2013/02/18 鈴木邦男

教会で講演した。神田で漫才をした。
=人生初めての挑戦が二つです=

①「いいんですか、私なんか…」と言ったんですが

名古屋教会で講演しました(2/11)
名古屋教会で講演しました(2/11)

教会で講演しました。2月11日(月)です。生まれて初めてです。光栄です。ありがたいです。

ミッション・スクールを出て、本当によかったと思いました。日本キリスト教団名古屋教会です。

生まれて初めての体験です 生まれて初めての体験です

午後1時、礼拝に出て、そのあと紹介されて、演壇に上がり、話をしました。

信じられませんでした。さっきまで牧師さんが聖書を開いて説教をしていた。その壇上で私が話をする。

いいのかな。私でいいのかな、と思いました。

私を呼んでくれたのは中村教会の岩本和則さん。その岩本さんが礼拝のあと、私を「紹介」してくれる。

その前に礼拝の説教をしてくれたのは後藤香織さんです。日本聖公会中部教区司祭です。

この日、聞いたのですが、この後藤さんは、何と東北学院榴ヶ岡高校の出身です。「鈴木さんの後輩です。在学中から鈴木さんの武勇伝は聞いておりました」という。

榴ヶ岡高校出身には、「ジョジョの奇妙な冒険」の作者・荒木飛呂彦さんもいる。「鈴木さんと荒木さん。この2人が榴ヶ岡高校出身の二大有名人です」と言う。私なんて、榴ヶ岡高校の名を汚しているだけだ。申し訳ないです。

私らの同級生・後輩には、後藤さんのように牧師になって活躍してる人がかなりいるようだ。

活発な質問が出ました 活発な質問が出ました

10年ほど前、喜納昌吉さんに呼ばれて沖縄でシンポジウムに出た時、「私も榴ヶ岡高校出身です」という牧師さんに会った。これで2人目だ。大変なお仕事だと思う。偉いです。

私を名古屋に呼んでくれた岩本さんも偉いです。勇気があります。

私はミッション・スクールを出たが、学校では反抗ばかりしていた。あげくの果てに教師を殴って退学になる。

その後、教会に通って「懺悔の生活」を送り、半年後に、やっと卒業させてもらった。ミッション・スクールの落第生だ。落ちこぼれだ。

さらにその後40年間、過激な右翼運動をやる。キリスト教徒だけでなく、世の人々、全てから嫌われた。

「ただの暴力団だ」「愛国者を僭称したテロ集団だ」と、皆に忌み嫌われた。暴力と、逮捕と、転落の人生だ。罪深い人間だ。

そんな私が、教会で話す。それも、宗教について話す。いいのかな。さらに罪を重ねることじゃないのかな。…と、ずっと思っていたんですよ。礼拝が終わるまで。

②「パウロのような人です」と岩本さん

主催者の岩本さん夫妻と。右は岩井氏 主催者の岩本さん夫妻と。右は岩井氏

礼拝が終わり、岩本さんが私の紹介をする。

右翼運動をやっていて、その中で悩み、苦しみ、今は、テロを否定し、「全ては言論でやろう」と決意し、実行し、立場の全く違う人たちとも積極的に話をしています。

そして「愛国心」とは何かを考えています。それは決して排外主義ではない、と言っております。

そして、こう言った。「鈴木さんはパウロのような人だと思います」。

エッ!と思った。聞き違いかと思ったが、何度も言ったから本当だ。

パウロは初めは、キリスト教を弾圧する側の人間だった。ところが、回心し、熱心な弟子になり、伝道をする。命をかけて神の愛を説いた。

そんな偉い聖人にたとえられるなんて、畏れ多い。

パウロは誰でも知ってるだろうが、説明しよう。『辞林21』(三省堂)には、こう書かれている。

牧師さんの後藤香織さんと 牧師さんの後藤香織さんと
〈パウロ[Paulos] 初期キリスト教の伝道者。小アジアのタルリ生まれ。パリサイ派のユダヤ教徒として育ち、初めはキリスト教を迫害するが、回心を体験。エーゲ沿海地方を中心に異邦人に福音を伝えた。律法によらず、信仰のみによって義とされると説いた。60年頃、ローマで殉教の死を遂げたと推測される。生没年未詳〉

