2011/07/25 鈴木邦男

仙台で同窓会。そして西宮・神戸と、トークツアーでした

①荒木飛呂彦さんと、又、会った

高校の同窓会で(7/16)
高校の同窓会で(7/16)

『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画編』(集英社新書)を読んだばかりだった。だから、「読みましたよ。面白かったです」と言いました。本人に。「エッ?読んでくれたんですか。ありがとうございます」と本人は書いていた。そこで少し、映画論になった。

荒木さんは今、最も輝いている漫画家だ。『ジョジョの奇妙な冒険』は代表作で大人気だ。熱烈な荒木ファンは私の周りにも多い。

「天才です。手塚治虫が認めた唯一の漫画家です」「何百年に1人です」「ルーブル美術館を借り切った唯一の日本人です」「荒木さんの本は全て読んでます。凄い人です」と皆、口を揃えて絶讃する。「創」の私の担当者も。文化放送の担当者も。西宮ゼミで会ったエミちゃんも。小午田の牛男君も…。

「荒木ワールドは、ともかく凄いです。私は全作品を読みました」「それに異常に若いんです。50才位のはずなのに、20代か30代にしか見えないんです。若い女性の血を飲んでるからだっていう説もあるんです」。嘘だろう。

牛タンで朝まで生ビール
牛タンで朝まで生ビール

…と、荒木飛呂彦さんについては皆、興奮して喋りまくる。こんなに熱狂的なファンが多いんだ。「荒木さんに会ったよ」と、ちょっとTwitterで私が呟いただけで、大騒動になり、フォロワーが1日で3千人も増えちゃった。

そして皆が聞くんですよ。「でも、どうして荒木さんと知り合いなんですか。2人には全く共通点がないのに…」「そうそう。一方は、人気絶頂の漫画家。一方は、誰も知らない元右翼。もう終わった人。全く接点がないじゃないの」。

でも、接点はあるんです。共通の点と線はあるんです。仙台の東北学院榴ヶ岡高校の後輩なんですよ、彼は。彼なんて親しげに呼んじゃったけど。でも、後輩だからいいだろう。会うのは2度目だ。

初めて会ったのは一昨年だ。榴ヶ岡高校創立50周年記念大会で会った。仙台の大ホールでやった。昔は男子校だったが今は共学で、女の子が半分いる。「キャー!荒木さん」と皆、騒いでいる。「サインして下さい!」と。ズラリと並んでいる。私も並んで、一緒に写真を撮ってもらった。「あっ、鈴木さん。どうしたんですか」と荒木さんに言われたけど、「僕もファンです」と言って、サインももらった。

荒木飛呂彦さんと
荒木飛呂彦さんと

一昨年は50周年の大きな節目の大会だから無理して来たんだろう。でも今年は普通の同窓会だ。52周年だし、余り記念にもならん。52年間の同窓生総数は1万800人。そのうち、150人ほどが参加した。こじんまりとした同窓会だ。だから、忙しい荒木さんは来ないだろうと思ったら、来たんですね。律儀な人だ。

私は、この榴ヶ岡高校の輝ける一期生だ。荒木さんは17期生だ。「鈴木さんが入学した時、僕は生まれたんですよ」と荒木さんは言う。そう言われると私は、もの凄く昔の人のようだ。

榴ヶ岡高校については、HPも出てるし、校歌も出ている。でも、この高校については多分、私が一番、書いてきた。『失敗の愛国心』(理論社)を初め、多くの本に書いた。厳しい高校だった。苦しい高校生活だった。でも、この榴ヶ岡があるので今の私がある。と、最近は思い、感謝している。

②榴ヶ岡高校はこうして生まれた

「甲山事件」の山田悦子さんと(7/17)
「甲山事件」の山田悦子さんと(7/17)

仙台には、東北大学と東北学院大学の2つがある。東北学院大学の下には中・高一貫校がある。途中からは入れない。でも、我々の時代、子供が多くて、中学浪人が増えた。高校に落ちて、浪人する人たちだ。それではかわいそうだと、東北学院榴ヶ岡高校を作った。だから、県立一高、二高を落ちた人がドッと来た。私は二高を落ちて来た。荒木さんもそうだという。

