歴史的な大集会でしたね。歴史的な大デモでした。7月16日(月)、代々木公園の「さようなら原発・10万人集会」です。
それにしても暑かった。猛暑だ。今年1番の暑さだった。でも、人はどんどん集まってくる。人、人、人の波だ。
「10万人集会」と呼びかけたが、何と、主催者の思惑を超えて、17万人が集まった。
凄い! 次の日の「警察発表」は何人というのだろうか。「又、1万人とでも言うんじゃないのか」と参加者は噂し合っていた。
翌日の新聞を見たら、「警察発表7万5千人」と出ていた。10万人近いことを渋々認めていたのだ。
当日はヘリコプターが6、7台、飛んでいた。集会の全体、デモの全体を撮っていた写真も新聞に出た。
それを丹念に数えたら、大体の数は出る。いくら警察が、デモの人数を少なく発表しようと思っても、「1万人」などと捏造は出来なかったのだ。
何なら、第三者の機関を作ったらいいのに。主催者や警察とは全く別の、中立的な機関だ。たとえば視聴率を調べる機関のようなものだ。あるいは新聞の発行部数を調べる「ABC調査」のようなものだ。
出来たらマスコミが金を出し合って作るか。いや、興信所がやるか。広告会社か。
でも、莫大な金がかかる。ヘリコプターをチャーターし、あらゆる角度から写真を撮り、デモの全体を撮る。それを拡大し、カウントする。ウーン、難しいかな。でも、そのうち、衛星を使った調査機関が出来るかもしれない。
この日の「17万人」は、野田政権へもかなり大きな「打撃」になるはずだ。「日刊ゲンダイ」(7月18日号。17日発売)では、「野田怯える10万人集会」と出ていた。
これは言える。ピッタリの表現だ。16日の「熱い集会」を報じ、こう言う。
〈“警視庁調べ”でも、これまでとはケタ違いの「7万5000人」という数字を出さざるを得ない規模に膨れ上がった〉
この大集団がデモに移るのだが、17万人だから3つに分けてデモをする。
〈デモ行進も大規模、13時半からは、原宿、渋谷、新宿と3コースに別れて行進し、相変わらずの警察官や警察車両による厳しい分断作戦のなか、参加者らが楽器を鳴らし「再稼働反対」「原発いらない」「いますぐ廃炉」などとシュプレヒコールを上げ続けた。
この光景を見ても、まだ愚鈍首相は無視するつもりか〉
最後の1行が凄いね。「愚鈍首相」と厳しく言い切っている。
この日のデモは3コースだが、その前の集会も、第1ステージ(サッカー場)、第2ステージ(野外音楽堂)、第3案内カー、第4案内カーと、4つの「集会」が行われていた。
第1ステージでは坂本龍一さん、大江健三郎さんらが発言し、そのあと、広瀬隆さんたちが発言する。
11時半から始まり、「日刊ゲンダイ」が書くように、午後1時半にデモは出発した。
しかし集会は、「4会場」とも、まだ続いている。プログラムによると、どこも、集会が終わるのは「4時過ぎ」になっている。
じゃ、この集会に出たら、デモに行けない。どっちかを選択するのだろう、と思った。
「第3案内カー」では、藤波心ちゃんとかなるちゃんのライブがある。午後2時半からだ。デモは出たあとにやるのか。ともかく、見よう、と思って見た。3時過ぎだ。
でも、驚いた。まだデモは続々と出で行く。つまり、1時半にデモの先頭は代々木公園を出発しても、最後の方が出るのは4時頃なのだ。それだけ時間がかかる。
それを見越して主催者は、4時まで集会、ライブを入れていたのだ。
私らがデモに入ったのは、3時過ぎ。でも、後ろにはまだまだ続く。
さらに、驚いたことに、デモをしていた我々の手に、新聞を配っている人がいる。もらったら、「赤旗」の号外だった。
何と、今やっていた集会の写真が出ていた。赤旗がチャーターしたヘリコプターから写した写真が一面に大きく出ている。4面には集会やデモに集まった人々の写真も。
これには驚いた。共産党本部は代々木だから、近いとはいえ、1時間もしないうちに、新聞を作って、デモの人々に配っているんだ。
もらった人たちも、皆、驚いていた。
それに、この日は、共産党だけでなく、社民党も、民主党の一部も、又、労働組合も、いろんな人々が来ている。それらの幟も林立していた。
「赤旗」の他に、「解放」を配っている人もいた。「革マル派」の機関紙だ。又、他の新左翼セクトもあった。
昔なら考えられない。日共も反日共も一緒に新聞を配っているのだ。このことで喧嘩にもならない。いいことだ。
