まるで、「未知との遭遇」でしたね。
初めて「ニコ生」に出た時も、そんな感じを持ちましたが、今回はそれ以上です。先週も書いたけど、今週はさらに詳しく報告しよう。
それにしても、本当に〈未知〉の世界に足を踏み入れた感じでした。
緊張しました。怖かったです。8月15日(木)のニコ生です。ニコ生最大のイベント「終戦の日、大演説会」に出たのです。
ニコ生には何度か出てます。映画「ザ・コーヴ」の時。脱原発やデモの問題。アメリカとどう闘うか、といった問題などだ。10回近く出てるでしょう。
だから今回も、「はい、いいですよ」と軽い気持ちで引き受けた。
「水道橋のスタジオですね。何回も行ってますから場所は分かりますよ」と言ったら、「今回はビッグイベントなので六本木の大きなスタジオでやります」と言う。
そして、趣意書と地図がメールで送られてきた。「終戦の日。ネット演説会」という。
そして、こう書かれている。
〈目的〉は、
〈終戦の日にこれからの日本を考えるにあたって、プラットフォームとしてのニコニコ動画上で、多様な生の意見をユーザーに提供することをねらいとしています〉
〈内容〉は、
〈政治家および識者・文化人にお声かけをし、終戦の日に訴えたいことをネットユーザーに向けて演説形式で発表していただきます。各出演者の枠は10分前後でお願いいたします〉
場所は六本木の「ニコファーレ」だという。よく分からないが、昔、「ベルファーレ」という巨大なディスコがあり、そこをニコ生が買い取ったという。凄い。
そうだ。選挙の直前、党首討論会をここでやったと言っていた。そこに、30分前に来てほしいと言う。
生放送で、18人が演説をする。8月15日(木)の午後6時から10時までの4時間だ。
どの時間帯がいいか、都合の良い時間帯候補をいくつか教えてほしいという。
どの時間でもいいよ、と思ったが、この日はロフトプラスワンでも高須基仁さんのイベントがある。そこに出てくれと言われていた。
だから、ニコ生には、前半に出て、ロフトは後半に出ることにした。
ニコ生と時間調整をし、午後7時42分から52分に出ることになった。
それから、タクシーでロフトに行く。ロフトは7時半からだから、8時半頃には着ける。そう思っていた。
この日は、特に暑かったし、忙しかった。私にとって最も長い1日になった。
朝、テレビ朝日の「モーニングバード」に出た。終戦の日特集だ。なかなかいい番組だ。私は録画出演だったが。
ともかく、テレビを見て、昼前に靖国神社に行った。
騒々しい。静かに慰霊する雰囲気ではない。
九段下から靖国神社まで両側に、政治的主張の人々が陣取り、叫んでいる。訴えている。
「憲法を改正しよう!」「教科書はこれではダメだ!」「中国・韓国になめられるな!」「やってしまえ!」と…。
まるで「開戦前夜」だ。
神社の中には、旧軍の格好をした人たちがいる。突撃喇叭を吹いたり、集まって軍歌をうたっている。右翼団体の黒い街宣車も外で大音響で怒鳴っている。本当に騒々しい。
普通の人たちが圧倒的に多いのだが、中には制服を着た集団や、旧軍の格好をして喇叭を吹いたり、サーベルを抜いたりする人もいる。
外国のカメラマンはそういう「非日常の光景」ばかりを撮っている。
それが世界に発信されると、まるで「軍国主義の復活だ!」と思われる。例外的な、稀な存在だが。
でも、そんな人がいるのは嘘ではない。
そして、「これが日本の今の現状だ!」「右傾化日本だ!」と紹介される。たまらない。
靖国神社が、毅然と対処すべきだろう。「静かに参拝して下さい」「(軍国主義的な)コスプレはやめて下さい」と。
そして、政治的「出店」や街宣車の騒音もご遠慮してもらったらいい。
そう思いましたね。
それから、河合塾コスモに行って、17日(土)と22日(木)の「合同ゼミ」の打ち合わせ。
学校は今は夏休みだが、他の科目の先生たちとの合同ゼミが3回ある。
1回目は、「三島由紀夫を考える」で、これは終わった。
第2回は英語の吉田先生との合同ゼミで、憲法改正や軍隊。そしてアジア問題について考える。