こんな偉大な聖人にたとえられるなんて、畏れ多いです。

この日の集会のチラシには、私の略歴が載っている。どうも、「パウロ的」だ。

昔は、「学校のキリスト教主義に反発」。学生時代は右翼学生運動をし、卒業後、産経新聞社に入るが、右翼活動で逮捕され、クビ。朝日新聞記者を殺した「赤報隊事件」への関与も疑われている。しかし、

〈現在はテロなどの非合法活動を否定。政治的、宗教的立場を超えた、言論による対話の重要性を主張。幅広い分野で活躍中。座右の銘とする聖句「義のために迫害される人々は幸いである。天国は彼らのものである」マタイ5:10〉
打ち上げで 打ち上げで

そうか。私は、知らない間に、「回心」し、福音を伝える仕事をしてるのかもしれない。

「座右の銘」は、かつて桂文珍さんと対談した時に言った。

岩本さんはそれを読んでくれたのだろう。『サンデー毎日』(1990年4月29日号)だ。「文珍の美男美女丸かじり」だ。私との対談では、こんなリードがついている。

〈政治も経済もボーダレスの時代。ソ連、東欧の激変に『日本人に真の愛国心が芽生えたら、右翼はつぶれてもいいんですよ』と、カゲキな発言をする鈴木邦男さん。『実にさわやかな姿勢ですが、マスコミ受けせえへんやろな』と言う文珍さんでした〉

③「義のために迫害された人は幸いだ」

「ニカラグア・ライト」「レフト」さん(2/9土) 「ニカラグア・ライト」「レフト」さん(2/9土)

『サンデー毎日』では文珍さんと並んで写真に収まっている。私は色紙を持っている。そこに書いたのだ。「モットーか、好きな言葉を書いて下さい」と言われて書いたのだ。こう書いた。

〈『義のために迫害された人たちは幸いだ。天国は彼らのものだから』。ミッション・スクール出身の民族派、鈴木邦男〉

今、考えると、よくも恥ずかし気もなく書いたもんだと思う。文珍さんは喜んでいた。面白がってくれた。「いやー、最後がキマッてますね」と。

そして、別れる際、「鈴木さんは、いちばん左っぽい右翼ですね」と言う。これも誉めてくれたのだろう。

この時のテーマは、「国際化の中で愛国心を考えたい」だ。この対談は、私の対談集『右であれ、左であれ』(鹿砦社・1999年・1600円)に収められている。文珍さんとの対談から9年後だ。

そして、この文珍さんとの対談は今も、はっきり覚えている。今も新しい。こうして、今、名古屋の教会でも紹介されているのだ。

この『右であれ、左であれ』には、多くの人々との対談が入っている。猪瀬直樹、デーブ・スペクター、井上章一、松本健一、大前研一、松崎明、重信末夫…と。本の帯には、こう書かれている。

