2011/01/24 鈴木邦男

ラジオの時間とイマジネーション

①テレビをラジオ的に利用したナンシー関さん

若松孝二監督と(1/14)
若松孝二監督と(1/14)

「消しゴム版画」のナンシー関さんとは生前、よく会っていた。とても気さくな人だった。週刊誌に連載していたエッセイも人気があった。「こんな版画を作ったんだけど、大丈夫ですかね?」と相談されたことがある。昭和天皇のお顔だ。よく特徴をとらえているし、かわいらしく描かれている。「これはいいですね」と思わず言った。それで安心したのか、週刊誌でも、よく使っていた。

ナンシー関さんは、大のプロレス好きで、その点でも私と話があった。ジャイアント馬場やデストロイヤーなども描いていた。版画だから、「彫っていた」と言うのかもしれないな。でも、消しゴムの上に、まず描く。そして彫る。だから、どっちでも言えるだろう。女子プロレスラーのナンシー久美が好きで、「ナンシー関」をペンネームにした。又、元パンクラスにいた船木とは同郷(青森)で、だから大の船木ファンだ。デビュー前から応援してたという。

ナンシーさんは三軒茶屋に住んでいた。私らが用事があって三茶に行く時があると、(多分、芝居を見に行った帰りでしょうか)、「そうだ、三茶にはナンシーさんが住んでるんだ」と思い出して、電話する。すると、仕事中なのに、出て来てくれる。一緒にお酒を飲んで、プロレスの話をしたりする。仕事中なのに、邪魔して申し訳なかったですね。

原田正治さんと(1/17)
原田正治さんと(1/17)

又、私のゼミに来て、講演してくれたこともある。「これが今まで作った作品です」と箱に入れて、回してくれる。20個位あった。どれも貴重な作品だ。でも、皆が手に取り、じっくり見て、それが帰ってきたのを見ると、壊れているのがいくつかあった。ギャ!と思ったが、ナンシーさんは全く気にしない。「いいよ、いいよ」と言ってくれた。すみませんでした。

ナンシーさんには失礼の数々をお詫びしなくてはならない。そうだ。脚本家志望の関口和広君を紹介した時だ。「彼は関口君です。同じ関口です。皆に“オナニー関“と言われてます」と言ったら、「やめてよ!」と絶叫してました。すみませんでした。失礼の数々、でした。

「いつ仕事をしてるんですか」とナンシー関さんに聞いた。「一日中、家で仕事してます」と言う。外に仕事場があって、アシスタントを横に置いて、版画を彫っていると思ったので、意外だった。家で、1人で仕事してるという。じゃ、よほど静かな家なんだろう。そうでないと、仕事に集中できない。

「いえ、ラジオやテレビを聞きながら、仕事してます」と言う。ヘエー、余裕だ。でも、ラジオは分かるけど、テレビは無理だろう。テレビと仕事と両方に目を向けられない。「だから、テレビをラジオにして聞いてます」。

石井泉さんと(1/19)
石井泉さんと(1/19)

エッ?と思った。歌番組や講演などは分かるよ。でも、ドラマなどは分からない。「そのために副音声があるんですよ」と言う。本当は、「そのため」ではなく、目に障害のある人のためにやっている。ドラマだと、セリフだけでは分からない。「そのあと、○○は部屋から出ます」「後ろから○○子は、いきなら飛びかかり、首を絞めます」…と、状況説明をする。

それで、ナンシー関さんは聞いてる、と言う。これだと、目も手も仕事に集中できる。耳だけ、テレビに向けている。ワイドショーなども、これで聞き、ネタを集め、週刊誌にテレビ評をやっていた。

「それに、ラジオを聞いてると、脳が活性化しますよ」とナンシーさんは言っていました。なるほど、そうだなと思い、私も実行しました。

②ラジオでサッカーを聞いた和光さん…

イルカについてのトーク(阿佐ヶ谷ロフト)
イルカについてのトーク(阿佐ヶ谷ロフト)

ナンシーさんと違い、私は集中力がないので、原稿を書く時は、さすがに、全ての音をoffにしています。(若い時は喫茶店でも原稿を書けたのに…。まあ、その程度の原稿だったのでしょう)。

