会場は超満員だった。椅子をいくら入れても足りない。立ってる人や、廊下で聞いてる人もいる。
何せ、「時の人」だ。ぜひ一目見てみたい。話を聞いてみたい。出来ることなら質問をしてみたい。皆、そう思って来たのだ。
「金正日総書記の専属料理人」だった藤本健二さんが、一水会フォーラムの講師で来てくれたのだ。8月28日(火)午後7時から、ホテルサンルート高田馬場だ。
一水会フォーラムは毎月1回やっている。8月は8日(水)に既に終わっている。航空評論家の小河正義さんを呼んで、「オスプレイは安全か?」と題して話してもらった。月に2回というのは例がない。今回は「緊急例会」だ。
それだけ、重要であり、どうしても聞いてみたかったのだ。藤本さんは9月になると又、訪朝する。だから、超多忙な中を、無理を言って、来てもらった。
午後7時キッカリに藤本さんは来てくれた。1時間20分ほど話してくれ、あとは質問を受ける。かなり厳しい質問も出たが、その全てに丁寧に答えていた。
そして午後9時には、待ってる車に乗り込んで去っていった。テレビの仕事がある。又、そこに行くまでは車の内で雑誌の取材だという。
「打ち上げにも出たいが、仕事が立て込んでいて」と藤本さん。当然だ。テレビ、週刊誌、新聞…と、あらゆるメディアから取材の申し込みがあり、応じている。
先週のHPにも書いたが、8月上旬、藤本さんが帰国してすぐに、木村三浩・一水会代表と私は会った。その時、詳しい話を聞き、一緒に写真も撮った。
ただ、「8月25日までは公表しないでほしい」と藤本さんに言われた。TBSテレビの独占放送があるし、それが終わってからにしてほしいという。「約束」は守り、8月27日(月)アップのこのHPで写真を出した。
8月22日(木)、23日(金)とTBSには特集に出まくりだった。特に「みのもんたの朝ズバ!」や中居正広の「金スマ」は凄かった。その後は、他の局にも出まくっていた。
凄い反響だった。これで日朝関係も変わる。拉致問題も動く。
だって、藤本さんは、金正恩第一書記の前で、横田めぐみさんの話をしたのだ。「日本では全ての人が横田めぐみさんが帰ることを願っています。この問題さえ解決すれば、日朝関係は急速に好転します」と言った。
第一書記は、じっと聞いていたという。誰も話を遮らない。マズイ事だと側近が止める。それがなく、全部、話せた。又、事前に、「このことを話したい」とメモを出した。それも止められなかった。
これは驚きだ。政府間レベルや事務レベルの会議では「拉致」の話は入れてもらっては困る。それがあるなら応じられないと、長い間、揉めてきたのだ。それなのに、北朝鮮のトップに、料理人が〈直訴〉したのだ。命懸けの行為だ。
こんなこと、今まで誰も出来なかった。やはり、この人は違う。首相や政治家にも、この覚悟があったら、日本は変わるのに。
先週も書いたが、藤本さんは金正日総書記に信頼されていた。「こいつは違う」「信用出来る」と思われていた。
しかし、普通の人では出来ない。総書記とジェットスキーの「真剣勝負」をやり、勝ってしまう。「真剣勝負だぞ!本気だぞ!」と言われても、普通なら、全力を出せない。勝ったら命はない、と思って、脅える。それなのに勝った。初めから、命を捨てている。
他にも、いろんな話を聞いた。総書記に対し、よくそんな〈勝負〉、〈選択〉が出来ると思う。
そんな態度を見せたのは藤本さんだけだ。金総書記だって、初めは戸惑ったはずだ。何だこいつは、と思ったはずだ。
でも、「こいつは違う」と思った。だから信用し、子供たちへの「遊び相手」にした。特に3男の正恩氏は、藤本さんを慕い、よく遊び、又、大きくなってから、いろいろ相談した。
「共和国はなぜ貧しいのか。どうしたら人々が豊かになれるのか」と。正恩氏は外国に留学しているし、外国をよく見ている。客観的に見れたのだ。
夜中に、藤本さんの部屋のドアを叩き、「タバコ!」と、ねだったという。「パパには内緒だぞ」と念を押して。いい話だ。そこまで信頼されていたのだ。