息の合った漫才でした 息の合った漫才でした
〈時代を“挑発する”!!
左翼・右翼・保守・革新・硬派・軟派の呪縛を越えて、新たな思想像を探究する。闘う対談集〉。

そうか。鹿砦社からこの「時代を“挑発する”対談集を出してもらい、その系譜が、今の「鈴木ゼミ」に続いているのだ。…と、分かった。ありがたい話だ。

では、名古屋の教会について話を戻す。

講演を始めて気がついた。私の名前が左に大きく貼り出されている。「一水会名誉コモン 鈴木邦男」と。

「ただのコモンですよ。コモンセンスと呼ばれてますよ」と言った。「名誉」じゃない。むしろ、私なんて顧問じゃ、皆に迷惑をかけている。「不名誉顧問」だ。

ここで気がついたが、いつもは「顧問」と書かれているが、この日は「コモン」とカタカナだ。面白い。

こう書くと、シモン、ペテロ、パウロ…のようだ。私を神の子と認めてくれたのかもしれない。嬉しい。

>④はじめに〈宗教〉と〈愛国心〉の話をしました

「おしどり」さんの漫才です 「おしどり」さんの漫才です

この日の集会の統一テーマは

〈いま、「愛国」について考える=排外主義への異論=〉

だ。その前に、〈2013・2・11「建国記念の日」反対。第47回名古屋キリスト者集会と書かれている。

あれれっ、私は「建国記念の日、反対」の集会に来たのか。知らなかった。昔から、こういう名前でやってた集会なのか。

でも、この日はそんな話は一切なかった。私も、そのことには全く触れてない。あくまで「愛国」と「排外主義への異論」について話をした。

そうか。中には、右翼の人で、この〈「建国記念の日」反対〉をネットなどで見て、「けしからん!」「鈴木は左翼の集会で講演するらしい!」と怒った人もいたようだ。

でも、私は、あくまでも、「信仰と愛国」について話そうと思い、来ただけだ。

〈いま、「愛国」について考える〉は統一テーマで、私の講演は、こういう題だ。

〈私の宗教体験を通して=キリスト教を外から見れば=〉
「おしどり」さん、恩田えりさん(左)と 「おしどり」さん、恩田えりさん(左)と

午後1時から開会礼拝。1時半から私の話。「30分位かな」と思ったら、「4時までありますから、自由に使って下さい」という。

それで1時間半ほど話し、休憩のあと、質疑応答。沢山、質問が出ました。宗教的なもの、政治的なもの、市民運動的なもの…と。頑張って答えました。

他の皆はどう思っているのかな、と思い、その場の人たちに聞いたりもしました。

とても考えさせられました。とても勉強になりました。

写真でも分かるように、満員でした。

「神聖な教会に、右翼なんか呼ぶのか」と、戸惑った人たちも多かったと思います。

あるいは、「恐いもの見たさ」で来た人もいたでしょう。

岩本さんたちは、「とてもよかったです」と言ってくれて、ホッとしました。

外部からキリスト教徒がどう見られているか。又、信仰者はどうあるべきか。などについて、私の体験を通して、話しました。

高校では「強制」に反撥して、ロクに理解しようとしなかった。

しかし、今は、キリスト教の素晴らしさが分かります。高校時代の疑問や反撥についても具体的に触れ、その後の「回心」についても具体的に話しました。そうした宗教的な話が出来たのは本当に幸せだったと思います。

これをキッカケに又、岩本さんや後藤さんたちと話をしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

⑤「宗教の日」の前は「連赤の日」。そして「漫才の日」

本番前の2人です 本番前の2人です

2月11日(月)は「宗教の日」でした。

そうだ。名古屋教会に来る前に、午前中、森田治さんに会って、食事した。

1970年の三島事件の時、三島と一緒に自決した森田必勝氏のお兄さんだ。

必勝氏のことをいろいろ話しました。若松孝二さんの「11.25自決の日」の話も。

その前日の2月10日(日)は、「連合赤軍の日」でした。1972年の連合赤軍事件に参加し、2、3年間獄中にいた青砥幹夫さんと対談したのだ。次の『紙の爆弾』に出る。

その前の2月9日(土)は、何と、「お笑いの日」だった。

「ロケット団」の三浦昌朗さんと組んで、漫才をやりました。生まれて初めての挑戦です。「ミッション・インポシブル」です。

この年になって、「生まれて初めての挑戦」を2つもやったんですよ。「漫才」と「教会での講演」と。緊張しましたし、2つとも無事終わって、ホッとしております。

「週刊金曜日」の白井氏と 「週刊金曜日」の白井氏と

この2つの挑戦は、ツイッターやネットでも、騒がれております。ありがたいです。

漫才の方も写真を載せております。急遽作ったコンビですが、名前を考えなくちゃ。と思って、「ニカラグア・ライト」「ニカラグア・レフト」にしました。

それ以来、私は、「ライト師匠!」と呼ばれています。

文化放送に行った時も、Wコロンに、「よう!ライト師匠!今度、僕と組んでやりましょうよ」と言われました。いえいえ、もう、燃え尽きてしまいました。とても、とても。

漫才も超満員で、チケットもソールドアウト。

「何とか入れないのか」「当日券はないのか」と問い合わせが、かなりありました。「チケットがないのでやめた」という人もいました。申し訳ありませんでした。

「ロケット団」の三浦さんには本当にお世話になりました。アホなシロウトと一緒にやるのは嫌だったと思いますが、懇切丁寧に指導してくれました。

「やはりプロは違うな」と感心しました。

田中森一さんと(2/8金) 田中森一さんと(2/8金)

それなのに、「ロケット団」のことを、「テポドン弾」とか、「ミサイル弾」なんて言い間違いしてしまいました。緊張して、あらぬことを口走ったのです。分身の「ライト君」を叱っておきました。

