2012/04/23 鈴木邦男

金正恩さんを見た!演説を聞いた!
=北朝鮮レポート①=

①「歴史の現場」に立ち会った!

金日成主席、金正日総書記の銅像の前で
金日成主席、金正日総書記の銅像の前で

北朝鮮に行ってきた。4月9日(月)から17日(火)までだ。金日成主席生誕100周年の太陽節慶祝で北朝鮮は湧き立っていた。100年に一度の、国を挙げてのお祝いだ。

軍事パレードを見た。金日成主席、金正日総書記の銅像の除幕式にも出た。正式に招待され、間近で見た。

「よど号」グループの全員と会った 「よど号」グループの全員と会った

よど号グループの6人全員とも会った。板門店にも行った。キムイルソン総合大学にも行った。

世界一の花火大会も見た。巨大な三角形の柳京ホテルも見た。新築ラッシュの高層ビル群も見た。

毎日が驚きの連続だった。最後の夜、キムイルソン広場では10万人の青年男女がマスゲームをし、そして踊る。途中から、外国人招待客も柵を乗り越えて、踊りの会場へ乱入する。

私も入った。近くにいた「よど号」の若林さんと2人で入った。北朝鮮の女の子と踊った。世界中のテレビカメラが撮影している。その中で、10万人の男女と共に私も踊った。歴史的な事件だ。

そして今回、何と金正恩さんを見た!30メートルの近くで。それも3回も。

小西さん、安部さんと 小西さん、安部さんと

軍事パレードの時は演説も聞いた。軍備への誇りを語りながら、でも国を守るのは兵器ではない。人民の力だ、と言っていた。

又、この日を、「韓国」の同胞たちと祝いたいと言っていた。「南の傀儡政権」などと、かつては言ってたが、ちゃんと、「韓国」と言っている。

金大中さんが訪問し、金正日総書記と会談して以来のことなのか。

又、米帝や日帝への攻撃もない。前向きな演説だった。自分の国の人民の力に誇りを持っているからなのか。「先軍」よりも、「改革開放」なのか。

日本の皆には、「それは甘い!」と批判されるだろう。ただ、その場の雰囲気を報告してるだけだ。

少なくとも、「改革開放」の芽があるのなら、そこを応援してやったらいい。日本政府としても、その方向に北朝鮮が進むように力を尽くすべきではないか。

そして拉致や核の問題について、話し合いの場につくようにすべきではないか。

それなのに、政府は一切交渉はしない。「追い詰めれば、ギブアップする」とばかりに経済制裁一辺倒だ。これではダメだろう。

②ミャンマーだって変わった

ナイジェリアの代表団と。恵観さん、南野さんと ナイジェリアの代表団と。恵観さん、南野さんと

ミャンマーの軍事政権はアウン・サン・スー・チーさんを解放した。民主化も、わずかだが進み、改革開放も、わずかだが進んでいる。

「これでは足りない」「もっと急速な民主化をやれ」と野次を飛ばすのは、正論ではない。無責任だ。

少しでも芽生え始めた民主化、改革開放に日本は全面的に協力したらいい。世界に向けても、そう呼びかけたらいい。

そのことによって、民主化、開放した方が国が豊かになる。国が強くなると、ミャンマーの政府も国民も確信するだろう。

その「確信」を持たせるように国際支援をしたらいい。

いつかは、スー・チーさんが国の代表になるだろう。

でもその時でも、軍に対し、報復人事はしない。「復讐」はしない。そうしたことを決意し、軍にも伝えているのだろう。

だって、「民主的」な国々でも、選挙に勝てば、前政権の人間を汚職だの何だのと言って逮捕している。

そんな事はしない。恨みは忘れて、国のために協力しよう。そう言ってるのだと思う。

国外に出るのなら、いつでも出すと軍は言っていた。イギリスに行って、そこに「亡命政府」をつくり、そこから軍を批判し、政治活動をする。その方が自由に、思い切り発言できる。行動できる。

