「生フクロウ」の力は絶大でした。
「フクロウが来るよ!」「触れるらいしよ!」「キャー!見たい。見たい!」「いいね。いいね」…と。ツイッターやメールで囁かれ、書き込まれ、噂が噂を呼んで超満員でした。
6月24日(月)のネイキッドロフトでした。午後7時半スタートですが、30分前に行ったら、もう人、人、人でビッシリでした。
劇団「再生」代表の高木尋士さんが書いた『フクロウのいる部屋』(集英社インターナショナル)の出版記念イベントです。売れてます。
『週刊アエラ』『週刊朝日』『小説すばる』などに大きく取り上げられ、共同通信でも書評が配信され、『信濃毎日新聞』などに載りました。
テレビ、ラジオにも高木氏は出演し、話題になってます。本の帯には、こう書かれています。
〈名前はコトバ。 劇作家とフクロウの不思議な二人暮らしが始まった。
感動の記録〉
本当に感動的な本です。
ロフトの平野店長は、「でも出版記念会で人が来るかね。それに高木さんと鈴木さんで…」と、舐めたことを言ってましたが、満員の客を見て驚いてました。「凄いね。フクロウの力は!」。
そうですよ。本を読んでる人も、読まない人も、「フクロウを見たい!」だけでこんなに集まってきたんです。
この日の主役は、あくまでもフクロウです。著者の高木さんでもなく、ゲストの私でもありません。フクロウです。
そして、フクロウを連れて来てくれた「梟屋」店主の千且淳子さんです。
梟という字も難しくて書けないが、「梟屋」の店主・「千且淳子(せんだ・じゅんこ)さん」の字も難しい。「せんだ」の「だ」の字は、旦ではなく且ですね。私のパソコンでは一度に変換しません。「且つ」と入力して変換しています。
千且さんは、愛玩動物飼育管理士です。高木さんの『フクロウのいる部屋』の陰の主役です。この人がいなければ、この本は生まれなかったのです。
詳しくは本を読んでほしいのですが、あるキッカケで高木さんは、横浜にある「梟屋」を訪ねます。そして、梟に魅入られます。
でも大人のフクロウを買ってきて、育てるのは大変です。フクロウが生まれるのを待ち、生まれたばかりのフクロウを飼うのです。
初めて見た存在を鳥は親と思うんですね。だから、「中年男と子供」の同居生活です。その記録です。
「それが面白いの?」と思われるかもしれません。面白いんです。毎日がドラマなんです。驚きの連続です。
大体、犬や猫を飼うのは分かります。でも、「フクロウって飼えるの?」「飼っていいの?」と思うでしょう。周りに飼ってる人はいませんし。
又、以前は、「飼ってはいけなかった」そうです。今でも、森に行って、野性のフクロウを捕まえて、飼うのは違法です。ちゃんと、お店で、「飼っていいフクロウ」を合法的に買って、合法的に飼うしかないのです。
直木三十五さんもフクロウを飼ってました。「直木賞」の生みの親です。直木賞は有名ですが、この直木さんの本は、あまり出ていません。私は全部読みましたが…。
直木三十五がフクロウを飼ってた写真を見つけて、高木さんにあげたのは私です。
フクロウは「福」を呼ぶといわれます。だからフクロウです。フクロウを飼ったおかげで直木三十五は有名になり、「直木賞」が生まれます。
「ハリー・ポッター」もフクロウのおかげで映画は世界的に大ヒットしたのです。
池袋も、フクロウがいたので栄えたのです。だからJR池袋駅構内にはフクロウの銅像が建っています。
高木さんの『フクロウのいる部屋』も売れてます。多分、映画になるでしょう。長年、脚本を書いていただけあって、文章はうまいです。
それに、読んでいて、その光景が目に浮かびます。ビジュアルです。
又、次から次と「事件」が起こります。そのたびに横浜の「梟屋」さんに泣きつくのです。
本当に泣きつくのです。部屋の中で飼っていたフクロウが、逃げ出した時ですよ。一番の危機は。ちょっと空いていた窓から逃げ出したんです。
鳩と違って方向感覚が分からないから、帰れない。カラスに襲われてるんじゃないか。どこかで倒れているんじゃないか。エサの取り方も知らないから飢えてます。
1日経ち、2日経ち、3日経ち…と。毎日探し回ります。チラシを作って、電柱などに貼ります。でも見つかりません。
「ボロボロと涙を流してました。顔中、涙でした。そのことを言ったらかわいそうなので今日は言いませんでしたが」
と、トークが(終わってから)「梟屋」の女主人は申しておりました。でも、私は書いてます。
そうでしたね。あの時は半狂乱でした。「大丈夫、帰ってくるよ。エサを取れないんだし」と私は言ったのですが、多分、耳に入ってなかったのでしょう。「知らないくせに。気休めを言わないで下さいよ」という感じだったんでしょう。
でも私は、小学生の時、鳩を飼ってました。私のミスで逃がしてしまいました。
