2013/04/08 鈴木邦男

「孤高の闘い」か。「衆をたのんだ暴走」か

①93歳の過激な闘い

福島菊次郎さんと(3/30) 福島菊次郎さんと(3/30)

竹中労さんは言ってます。「弱いから群れるのではない。群れるから弱いのだ」と。

又、映画監督の森達也さんは言ってます。「主語が複数になると述語は暴走する」と。

「私」や「僕」ならば謙虚に反省も出来るし、自分の頭でキチンと考えて話せる。でも、「我々は」となると、すぐに他人を糾弾する。「我々は○○を許さないぞ!」と叫ぶ。中には民族差別的なデモをやる人がいる。

まず〈個人〉として、考えるべきですよ。個人で闘うべきですよ。それが出来てから初めて〈連帯〉が出来るのです。

自分がないのに「群れ」の中に入ってしまっては、その人は「群れ」の中の部品でしかありません。

強い国家があれば強い国民が出来るのではありません。強い国民だけが、強い国家を作れるのです。福沢諭吉は言ってます。

「一身独立し、一国独立する」と。

そんなことを強烈に感じた2日間でした。

3月30日(土)、「強い個人」を見ました。3月31日(日)、群れの中で怒号する「弱い個人」を見ました。そのレポートです。

2回とも会場は超満員 2回とも会場は超満員

3月30日(土)、烏山区民センターに行きました。「オウム信者は脱会しなさい」と訴える垂れ幕がかかっています。

烏山には以前、アレフとひかりの輪の本部があったんですね。そこもやめて、「一般人」になれということか。

でも、もうあんなことはやらない。反省と賠償をしている。そこもやめて、「一般人」になったら、かえって危険だろう。

それと、烏山といえば、川西杏さんがいる。ここで不動産屋をしている。過激な歌をうたっている。会えるかな、と思ったら、いなかった。

そうだ。この日は、川西さんよりもさらに過激で、さらに年長のカメラマンに会いに来たのだ。

長谷川三郎監督の映画「ニッポンの嘘=報道写真家・福島菊次郎90歳」の上映と、本人のトークがある。それを見に来たのだ。

上映は午後2時からと6時からの2回だ。第1回目、第2回目上映が終わって、福島菊次郎さん、監督の長谷川三郎さん、上映会呼びかけ人の上田要さんのトークがある。

長谷川三郎監督と 長谷川三郎監督と

月刊『創』で、福島さんと私の対談企画があり、「今日は無理かもしれないけど、挨拶だけでも行った方がいいよ」と篠田編集長に言われて、烏山区民センター3階集会室に行ったのだ。

午後4時に着いた。第1回目の上映が終わって、トークが始まった。1時間ほどで終わる。

編集長と一緒に控え室に行く。ここで対談をやるのかと思ったら、「僕は右翼には随分と写真展を壊されているんだ。恨みがある」と縷々話し出す。

まいったなー。こっちは全く関係がないのに。「志のある右翼は、みな福島さんを尊敬してますよ」と言った。

でも、国家権力や、それと一体となった右翼の暴力はどうしても許せないという。

写真展をつぶされただけでなく、(誰かは分からないが)、襲撃されて重傷を負ったり、家を放火されたりもしている。大変だ。「家を放火された」なんて、私と同じじゃないか。

その話もしたんだけど、「僕は執念深いんですよ」と言う。右翼とは、すぐに心を開いて対談なんかしないぞ、ということらしい。

もし対談をやるんなら、キチンと話すことを決めて、真剣にやりましょう。と言う。「はい、分かりました」と言いました。

②「法を犯してもかまわない!」と福島さん

ご自分で彫金した指輪です ご自分で彫金した指輪です

映画のタイトルは「ニッポンの嘘=報道写真家・福島菊次郎90歳」だが、今年の3月15日で93歳になった。じゃ、タイトルも93歳にしたらいい。行動するカメラマンとして日本最高齢だろう。

