東日本大震災発生から2週間。想像を絶する災害で、多くの貴い命が失われた。家屋が流され、破壊され、避難所生活をされている人も多い。何と言っていいのか分からない。心が痛む。
そして、こんな状況の中で、生命を懸けて救援、復旧のために闘っている人々がいる。これは、「戦闘なき救国戦争だ」と、宮家邦彦氏は言っていた。(産経新聞。3月24日)。まさにその通りだと思う。
特に、自衛隊や、警察、消防のハイパーレスキュー隊などの命懸けの活動は心強いし、頭が下がる。3月23日(水)、文化放送に出た時に、詳しい話を聞いた。自衛隊は10万人以上が現地で命懸けの活動をしている。ハイパーレスキュー隊も放射能という恐怖に立ち向かい、活動している。
ハイパーレスキュー隊は、東京消防庁の所属だ。1995年に発生した阪神・淡路大震災で、消防の救助隊(レスキュー隊)だけでは対応できない状況になった教訓を踏まえて、災害時に機動力を発揮する特別な技術を持った部隊として誕生した。だから、レスキュー隊の中でさらに選ばれた人間だけで編成されているのだろう。
事故や災害に伴う人命救助が主な任務で、ブルドーザーやパワーショベルなどの大型重機、赤外線スコープ、様々な救助資機材を使用し、ダイナマイトを使った爆破も行う事が出来る。凄い能力を持った部隊だ。
こうした人々の命懸けの活動で、日本は救われているのだ。テレビにも出ていたが、交替して帰ってきたメンバーも、「再び特命が下りれば迷わず飛び込む」と話している。こうしたものが本当の〈愛国心〉だろう。そんな言葉は口にしないだろうが…。
それにしても、凄い覚悟だし、行動力だ。それと共に、この人たちを支える、奥さんや、家族も凄い。現地で放水活動を行ったハイパーレスキュー隊の佐藤康雄総隊長は、「これから出動してくるよ」と家族にメールしたところ、奥さんから「日本の救世主になって下さい」と1行の返事が来たという。なかなか言えないことだ。奥さんも腹が据わっている。「しっかり責任を果たして来て下さい」と言った奥さんもいたそうだ。凄いですね。
ハイパーレスキュー隊員たちは、激しい訓練や、あるいは武道もやり、その中で、覚悟や決意を固めていくのだろう。しかし、奥さんたちはどうやって、そういう覚悟を持つのか。そんな訓練や教育をするわけではないだろう。あるいは初めから、そうした覚悟を持った人が結婚するのだろうか。ともかく、これも驚異です。
又、テレビでやってましたが、被災地の人が、「制服の警察官を見ると、ホッとする」と言ってました。私は昔は、警察官を見ただけで、敵愾心を持ちましたが、今は、こうした人々の気持ちも分かります。自衛隊、消防、警察官…こういう人々の命懸けの活動で、日本は守られているんですね、ありがたいです。
現地には、多くの人々が救援活動に行き、義援金も送られています。一水会でも若者たちが行きました。25日からは木村代表も若者を引き連れて石巻、仙台に行くそうです。ご苦労さまです。「出来たら仙台の兄貴のとこにも寄って様子を見てきてくれ」と頼みました。
では、話が変わって、北朝鮮レポート④です。こんな時に何ですが、忘れないうちに書きとめておかなくては、と思います。
今回は、プエブロ号の話です。「プエブロ号事件」というのは聞いたことがありますが、詳しくは、知りませんでした。しかし、その現物が北朝鮮には大同江につながれ、公開されています。「さらしもの」のようですね。だって、アメリカのスパイ船です。北朝鮮に拿捕されたのです。1968年です。よど号事件の2年前です。
乗組員82人はスパイ行為を認め、自己批判書を書き、それが、船の中には展示されています。(1人は戦死してる)。
さらに、アメリカ大統領もスパイ行為を認め、謝罪文を書きました。それも展示されてました。北朝鮮の大勝利です。初めは、アメリカは、「スパイ船ではない」と言い張り、「釈放しろ、釈放しなければ北朝鮮を攻撃するぞ」と脅しました。あやうく、〈イラク戦争〉と同じ状況になるところだったのです。
でも、北朝鮮は一歩も引かず、断固として世界に〈正義〉を示し、交渉したのです。そして、捕まったプエブロ号の乗組員も、「アメリカ大統領、認めて下さい。私たちが悪かったのですから」と本国に言い、ついに、アメリカのジョンソン大統領も、自らの非を認め、北朝鮮に謝罪したのです。それで、やっと、乗組員は釈放され、アメリカに帰国できたのです。