でも、メモを取ったり、ファイルをしたり、資料整理をしたり、本や手紙を送ったり…という時は、この「ながら」仕事術を利用しています。ラジオを聞きながら。テレビを副音声にして「ラジオ」にして利用して…と。特に、毎日、大量にFAXを送る時などは、いいですね。皆様もやってみて下さい。

よく、刑務所や拘置所に面会に行くと、皆、ラジオを楽しみにしている。日本赤軍の和光晴生さんは今は徳島刑務所に移ったが、数年前、東京拘置所に何回か面会に行った。ある時、ラジオの話になった。「サッカーが楽しみです。日本は頑張ってますね」と言う。驚いた。ラジオでもサッカーをやってるのか。アナウンサーも大変だが、聞く方も大変だろう。頭の中でイメージして、楽しむのだ。分かるのだろうか。それで面白いのだろうか。

「それが、面白いんですよ。興奮しますよ」と言う。

朝日カルチャーセンターで講演(1/14)

「鈴木さんだって、子供の頃、ラジオで相撲を聞いていて、興奮したでしょう」と言う。たしかに、それはある。今は、相撲はテレビで見るものと決めている。ラジオで聞いたことなんてない。40年以上聞いてない。今度、聞いてみよう。イメージを浮かべられるかな。

そう考えると、小学生の頃、ラジオで相撲を聞いていた私らは脳をフル活用し、自分の頭の中で、土俵を思い描き、力士のぶつかる様を想像していたのだ。ボーッとテレビを見ているのとは違う。だから、テレビを見ている人よりも、ラジオを聞いてる人の方が、ボケないし、長生きするんだ。ラジオは、頭をフル回転させる。想像力を刺激する。だから、原稿を書く上でも大いに役立つ。

…と、そんな事を実感してますね。最近は。最近といっても去年の10月からだ。まだ3ヶ月だが、文化放送に週1回ずつ出ている。それで、実感するのだ。脳が活性化するし、若返った感じだ。

③人気声優の彩奈ちゃんに会いました

文化放送で。寺ちゃん、彩奈ちゃん、みゆきさんと
文化放送で。寺ちゃん、彩奈ちゃん、みゆきさんと

「だいありー」でも、ちょっと書いたが、1月19日(水)は、人気声優の竹達彩奈(たけたつ・あやな)さんに会った。『DIME』で、「今年ブレークする100人」の中に、声優の部では1人だけ選ばれた人だ。人気声優No.1だ。声だけでなく、顔もかわいい。私は、思わず見とれてしまい、ロクに話も出来なかった。

竹達さんは人気アニメ「けいおん!」に出ている。廃部寸前の軽音楽部を4人の女の子たちが立て直していくというお話。その「けいおん!」の中で中野梓役を演じている。

声優を目指したキッカケは?と聞いたら、子供の時から、声が高くて、皆にからかわれていた。自分の声にコンプレックスを感じていた。「声が高いね」「変ね」「変わってんね」…と。でも、それじゃ、かわいそうと思って、皆、フォローしてくれる。「アニメのキャラクターのようね」「声優になれば」…。

それで、「フォロー」の方を信じて、「じゃ、やってみるか」と決心したという。コンプレックスをバネに、プラス思考したのだ。又、テレビアニメ「カードキャプターさくら」や「美少女戦士セーラームーン」を見たことも刺激になった。

高橋巖先生と
高橋巖先生と

声優というと、昔は、声はいいが「顔は別」という人が多かった。でも今は違う。顔もかわいい子が多い。その中でも、彩奈ちゃんはNo.1だ。何と、コンサートをやってたりする。アニメの主人公になり切って、「けいおん!」のメンバーと、ギターを弾く。これは凄い。私もライブに行きたい。

