驚いた。2月25日(火)の朝、札幌から宅急便が送られてきた。
開けてみたら、何と、新しい本だ。『「日本の分」について考える』(柏艪舎)だ。その見本誌だ。3月1日に全国書店に並ぶという。
今年になって、4冊目だ。2ヶ月で4冊だ。
何も年末に書いたのが4冊ではない。去年1年かけて書いた本、去年1年かけて対談した本。さらには、その前から書いてたものを纏めた本。…と、さまざまだ。
それらの本が今、ドッと出ているのだ。今年、出た本はこの4冊だ。
①『愛国者の憂鬱』(金曜日。坂本龍一さんとの対談)
②『連合赤軍は新選組だ!』(彩流社。連合赤軍について書いた文。連赤関係者と対談したもの。それらを纏めた本だ)
③『反逆の作法』(河出書房新社)(私が影響を受けた人、11人について書いた)
④『「日本の分」について考える』(柏艪舎)
2ヶ月で4冊なんて、自分史上、なかったことだ。
この4番目の本についてだ。これは、札幌でやっている「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」を纏めたものだ。去年初めにやった第1回(鈴木宗男さん)と、第2回(中島岳志さん)を纏めた。
柏艪舎から本を出すのは、これで3冊目だ。
1冊目は、『日本の品格』だ。
2冊めは『秘めてこそ力』だ。
そして3冊目が、『「日本の分」について考える』だ。
日本の分(ぶん)について語り合ったのだ。日本の「品格」でもあり、日本の秘めた力でもある。
〈日本人として、日本の分(ぶん)、つまりは日本のあり様(よう)を模索する〉
と本の帯には書かれている。
さらに、3人の発言を紹介しながら、この本の主張を紹介する。
〈鈴木宗男が政治家生命を賭して取り組んできた、北方領土問題、プーチン大統領と会談し、首脳会議の舞台裏を見てきた氏が、外交現場の涙ぐましい努力を臨場感たっぷりに語る〉
そうです。エッ、こんなことがあったのかと驚く話ばかりだ。
外交交渉は何もフォーマルな会議で決するものではない。酒を飲み競べながらの話の中で、又、サウナでの裸の付き合いの中から生まれる。
ロシアの政治家は親愛の情の表現として、男同士が抱き合い、そして接吻する。それも舌を入れて、ディープな接吻をする。
「それを嫌がってはダメです」と宗男さんは歴代の首相に言ってきた。
「でも男同士はどうやってやったらいいのか」。「君たち2人でやってみせてくれ」と橋本首相に言われて、宗男さんと佐藤優さんは、その場で、〈実演〉してみせたという。
そうか。それ以来、宗男さんと佐藤さんは、急速に親密になり、「同志」になったのか。
本の紹介の次は、北海道大学助教授の中島岳志さんだ。
〈二十歳のころから、日本とは何か? 宗教とは何か?を探究し続けてきた中島岳志が、近代日本における右翼思想の系譜をあざやかに紐解く〉
そうですね。去年は『血盟団』を出しましたからね。右翼については私よりも詳しい。
又、安田善次郎を刺殺した朝日平吾のことも書いている。
さらに、秋葉原事件についても書いている。実に精力的だ。
宗男さんのところも、この中島さんのところも、講演があり、それから討論がある。
又、会場からの質問など、全てが入っている。
さらに、2人が作った「資料」も沢山入っているし、とても勉強になる。
そうだ。柏艪舎で初めての本を出した時、『日本の品格』だが、その時も、「出版記念トーク」をお二人にお願いした。今、思い出した。
本当にお世話になりました。中島さんとは駅前の書店で。宗男さんとはホテルニューオータニで。
では、本に書かれた「三人の紹介」だ。最後は私ですな。
〈ヴォルテールの言葉。「君の意見には反対だが、それを言う権利は命にかけても守る」を生きる鈴木邦男だからこそ聞き出せる二人の本音〉
なるほど。でも、ヴォルテールほどの大きな志はないんです。ただ、子供のような好奇心があり、それで、「なんで?」「なんで?」と聞いてるだけなんです。
自分の意見も信念もないから、他人の生き方から学ぼうとしているだけなんですよ。