第3回目は、小屋先生と、『漫画で読む戦争』をテキストにしながら、〈戦争〉を考える。
それらの打ち合わせが終わって、午後6時に出る。
7時に、六本木のニコファーレに着く。
もう始まっている。控え室で、モニターを見る。
かなり広いホールで、たった一人、立って演説している。
周りに膨大な観客がいる、と思ったら、絵だ。その絵の観客が動き、どよめいている。
又、巨大なスクリーンにユーザーの「書き込み」が出る。デカイから迫力がある。
こりゃー凄い。現場をチラッと覗かせてもらったが、異様な空間だ。
ウワー、大丈夫かな。私なんて、気が弱いから足が震えるんじゃないのか。
暗い中を正面まで歩いて行き、そこで演説する。
「階段やレールなどがありますから、つまずかないようにして下さい」とスタッフが言う。
やだな。緊張しているから、つまずいて転んだりしたら。
そうだ。わざと転んで、受身をとって、それで笑いを取ってから演説しようかな。
いやいや、そんな演技は見破られて、メチャクチャ書き込みされるよ。やめとこう。
モニターを見ていたら、「東京裁判は間違いだった!」「日本は正義の戦争をしたんだ!」と叫んでる人がいる。「そうだ、そうだ!」という書き込みがすぐに出る。受けている。
維新の会の人も過激なことを言い、受けていた。私は何を言ったらいいんだろう。
と思ってる間に出番だ。スタジオの横で待機する。
直前の孫崎享さん(評論家)が喋っている。
元外交官だから、いかに相手国との対話が必要かを話す。
そしたら、いきなり、「帰れ!」「共産主義者め!」という書き込みであふれる。
「戦争をやってでも国益を守れ!」というのは受けがいいが、少しでも「話し合いを!」と言うと、「弱腰め!」「それでも日本人か!」と言われる。そして、「共産主義者!」だ。
「共産主義者」「左翼」という言葉は、今や単なる「罵倒の言葉」なんだ。ただの「悪口」なんだ。それも、全人格を否定する「暴力的言葉」だ。
これを見て、私の〈覚悟〉が決まった。
よし、闘ってやろう! この、正体の分からない、巨大なモンスターと闘ってやろう、と思った。
スタッフに聞いたら、今、13万人が見てるという。ほとんどが、右派・保守派的な人たちだろう。
昔だったら、「卑怯者め、顔を見せろ」「1対1で闘おう!」と言ったが、そんな言葉は通じない。
「13万人対1人」か。勝ち目はないが、やってやろうと思った。覚悟の玉砕戦だ。
それで喋ったんですよ。その内容は先週ここで書いた。
又、ニコ生で見た人もいたんだろう。さらにYouTubeで見た人もいただろう。
13万人のユーザーを敵に回して、挑発し、闘ってやった。
そして、(結果的には)見事に玉砕した。私の〈戦争〉だった。
昔の右翼学生だった頃のように、「戦争に一度負けた位で萎縮するな! 今度、勝てばいい!」「中国・韓国になめられるな!」「やっちまえ!」「憲法を改正し、強力な軍隊にしろ!」…と言ったら、大受けだろう。
「そうだ、そうだ」「いいね、いいね」と書き込みがドッと来るだろう。
だから、こんなところで受けるなんて簡単だ。
実際、(闘った経験もないくせに)、「闘え!」と煽って、受けてる人間が多いじゃないか。
でも、今は自分としては「成長」した。(堕落したと思う人も多いだろうが)。
昔のように、無責任に、強硬なことを叫んでるだけではダメだと思った。
だから、「自称・愛国者」を批判した。本当に、戦争になっていいのか!と問うた。
私の45年間の「愛国運動」の中で、見て来たことを話した。
「国のために死んでやる!」などと大言壮語した人間は皆、運動をやめている。
本当に信念のある人間は、大言壮語しない。「俺は愛国者だ!」なんて絶叫したりしない。
1970年に三島由紀夫と一緒に自決した森田必勝氏もそうだった。
いつもおとなしく、ニコニコしていた。右翼同士の「内ゲバ」でも、「そんなことはやめましょうよ」と言っていた。
もっともっと大きなことを考えていたからだ。
10分間は、アッという間に終わった。
チラッと「書き込み」を見たが、予想通り、バッシングの嵐だ。
