目を動かさないで、1カ所だけをじっと見つめていると、人はボケます。脳を動かさないからです。見つめているものが壁であろうと、テレビであろうと、パソコンであろうと同じです。
そこから、「世界中の情報」を吸収した気になっていますが、実は、それでは脳が動いてないのです。じっと一つの面だけを見ているだけではダメなのです。
築山節さんの『脳が冴える15の習慣=記憶・集中・思考力を高める』(NHK出版)を読んでたら、そんなショッキングなことが報告されてました。
いや、テレビはドラマもあるし、推理ものもあるし、頭を使っているはずだ。政治討論会もあるし…。と思うでしょう。
でも、怪我などで寝たきりになった老人がテレビだけを見ていると、確実にボケるんだそうです。こう書かれています。
〈テレビから情報は入ってきますが、それはあくまで平面に映し出された情報です。外に出て景色を見たり、花の匂いをかいだり、動物に触れたりしているときの質感が圧倒的に欠けています。もちろん、壁だけを見ているよりはいいですが、そういう状況に置かれていても、人はやはりボケてしまうものです〉
世界中の情報を見、スポーツの応援をし、推理ドラマで頭を働かせていても、ボケるのです。目を動かさないからです。病人でなくても、テレビばかり見てる人はそうなります。
〈次に、テレビがパソコンに変わったらどうでしょうか? キーボードを操作して、自分が得たい情報にアクセスできるとします。耳にはヘッドフォンを当てて、音楽を聴いているとしましょう。目と耳から情報が入ってくるし、思考系の活動もしているから大丈夫だと思われるでしょうか?〉
でも大丈夫ではないのです。「脳機能を維持するのは難しい」と言います。頭を使っているようですが、実は脳が働いていないのです。
そして現代人には、それに近い生活を何年も続けているような人が多いのだと言います。
〈問題は、目を動かして立体的な情報をキャッチしているかということにあります。目は人間にとって、最大の情報の入口です。その目を動かして積極的に情報を取ろうとしているとき、動かしているのは、実は目だけではありません。脳の情報を捉えようとするフォーメーション全体がダイナミックに切り替わっていると考えられます〉
たとえば、遠くから人に呼びかけられた時、何を言ってるか分からない。目を動かし焦点を合わせ、それで言ってることも聴き取りやすくなる。
これは目を動かしたのと同時に、聴覚的な注意もその方向、距離感に合わせられた。ということだという。「平面」ではなく、「立体」として情報は入ってくるのだ。
又、遠くに飼い犬の姿を見た時、視覚的な情報だけでなく、耳には荒い鼻息が聞こえ、手にはゴワゴワした毛の感触が甦る。
〈つまり、私たちの脳は、情報が与えられるのを受け身的に待っているのではなく、積極的に迎えに行っている。注意の向け方をそちらに切り替え、五感をフル活用して情報を集めようとし、また、足りない情報は想像で補い、常に立体的に情報を捉えようとしていると考えられます。そして、その最大の鍵になっているのが目の動きなのです〉
そうなのか。脳は、受け身ではなく、積極的に迎えに行っている。足りない情報は想像で補う。これが脳を活発に働かせる。
たとえば、本を読んでいる。ラジオを聞いている。その時、「絶世の美女」とか、「最低の人間」とか出てきたら、必死になって、イメージを作る。こんな人かな、こんな奴かな、と。今まで会った人、聞いた人の情報が頭の中で次から次と出てくる。脳がフル稼働する。
ところが、テレビやパソコンだと、「これが絶世の美女」だ、と見せてくれる。
初めは感動があるかもしれない。あるいは、こんなもんじゃないだろう、と反撥するかもしれない。
しかし、段々と「受け身の情報」に慣らされてきて、感動も反撥もなくなる。ただ、受け入れる。
それでは「本当の情報」ではないのだろう。私は、そう思った。積極的な、自分から迎えに行く、立体的なものが「本当の情報」なのだ。
築山さんは、次に、「目を動かさない人が陥りやすい症状」について説明しています。
〈その目を動かさない時間が長くなりすぎると、視覚的注意の向け方がスムーズに切り替わりにくくなります〉
長時間、テレビやパソコンに向かっていて、外に出ると、周囲の風景がガチャガチャと雑然として見えてしまい、情報が上手く取れない不安を感じる。
〈これは、長い時間画面に集中していたために、その角度、距離感から、視覚的注意の向け方が変わりにくくなっているためだと考えられます。また、長時間同じ作業をしている間に、大部分の脳機能はお休みの状態になっていたはずなので、外に出て急に入ってきた情報に対応するのも難しい。それで何だが頼りない感じになるのだと考えられます〉
