「差別撤廃」週間だったな、今週は。あれっ、先週か。
9月22日(日)は、「差別撤廃・東京大行進」で2時間も歩いた。
デモやマーチと言わないで「大行進」と、レトロに言うところがいい。
元々の日本は寛容な国だったんですよ。それを思い出させる。
そして、9月25日(水)は、「のりこえねっと」のキックオフ記者会見だった。
「のりこえねっと」は正式にはこう言う。
「ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク」だ。
その共同代表として私も出た。スピーチした。
上野千鶴子さんや、河野義行さん、北原みのりさん、中沢けいさんたちと会った。初めて会う人も多く、感動した。
「差別撤廃・東京大行進」から報告しよう。
9月22日(日)、12時半、新宿中央公園水の広場に集合。1時、出発だ。
中央公園は広い。知り合いに聞いても、「ほら、滝のとこだよ」「噴水のあるとこだよ」と、よく分からない。
しかし、当日、新宿駅に行ってみたら、人が沢山向かっているので分かった。
確かに滝がある。そして何と、「ナイアガラの滝」と書かれている。えっ、日本にもあったのか。でも小さい。本物に対し申し訳ないよ。
人が続々と集まってくる。有田芳生さん、ノイエホイエさんなどが挨拶する。又、豊島区議の石川大我(たいが)氏も挨拶した。
そして1時にデモは出発。2000人ほどがいる。多い。「脱原発のデモかと思って来ました」と言う人もいる。
そして歩く中で、どんどん膨れ上がる。沿道の人々も入ってくるからだ。
有田芳生さんは娘さんと一緒に歩いている。「お兄ちゃんも来てます」と言う。
前日も松元ヒロさんのライブで会った。「昨日も会いましたね。奥さんと一緒でしたね」と言ったら、「今日も来てるよ」。あっ、来てました。一家全員で来てるんだ。
偉いですね。これも家族サービスなんだろうか。
傍にいた人が、「一家で温泉に行くよりいいんじゃないの。安上がりで」と言ってた。そんなことじゃない。使命感ですよ、有田さんの。
石川大我さん(豊島区議)とも話をしました。「たいが」という名前がいい。
「どこの政党なんですか?」と椎野礼仁さんが聞く。「社民党です」。
私は「初めまして」と挨拶したら、「会ってますよ。私、福島みずほの秘書をやってましたから」。
あっ、そうか。「この前、福島さんとは“みずほTV”で対談しましたよ」と言いました。
ちょっと話が先に飛ぶが、このデモの5日後、9月27日(金)の新聞を見て驚いた。
福島みずほさんが社民党党首を辞めたので、その後の「党首選」が行われる。9月27日告示、10月12、13日投票。14日開票だ。
2人が出馬表明した。1人は吉田忠智政審会長(57才。参院議員)。そして、もう1人が何と、デモで会った石川大我さん(39才。豊島区議)なのだ。
両者の一騎打ちになる。石川さんは39才なのか。若い。頑張ってほしい。
では、9月22日(日)の「東京大行進」に話を戻す。
当日配られたチラシには、こう書かれていた。
〈全国各地で繰り返されているヘイトスピーチ・デモに、私たちは反対します。差別は個人を、集団を、そして社会を破壊します。差別は私たち全員の問題です。50年前の8月、米国・ワシントンでは人種差別撤廃をもとめる人々が立ち上がり、20万人以上が集まって大行進をおこないました。今年は私たちが立ち上がります。差別はやめよう、仲良くしようぜ!!〉
ここに全てが書かれてますね。50年前のワシントン大行進に刺激されたんですね。「今年は私たちが立ち上がります」はいいですね。
これで、大きく変わるでしょう。「2020年東京五輪」が決定し、その国で、排外スピーチ・デモがやられたんでは、開催国の資格がありません。
「特別な法律をつくれ」とか、「排外デモは許可するな」と警察に要請すべきだと言う人もいますが、私は反対ですね。あくまでも、「言論には言論で」「デモにはデモで」対抗すべきです。
