、ありがとう」と言ってるはずだ。

それから質疑応答。映画監督の原将人さんは、左翼なのに「歴史的仮名遣い」を復活すべきだ、と主張。そのソフトを開発すれば、一篇に出来るのだから、それはいいかもしれない。原さんは「初国知所之天皇(はつくにしらすめらみこと)」という映画も撮っている。凄いですね。

終わって、打ち上げに。岩井さん、吉本さんを始め、大阪や神戸・東京などからも多くの人が来てくれた。

打ち上げ会場には、岸田秀さん(和光大学名誉教授)や篠田正浩さん(映画監督)も来ていた。篠田さんの奥さんは大女優の岩下志麻さんだ。篠田さんとは初対面だ。今、早稲田大学で特命教授をしてると言っていた。映画「ゾルゲ」の話などを詳しく聞いた。夜遅く宿(ピープルズイン花小路)に帰って寝た。

③保田輿重郎さんの家に…

乾先生の講演会のポスター
乾先生の講演会のポスター

次の日は、9時20分に、岩井さんが車で迎えに来てくれた。他にも大阪から、「ぜひ一緒に行きたい」という人達がいて、一路、桜井市へ。人口5万人の小さな町だが、日本浪漫派の巨匠・保田輿重郎さんの住んでいた所だ。そこを訪ねる。

今年の5月に東京で、「保田輿重郎生誕100年記念シンポジウム」があって、聞きに行った。その時、「鈴木さん」と声をかけられた。保田輿重郎さんの次男のお嫁さんだという。保田節さんだ。「保田輿重郎の家に住んでますので、関西に来た時には寄って下さい」と言う。それでお言葉に甘えて寄った。

90年の歴史のある家だ。広い。20以上の部屋がある。家の中に、庭があり、井戸もある。ここで保田輿重郎さんは原稿を書き、本を読んでいたのか、と感慨深いものがあった。「人間・保田輿重郎」の日常的なお話も聞かせてもらった。贅沢な時間を持てたと思う。

桜井に来る途中に、天理市を通ってきた。天理教の建物が一杯あった。宗教都市だ。心が洗われる感じがした。芹沢光治良の『人間の運命』を思い出した。「私も読みました。よかったですね」と保田節さんも言う。全巻読破した高木尋士さんも連れて来たらよかったのに。残念だ。

そのあと、近くの駅前のお寿司屋さんで、ご馳走になりました。こちらから大挙して押しかけたのに、本当に申し訳ありません。おいしかったです。

④「戦争柄」の講演を聞く

鹿にエサをあげました
鹿にエサをあげました

それから、奈良市に戻り、奈良女子大学に。「アジア・ジェンダー文化学研究センター特別展示・着物に見る近代日本の戦争」。50着くらいの〈戦争柄〉の着物が展示されている。

そして、2時から、東海大学教授・乾淑子さんの講演「着物にみる女こどもの戦争」を聞く。とても勉強になりました。戦争柄については、前にこのHPでも詳しく書きました。乾さんの『図説・着物柄にみる戦争』(インパクト出版会)も素晴らしい本で、紹介してました。

乾さんの講演のあと、挨拶したら、「あっ、右翼の鈴木さん」と言われました。「戦争柄の浴衣を着た写真を見ました」と言われた。芝崎るみさんが作ってくれた浴衣を着た写真だ。このHPに載せた。

芝崎さんは他にも「三島由紀夫柄」「田中角栄柄」の着物を作っていた。そんな話もした。「あれは教養がないと分からないものですね。高尚な遊び感覚ですよ」と言っていた。「戦争柄」も着物に大砲、戦車、飛行機が描かれている。しかし、もの凄く精巧だ。子供たちは好きで、詳しいから、誤魔化しがきかない。だから、正確に描いたようだ。

