7月28日(土)、大阪で、「和歌山カレー事件」を考える集会に行った。
その前に、東京で、映画「死刑弁護人」を見た。東海テレビが作った衝撃のドキュメンタリーだ。
映画は、数多くの死刑事件を引き受け、闘う安田好弘弁護士(64才)を追う。
「オウム真理教事件」麻原彰晃
「和歌山カレー事件」林眞須美
「名古屋女子大生誘拐事件」木村修治
「光市母子殺害事件」元少年
「新宿西口バス放火事件」丸山博文
安田さんは、これら、全ての事件を担当している。「なぜこんな人間を弁護するのか」とも言われる。「悪魔の弁護人」と呼ばれることも。
それでもなお、闘う。
この映画の中で、まず初めに、「和歌山カレー事件」について語る。
「普通、冤罪の被害者といえば、無辜の民のイメージがある。でも林眞須美さんは、無辜の民ではない。いわば、“サギ屋さん”です」。
カレー事件で「死刑」確定した林眞須美さんのことを、こう言う。自分の弁護する人を、「サギ屋さん」だと言う。
仲間内で保険を掛け合って、病気になり、保険金を騙し取る。その時、ヒ素を使う。死なない程度に。重症にならない程度に。
体を賭けた、保険金詐欺だ。それをずっとやってきた。何億という金を稼いだ。贅沢三昧の生活をしてきた。
とても、「いい人」ではない。金には、もの凄い執着がある。「だからこそ一銭にもならない殺人などするはずがない」
安田さんはそう言う。この安田さんの言葉には説得力がある。
でも一般の人達は、犯罪を犯したことがないから、「詐欺をするような人間だから殺人もするだろう」と思う。
しかし違う。それは犯罪をやったことがない人間だから、そう思うのだ。捕まったことのない人間だから、そう思う。
詐欺で成功し、何億という金を手に入れ、贅沢な生活をしてる人間は、それを失うことを怖れる。一銭にもならない「殺人」などしない。
又、動機はないし、証拠もない。
しかし、マスコミが騒ぎ、「早く捕まえろ」「犯人はこいつしかいない」とばかりにわめき出した。それで、警察も逮捕した。奇妙な話だ。
事件が起きたのは14年前だ。1998年7月25日に起きた。(だから、この「和歌山カレー事件を考える集会」も、7月下旬の土曜か日曜にやっている)。
1998年7月25日、和歌山市園部で夏祭りのカレーに何者かが亜ヒ酸を混入。60人以上が死傷。
1週間後の8月2日、警察庁科警研の鑑定により、カレーに亜ヒ酸が混入されていたと判明。
この頃、林眞須美さん、健治さん夫婦と一緒にヒ素を“飲む”などの手口で保険金詐欺を繰り返していた男性たちに対し、警察の事情聴取が始まる。そして新聞でも次々と報道される。
テレビでは、林眞須美さんが自宅を取り囲む記者たちにホースで水をかける映像が繰り返し、流れていた。
私も、あの映像は印象にある。マスコミの余りにしつこい取材に、キレてしまって、たった1回やった。
でも、毎日、毎日流されると、毎日やってるように思う。こんなことをする女だから…。保険金詐欺をして、犯罪に慣れてる女だから…カレーも。と思ってしまう。
それに、「ヒ素を扱ってる人なんていない」と思われたが、和歌山ではけつこういる。「白アリ駆除」として、かなり一般的に使われている。
又、「いい人」ではないが、だからといって、動機も証拠もないのに、「殺人犯」にされてはかなわない。「疑わしきは罰せず」のはずなのに、疑わしきは全て罰しているのが日本の司法だ。
「東電OL事件」のゴビンタさんは釈放され、国に帰った。再審が始まる。
しかし、袴田事件、名張ぶどう酒事件は再審確実と思われながら、そうならなかった。
それだけ、検察、裁判所の「権威」を守りたいのか。
前に、和歌山市で、「和歌山カレー事件を考える集会」をやった。かなり多くの人たちが来ていた。その時のゲストは、山田悦子さんだった。
「甲山事件」で、殺人犯にされたが、その後、冤罪が晴れて、社会に復帰した。
それで、山田さんは、どうしたら冤罪を晴らせるかを紹介した。冤罪を晴らし、無罪になるためには。
ある弁護士から聞いた、と言ってこう紹介していた。
第1に、「筋」がいいこと。第2に「玉」がいいこと。
甲山事件はそれに当てはまったのだ。全国から多くの支援者が集まったし、「これはおかしい」と誰もが思った。
山田悦子さんという「玉」もよかった。みなに好かれる人だし、どんな時でも、明るく頑張っていた。
他には、弁護士がいいこと。それに、「お金」の問題もある。
なるほどと、その話を聞いて思った。その点、「カレー事件」は、どれも、よくない。「筋」もよくない。