チュニジアの代表団と チュニジアの代表団と

しかし、スー・チーさんは、その「自由」を拒否した。祖国にとどまり、自宅軟禁の道を選んだ。

その不屈の精神、祖国愛に軍人たちも敬意を表したのだろう。

話が飛んだが、要は、日本として何をすべきかだ。

「民主化」は不十分だ。嘘だ。「開放」なんて見せかけだ、と冷たく突き放し、文句だけを言ってるのか。民主化のそんな芽があったら、それを支援し、「そうした方が国益に合う」と彼らに思わせるのか。

北朝鮮に対し、アメリカは敵対し、脅しをかけている。

だが、裏では、太いパイプを持っている。米国人記者が拘束されると、元大統領が飛んで行き、交渉する。そして、「恩赦」で釈放してもらう。謝ってもいるだろう。金も出しているだろう。そして、「恩赦」だ。向こうの国の顔を立て、面子を立てている。

しかし、国民は取り戻している。これは迎合ではない。屈服ではない。どんな手段を使ってでも、米国民は守る、取り戻す、という決意だ。そして実行している。

日本政府には、それがない。小泉さん以来、誰も交渉しようとしない。

政治家に聞くと、「俺が行って拉致された人が1人でも2人でも帰ってくるのなら行くが、難しいだろう。そうしたら、何の為に行ったのだ。北に丸め込まれた。売国奴だ、とバッシングされる。選挙も落ちる」と言っていた。皆、そう思っているのだ。

それよりは、日本という安全圏にいて、「北朝鮮を許さないぞ!」「戦争も辞さずの断固たる決断を!」と叫んでいる方がいい。「闘っている」ふりが出来る。

③金正恩さんを見た「60人の日本人」の1人だ

金日成花の展示会場で 金日成花の展示会場で

今回、私たちは、池口恵観さんの訪朝団だった。

恵観さんは仏教徒だ。政治家だけでなく、仏教徒との連帯の中で、日朝友好を訴え、その中で拉致や核の問題。そして、遺骨収集の問題を強く要請し、話し合っている。

他にも民間人で尽力している人がいる。日本の政府、政治家は、怖くてやらない。「許さないぞ!」と叫んでいるだけだ。「経済制裁」を強化するだけだ。

そして、私らにも、「北には行くな!」と圧力をかけ、帰ってくると、小さなみやげ物まで含め、全て取り上げている。

経済制裁してる国に(みやげを買うということで)、金を落とした。支援した。これは「経済制裁」違反だ、というわけだ。

恵観さんを初め、皆、みやげ物を取り上げられた。ひどい話だ。

だったら、お前たちが北に行って交渉しろよ、闘えよ、と言いたい。

それによって、すぐに「成果」は上がらなくてもいい。選挙に落ちるかもしれない。でも、国民を救うために命をかけろよ、と言いたい。

スウェーデンの代表団と スウェーデンの代表団と

言いたいことがありすぎて、話があちこちに飛んでいる。

驚きの体験ばかりだったので、今でも頭が混乱している。まるで自分は「不思議の国のアリス」になったような気分だ。

金正恩さんを3回も間近で見た。演説も聞いた。軍事パレードも見た。まさに、「歴史の現場」に立ち会っている、という感覚だった。

「金正恩第一書記を実際に見て、演説を聞いた日本人は60人ほどしかいない」と向こうの人は言う。その60人の1人だ、私は。それも、間近で見た。

こう書きながら、「見た」では、おかしいな、と思った。向こうの人たちは、尊敬し、敬愛する第一書記を「見た」なんて言わない。日本人の我々としても失礼かな。でも、拝顔した。お見かけした。仰ぎ見た…でもおかしい。

又、そう書くと、「北に洗脳されたのか!」と言われそうだ。そこだけをとって、他は読んでくれないだろう。だから、失礼かもしれないが、「見た」と書いておこう。見たのは3回だ。

4月13日(金)の銅像の除幕式。4月15日(日)の軍事パレード。その夜の花火大会だ。事前には一切知らされない。ただ、「次の会場はカメラ、ボールペンの持ち込みはダメです」と言われる。何かあるな、と思う。