校長先生は言う。「君たちは望んで入学したわけではないだろう。でも、その悔しさをバネにして勉強してほしい。3年後の大学入試が本番だ」と。新しい高校だから、3年後、東北大などにどれだけ入ったか。その実績で試される。その為、先生は必死だ。我々だって必死で勉強した。ミッションスクールだから、朝、礼拝がある。聖書の授業もある。

キリスト教の「愛」による学校だ。そのはずだ。しかし、一面、スパルタ教育の学校で、ちょっと遅刻したり、服装が乱れていると、先生は生徒を殴る。私も毎日のように殴られていた。

授業中、ボーッとしてると教師はチョークをぶつける。私はヒョイとかわしたら、後ろの生徒に当たった。誤爆だ。普通なら、「ゴメン」と教師が謝る。しかし、私の所へ来た教師は、「お前が悪い!お前がよけるから無実の生徒が犠牲になった」と言って、殴られた。

「ゆかたの秘密展」で(7/18)
「ゆかたの秘密展」で(7/18)

ともかく、いい思い出はない。卒業間際に私は決起して、職員室に押しかけ教師を殴り、退学になった。しかし、1年間、教会に通い懺悔の生活をし、やっと「1人だけの卒業式」だ。そして、上京。早稲田に入り、右翼学生になる。

一期生でありながら、高校には4年いた。でも二期生ではない。中途半端だ。だから、しばらくの間は「同窓生」として認められなかった。何十年かして、入れてもらった。

今年の同窓会は、仙台駅前のメトロポリタンホテルの4階で行われた。総会があって、そのあと懇親会だ。総会では、同窓会会長が挨拶。この52年間の間に同窓生は1万800人になった。私らの時は、1学年130人位だった。今は、300人位いるらしい。それで総数は1万800人だ。

「でも、同窓会費を払ってくれる人は700人しかいない。何とか1割か2割位にしたい」と、淋しい話をする。「議長!」と言って即座に発言を求める人がいる。「振込に地元の七十七銀行だけを使ってるからじゃないですか」。その人は横浜で、横浜には七十七銀行はない。年間2000円の同窓会費を送ろうとすると手数料が630円とられる。ここはぜひ、郵便振替をやってほしい」。

飛松五男さんと(三島柄の前で)
飛松五男さんと(三島柄の前で)

「んだ、んだ」と同調する人も多い。どうでもいい話じゃないかと、私は聞いていた。毎年、同窓会費を取られるのも面倒だ。こんな同窓会のある時にまとめて取りゃいいだろう。でないと、小学校、中学、高校、大学、会社、…と皆、同窓会費を毎年、取られるよ。

それに、1万800人も同窓生はいるのに、この日、出席したのは130人ほどだ。一期生、二期生が多い。昔の人は懐かしくて来るのだ。それと、荒木さんたちの「花の17期」だ。ここには他にも作家や映画監督も出ている。榴ヶ岡は17期生でもってるようなもんだ。総会が終わって、懇親会だ。いや、その前に吹奏楽部の演奏がある。

③校歌の演奏に感動して…

水谷洋一さんと
水谷洋一さんと

この学校は仙台の榴ヶ岡にあり、米軍宿舎跡を借りて、授業をやってたんだ。それが今は仙台の泉に移り、大きな、きれいな校舎になった。でも名前は「榴ヶ岡高校」のままだ。

昔は、男子校で、服装にも厳しかったのに、今は、男女共学、服装は自由だ。じゃ、俺たちの青春は何だったのか。青春を返せ!と叫びたい。

この吹奏楽部なんて、7割が女子だ。かわいい女の子が司会をする。「先輩の皆様に敬意と感謝の念を込めて演奏します」という。「まず初めに」と校歌を演奏する。その瞬間、私の両眼からは涙がポロポロと流れました。自分の意志に反して…。あんなに虐められ、あんなに厳しい学校だったのに。いい思い出なんか、何もなかったのに…。でも、涙がとまりません。隣では荒木さんが、感動し、校歌を口ずさんでいました。「…世の光、わが誇り。いざ誉めよや友よ…」と。50年も経って、初めて「愛校心」に目覚めました。