そして、最過激だ。年を取るほどに過激になるなんて、いいことだ。素晴らしい。

私も昔からその名前は聞いていた。その闘いぶりは聞いていた。

この映画のポスターには福島さんの信念というか、モットーが書かれている。

〈問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を犯してもかまわない〉

凄い。実際、何度も捕まっている。

そのキャリアは、終戦後のヒロシマに始まり、三里塚闘争、安保、東大安田講堂、学生運動、水俣、ウーマンリブ、祝島、そして3.11以降のフクシマ。

一緒にお酒を飲みました 一緒にお酒を飲みました

レンズを向けてきたのは激動の戦後・日本。真実を伝えるためには手段を選ばない。

防衛庁を欺き、自衛隊と軍需産業内部に潜入取材して隠し撮り。それを発表。

防衛庁から呼びつけられ、「約束を破った。許さない」と詰め寄られる。防衛庁にいいことを言って取材許可を取ったようだ。

約束を破ったことに対し、全く謝らない。反省しない。こう言う。

「何を小さなことを言ってるんだ。国民との約束を破り、憲法を破って自衛隊を作ったのはお前たちではないか!」

防衛庁では、これに対し、何も言えない。「問題自体が法を犯したものであれば、報道カメラマンは法を犯してもかまわない」という福島さんの信念に従ったまでだ。

もしかしたら防衛庁が訴えるかもしれない。「約束」を破ったとして。福島さんも、それを待っていたようだ。そして裁判の場で自衛隊の憲法問題を論じる。

しかし、そうなっては困るので防衛庁は、あきらめた。

しかし、この写真を発表後、福島さんは暴漢に襲われ、家を放火される。

まさか防衛庁がやらせたわけではない。でも、そこまでやられたら、普通なら、ひるむ。それに福島さんは奥さん、それに子供もいるのだ。

それなのに、ひるまない。執念、攻撃性は更に進化する。

25万枚以上の、圧倒的な真実(写真)は、権力によって隠された「嘘っぱちの」日本の姿を我々に示す。

〈表に出ないものを引っぱり出して、たたきつけてやりたい〉と福島さんは言う。

3月30日(土)は、午後4時に会場に行って、トークを聞いた。それから控え室に行った。対談はまだ無理だろうから、ちょっと挨拶して帰ろうと思った。急ぎの原稿もあるし。

でも、福島さんと話をしたら、話し込んでしまった。話が終わらない。それに長谷川監督とも話したし、2回目の映画の間も話し続けていた。

それからトークを聞いて、「打ち上げ」まで付いて行った。93歳なのに元気にビールを飲む。

夜の12時になってやっと解散。私は、結局、8時間も福島さんと一緒にいたことになる。貴重な一日でした。終電を乗り継いで、やっと我が家に辿り着きました。

福島さんとは控え室でずっと一緒だった。いろんな人が訪ねてくる。昔、活動していた人。支援者の人。ファンの人。いろんな人に会ってサインして、写真を撮っている。大変だ。

お孫さんと感動の対面 お孫さんと感動の対面

サインしたら、「福島さんの好きな言葉を書いて下さい」と要求するファンがいた。そこまで要求するなよ、と思ったが、「私は日本語を信用してませんから。本に言葉は書きません」と言う。

それでいいならと、その言葉をそのまま、本に書く。律儀な人だ。もう93歳なんだから、「やだよ」の一言で済むのに。

それから、受付の人が、「あのー、お孫さんだという人が訪ねて来てますが」。「オレオレ詐欺じゃないの?」と茶化す人がいる。

名前を聞いて、「ウーン、いたかもしれないな」。生まれて初めて、このおじいちゃんを訪ねて来たらしい。本物の孫のようだ。手を取り合って再会を喜んでいた。

再会といっても、この青年が赤ん坊の時に会っただけで、青年にとっては初対面だ。娘さんは3人いるんだね。その子供だから孫だ。

福島さんと同じ誕生日の女性 福島さんと同じ誕生日の女性

娘さんは、映画の中でも、こんな暴走・過激老人について、「誇りに思ってます」と言っていた。さんざん苦労をさせられただろうに、尊敬している。

いいなー。私も、娘がほしい。突然訪ねてくる孫もほしい。

他に、こんな人もいた。「私も3月15日で、同じ誕生日ですよ」という女性だ。私が取り次いだ。

「ヘエー、じゃ、同じ年?」。「そんなはずないでしょう」。70歳位の年の差のようだ。そして、「あっ、鈴木さん」と言われた。「ロックの会でよく会ってるじゃないですか」。

ウーン、覚えてない。若年性健忘症だ。

③これでは日の丸がかわいそうだ

民族排外デモ(3/31) 民族排外デモ(3/31)