法律や警察の力で取り締まったら、他のデモだって、取り締まられることになる。
実際、排外デモを野放しにしてた警察は、「立法化」や「警察力強化」を求め、そんな〈声〉を待っていたのでしょう。
「ヘイトスピーチ、排外デモを取り締まれ。そんなデモには集会許可、デモ許可を下すな!」という声が殺到したら、「どのデモを認めるか」「認めないか」の判断を警察に委ねることになります。
「この左翼のデモも危ない」「この市民運動は政府に反対してるから認められない」…となったら大変です。
それに、自分は何ら声も上げず、行動もしないで、「警察は取り締まれ!」と叫ぶのもいかがなものでしょうか。
私は思いますが、どんな下品な、デモや集会も、全て自由にやらせたらいい。
その中で、それに反対なら、その集会、デモも認める。
そして、「朝鮮人殺せ!」「韓国人、首吊れ!」なんて叫ぶのは〈卑しい、恥ずかしい〉と思わせることです。だって、人間として恥ずかしいでしょう。
その当たり前のことを、圧倒的な〈声〉で、知らせるべきです。
その意味で、今まで、「レイシスト・デモ」に対し、街頭で抗議したり、こうして反対のデモをすることには大賛成です。
又、そうした形でしか、「差別撤廃」は出来ないと思います。
そして次のイベントだ。「東京大行進」の3日後、9月25日(水)、12時から開かれた。
〈のりこえねっと=ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク〉のキックオフ記者会見だ。
大久保の「Show Box」で行われた。大久保の職安通りにある、「大使館」の隣りと地図に出ている。
韓国大使館かと思ったら、「大使館」という名前の焼き肉屋だ。「あっ、ネイキッドロフトのそばだ」と分かりました。あの並びですね。
会場は、1階が広いスタジオだ。普段は、音楽のコンサートなどに使ってるようだ。
「ニコ生の大演説会をやった会場と似ている」と私は呟きました。
あそこは六本木の巨大スタジオだったが、こっちは大久保のスタジオだ。あれよりはちょっと小さいが、雰囲気が似ている。
「そうですね。似てますね」と北原みのりさん(エッセイスト)が言う。この日の出席者だ。
「あの日、私もニコ生に出たんです。鈴木さんの4人後に。鈴木さんの演説も聞きました」。
おそれいります。「お呼びじゃない!」「人間は変わるもんだね!」と、一番、バッシングを受けたんだ。
あの時は20人ほどが出て、4時間もやったんだ。
ぜひ、全部を見てみたい。一番人気のあった、田母神さんのも見てみたい。
この日はニコ生の人も来てたので、「見たいです。北原さん、田母神さんのも」とお願いしました。「じゃ、パソコンで見れるようにします」と言ってた。秘密のパスワードを教えてくれて、見れるようにしてくれるのだろう。
では、「のりこ」のネットだ。違った。「のりこえ(乗り越え)ねっと」の記者会見だ。
共同代表は20人。「あっ、さっき、村山富市さん(元首相)から電話があり、「共同代表」になってくれました! これで共同代表は21人です!」と司会の辛淑玉(しん・すご)さんが言う。
共同代表21人のうち、この日、出席した人は次の11人だ。
上野千鶴子(東京大学名誉教授)
宇都宮健児(前日弁連会長)
河野義行(松本サリン事件被害者)
北原みのり(エッセイスト)
佐高信(評論家)
辛淑玉(人材育成コンサルタント)
鈴木邦男(一水会顧問)
田中宏(一橋大名誉教授)
中沢けい(作家)
松岡徹(部落解放同盟中央本部書記長)
若森資朗(一般財団法人 協同センター東京)
この11人が、当日、出席し、記者団の前で挨拶し、さらに記者の質問に答える。又、始まる前に、1人ずつTV収録用の挨拶取材があった。
この出席者以外の「共同代表」は以下です。10人です。