又、三味線の恩田えりさんもお世話になりました。

三味線というから、80位のおばあちゃんかと思ったら、とても若い、チャーミングな方でした。

あっ、写真でも分かりますよね。とても面白い方で、又、一緒にお話が出来たらと思います。

そして、主催者の「おしどり」さん。本当にありがとうございました。

ケンさんには、ハリガネで、トンボ眼鏡をその場で作ってもらいました。おかげで、「ライト師匠」が出来上がりました。面白かったです。楽しかったです。

舞台では、2人の漫才のあと、「おしどり」さん、恩田さんも合流して、話し、そのあと、会場からの質問も受けました。ここ「落語カフェ」で、「質疑応答」なんて、初めてでしょう。

田中森一さん、北芝健さん 田中森一さん、北芝健さん

中には、お客さんで「右翼の鈴木さんじゃ聞きづらいから、眼鏡をかけて下さいよ」と言う人もいた。「漫才のライトさんになら何でも聞ける」と言う。

分かりました。では、ライトになりましょうと、いきなり、「ライトの人生相談」になりました。これも分裂病気味で、楽しい体験でした。

今年は、もう本が3冊も出たし、坂本龍一さんとも対談出来、2つの「ミッション・インポシブル」も体験しました。〈生まれて初めての挑戦〉を2連発です。ありがたいです。

さらに勉強し、次なるミッションに挑戦したいと思います。よろしくお願いします。

【だいありー】

森田治さんと(2/11) 森田治さんと(2/11)
  1. 2月11日(月)、仕事が遅いので、たまってしまう。仕事の切り換えがうまくいかない。ついつい、朝方まで仕事をしてしまう。あまり寝てない。ボーッとしながら、朝8時、東京駅発の新幹線に乗る。眠ってしまい、名古屋で慌てて降りる。
     岩井正和さんと下中忠仁さんが来ていた。そして森田必勝氏のお兄さん、治さんも。
     4人で、駅のレストランに入る。若松孝二監督の「11.25自決の日」の話や、今月号の「創」「紙の爆弾」に書いた元自衛官の寺尾さんの話をする。事件の時、三島に斬られた人だ。森田さんも会ってるので、懐かしがってました。
     それから、日本キリスト教団名古屋教会へ行きました。私を呼んでくれた岩本さんも、高校の後輩の後藤さんも、初対面です。「ミッション・スクールを出た」というだけで、温かく迎え入れてくれました。私なんかが、教会で話していいのかな、と思いましたが、初めての挑戦ですし、やらせてもらいました。
青砥幹夫さんと対談(2/10日) 青砥幹夫さんと対談(2/10日)

礼拝のあと、1時間半、講演し、その後、質疑応答。とても貴重な時間でした。ありがとうございました。私や岩井さんが持ってきた本も全部売れました。東京や北海道から聞きに来た人もおりました。嬉しいです。こちらの方が感激しました。こういう出会いの〈場〉をつくってもらい、本当にありがたいと思いました。

終わって、居酒屋で打ち上げ。ホッとして、ついウトウトしてしまいました。この日は、名古屋のホテルに泊まりました。

  1. 2月12日(火)、久しぶりに、ぐっすり寝ました。それから東京に帰り、午後、仕事の打ち合わせ。早く終わったので、夕方、柔道に行きました。闘いました。
  2. 2月13日(水)午前中、原稿。午後3時、文化放送。「ニュース。本音と建前」は、
「孫崎チャンネル」の放送中(2/13水) 「孫崎チャンネル」の放送中(2/13水)
〈北朝鮮3回目の核実験。その狙いと対応策を考える〉

国際世論に逆らい、なぜ嫌われることばかりするんだろう。うまくやれる方法もあるだろうに。やり方が下手だ。そのことは去年、北朝鮮に行った時も、向こうの人たちと話をした。「いや、我々は正義だ」と言うばかり。

日本に帰って、宮崎学さんと話したら、「北に対する敵対ムードをわざと作っているんだ」と言う。北に対する「話し合い」派を潰すような行動を取る。そのことで、「北は許せない」と周りの国々が騒ぐ。それを利用して、国内を団結させ、まとめているのだ、と。そんな面もあるのか、と思った。

又、アメリカを引っ張り出し、自分たちの国家の「保障」を取り付けようとしている。それもあるだろう。「イラクの二の舞は踏まない」と(4月に訪朝した時)、言っていた。「イラクは徹底的に闘うかどうか迷っていた。そして、ズルズルと戦争に入った。又、核を持ってなかったから簡単に滅ぼされた。我々は違う」と胸を張っていた。