では翌日のレポートだ。3月31日(日)、ノイエホイエさんに言われて2時半に新大久保の駅に行く。

この日、「民族排外デモ」があるので、それに対し、〈抗議の意志〉を示すために行ったのだ。

今、大久保や大阪の鶴橋などで、「ヘイトスピーチ」の集会・デモが行われている。

在特会が中心になり、「朝鮮人は死ね!」「韓国人は首を吊れ!」といったプラカードを掲げ、デモをする。

とても信じられない話だが本当だ。「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」「朝鮮人、首吊レ、毒飲メ、飛ビ降リロ」と罵詈雑言を書いている。

こんなデモが何故、許されるのか。

たとえば、(ただのいたずらでも)「○○を殺す」「○○を襲う」とネットに書き込んだら、それだけで逮捕される。

同じく。新大久保で 同じく。新大久保で

ところが、こんな威圧的、暴力的なデモをやり、殺人を煽動しながら、「特定個人への攻撃ではないから」と、野放しだ。

こんなままでいいのか、と各方面から批判が出ている。

前に取り上げたが、3月14日、参議院議員会館では、こうした「民族排外デモ」に反対する集会が行われ、300人が集まった。「排外・人種侮蔑デモに抗議する国会集会」だ。参議院議員の有田芳生氏たちが呼びかけたのだ。

集会には、議員、大学教授、弁護士さんの発言があった。又、『ネットと愛国』の安田浩一氏、森達也氏、一水会代表の木村三浩氏、そして私も発言した。

中には、「デモを規制すべきだ」「こんなデモを許可するのはおかしい」という声もあった。たとえ「個人」を特定しなくても「殺せ!」と言ってる。取り締まるべきだと。

「排外デモ」に反対する人々
「排外デモ」に反対する人々

しかし、一水会の木村氏は反対して言った。法律や警察に頼るべきではないと。

「下品なデモ」「反社会的なデモ」は取り締まれと言うと、我々のデモだって取り締まられるかもしれない。「これは反政府的だ。下品だ」なんていって弾圧されたらたまらない。

「レイシズム反対!」を叫んでいます
「レイシズム反対!」を叫んでいます

私もそれには同じ考えだ。デモはたとえ不愉快でも、無制限にやらせたらいい。その上で、反対するデモをやり、論戦させる。

大久保の「排外デモ」について、不愉快に思ってる人は多い。でも、「同じ次元で喧嘩したくない」「すぐに終わる。放っておけばいい」と思ってる人が多い。

有田芳生さん、池田香代子さんと 有田芳生さん、池田香代子さんと

しかし、なくならない。ますます勢いを増している。「東京にオリンピックを呼ぼう」と言ってるのに、「外国人は帰れ!」デモが行われていては、開催する資格はないだろう。

やはり、声を上げるべきだ!と何人かが呼びかけた。

ちょっと怖そうな名前の「しばき隊」もいる。強く抗議するという意味らしい。

又、おとなしく、沿道から抗議する「プラカード隊」もいる。私は「そっちに入って下さい」と言われた。「直接、闘うよ」と言ったんだけど…。

「彼らが言論でやるなら言論でやる。彼らがゲバルトで来るのならゲバルトでやる」などと「国会集会」で威勢のいいことを言っちゃったし。

魚住昭さんと 魚住昭さんと

「ザ・コーブ」の時のように、彼らの前に行って、「論争」を呼びかけようと思った。ボコボコにぶん殴られるかもしれない。それでもいいと思った。実際、あの時は、ハンドマイクで殴られたし。