「私は神谷明さんと知り合いですよ」と言いました。「声優の大御所ですね」と寺ちゃん。前は名探偵コナンに出ていた。ランちゃんのお父さんで探偵役だった。「どうして神谷さんと知り合いなんですか?」「一緒に芝居に出ました」。と、その時の話をした。辛口のコント集団「ザ・ニュース・ペーパー」に、一緒に出たのだ。「さる高貴なご一家」の話などをやってるとこですね、と寺ちゃん。ズバリ、それに出たのだ。天皇陛下の園遊会に、大声優の神谷さん、それに右翼の鈴木…たちが招待されるのだ。いやー、緊張感がありましたね。右翼からは「不敬だ!」「許せん!」と言われるし。右翼の新聞にも大々的に書かれて糾弾されるし。芝居中に襲われるんじゃないかと、ビクビクしてました。

④『自然死への道』の米沢さんともトーク

第三書館の北川明社長と(1/19)
第三書館の北川明社長と(1/19)

そんな、昔の話をしました。でも、声優とアナウンサーは、声の鍛え方が違うのだろうか。訓練が違うのか。原稿の読み方も違うのだろうか。それを聞いた見た。「じゃ、実際に、ニュース原稿を読んでもらいましょう」と寺ちゃん。それで、「今日、北海道に流氷が来ました」というニュースを読んでもらった。かわいい!全然違う。ニュースが楽しくなる。

「北朝鮮も、こういう子にニュースを読んでもらえばいいのに。怒ったおばさんが、怒ってニュースを読むんじゃなくて、こういうかわいい声優さんが読む。そうすると、威圧を与えない。抗議された方も、「ごめんちゃい。じゃ、話し合いましょう」となるよ。一挙に世界は平和になる。

でも、交通事故か、悲しい事件はやれないね。その時は、文字放送だけにするとか…。でも、こんな機会でもないと、人気声優の彩奈ちゃんには会えなかった。嬉しかったです。

『流出「公安テロ情報」全データ』(第三書館)
『流出「公安テロ情報」全データ』(第三書館)

その他、この日は、『自然死への道』(朝日新書)の著者、米沢慧さんとも会って話した。米沢さんは1942年生まれ。私より1才上だ。それに早大教育学部卒だ。じゃ、学内で出会っているはずだ。教育学部は、自治会が2つあったんだ。民青系と革マル系で…。という話になった。打ち合わせの時は、そんな思い出話ばっかりだ。実は私も教育学部出身だ。だから米沢さんとは同じなのだ。政経を4年で出て、学生運動をやるためだけに大学院に行った。そのまま真面目に勉強し、大学院を出たら、どこかの大学の助手になり、助教授、教授になった。いや、なれたかもしれない。

ところが、森田必勝氏にですよ、私のそんな「大望」を阻止したのは。森田氏は、三島事件で三島と一緒に自決した人だ。彼は、早大教育学部だ。そこは自治会が2つあって、分裂している。革マル系は、人間も少ないし、弱体だ。右翼学生は教育に多い。他の学部の人に移ってもらい、クラス委員に出て、そして自治会を乗っ取ろう、と言う。すげえ!と思った。それで、私も政経の大学院をやめて、教育学部の3年に学士入学した。

本の中味は…
本の中味は…

今考えると、勿体ないと思う。先生たちにも言われた。でも、森田氏は私がオルグして右翼運動に引きずり込んだ。そんな疚しさもある。それで、教育学部に移った。他の人間も移ってきた。

しかし、結果的には失敗した。そして森田氏は、学生運動の世界を超えて、三島と、もっと直接的行動に打って出る。私は教育学部に残された。2年間いたが、中退した。そして一度は郷里の仙台に帰り、1970年春に産経新聞に入る。これで運動の世界ともお別れだ。と思った。ところがその年の11月、三島事件が起こり、三島、森田氏は自決する。

それで、昔の学生運動仲間が再び集まり、一水会を創ることになる。森田氏を運動に引き入れたのは私だ。その森田氏に私は、教育学部に引っ張られた。さらに、1970年に、再び運動の世界に引き戻されたのだ。

米沢慧さんと話しながら、そんな、40年前のことを思い出していました。本番では、米沢さんは、作家・吉村昭さんのことを話していた。自らのカテーテルの管をむしりとった。毅然として死を受け容れた作家だ。又、緒形拳の、がんを受け容れて病を生きた姿から見えてくる「自然死」の話など…。いろいろと考えさせられました。