私も初めに言った。「君らに受けようとは思わない。自分の考えを言う。気に喰わなかったら、どんどん批判してくれ!」と挑発したから、覚悟の上だ。
演説してる時は、あまり見れなかった。
あとで映像を見た。
「右翼の皮をかぶった左翼!」「テレビ受けを狙ってるだけだ!」「ほらきた」「お仲間じゃないよ」「人間は変わるもの」…と、さんざんだ。
後でユーザーの支持率、評価も出る。
予想通り、私は最低だ。
トップは田母神さんだ。
この日、どんな人が出たんだろう。
こんな人たちらしい。「1人10分」だが、2人一緒に出てもいい。選挙の政見放送のようだ。
ただ、「2人で対談する」のではなく、3分と7分というように、2人で「10分」を分け合う。そんな人も何人かいた。
一水会代表の木村三浩氏も、「久田将義さんに頼まれて、一緒に出ることになった」と言ってた。私の何人か後に出たようだ。
ただ、この日は、ロフトがあったので、私は、自分の演説が終わってすぐ出た。井上和彦さんは、まだいたので、ロビーでちょっと話をした。
あとは誰とも会ってない。他の18人の出演者には全く会わない。こんな出演も初めてだ。
さて、「ニコファーレ演説会」の出演者だ。
井上和彦、加藤登紀子、北原みのり、小宮山泰子(衆議院議員・生活の党)、鈴木邦男、石平、田村智子(参議院議員・日本共産党)、田母神俊雄、デヴィ夫人、中丸ひろむ・上西小百合(共に衆議院議員・日本維新の会。2人で10分演説した)、荻原博子、久田将義・木村三浩(2人で10分)、堀潤、孫崎享、松原仁(衆議院議員・民主党)、丸山和也(参議院議員・自由民主党)。
これで18人か。
しかし、日本共産党まで出たんだ。勇気があるね。でも、自主自立の党だ。一貫して、日本の独立のために闘っている。
だから、結構、支持もあったようだ。少なくとも、「転向」「裏切り者」の私よりは、評価、支持があったようだ。
このメンバーだと、田母神さんが断トツだ。圧倒的に支持される。
一水会の木村三浩氏も、「待ってました!」と支持が高かったようだ。
軟弱な「一水会顧問」と違い、一水会代表の木村氏は、世界を股に掛けて、闘っている。
かつて、日本青年社にいた時、尖閣に上陸し、灯台を建てた。その実績の前には、誰も文句を言えない。
ただ、凄い書き込みがあったと、言っていた。
〈鈴木邦男を粛清しろ!〉
というものだ。私が「顧問」で、木村氏が「代表」だと知ってるんだろう。「転向」し、左翼になったこんないい加減なことを言う奴は「粛清」してしまえ! というわけだ。
ほう、凄いね。これは気に入った。これぞ、ニコ生のいい点だね。遠慮会釈がない。ズバリ!と問題点を指摘している。
その「書き込み」には何故か、感動した。「そうだ、そうだ。粛清しちゃえよ!」「除名しちゃえよ!」と思った。
アッ、いけねー、オラのことかよ。「日本維新の会」や「みんなの党」だったら、とっくに除名だね。新選組だったら、「ダラ幹め!」と言って、斬り捨てられた芹沢鴨だね。
去年、私の好きな土方歳三の最後の地を訪ねた。函館の五稜郭だ。土方グッズを大量に買ってきた。「土方ネクタイ」も買ってきて、締めている。
そうだ。ニコ生大演説会の時も、締めていけばよかった。「勝負ネクタイ」として。
でも、書き込みされるよな。「何が土方だ!」「お前は土方に斬られた裏切り者の芹沢鴨だ!」と。
じゃ、ヤケで「芹沢鴨ネクタイ」を締めて行けばよかった。自虐的に挑発してやるんだ。
でも、演説会に出た時は、まさか、「鈴木を粛清しろ!」と言われるとは思ってなかったし…。
ということで、8・15の〈私の戦争〉は終わった。さて、この男に、どんな〈戦後〉が待っているのだろうか。興味が持たれるところだ。
午後7時から、六本木。「大地を守る会」事務所で講演。テーマは、「ナショナリズムとは何か。真の保守主義とは何か」。
前の代表だった藤本敏夫さんとの付き合いから話し始めた。
藤本さんは、全学連委員長で、この後、加藤登紀子さんと獄中結婚。学生運動を辞めたあと、農業に回帰。「大地を守る会」代表。そして鴨川に農園をつくる。藤本さんから学んだことを話した。