10/31の打ち上げで
10/31の打ち上げで

又、極度に抽象化し、デザイン化したものもある。時代を超えたアートだと思った。

「今度、ロフトでもやりませんか」とお願いしました。

それから、夜は、再び、「奈良前衛映画祭」の会場へ。今日は、場所が違って、奈良県文化会館・国際ホール。1600人収容の大ホールだ。6時から始まる。

始まる前に、「初めまして。ブラジルから取材した者です」と挨拶された。15年ほど前、日伯毎日新聞にいた人だ。谷合英志さんだ。在外日本人の選挙権のことで取材され、私は、「賛成だ」と言った。その時の記者さんだった。その当時の話や、ブラジルの状況などを聞いた。ブラジルなど外国に住んでる人たちの方が愛国心がありますし、彼らの方が「本物の日本人」ですと強調していた。そうだろうな。ブラジルにも行ってみたい。

⑤トークと前衛パフォーマンスが

阿佐ヶ谷ロフトで。出版記念会第1部(11/1)
阿佐ヶ谷ロフトで。出版記念会第1部(11/1)

そんな話をしてるうちにも、開始のベルが。初めは、スペシャルトークセッション。若松孝二さん、足立正生さん、岸田秀さんの座談会。映画や表現を巡って。そして、「前衛」とは何かといったことについて。司会は金子遊さん。私も途中で発言させられた。

第2部は、灰野敬二さん(ミュージシャン)のスペシャルサウンドライブ。まさに前衛的なライブだったな。

続いては、スペシャルトーク&パフォーマンスセッション。吉増剛造さん(詩人)と原将人さん(映画監督)、そして金子遊さん(映画監督)。5台の映像機器を駆使して、スクリーンに奈良の原郷が映し出される。吉増さんが詩をうたい、絶叫する。

感動のうちに映画祭は終了しました。打ち上げは昨日と同じ「月吠」です。おしゃれな店です。萩原朔太郎の「月に吠える」からとったのでしょう。ポエムなお店でした。若松さん、足立さん、原さん、岸田さんたちと楽しくお酒を飲みました。

出版記念会第2部(11/1)
出版記念会第2部(11/1)

古都・奈良で、こんなアバンギャルドな企画が出来るとは凄いことだと感心しました。これからもどんどんやってもらいたいものです。

ついつい深酒して、頭も朦朧としたので宿に帰りました。奈良には2泊しましたが、おかげで、随分と知的・哲学的な収穫がありました。2日間で急に賢くなったような気がしました。成長しました。背も伸びました。オワリ。

【だいありー】
石川知裕さん(衆議院議員・中央)と。左は木村三浩氏(11/1)
石川知裕さん(衆議院議員・中央)と。左は木村三浩氏(11/1)
  1. 11月1日(月)早朝、奈良を出て、帰京。午後1時。港区芝のメルパルクホテルに行く。「弾圧から8年。最高裁に口頭弁論を開かせ、逆転無罪を勝ちとる11.1大集会」。1600人が集まった。超満員だった。
     JR東労組の浦和電車区で、労組員の口論があった。日常的な労働組合の風景だ。それに公安は目を付け、〈事件〉をデッチ上げた。何と、7人の労組員を逮捕した。そして1年も勾留した。  威圧も暴力沙汰も何もないのに、Y氏に対する「強要罪」だという。そして、7人は「革マル」だからという。「過激派の犯行だ」という「ストーリー」を作って、犯罪をデッチ上げたのだ。組合が軒並みダメになってる中、JR東労組だけは果敢に闘っている。権力にとってはそれが目障りなのだろう。だから、「革マル」というレッテルを貼りつけて、労組潰しをしている。ひどい話だ。
     この日の集会では、被告7名の決意発表、弁護団の報告があり、驚いたことに鈴木宗男さんが来て挨拶。食道ガンの手術直後だという。収監前にもかかわらず、7人の被告を激励していた。
     又、この日の記念講演は、やはり逮捕経験のある石川知裕さん(衆議院議員)。早大卒業後、小沢一郎氏の住み込み書生になり、その後、秘書。そして衆議院議員に。小沢問題では逮捕され、苦労した人だ。検察の「ストーリー」はどう作られ、どう冤罪が作られていくか。それが詳しく語られる。貴重な話だった。
     4時から、懇親会。石川知裕さんに、「いい話でしたね」と挨拶したら、「お久しぶりです。昔、お会いしました」と言う。エッ?「18年前、私が学生の時、友人に誘われて一水会の新年会に出ました」。これには、ビックリ。一緒に行った木村三浩氏も驚いていた。「あの頃は、鈴木さん、木村さんも、バリバリの活動家で、まだ怖かったですよ。雰囲気が違いました」と言う。
     他にも、弁護士さんやJR東労組の人達と話をして、5時に中座しました。
(左から)「楯の会」の田村司氏、持丸博氏
(左から)「楯の会」の田村司氏、持丸博氏