しかし、大久保では、沿道にビッチリ、警察官がいて、道路に出れない。

又、隣りには有田芳生さん、池田香代子さんたちがいる。私だけ暴走して、迷惑をかけては申し訳ない。そう思い、ジリジリしていた。

④「日本人の品格を貶める」と『レコンキスタ』

2.26事件の青年将校が… 2.26事件の青年将校が…

初めて見たが、聞きしに勝る醜悪なデモだった。ヘイトスピーチ、民族侮蔑、差別…のオンパレードだった。とても口に出せない言葉がプラカードに大書されている。

それと、沿道の人々からの反対の声が多い。これは驚いたし、勇気づけられた。

「仲良くしよう」とゼッケンを付けた人も多い。

又、「排外デモ」の後を追いかけて抗議する人々もいる。

抗議する人の方が圧倒的に多い。これはいいことだ、と思った。国民の健全な意志が出てきたのだ。

一水会の機関紙「レコンキスタ」(4月号)は、1面トップで「排外デモ」反対が書かれていた。

「レコンキスタ」(4/1号) 「レコンキスタ」(4/1号)
〈われわれは日本人の品格を貶める「ヘイトスピーチ」には与しない!〉

と。これはいい。サブタイトルは、

「わが国の美風に反する憎悪の連鎖を止めろ!」

だ。一水会代表の木村三浩氏が書いている。堂々の論文だ。小見出しはこうだ。

①法的規制には反対だ
②政治の季節といわれたころの闘争形態
③実効性を伴わない便所の落書き
④矮小化せず気宇壮大な理念を実践すべき

だ。

小熊英二さんと 小熊英二さんと

右翼・民族派は決して、排外主義ではない。そのことを、はっきりと言っている。

4月2日(火)、ロフトプラスワンで孫崎享さんとトークをしたので、この「ヘイトスピーチ」デモについて話し合った。

又、一水会の若者が新聞を持って来ていたので紹介した。多くの人が買ってくれた。

又、4月4日(木)には、私は「日本外国人特派員協会」に呼ばれたので、「我々は、こうした民族排外主義とは無縁だ」と強調した。

この時の報告は、次週に書くが、写真だけは、載せておこう。

それにしても、よく、私なんかを呼んでくれたと思う。

だって、今までここで講演した人といえば、三島由紀夫、田中角栄、ダライ・ラマ…と〈世界史〉に残る人々ばかりだ。そこで喋ったのだ。

テーマは「従軍慰安婦問題」だ。そして、日本の「右傾化」についても私は話をした。

五野井郁夫さん(右)と 五野井郁夫さん(右)と

安倍総理大臣が河野談話の見直しの必要性について言及した。今後、日本政府は、従軍慰安婦問題を含む歴史問題にどう取り組み、アジア近隣諸国とどう向き合うべきか。それについて語ってくれと言うのだ。

初め2人だったが、この後、3人になった。和田春樹さん、西尾幹二さん、そして私だ。

3人の間で、かなり激しい論戦も行われた。又、外国の特派員からの鋭い質問も出た。

私にとっては、生まれて初めての体験だった。試練でした。

西尾さん、和田さんの話はとても有意義で勉強になりました。お二人の前では私はただの「前座」でした。でも、又、じっくりと話を聞きたいと思いました。ゼミか雑誌の対談ででも。と思いました。

【だいありー】

  1. 4月1日(月)午前中、原稿。午後、取材。夕方、柔道に行く。イタリアの選手団が講道館で練習していた。少年や女性もいる。

準備体操をしてたら、少年に、「お願いします」と言われて、相手をする。時々は技を受けてやったり、「こうしたらいいよ」とアドバイスしたり。

次には、女性が「お願いします」。「じゃ又、技を受けてやろう」と甘い考えで組んだら、メチャ強い。立て続けに6本位、投げられ、叩きつけられた。

ゲッ、本気でやらなくっちゃ。と思ったが、組ませてくれない。やっと組んでも、ブチブチ切られる。そして、思いもかけない技をかけてくる。

こっちも必死でした。必殺の汚い技で、時々、投げ飛ばしてみたけど、圧倒的にやられっ放し。おそれいりました。

そのあと、(日本人の)5段の先輩と稽古。「イタリア人に稽古をつけてやってたじゃないか。偉いね」。いや、一方的にぶん投げられてましたよ、と言ったら、「女性でも、日本まで来て練習するんだから、選手なんだよ。ナメちゃいけないよ」。そうですね。もっともっと稽古して、強くならなくっちゃ。

終わって、新宿に。たまにはいいものを食いながら本を読もうと思い、新宿中村屋に行ったら、「鈴木さん、お知り合いの人がお待ちです」。えっ、誰とも約束してないよ。それに店の人が、私のことを知ってんの?