そうすると、突然、金正恩さんが現れる。3回とも15万人の人々の中に現れた。皆、熱烈に歓迎している。

この「熱烈歓迎」と書いて、これは誤解されるかなと思った。

テレビではよく、大袈裟に、身振り手振りをして、全身で「喜び」や「悲しみ」を表現してる人々が出る。必ずそんな人々ばかりが出る。

そうすると、北朝鮮の人々は皆、そうなのか。おかしい、上から「強制」されてやってるんだろう。その大袈裟な身振りで「忠誠」を示すふりをし、自己保身をはかっているのではないか。…と、

したり顔で言う日本の評論家が多い。北になど一度も行ったことがないくせに。

又、「ピョンヤンは外国人用に見せている。仮の町だ。映画のセットと同じだ」と言う人もいる。愚かにも、私も信じていた。

ところが行ってみたら、そんなのは嘘であることが分かる。

④映像は嘘ではない。だが…

ピョンヤン市内 ピョンヤン市内

さて、全身で表す身振りだが、中にはいる。でも圧倒的に多くの人々は、普通に、おとなしく歓迎し、拍手している。アレレレッ、と思った。テレビで見るのとは違う。そうか、と分かった。外国のテレビや新聞は、全身表現派の人々を映した方が「絵」になる。だから、そればかりを撮る。

日本だって言えるだろう。8月15日の靖国神社に行くと、旧軍の服を着て、突撃ラッパを吹きながら行進する人がいる。

これは絵になる、と思うから、カメラマンは、そればかりを撮り、世界中に配信する。そうすると、「日本は軍国主義に戻っている」「又、戦争をしようとしている」と思う。反撥する。

考えてほしい。8月15日に軍服を着て、行進する人がいる。これは事実だ。世界のマスコミは、嘘を世界中に伝えているわけではない。

でも、そんなものは現代日本の極めて例外的な光景だ。それが今の日本を表している、と思われては困る。同じことは北朝鮮にも言える。

近代的なビルが建ち並ぶ。人々が穏やかにお祝いしている。

でも、そんな写真を見せると、皆、「北朝鮮らしくない」と言う。北朝鮮といったら、飢えてる人々。脱北者…そういうイメージしかない。それ以外のものは、「北朝鮮らしくない」といって受け付けないのだ。マスコミに我々が洗脳されているのだ。

柳京ホテルが見えます 柳京ホテルが見えます

そして、「北とは交渉する必要はない。断固制裁だ。追い詰めろ!」と言っている。でも、北はギブアップしない。

じゃ、戦争をするのか。それは出来ないだろう。だったら、どんな手を使ってでも、交渉の場に引き出す努力をすべきだ。それが全くないのだ。

金正恩さんに対しても、「傀儡だ」「軍に操られているだけだ」「国民は皆、不満を持っている」と日本のマスコミは論評する。

拉致、核を含め、向こうの政府を批判するのはいい。行って大いに議論し、喧嘩したらいい。

しかし、そんな勇気はない。日本という安全圏にいて、「やっちまえ!」と叫んでいるだけだ。

北朝鮮の政治家には問題があるし、政治体制も日本人には理解しにくい。それは当然だ。でも、人民に罪はない。偶然そこに生まれただけで、世界中から非難されるいわれはない。