壁には、貴重なイコンのコレクションが 壁には、貴重なイコンのコレクションが

何が北の暴走を止められるのか。中国はどうか。などについて話をした。

「編集長は見た!」は、月刊「文芸春秋」編集長の木俣正剛さん。今月の特集は、

〈芥川賞作家・黒田夏子さんインタビュー。幼女からそのまま老人になりました〉

75才という、史上最高齢受賞だ。受賞作「abさんご」は、平仮名が多いし、読むのは大変だ。私も苦労した。でも、素晴らしい作品だ。早稲田大学の先輩だ。5才から書き始めたが、途中、苦労し、一作仕上げるのも時間がかかる。「10年に1作」だという。インタビューも、よかった。

他の特集は、

〈尖閣開戦前夜の中国報道〉
松本徹さん(左)と山内由紀人さん(2/14木) 松本徹さん(左)と山内由紀人さん(2/14木)

1月23日付の人民日報は、1面に、こんな記事が。

〈日本が対局の戦略判断を競った場合、軍神の山本勘助、上杉謙信を現代に呼び戻したとしても、大砲の餌食となることを免れないだろう〉

凄い話だ。凄い意気込みだ。中国の軍は、そしてメディアはなぜ、これほどまでに熱くなっているのか。政府はもう少し冷静なのに。そのへんのところを矢板明夫氏が分析している。

そして、次の記事。

〈桜宮高校体罰、書かれざる複雑な事情〉。

スポーツライターの森功さんが書いている。この人には最近、私も会ったばかりだ。力の入ったルポだ。体罰以外にも、こんな理由があったのか。

山内さん(中央)、松本さんと 山内さん(中央)、松本さんと

その他、この日は時間がなくて取り上げなかったが、興味のある特集が沢山あった。1つは「安倍政権大論争」。経済、TPP、憲法改正、安全保障、皇室について、2人ずつが、がっちり組んで討論している。これは読みでがあった。テレビの討論では、こうはいかないだろう、と思った。実りのある討論だ。

もう1つは、「司馬遼太郎が見たアジア」だ。これも凄かった。ドナルド・キーン、李登輝、山折哲雄…などが書いている。司馬の視線は広く、遠くを見ていた。こうした、小説家は今はいない。残念だ。今月の初めに、私は「司馬遼太郎記念館」に行ってきたので、特にこの特集には心打たれた。

そのあと、「隣りの芸人さん」。外に出ていたWコロンが帰ってきた。「いやー、ライト師匠!」なんて、いきなり言われてしまった。「じゃ、ここで木曽さんちゅうと組んで、漫才をやって下さいよ!」。そんなこと出来ないよ。プロじゃないんだから。先月の土曜日に、1回やっただけなんだし。「でも、ネットやツイッターでも大騒ぎですよ」。そうですか。

本間龍さんとの対談『だれがタブーをつくるのか』 本間龍さんとの対談『だれがタブーをつくるのか』

そうだ。今日は、孫崎さんの家に行かなくちゃ、と別れました。文化放送の後、貞包アナと、途中で待ち合わせて、孫崎享さん(外交評論家)の家へ。写真でも分かるように、部屋の壁にはイコンや宗教画が所狭しと飾られている。それを見るだけでも心が和みます。ロシアで外交官をしていた時に集めたらしい。

「じゃ、打ち合わせをしましょう」と3人で打ち合わせ。ニコ生の「孫崎チャンネル」だ。毎週、水と土に30分ずつ、放送している。忙しい人なのに、大変だ。隣りで奥さんが、機械の操作をしている。「もうちょっと寄って」「もっと大きな声で」と。

いつもは30分なのに、この日は、私らが来たので、「特別に1時間にしました」と拡大版だ。

今日のニュースでも話したが、北朝鮮の核実験、そして中国。さらにロシアの問題などを詳しく聞きました。奥さんはずっと赴任地に一緒に行っている。「大変だったでしょう」と言ったら、「忙しくて、大変だと思ってる暇はなかったんです」と言う。外交官って、そんなものなのか。さらに立ち入った話も聞いちゃいました。

