昔。学生時代に、「岩波新書を全点読破してやろう!」と決意したことがあった。
岩波文庫ならば余りに厖大だから無理だ。日本だけでなく世界の名作・古典もある。とても、「全点読破」なんて思わない。
ただ、岩波新書なら、出来そうな気がした。岩波新書は500冊も出てなかったろう。又、文庫と比べて薄いし、読みやすい。「やってやろうじゃないか」と思った。
当時の右翼学生の中には、「そんなのは志が低い。俺は、全ての新書を読破してやる。征服してやる!」と豪語する男もいた。
今、そんなことを考える人はいない。1人としていない。
ところが、その頃は出来た。いや、「やれば出来るだろう」と思わせたものがあった。
当時、新書は3つしか出てない。岩波新書、中公新書、講談社現代新書だ。出てるのも、月に各社1冊か2冊だったと思う。
だったら、この3社の新書を毎月読むのは可能だ。それをやりつつ、過去に出たものを読む。そうしたら、「日本の新書」を完全読破するのも夢ではない。
それに当時は、新書の〈質〉が高かった。そこにこそ日本の文化があった。それを読破することは、日本を知ること、世界を知ることだった。いい時代だった。
ただ、今は、新書を出しているのは3社ではない。40社くらいある。各社が毎月、4、5冊出している。
ということは「月に200冊」ほどの新書が出版されているのだ。恐ろしいほどの数だ。
しかし〈量〉は増えたが、果たして〈質〉はどうか。余りに多くて、〈質〉はどこにあるのか、分からない。文字通り「玉石混淆」だ。
そんな中で、5年ほど前、画期的な試みがあった。岩波新書の「ベスト50」を選ぶ試みだ。
その前に、「もう一度読みたい岩波新書」というのがあった。ちょっと紹介してみよう。
岩波新書が、〈現代人の現代的教養〉を掲げて、誕生したのは1938年11月20日だ。
そして、「岩波新書刊行70年」を記念して、この大アンケートが実施された。2008年だ。5年前だ。
その時点で、刊行された岩波新書は2600点。その中から、どれがよかったか、印象に残ってるのかを選んだ。
第1回目は、「読者が選ぶ もう一度読みたい岩波新書」
第2回目は、「私のすすめる岩波新書」だ。
これは〈各界の著名人218名の方々による推薦書目から50点を選ぶ〉というものだ。
実は、この「218名」の中に私も入っていた。
といっても、「50点を選んで下さい」というアンケートではなく、「3点を選んで下さい」というものだ。それを集計し、50冊を発表するのだ。
ウーン、これは困った。今まで、いろんなアンケートがあるが、これほど難しいアンケートはない。
第一、2600点のうち、どの位、読んでるか。2割位しか読んでない。それに、著者名、本の題名もうろ覚えだ。
だから、2600点の「目録」を送ってもらった。読んだもの、読んでないが、評判を聞いたものをチェックした。
そして、3点と、その理由を書いて送った。
何を挙げたんだろう。5年前だから、記憶がない。
ところが、便利だね、ネットは。この時のランキングだけでなく、「著名人218名」が、どの本を推薦したか、それが分かる。
私は、この3冊を推薦していた。そして、その「理由」も、出ている。
凄い。ネットさまさまだ。では、紹介しよう。
❶清水幾太郎『愛国心』
今ならば、「愛国心を持つのは当然だ!」と言われ、それで終わりだ。建設的な論議も何もない。思考停止だ。
ところが、この本は実に多角的に論じている。愛国心の牙も危険性も、それを持つ人の誇りも。50年前の本なのに新鮮だ。愛国心について論じた本では最高の本だ。
❷家永三郎『革命思想の先駆者—植木枝盛の人と思想』
120年も前にこんな革命的な「憲法試案」を作った人がいたとは驚きだ。植木枝盛はもっと評価されていい。革命権、抵抗権を認め、死刑廃止も言っている。「保守的な護憲論者」は見習ってほしい。
❸丸山眞男『日本の思想』
日本の政治思想の問題点や見取り図を教えられた。初めて、〈啓蒙〉された本だ。思想することの重要さを学んだ。
私が推薦したのはこの3冊だ。
そのあと、全体のアンケートの結果を見た。丸山の本は、認める人が多く、1位だった。
以下、紹介しよう。
「岩波新書」各界著名人218名が選ぶベスト50冊の中から、上位10冊だ。これを紹介しよう。
岩波新書、70年間のベストテンだ。218名の人が、これはいいと薦めたものだ。
まず、これを読めと私も言いたい。まず、この〈質〉を読破したあとで、現在の新書の〈量〉の海に船を漕ぎ出したらいいだろう、そう思う。
さて、次に、『ビブリア古書堂の事件手帖』の話だ。今年の1月からテレビ・月9で放送されている。剛力彩芽の主演で、大人気ドラマだ。
その作者・三上延さんに会った。3月6日(水)の文化放送で。
私は、テレビ放送は全て見ている。そして、文庫本で出ている4冊も全て読んだ。だからこそ、三上さんと会った時は感動した。話が弾んだ。
その前に、この本を少し紹介しよう。鎌倉にある古書店が舞台だ。