えっ、そんな完璧な勝利だったのか。現物を見て、説明を聞くまで、そこまでの事件とは知りませんでした。3月2日(水)に、プエブロ号を見学したのですが、寒い寒い日でした。河は凍っていました。プエブロ号の中は勿論、暖房なんてありません。鉄の船だから、さらに冷えます。体がゾクゾクとしました。ガタガタと震えました。
その船の中で、向こうの人は、「北朝鮮の全面勝利」の話を誇らしげにします。ウーン、その時から、アメリカに対しては、〈勝ち〉続けていたんだ。外交の天才ですよね、北朝鮮は。そう思いました。
そうか、〈戦争〉も辞さずの覚悟でやったんですね。そういえば、1962年、アメリカとソ連は「キューバ危機」で対決し、あの時も、互いに〈戦争〉も辞さずの状況でした。あっ、第三次世界大戦になるのでは…と世界中が恐怖しました。しかし、ギリギリのところで、ソ連は退き、キューバにミサイルを運ぶ船を引き返しました。
多分、北朝鮮は、それを見て、「だらしない奴だな」と思ったのでしょう。ソ連のことを。だから、自分たちがアメリカと対決した時は一歩も引きません。やるんなら、やってみろ。という感じです。そして、勝ったのです。凄い国ですね。
だから、日本に帰ってきて、プエブロ号のことを、いろいろ調べました。あまり、本は出ていません。ネットで探したら、トレバー・アンブリスターの『情報収集艦プエブロ号=日本海のミステリー』(大日本絵画)が出てたので、買いました。これから読んでみます。今、途中まで読んでます。
ウィキペディアで引いてみました。そしたら、ちょっと違うんですね、北朝鮮で聞いた説明とは。どうも、アメリカ寄りの〈説明〉です。どうせ北朝鮮では誰も見ないからでしょうか。これを見て訂正し、書き加える人がいないんですね。
大体、ウィキペディアでは、書き出しからして、「アメリカ寄り」です
〈プエブロ号事件は、1968年にアメリカ海軍の環境調査船プエブロが朝鮮民主主義人民共和国に拿捕された事件である。
事件は北朝鮮が青瓦台襲撃未遂事件によって大韓民国大統領の朴正煕殺害を狙った1968年1月21日から僅か2日後の1月23日に起こった〉
えっ、こんなことは北朝鮮では説明してなかったぞ。
これじゃ、「殺害未遂」を隠すためか、あるいは、失敗の腹いせとして、プエブロ号を捕まえたように聞こえる。実際、拿捕された場所は、公海上であるか、又、「北朝鮮の領海」だったか、大いに怪しいと言う。えっ、これも北朝鮮では全く聞かなかった。
〈北朝鮮東岸の元山沖の公海上でNSAの電波情報収集任務に就いていたプエブロ号が、領海侵犯を理由に北朝鮮警備艇などから攻撃を受け、乗員1名が死亡。残る82名が身柄を拘束され、北朝鮮当局の取り調べを受けた。但し、本当に領海侵犯が行われたかどうかについては、現在もアメリカと北朝鮮で主張が食い違っている〉
ただ、そういうギリギリの危ない所だった。プエブロ号はそれを承知で、北朝鮮の情報を取っていた。明らかにスパイ船だ。北朝鮮当局が目を付けることも知っていた。それは、アンブリスターの本にも書かれていた。
ただ、それでも、「北朝鮮は我々を捕まえるはずはない」とタカをくくっていた。トレバー・アンブリスターの『情報収集艦プエブロ号』には、興味深いことが書かれている。
「絶対に攻撃されることはない」と思って、タカをくくっていて、本当に攻撃されたのだが、アメリカにとって、こうした「奇襲」は、実は、これで3度目だという。
〈アメリカは以前にも、奇襲を受けたことがある。1941年、わが国の当局者は、日本が真珠湾を攻撃することなどあり得ない、と考えていた。同じように、1962年には、ソ連がキューバに核ミサイルを配置することなどあり得ない、と考えた。
そして1968年には、アメリカの当局者は、この小さな艦—プエブロ号が、自衛能力を持たず、空軍と海軍が援助に急行できなくても、公海上にある限り、合衆国海軍161年の伝統がこの船を守ってくれるだろう、と考えていた〉
これは衝撃的な事実だ。私も初めて気がついた。これは他人事ではない。日本は1941年に真珠湾を奇襲した。ソ連は1962年、キューバにミサイルを運ぼうとした。当時の大国が、アメリカに戦争をしかけた。準備に準備を重ねて。アメリカは、「そんなことはあるまい」と思っていた。不意をつかれて、慌てた。
ただ、それでも「アメリカは勝った」。これは事実だ。日本とソ連は撃退されたのだ。