集会の話に戻す。第1ステージでは、昼から、小室等さんらのオープニングライブ。そして、呼びかけ人挨拶がある。神田香織さんが司会で、7人の呼びかけ人が次々と発言する。
坂本龍一、鎌田慧、内橋克人、大江健三郎、落合恵子、澤地久枝、瀬戸内寂聴さんだ。このサッカー場だけで、15万人ほどの人が、地べたに座り込んで、聞いている。
私も、ここに入って、聞いた。もの凄い暑さだ。でも誰も帰らない。
壇上の7人だって、何時間も、ずっと座っている。ほとんどが70才以上の人だ。
瀬戸内さんなんて、90才だ。「皆に止められたけど、この集会だけは冥土の土産として見なくては、と思って来ました」と言っていた。悲壮な覚悟だ。
又、第2ステージでは、午前11時から、集会が開始されていた。
古今亭菊千代さんの司会で、「制服向上委員会」のライブ。さらには、雨宮処凛、池田香代子、香山リカさんらのトークもある。
そして、第3案内カーでは、先に言ったように、藤波心ちゃん、かなるちゃんのライブがあるし、津田大介、松田美由紀、天木直人さんらのトークもあり、趙博さんのライブもある。
第4案内カーでは、原発現地からの報告、海外から来た人々の挨拶などがある。4つの会場で、同時並行で、ライブ、トーク、挨拶が行われたのだ。
知り合いの人も多いし、各会場に皆、行ってみたかったが、無理だ。
第1ステージを主に見て、あとは第3案内カーの藤波心ちゃん、かなるちゃんの歌を聞いて、あとは、デモに参加した。
1つにまとめてやったらいいのだろうが、人が多すぎて出来ないのだ。何とも贅沢な集会だった。
メイン会場では、ノーベル賞作家の大江健三郎さんが、こう発言していた。
〈原発事故がなお続く中で、大飯原発を再稼働させた政府に私らは今、侮辱されていると感じる。政府のもくろみを打ち倒さなければならない〉
坂本龍一さん、澤地久枝さんらも、首相を批判し、脱原発を強く訴えた。落合恵子さんは、首相の発言、民主党の政策に対し、こう痛烈に批判した。
〈コンクリートから人へと言った人たちも、命より原発を選んだ〉
〈私たちの声は大きな「音」ではないのです。声を音というのは民主主義ではありません〉
何でも、野田首相は、官邸デモを「大きな音だね」と茶化したそうだが、それに対する批判だ。
これで思い出したことがある。60年安保の時、何十万人ものデモ隊に連日、取り囲まれながら岸首相は、「これだけが国民の声ではない」と言った。
「声なき声が自分を支持している」と言い、さらに、「後楽園球場では、満員の人々が野球を楽しんでいる」と見当違いなことを言った。
デモへ行かないで、野球を見てる人も多いから、自分への批判は「一部の声だ」と言いたいのだろう。
これには、野球ファンも頭に来た。そして、岸首相は自分の発言で墓穴を掘った。
野田首相も、「大きな音だね」と〈冷静ぶって〉言ったつもりだろうが、墓穴を掘る。「愚鈍首相」なんて言われるのだし。
朝10時に集合し、集会に出て、デモに出て、終わったのは午後7時だ。9時間も集会・デモをやってたんだ。仕事よりも疲れた。
でも、今まで何百回とデモに出たが、1番ビッグなデモだった。なんせ、17万人だし。「60年安保の時の反安保デモを思い出すなー」と言ってた人もいた。年配者が多いのだ。
この調子だと、毎週金曜日の官邸デモもさらに盛り上がるだろう。
他にも、いろんなデモが計画されている。政府としても無視出来なくなるだろう。
原発で選挙をやるのが無理なら、国民投票をやったらいい。なし崩しに続々と原発を再稼働されてはたまらない。
テレビの討論番組を見ていたら、「原発ゼロ」か、「25%か」「50%か」という3つの選択肢で討論をしていた。初めから、そんな選択肢を出すこと自体がおかしい。
「ここで視聴者の意見を聞いてみましょう」と、アンケートをまとめると、70%以上が「原発ゼロ」なのだ。その圧倒的な「声」を無視して、3つの選択肢を作ること自体がおかしい。
そうだ。デモで歩いている間に、いろんな人たちに会ったな。雨宮処凛さん、元気いいぞうさん、趙博さん、松元ヒロさん。
デモでは各悌団毎にハンドマイクを持った人がいて、シュプレヒコールの先導をする。
「原発やめろ!」「原発いらない!」。
さらに、「福島を返せ!」「海を返せ!」「畑を返せ!」と叫ぶ。