それから、阿佐ヶ谷ロフト。6時に集合。7時から開始。私の本、『遺魂』(無双舎)の出版記念トークです。満員だった。NHKも取材に来ていた。

第一部は三島由紀夫の話。第2部は野村秋介さんの話。ゲストは歴史の「証言者」ばかり。とても貴重な話が聞けました。会場はシーンとして、皆、静かに聞き入ってました。普段なら、ゲスト同士の怒鳴り合い、つかみ合いがあり、会場からも野次が飛び、物が投げられ、騒然とするのが「ロフト的風景」なのですが、この日は一切なし。粛々と進みました。普段は絶対に聞けない〈歴史〉を聞き、真剣に聞き入っておりました。

司会は『遺魂』の編集をしてくれた椎野礼仁さん。第1部の「三島由紀夫」では、私の他に、持丸博さん(「楯の会」初代学生長)。田村司さん(「楯の会」)、中川右介さん(作家)。皆、三島関係の本を出し、評判になっている。持丸博さんは佐藤松男さんとの対談で、『証言 三島由紀夫・福田恆存。たった一度の対決』(文芸春秋)。

中川右介さんは、『昭和45年11月25日。三島由紀夫自決、日本が受けた衝撃』(幻冬舎新書)。

田村司さんは、鈴木亜繪美著『火群のゆくへ=元楯の会会員たちの心の軌跡』(柏艪舎)の監修をしている。

第2部は、持丸さんは帰られたが、野村さんの運転手をやっていて、野村さんの自決の現場に立ち会っていた古澤俊一さんが登壇。その日の現場の状況を話す。そして、野村さんの思想と行動について皆で語り合う。/p>