そうか。脳はずっと休んでいたのか。テレビやパソコンに向かって、世界中の情報が入ってきたのに。でも、脳機能はお休みしていた。
ただ、これは一時的な現象だ。映画を見、テレビ、パソコンに向かっていても、数時間後には外に出て、目を動かしているうちに、また注意の向け方が柔軟に切り替わる。平面から立体に戻る。脳も活発に働くのです。
〈ところが、目を動かさない時間があまりにも長い生活を毎日、何ヶ月も続けてしまうと、簡単には戻らなくなるということが起こり得ます。前方の限られた範囲に注意を集中している世界から、抜けられなくなってしまうのです。そうなっている人は端から見ると、パソコンやテレビに向かっていないときでも、常に一点を見つめているように見えるのと同時に、本人の自覚としては、次のように感じる場面が多くなるはずです〉
最後のとこは、ギョッとしますね。いますよね。そういう人が。実際に会っていても、テレビやパソコンを見つめる目で、こちらを見ている人が。
私もそうだったのかもしれません。狭い世界の体験だけを大切に守り、そこからしか世界を見ていない。世界は「立体」なのに、自分の思想的体験や思い込みだけが詰まった「平面」だけを見て。そのまま、外に出ている。
では、築山さんの本に戻ります。目を動かさず、一点だけを見つめていることが長いと、こんな症状が起きるといいます。
ありますよね。こんなことが。「同じ考えの人たち」とだけ集まって、同じ話ばかりしている。
自分のことは棚に上げて、「世の中が悪い」「革命しなくては…」と言ってる人たちです。
一点を見てる。平面しか見ていない。同じことばかり繰り返し、それが「おかしい」と思わない。考え方、生き方が「一貫している」「美しい」と自己満足している。
「周囲の変化」に対応しないのも、「思想が強固だから」と思う。「周囲の変化」に適応する人を見ると、「転向した!」「プチブルになった!」と批判し、罵倒する。
そんな人たちが何と多いことでしょうか。左翼、右翼、市民運動の人々です。私もそうかもしれません。長い間、「平面」の世界に生きているのです。
だから、「立体」の世界に出て、人に話しかけられると、ドキッとして対応出来ないのです。単に、「道を訊かれた」だけなのに、
「いや、そんなはずはない。なぜ、わざわざ自分に声をかけたのか。きっと公安のスパイに違いない」と思ったりするのです。
パソコンを見てる時に、電話が鳴った。出ると、間違い電話だった。「いや、そんなはずはない。権力のスパイが、かけて寄越したのだ」と思う。それだけ俺は「重要人物」で、権力者からは恐れられ、居所を確認されているのだ、と思う。
「立体の世界」を無理に、自分の「平面の世界」に戻す。つまり、「平面の世界」しか見てないし、こんな人も脳機能は全く働いていないのでしょう。
築山さんの本に戻ります。こうした状況に陥らないために、どうするか。どうやったら、「平面」から「立体」のリアル・ワールドに戻れるか。それには、目を動かすことです。
〈一つは非常に簡単なことですが、一時間に一回は、目をよく動かすことです。このとき、上下左右斜めに動かすだけでなく、目のフォーカス機能を使うことを意識しましょう。
窓から近くのビル群を眺めたり、その上に浮かぶ雲を見たり、飛行機に焦点を合わせてみたりする。現代人は、小さな平面を見すぎているという以前に、狭い空間で至近距離を見すぎていますから、ときどき意識して、思い切り遠くを眺める必要があります〉
そうですね。「狭い空間で至近距離」を見すぎているんですね。それも、「平面」だけを。
以前、イルカを見に行った時、「私は船酔いするんです」と言ったら、船頭さんに、「それは、思想が悪いからです」と言われた。
「近いところ」だけを見ているからだ。すぐそばの船、波、揺れる荷物を見ているから酔う。〈視点〉をはるか遠くへ移し、地平線を見る。空の雲を見る。
「そうしたら酔わない」と言ってました。実行したら、本当に酔いませんでした。
そうか。40年間の右翼運動も、「船酔い」してたようなものかもしれません。狭い世界で、平面だけを見ていた。そんな気がします。「目を動かさない」「脳を働かせない」生活を40年もやってきたんですよ。
私の場合は極端かもしれませんが、(多かれ少なかれ)皆も、こうした症状にかかっているのです。〈現代病〉です。その脱却法として築山さんは言います。
だから、目を動かしましょう。視点、視座を広くしましょう。テレビ、パソコンだけでなく、ラジオを聞いて、脳を働かせましょう。
この築山さんの本は、「脳」だけに限らず、「人生論」にもなってます。
たとえば、
「ヒラメキは、『余計なこと』の中にある。活動をマルチにしよう」
「意欲を高めるためには、自分の行動と結果を誰かが評価してくれることが重要」