若く美しい女店主のもとに、いろんな本が持ち込まれる。いわくつきの本が持ち込まれることも。
彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように、解き明かしていく。
第1話は、2011年3月25日初版発行。翌2012年12月22日に、何と「30刷発行」だ。だから、TV化される前から爆発的な人気があった。
さらにTV化で火がついた。そして、今、「470万部!」突破だ。驚きだ。
それに、持ち込まれ、「いわくつきの本」が、皆、いい。この本を基に又、事件も起きる。
じゃ、この本も読んでみよう。という気にさせる。
日本文学の復興になりますよ。いや、外国の本も紹介されている。取り上げられた主な本は、以下だ。
名作・古典が次々と出てくる。その本にまつわる秘密も。
又、その本をめぐって事件が起きる。
本そのものの秘密では、福田定一。
そして、『時計じかけのオレンジ』には驚いた。アッと叫んでしまった。
又、坂口三千代『クラクラ日記』は、最近、読んだばかりだったので、興味をひかれ、引き込まれように読んだ。
この4巻は「年間ベストセラー文庫総合」で1位だ。これは、当然だろう。面白い。
そして、ここに出てくる古典も読んでみよう。という気にさせる。
さて、『クラクラ日記』だ。これは、ウェブマガジン『マガジン9』の私の連載でも書いたが、この本は坂口安吾のことを奥さんが書いた本だ。
坂口安吾は新潟の人で48才の若さで亡くなった。安吾の自由な生き方、挑戦する姿にちなみ、7年前から、新潟市は「安吾賞」をつくっている。
今年は、若松孝二監督に贈られた。しかし、発表の直後に亡くなった。「主なき授賞式」だが、若松プロの人や役者さんたちが集まって、2月23日に授賞式は行われた。
その時、坂口安吾の息子さん、綱男さんに会った。12月に「発表会」が行われ、そこでも会った。
安吾の作品は私はかなり読んでいる。「家族の人で書かれたものはありますか」と聞いたら、「自分も書いてますけど、お袋が書いた『クラクラ日記』がいいです」と言う。それで読んでいた。
そして、1月から始まる『ビブリア…』でも、この本が取り上げられていると聞いた。読んで驚いた。
この本は第2巻に出てくるが、それからずっと、出てくる。この小説全体の「通底音」のようだ。古書店の家族の秘密にもかかわってくる。ぜひ、皆さまも読んで下さいまし。
3月6日、文化放送では、そんな話から始まった。
坂口綱男さんと写した写真も、三上さんに見せた。
「これで安吾も高評価され、読まれます。嬉しいです」と綱男さんは言っていた。三上さんに伝えたら、とても喜んでいた。
この日、話したが、私も本はかなり読んでるつもりだ。
その本の感想や、それにまつわる自分の思い出も書いている。
1冊の作家、本をテーマにして書いてもいる。竹中労、太田竜、『蟹工船』とか。
でも、三上さんの凄いところは、そこから又、別の小説を創り上げる。凄い才能だ。とても我々には考え及ばない。
どこからこんなヒントが生まれるのだろう。本を読んでから、別の小説を考え、創るのか。あるいは、自分の頭の中で、〈物語〉が生まれて、そのあとで、それに当てはまる古典、名作を探すのか。
これは寺ちゃんも気になっていたようで、何度も聞いていた。
「いや、両方ありますね」と、三上さんは説明してくれた。
三上さんは、若い。そして、話しやすい。小説家だから、もしかしたら、「自分の世界」に閉じこもって、気難しい人かも…と思ったら、そんなことはなかった。
このシリーズは、これからも書いていきたいと言う。
以前、レコード店、古書店でアルバイトをしていた。その時の体験がかなりいるという。
扱うテーマはまだまだある。無限にある。『論理学入門』だって取り上げているんだから、毛沢東やレーニン、マルクス、三島の本も取り上げても面白い。
一杯事件が起こりそうだ。そうか。余りに事件がありすぎるから、かえってやりにくいということか。
「ぜひ、取り上げたい本があるんです」と、三上さんは、こっそり教えてくれた。それはいいですね。ぜひ、やって下さい、と私は言いました。第5巻以降が楽しみです。
〈さいたま市長選、自民ドタバタ〉
〈石原慎太郎「面会謝絶」〉
「ニュース。本音と建前」は、
〈朴大統領が求める 日韓歴史問題への対応〉
韓国の朴槿惠(パク・クネ)大統領が、先週の金曜日(1日)、日本の植民地時代の1919年に起きた最大規模の抗日運動「三・一独立運動」の記念式典で演説し、
「韓国と日本が過去の痛みを癒し、ともに栄ある未来に進むため、日本政府は積極的な変化と責任ある行動をしなくてはなりません」と指摘。さらに、
「加害者と被害者という歴史的立場は1000年たっても変えられない」と強調し、日本政府に対し、歴史問題などに対する、早期の対応を要求した。
「1000年」という言い方は、オーバーだと思うが、そんな語句のことを言っても仕方はない。「ともに栄ある未来に進」もうと言うのだから、日本も応じたらいい。歴史の事実問題は、並行して協議しながら、それでも日韓の友好は築けると思う。