28日のフォーラムでは意外な話を沢山聞いた。
藤本さんは、金正恩第一書記に再会し、涙、涙だった。
横田めぐみさんの話をし、「ぜひ帰国させてほしい」と直訴した。フォーラムでは、さらに言っていた。「絶対に生きてます。めぐみさんの手を引いて、飛行機のタラップから降りてくる姿を夢見ます」と。
金正恩第一書記と再会した後に、子供と会い、8月4日(土)に北京に着いた。本当なら、その日のうちに日本に着くはずだ。
ところが、大変なことに気がついた。ハッとした。大切な写真を忘れてきたのだ。金正恩第一書記と一緒の写真だ。それがなかったら、信用されない。少なくとも、「説得力」がない。
それで、向こうの人に持ってきてもらった。
しかし、翌5日(日)は飛行機はない。それで6日(月)に持ってきてもらい、7日(火)に日本に帰国した。
そして、(今、初めて明かすが)、その3日後、8月10日(金)の昼に、我々(木村氏と私)は、藤本さんに会った。赤坂で会った。
大きなスーツケースを持っていた。まだ家に帰ってないという。実は、会った時、誰か分からなかった。全くの素顔だったからだ。こういう人だったのか、と思った。この素顔なら、どこを歩いても誰も気づかない。
昼から、ビールを飲みながら、話を聞いた。その時、写真も撮った。
バンダナは持ってないというので、私の帽子を貸した。金曜日は「脱原発・官邸抗議デモ」に行く日で帽子を用意してたからだ。
その時、例の衝撃写真も見せてもらった。金正恩第一書記と抱き合っている写真だ。驚いた。それと同時に、この人はやっぱり〈本物だ〉と思った。
そして、8月28日(火)の一水会フォーラムの時、「北京で、写真を待っていた」という打ち明け話をした。確かに、これは待つ価値がある。
それに、3年前のことが頭をよぎったのだろう。藤本さんは、「北の後継者は3男だ」と発言し、本も出した。しかし、大方の世論、マスコミは、懐疑的だった。
「大体、格好が胡散臭い」「嘘だ」「本当に専属料理人だったのか?」「3男が後継者なんて、120%ありえない」…と。北朝鮮問題専門家、評論家たちは言っていた。
「北は儒教の国だ。長男をないがしろにして3男がトップに立つことなど、絶対にありえない」と言っていた。
藤本さんに反対する方が、説得力がある。しかし、私は、藤本さんが正しいのでは、と思った。実際、その通りになった。
しかし、あの時、藤本さんは随分と悔しい思いをしたことだろう。「写真さえあれば」「証拠があれば」と思った。だから今回、北京で待ってまでも、写真にこだわった。
これは成功した。この8枚の写真で、世界中がアッと驚いたのだ。日本はおろか、世界中の元首だって、こんなに親密に会えない。世界でたった1人だ。
北の最高指導者の胸に飛び込み、話したのだ。これで日朝関係も変わるだろう。拉致問題も動く。
一水会フォーラムには、マスコミの人だけでなく、「救う会」の人たちも来ていた。その人たちも、捨て身の藤本さんの行動には驚き、納得していた。
8月31日(金)の新聞を見たら、1面に大きく、「めぐみさん2001年に生存」と出ていた。藤本さんの情報も背中を押したのだろう。「再婚し男児出産」と出ていた。
今まで北朝鮮は、1994年4月に死亡した、と発表していた。これは嘘だった。初めは、北朝鮮側は「1993年3月に自殺」と発表した。
しかし、帰国した拉致被害者がめぐみさんを94年に目撃したことが明らかになると、時期を「94年4月」と訂正した。
そして、さらに、これも怪しくなった。藤本さんは、「めぐみさんは生きてると思います」と断言する。めぐみさんは精神を病んで病院に入院しており、その病院の中庭で自殺したと発表された。しかし、病院ならそんなことは出来ない。
中には「殺されたのではないか」と言う人もいるが、精神を病んでる人を殺すほど残忍な国家ではない、と藤本さんは言う。
一水会フォーラムで、このことを発表していた。マスコミの人も多い。
でも、「テープは録らないでくれ」と言ってたのでオフレコかと思ったら、その後、テレビでもこのことを何度も言っていた。他の人が言ったら、私も信じない。