奥に行ったら、一水会にも来ている人だ。前に木村氏と来たことがあって、店の人にも、その話をしたらしい。そしたら、たまたま私が入ってきた。こんなこともあるんですね。スープカリーをご馳走になりました。不思議な体験だけど、本当です。エイプリルフールではありません。

孫崎享さんと(4/2) 孫崎享さんと(4/2)
  1. 4月2日(火)急ぎの原稿があって家で書いてた。夜7時、ロフトプラスワン。もの凄い雨だし、もの凄く寒い。行くのやめようかなと思ったが、私がゲストだ。厚着をして出かけた。孫崎享さんとのトーク。「戦後史の正体」、日米安保について。

孫崎さんは、もう10回近く話している。年も同じだ。そこから、「アメリカ」についての考えなども話し合った。又、北朝鮮、中国、韓国との問題も。孫崎さんの言う「領土棚上げ」論についても詳しく話してもらいました。又、最近、話題になっている「排外主義のデモ」についても話し合いました。長い外交官生活から見えてきた〈日本〉の姿についても…。

孫崎さんの本は、今、売れに売れている。『戦後史の正体』は30万部。そして、次から次と出る。私も対談して本にしてもらいたい。「そうだ。今日のトークを本にしましょうよ。これで1冊出来るでしょう」と言ったら、「安易なことを考えちゃダメです。やるんなら、別に時間をとってキチンとやりましょう」。ハイ。

山田和也監督、関野吉晴さんと 山田和也監督、関野吉晴さんと
  1. 4月3日(水)文化放送に行こうと思って、ハッと気が付きました。そうか、今日はないんだ。3月で終わったんだ。「夕やけ寺ちゃん活動中」は。淋しい。

昼から中野図書館へ。本を探し、勉強しました。夜8時、ポレポレ東中野に。映画『プージェー』を見る。モンゴルで生活する少女の物語だ。山田和也監督、関野吉晴さんが出演。とてもいい映画でした。ドキュメンタリーとしては最高級でしょう。劇映画では絶対に撮れない。こんな物語にしよう、こんな話を撮りたいと思っても、「現実」はどんどん変わる。裏切る。それ故の面白さ、ドキドキ感もあるし、悲しみもある。終わって、監督、関野さん、声優の野島健児さんのトークもよかった。

映画上映後のトーク 映画上映後のトーク

終わって、挨拶した。関野吉晴さんは以前から知っている。「今度また、武蔵野美大で講演して下さいよ」と言う。ありがたいですね。山田監督には「初めまして」と名刺を出したら、「この前、国会集会で会ったじゃないですか。有田さんが呼びかけた排外デモ反対の集会で」。あっ、そうだったか。「それで、私は映画の案内を送ったんです。それで、鈴木さんは今日、来てくれたんですよね」。

そうか。そうだ。いかんな。でも、来てよかった。本当によかった。

日本外国人特派員協会で(4/4) 日本外国人特派員協会で(4/4)
  1. 4月4日(木)11時半、有楽町の日本外国人特派員協会に行く。緊張した。外国人記者が沢山集まる中で、講演し、質問を受ける。大丈夫かな。心配だ。

ゲストスピーカーは3人。和田春樹さん、西尾幹二さん、そして私。テーマは、「従軍慰安婦と日本の歴史問題」。12時から昼食会。12時半から3人のスピーチ。そして質疑応答。3人の間でも論議があり、さらに海外の記者からの鋭い質問も出ました。私も必死で話しました。とても勉強になりました。西尾さんは私とは反対の立場ですが、でも、とても冷静に話され、とても説得力がありました。又、教えてもらいたいと思います。

終わってから、いろんな人たちと話し合いました。

外国の特派員から活発な質問が…
外国の特派員から活発な質問が…

そのあと、河合塾コスモに行って自習。7時半から、ネイキッドロフト。ピースボートに乗って4ヶ月、世界一周に行っていた平野悠さんが帰ってきた。その帰国報告会。凄いね。世界一周だよ。南極、イースター島、喜望峰。…などを見て、250万ほどかかったらしい。

出発の前もロフトに私は行った。「南極に行って、そこで死ぬと言っている」「もう生きて帰ることはない」と言っていた(ような気がする)。それで心配して行ったのに。「これが最後か」と思って。

ところが、帰ってきた。それに、南極やイースター島や、圧倒的な大自然を見て、人生観が変わり、人間も大きくなって、寡黙な人になって帰ってきたのかと思ったら…。全く変わらない。相変わらずお喋りだし、うるさい。哲学的・思想的変化はないようだ。でも、私も行ってみたいね、世界一周。私だったら、人生観もすぐ変わるよ。本だって、何冊も書けるよ、と本人に言ってやった。