石川ともひろさんと(7/19)
石川ともひろさんと(7/19)

校歌が終わると、ジャズや演歌などを演奏する。我々が懐かしいと思う曲を選んで演ってくれる。「ちょっと背伸びをして、大人の愛の曲に挑戦してみます」と司会の女の子。

いいなー、「背伸び」か。私なんて、最近、全くしてないよ。よし、オラも、「背伸び」してみよう。新たなセカイに挑戦しよう。クニョニョンの奇妙な冒険だ。

そうだ。荒木さんを同窓会長にしたらいい。と私は突然、言いました。周りの人たちは呆気にとられていました。そうしたら、1割か2割じゃない。皆、同窓会に入る。他の高校の人だって金を出したり特別会員で入れてやろう。いっそ、榴ヶ岡高校の校長も荒木さんにやってもらう。名前も変える。「東北学院ジョジョ高校」。これで決まりだ。全国からドッと入学希望者が来る。殺到する。「漫画科」も作ったらいい。

「そんな、無理ですよ。僕は東京にいるんだし」と荒木さん。そんなことは構わない。1年に1回だけでいい。入学式の時に来て、校長挨拶だけをすればいい。「君たちは決して望んで入学したわけじゃないだろうが…」と。

すかさず生徒が、「望んで来ました!」「荒木先生を慕って入学しました!」という声が上がるだろう。

④牛タンを食べながら朝まで生ビール

たしろかおるさん、佐藤優さんと
たしろかおるさん、佐藤優さんと

と、いうわけで同窓会の報告は終わり。荒木さんは、「どうしても仕事があるんで」と、最終の新幹線で帰った。

我々、一期生は、町に出て、牛タン屋でビールを飲みました。同級生と話してると、「んだ、んだ」「んでねーべ」なんて方言が出ちゃう。もう完全に忘れたと思ってたのに。不思議ですね。

方言だけど、話の内容は深刻です。今回の大震災、津波で、何人もの同窓生が亡くなっています。「親父が死んだ」「息子が死んだ」と言う人も。何と言っていいか分かりません。家の崩壊、保険の話も続きます。そして、これから同窓会をどうやっていくかの方針も…。

「17期の荒木を同窓会長にというクニオの提案も面白いけど、少し真面目に考えっぺ」「んだ、んだ。いっそ、一期生だけの集まりをやった方がいいんでねっか」。

んだ、んだ。「そうすると、先生たちも、もっと来てくれんでねが」。

香山リカさんと対談
香山リカさんと対談

んだ、んだ。知らなかったけど、一期生を教えた先生方でまだ存命の人が何人かいる。それはぜひ会いたい。「クニオが殴った先生も呼ぼうよ」「あの後、死んだらしいよ」「クニオの呪いじゃないの」…と、夜中過ぎまで話は続きました。それから、チサンホテルに帰って寝ました。

本当は、同窓会のあったメトロポリタンホテルに泊まりたかったのに、満室。ネットで調べたら、どこも満室。

やっと、チサンホテルだけが取れた。何でも16日(土)17日(日)と、お祭りなんだ。今年初めてだが、地震後の東北を元気づけるための「東北六魂祭」だ。東北六県の祭りを全部呼んで来て、魂を奮い立たせようという壮大な企画だ。

青森のねぶた。秋田の竿燈、仙台の七夕などが勢揃い。そのため全国から人がドッと来た。5万人位を予想してたが、何と想定外の30万人強が押しかけ、仙台はもう大混乱。パニックだった。