でも、そんな人々に対しても、「なぜ、犯罪政権を倒さないのだ!」「なぜ我慢してるんだ!」と煽り立てる。無責任この上ない。

⑤除幕式で感じたこと

銅像の傍の体育館、マンション 銅像の傍の体育館、マンション

初めて、金正恩さんを見た時のことを書こう。13日(金)の夕方だった。銅像の除幕式に招待された。

日本でも有名な金日成主席の銅像がある。その隣りにもう1つある、金正日総書記の銅像が新たに作られたのだ。2つの巨大な銅像は白い幕で覆われている。

寒い日だった。私たちはコートを着、ホッカロンを入れて、待っていた。かなり待った。

銅像のある丘には20万人位の人がいる。丘の下の方にも人がいる。

近くの日本人が囁いた。「今日は若大将が来るらしいですよ」と。

まさか、と思った。正恩さんは前に「大将」の役職についたこともある。若いし、だから、「若大将」といったのだ。北朝鮮の人々もそんな意識なのかもしれない。

その時、金正恩さんが現れた。15万人が相手だ。穏やかに、そして喜んで迎えている。軍人、政治家のトップたちも並ぶ。

幕が除かれる。そして、花火だ。風船が飛ばされる。

しかし花火は、すぐ近くで打ち上げられた。だから、灰がパラパラと降ってくる。火の付いた段ボールも降ってくる。「ウワー、アチチ」と我々はよけている。コートについた灰を手で払っている。

このマンションが夜はライトアップ このマンションが夜はライトアップ

ところが壇上を見ると、軍人も政治家も、皆、直立不動だ。微動だにしない。コートも着てないし、灰も降るに任せている。毅然としている。日本の政治家なら、こうはいかないだろう。

巨大な銅像を見て、アレッと思った。前からあった金日成さんの銅像だが、でも、新しく作った金正日さんの銅像と色が同じだ。新しく塗り替えて、統一したのかな、と思った。

それに、金日成さんの顔が笑っている。前もそうだったのかな。と思って聞いた。

そしたら、「主席の銅像も作り直したのです」と言う。

驚いた。そういえば主席の銅像は前は、詰め襟の軍服だ。今度はネクタイで背広だ。そして、くつろいでいる姿勢だ。隣りの総書記も笑っている。これも改革開放なのかもしれない。

又、総書記が亡くなったのは12月の末だ。それから検討し、考え、作ったのだ。「100日で2つの巨大な銅像を作りました」と言う。

金日成花展示会場で 金日成花展示会場で

凄い。凄い力だ。又、近くには巨大なビルや体育館が造られた。夜はライトアップされている。日本のように地震はない。だから短期間で作れる、ということもあるだろう。

それにしても凄い力だ。花火大会も凄かったし、いろんなところを見た。

「そんな金があるなら、人民に食糧を配れ」と日本のマスコミは言う。正論かもしれないが、そうした威力を見せることで満足し、誇りに持つ国民も多いのだろう。少なくとも、若い指導者を迎え、期待している。そんな感じがした。

「それに比べ、民主的に選ばれた君たちの国の指導者はどうなんだ?」と問い返されているような気がした。

手続は民主的だ。しかし、そんな首相や政治家たちは何をやってくれたのか。

世界を見回すと、長期のしたたかな、政治家ばかりだ。マスコミだけを気にするひ弱な政治家しか持てない日本で、果たしていいのだろうか。と思った。

【だいありー】

羊角島ホテル47Fの展望レストランで 羊角島ホテル47Fの展望レストランで
  1. 4月9日(月)9時25分羽田発のNH1255便で北京へ。羽田でも北京でも、マスコミの人たちに随分と取材された。
     12時20分、北京着。北朝鮮の大使館に行って、ビザをもらう。その予定だったが混んでいて、「明日の朝に」ということ。果たして私も下りるのかと不安。
     夜、京倫飯店に泊まる。現地の新聞社の人たちと北朝鮮問題について話し合う。
  2. 4月10日(火)朝、大使館でビザをもらう。私も出ていた。ホッとする。
     13時北京発で北朝鮮へ。着いたら、私だけ離れたとこへ連れていかれて、待たされた。マズイな、と思ったら、ビザの裏がたまたま汚れていた。急いで重ねたからインクが大量についたようだ。それを不審に思われて、調べられたらしい。ホッとする。
金日成主席の生家で 金日成主席の生家で

羊角島(ヤンガクトウ)ホテルに泊まる。千室あるホテルが満員。外国人が多い。(私らも外国人だが)、ヨーロッパ人が多く、社会主義、共産主義の夢を捨て切れない人がいる。又、反米のため、北朝鮮に頑張ってもらいたいと思う人。いろいろだ。