【だいありー】
渡辺真也さんと。檄文の前で
渡辺真也さんと。檄文の前で
  1. 1月17日(月)朝7時半東京駅発の新幹線で名古屋に。前夜からの大雪で新幹線は遅れている。でも10時頃着きました。それから市内白壁にある名古屋拘置所に行く。「岐阜・長良川殺人事件」の小林正人君の面会に行く。事件当時は未成年。未成年の男女10人以上が暴走し、引き起こした集団殺人事件だ。ささいな事で喧嘩し、連続して4人を殺す。その主犯とされた3人のうち、一審では2人が無期、1人(小林君)が死刑だった。
     2人は控訴。ところが二審では、3人とも死刑。そして、来月、最高裁だ。新聞や週刊誌で事件の事を読んだが、残忍だ。でも、「主犯」の小林君は、(今は30代なのに)、かわいらしい顔をしている。とても人懐っこい顔をしている。あんな事件を起こしたなんて信じられない。
     前に「創」に書いたが、アムネスティ・インターナショナル日本の人から話があった。「小林君は野村秋介さんや鈴木さんの本を読んでいる。だから、会ってやってほしい」と。面会して驚いたが、事件前から、野村さんの本を読み、右翼運動をやりたかったという。だったら、すぐに右翼運動に入ったらよかったんだ。右翼に入っても波乱の人生かもしれないが、あんな事件に巻き込まれることはなかった。同じ年頃の未成年が、リーダーもなく、集団で暴れる。「歯止め」が利かない。「もうやめろ!」と力ずくで止める人もいない。女の子もいて、それも悪い方向に働いた。「女の子の前で、ビビったら格好悪い」「根性のある所を見せたい」と思い、暴力はエスカレートする。その結果、ささいなことで通行人と喧嘩をし、集団で乱暴し、ブレーキが利かず殺してしまった。それが4件もだ。
     酷い事件だし、許せない事件だ。「何て馬鹿なことをしたんだろう」と15年以上、ずっと後悔し、反省し続けている。でも遅い。面会し、何を話していいのか迷う。でも、向こうの方が、気を使い、明るく振る舞う。「『遺魂』よかったですね。感動しました」と、本の感想を言う。他にも、中で本を沢山読んでるようだ。「がんばれ!」「どんどん本を読みなよ」と、本の話ばかりした。裁判の話は一切しなかった。
     終わって、出て来て、原田正治さんと合流する。原田さんは、「岐阜・長良川殺人事件」の別の人(主犯3人の1人)に面会に来ていた。私が名古屋に来る時は会いましょうと原田さんに言われていた。
     原田さんも凄絶な人生を送ってきた人だ。このHPでも、前に紹介したが、原田さんは「半田保険殺人事件」で弟を殺された。その犯人(長谷川氏)を恨み、殺してやりたいと思う。しかし、なぜ弟だったのか、なぜ殺したのか、問い詰めようと長谷川氏に面会に行く。いろいろ話をする。長谷川氏は他にも人を殺しており、死刑宣告を受けていた。だが、殺されては、何も問題は解決しない。だから、死刑を執行しないでくれと裁判長に上申書を出す。だが、長谷川氏は死刑を執行された。
     その赤裸々な記録は、原田さんが『弟を殺した彼と、僕』(ポプラ社)に書いている。読んで驚いた。こんな人がいるのか!と。今まで読んだ本の中で最も感動した本だ。死刑反対の集会の時に初めて会い、その後1回会い、今回が3度目だ。
     弟を殺された時は、犯人を憎み、毎日、荒れていた。酒を飲み、飲み屋の女性と遊び歩き、仕事もやらない。荒れに荒れ、家族にも迷惑をかけ放題だった。奥さんには、「あんたのやってる事は長谷川と同じや」と言われた。その奥さんは、家を出て行き離婚。凄まじい人生だ。長谷川氏の処刑の後は、死刑反対の運動に参加している。