「じゃ、ロフトが船を出して、行くか。北朝鮮、イラン・イラクへ」と言ってました。

『FLASH』(4/9号) 『FLASH』(4/9号)
  1. 4月5日(金)午前中、原稿。午後、雑誌の対談。
  2. 4月6日(土)午前中、原稿。午後、取材と打ち合わせ。大雨でビショ濡れでした。
  3. 4月7日(日)午前10時半、河合塾コスモの全体会。午後1時、入塾式。新入生はいいですね。若々しくて。
     夜は、雑誌の座談会。

【写真説明】

福島菊次郎さんと(3/30)

①3月30日(土)。烏山区民センター。福島菊次郎さんと。

2回とも会場は超満員

②午後2時からと6時から2回、上映されました。長谷川三郎監督の『ニッポンの嘘=報道写真家・福島菊次郎90歳』です。2回とも超満員。上映後、福島さんと長谷川さん、上田さんらのトークがありました。

長谷川三郎監督と

③長谷川三郎監督と。前に銀座で上映した時、監督と私はトークしました。16年前、実は監督は一水会の若者を取り上げて、ドキュメンタリーを作っていたんです。テレビで。在日の若者が一水会に入り、愛国心や天皇、日本のことを考え、そして「街宣デビュー」するまでを追ったものです。とてもいい作品です。
 今、「韓国人死ね!」などと酷い民族差別的デモが行われています。しかし、右翼・民族派は、そんなことはしません。在日の若者も入ってます。長谷川監督の撮ったこの作品は、一水会にとっても貴重ですし、誇りです。

お孫さんと感動の対面

④福島さんのお孫さんが訪ねて来て、感動の対面をしてました。

ご自分で彫金した指輪です

⑤福島さん自らが彫金した指輪です。その他、トカゲやサソリを掘った作品なども見せてくれました。「食えない時は、これで生活してた」といいます。
 元々は、時計職人で、それから彫金をやり、カメラマンに。時計や彫金をやってた時の「体験」「技術」も役立っているんでしょう。カメラマン生活に。

一緒にお酒を飲みました

⑥終わって、近くの居酒屋でお酒を飲みました。もう12時過ぎです。「昨夜は午前3時まで皆と話してた」といいます。いやー、元気ですね。

福島さんと同じ誕生日の女性

⑦「私、誕生日が同じなんです」と言って福島さんにサインをもらってた女性です。福島さんと一緒に写真を撮ってました。「あっ、鈴木さん、久しぶり。ついでだから、鈴木さんとも」と。ついでに腕も組んでくれました。

民族排外デモ(3/31)

⑧3月31日(日)新大久保で。こんな酷いデモが行われていました。民族差別デモに使われた日の丸がかわいそうです。

同じく。新大久保で

⑨同じく、このデモです。

「排外デモ」に反対する人々

⑩これに反対する人々です。「レイシスト帰れ」と訴えてます。なぜか警察はこちらの人々だけを排除しています。

「レイシズム反対!」を叫んでいます

⑪松沢呉一さんもいますね。「レイシズム反対」「恥を知れ!」と叫んでます。

有田芳生さん、池田香代子さんと

⑫有田芳生さん、池田香代子さんも、「プラカード隊」として排外デモに抗議しています。

2.26事件の青年将校が…

⑬2.26事件の生き残りの青年将校ですかね。どっちの味方でしょうか。

小熊英二さんと

⑭小熊英二さんも来てました。

五野井郁夫さん(右)と

⑮デモに詳しい五野井郁夫さん(右)も来てました。高千穂大学准教授で、『「デモ」とは何か=変貌する直接民主主義=』(NHKブックス)などの著書があります。デモの効用を巡って、ニコ生で2度一緒に出ました。

魚住昭さんと

⑯魚住昭さん(右)にも会いました。デモの取材をしてました。この後、魚住さんにご馳走になりました。

「レコンキスタ」(4/1号)

⑰一水会の機関紙「レコンキスタ」(4月1日号)です。
〈われわれは日本人の品格を貶める「ヘイトスピーチ」に与しない!〉
と、1面に書いてます。木村三浩代表が書いてます。