インドの人に話しかけられた。「君はマルキストか?」と。「ノー。アナキストだ」と答えた。

  1. 4月11日(水)午前、万景台の金日成主席の生家訪問。記念植樹をする。午後、朝鮮仏教徒総連盟を表敬訪問。恵観さんが持ってきた「金正日千手観世音菩薩」の開眼供養をする。
     それから、正方山成仏寺に行く。去年、寄贈した「金日成主席観世音菩薩」参拝。
板門店で 板門店で
  1. 4月12日(木)軍事境界線の板門店に行く。ここは2度目だ。1番緊張している。アメリカ批判が一番激しい。「もしアメリカが侵略してきたら、断固闘います!」。そして、「アメリカという国を地球上から消します!」。凄い。消すのかよ、と思った。
     それからケソンに。高麗始祖王(王健)陸墓参観。高麗歴史博物館参観。
     夜、「よど号」メンバーと会う。こちらにいる6人全員が来てくれた。恵観さん、佐々木道博さん(恵観塾塾頭)などと一緒に会う。若松孝二監督から預かったDVD『11.25 自決の日。三島由紀夫と若者たち』を渡す。そして、日本から持ってきた本を渡した。
ハナ音楽センターで ハナ音楽センターで
  1. 4月13日(金)ハナ音楽センターに行く。金正日総書記が亡くなる2日前に訪れたところだ。この日、人工衛星の打ち上げが、軌道に乗らなかったとテレビで発表。ミサイルではないか、と言われたが、ミサイルなら、簡単に成功したのだが、難しい極軌道の人工衛星に挑戦したので、失敗したのだ、と言っていた。
     そのあと、金日成主席、金正日総書記の銅像の除幕式に招待される。金正恩第一書記を見た。アントニオ猪木さんは献花をしていた。
     そのあと、話をした。デビ夫人にも会って話をした。金丸信さんの息子さんの金丸信吾さんにも会った。
  2. 4月14日(土)太陽節慶祝行事。連帯の集会。又、人民文化宮殿で外国からの訪朝団の歓迎集会。世界中から多くの人々が来ていた。
  3. 4月15日(日)軍事パレードに招待されて見る。キムイルソン広場で。軍事パレードなんて、生まれて初めて見た。そして金正恩さんが現れて、演説した。まさに歴史の現場に立ち会ったという感じだ。
     「よど号」の人たちも来ていて、会った。12日(木)に渡した若松監督の三島由紀夫のDVDを見て、感動したと言っていた。「よど号」事件を聞いて三島が「先を越された!」と叫ぶシーンがある。これは実話だ。よど号が三島を奮い立たせたのだ。
     夜、花火大会。凄い花火だった。20万発だという。巨大な花火、巨大な噴水、レーザー光線、音楽…。度肝を抜く仕掛だ。ピョンヤンで、世界花火大会をやったらいい。優勝できるよ。主体塔を花火が駆け上がり、花開く。又、塔の壇上から、まるでミサイルのように四方に発射される。かなり思想的な花火大会だった。
     そして、金正恩さんが現れ、皆に手を振る。
キムイルソン総合大学の学生たちと キムイルソン総合大学の学生たちと
  1. 4月16日(月)キムイルソン総合大学に行く。親善大会。それから、産院の見学。元法相の南野智恵子さんの強い要請で実現した。向かいに、「よど号」の事務所のビルがあった。