又、野村さんは「三島のように生きたい。三島のように死にたい」と願い、それを実行した人だ。40年前の「三島事件」と、その影響についてもじっくりと話し合った。

終わって、「いい会でしたね」と皆は言っていた。普段の、「荒れるロフト」的ではないが、こうした会もいいと思った。又、やってみたいですね。

「収監の作家・文化人」展
「収監の作家・文化人」展
  1. 11月2日(火)昼、中野図書館。画期的な展示会をやっていた。
    〈収監の作家・文化人。
     中野刑務所 1910〜1983〉
     中野刑務所は、特に「治安維持法」で捕まった作家、文化人が多かった。それらの人々の写真や、著作が展示されている。
     130年前、歴史に名高い小伝馬町牢屋敷をその前身とする「市谷監獄」が中野(旧・豊多摩郡野呂村)に移転。「豊多摩監獄」。のちに「中野刑務所」となった。主に治安維持法に抵触した政治犯や思想犯の収容所になり、社会運動家だけでなく、多くの学者、著作家が収監された。戦後、GHQの接収を経て、1970年代には学生運動の指導者も収監されたが、1975年に廃止が決定。1988年に取り壊され、跡地は現在「平和の森公園」となっている。
     夥しい数の人々が収監されていたが、ポスターには「主な展示著作者」として5人が紹介されている。河上肇、小林多喜二、三木清、壺井繁治、そして藤本敏夫だ。
     えっ、藤本さんも入っていたのかと驚いた。1970年代にここの刑務所に入っていた。ここに入っている時に歌手の加藤登紀子さんと「獄中結婚」したのだ。僕は藤本さんとはずっと親交があったので、懐かしかった。中野刑務所も何か、身近なものに感じられた。
     図書館では、今週は絵画関係の本を中心に、10冊借りた。相変わらず乱読している。つかこうへいの『飛龍伝・神林美智子の生涯』(集英社)も借りた。1960年の安保闘争で亡くなった樺美智子さんからヒントを得たものか。昔、読んだ気がする。芝居も見たような気がする。でも、何度読んでも面白い。『飛龍伝』は、いろんなバージョンが出てるが、皆、面白い。
     夕方5時半、日比谷公会堂に行く。「山口二矢烈士五十年祭」。50年前、この会場で、浅沼稲次郎社会党委員長は17才の山口二矢に刺殺されたのだ。
     この事件を仙台で私はテレビで見ていた。同じ17才だった。この事件が後に右翼運動に入る遠因になる。そう思うと、自分のことのように思え、震えた。
     全国から集まった右翼の人達で会場は満員。暑い位だ。でも、体は、ガタガタと震えていた。あの事件が、つい昨日のように思える。この右の方からステージに上がり、短刀を構えて、体ごと浅沼氏にぶつかって行ったのだ。それを思い出して震えた。五十年祭は厳粛なお祭りだった。お祭りのあと、大原康男さんによる「追悼講演」。この日、出来たばかりの『山口二矢供述調書』(展転社)を買う。多くの先生、先輩方に会った。「おっ、左翼のくせに、この集会に来るのかよ」と、からむ人もいた。山口二矢に一番、影響を受けた私なのに。それはないだろう。
     夜、ネットのニュースを見て驚いた。元警察官でジャーナリストの黒木昭雄さん(52)が亡くなった。自殺らしいという。礼儀正しくて、いい人だったのに、残念だ。
出版記念イベントの打ち上げで
出版記念イベントの打ち上げで
  1. 11月3日(水)今日は文化放送は特別枠の公開放送なので私は休み。午前中、打ち合わせ。午後から取材で出かける。
  2. 11月4日(木)午前中、取材で人に会う。午後3時、河合塾コスモ。「現代文要約」。5時、「基礎教養ゼミ」。今週は私が選んだ本を読み、皆と話し合う。佐谷眞木人の『日清戦争=「国民」の誕生』(講談社現代新書)だ。なかなか、いい本だ。
     終わって、生徒と食事。
  3. 11月5日(金)1時、試写会。夜、柔道に行く。
     『正論』(12月号)を買ったら、「生誕百年。保田輿重郎を語ろう」が出てました。タイムリーです。〈歴史精神を喪失した日本人に必要なのは、保田の言う「永遠」と「絶対」である〉。桶谷秀昭、ロマノ・ヴルピック、新保祐司の鼎談です。ぜひ読んでみて下さい。
山口二矢さんの肖像画の前で(11/2)
山口二矢さんの肖像画の前で(11/2)
  1. 11月6日(土)昼、新幹線で新潟へ。そこから乗り換えて新発田に行く。斎藤徹夫さんが出迎えに来てくれた。6時半より、生涯学習センターで、「三島由紀夫と蕗谷虹児=うたと講演のつどい」。
     第1部は新潟市出身のソプラノ歌手、柳本葉子さんが、蕗谷作詞の「花嫁人形」。それに「平城山」などを歌う。
     第2部は私の講演で、「三島由紀夫と蕗谷虹児=一枚の挿絵に込めた思いとは」と題して。満員だった。11月1日に阿佐ヶ谷ロフトに来た人も、わざわざ来てくれた。ありがたい。質疑応答が終わって、『遺魂』にサインをする。そして懇親会。新発田市は大杉栄や今村均大将、そして「よど号」の田宮高麿さんなどが少年・青年時代を過ごした土地だ。革命と闘いの原郷だ。そんな話を皆としました。
  2. 11月7日(日)1時、新潟市に行き、ジュンク堂で、「三島由紀夫没後40年と現在の日本」について講演する。終わって、サイン会をする。多くの人が聴きに来てくれた。東京から白井さんが来てくれました。ありがたい。
     終わって、会津八一記念館などを訪ねました。
     と夜の新幹線で帰京した。
【写真説明】
‘篠田正浩監督(中央)、岸田秀さん(右)と(10/31)

①10月30日(土)、「ベオグラード1999」の上映&トークが終わって、「月吠」で打ち上げ。岸田秀さん(和光大学名誉教授)がすでに来てました。篠田正浩さん(映画監督)も。
 この日、奈良の早大会があって、そこで篠田さんは講演したそうです。それで私らと合流したそうです。嬉しいですね。