鈴木義昭さん、御木平輔さん
鈴木義昭さん、御木平輔さん

この日は、午後に仙台に着き、兄貴の家に行き、それから同窓会会場に行ったら、人混みでタクシーはストップ。仕方ないので「六魂祭」を少し見た。

そして、徒歩でメトロポリタンホテルへ。だから、同窓会総会はすでに始まっていた。同窓会会長が、「1万800人の同窓生のうち、会費を払う人が700人だ。せめて1割か2割にしたい」。会場から、「振込銀行を七十七銀行だけにしてるからだ」と叫ぶ人が。その、やりとりの場に私は着いたんですよ。そして話はこのHPの冒頭に戻る。

翌、7月17日(日)は、朝10時の飛行機で大阪伊丹空港へ。そこから西宮へ。

午後2時から「鈴木ゼミin西宮」。甲山事件の冤罪被害者・山田悦子さんと対談。又、飛松五男さん(元刑事)や、「よど号」グループの家族も来てくれて、とても有意義な展開になり、勉強になりました。

終わって二次会。その後、三ノ宮に移り、そこで泊まり。そして、7月18日(月)は神戸で、着物についてのトークをしました。それは、だいありーで。

【だいありー】
桃江メロンさんと(7/21)
桃江メロンさんと(7/21)
  1. 7月18日(月)、昨夜こそはゆっくり寝ようと思ってたのに、なでしこジャパンを見ちゃった。凄いねー。優勝ですよ。アメリカにはとても勝てないと思ったのに。よくやりました。
     午前11時、岩井さんが迎えに来る。まず、「ギャラリー葉月」に行ってみる。着物デザイナーの芝崎るみさんの着物展示会をやっている。戦争柄や、三島柄、角栄柄などの斬新なものがある。面白い。私が戦争柄のユカタを着てる写真も大きくして、飾られている。そのあと、お昼ご飯に。
     午後2時からトーク。芝崎るみさん、高木尋士さん(劇団「再生」代表)。そして私。テーマは「日本の未来」。戦争柄から始まり、「制服」とは何か。三島の「楯の会」について。革命とクーデターについて。なぜ、日本人は着物を着るのか…。といった話から、日本文化論になる。なかなか、濃い内容の話だったな。
     吉本さんにテープ起こしをしてもらって、このHPに載せたいですね。よろしく。そのあと、お茶をして、夜、新幹線で帰京。16日(土)の朝に家を出て、17日(日)、18日(月)と家を空けてた。郵便物がたまっていた。バテたので、すぐ寝た。
中川さん、高木さん、椎野さんも加わって
中川さん、高木さん、椎野さんも加わって
  1. 7月19日(火)、夜中起きて、たまってた原稿を書く。午前中、雑誌の対談。Twitterは、ちょこちょこやってるが、大変だ。フェィスブックもやってるし。秘密のメールもチェック。「携帯持ってないというけど、電車の中でメールしてるのを見ました」という人も。ロフトのトイレで隠れてTwitterしてたら、それも見られたようだ。怖い。気を付けなくっちゃ。
     午後6時半。グランドヒル市ヶ谷。石川ともひろさんの出版記念会。本のタイトルが凄い。『悪党=小沢一郎に仕えて』(朝日新聞出版)。佐藤優さんが挨拶して言ってたが、昔は「悪党」は、いい意味だった。「強い人」「したたかな人」の意味だった。楠木正成も「悪党」といわれたんだし。
     石川さんはこの次の日、陸山会事件で禁固2年を求刑された。それを見越したのか、テレビカメラが全局来ていた。「わざわざ、ありがとうございました」と石川さん。「いや、以前、忘年会に来てもらいましたし」と言った。石川さんもこれには爆笑。