     午後、銅像に行く。除幕式の時は写真が撮れなかったので、この日、行って撮る。対文協の人たちとの昼食。恵観さんが、親善勲章第一級を授与される。日本でいえば勲一等だ。
     夜、キムイルソン広場。青年学生10万人のマスゲーム。そして、踊り。「よど号」の人たちにも会った。途中から、若林さんと一緒に、踊りの輪に入って、一緒に踊った。1時間も踊り、足がガクガクした。でも、貴重な体験だ。
  2. 4月17日(火)朝、北朝鮮を発ち北京へ。新聞記者が沢山来ていて、取材される。3時、北京発。午後8時、羽田着。おみやげは全部、没収される。
     ただ、私が当たった税関職員は言っていた。「上からは、どんな小さなおみやげも取り上げろと言われている。しかし、私はそれに反対だ。ただの嫌がらせだ」と。他の人は、皆、取り上げられたようだ。関空に行った恵観さんたちも、徹底的にやられたようだ。
     家に帰ってきて、コンビニでデジカメの写真をプリント。それからFAX。留守電、郵便の整理をしてたら朝の5時になっていた。
  3. 4月18日(水)昼まで寝ようと思ったのに、7時に目が覚めた。「あっ、ここはピョンヤンか」と一瞬、思った。ずっと、朝早く起きてたので、癖がついた。
     午前中、電話、FAX、メールで追われる。3時、文化放送。北朝鮮報告をした。今日のゲストは鈴木宗男さん。北方領土問題などを聞いた。
     終わって、明治大学に。中沢新一さんの研究室で、「グリーンアクティブ」の会議。訪朝報告をした。加藤登紀子さんに会った。「よど号」は「帰りたい、帰れない」ですよと言った。加藤さんの歌そのままだ。
     山本コウタローさんには「放射線測定器 AIR COUNTERS-S」をもらった。津田大介さんは初対面。著書『動員の革命』(中公新書クラレ)をもらった。
  4. 4月19日(木)午前中、山中幸男さんに会う。明日から、北朝鮮に行くという。その打ち合わせで会った。午後3時、河合塾コスモ。今日から新学期だ。「現代文要約」「読書ゼミ」。
     ゼミでは橋爪大三郎の『民主主義はやっぱり最高の制度である』(現代書館)を読んだ。北朝鮮の報告をからめて話をした。そのあと、生徒と食事会へ。
  5. 4月20日(金)午前中、原稿。午後、取材。7時、文京シビックホール。「STOP!権力の暴走。国民大集会〜小沢一郎政治裁判の不当判決は許せない」。私も賛同人なので行きました。話しました。熱気ある集会でした。
     終わって、飲み会に行きました。北朝鮮のことを皆に聞かれました。
  6. 4月21日(土)打ち合わせ、報告、取材で忙しい。午後4時、週刊誌の座談会。午後7時からロフトプラスワン。
    〈映画最前線トークセッション。ドキュメンタリー映画と劇場映画の交差点。
    『3.11』と『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』を語る〉
     出演は、若松孝二、森達也、綿井健陽、安岡卓治、そして私です。大いに盛り上がりました。満員でした。途中、ピョンヤンに電話して、「よど号」の若林さんに「三島映画」の感想を聞きました。
  7. 4月22日(日)取材、打ち合わせ。原稿書きで、慌ただしかった。
     3時、立花、丸山、赤坂氏らと飲み会。