     この日、名古屋であった時は、1年前に再婚した奥さんと一緒に来ていた。そして、支援者の人と。一度、倒れて、喋るのもちょっと不自由だ。でも、リハビリで随分と回復した。「もう少し回復したら、ぜひ鈴木さんと対談して本を出したい」と言う。ぜひ、お願いしたい。編集者の椎野さんに言っておきますよ、と言った。雪の中、皆でファミレスに行って、夕方まで話をして、帰る。
森村泰昌さんと(1/18)
森村泰昌さんと(1/18)
  1. 1月18日(火)早朝、東京を出て、8時半に、新神戸に着く。兵庫県立美術館に行く。世界的なアーチスト・森村泰昌さんの作品展だ。去年から、1年間の間に5つの会場で行われた。東京写真美術館、豊田市美術館、高松市美術館、広島市現代美術館、そして兵庫だ。1年間に5つの会場を回るなんて、日本で初めてだ。世界でも初かもしれない。
     そのオープニングが午前9時半から行われ、そこに招待された。「森村泰昌。なにものかへのレクイエム—戦場の頂上の芸術」。
    〈美術家や女優をとりあげたこれまでの作品では、女性に変身するイメージの強かった森村。今回のシリーズでは一転して、三島由紀夫やゲバラ、アインシュタインやピカソなど、戦争と革命の20世紀を生きた男たちの姿に挑みました。さらに「硫黄島の星条旗」など、歴史的瞬間をとらえた報道写真を題材に、独自の解釈で過去を検証し、現代に甦らせます〉  とパンフレットには書かれている。
     三島や、山口二矢やゲバラ、毛沢東などに扮し、「20世紀」を生き、追体験している。三島の「演説」や、ヒトラーやレーニンの「演説」の映像も大画面で上映され、迫力がある。関西の人は、ぜひ見に行って下さい。
     オープニングが終わり、2時間かけて、じっくり見た。その後、森村さんに昼食をご馳走になる。ニューヨーク在住のキュレーター(学芸員)の渡辺真也君も来ていた。彼は、4年前、私をニューヨークに呼んでくれた人だ。向こうで、憲法24条を書いたベアラさんたちに会わせてくれ、一緒にシンポジウムをやった。
     今は日本に帰ってきていて、こっちでアートの仕事をしている。楽しかった。夕方、東京で座談会の仕事があったので帰る。神戸の岩井さん、吉本さん、連絡できずにすみませんでした。森村さんの作品はぜひ見に行って下さい。
山口二矢と浅沼委員長
山口二矢と浅沼委員長
  1. 1月19日(水)朝10時45分、椎野さんと新大久保駅で待ち合わせる。白井さんや、鹿砦社の中川さんも合流して、11時に、第三書館に行く。北川明社長と対談。『紙の爆弾』の連載「鈴木邦男の越境対談」のため。
     第三書館は、今、大騒ぎになっている『流出公安テロ情報・全データ』を出した出版社だ。ネットで流された極秘の「公安テロ情報」を1冊の本にして出した。こんなことを考え、やる勇気があるのは、第三書館だけだ。その意図、目的、覚悟などを聞いた。
     昔、お巡りさんの内部告発本を出したのもこの第三書館だ。その人たちとも私は知り合いだ。又、見沢知廉氏の『天皇ごっこ』もここで初めて出たのだ。又、私が、『蟹工船を読む』を出した時は、第三書館の『ザ・多喜二』を読んで、参考にさせてもらった。
     終わって、文化放送へ。今日は午後2時から5時まで出る。人気声優の竹達彩奈(たけたつ・あやな)さんがスタジオに来てくれました。人気アニメ「けいおん!」で中野梓役を演じています。とてもかわいいです。驚きましたね。