石井ぽんぺ(原住アイヌ民族の権利を取り戻す。ウコチャランケの会代表)
雁屋哲(漫画原作者・エッセイスト)
田中優子(法政大学教授)
高里鈴代(平和市民連絡会共同世話人)
知花昌一(真宗大谷派僧侶)
西田一美(労働組合役員)
前田朗(東京造形大学教授)
リリアン・テルミ・ハタノ(近畿大学准教授)
和田春樹(歴史家・東京大学名誉教授)
村山富市(元首相)
それで計21人が「共同代表」だ。漫画家の雁屋哲さん、僧侶の知花昌一さんも入っている。
知花さんは昔、沖縄国体で、日の丸を引きずり降ろし、焼いた人だ。
大問題になり、右翼団体が何百台と沖縄に入り、「知花糾弾」を繰り返した。
「知花講演会」が東京で開かれた時は、一水会の活動家たちと知花氏を守る新左翼の間で、血で血を洗う肉弾戦が展開された。
又、この後、何年かして、知花さんと会うことになる。又、会いたかったのに残念だ。
漫画家の雁屋哲さんは、こんなメッセージを寄せていた。
〈「在特会」は日本の恥というより、人類の恥です。日本の戦後教育が一貫して、日本の現代史を学校で教えてこなかったことが、こういう無知で浅ましい人間を生み出したのだと思います。
ただ、「在特会」を叩くというような場当たり的な対症療法では駄目だと思います。日本の社会のあり方全体を根底から問い直し、病巣を剔抉しなければ、第二第三の「在特会」は現れるでしょう。遡れば、関東大震災の際に「朝鮮人大虐殺」が起こった時に、日本という社会のあり方が問い直されるべきだったのです〉
これも大賛成です。ズバリと断言してます。勇気がありますね。
この9月25日(水)の「記者会見」には、テレビ、新聞、週刊誌、フリーの記者たち100人が詰めかけた。
11人の出演者が名前を呼ばれ、一人一人登場する。「朝生」のようだ。
そしてまず最初に、大久保、鶴橋でのヘイトスピーチデモの様子が流される。
こんなに酷いことをやっているのか。と改めて驚いた。
老人をつかまえて、「朝鮮人!」「朝鮮人!」と罵り、いじめている。
人間として恥ずかしくないのか。「日の丸」が泣いている、と思った。
日の丸は、寛容な、大和の国の旗だ。
それなのに、こんな排外主義のデモに使われている。日の丸に申し訳ない。
映像が終わって、11人の共同代表から、挨拶。
私は、「日の丸が泣いている」と訴えた。
そして、「法律を作ったり、警察にお願いするのではなく、我々の声で、我々の力でヘイトスピーチをなくそう。差別をなくそう!」と言った。
司会の辛淑玉さん、そして中沢けいさんによる「ヘイトスピーチの現状」報告もある。
数字を挙げて、表にしている。分かりやすい。
それから、質疑応答。
「これから何をするのか」
「先発の他の反差別の集会、団体とは連帯するのか」
「右翼、保守派はそれをどう思っているのか」
「取り締まりの法制化を目指すのか」
「国会議員にはどう働きかけていくのか」。
といった質問が多かった。私についての質問もあったので、それは答えた。
1時半、終わり。
そのあと、隣りの「大使館」で打ち上げ。
いろんな人たちと話し合った。
河野義行さんは久しぶり。「鈴木さんはいつも温和ですね」と言われた。
「昔は暴力学生でした」と言いました。
河野さんだって、いつも温和だ。今は鹿児島にいるという。
どんなにオウムを恨んでいるのかと思ったら、今は、冷静にあの事件を見直し、二度とあんなことの起きないようにと、上祐さんの「ひかりの輪」の外部監査人も務めている。
「上祐さんとは、この前も会いました。鈴木さんたちと話した本も読みました」と言う。今度、ゆっくり話を聞きたい。
北原みのりさんは、『毒婦。木嶋佳苗 100日裁判傍聴記』(朝日新聞出版)を出している。ぜひ今度、その話を聞きたい。
「いいですよ」と言ってたので、どっかで実現するだろう。