【写真説明】

金日成主席、金正日総書記の銅像の前で

①金日成主席、金正日総書記の銅像の前で。4月13日(金)の除幕式に招待されましたが、その時は写真撮影禁止だったので、改めて、4月16日(月)に行きました。

「よど号」グループの全員と会った

②4月12日(木)夜、羊角島ホテル47Fの展望レストランで。「よど号」6人全員と会いました。
 (左から)赤木志郎さん、森順子さん(田宮高麿夫人)、池口恵観さん、小西隆裕さん、鈴木、佐々木道博さん(恵観塾塾頭)、若林盛亮さん、安部公博さん、若林佐喜子さん。

小西さん、安部さんと

③小西隆裕さん、安部公博さんと。

ナイジェリアの代表団と。恵観さん、南野さんと

④ナイジェリアの代表団と。中央は恵観さん。そして、南野智恵子さん(元法相)。

板門店で

⑤板門店で。向こうに見えるのが韓国側の監視塔です。真ん中の青い建物が、南北が交渉する部屋です。

チュニジアの代表団と

⑥チュニジアの代表団と。世界各国から千人以上の代表団が来てました。

金日成花の展示会場で

⑦金日成花の展示会場で。

キムイルソン総合大学の学生たちと

⑧4月16日(月)キムイルソン総合大学を訪ねました。学生たちと。頭が良さそうですね。エリートばかりです。

ハナ音楽センターで

⑨ハナ音楽センターで。金正日総書記が最後に訪れた所です。音も映像もよかったです。あらゆる音楽が聴けます。

金日成主席の生家で

⑩金日成主席の生家で。4月13日(水)。私は、ここを訪ねるのは3回目です。

スウェーデンの代表団と

⑪スウェーデンの代表団と。各国の代表団との交流会、歓迎レセプションが沢山ありました。

ピョンヤン市内

⑫ピョンヤンの市内です。高層ビルが建ち並んでます。

柳京ホテルが見えます

⑬柳京ホテルが見えます。前は、ピラミッドみたいだと思いましたが、近づくと、ロケットのようです。「アメリカと戦争になったら、これが飛び立つもんや」と言ってた人がいました。訪朝団の人です。そんなこと、ありませんわ。

銅像の傍の体育館、マンション

⑭銅像の傍の体育館(左)とマンションです。去年3月に来た時は、ここには何もありませんでした。10月に来た時、工場が始まってました。そして、今年の4月に、もう出来てます。

このマンションが夜はライトアップ

⑮このマンションが夜には、こんなふうにライトアップされます。とてもきれいでした。

羊角島ホテル47Fの展望レストランで

⑯羊角島ホテルの47Fの展望レストランで。2時間くらいかけて、1周します。去年来た時は、「高い所から市内を写してはいけません」と撮影厳禁でした。今年は、「どうぞ、どうぞ」と言ってました。これも「開放」でしょう。⑫⑬⑮も、ここから撮りました。

金日成花展示会場で

⑰金日成花、展示会場で。金正日花もありました。

【お知らせ】

  1. 4月23日(月)TBS・CSニュースバード「ニュースの視点」14時30分から(再放送21時から)。「あさま山荘事件から40年②連合赤軍化する日本」。植垣康博さんと私が出ます。
  2. 4月24日(火)政治・社会のあり方を問う!「佐高信政治塾」の2012年(第Ⅵ期)が仙台で行われます。
     第1回は、4月24日(火)で、佐高信さんと私の対談です。「右翼と左翼の交差点」です。18時30分より。会場はハーネル仙台です。
     これ以降、月に1回ずつ、行われます。講師は、鴨桃代、照屋寛徳、長谷川公一、朴慶南…さんなどです。
  3. 4月25日(水)午後7時、池袋ジュンク堂。宮台真司さんと私のトークがあります。
  4. 5月10日(木)午後7時、一水会フォーラムホテルサンルート高田馬場。講師は若松孝二さんです。
  5. 5月12日(土)名古屋で講演会です。
  6. 5月13日(日)連合赤軍40年を考える集い。午後1時より、目黒区民会館。シンポジウムのゲストは。森達也さん、雨宮処凛さん、山本直樹さんなどです。私も出ます。
  7. 5月15日(火)岐阜の大夢祭。私も参加します。
  8. 5月26日(土)1時から、京都大学の寮で「笑いの内閣」の公演。そのあとのトークに私も出ます。
  9. 6月2日(土)午後2時。「マガ9学校」。新宿カタログハウスで。山本譲司さん(元衆議院議員。『獄窓記』著者)と私が対談します。
  10. 6月10日(日)午後2時より。西宮で鈴木邦男ゼミ。Caféインティライミ(阪神・西宮駅すぐ)。今回のゲストは、田原総一朗さんです。
    〈25年を迎えた朝日新聞阪神支局襲撃事件の真相と意味=今、言論の自由と暴力の問題を考える=〉
     お問い合わせ・お申し込みは、事務局へ。Tel 0798(49)5302へ。
  11. 6月15日(金)午後7時。ホテルサンルート高田馬場。一水会フォーラム。講師は辻井喬さん(詩人・作家)です。
  12. 6月20日(水)池袋ジュンク堂。7時半より、佐高信さんとトーク。3月からいろんな人を招いて、トーク「佐高信書店」が始まります。6月は私です。