私も大声を上げて叫びましたよ。そしたら、隣を歩いていた人が、「彼女を返せ!」と叫んだ。
な、なんなんだ、これは。話を聞いてみると、最近、彼女を他の男に奪われたらしい。
だったら、その男の所へ抗議に行けよ。と思ったが、「でも、原発にも反対なんです」と言う。
逃げられた彼女とは結婚し、子供を産んでもらおうと真剣に考えていた。その男が、「畑を返せ!」と叫ぶと、何か、別の意味のように聞こえる。ナマナマしい。
「原発反対!」「再稼働反対!」
と皆がシュプレヒコールをする。別の男が叫んでいた。
「再婚、反対!」
なんだ、これは。結婚していた奥さんが離婚して、それだけでも許せないのに、他の男と再婚するという。
原発も反対だが、嫁の再婚も反対だ!と言う。自分の個人的恨みをぶつけるな、と言う人もいるが、私はいいと思いますよ。原発にも反対してるんだし。自分の問題として、自らの存在をかけて、原発に反対するんだよ。いいことだ。
昔と違って、機動隊と乱闘になったりすることはない。これはいい。
「こんなテレテレしたデモでいいのか。もっと戦うデモを!」と叫ぶ人もいるが、いいじゃないか。平和なデモで。
テレビのレポーターに私もインタビューされた。
「昔は、もっと激しいデモだったんじゃないですか」
「激しかったですよ。デモに行く時はいつも“逮捕覚悟”でしたから。それと比べると大変な違いです。でも今の方がいいですよ」
「そうですね。子供連れの人も沢山いるし。ともかく、原発反対の意志表示をしなくては、という感じですね」
「そうか。私も子供を連れてくればよかった」
「そうですよ。次はぜひ、そうして下さい」
「そうします」
で、終わりました。
疲れたけど、充実した1日だった。日焼けして、両腕がヒリヒリする。
しかし、国民の大多数は脱原発なのに、政府は「原発再稼働」だ。「反対の声は声として聞いておきます。しかし、日本のエネルギーは原発なしではやっていけない。それは〈政治主導〉で決めないと」…と、思っているのだろう。誤った「政治主導」だ。そして、これこそが愚鈍政策だ。
愚民とされた我々には、もう、デモしかないのか。他に手段はないのか。…と、考え込んだ1日だった。
しかし、政府は、その「声」を全く聞こうとしない。デモのことを聞かれても、「大きな音だね」と言っていた。でも、無視出来ない状況に来てるのではないか。「アラブの春」に似ていると言う人もいる。
又、将来のエネルギー政策をめぐる意見聴取会では、たとえば仙台市では、東北電力の社員が発言者に選ばれたり。名古屋では、中部電力の社員が入っていたり。細野大臣は「全くアトランダムな抽選をしているが」と言ってるが、内容が全くおかしい。稚拙なやり方が暴露されている。そして、「国民の声」は聞こうとしない。これをどうしたらいいのか。じっくりと考えました。
「編集長は見た!」は「サイゾー」の岩崎貴久編集長。8月号は特集が「五輪毒本」。「読む本」ではなく、「毒の本」になってる。たとえば…
〈オリンピック銅メダリスト・山口香が語る選手起用法を誤った日本柔道界の“罪”〉
〈オリンピックの申し子・橋本聖子。
生理も止まった執念の12年史〉
どれも興味深い話だった。
終わって、Wコロンの謎かけ。そして、Ust延長戦。
⑥デモには、ゲバラの旗も。でかい旗です。持つのも大変です。「叛旗兵未だ狼煙は上がらず」と書かれてました。
他にも、「日大全共闘」や、各地の労働組合の旗も。又、革マル派の「解放」、共産党の「赤旗」、民主主義的社会主義運動の「週刊MDS」を配っている人もいました。いいですね、自由で、アナーキーで。
⑧7月12日(木)の〈「日本の司法を正す会」5周年記念講演・シンポジウムと懇親会〉です。ホテルニューオータニです。これは、シンポジウムの写真です。四文字熟語の「理信学邁」の4名です。青木理、佐高信、宮崎学、西部邁さんです。
⑬一水会を創って40年。その話をしました。「1970年は、毎日新聞に勤めてたんですか?」と、読んだ人に言われました。そう書いてあったそうです。あれっ?産経新聞に勤めてたと思ったけど。
でも、『実話時報』が間違えるわけはない。ヤクザの記事が多いから、名前や団体名を間違えたら大変だ。もの凄く気を使う。慎重だし、正確だ。だから、『実話時報』が間違うはずはない。産経にいたと思ったけど、これは私の記憶違いだ。本当は、毎日新聞に勤めていたんですね。