『週刊読書人』(2/15号) 『週刊読書人』(2/15号)
  1. 2月14日(木)午前11時、高田馬場で、出版社の人と会う。出版事情、電子書籍の話を詳しく聞く。それから河合塾コスモへ。1時間ほど自習室で原稿。3時、「現代文要約」。5時、「読書ゼミ」のはずだが、この日は「入試のガイダンス」があるので、そこに合流。私も聞きました。とても勉強になりました。
  2. それから池袋のジュンク堂へ。『三島由紀夫、左手に映画』(河出書房新社)を書いた、山内由紀人さんと松本徹さん(三島由紀夫文学館館長)のトークセッションがある。それを聞きに行ったのだ。以前、山内さんの本を「週刊読書人」に書いた。三島はこんなにも映画を見、映画を語り、出演していたのか。それを知り驚いた。お二人の話は、とても興味深く、勉強になりました。

    「この本は、とても書評に恵まれた本です」と松本さんが言う。「その1つが、ここにいる鈴木さんの書評です」。エッ!と驚いた。本が素晴らしいから、素直にそう書いただけなのに。ありがたい。終わって、お二人といろいろお話をしました。椎野レーニンさんも来ていました。

    山内由紀人『三島由紀夫、左手に映画』 山内由紀人『三島由紀夫、左手に映画』
    1. 2月15日(金)午前中、原稿。午後から新宿。取材。夕方、柔道に行こうと思ったが、仕事がたまっていたので家に帰って、必死でやる。
       今日発売の「週刊読書人」(2月15日号)に山口正介さんと私の対談が載っていた。山口さんの『江分利満家の崩壊』(新潮社)を読んで、前に「アエラ」で書評をした。それが縁で、対談させてもらった。正介さんは、『江分利満氏の優雅な生活』を書いた山口瞳さんの息子さんだ。その衝撃的な〈内実〉を書いたのが今回の本だ。そのことについて、詳しく聞いたし、作家の生活、作家の業(ごう)について聞きました。
  3. 2月16日(土)午前中、原稿。午後、対談の仕事が延びたので、上野と六本木に行く。今日は「美術の日」だ。上野で「エル・グレコ展」(東京都美術館)を見る。それから六本木へ。「文化庁メディア芸術祭・受賞作品展」(国立新美術館)を見る。それから、「会田誠展=天才でごめんなさい」(森美術館)を見る。どれも素晴らしかったです。エル・グレコは聖パウロも描いてます。なぜか親しみを感じました。
  4. 2月17日(日)午前中、原稿。図書館。午後、雑誌の対談。終わって、飲む。

【写真説明】

名古屋教会で講演しました(2/11)

①2月11日(月)日本キリスト教団名古屋教会で講演しました。「私の宗教体験を通して=キリスト教を外から見れば」です。この日の「第47回 名古屋キリスト者集会」のテーマは、〈いま、「愛国」について考える=排外主義への異論〉です。
 それを踏まえながら、私も話をしました。超満員です。その様子を、2階から岩井さんが撮ってくれました。撮り方も、技術も進歩しています。いい写真が撮れました。 ありがとうございました。

生まれて初めての体験です

②教会で講演なんて生まれて初めてで、緊張しました。さっきまで、ここで牧師さんが説教していたんです。そこで私なんかが話していいのでしょうか。

活発な質問が出ました

③質問も沢山でました。時間もかなり延長しました。

主催者の岩本さん夫妻と。右は岩井氏

④私を呼んでくれた中村教会の岩本和則さんご夫妻です。お世話になりました。おかげで、素晴らしい体験が出来ました。右は、写真を撮ってくれた岩井正和さんです。

牧師さんの後藤香織さんと

⑤この日、開会礼拝をしてくれた牧師さんです。日本聖公会中部教区司祭の後藤香織さんです。東北学院榴ヶ岡高校の出身者です。私の後輩です。卒業生で、牧師になった人は、何人もいるようです。

打ち上げで

⑥終わって、打ち上げで。皆で、楽しくお酒を飲みました。生まれて初めての体験ですし、無事終わって、ホッとしたのでしょう。ビールを飲んだら、ついつい、ウトウトとしてしまいました。それで、この日は名古屋に泊まりました。

「ニカラグア・ライト」「レフト」さん(2/9土)

⑦「聖」から、いきなり「俗」ですね。生まれて初めて、「漫才」をやったんです。右は「ロケット団」の三浦昌朗さんです。
 「で、左の人は誰?」と、椎野レーニンさんに聞かれました。私でんがな。コンビ名は、「ニカラグア・ライト」「レフト」です。ベスト、蝶ネクタイ、トンボ眼鏡で、「ライト師匠」に変身です。