     それと、「編集者は見た」は『サイゾー』の編集長。「生きる会社、死ぬ会社」の特集。さらにこの日は、『自然死への道』(朝日新書)の著者・米沢慧さんが来てくれて、一緒に話しました。実に盛り沢山な、贅沢な企画でした。この『自然死への道』はとてもいい本で、考えさせられました。そして読了後すぐに著者に会って話を出来るなんて…。本好きの私としてはたまりませんでした。
     5時に番組が終わり、次週の打ち合わせをして、それから阿佐ヶ谷ロフトへ。忙しい。「イルカと人間の接点を探る」映像&トークセッション。6時半から打ち合わせ。7時半、スタート。初め、イルカのいろんな映像を見ながら坂野正人さん(イルカ研究家)が解説をする。貴重な映像だった。それから、メインゲストの石井泉さんが登場し、1時間、講演。石井さんは元イルカ漁師で、今はやめて、「イルカ・ウォッチング」を主宰している。「なぜ、イルカ漁をやめたか」を中心に、話してくれる。話はうまいし、ユーモラスだし、皆を笑わせながら、グイグイと話に引き込む。地元ではラジオのパーソナリティをやってるという。プロの話芸だ。
     終わった時、「師匠、お疲れ様でした」と、つい声をかけてしまった。その後、石井さんを中心に、今日のゲストが壇上に並びトーク。金平茂紀さん(TBS報道特集キャスター)、新藤健一さん(元共同通信。ジャーナリスト)、しまだゆきやすさん(イメージリングス代表。映像作家)、そして私だった。イルカ漁のことを中心に聞く。富戸はイルカ漁をやめたのに、和歌山の太地町はなぜやめられないのか。映画「ザ・コーブ」のことなど、盛り沢山の話だった。会場からも活発な質問が出た。
     普通は10時半か、遅くとも11時には終わるのに、何と、12時過ぎまで白熱のトーク。電車が無くなって私はタクシーで帰りました。今日は実に長い1日だった。今週は外にばかり出ていて、原稿は夜中に書いている。寝る時間が少ない。時間の管理が下手なのか。悩む。
三島由紀夫
三島由紀夫
  1. 1月20日(木)午前10時、打ち合わせ。昼から河合塾コスモ。今日から授業が始まる。授業の前に、自習室で勉強。周りは皆、真剣に勉強している生徒ばかりだから、こっちも頑張らなくっちゃと思う。いい雰囲気だ。
     午後3時から現代文要約。5時から「基礎教養ゼミ」。今週は牧野剛先生の選んだ本を読む。水野和夫・萱野稔人の『超マクロ展望 世界経済の真実』(集英社新書)だ。経済のことを牧野先生が易しくかつ、熱く解説してくれ、とても勉強になりました。話に力が入り、8時半頃になり、そのあと食事会。神田で会議があったのですが、出れませんでした。すんません。
  2. 1月21日(金)午前中、焦って原稿を書いてました。午後、取材。夜、久しぶりに柔道に行きました。年末年始と全く運動してない。メタボになっちゃった。体もなまっている。バンバン、投げられた。でも気持ちがいい。終わって、ファミレスの「ロイヤルホステス」で読書。読書。(「ロイヤルホスト」だったかな)
  3. 1月22日(土)午前中、打ち合わせ。2時、対談。夜は、家で原稿を書く。〆切の迫った原稿が沢山ある。焦る。仕事が進まない。
  4. 1月23日(日)午前11時、荻窪タウンセブンに行く。杉並区議会議員のけしば誠一さん、前区議会議員・新城せつこさんの新年の集い。前国立市長の上原公子さんや保坂展人さんが挨拶してました。
     ニューイヤーコンサートとして、朝鮮の横笛演奏と民族舞踊などがありました。沢山の人が参加してました。
【写真説明】
文化放送で。寺ちゃん、彩奈ちゃん、みゆきさんと