いろんな人に聞いても、「あれはやってるでしょう」と皆、無責任に言う。
「だって、ヒ素を持ってたんでしょう」「それにヒ素を使って保険金詐欺をやってたんだ。他に犯人はいないよ」と言う。
「玉」も悪い。あの、ホースでマスコミに水をかけるシーンばかりが流される。
だから、裁判にしたら、かなり不利だ。でも、やってない。それに、弁護士はいい。
安田弁護士は「映画」の中で言っていた。
「林眞須美さんは、夫婦で詐欺をやって豪華な生活をしていたのですから、一銭の得にもならないことをやるはずがない。この裁判は勝てなければ、弁護士として恥です」。
そうか。「弁護士として恥」か。そこまで断言するのだ。
では、集会の話をしよう。
7月28日(土)2時15分開始。場所は大阪の御堂会館だ。
〈和歌山カレー事件から14年。林眞須美さんは、獄中から無実を訴え続けています!〉
ちょっと遅れて始まった。旦那さんの林健治さんが、来るのが遅れたからだ。
体調が悪くて、車椅子で来られた。大きなマスクをしている。「声もあまり出ない」とのことで、短い挨拶だった。
「この暑い日に、これだけ多くの人が集まってくれて、ありがたい。最近、眞須美に面会してきたが、とても元気でした」と言う。
1日も早く、助け出してあげたいと言う。
そのあとは、ゲストの青木理さんの講演。「『絞首刑』その後」だ。青木さんは、2008年、講談社から、『絞首刑』という本を出した。
1時間ほど、カレー事件について、死刑について青木さんが話す。
そのあと、安田弁護士の報告。今、再審請求がどうなっているか。今、再審請求する点について科学的な専門知識が必要なので、若い弁護士を3人、入れて強化しました、という。
その3人の紹介と抱負が語られる。それから、「林眞須美さんを支援する会」代表の私の挨拶。
その前に、元刑事の飛松さんが来てますので、ぜひ一言、意見を喋って下さいとお願いした。
飛松さんは当時、兵庫県警の刑事だった。これはおかしい、と初めから思っていた。
マスコミにせっつかれて、警察は林眞須美さんを捕まえた。しかし、ヒ素の発見、当日の祭りの様子なども含め、警察は曖昧にしていることが多い。
自分たちが押収したものも、自分たちに都合のいいものしか出してこない。これは、もう一度、キチンと調べ直す必要がある。
だったら、ぜひ、飛松さんに行ってもらって調べてほしい。
又、この日来ていた林健治さんとも特別対談してもらいたい。かなり、カレー事件の〈謎〉に迫れると思う。
飛松さんのあとは、私が話をした。弁護士さんは、正面から正攻法で、法廷で攻める。
私らは、素人だから、あらゆる手を考えて、この事件へのイメージを変える。
そして、事件の本質をはっきりと訴えてゆく。それをやるべきだ、と言った。
「たかじん」では、かつて、ざこばさんたちが眞須美さんに面会に行ってたが、それを放送の時、言ってくれた。
「物証もないし、動機もないし、これはおかしい」と言っていた。
「たかじん」の他のゲストも、過半数が、「この判決はおかしい」だった。
又、「週刊SPA!」で、「林眞須美さんは無罪である」という特集をやった。
これから、警察にも話し合いを求めてゆく。
又、いろいろ言われているが、(これは私個人の考えだが)、「真犯人」に訴えるビラを作る。皆から募金して、「眞須美ちゃん基金」を作る。真犯人にあげるのだ。だから名乗り出てくれ、と言う。
あるいは、正しい情報を与えた人には、お金を払う。
もし、どうしても、顔を出し、名前を出すのは困るというのなら、匿名でもいい。匿名でも、「犯人しか知らないこと」があったら、警察だって、眞須美さんを釈放せざるを得ない。
他にも、どうしたら眞須美さんを救出できるかを考えていた。その話は、二次会のお店にまで続いて、安田さん、飛松さん…を加え、必死に考えました。
7月29日に開票された山口県知事選で、自民党と公明党が推薦する元国土交通審議官の山本繁太郎氏が、脱原発を掲げた「環境エネルギー政策研究所」所長の飯田哲也氏ら3人を破り、初当選した。
山本氏は25万票。飯田氏は18万票。善戦だ。それに山本氏は、上関原発の運転については「凍結」を明言し、オスプレイについて、「搬入は誠に遺憾。安全が確認されない限り飛行しないよう要請すべきだ」と主張。つまり、支援団体の考えを離れて、飯田氏の主張を取り入れて、かろうじて勝ったのだ。
だったら、飯田氏が勝ったようなものだ。これから原発運転で、自民から圧力をかけられ、考えを変えることがあったら、即座にリコールされるだろう。今回の選挙結果から見て、基盤は脆弱だ。長くは続かないだろう。