それも、「待っている」だけではなく、積極的に迎えに行くのです。
「人を好意的に評価することは、自分が評価されやすい環境をつくることにつながる」
ウーン、これは気がつきませんでした。たしかに言えますね。
「俺はこんなに努力しているのに、なぜ世の人々は俺を認めてくれないのか。それに比べ、あいつも、こいつも、努力しないで、なぜ、ちやほやされるのか」と。文句ばかり言ってる人がいますね。
私もそうです。そんな人は、ますます、皆から嫌われますね。私もそうです。
「生活のどこかにダメな自分を見せる場面があると、意欲を高めやすくなる」
そうかな。私なんて、ダメな自分ばっかり見せてるのに…。ブツブツ…。
そして、衝撃的なことが書かれています。
「失敗は同じ時間帯にする」
これは気がつきませんでした。皆も胸に手を当てて考えてみて下さい。思い当たるでしょう。
〈たとえば、午後4時頃に不注意によるミスを連発するとか。夜10時頃に感情的なメールを送ってしまって後悔することがよくあるとか。そういう傾向が割り出せてくると、大きな失敗を防ぎやすくなります。その時間帯は、失敗するような活動を慎んで、休憩時間に充てたり、どうしてもその活動をしなければならないときにも、「この時間帯はいつもこういう失敗をする」と注意して取り組むようにすればいいわけです〉
これを読んで、私もハッと思いました。だから夜12時すぎのメールはやめるようにしました。
今回は、築山節さんの『脳が冴える15の習慣』の紹介で終わってしまいましたね。それだけ、考えさせられる本です。NHK出版の「生活人新書」から出ています。
他にも築山さんはNHK出版から、『フリーズする脳』を出してます。又、講談社から、『若年性健忘症を治す』が出ています。取り寄せて、2冊とも読みました。
おかげで、「若年性健忘症」も治りました。
寺尾さんの話を聞いて、そのあと、「土風炉」で、さらに詳しく聞きました。寺尾さんには、貴重な話をうかがい、さらに、遅くまで付き合って頂きありがとうございました。
〈尖閣、不法上陸。2月危機〉
〈高2体罰自殺「キャプテンの僕だからきつく怒られる」〉
これは許せないですね。橋下市長も激怒してました。「バスケットでいい成績をあげてるからといって、「根性だ」などといって暴力、体罰を許している状況は見逃せない。
「ニュース 本音と建前」は、
〈2013年、安倍政権が問われる外交手腕〉
安倍総理は、小野寺防衛大臣と会談し、尖閣問題について、警備態勢を強化するよう指示。又、総理はオバマ大統領との今月の会見を望んでいたが、「今月は無理」とアメリカからの返答。TPP参加をめぐり、「大統領と会いたいのなら、その準備をしてから来い」ということか。
又、日中、日韓問題も、韓国が中国人の「靖国放火犯」を韓国のソウル高裁が「政治犯」と規定。日本への引き渡しを拒否して、中国へ帰国させた。こんなことなら、全ての犯罪が「政治犯」になってしまう。日韓の「話し合い」のパイプがない。
こうした日韓間のパイプを再構築すべく、安倍総理は額賀福志郎氏を首相特使として韓国に派遣。額賀氏は朴次期韓国大統領と会談した。額賀氏は実力者だし、冷え込んだ日韓関係を打開すべく、話し合った。額賀氏は、早大政経学部で私と同級生だ。頑張ってほしい。
「編集長は見た!」は、「週刊文春」発行人の木俣正剛さん「初めまして」と挨拶したら、「30年前に会ってます」。そんな昔に取材されたらしい。「私より、おやじの方が鈴木さんとは会ってました」。
あっ、そうか。京都市議で民族派の大先輩の木俣秋水さんか。お世話になりました。
〈千野志麻独占告白「一生かけてもおわびします…」〉
千野アナウンサーが、静岡で男性をはね、死亡させた事故だ。なかなか詳細が伝わってこなかったが、木俣さんが話してくれた。次の特集は、
〈衝撃スクープ!
殺人警察官が本誌に送りつけた「犯行声明文」全文公開〉
これは凄いです。こんな文書を送りつけていたんですね。犯行声明文だが、
「人を2人も殺めてしまったことに弁解の余地がないことは十分わかっておりますが、格差社会のゆがみにはまり、憎悪を増幅させてしまったいきさつについて手記を記したいと思います…」と書かれている。
「格差社会」のせいにするなよ!と思いますね。それに、借金地獄だったというが、酒、デリヘルなどで金を使っていたんだ。さらに、「週刊現代」「週刊ポスト」にも、「手記を買ってほしい」と手紙を出したという。ひどい話だ。
そのあと、「隣の芸人さん」は、Wコロンが外から中継。近かったので、終わって、局に戻ってきたが、来週からは、中継は遠くに行くので、しばらく会えません。と言ってた。寂しいですね。
〈秋葉原発!No.1萌え美少女決定戦!