前の大統領の時は、就任の時、「もう過去のことは言わない」と未来志向だった。余裕と自信があったのだろう。経済でも日本を抜くという自信があったからこそ出た言葉だろう。
しかし、今度の大統領は、かなり立場が厳しい。だから、「強い言葉」を言わなくてはならなかった。そう思う。
そのあと、竹島、従軍慰安婦問題について、話し合いました。又、「河野談話」「村山談話」についても。
先週の(水)、福島みずほさんの出版記念会があり、ここで村山富市さんと会った。「村山談話」について聞いたら、「否定し、破棄したら、アジアから日本は信用を失いますよ」と言っていた。
自分の言った言葉だから、というだけではない。政府が発表して、世界に向けてのアピールを、コロコロ変えられては、確かに日本は信用されなくなる。
安倍首相は、近いうちに朴槿惠大統領と電話会談することを明らかにした。日韓関係改善への意欲を重ねて表明した。これはいいことだ。ぜひ、直接現地に行って話し合ってほしい。
続いて、「編集長は見た!特別編」。
この日の、スペシャルゲストは三上延さん。テレビドラマ化、コミック化もされ、470万部を突破した人気沸騰中のミステリー小説『ビブリア古書堂の事件手帖』の作者・三上延さんだ。若い。1971年横浜生まれだ。
藤沢市の中古レコード店で2年。古書店で3年アルバイト勤務。2002年に『ダーク・バイオレッツ』でデビューし、30冊近く執筆。2011年にシリーズ作『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち』がメディアワークス文庫より発行され、ベストセラーになる。
三上さんは2才の時から本を読んでたそうだ。高校の時に 文芸部に所属し、もう、小説を書いてたという。
「『ビブリア』の古本が持つ特徴と持ち主たちの謎を絡ませるストーリーを生み出すのは大変だったのではないですか」
「本を読んでから、物語を考えるのか。自分で物語を作ってから、それにあった名作や古典を探すのか」…と寺島さんが質問。「両方のケースがありますね」と三上さんは具体的に話してくれました。
又、誰の、どんな作品に影響を受けてきたのか。これからはどういう作品を書きたいのか…などについても話してくれました。
今、一番売れてる作家だ。文庫の売り上げNo.1だ。大作家だし、気難しい人かなと思ったら、実に明るいし、フランクな人だった。それに若い。「自分は運がよかっただけですよ」と実に謙虚だ。
有り余る才能はあるが、同時に、大変な努力家でもあるようだ。広いジャンルの本を読んでるし、それを駆使して、謎解きが始まる。私は、『ビブリア…』の全4巻を、一気に読んでしまった。これからも、このシリーズをずっと続けてほしい。
〈小沢政治裁判の総括と新たな闘いへの出発〉。
6時半から開始。早めに行ったら、もう満員。座る席がない。やっと客席を見つけて座る。そしたら隣りにいる人が、「鈴木さんも喋るんでしょう」と言われた。まさかと思ったら、プログラムにそう書いてあった。
あれっと思って、聞きに行ったら、そのまま壇上に上げられた。
三上治、伊東章、平野貞夫氏が主催者挨拶をする。それから、植草一秀さんの基調報告。それから、辻恵さん、石川知裕さん、仙波敏郎さん、三井環さんの挨拶。そこへ小沢一郎氏が登場。もの凄い拍手と掛け声が…。小沢氏が挨拶。
無罪になったが、私個人のことはどうでもいい。名誉回復を求めたりもしない。それよりも、日本の民主主義をきちんと確立しなくてはならない、と言う。
その直後、私の挨拶だ。小沢氏の隣りで挨拶しましたよ。さらに、二見伸明さん、東祥三さん、中村哲治さん、はたともこさん、姫井由美子さんなどが挨拶。満員の会場は割れんばかりの拍手。凄い集会だった。
①3月2日(土)「週刊金曜日」の白井記者主催による水戸・梅見ツアーに行ってきました。そのあと、護国堂(今は護国寺になってます)に行きました。ここは、「血盟団事件」のリーダー、井上日召さんがいたお堂です。そこに地元の若き青年、教師たちが集まり、「この日本ではダメだ。日本を救おう!」と話し合い、「一人一殺」「一殺多生」の血盟団事件を起こすのです。「井上日召翁銅像」が建ってました。
⑧お昼には、水戸名物「ネバネバ丼」を食べました。納豆、オクラ、トロロ、タマゴ、スジコ…と。ネバネバするものばかりです。日頃は、やる気がなく、すぐ諦める私ですが、これで「粘り」のある人間になるでしょう。
㉔最近デブになったので、ダイエットのために中野図書館まで歩きました。そしたら、交通事故防止のためでしょう。こんな看板が。警察が出したんでしょう。
「ちょっとまて。仏も見ているこの町は」。早く事故を起こして、仏の世界にいらっしゃいということかな。そんなはずはない。ここは、お寺が多いから、「仏も見ている」と書いたんでしょう。でも、ちょっと、なにげに不気味。