「編集長は見た!」は「週刊金曜日」の平井康嗣編集長。特集は、
〈菅直人・前首相単独インタビュー。
隠ぺい続く福島原発事故。東電への強制調査も必要〉。
続いての特集は、
〈電磁波の「人体への影響ナシ」は説得力ゼロ。「夢の超特急」見切り発車が許されるカラクリ〉
放送が終わって、貞包アナウンサーが、「今晩、グリーン・アクティブとap bankの集まりがありますよ」と言う。えっ?知らなかった。たしかに、中沢新一さん、宮台真司さんたちが出る。
それで、代官山のUNITに行く。もの凄い人だった。1000人近い人じゃないのか。当日券なので、1時間ほど並んでやっと入れた。大ステージでは立ち見。トークと音楽のライブがミックスした反原発集会だった。中沢新一さん、宮台真司さん、高橋源一郎さん、小林武史さんなどがトークをする。
後ろで立っていて見えないので、トークが終わったら、帰ろうと思って、上の別の会場で飲んでたら、そこでも又、トークが始まる。「ちょうどいい。鈴木さんも上がって下さい」と。
宮台さん、松田美由紀さん、マエキタミヤコさんたちとトーク。それが何と、12時頃まで。疲れた。タクシーで帰ろうとしたら、マエキタさんの旦那さんが運転する車で送ってくれた。ありがとうございました。
「日本が負けるはずがない。勝ったのだ」と主張する勝ち組は、「負け組」を次々と襲い、殺す。イデオロギー戦争だ。まるで連合赤軍事件だな、と思った。植垣さんやレーニンさんにも見てもらわなくっちゃ。実は、寺脇研さんから、「ぜひ見て下さい」と言われ、試写会の案内状が来ていた。しかし、どの日も行けなくて、一般の公開で見た。ぜひ、皆さんも見てみて下さい。
そのあと、渋谷のAISHO MIURA ARTSでやっていた秋山祐徳太子さんの展示を見る。それから、河合塾コスモに行って、自習室で勉強。
夜、7時から、西荻窪のスナック「HANA」。
〈杉正太郎トーク&コンサートライブvol.4〉
杉さんと私が同じ誕生日(8月2日)だというので、去年に続いて、「バースディ・コンサート」。前半、杉さんがギターを弾きながら歌う。それから私の「北朝鮮報告」。
7月に訪朝した椎野レーニンさんも来てくれて、最新北朝鮮レポートを追加してくれました。楽しかったです。
「これが世界の坂本龍一か」と感動しましたね。そこに飯田哲也さんが現れ、山口県知事選の話をしました。「鈴木さんが応援に来てくれたら勝ったのに。残念です」。「私なんかが行ったら迷惑だと思って遠慮してたんです」「でも、山口は保守王国ですよ。そこに右の鈴木さんが来て、脱原発を言ってくれたら、コロリと変わりますよ」。
そうか。申し訳ないことをした。「すみません」と謝りました。三上治さんや、「原発国民投票の会」の今井一さんなどにも会いました。
ゲストは、森達也さん、斎藤貴男さん、青木理さん。それに、松元ヒロさんも来て、芸を見せてくれました。
第2部は、植垣康博さん、椎野レーニンさんたちの「北朝鮮報告」でした。元連合赤軍兵士の植垣さんが、「よど号」赤軍の人たちと会ったのです。どんな話をしたのか、映像に収められたので、会場に流れました。ピョンヤンの遊園地のジェットコースターにも乗って、絶叫したそうです。この様子も映像で流れました。
又、元連合赤軍の青砥幹夫さん、赤軍派の金廣志さんも発言してくれました。「連合赤軍」と「よど号」の話になりました。又、山中幸男さん、新崎盛吾さん、赤岩友香さんも来て発言してくれました。
終わって、近くの居酒屋で二次会をやりました。そこに、飛松五男さんも合流してくれました。終わって、三次会へ。楽しかったです。
⑤7月26日(木)夜7時、ロフトプラスワン。
〈「週刊金曜日」創刊900号記念。「言いたいことは山ほどあるノダ」〉
(第1部)「日本の政治はどうなっているノダ」
(左より)鈴木、宇都宮健児さん(前日弁連会長)、平井康嗣さん(司会。「週刊金曜日」編集長)、西川伸一さん(明治大学教授)、佐高信さん。
⑯元大相撲からプロレスラー、格闘家になった安田忠夫さんと。7月27日(金)、ネイキッドロフトで。木曽さんちゅうさんとロケット団の三浦さんのイベントのゲストで来てました。192cmです。やはり大きいです。
⑱8月2日(木)午後7時30分より、西荻窪の「HANA」で。
〈杉正太郎トーク&コンサートライブvol.4
「鈴木邦男が北朝鮮を語る」〉
4月に訪朝した時の話をしました。7月に訪朝したレーニンさんの報告もありました。