でも、しばらくして、帰ってきました。だから、「鳥は帰ってくるもんだ」と子供心に漠然と思っていたのです。
(でも、本当は鳩とフクロウは全然違うんだそうですね。ハトは元の所に帰るように出来ている。帰巣本能と方向感覚がある。だから伝書鳩にも使われ、東京オリンピックの前までは新聞社でも使われてた。新聞社の屋上には鳩小屋があったんですよ)。
秋田県の湯沢市にいた時だから、小学校4〜6年ですね、私が鳩を飼ってたのは。
知り合いからもらい、廊下で飼ってたんですが、すぐに慣れました。間違って外に出してしまい、「アッ、まずい!」と思ったのですが、無事帰ってきました。
だから、鳥は皆「帰巣本能」があるのだと思いました。
外国に行った日本の鳥たちも、日本に帰ってきて捕まってます。「左」の翼を持った鳥です。赤軍派や日本赤軍の人たちです。
だから、高木さんの時も、「大丈夫、帰ってくるよ」と言ったのです。それほど確信があったわけじゃないが、そうなってくれればいいと「願い」を込めて言ったのです。
そうしたら、その「言葉」が現実に働きかけて、フクロウの「コトバ」ちゃんを救ったのです。(高木さんのフクロウは「コトバ」という名前です)。
今年、4月に会津若松に行った時も、似た体験をしたよな。
猫を連れてきた人がいたんだけど、猫は脱走した。通気孔に入ってしまった。下まで落ちたらアウトだ。
本人は半狂乱。涙をポロポロ流し、「高木状態」だ。
もし、あの子に何かあったら、私は生きていけない。飯盛山に行って自決する!と口走る。白虎隊が眠る飯盛山だ。白虎隊の後を追って死ぬという。
しかし、猫のことで後追いされてもなーと、白虎隊だって迷惑だろう。
私は必死になだめた。「大丈夫。帰ってくるよ」と。
その言葉が本当になって、猫は帰ってきた。猫の好物を通気孔に置いて、匂いを送り、必死で呼んだのが功を奏したようだ。
よかった。私の〈コトバ〉がフクロウと猫を救ったんだ。
フクロウと共に住み、励まされたり、オドオドしたり…。
昔、私は、獅子文六の『娘と私』を読んで、同じような体験をした。娘が病気になり、オロオロし、泣きじゃくる父親。
あっ、オラも父親になったら、こんな風になるんだろうと思った。遠い将来なのに、涙が出てきた。高校生の時だったけど。
『フクロウのいる部屋』の話だ。
圧巻は、コトバが卵を産んだ日のことだ。
「ゲッ!お前は女だったのか!」と、のけぞり、驚く劇作家。
フクロウは、オス・メスはよく分からんらしい。子供の頃だと。てっきり男と思って育てていたら、女だったんだ。
コトバは必死に卵を温める。でも孵らない。無精卵だから。かわいそうに。
6月24日のネイキッドにもコトバが産んだ卵が机の上に置かれていた。
コトバ本人は来ない。こんな大勢の人の前に出たことがないので、パニックを起こす。
「ちょっとだけでも皆に見せようかな」という配慮もない。客なんかよりもコトバの方がずっとずっと大切だ。
だから、「梟屋」の女主人に頼んで、慣れているフクロウを連れてきてもらったのだ。
我々が喋っている時も、客は勝手に立ち上がり、フクロウに触ったり、記念撮影したりしている。皆、ウロウロ歩き回っている。学級崩壊した小学校の教室のようだ。
「あっ、この卵、スベスベだわ」と叫んでる女性がいる。じゃ、と私も触った。私は高木さんと話しながらだから、手探りだ。
「ほう、スベスベだね。人間の皮膚のようだ」と言ったら、「それは私の指です」と言われた。
でも、なんで、卵は孵化しないんだろう。「無精卵だからですよ」と高木さん。
でも、サケなんか卵に精子をふりかけてるじゃないか。
「ふりかけてやれよ」「サケの卵とは違いますよ。殻が固いんだし」。
じゃ、もう1羽、オスを飼うとか。
「でも、コトバちゃんは高木さんのことを旦那さんだと思っているんです」と梟屋の主人。
困ったな。じゃ、高木さんが交わってやれよ。自分が連れて来て、同棲してるんだから。事実婚だ。男としての責任を取れよ!と言ってやった。
そしたら背後から、「お前も責任取れよ!」という声が聞こえた。
振り向いたが誰もいない。幻聴だ。あるいは誰かが遠隔操作で電波を飛ばしたのかもしれない。
何か不思議な体験をした1日でした。
劇団「再生」の代表が喋るというので、劇団員は皆、聞きに来ていた。フクロウを観察し、演技の勉強をしてるんだろう。今度、芝居にフクロウを出したらいい。
でも、劇団の人は奇妙なことに気がつく。
「梟屋さんは目がパッチリしていて、フクロウと似てますよね」。
まあ、そのくらいは分かる。「それに、首の振り方がフクロウと同じですよ」。
エッ、気がつかなかった。気をつけて見たら、確かにそうだった。
