天は見放さなかった。民は選んだ。保坂展人さんが世田谷区長に当選した。よかった。よかった。
投票日前日、4月23日(土)、下北沢駅前で保坂さんが最後の演説。大勢の人が集まり、凄い熱気でした。私も応援演説をやりました。「私などが行ったら、かえってマイナスじゃないの?票が減るんじゃないの」と尻込みしましたが、「いや、右から左まで、広い層の人が支持している。それをアピールできる。だから、ぜひ来て喋ってくれ」とロフトの平野悠さんに言われたんです。
それで行きました。雨の中、傘もささずに、マイクを握って訴えました。
実は、この日、4月23日(土)は午後7時から、池口恵観さんの「恵観塾」がありました。4月中旬に北朝鮮に行って来たというので、ぜひ話を聞かなくちゃと思ったのです。
ところが、下北沢の選挙演説も7時から8時まで。これが最後の演説です。ロフトの平野悠さんが仕切って、ロフト文化人を大動員、勝利に繋げようという大作戦です。これに出たら恵観塾に行けないな、と考えたんですが、でも保坂さんの方が大事だ。行こう。恵観塾は間に合わなくても、終わっていてもいい。それから恵観さんに個人的に話を聞こう。そう思い、恵観さんに電話をしました。
さて、当日の下北沢北口です。40分も早く着いて待機してました。ロフトの平野さん、加藤さんが来ました。
「おっ、鈴木さん早いね」「そのかわり、早く失礼しますから」。
7時前から応援演説は始まりました。トップバッターは有名な漫画家の石坂啓さん。「キスより簡単」「赤ちゃんが来た」などで有名です。「週刊金曜日」の編集委員でもあります。インテリ漫画家です。でも酔っ払うと、私はよくからまれます。いじめられます。でも、この日は、シャキッとしてました。「保坂さんは信念と実行の人です。この危機の時代にこそ、最もふさわしい人です」。
次は、三井環さん。元大阪高検公安部長です。世の中の悪い人を取り締まり、取り調べていた人です。現職の時は、右や左の活動家は嫌いだったそうです。そうでしょう。そんな人は「捜査対象」なんですから。ところが今は、右や左の友達が急に増えました。市民運動の集会にはよく呼ばれ、最近は、デモの先頭になって歩いています。
その三井さんが、保坂さんに熱い応援演説をします。「この人こそ世田谷区長に最も適任だ。皆の力で、ぜひ区長に!」と言っておりました。
その後は、モッツ出版社長の高須基仁さんです。「私は“脱がし屋”の高須です」と自己紹介してました。モッツ出版では、有名な女優のヘアヌード写真集を沢山出してます。私も、天地真理などの写真集をもらいました。エロいDVDも沢山もらいました。お世話になってます。節電中なので自家発電しております。
高須さんは今は、軟らかい仕事をしてますが、元は、硬派です。全共闘の過激な活動家です。1970年の直前、社学同のデモが、六本木にあった防衛庁を襲撃。巨大な丸太を何十人かで抱えて持ち、それで防衛庁の鉄の扉を壊して、突入しようとしたのです。まるで、47士の吉良邸討ち入りのようです。
私は、近くの乃木坂にあった「生長の家学生道場」に住んでました。それで、何事か!と思い、見てたのです。凄い奴らだと思いました。
その凄い奴らの中に高須さんはいたんです。勿論、後から聞いた話ですが…。そんな〈大事件〉があったので、次の日から、防衛庁の警備は急に厳しくなりました。門には、銃を持った歩哨が立つようになったんです。
「そんなの当たり前だろう」と言われるでしょぅが、実は、それまでは、ひどくのんびりしていたのです。平和だったんです。誰も防衛庁に抗議に行く人なんていない。自衛隊だって、「軍隊じゃない」と言ってたんですし。
だから、防衛庁は、誰でも自由に入れたんです。歩哨もいません。そんな馬鹿な、と思われるでしょうが、本当なのです。近所の人たちが自由に入って防衛庁の売店で買い物をしてたんです。他の店より、グンと安いのです。食堂もとても安いのです。