『FLASH』(4/9号)

⑱『FLASH』(4月9日号)。
〈さくらソングはなぜヒットするのか!!〉
 でも、桜の散り際だけが強調され、「国のためにパッと散れ」と強要された時もある。酷い話だ。こんなことに利用されちゃ、桜はかわいそうだ。と私は書きました。詳しくは、「マガ9」の連載を見て下さい。

山田和也監督、関野吉晴さんと

⑲4月3日(水)、ポレポレ東中野で映画『ブージェー』を見ました。とてもいい映画でした。終わって、山田和也監督、そして出演の関野吉晴さんと。

映画上映後のトーク

⑳上映後、山田監督、関野さん、野島健児さん(声優)のトークがありました。

孫崎享さんと(4/2)

㉑4月2日(火)ロフトプラスワン。孫崎享さんと。

日本外国人特派員協会で(4/4)

㉒4月4日(木)日本外国人特派員協会で話をしました。左は和田春樹さん。右は西尾幹二さん。

外国の特派員から活発な質問が…

㉓昼食をし、スピーチをし、そして質問を受けました。

【お知らせ】

  1. 月刊『創』(5・6月号)発売中です。私の連載では、「よいデモも、悪いデモも」を書いています。排外主義デモとそれに反対する「国会集会」。そして抗議活動について書きました。
  2. 月刊『紙の爆弾』(5月号)も発売中です。私の連載では、山内由紀人さんと対談しました。山内さんは『三島由紀夫、左手に映画』(河出書房新社)の著者です。三島が映画にのめり込み、映画を通して表現したかったこと。それは、小説以上に大きかったのかもしれない。この本には、そうした三島の「知られざる側面」が描かれています。
  3. 4月9日(火)「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」が始まります。主催は地元の出版社で柏艪舎(はくろしゃ)です。統一テーマは〈「日本の分」について考える〉。
     第1回のこの日は、鈴木宗男さん(新党大地代表)と「北方領土問題」を考えます。午後6時より、札幌時計台ホールです。
  4. 4月13日(土)13時から。死刑廃止を考える講演会です。「テキサスから死刑が減ったワケ」。日本大学法学部三崎町キャンパス10号館1階1011ホール。杉浦正健元法相、小川原優之弁護士などが発言します。
  5. 4月14日(日)午後2時、「マガ9学校」。金子勝さんがゲストです。
  6. 4月15日(月)午後6時半から8時30分。連合通信社第224回例会〈現代を読む勉強会〉。
    〈「右傾化する日本」を新右翼としてどう見るか
    =改憲、愛国心強制、排外主義を乗り越えて—〉
     講師は鈴木邦男です。会場は港区立商工会館研修室(東京都産業貿易会館6階)。資料代1000円です。参加希望者は連合通信社
    へ。TEL03(3454)1105。FAX03(3454)6559。
  7. 4月15日(月)午後7時。一水会フォーラムホテルサンルート高田馬場3階会議室。講師は常盤伸氏(東京新聞論説委員兼外報部デスク)で、「安倍首相の訪露を待つプーチン・ロシアの現状!」。
    (私は連合通信社の講演会に出て、そのあと一水会フォーラムに行こうと思ってます)
  8. 4月24日(水)午後8時、ロフトプラスワン。坂口安吾原作の映画「戦争と一人の女」の公開記念トーク。井上淳一監督や寺脇研さん(プロデューサー)などが出ます。私も出ます。映画に出演した江口のり子さん、永瀬正敏さんも後半に出ます。
  9. 4月27日(土)『“拉致疑惑”と帰国』(河出書房新社)の出版記念会が行われます。北朝鮮にいる「よど号」グループに鳥越俊太郎さんたちが話を聞き、まとめた衝撃的な出版です。ヨーロッパにおける日本人「拉致」の疑いについて。帰国について。北朝鮮での生活について、「よど号」グループが赤裸々に語ります。
     午後6時開会。会場は涵徳亭(かんとくてい)。
    文京区後楽1-1-6  03(3811)3015です。
    会費は(本代共)3500円。参加希望者は下記へ。
    090(1669)0753(山中)
    090(2732)0534(井上)
  10. 4月27日(土)から5月10日(金)まで。ポレポレ東中野で、ジャン・ユンカーマン監督の「映画 日本国憲法」と「ベアテの贈りもの」の上映が行われます。
     4月28日(日)は、午後2時から監督と私のトークがあります。