①文化放送で。1月19日(水)。「夕やけ寺ちゃん活動中」の本番の後で。左から、寺ちゃん(寺島尚正さん)。人気声優の竹達彩奈(たけたつ・あやな)さん、鈴木。貞包(さだかね)みゆきさん。

森村泰昌さんと(1/18)

②世界的なアーチストの森村泰昌さんと。1月18日(火)、兵庫県立美術館で行われた「なにものかへのレクイエム」オープニングの後の打ち上げで。

山口二矢と浅沼委員長

③森村泰昌さんの作品から。「1960年。山口二矢が浅沼社会党委員長を刺殺」。山口、浅沼、止めてる人。3人とも森村さんが扮してます。

三島由紀夫

④1970年の三島由紀夫。三島に扮し、演説しています。この映像も大画面で流されました。

渡辺真也さんと。檄文の前で

⑤ニューヨークから駆け付けたキュレーターの渡辺真也氏と。後ろは、(森村作品に使われた)三島の「檄文」です。

若松孝二監督と(1/14)

⑥次回作「三島由紀夫」について、若松孝二監督に話を聞きました。1月14日(火)午前11時。千駄ヶ谷ルノアールにて。

原田正治さんと(1/17)

⑦『弟を殺した彼と、僕』(ポプラ社)の著者・原田正治さんと。1月17日(月)、名古屋拘置所の前で。

石井泉さんと(1/19)

⑧元イルカ漁船長の石井泉さんと。控え室でカメラを向けられたら、「じゃ、腕を組みましょうか」と石井さん。「ギャー!」と鈴木は叫んでます。1月19日(水)、阿佐ヶ谷ロフトで。

イルカについてのトーク(阿佐ヶ谷ロフト)

⑨石井船長を囲んでトークをやりました。(左から)新藤健一さん(元共同通信。ジャーナリスト)。金平茂紀さん(TBS報道特集キャスター)。しまだゆきやすさん(イメージリングス代表。映像作家)、石井泉さん。坂野正人さん(イルカ評論家。司会)。

朝日カルチャーセンターで講演(1/14)""

⑩横浜の朝日カルチャーセンターで講演しました。1月14日(金)の夜です。
 高橋巖先生が「シュタイナー哲学」について授業をしていますが、そこで呼ばれたのです。30人ほどの生徒が、あらかじめ、私の『失敗の愛国心』(理論社)を読んでくれ、その上で、私が講演し、質疑応答をしました。なかなか刺激的で充実した時間でした。

高橋巖先生と

⑪高橋巖先生と。

第三書館の北川明社長と(1/19)

⑫今、衝撃的な話題になっている、『流出「公安テロ情報」全データ』を出版した第三書館の北川明社長に会って話を聞きました。1月19日(水)です。

『流出「公安テロ情報」全データ』(第三書館)

⑬これが、『流出「公安テロ情報」全データ』の表紙です。もう、どこでも売ってません。ネットでも買えません。

本の中味は…

⑭こんな極秘情報が暴露されています。「対テロ関連監視ターゲットのプロファイリング」です。他にも、「国際テロリズム緊急展開班班員名簿」も載ってます。これは、「第一刷」です。「第三刷」では、これらの名前のとこは、消されて真っ黒になってます。

【お知らせ】
  1. 今、発売中の「アエラ」(1月24日号)は凄いですね。「現代の肖像」では池口恵観さんが取り上げられてます。お坊さんです。と同時に、スポーツ選手、さらに右翼、左翼からも慕われ、頼られている人です。かつて若い日には、三上卓さん(5.15事件指導者)らと、「三無事件」というクーデターをやろうとし、捕まったこともあります。日本青年社の人々と共にロシアに行って領土問題を話し合ったり。左翼の人々を北朝鮮に連れて行ったり。世界を股にかけて大活躍しています。毎月、東京で「恵観塾」という勉強会もやってます。私も参加しています。
     又、この「アエラ」では、もう1つ凄い特集をやってます。
    〈リアル右翼「愛国の作法」〉
    です。
    「ヘイト・スピーチを連呼する「ネット右翼」の罵詈雑言は正直聞くに堪えない。ここはぜひ、リアル右翼に愛国の覚悟と作法を学んではどうか」。
     凄い特集ですね。両方とも藤生明さんが書いてます。これはいい。読み甲斐がありました。さすがは「アエラ」ですね。他誌ではとても出来ないことをやる。ぜひ、読んでほしいですね。
  2. 2月9日(水)午後7時。一水会フォーラムサンルートホテル高田馬場
     講師は三井環氏です。元大阪高検公安部長です。腐敗する検察問題について語って頂きます。