息の合った漫才でした

⑧漫才の舞台です。レフトさんはレフトやから、真っ赤な服ですね。

「おしどり」さんの漫才です

⑨「おしどり」さんは面白いですね。マコちゃんのアコーデオン。ケンちゃんのハリガネ細工。天才的な芸ですね。お客さんのリクエストに応じて、「ハリガネ細工」をするんです。「ソフトクリーム」はいいけど、「勧進帳!」は難しそうした。でも、見事にやってのけてました。

「おしどり」さん、恩田えりさん(左)と

⑩恩田えりさん(左)の三味線もよかったですね。何と、日教組が「新しい国歌に」といって作った「緑の山河」をやってくれました。凄いですね。だから、私らも、「日の丸・君が代」をテーマにした危ない「漫才」をやりました。

本番前の2人です

⑪本番前の「ライト」さと「レフト」さんです。「僕、メッチャ緊張してますよ」とレフトさん。「プロが何、言ってまんがな」とライトさん。もう始まってます。

「週刊金曜日」の白井氏と

⑫会場の「落語カフェ」の傍なんですね、「週刊金曜日」は。それで、白井記者も来てくれました。写真を撮ってくれました。

田中森一さんと(2/8金)

⑬「闇の守護神」と呼ばれた田中森一さんと。元検事。その後、弁護士。ところが、国策操作で逮捕され、5年間刑務所に。仮出所して、この日、2月8日(金)、ロフトプラスワンで、思いのたけを話してました。「おつとめ、ご苦労さんでした」と挨拶しました。
 獄中では中国の古典を読みまくったそうです。今は、『論語』の勉強会をやってるそうです。「私も勉強に行きます」と言いました。

田中森一さん、北芝健さん

⑭ロフトは満員。田中森一さんの右隣は、元刑事の北芝健さんです。北芝さんが最近書いた『20歳若返る美肌のつくり方』(KKロングセラーズ)を読みましたよ、と言いました。喜んでました。本当、北芝さんは、20才以上、若く見える。驚きだ。

森田治さんと(2/11)

⑮2月11日(月)午前中、名古屋に着き、森田治さん(森田必勝氏のお兄さん)に会いました。岩井さん、下中さんも一緒です。そして、昼食を一緒にして、お話をしました。そのあと、名古屋教会で講演したのです。

青砥幹夫さんと対談(2/10日)

⑯2月10日(日)、『紙の爆弾』の対談。連合赤軍事件に参加した青砥幹夫さんと。逮捕され、何と、23年間も刑務所に入っていたんです。ご苦労さまでした。とても内容の濃い話が聞けました。そのあと、「土風炉」で飲みました。

「孫崎チャンネル」の放送中(2/13水)

⑰2月13日(水)夜10時〜11時。ニコ生の「孫崎チャンネル」に出ました。女子アナの貞包みゆきさんと一緒です。北朝鮮、中国の話を主にしました。楽しかったです。

壁には、貴重なイコンのコレクションが

⑱孫崎さんの家の壁にはイコンや宗教画が飾られています。実は、これを見るのが楽しみで、来ました。素晴らしかったです。孫崎さんが、ロシアに駐在した時に、集めたものです。

松本徹さん(左)と山内由紀人さん(2/14木)

⑲2月14日(木)8時半から、池袋ジュンク堂。山内由紀人さんの『三島由紀夫、左手に映画』(河出書房新社)のトークセッションを聞きに行きました。とてもいい本です。
 私は「週刊読書人」で書評しました。だから、ぜひ聞きたいと思ったのです。山内さんと松本徹さん(三島由紀夫文学館館長)がトークしました。「今語る60年代の三島由紀夫」です。とても勉強になりました。

山内さん(中央)、松本さんと

⑳トークが終わって。山内由紀人さん(中央)、松本徹さんと。

㉑2月16日(土)、発売になりました。本間龍さんと私の対談本です。『だれがタブーをつくるのか=原発広告・報道を通して日本人の良心を問う』(亜紀書房・1500円)。本のカバーには、こう書かれています。
〈かたや元右翼団体代表にして孤高の論客。かたや元博報堂社員にしてタブーへの挑戦者。原発・広告・マスメディアを俎上にのせて語りこんだ。「表現」の自由と責任、「言論」の自由と覚悟。〉

