又、新たなミッションです。2月13日(月)、「グリーンアクティブ」の設立記者会見がありました。翌14日(火)の新聞には大きく取り上げられていました。
驚いた人も多いと思います。記者会見には、中沢新一さん、宮台真司さん、いとうせいこうさん、加藤登紀子さんら8人が出席。なぜか私も入っております。
翌日の新聞に記者会見の様子は出ましたが、当日、ネットの毎日新聞のニュースはこう報じていました。
〈グリーンアクティブ〉中沢新一さんら、脱原発で運動体
思想家の中沢新一さん、作家のいとうせいこうさん、社会学者の宮台真司さんらが13日、脱原発などを目指す運動体「グリーンアクティブ」の設立記者会見を開いた。代表の中沢さんは「『党』というよりもゆるやかなネットワーク。緑の意識を共通項に民衆からの改革を起こす」と意気込みを語った。
草の根運動を展開する中で、新たな政治団体「緑の日本」をつくり、次期国政選挙で賛同する政治家を認定して応援していくという。
会場には新右翼「一水会」最高顧問の鈴木邦男さんも賛同人といて参加し「日本の国土を守ることに右や左のイデオロギーは関係ない」と話した。
一方、グリーンアクティブとは別に地方議員らでつくる脱原発を目指す政治団体「みどりの未来」が、7月に「緑の党」を結党して国政進出する方針を決めている。
いろんな動きがあり、これから連携もあるのかもしれない。賛同人としての私の考えはここに出ている。中沢さんから、この主旨を聞いて私は全面的に賛同した。
ただ、私なんかが出ていいのかな。かえって、この運動が誤解され、迷惑をかけたらマズイな、と心配した。「そんなことはない」と中沢さんたちは言ってくれた。
それと、私の背中を押してくれたのは1冊の本だ。デレク・ヴォール著、白井和宏訳の『緑の政治ガイドブック=公正で持続可能な社会をつくる』(ちくま新書)だ。
この本の巻末で中沢新一さんと鎌仲ひとみさんが対談している。〈グリーンアクティブ〉の思想を表明する本だろう。
この本の帯に、こう書かれていた。
〈右でも左でもなく
前へ進む政治を!〉
これは凄い!と思った。「まさに私のことではないか。これは参加しないと」と思った。そのことを記者会見で私は言った。
このコピーは中沢さんが書いたのかもしれない。「そうです。鈴木さんのことを考えながら書きました」と中沢さんは記者会見で明言していた。リップサービスにしても嬉しい。
今の世の中は、「あいつは右だ」「左だ」と決めつけ、それでレッテル貼りをして安心している。又、決めつけられる側もそれで安住し、満足している。
こんなものは、ただの現状維持だ。いや退歩・後退だ。それよりも、前へ進むことだ。この言葉には全面的に賛成だ。
又、この本の「記者あとがき」で白井和宏は、ヨーロッパの「緑の党」の成功を紹介しながらも、こう言う。
〈ただし、「緑の党」の成功は私たちにとって一つの「ヒント」であっても、「モデル」にはならない。緑の党とは、その国、その地域の人々が、自らの意志と知恵を使って政治を創り変え、自治するための道具なのだから〉
いいですね。「ヒント」であっても「モデル」ではない。これがいい。「グリーンアクティブ」もその精神だと思う。
中沢新一さんは言う。
〈欧州の「緑の党」を参考にしつつ、政党ではなくネットワークという形をとる〉
と。
さらに、こう言う。
〈自然や環境、地域に根ざした暮らしを大事にする姿勢を「緑」で表現した。「3.11の後、社会を変えていく力にしていきたい」という〉(「朝日新聞」2月14日朝刊)
この朝日新聞では、こんな見出しがついている。
〈中沢新一さんら脱原発で連携 「グリーン」掲げ、候補者擁立も〉
もう少し詳しく紹介しよう。