金子遊監督とトーク(10/30)‘

②「ベオグラード1999」の上映後の金子監督とのトークです。『遺魂=三島由紀夫と野村秋介の軌跡』(無双舎)の編集者も同席して、本の紹介をしてくれました。

保田輿重郎さんの家で(10/31)‘

③10月31日(日)午前中、桜井市の保田輿重郎さんの家を訪ねました。家の前で、次男のお嫁さんの保田節さんと。

‘保田さんのお宅で

④保田節さんを囲んで皆と。左は岩井正和さんです。車を運転して皆を連れて来てくれました。ありがとうございました。

‘乾淑子先生と

⑤10月31日(日)、午後2時から、奈良女子大学で乾淑子先生(東海大学教授)の講演を聞きました。「着物にみる近代日本の戦争」です。とても勉強になりました。

乾先生の講演会のポスター‘

⑥その講演会のポスターです。

‘鹿にエサをあげました

⑦奈良公園で鹿にエサをあげました。なかなか、かわいいと思いました。

‘10/31の打ち上げで

⑧31日の前衛映画祭の終了後の打ち上げです。若松監督、原田監督もおります。

石川知裕さん(衆議院議員・中央)と。左は木村三浩氏(11/1)‘

⑨11月1日、メルパルクホールで「弾圧から8年。最高裁に口頭弁論を開かせ、逆転無罪を勝ちとる11.1大集会」で記念講演をした石川知裕議員と。左は木村三浩氏。石川さんが18年前の一水会新年会に出てたとは驚きでした。

阿佐ヶ谷ロフトで。出版記念会第1部(11/1)‘

⑩11月1日、午後7時より阿佐ヶ谷ロフト。『遺魂』出版記念イベント。これは第1部です。左から、(司会の)椎野礼仁さん。田村司さん(元「楯の会」)、持丸博さん(元「楯の会」初代学生長)、鈴木(元右翼暴力学生)、中川右介さん(作家)。

‘出版記念会第2部(11/1)

⑪出版記念&トークの第2部です。(左から)椎野礼仁さん、田村司さん、古澤俊一さん(野村秋介さんの運転手)、鈴木、中川右介さん。

‘(左から)「楯の会」の田村司氏、持丸博氏

⑫トークの開始前に控え室で。(左から)田村司さん、持丸博さん、鈴木。

‘出版記念イベントの打ち上げで

⑬出版記念トークイベントも無事に済んで、打ち上げです。椎野さんの横には美女が並んでいます。

‘山口二矢さんの肖像画の前で(11/2)

⑭11月2日(火)6時より日比谷公会堂で「山口二矢烈士五十年祭」が行われました。壇上の横には山口二矢さんの大きな肖像画がありました。終わってから写しました。

‘「収監の作家・文化人」展

⑮中野図書館もいい企画をやりますね。「収監の作家・文化人。中野刑務所1910〜1983」展です。これはいいです。中野区立中央図書館で、11月25日までやってます。是非、見たらいいでしょう。