「店の中で、あちこちのフクロウを見なくちゃいけないので、自然そうなるんです」と女主人。よく分からんが、そうなのか。
もしかしたら、本当はフクロウなのかもしれない。森の中で傷ついて倒れていたところを人間に救われ、それで恩返しに人間の格好をして来たのかもしれない。
人間になり切ったつもりでも、、元々がフクロウだから、ついつい首の振り方や、人を見た時の表情なんかに〈フクロウ〉が出てくる。うん、きっとそうだよ。
そうだ。『フクロウのいる部屋』を読んだ時、「梟屋」さんの女主人に興味を持った。テレビの『ビブリア古書堂の事件手帖』の女店主をイメージした。
古書店をめぐって、いろんな事件が起こり、恋も憎しみも殺人も生まれる。きっと、「梟屋」をめぐっても、そんなことがあるのだろう。
これはドラマになる。テレビになるか、あるいは映画になるか。剛力彩芽が主演だね。女主人も顔が似てるし。
「その時は私が主題歌をうたいます」と、しばあみさんが言う。しばあみさんは、前に高木さんと一緒にラジオに出て、この本の話をしたそうだ。歌手だ。ぜひやってもらいたい。
「大丈夫、そうなるよ」と私は〈言葉〉をかけました。私の言葉は不思議と実現する。きっと、そうなるでしょう。
その前に、「フクロウ・ナイトを又、やってくれ!」と言う声が多くて、やるそうですね。この本の書評もドッと出ているし、
「これからは、ファッション雑誌にも載るそうです。じゃ、舞台でやってもいいんじゃないのかな。映画になる前に。
そのあと、7時にネイキッドロフト。高木尋士『フクロウのいる部屋』(集英社インターナショナル)の出版記念イベント。高木さん、私、そして『梟屋』店主・千且淳子さんの3人でトーク。
でも、主役は、この日登場したフクロウです。3羽が登場し、お客さんは皆、写真を撮るのに忙しい。余り話は聞いてなかったんじゃないのかな。
ともかく、「生フクロウ」の力は偉大です。超満員でした。
午後、打ち合わせ。対談。夜、久しぶりに柔道に行く。稽古をしている下の階では、マスコミの人が一杯来て、「記者会見」を開いてました。柔道の上の人たちも大変だ。
3月一杯で「夕やけ寺ちゃん活動中」が終わり、4月から朝に変わった。変わってから初めてだ。3ヶ月なのに、懐かしいです。嬉しかったです。寺ちゃんに聞きました。「何時に起きてるんですか?」「2時です」「ギャ、私の寝る時間ですよ」
大変ですね。この日は、自民党の憲法改正の話、愛国心の話などをしました。
午後から河合塾コスモ。3時、「現代文要約」。5時、「読書ゼミ」。ウォルフレンさんと孫崎享さんの対談『独立の思考』(角川学芸出版)を皆で読んで、話し合いました。
午後6時半、タクシーで芝のプリンスホテルへ。松木けんこうさんを囲む会。けんこうさんは、来月の参院選に出るそうで、元気一杯でした。
鈴木宗男さん、娘さんのたかこさん(衆議院議員)、大下英治さん、デヴィ夫人…に会いました。
多くの人が集まって、熱心に聞いてくれました。終わって、市内にあるスナック『バロン』へ。元連合赤軍兵士の植垣康博さんがやっているスナックだ。そこで話す。途中から植垣さんも巻き込んで〈連合赤軍〉の話をする。この事件以降、左の運動は全部潰れた。〈現実〉追随だけで、運動に〈理想〉〈夢〉がなくなった。その責任は大きいだろう。
又、植垣さんは、去年、北朝鮮に行ってきた。「よど号」グループとも会った。どう思ったのか。北朝鮮問題を話し合った。そして、最終の新幹線で東京へ帰った。
①6月24日(月)7時半。ネイキッドロフト。高木尋士『フクロウのいる部屋』出版記念イベント。3時間以上、このフクロウはずっと机の上にいてくれました。この日の主役です小型種です。高木さんの飼っている「コトバ」と同種。アフリカオオコノハズクで、名前は、「こび」です。
⑭ちゃんと許可をもらって撮りました。しかし、凄いファッションですね。「旭日旗」ですよ。
「自分で作ったの?」「外国のブランド品を売ってる店で買いました」「いくらですか?」「4500円」だそうです。
でも、これを見て、右翼は喜ぶのかな。「許せん!」と怒るかな?
右翼じゃないから、分かんない。
⑰「選挙映画祭り」で。6月19日(水)、阿佐ヶ谷ロフト。(ここに写ってない人もいますが)司会は佐藤嘉一さん。映画「立候補」撮影の木野内哲也さん。鈴木、山内和彦さん(映画「選挙」主演)。園田映人さん、映画監督・井上紀明さん、金子遊さんなど大勢が出ました。
㉑6月21日(金)プロレスを見ました。アルファ・ジャパンの荒井さんからご招待されました。「THIS IS 邪道ワールド!」。新宿です。面白かったです。大仁田厚が水を口にふくんで、客に吹きかけています。その「聖水」を浴びようとファンが殺到しています。