しかし、藤本さんが言うのだ。何らかの確証を持って発言しているのだろう。
だって、3年前、「後継者は3男だ」と断言し、その通りになった。
又、金正恩第一書記から招待されて、行って、抱き合って再会を喜んでいた。
それを全世界に公表されることを承知で、8枚の貴重な写真も渡した。
しかし、フォーラムでも、「ここまで喋っていいのか?」と思えるほど、突っ込んだ話をしていた。
藤本さんが前に書いた本も、全て、「本当だ」と実証された。又、ドッと出るだろう。さらに新しい本も準備しているようだ。
前に出した本でも、「ここまで言っていいのか?」「ここまで内情をバラしていいのか?」と思うところも多かった。
でも、暴露しているが、底には愛情がある。金正日総書記への評価がある。そして、金正恩第一書記への信頼がある。
子供の時遊んだ正恩第一書記が、とても大きく、立派な指導者になった。そのもとで、新しい国づくりをしようと国民も慕っている。
だったら、この改革路線を日本も助けたらいい。そして、正恩氏は、「一つ一つ、仕事をかたずけようと思っている」と言う。
そのために藤本さんは、これからも命を賭けるだろう。期待したい。
〈金正恩から最も信頼されている日本人・藤本健二〉でした。
藤本さんと大阪のテレビで初めて会った時からのことを話しました。この人は違う、本物だ、と思いました。命を賭けている。普通の人では、とても出来ません。
昨日のフォーラムの時も聞きました。別に学生運動をやったわけではない。信仰を持ってるわけでもない。では、どうして、イザという時に命を賭けられるのか。強くなれるのかと。
ウーンと藤本さんは考えてました。そして、「私がギャンブラーだからでしょう」。これには私も唸りました。番組では、昨日の話の内容、そして、北朝鮮の最新事情、拉致問題について、じっくりと話をしました。
11年ぶりに訪朝し、金正恩第一書記と話をした。そのことばかりがマスコミに報じられているが、家族との話も聞いた。11年ぶりに奥さんと会った。娘さんとも会った。ところが息子さんは、2週間前に急死してたそうです。「新橋の洋服の青山で土産に背広を買って行ったのに…」と嘆いていました。
又、どんな形で北からの接触があったのか、どうして行く気になったのか、なども話してくれました。さらに日朝交渉の問題などについても話しました。
「編集長は見た!」のコーナーは、月刊『クーリエ・ジャポン』編集長の冨倉由樹夫さん。10月号の特集は、〈より大きな可能性を求めてアジアへ--「超境の時代」がやってきた〉
最近の傾向としては、タイ、シンガポールが多い。タイは、エレクトロニクス産業や自動車産業の成功。現在、タイは世界全体のコンピュータ用ハードディスクドライブの35〜40%を生産。又、「ほほえみの国」として知られ、観光地としても高い人気を誇る。
シンガポールは質の高い教育機関が多く、中国からの移住者も急増。北京出身の人気アクション俳優ジェット・リーが最近、シンガポールに永住権を取得したことも話題になった。彼はシンガポールの中心街に12億円の不動産を購入した。
次の特集は、〈大統領の竹島訪問を韓国国民はどう見ているのか?〉
これは、「クーリエ・ジャポン」にしか出来ない企画だ。驚いた。
〈韓国政界からはほとんど異議を唱える声は聞こえてこない。政権寄りとされる保守系日刊紙「朝鮮日報」が、訪問直後に実施した世論調査によると…。
イ・ミョンバク大統領の訪問を「肯定的に評価する」人は66.8%でしたが、否定的な評価も18.4%あり、韓国国内にも反対の声が少なくない〉
これには、ビックリだ。日本のメディアでは全く伝えられてない。「反日」の強硬意見、デモだけが伝えられている。さらに驚いたことがある。ツイッターの反応だ。
〈イ・ミョンバク大統領の竹島訪問に否定的なツイートがなんと81.5%を占め、擁護するツイートはわずかに9.4%に過ぎなかった。