㉒「週刊読書人」(2月15日号)に出てます。山口正介さん(山口瞳の長男)との対談です。〈『江分利満家の崩壊』をめぐって〉

㉓山内由紀人さんの『三島由紀夫、左手に映画』(河出書房新社・2400円)です。とても興味深い本でした。全く知らなかった三島のことを教えられました。

【お知らせ】

  1. 今発売中の「週刊読書人」(2月15日号)で、山口正介さんと対談しています。山口さんの『江分利満家の崩壊』(新潮社)をめぐって話をしました。衝撃的な本です。そして、感動的な本です。
     山口正介さんは、山口瞳さんの息子さんです。山口瞳さんの書いた『江分利満氏の優雅な生活』は、ベストセラーにもなり、僕らも読みました。楽しい、ユーモラスで、「優雅」な生活だと思いました。
     ところが、息子さんによれば、とても「優雅」ではなかったと言います。そして何と『崩壊』だと、ショッキングな本を書きました。この本については「アエラ」で書評しましたが、ぜひ、お会いしたいとお願いして、対談が実現しました。
     かなり突っ込んだことを聞きました。又、楽しいことも、秘密のことも書いてしまう「作家の業(ごう)」について聞きました。
  2. 2月18日(月)本間龍さんとの対談『だれがタブーをつくるのか=原発広告・報道を通して日本人の良心を問う』(亜紀書房・1500円)が発売です。
  3. 2月23日(土)新潟市りゅーとぴあ・劇場で第7回安吾賞授賞式があります。若松孝二監督が受賞しています。私も行ってみたいと思ってます。
  4. 2月26日(火)午後9時から1時間、ニコ生の生放送に出ます。「ニコ生×BLOGOS」で、須田慎一郎さん、山本郁さんなどと共に、私も出ます。テーマは、「脱原発派、どこへ消えたのか?」
  5. 3月11日(月)午後7時、阿佐ヶ谷ロフト。本間龍さんと私の対談『だれがタブーをつくるのか』(亜紀書房)の出版記念トークです。本間さん、私、そして慶応病院の近藤誠医師を迎えて、「言論と覚悟」「タブーや権力(抗議)との闘い方」をテーマに話します。近藤医師は40才の頃から医学界のタブーを一般に公開し始め、それにより医学界のほとんどを敵に回しています。このバッシングと20年以上闘いながら、言論活動を続けています。『大学病院が患者を死なせるとき』(講談社+α文庫)、『あなたの癌は、がんもどき』(悟桐書院)などの著書があります。
  6. 3月14日(木)午後8時。本間龍さんと私の対談。『だれがタブーをつくるのか』について。三省堂書店神保町本店。1階特設スタジオ。
  7. 3月23日(土)午後2時。マガ9学校。新宿カタログハウス本社地下2階。伊勢崎賢治さんと池田香代子さんの対談。〈世界にもし100通りの「平和」があったら=それでも、9条の「非戦」は有効か?=〉。私も聞きに行きます。
前田日明さんと対談します 前田日明さんと対談します(クリックでPDFが開きます)
  1. 3月24日(日)午後2時、西宮で「鈴木ゼミ」です。ゲストは格闘家・リングス代表の前田日明さんです。テーマは「愛国心=理想と現実のはざま」です。
  2. 4月9日(火)「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」が始まります。主催は地元の出版社で柏艪舎(はくろしゃ)です。統一テーマは〈「日本の分」について考える〉。
     第1回のこの日は、鈴木宗男さん(新党大地代表)と「北方領土問題」を考えます。午後6時より、札幌時計台ホールです。
  3. 6月11日(火)第2回「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」です。中島岳志さんと「日本の革命思想について」語ります。中島さんは今、血盟団のことを書いていて、今と状況が似ていると言います。又、先日はNHKで、大本教について話してました。刺激的な話が聞けると思います。
  4. 7月7日(日)午後2時、西宮で「鈴木ゼミ」。ゲストは、内田樹さんです。内田さんは神戸女学院大学名誉教授で、『日本辺境論』『街場のメディア論』などのベストセラーがあります。
  5. 8月3日(土)午後1時、ロフトプラスワン。私の「生誕100年祭」です。
  6. 8月13日(火)第3回「鈴木邦男シンポin札幌時計台」です。