     石川さんは20年ほど前、早大の大学生だった時、友人に誘われて一水会の忘年会に来たんだそうな。前に石川さんに言われて初めて知った。高田馬場の駅前の飲み屋だ。「あの時は鈴木さんも木村さんも怖かったですよ」と言う。まだ非合法闘争をやっていたんだ。私もピリピリしてたんでしょう。後輩たちにも、「君らは人間じゃない、心を捨てろ、革命マシーンになれ!」なんて檄を飛ばしていた(らしい)。
     石川さんのパーティでは、筆坂秀世さんや、田城都さんなどに会いました。1時間ほどいて、四谷区民ホールに行く。「創」主催の「原発とマスメディア」に出る。超満員だった。出演者は鎌田慧、河合弘之、綿井健陽、香山リカ、北村肇、金平茂紀さんら。森達也さんはお父さんが亡くなったので欠席。お悔やみ申し上げます。
     石川さんの出版記念会に出ると言ったら、私の出番は、後ろの方に回してくれた。午後9時から20分間、香山リカさんが喋り、その後、20分、私が喋る。と、スケジュール表には出ている。これはマズイと思って、主催者に言った。「1人ずつ喋るより、2人でトークした方が、盛り上がりますよ、司会の篠田さんも入れて」と言った。「その方がいいですね」と、変えてくれた。ホッとした。
     作戦が成功した。だって、もし香山リカさんが喋り、そのあと私では、皆、帰ってしまう。「ペッ、誰が右翼の話なんか聞くもんか」と。誰もいなくなった四谷区民ホールで、1人で喋る…というのも鬼気迫るものがある。
     予定を変更してもらって、香山さんと、じっくり話が出来ました。そして矢崎泰久さんも入ってきて、「菅をやめさせるな。菅の手で原発をやめさせろ。10年でも20年でも原発がなくなるまで菅に首相をやらせよう!」と絶叫。うけてました。終わって、知り合いの人たちと飲みました。
「布川事件」の桜井昌司さんと
「布川事件」の桜井昌司さんと
  1. 7月20日(水)午前中、図書館。午後3時、文化放送。今日のテーマは、「国民投票は必要か!?」。今井一さんがやっている、「みんなで決めよう『原発』国民投票」の運動に私も賛同人になっている。その運動について説明した。
     世界中で、国民投票はこまで1000件以上行われているが、日本ではまだ一度も行われていない。しかし、住民投票は96年の新潟県巻町での原発設置を争った投票以来、全国で400件も行われている。
     あとになって、「あれは自分たちと関係ないとこで決められたものだ」とボヤかないためにも、自己の生死を左右する問題は、国民投票で決めるべきだと思う。「気分に流される」「ファシズムになる」という批判もあるが、何年かかけて、じっくり、冷静な討論会を積み重ね、その後に投票したらいい。そんな話をした。
     今週の「編集長は見た」は「サピオ」の三浦和也編集長。特集が、「新聞・テレビのグロテスクな限界」。凄いですね。
     そして、「新聞・テレビと政治の連携プレーで生まれる『不可解な報道用語』」
     そういえば、ありますね。「ただちに健康被害はない」。又、「燃料棒の露出」。「炉心棒溶解の可能性」…と、素人では分かりにくい言葉で本質をぼかし続けている。学生運動が盛んな時にも、わざと難しい言葉で文章を書いていた人が多かった。他派から批判されると、「それは読み方が悪い。そんな意味ではない」といくらでも、ごまかせるようにだ。その学生運動世代が政治家になり、官僚になり、原発関係者になっている。そして難解な言葉を多用し、逃げている。私はそんな気がする。
     さらに「サピオ」。「スクープ公開!これが全国『核燃料最終処分場候補地』88カ所リスト」。怖い話だ。しかし、どうやって「適正地区」を決め、口説くつもりなのか。三浦さんが言う。
     「要はカネです。財政難の自治体であることが前提で、その上に誘致に積極的な政治家がいれば話は進めやすい」