否定的な意見には、今回の訪問が大統領自身の支持率を高めるための政治的なジェスチャーだという意見が多い。左派系日刊紙「ハンギョレ」は今回の訪問が戦略的に性急で、時期時に唐突、政府の対日政策の基調から外れているといった批判も少なくないと伝えている〉
これは、いい話だ。むしろ、日本よりも冷静に見てる。日韓友好関係を基調にして、その上で、冷静に対処すべきだ。日本のメディアは、ただ「対立」を煽り、友好をぶち壊そうとしている。「面白ければいい」「売れればいい」ではダメだろうよ。
もう一つ、特集は。
〈アメリカ・アトランティック誌より。
新時代の歌姫きゃりーぱみゅぱみゅから見える「変なニッポン」〉
「鈴木さんは知ってますか?」と寺ちゃんに聞かれた。失礼な、知ってますよ。有名だから。でも、発音出来ない。難しくて。だから、「きゃりーぱっぱ」と言ってますよ。
「じゃ、“きゃりー”でいいでしょう」。そうですね。
でも、若い貞包アナやWコロンは、ちゃんと発音できるんですよね。木曽さんは、「ドラえもんの声で言うと発音しやすいんです」。それで私も練習し、言えるようになりました。凄い進化です。
このあと、Wコロンの謎かけ。Ust延長戦。終わって、高田馬場へ。雑誌の取材。
⑥映画『ニッポンの嘘=報道写真家・福島菊次郎90歳』の監督・長谷川三郎さんとトークしました。8月25日(土)午後1時から、銀座シネパトスで。凄い映画です。ぜひ、全国民に見てほしいです。
長谷川監督のデビュー作は何と、16年前の、一水会の若者を録ったTVドキュメンタリーだそうです。「TIME OF LIFE・青春・右翼青年22才」です。お世話になりました。私とも、運命的な出会いです。
⑧そのあと、新宿のネイキッドロフトに行きました。1時から映画『かぞくのくに』のヤン・ヨンヒ監督を囲んで、トークが行われました。私は終わり頃に着きました。左は烏賀陽(うがや)弘通さん、右は木村元彦さん。
3人とも初対面なので、「初めまして」と挨拶しました。「阿佐ヶ谷ロフトで一緒に出たじゃないの」とヤンさん。「よく会ってるじゃないですか」と烏賀陽さん、木村さん。すみません。頭がボーッとしている。いかんな。
⑨このあと、近くの居酒屋で、ヤン・ヨンヒさんたちと、ゆっくり話をしました。主演の井浦新さんに勧められて、『かぞくのくに』を見ました。とてもいい映画でした。いろいろ考えさせられました。原作も読んでみようと思ってます。
⑩でも、居酒屋を途中で出ました。午後7時から、ロフトプラスワンで、私が出るからです。脱原発のトークです。テーマは、「勝手に決められてたまるか。日本の将来!夏の電気は足りた!〜総選挙は?〜」。(左から)天木直人さん、鈴木、山本太郎さん、佐藤潤一さん(グリーンピース・ジャパン事務局長)。
⑪8月26日(日)、名古屋に行きました。劇団「笑の内閣」のお芝居「非実在少女のるてちゃん」を見るためです。マンガの規制を扱った芝居で、コミカルな中にも、思想的な問題提起がありました。とても面白かったです。前回の「ツレがウヨになりまして」のDVDが売ってたので買いました。写真は、「笑の内閣」の代表・高間響さんと。
⑭「過激派」に脅されました。この人は役者ではありません。初めからこの格好で芝居を見に来てました。警察官に職務質問されなかったのでしょうか。大学生だそうです。非実在なんでしょうか。大学でも暴れてほしいです。気弱な右翼を脅したりしないで…。
⑮芝居のあと、高間さん(右から2人目)たちと食事に行きました。左は、(芝居後に)高間さんとトークをした昼間たかしさん(ライター)です。名古屋名物の「あんかけスパゲティ」を食べました。食事では必ず、味噌かあんをかけるのです。「ヤダナ、スパゲティにあんこが入ってたら」と思ったら、違うあんでした。おいしかったです。
⑱8月31日(木)午後6時半から、ANAコンチネンタルで。石川知裕さん(衆議院議員・右から2人目)の出版記念会で。左は奥さまの香織さん。その右は松木けんこうさん。この日は、松木さんが司会をやってました。