だから、私たち、「生長の家学生道場」の学生たちも、毎日のように、そこで昼ご飯を食べてました。
学生道場は、朝と夜は食事が付きますが、昼はなしです。学校に行くんだから、学生食堂で食べるものだと思われてたのです。でも、授業のない日があるし、冬休み、夏休みもあります。学校に行きたくなくて、部屋で、「世界の名著」を読んでる時もあります。
そんな時は、昼は、いつも防衛庁です。そして、下着やハンカチ、ズボンなども、ここで買いました。蛍光灯のスタンドなども、ここで買いました。防衛庁のおかげで、大学生活を快適に送れました。私らも自衛隊員のようなものです。
ところが、丸太を抱えた左翼過激派が襲撃した翌日から、固く門は閉まり、歩哨が立ち、「一般人」は立ち入り禁止になりました。私らも、食堂に行けない。中で、日用品を買うことも出来ない。他の店で高いものを買うしかない。そうなったのです。
「あのデモのおかげだ」「チクショー!全共闘め!」と憎さ百倍です。だから、大学に行っても、全共闘とはすぐに殴り合いです。「俺たちの昼メシを奪いやがって!」「安いパンツを買えなくなったじゃないか」と言って、全共闘に殴りかかりました。
全共闘としては、「何を言ってんだ、こいつらは」と思ったことでしょう。だから、そういうことなんですよ。今、説明してやりましたよ。
その時、丸太を持って突撃した社学同だったんですよ。高須基仁さんは。
一方、保坂さんは、そんな荒っぽい事はやりませんが、子供の時から、進歩的・革新的です。高須さんとも昔からの付き合いのようです。だから、4月23日(土)、下北沢でも、「再び世田谷を革新・リベラルな区に!」と高須さんは絶叫してました。
この日に聞いたんですが、以前、世田谷は東京の中でも最も、進歩的で、リベラルだったそうです。作家、大学教授、芸術家、活動家も多くて、東京で最もリベラルな区だったそうです。いわば中央総武線、杉並区、国立市のようなもんですな。
保坂さんは原発にも反対ですし、きっと安全な街をつくってくれるでしょう。
そんな話をしたのかな、私も応援演説で。それと、「信念と行動の人だ」と強調しました。それでいて、優しいし、包容力がある。寛容です。意見が違っても、キチンと話を聞いてくれる。私のような、偏った考えを持ち、偏った運動をやってきた人に対しても、すぐに受け容れてくれたんです。幅の広い人です。
今、「産経新聞」(4月25日付)を見てたら、「首都でも民主退潮」と出てました。そして、「世田谷区長は保坂氏」と。保坂氏が満面の笑みで、万歳に応えている写真です。いいですね。いい笑顔です。そして産経は、保坂さんについて、こう書いてます。
〈「国会の質問王」知名度生かす〉
うん、「質問王」か。でも、それだけ勉強しているんです。資料を集め、現地に足を運び、調査している。沖縄の基地問題、八ッ場ダム問題、原発問題も、実によく調べ、その過程をDVDにして報告したりしている。
保坂さんと私は、かなり昔からの知り合いだ。立場が違い、考え方の違う人とも、話し合う。人間の幅がある人だ。自分の信念を持ちながら、寛容だ。それは、なかなか出来ないことだ。勇気がある。
保坂さんに以前、聞いたことがある。「国会議員になって、何が一番よかったですか?」。普通なら、「国民の代表として闘うことです」とか、「日本を変える運動の先頭に立てることです」なんて言うだろう。あるいは、もっと正直に、「新幹線のグリーン車にタダで乗れる」「広い議員宿舎に住める」なんて言うかもしれない。