  11. 4月29日(月)テアトル新宿。「戦争と一人の女」の終了後、午後8時20分から8時40分。井上淳一監督、寺脇研さん、そして私のトークがあります。
  12. 5月5日(日)、名古屋で私の講演会をやります。「右からの脱原発」です。14時開演。名古屋市教育会館2F。第8研修室。参加費千円。希望者は岩井まで。080(5702)8405
     なお、呉智英さん(評論家)も参加して下さるそうです。お話を聞きたいと思います。呉さんの最近出した本、『吉本隆明という「共同幻想」』(筑摩書房)と『真実の「名古屋論」=トンデモ名古屋論を撃つ』(人間社)は、とてもいい本です。教えられました。この本のことも聞いてみたいです。
  13. 「劇団再生」の「暗室の窃視者」が上演されます。5月9日(木)〜12日(日)。千歳船橋のアポックシアターです。5月10日(金)には、「劇団再生」の代表・高木尋士氏と私のプレトークがあります。「通貨としての言葉」です。
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  1. 5月25日(土)午後2時。西宮で「鈴木ゼミ」です。会場は西宮駅前・Caféインティライミです。ゲストは青木理さん(ジャーナリスト)で、「ジャーナリストの危機とは何か?」です。お問い合わせ、参加申し込みは、0798(49)5302へ。
  2. 6月11日(火)第2回「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」です。中島岳志さんと「日本の革命思想について」語ります。中島さんは今、血盟団のことを書いていて、今と状況が似ていると言います。又、先日はNHKで、大本教について話してました。刺激的な話が聞けると思います。
  3. 6月30日(日)「マガ9学校」。講師は伊藤真さん。
  4. 7月7日(日)午後2時、西宮で「鈴木ゼミ」。ゲストは、内田樹さんです。内田さんは神戸女学院大学名誉教授で、『日本辺境論』『街場のメディア論』などのベストセラーがあります。
  5. 7月19日(金)〜21日(日)秋葉原ACT&Bで劇団再生の読書劇「二十歳の原点」の上演。
     19日(金)は高木尋士さんと私のトークがあります。「『未熟であること』について」です。
     初め、20日(土)にトークをやる予定でしたが、19日(金)に変わりました。申し訳ありません。
  6. 7月20日(土)午後、和歌山カレー事件の「林眞須美さんを支援する集会」が行われます。大阪・御堂会館(南御堂)です。テーマは、〈「死刑弁護人」のクルーが見た和歌山カレー事件〉。
    講師は、斉藤監督&岩井カメラマンです。
  7. 8月3日(土)午後1時、ロフトプラスワン。私の「生誕100年祭」です。
  8. 8月13日(火)午後6時、第3回「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」です。ゲストは山口二郎さん(北海道大学教授)で、「参院選後の政治状況」について語ってもらいます。
  9. 9月6日(金)〜8日(日)秋葉原・ACT&B。劇団再生の読書劇「テロならできるぜ」(原作・見沢知廉)が上演されます。9月7日(土)は、高木尋士さんと私のトーク。「テロと言葉と見沢知廉」を行います。

【お便り】

読みました!

「秘めてこそ力」(柏艪舎)は、これまでの鈴木さんとは少し違う感じを受けました。

みやま荘から始まる鈴木物語は、とても新鮮でした。

小さなコア、はもちろん、鈴木さんです。

鈴木さんという核、

右翼も左翼も仏翼も基翼も超えた、いや、違うな、包含した、ですね

そんな、鈴木核(それはとても小さく固いものです)を無限回廊的巻貝的な通路で見てるようでした。

鈴木さんは、ダンテの「地獄篇」と「煉獄篇」をよみつくし、「天国篇」を味わっているのだな、と思いました。

誰の言葉だったか、(西洋の哲学者と記憶)

『「天国篇」を味わえる読者は少ない』と。鈴木さんは、その数少ない著者と同時の「本書の読者」なのだと感じました。

そして、サルトルの「人間は自由の刑に処せられている」という一文を思い出しました。

鈴木さんがまさにそうなのだと思いました。

鈴木さんは、サルトルに言わせると、重罪人なのです!

高木尋士拝