上野千鶴子さんとは初対面。「『週刊金曜日』の坂本龍一さんとの対談、よかったですね」と言われた。ありがたいです。
次の日の「東京新聞」(9月26日付)を見たら、大々的に出てましたね。この記者会見のことだ。
タイトルが凄い。
〈「売られたケンカ買います」
在日・辛さん立ち上がる。反ヘイトスピーチ団体結成〉
これは、ショッキングだ。そして、写真も。
辛さんの後ろに私もいる。上野さん、河野さん、佐高さんもいる。
見出しはもう1つ。
〈松本サリン事件・河野さんら賛同。
「排除のつらさ分かる」〉
この記事の中で、この「のりこえねっと」の今後の活動について触れている。
〈辛さんは「いつ収まるかと様子を見ていた」が、ヘイトスピーチを止めきれない現実を前に、団体結成を思い立った。
ヘイトスピーチの実態調査や勉強会の開催のほか、独自に制作した番組をネットで配信する計画も練っている。デモなどの差別行動の中心人物らの告訴も辞さないという構えだ〉
これも凄い。挑発している。「レイシストよ、私と闘え!」と言っている。
終わってから、出席した記者が小声で言っていた。「辛さんと上野さんがタッグを組んだら最強ですよね」。
そうですね。2人で、レイシストを一人一人、呼び出したらいい。
TV、ラジオ、新聞、週刊誌を舞台に、そこで〈闘っ〉たらいいでしょう。
最強コンビですよ。その様子をTV、ネットで配信したらいい。
今までは、見て、文句を言うだけだった。
これから、「反撃」が始まるのだ。辛さんだから、「激辛チャンネル」でもいいし。
辛さんは言う。「ヘイト君、こんにちは」とか、「桜散るチャンネル」などがいいかな。と言って、笑っていた。心強い限りだ。
又、旧仮名遣い(本人は「歴史的仮名遣い」と言った)で、全ての原稿を書いていた。大学の「講義ノート」も旧仮名で書いてたんだろう。
いろんな事情で、「楯の会」を辞めた。その後任の学生長は森田必勝氏だった。持丸氏がいたら、〈三島事件〉も別のものになってたかもしれない。
そのことを含め、三島事件などの話を書いて下さいよ、と言っていた。何度か、その機会があったが、出来なかった。ただ、佐藤松男氏との対談は本になっている。『三島由紀夫・福田恆存。たった一度の対談』(文芸春秋)だ。
この日は、ガックリして、仕事が手に着かなかった。ヘイトスピーチや改憲問題について週刊誌の取材を受けたが、頭がよく回らない。心もうつろだ。何を喋ったか、自信がない。
〈谷垣禎一法相による
三度目の死刑執行に抗議する集会〉
熊谷徳久さん(73才)。1人を殺し、自首。一審では無期懲役だったのに、二審では死刑。そして9月12日、執行された。
『奈落=ピストル強盗殺人犯の手記』(展望社)という著書もある。担当した弁護士も話していたが、悲惨な人生だ。勿論、人殺しは許されない。しかし、いくら反省し、毎日毎日、懺悔していても「許されない」。
この本は、ぜひ読んでみようと思う。暗い気持ちになった。終わって、安田弁護士たちとその話をした。
①「のりこえねっと」(ヘイトスピーチとレイシズムを乗り越える国際ネットワーク)のキックオフ記者会見が9月25日(水)正午から開かれました。大久保のShow Boxです。立ってるのが司会の辛淑玉さん。左右に座っているのが共同代表の人たちです。
㉓元気いいぞうさんに会いました。芸人です。「世の中、狂ってる!」という歌がいいですね。「電車の中で痴漢に間違えられた!」という歌です。冤罪告発の歌です。全体はこうです。「電車の中で痴漢に間違えられた!お尻を触っただけなのに!」がいいですね。トボケてて。
㉘その帰り、新宿駅の地下にいました。栃木県のゆるキャラ・「とちまる君」です。子供が並んで写真撮ってました。「大人もいいですか?」と聞いて撮りました。「とち乙女」食べてます、と、とちまる君に言いました。 「とち乙女」はイチゴです。本物のとちぎ乙女ではありません。