     これじゃ、政治家は、国民を不幸にする先導者だ。こんな連中を信用してはダメだ。自分の眼で見て、自分の頭で考え、自分が責任を負う。そのためにも「国民投票」は必要だと、私は言った。又、いつまでも、こんな秘密の政治は続かない。ネットやTwitterだってあるんだし。私ですらTwitterをやってる時代ですよ。
     そしたら三浦編集長が、「ウワー!サピオの特集よりも、こっちの方が凄い!」と、のけぞってました。
     この後、Wコロンと謎かけ。戦争柄、角栄柄、三島柄などの写真を見せました。たとえば、ゲタ、日本列島、扇子、鯉…が描かれた着物がある。これが「角栄柄」だ。又、ボタン、矢が描かれたのは「三島柄」。波、ピストル、船が描かれたのが「竜馬柄」。知性や、遊び心がないと分からない。まるで「謎かけ」ですよと言ったら、納得してました。
     今週の「鈴木邦男の太宰治講座」は、「走れメロス」でした。太宰30才の作品です。生活も精神も安定した時に書かれた、極めて健康的な作品です。中学の教科書にも載ってます。それだけに私には物足りないものがあるんですよ。「健康的な太宰なんて」…。太宰はやっぱり、デカダンですよ。不健康ですよ。心中ですよ。その中にこそ太宰の「誠」がある、と私は思います。
Twitterばっかりしてます
Twitterばっかりしてます
  1. 7月21日(木)、学校は夏休みだけど、あいている。夕方まで自習室に閉じこもって原稿を書いていた。周りは皆、受験生で、英語や数学や生物の勉強をしている。雰囲気がいい。私も頑張らなくっちゃと思う。もうちょっと「背伸び」して、いい仕事をしてみたいと思う。
     午後6時、代官山へ。「山羊に聞く?」という名のお店で、トークショー。豪華なお食事をしながらお話をする。桃江メロンさん(作家)と私の「愛と暴力」についてのトーク。桃江さんに突っ込まれて、私はタジタジでした。トイレに行った時、Twitterにそう書いたら、「がんばれ!」「負けるな!」と励ましの声がありました。Ustreamで流れてるので、フランスの女性からも、「代官山に行きたかった」と、カキコミがあった。凄いね。世界的ですよ。文化放送がUstreamを全世界に流していて、フランスの人はいつも見てくれている。それで代官山のも見てくれたのだ。
     私たち2人だけでなく、椎野レーニンさん、見沢知廉の映画を撮った大浦信行監督、見沢の本を出してくれた中川右介さん、見沢の芝居をする「劇団再生」の高木尋士さん、あべ・あゆみさんも登場して、賑やかにトークを盛り上げてくれました。私はタジタジでしたが、楽しいトークでした。
     最後に桃江さんが提案。「毎月か、2ヶ月に1回、鈴木さんにここで話してもらいたい。鈴木さんの本を一冊ずつテーマにして」。そうか。『腹腹時計と〈狼〉』とか、『蟹工船を読む』とか、『がんばれ!新左翼』とか。面白そうですね。じゃ、「山羊(やぎ)に聞くで、羊に聞く」にしたらどうですかと私も提案した。羊年だからです。これは面白い、と拍手で皆に採択されました。
     11時過ぎたので帰りました。
  2. 7月22日(金)、原稿の〆切で、夕方まで必死で書く。夜、柔道に行く。久しぶりに体を動かしたので、心地いい。体の中に飼っている〈狼〉君も、喜んで、吠え、走り回ってました。終わって、ロイヤルホストで2時間、読書。
  3. 7月23日(土)午前中、原稿。午後、雑誌のインタビュー。夜、打ち合わせ。
  4. 7月24日(日)昼、雑誌の対談。
     夕方、取材。本の打ち合わせ。
【写真説明】
高校の同窓会で(7/16)