〈脱原発や環太平洋連携協定(TPP)反対などの政策に共鳴する人々と、緩やかな連携を目指す。原発に頼らない地域作りや、自然エネルギーへの転換を目指す団体などと「一種の国民戦線」を作っていく。
組織は、農林水産業の再生を図る「経済部」など4部門からなり、「政治部」には政治団体「緑の日本」(代表はマエキタさん)も設置。次の衆院選で脱原発に賛同する候補者に緑の「シール」を与えるほか、独自候補を立てる可能性もあるという。日本版「緑の党」を目指す既存組織「みどりの未来」とは友好関係を築く〉
そうだ。発起人と賛同人を紹介しなくてはいけない。
発起人は4人だ。中沢新一(代表)、いとうせいこう(作家)、宮台真司、マエキタミヤコ。賛同人は7人。内田樹、加藤登紀子、小林武史、鈴木邦男、鈴木幸一、鈴木耕、津田大介、松田美由紀(内田、小林、津田、松田は所用があって、会見には参加できなかった)。
記者会見の当日は昼12時に、集合して打ち合わせがあった。衆議院第一議員会館第三会議室だ。
あれっ、つい最近も議員会館に来たよな、と思った。そうだ。暴排条例反対の記者会見だった(1月24日)。翌日、東京新聞に写真が大きく出た。あの時は参議院議員会館で、今度は衆議院議員会館だ。
午後1時、会見開始。まず代表が挨拶。それから、発起人コメント、賛同人コメント、質疑応答、写真撮影の予定だ。
でも、加藤登紀子さんが次の仕事のために、1時40分には出なくてはならないという。
「じゃ、初めに記念撮影をしよう」と中沢さん。
1列に8人が並んでたが、「これじゃ、面白みがない。まとまろう。暴排条例の時の東京新聞がよかった。あのように2列になって、かたまろう」と中沢さん。
皆に、「早く、東京新聞のように!」と、せかす。
それで載ったのが朝日新聞だ。2列になっている。前列はマエキタ、中沢、加藤。後列は、宮台、いとう、鈴木邦男、鈴木耕、鈴木幸一だ。鈴木が3人並んでいる。
「まるで、『鈴木の党』みたいだね」と中沢さん。申し訳ないから、「じゃ、私が改名しましょうか?」「ペンネームあるの?」「今、つくります」。「じゃ、ダメだよ」ということで、3人の鈴木はそのまま。会見の時も、3人は並んで座っていました。
中沢代表は、脱原発、TPP反対などの他に、これは、草の根からの、全国民的な「国民戦線だ」と言っていた。
たとえば、「東京新聞」では。
〈中沢氏は「格差社会を助長するTPPなどの政策に抵抗していく。政治や経済を上からの改革ではなく、右も左もない草の根の民意をくみ上げ、変えていゆく国民戦線をつくる」と強調した〉
朝日新聞でも東京新聞でも、「国民戦線」という言葉が出ている。「一種の国民戦線」「右も左もなく草の根の国民戦線」…と。
皆が協力して、幅広い国民、集団のネットワークの意味で、「国民戦線」と使っているようだ。
でも、「国民戦線」という固有名詞がある。フランスに。実は、打ち合わせの時、私は、フランスの国民戦線の話をした。それが、ひっかかって中沢さんは、つい、「幅広い、草の根の国民戦線」と言ったのかもしれない。
だったら、ちょっと悪いことをした。『緑の政治ガイドブック』の「右でも左でもなく、前へ進む政治を!」を、だって私が、無理に取り上げたので、中沢さんは合わせてくれたんだろう。
もしかしたら、勝手に〈方向〉を変えたのかもしれない。そうだとすると申し訳ない。
1時の記者会見の前に、12時から打ち合わせをした。その時、たまたま、「政治家の演説」の話になった。
外国の政治家は長時間、迫力のある演説をする。フルシチョフやカストロなんて5時間、6時間ぶっ続けで演説した。「チャウシェスクなんて7時間も演説したらしいですよ」という人もいる。日本ではちょっといない。
又、演説の途中で、詩を朗読したりする政治家もいる。