そして、ナショナリズム。愛国と憂国。グローバリズム…などについて話す。
終わって、近くの中華料理店で打ち上げ。いろんな人が来ていた。東京芸大のソプラノ科の人が、「君が代」を歌ってくれた。うまい。キングレコードから「君が代のすべて」というCDが出てます。それを聞いて、「すべの君が代を歌って下さい」とお願いしました。60年安保の全学連委員長・唐牛健太郎さんの奥さんも来てくれました。ありがとうございました。
小屋先生は、漫画には詳しくて、生徒と共に、「漫画ゼミ」をやってたこともある。膨大な戦争漫画を読んで、語り合う。
しかし、漫画については、やたらと詳しい生徒がいて、私の方が付いて行けなかった。そんな場面もあったが、〈戦争と表現〉について、かなり突っ込んだ話し合いが出来ました。
終わって、小屋先生や、フェローと共に、食事に行きました。
〈深夜の東京にひっそりとオープンする架空の書店「東京秘密書店」。このオーナーも週替わり。彼らが夜な夜な語る、本にまつわる、アツク、そしてアヤシイ話をオンエア。政治、経済、映画、音楽、サブカル、お笑い…ジャンルもボーダーも越えた本の話は、偶然入った客をも虜にする〉。
ただし、収録なので、放送は9月中旬になる予定だ。文化放送の「夕やけ寺ちゃん活動中」に出てた時、そこの構成作家をしていた坂本憲昭氏が、この番組を担当していて、呼んでくれた。ありがたいです。
この日は、高橋和巳について主に話しました。そして三島由紀夫についても。「この2人さえ読んでれば、それでいい。世界のこと、人生のすべてがここにある」と言いました。そして、各作品について解説しました。
終わって、講道館へ。暑い中、汗を流して闘うのはいいことだ。女子チャンピオンの福見友子さんも女子の練習の指導で来てました。
①8月15日(木)、午後6時から10時。〈終戦の日特別企画。ニコ生大演説会〉が行われました。六本木の巨大スタジオ・「ニコファーレ」で。まわりには人、人、人。よく見ると絵ですが、人間のように動き、叫びます。
巨大な文字の「書き込み」も次々と出ます。そこで10分ずつ演説します。緊張しました。震えました。
⑨8月15日(木)。朝は「モーニングバード」(テレ朝)。昼は靖国神社。それから学校。6時から、「ニコ生」。大演説会に出て、
終わって、タクシーでロフトプラスワンへ。高須基仁さん企画の「終戦の日。大激論集会」に途中から出ました。ちょうど第1部が終わったところで、記念撮影でした。
中央は黒岩由紀子さん(団鬼六夫人)です。その人以外は全員残って、第2部に。
⑫これは河合塾コスモの夏休み特別企画です。8月17日(土)、吉田剛先生と合同授業をやりました。『先生!』(岩波新書)を読み、皆が考える。〈先生像〉について考え、その後、一転して、憲法改正をどう考えるか。皆で話し合いました。
上の2人は写真を切り取って、貼りつけたもの。「立体的なポスター」になってます。
⑳県立美術館のあと、近くの三内丸山で縄文時代を体験し、夜は、ねぶたを桟敷席で見ました。(先週号に写真が出てます)。
9時に終わって、その後、地元の市民運動をやってる人たちと食事をしながら、脱原発、憲法改正などについて話し合いました。青森なのに、フランス料理っぽくて、お洒落で、おいしかったです。
㉑これが今、話題の「ソーラー板付き、リュックサック」です。毎日、自転車で会社に通うので、携帯くらいは充分に充電できるそうです。ネットで6千円位で買えるそうです。皆さんも買ったらよいでしょう。
この人自身もソーラーで動いているのかと思ったら、違いました。ご飯とビールで動いてます。
㉒翌日、8月6日(火)は、太宰治の生家・「斜陽館」へ行きました。五所川原から津軽鉄道で金木へ。「走れメロス号」に乗りました。
ここでは、「走れメロス」マラソンも行われています。自分の親友や最愛の人を預け、時間まで戻れなかったら殺す。という過酷なマラソンです。いやいや。太宰の小説「走れメロス」では、そうなってますが、今は、〈人質〉は取りません。そんなことをしたら、皆、わざと遅れて走るからです。