ところが、1968年のプエブロ号事件では、小国・北朝鮮に奇襲され、「完敗」した。アメリカ大統領は、その小国に全面的に謝罪し、82名の乗組員をやっと返してもらった。
その意味では、北朝鮮は凄い国だと思う。日本やソ連がやれなかったことをやったのだ。それも、長く準備してやったのではない。2日前の「朴大統領暗殺未遂」の仕返しなんてもんじゃない。その前から、この「スパイ船」のことは警戒していた。そして捕まえた。
でも、大国アメリカから恫喝されたら、普通なら、すぐ釈放する。日本だって最近、尖閣の領海を侵犯した中国船長を逮捕したが、すぐに釈放した。中国は謝りもしないのに…。
実際、アメリカの「恫喝」は凄まじかった。再び、ウィキペディアを見る。
〈アメリカ政府はアメリカ空軍に戦闘準備を命じ、海軍空母部隊(航空機200機)を日本海に展開して乗組員の解放を要求したが、北朝鮮はこれを拒否し、アメリカからの(領海侵犯についての)謝罪を要求した。アメリカは朝鮮戦争の休戦協定を破るわけにはいかず、またベトナム戦争が拡大し続ける中であり、戦線の拡大は北朝鮮の同盟国であるソビエト連邦の自動参戦を招きかねないことでもあった〉
北朝鮮も大きな賭けに出たものだ。アメリカの置かれた状況も見つめながら、賭けに打って出る。この辺は、日本やソ連も出来なかったことだ。大国アメリカの方が追いつめられ、世界中に恥をさらしたのだ。そして、アメリカ建国以来の「敗戦」を体験する。
〈結局、アメリカは外交的解決として、板門店での会談で北朝鮮の用意したスパイ活動を認める謝罪文章に調印することになった。乗員は11ヶ月の拘束の後の同年12月に解放された。プエブロ号の船体は返還されず、現在も北朝鮮の管理下に置かれていて、平壌市内の大同江で一般公開され、反米宣伝に利用されている〉
それを私は見てきたんですよ。写真を出したけど、小さな船だ。中も隅々まで見たが、こんな小さな、寒い船に83人も乗っていたのか、と驚く。暗号室もあり、いろんな機密の文書も全て押収された。「スパイ船」であることは間違いない。
乗組員も全員、自供し、謝罪文を書いた。「早くアメリカ大統領も認めて、我々を帰してほしい」と訴えたが、アメリカは頑として拒否。だた、力だけで押そうとした。「釈放しなければ、戦争を仕掛けるぞ」と。北朝鮮は大国アメリカの軍事恫喝に一歩も引かない。そして、アメリカの方が負け、大統領が謝罪した。
これは画期的なことだ。北朝鮮では、「愛国心教育」の一環として、このプエブロ号見学がある。又、外国人の観光客も沢山、見に来ている。あの事件の時、プエブロ号と闘った北朝鮮の兵士はまだ生きている。その人たちが、船を下りたところで、「体験談」を語っている。
では、釈放された82人はどうなったんだろう。アメリカに無事、帰った。でもアメリカは冷たく迎えたようだ。「裏切り者め」「自供しやがって」という声もあったようだ。そんなことは、北朝鮮では言わない。日本に来て、いろいろ調べている。
この事件の2年後、よど号事件があったが、あの時は、飛行機もろとも返している。本当は、よど号も返さず、キム・イルソン広場にでも展示され、「さらしもの」にされたかもしれない。いや、プエブロ号事件の「大勝利」が、「よど号」に対する寛大な処置になったのかもしれない。
〈このすさんだ日本で、人間の連帯はありがたい。まだまだ捨てたもんじゃないということを示してくれた。これを踏まえてこれにすがって、この国を建て直さなければいかん〉
同感です。
「編集長は見た!」のコーナーは、『サイゾー』編集人の岩崎貴久さん。初登場だ。震災の裏で、怪しげな募金をやってる人もいる。という。
〈「募金詐欺」にご注意を!震災後、マスコミに届いた怪しすぎる“寄付”メールの正体〉
人の不幸につけ込んで、金を集めるなんて卑劣だ。
又、
〈マンガ最大のタブー「ワンピース」誰も知らないヒットの真相〉
私も知りませんでした。この作品は、現在、61巻。60巻までの累計発行部数は2億冊突破だという。凄すぎる。私も読まなくちゃ。
⑬皆が同じ方向を見つめています。そして、1人が指さしてます。まるで北朝鮮のポスターじゃないか、と思いました。でも、日本のビールのCMのようです。日本のCMは北朝鮮化してます。街は暗いし、寒いし、北朝鮮化してます。このHPも、北朝鮮化してます。