でも、保坂さんは違うのだ。「国会図書館を自由に使えることです。これは嬉しかった」と言う。図書館ぐらい、どこでも行けるだろう。と思うが違う。議員のために、リクエストがあれば、あらゆることを調べてくれる。資料を探してくれる。元々、「国会図書館」と言うぐらいだし。それは知らなかったので驚いた。
「国会の質問王」になるためには、それだけの苦労をし、勉強してるんですね。そのことを痛感しました。
世田谷は確か人口が80万人。東北や全国ではもっと人口の少ない県もある。だから、本当は〈知事〉なんですよ。これからも頑張ってほしい。それに〈反原発〉を言って当選した。
4月26日付の産経新聞には、
〈脱原発「機運をつくる」
世田谷・保坂新区長に当選証書〉
と出ていた。
〈保坂氏は「区民の命を預かる責任の重さを感じている」と語り、東日本大震災などの被災地支援の態勢整備や脱原発の機運づくりから始めたいとしている〉
いいですね。「代替エネルギーについてのシンポジウムを聞き、機運をつくりたい」と言う。ロフトでもきっと近いうちにやってくれるだろう。楽しみだ。では終わり。
あっ、最後に一つ、面白いニュースだ。今発売中の『週刊朝日』(5月6日・13日号)は、特集が「危ない原発はここだ!」。それに表紙が堀北真希だったので、衝動的に買ってしまった。
「東電が公表しない衝撃の放射線量データ」などが載っていて、読んでいた。他には、「それでも私は日本に永住します。身も心も日本人だから」というドナルド・キーンさんの言葉も載っている。嬉しいですね。
さらに、パラパラとページをめくっていたら、書評のページが。どんな本が話題になり、売れてんのかと思ったら、「アッ!」と叫んでしまいました。だって、あの『言論自滅列島』(河出書房新社)が大きく取り上げられていたからです。それも、タイトルが…
〈思わず吹き出す
鈴木邦男の隠し球〉
私も驚きました。目が点になりました。私の名前を見出しに付けてくれるなんて。『言論自滅列島』は、斎藤貴男さん、森達也さん、そして私の鼎談本です。それが面白かった、と温水ゆかりさんが取り上げています。どこが面白いのか。こう書いてます。
〈面白いなあ、男の井戸端会議は。
井戸端会議が古すぎるなら、女子会にちなんで「男子会」でもいいけど。
少子化、愛国心、天皇制、監視社会、メディア、世襲議員、ゆとり教育などが俎上にのぼるが、三者それぞれの熱気や鬱屈、韜晦(とうかい)ぶりが楽しい。嗅覚のいいジャーナリストの斎藤(58年生まれ)はトンデモ村のネタを持ち帰る飛脚、映像作家の森(56年生まれ)は、その素材にまた別の素材を加える煮炊きの人。そこに超越の隠し球を投げる飄々とした長老が、新右翼団体「一水会」顧問の鈴木(43年生まれ)という塩梅。
この鈴木発言には思わず吹き出す。“日韓友好が大事、竹島なんて爆破しちゃえ“と言った赤尾敏の発言を紹介したり、“東大に入れるという特典をつければみんな兵役に志願しますよ“とか“左翼にはなりづらい、勉強しなくてはいけないから。でも右翼には愛国心でなれる“と言ってみたり。
単行本時の題名は『言論統制列島』。それから6年、「統制」は「自滅」に置き換えられた。が、福島のことで思う。この国は“言いくるめ列島”になりつつある、と。メルトダウン(炉心溶解)はしてない!? じゃあ、なんで放射線は出てんの?〉
アララ、思わず全部紹介しちゃった。あまりに面白いもんで。
斎藤さんは「飛脚」、森さんは「煮炊き人」。そして私は「隠し球」か。この人物描写がいいですね。
この書評を読んで、河出文庫の人が、「じゃ、次を作りましょう。『言いくるめ列島』で」と言ってました。この3人組をシリーズ化してもいいですね。「どうせ、俺たちは『お笑い三人組』だよ」と森さんが言ってたっけ。
いやいや、「ゲバリスタ三人組」ですよ。太田竜、竹中労、平岡正明の「世界革命浪人(ゲバリスタ)」を思い出しますね。あれっ、私だけなのかな。そう思うのは、まあ、それだけの気概、気構えで行きたいもんですね。