第3回 萌えクイーンコンテスト〉
を見に行く。実行委員長の高須基仁さんに誘われたので。森永卓郎、山口一臣…さんらが審査員をやっていた。アキバなんて、来ることがないので珍しかったし、面白かった。勉強になりました。
①1月6日(日)、坂本龍一さんと対談しました。この日は、NHK大河ドラマ「八重の桜」がスタートした日です。そのテーマ音楽を坂本さんがやってます。そこから話は始まり、原発のこと。愛国心のこと。ナショナリズムと「世界」のこと。音楽と活字…などについて話し合いました。
③次の日、1月7日(月)は、『紙の爆弾』の対談です。三島事件の時、三島由紀夫に日本刀で斬られ重傷を負った寺尾克美さんです。歴史の証人です。人質になった益田総監を救出するために部屋に飛び込み、森田必勝氏の短刀を奪った時、三島に斬られたのです。この時、陸上自衛隊中央会計隊長でした。
⑨終わってから、「土風炉」で飲みました。あべさん、高木氏、鈴木。そして、途中から出席した設楽秀行氏です。設楽氏は見沢知廉の親友で、〈友情〉から、あの事件に加わりました。その話は、訊いてますが、美しい「友情物語」です。太宰治の『走れメロス』のようです。設楽氏に案内してもらい、「『走れメロス』体験ツアー」をやりたいと思います。
⑪そうなんです。私も文化放送を聞いて来たのです。12月26日(水)の「夕やけ寺ちゃん活動中」を聞いていたら、「来年は巳年です。ヘビです。実はヘビをお祀りした神社が品川区中延にあるんです。行ってきました」とレポートしてました。
「あっ、中延なら僕のおばさんがいる。じゃ、そこにお参りして、おばさんとこに新年の挨拶に行こう」と思いました。
それで、1月 2日(水)の夜、「ご無沙汰してます。明日、行きたいんですけど」と電話しました。そしたら、「こんな遠くまで来てくれるの? 嬉しいね」と言われました。「えっ?中延でしょう」「一家皆で、長野の山奥に引っ越ししたのよ。電話は自動転送になってんの」。ということで、翌日、長野まで行きました。往復7時間かかって。その時、おばさん(96才)と写した写真は先週載せました。
でも、「上神明天祖神社」には行けなかったので、改めて、1月5日(土)に行って来たんですよ。もとは「蛇窪」と言ったんですね。ヘビが多かったんでしょう。今年は、浅草寺にも行きましたし、いい年になるでしょう。天祖神社は今年のエトのヘビを祀ってますし、沢山の人がお参りに来てました。
⑫文化放送は1月2日(水)はお休み。9日(水)が今年の初めでした。女子アナが、変わりました。先代の貞包さん、お世話になりました。後任は、水野真里子さん(右)です。学習院卒業の才媛です。あと、寺ちゃん、Wコロンと。
⑬前にこのHPで書きましたが、12月16日(日)、西宮の「鈴木ゼミ」に行くために、新幹線に乗ったら、佐野史郎さんも乗ってました。映画の仕事で奈良に行くとのこと。新大阪駅で、一緒に改札を出て来たら、迎えに来てた岩井さん(左)がビックリしてました。そこで、記念撮影を。
⑰1月6日(日)、坂本龍一さんと3時間、対談しました。そのあと、皆で、カラオケに行きました。そう言うと、「えっ、坂本さんとカラオケに行ったの?」と聞かれますが、坂本さんはお仕事で、次の会場へ。残りの皆とカラオケに行ったのです。「週刊金曜日」の北村肇社長と。そして、社員の赤岩さんと。
北村さん、めちゃくちゃ、うまい。もうヤダ。一緒にカラオケに行きたくない。プロ顔負けです。「だって、金がかかってる」と自慢してます。何と、300万もかかってるそうです。でも、カラオケって、何千円かでしょう。それを一千回も通ってるの?と思ったら、スナックのカラオケのようです。だったら、かかるでしょう。
「週刊金曜日」は創刊20周年で、全国で集会をやるそうです。「鈴木さんともトークしましょう」「それよりも、300万の歌をうたったらいいでしょう。全国の読者も喜びますよ」と私は言いました。
⑳上祐史浩さんの『オウム事件 17年目の告白』(扶桑社)です。これも、実にいい本です。
有田芳生さんが「検証」しております。1月22日(火)、ロフトプラスワンで、この本の出版記念トークがあります。私も上祐さんと対談します。
㉑山内由紀人さんの『三島由紀夫。左手に映画』(河出書房新社)も、お薦めです。ともかく凄い本です。僕らの知らなかった〈三島〉がいます。こんなにも三島は映画に魅せられていたのか。三島の生涯も〈映画〉だったのかもしれない。と思いました。『週刊読書人』(1月11日号)に書評を書きました。