【お知らせ】
  1. 11月8日(月)月刊「創」発売です。私の連載「言論の覚悟」では、原田正治さんとの出会いについて書きました。
     弟を殺され、その犯人を殺したいと思う。裁判に出る。絶対に許せない。「なぜ弟が」と思い、面会に行く。そして犯人と手紙のやり取りも続く。段々と気持ちに変化も起きる。もっと話したい。死刑を執行しないでほしいと裁判所に上申書を出す。
     しかし、死刑は執行された。気持ちの虚しさは消えない。死刑制度についても考え、その集会にも行く。そして何と、死刑反対の運動にも加わる。凄い人だと思った。とても出来ることではない。10月9日(土)に原田さんに会って話したのだ。
     又、原田さんの本、『弟を殺した彼と、僕』(ポプラ社)を読んで、感動した。今まで読んだ本の中で、最も感動した本だ。
     ある時皆で、死刑廃止のビラ配りをしていた。1人の男が食ってかかってきた。「あんたらは、被害者の遺族の気持ちを考えたことがあるのか!」と。言われた人は原田さんを紹介し、「こちらの方は、弟さんを殺された被害者のご遺族です」と言った。文句を言ってきた男は、「あっ、電車が来た」と言って走り去ったという。
     「被害者の気持ちを考えろ!」と言う人は、本当は分かってない。「被害者は皆、死刑を望んでいる」と思っている。又、「彼らは、平穏に暮らす自分より気の毒でかわいそう」と一段下に見ているのではないか。又、「遺族の気持ちを推し量ることが出来る自分は、人間らしい情のある者だ」と心のどこかで考えているのではないか。原田さんはそう言います。これは衝撃的な言葉でした。詳しくは、『創』を読んでみて下さい。
     この日は、『紙の爆弾』(12月号)も発売です。「鈴木邦男の越境対談」も連載されてます。
  2. 憲法と社会問題を考えるオピニオン・ウェブマガジン「マガジン9」に連載してます。「鈴木邦男の愛国問答」です。今回は第62回で、「どうする?北方領土問題」です。
  3. 11月12日(金)この日発売の「週刊金曜日」に、能川元一さんとの対談が載ります。
  4. 11月13日(土)午後1時から5時。新宿住友ホール。西部邁事務所主催による、シンポジウムがあります。〈「尖閣」を忘れるな。自主防衛のほかに道はなし〉。木村三浩氏、丸川珠代、稲田朋美、宮崎正弘、西部邁、富岡幸一郎氏などが出ます。
  5. 11月13日(土)午後7時半。14日(日)午後1時半より劇団再生の公演です。APOCシアター(小田急線千歳船橋駅)で。『交響劇第二番 嬰イ短調』です。お芝居の前に、代表の高木尋士さんと私のプレトーク「劇場論」があります。
     高木さんは、「戦争柄」の着物をネットで探して買ったといいます。当日の芝居で、役者に着せるそうです。これも楽しみです。
     予約・問い合わせは。saisei@engeki.ne.jp
  6. 11月15日(月)午後6時半。新宿ジュンク堂で、三島由紀夫没後40年のトークがあります。『昭和45年11月25日』の著者・中川右介さんと、『遺魂』の著者の私です。
  7. 11月23日(火・祝)午後2時。「鈴木邦男ゼミin西宮」。第2回目です。場所は前回と同じで、喫茶店「カフェインティ・ライミ」です。
     阪神西宮駅東口を南へ3分 0798(22)0913です。TVで何度も取り上げられましたが、BSE牛肉偽装告発で有名な「西宮冷蔵」の水谷洋一社長と鈴木のトークです。お楽しみに。
     主催は鹿砦社・松岡利康プロデュース。参加希望者は岩井まで。080(5702)8405。参加費は2千円です。
花園神社への地図はこちら
花園神社への地図はこちら
  1. 11月24日(水)三島由紀夫・森田必勝両烈士追悼四十年祭「野分祭」が行われます。午後7時より、新宿の花園神社。
     野分祭のあと、荒谷卓先生(至誠館館長)による記念講演「神道と武士道の現代的意義」が行われます。お問い合わせは「野分祭実行委員会」へTEL03(3364)2015。
  2. 11月25日(木)三島事件から40年のこの日、衝撃的な本が出ます。「40周年記念本」の決定打です。板坂剛さんと私の対談で、『三島由紀夫と1970年』(鹿砦社・1200円)です。貴重な資料3篇と衝撃映像も付いてます。
  3. 11月28日(日)渋谷アップリンク。6時50分から8時まで、「ベオグラード1999」の上映。
     その後すぐ、金子遊監督と私のトークがあります。
  4. 12月7日(火)夜6時半、新宿のロフトプラスワン月刊「創」主催のトークイベントがあります。森達也『極私的メディア論』出版記念。「視点が変われば世界が変わる」です。「創」のHPを見たら、大槻ケンヂさんも出るそうです。凄い!見に行かなくちゃ。あっ、私も出演者か。司会は「創」編集長の篠田博之さんです。私も出ます。
  5. 12月15日(水)7時、サンルートホテル高田馬場。一水会フォーラムです。講師は石井一二先生(政治評論家・元参議院議員。元外務政務次官)。「ここが間違っている現下の日本。将来のために提起する」。