そうか、この『言論自滅列島』の出版記念「暴走トークライブ」をロフトでやったらいい。そこに、世田谷の新区長さんも呼んで…。
〈「大丈夫」の漢字には、人が3人集まっているから、安心を感じる言葉なんだって〉
〈(自衛隊員の夫に送ったメール)
ぜんぜん眠ってないであろう旦那に「大丈夫!無理しないで」とメールしたら、「自衛隊なめんなよ。いま無理しないでいつ無理するんだ!言葉に気をつけろ」と返事が。彼はタフだ。肉体も精神も〉
いいですね。感動的ですね。ぜひ、買ってみて下さい。千円です。そして、「この本の印税は全額、復興のための寄付にあてられます」と書かれている。又、来週、紹介しましょう。
「編集長は見た!」のコーナーは、『クーリエ・ジャポン』の富倉由樹夫編集長。まずは韓国から。「口蹄疫の流行がもたらす韓国の『水買い占め』という二次被害」。そして、フランスの新聞では。
レイプの危険は高齢女性にも…戦うケニアのおばあちゃん。
ケニアでは失業率が上昇し、多くの男性が、仕事も妻子も持てず、終日、酒を飲んで過ごしているため、夜は特に危険で、その危険は高齢女性にも及んでいる。そのため高齢者を中心に護身術講習も積極的に行われている。では、なぜ高齢女性が被害にあうのか。富倉さんは言う。「体力的に劣り、弱いと見られているうえ、高齢女性はHIVウイルスの感染者が少ないと思われているからです」という。これは知らなかったですね。日本じゃ信じられない話で、日本からも合気道や柔道の先生たちを派遣したらいい。
そして、5時からは、『ダブルコロン』さんの謎かけを堪能しました。
そうだ。藤木健太さん、いつも『スポーツゴジラ』ありがとうございます。寺ちゃんにも差し上げました。喜んでおりました。
〈2011年3月11日に産まれた子供達の名前には、「希」「明」「愛」「心」という文字が多く付けられているそうです。
新しい命の尊さ、命の大切さを心から感じます。産まれてきた大事な子供達が元気に明るく育ちますように〉
この子供たちが次の日本を背負い、救っていくのでしょう。
①4月23日(土)午後7時から8時。下北沢駅前です。世田谷区長選に出ている保坂展人さんの応援演説をしました。雨の中、濡れながら喋りました。保坂さんは見事当選。少しでも貢献できて嬉しかったです。左は司会のプチ康島さんです。
⑦保坂さんの応援のあと、急いで恵観塾に行きました。そこで、山梨学院大学名誉教授のサルキコフさんと話しました。親日家のロシア人です。ロシアから日本に来る時、「何で日本なんか行くんだ。日本は火の海だ!」と言われたそうです。でも、「何があっても私は日本人と共にいたい」と言います。ホロリとしました。
⑨あれれ、「二水会」だよ。間違って入りそうになりました。きっと第2水曜日に集まっている人々なんでしょう。「一水会」だって、沢山ありますからね。絵の団体とか、政治家の集まりとか…。「全日本一水会連合」でも作りたいですね。でも、作って何をやるのでしょうか。
⑪これも港区かな。新宿区だったかな。「雅(みやび)」さんです。これで姓と名なの。イケメンだし、まるで、ホストのようですね。でも、早稲田卒と書いてるし、「食の安全を守る」と書いてるし。やはり、政治家志望なんでしょう。
⑮『実話時報』(5月号)です。「インタビュー、現在(いま)を語る」で、3回連載されました。今月が最終回です。三島由紀夫や、野村秋介さん、そして竹中労さんのことを話しました。私が、最も影響を受け、後輩たちに語り継いで行きたい3人です。
〈敗戦でニッポンは米ソ英中の四カ国に分割統治されている。「北ニッポン」の地理学者サブーシャは四カ国管理化にあるトウキョウ六本木へ潜入、統一運動の勇士となるか…〉
これは又、面白そうですね。楽しみです。