①7月16日(土)、仙台のメトロポリタンホテルです。東北学院榴ヶ岡高校の同窓会です。今年で創立52年です。私は第一期生です。第一期生だけで集合し、写真撮影です。

牛タンで朝まで生ビール

②総会、懇親会が終わったあと、市内の牛タン屋に行き、朝まで飲みました。「んだべー」「んでねっちゃ」と仙台弁がすぐ出てきました。

荒木飛呂彦さんと

③榴ヶ岡高校の同窓生、荒木飛呂彦さん(第17期生)です。『ジョジョの奇妙な冒険』などで有名な漫画家です。榴ヶ岡高校出身者では最も有名な人です。

「甲山事件」の山田悦子さんと(7/17)

④7月17日(日)午後2時より、「鈴木邦男ゼミin西宮」。「甲山事件」の冤罪被害者・山田悦子さんと対談しました。「冤罪事件と私たちの社会—甲山事件から37年。今、冤罪を語る」です。

「ゆかたの秘密展」で(7/18)

⑤翌日は、神戸三宮で、「ゆかたの秘密展」に行き、トークに出ました。着物デザイナーの芝崎るみさん、「劇団再生」の高木尋士さんと。芝崎さんが手にしているのは、「日露戦争大勝利」の手拭いです。倒れたロシア兵が中央に大きく描かれ、勝った日本兵は左上に小さく描かれています。面白い構図です。「キモノと日本の未来」について語り合いました。

飛松五男さんと(三島柄の前で)

⑥前日の西宮ゼミに続いて、ゆかた展にも来てくれました。元刑事の飛松五男さんです。2人の間にある反物が「三島柄」です。ボタンがある。先が突き刺さっているし、「薔薇刑」を想起させます。

水谷洋一さんと

⑦西宮冷蔵の水谷洋一さんと。

石川ともひろさんと(7/19)

⑧7月19日(火)、石川ともひろさんの出版記念会がありました。『悪党=小沢一郎に仕えて』(朝日新聞出版)です。小沢さんの秘書をやって、その後、議員に。38才です。「学生の時、一水会の忘年会に出た」と言ってましたから、多分、20年前でしょうね。頑張って下さい。

たしろかおるさん、佐藤優さんと

⑨石川さんのパーティで。たしろかおるさん(民主党)、佐藤優さん(作家)と会いました。たしろさんの政策秘書の菅原氏は、榴ヶ岡高校の5年後輩です。他にも、後輩たちが頑張ってます。

香山リカさんと対談

⑩石川さんのパーティのあと急いで、四谷区民ホールに行きました。月刊「創」主催の緊急シンポジウム「原発とマスメディア」に出ました。香山リカさんと最後に対談しました。左は司会の篠田博之さん(「創」編集長)です。

鈴木義昭さん、御木平輔さん

⑪鈴木義昭さん(中央)の『昭和桃色映画館』(社会評論社)の出版記念パーティです。7月14日(木)です。阿佐ヶ谷の山猫軒です。この時、「30年前、私は鈴木さんに襲撃されました!」と言う人がいた。「不敬」な芝居があって、私が襲いかかり、芝居をぶち壊したのです。
「あの時は、本当に殺されると思いました」。「山口二矢のことを思って、震えてました」。申し訳ありませんでした。と、ひたすら謝りました。右の人が襲撃された御木平輔さんです。今度、対談して、「恐怖の体験」を聞きましょう。心なしか、今でも顔が恐怖でひきつってます。

桃江メロンさんと(7/21)

⑫7月21日(木)、代官山の「山羊に聞く?」で。桃江メロンさんとトークをしました。テーマは「愛と暴力」です。30年前に芝居に殴り込んで、ぶち壊した話から始めました。こんな人が、どんどん現れるでしょう。「30年前に襲われた女です」。「その時、生まれた娘です」…とか。恥ずべき過去を思い出して顔がひきつってます。でも、仕草がオカマっぽいですね。何か秘密があるのかもしれません。

中川さん、高木さん、椎野さんも加わって

⑬この後、中川右介さん、高木尋士さん、椎野礼仁さんも加わり、賑やかにトークしました。高木さんの着物は、芝崎るみさんのデザインです。礼仁さんの上着は奥さんがデザインしたものです。奥さんはプロのデザイナーで、斬新な服を作り、礼仁さんに着せています。愛情でしょうか。 それとも、木霊(こだま)でしょうか。

「布川事件」の桜井昌司さんと

⑭「布川事件」の冤罪被害者・桜井昌司さんと対談しました。『紙の爆弾』で。7月15日(金)、「ミヤマ」会議室で。長い間、千葉刑務所に入ってました。野村秋介さんのことは「伝説的な人」としてよく聞いてたそうです。又、見沢知廉氏とは一緒にいたことがあるそうです。面白い話を沢山聞きました。