そうだ、フランスの国民戦線のルペンさんは2時間演説し、その途中に、感極まって国歌をうたいましたよ。と私は言った。
03年にフランスで、「国民戦線30周年大会」に呼ばれ、一水会の木村代表と共に、フランスのニースに行ってきた。
ルペンさんは舞台を動き回りながら演説し、そして途中、突然、国歌をうたう。その瞬間、会場の皆も立ち上がり、うたう。私も立ち上がってうたった。実に感動的だった。日本では、こんなことは出来ない。
「あれはいい体験でした」と私は話した。ロシアのジリノフスキーさんも来賓で来ていて、何と、フランス語で30分間、演説した。
皆、凄いなあと思った。そんな話をしたので、中沢さんに、「国民戦線」という言葉がインプットされたのかもしれない。
しかし、欧州の「緑の党」とは関係ないように、具体的な「国民戦線」とも関係はない。右でも左でもなく、草の根の、「一種の国民戦線」なのだ。
加藤登紀子さんとは、始まる前に、藤本敏夫さんの話をした。
藤本さんは加藤さんの旦那さんだ。亡くなられたが、元全学連委員長で、佐世保のエンプラ闘争などでは活躍した。
その後、逮捕され、刑務所に入る。出てきてから、私は縁があって、一緒に勉強会に出た。
いろんな話を聞いたし、教えてもらった。サッパリとした、実にいい人だった。
週刊「SPA!」には書いたことがあるが、まとめて藤本さんのことを書いたことはない。
いつか書いてみたい。そんなことを加藤さんと話した。
宮台さんとは今度、池袋ジュンク堂でトークをする。若松さんの三島映画を見て、とてもよかったと言ってた。その話をしたい。
いとうせいこうさんとは以前、ジャナ専でお会いして以来だ。
鈴木耕さんは『愛国と憂国と売国』の編集でお世話になった。
鈴木幸一さんも、何度か会っている。
マエキタさんは、「マガ9学校」や外語大の講演会でお世話になった。
記者会見に出た人は皆、突出した、面白いメンバーだ。この人たちとこれから新しいアクションを起こす。面白いことになりそうだ。
①「グリーンアクティブ」設立記者会見で。2月13日(月)、午後1時より。衆議院第一議員会館三号会議室で。(前列左から)マエキタミヤコさん、中沢新一さん、加藤登紀子さん。(後列左から)宮台真司さん、いとうせいこうさん、鈴木、鈴木耕さん、鈴木幸一さん。
⑧2月21日(火)発売です。「道の手帖」シリーズの『大杉栄=日本で最も自由だった男=』(河出書房新社)です。鎌田慧さんと中森明夫さんの対談や、加藤登紀子さん、大杉豊さん(大杉栄の甥)への特別インタビューもあります。私も原稿を書いてます。
⑫2月15日(水)文化放送で。石原信雄さんと。石原さんは、元内閣官房副長官として7年4ヶ月にわたって7人の総理に仕えた人です。先月号の『文芸春秋』で、「初公開 石原信雄メモ。〈平成を演出した男がすべてを語る〉」を書いてます。衝撃的な話を沢山、聞かせてもらいました。
⑬今年は連合赤軍事件から40年。いろんな集会や、出版が予定されてます。出版としては第1弾の朝山実さんの『アフター・ザ・レッド=連合赤軍兵士たちの40年=』(角川書店)。力作です。植垣さんも出ています。椎野礼仁さんが「解説」を書いてます。
⑮先週の「だいありー」に2月12日(日)は「夜、勉強会」と書いたのに、週刊金曜日の白井さんに、ツイッターで、暴露されてしまいました。「いや違う。カラオケで遊んでいた。女性ばかりで、喜び組状態だった。“北朝鮮化する日本”だ」と。
まいったなー。私としては、プロの演歌歌手だった宮崎みのりさんを講師にした歌の「勉強会」のつもりだったのに。ちゃんと、先生に教えてもらいました。それに、病気中の宮崎先生を激励しようとも思いましたし。