Twitterばっかりしてます

⑮隠れてTwitterをやってたら、盗み撮りをされてしまいました。ひっそりやってたんですが、忙しくて、つい、部屋の隅でやってたのに。メールで写真が送られてきたので、ここにもupしましょう。

【お知らせスペシャル】
  1. 7月18日(月)の「着物と日本の未来」のトークの動画を少し、upしました。濃い内容なので、全体はリライトして近々、upします。

 

 

  1. 見沢知廉の遺作『背徳の方程式』(アルファベータ・1900円)が発売されました。素晴らしい作品です。
  2. 道の手帖・竹中労』(河出書房新書・1600円)が発売中です。佐高信さんと私の対談も入ってます。
【お知らせ】
  1. 7月25日(月)「和歌山カレー事件」を考える人々の集い。エル大阪6階大会議室(地下鉄谷町線、京阪天満橋駅下車)。18時20分開場。神田香織さん(講談師)と私の対談。弁護団報告などがあります。神田さんの新作講談「和歌山カレー事件」もあります。参加費800円。
  2. 7月31日(日)14時〜「7・31右から考える脱原発集会・デモ in東京 〜福島の子供たちと麗しき山河を救え!〜」があります。東京芝公園。
    いまこそ、すべての人に呼びかける脱原発のウェーブを!
    会場:芝公園23号地(東京都港区芝公園3丁目)
    http://www9.plala.or.jp/k1byking/bayside/shibakoen23.html
    (最寄駅/都営三田線「御成門駅」A1出口から徒歩3分
    東京メトロ日比谷線「神谷町駅」3番出口から徒歩4分)
    日時:平成23年7月31日(日) 14:00より集会 15:30〜17:00 デモ行進
    デモコース:芝公園〜東電前〜有楽町数寄屋橋〜水谷橋公園解散 (予定)
    参加費:無料 (どなたでもご参加いただけます。)
    詳しくは「右から考える脱原発ネットワーク」のブログを参照して下さい。
    http://maruta.be/anntokyo1107
  3. 8月2日(火)、元「ザ・ニュース・ペーパー」の杉浦正士さんと、「ダブル・バースディ・コンサート」。2人は誕生日が同じらしい。だから、荻窪の「小料理HANA」で、歌をうたい、トークをやろう。ということになった。『ヤマトタケル』について話をするそうです、私は。多分、ヤマトタケルも誕生日が同じなんでしょう。じゃ、「トリプル・バースディ・コンサート」やな。
  4. 8月7日(日)、この日も、私の誕生日です。昼12時より、阿佐ヶ谷ロフト。「鈴木邦男生誕100年祭」トークイベント(その2)。豪華なゲストが出席予定です。
  5. 9月2日(金)新宿ネイキッドロフト。午後7時。漫画家のバロン吉元さん、植垣康博さん、私のトークです。「柔侠伝と戦後日本の歴史」です。
  6. 9月5日(月)7時。新宿ネイキッドロフト。見沢知廉第7回忌トーク。見沢映画完成の話を大浦信行監督に。他、山平重樹さん、高木尋士さん、私などが出ます。
  7. 9月9日(金)〜11日(日)。劇団再生による、見沢知廉七回忌追悼公演があります。「天皇ごっこ『蒼白の馬上』」です。小田急線千歳船橋駅前の「APOCシアター」です。11日(日)の14時からは特別トークがあります。大浦信行(映画監督)、山平重樹(作家)、高木尋士(劇団再生代表)、鈴木邦男による、「作品としての見沢知廉」です。
  8. 9月19日(月・祝)。「鈴木邦男ゼミin西宮」。午後2時、西宮駅前のCaféインティライミ。ゲストは本山美彦先生(大阪産業大学学長)で、『金融権力』(岩波新書)など著書多数です。お問い合わせ、お申し込みは、鹿砦社 鈴木邦男事務局まで。0798-49-5302
  9. 10月29日(土)、見沢知廉の映画が封切りです。大浦信行監督「天皇ごっこ。たった一人の革命」。新宿のk’cinemaで。この日より3週間上映です。