それなのに、うまく書いてもらい恐縮です。
そうだ。1月のシンポジウムには飛松五男さんが、聞きに来てくれた。わざわざ姫路から来てくれたのだ。
忙しい中、早めに札幌に着いて、一つ「事件」の取材に行ってから来たと言ってた。
飛松さんは、元兵庫県警の刑事だ。本も随分と出している。又、テレビにもよく出ている。
この前は、「婦警は皆、ブスばっかりや」と発言して、騒ぎになっていた。
それ以来、どこに出ても、その発言を言わされてる。関西では、子供の間でも、「婦警はブスや!」と言うのが、はやり言葉になってるそうだ。ともかく人気のある人です。
その飛松さんが札幌に来て、「この会場はメッチャ、いいですわ!」と驚いていた。
100年以上経つ、趣のある建物だ。「札幌時計台」といったら札幌第1の観光名所だ。
ところが、この2階に、ホールがあることを知ってる人は少ない。観光客には開放してないが、いつも音楽会、懇親会などに使われている。札幌で一番有名だし、分かりやすい。それで、申込みが殺到している。
何せ6ヶ月前に予約を受け付け、その時点で埋まってしまう。だから、このシンポジウムをやっている柏艪舎では、6ヶ月前に必ず予約を取りに来ている。6ヶ月前でも、土、日は殺到して、抽選になる。
だからなのか、このシンポジウムは月か火にしている。又、3月、5月、7月、9月はすでに決まっている。
古い造りだから、冷暖房はない。北海道は涼しいが、それでも8月は暑い。
でも去年は、そんなに感じなくて、よかったです。このホールは、見たところ、教会のようだ。重厚だし、趣がある。
では、この本の構成だ。第1部は鈴木宗男さんで、まず「北方領土問題」と題して宗男さんが講演。目次を見ると、興味を引く見出しがある。
〈鈴木宗男が見た首脳会議の舞台裏〉
〈森元総理の秘めた想い〉
次に、私との対談では、
〈国益かけたキス〉
〈虎の尾を踏んだ〉
〈収監されて〉
〈本物の愛国者とは?〉
こう並んでいる。見出しの付け方もうまい。
第2部は、中島岳志さんで、まず、講演。「愛国・革新・アジア」と題して話す。
〈なぜ“明治革命”ではないのか〉
〈“一君万民”の思想〉
〈なぜ右翼はアジア主義なのか〉
〈なぜ右翼はルソーが好きなのか〉
〈煩悶とユートピア思想〉
〈明治維新とテロ・クーデターの論理〉
これでは、まるっきり「右翼の先生」のお話ですよ。
2人の対談では、こんな見出しが…。
〈革命は“善”か〉
〈イラク戦争と右翼〉
〈右翼はなぜ嫌われるのか〉
中島さんの講演の中で、「なぜ右翼はルソーが好きなのか?」があった。
ちょっと驚いた。私はヴォルテールの言葉が好きだし。しかし、右翼が皆、フランス好きなのだろうか。
まァ、フランス議会では右に保守派、左に急進派が陣取り、これで「右翼」「左翼」という言葉が出来たという。
300年前のそんな議席の「並べ方」が我々の先祖なのか。
ルソー、ヴォルテール、ナポレオン…等々が好きなんだろうか。
それにしても、2人の対談で「右翼はなぜ嫌われるのか」なんてものもある。
中島さんとは、「マガジン9」でも対談したし、「月刊・中島新聞」でも対談した。
この時、いろんな話をしたが、私が印象的だったのは、川崎長光さんのことだ。
実は、30年ほど前、私は『証言・昭和維新運動』(島津書房)という本を出した。
その時、血盟団の小沼正さんや、川崎長光さんの話を聞いた。
皆もう亡くなっていたと思ったが、川崎氏は存命で、中島さんは取材に行ったという。90才以上で、取材して、少しして亡くなられたそうだ。私も再度会いたかった。
私が30年前に川崎さんに聞いたので忘れられないのは、西田税を殺しに行った時の話だ。
西田は北一輝の片腕的な存在だ。しかし血盟団グループは、「西田は裏切り者で、情報を流している。殺さなくてはならない」となった。
そして、川崎さんがその役をふられた。
西田は、川崎氏と懇意だったから、喜んで部屋に上げた。
途中、意を決して、ピストルで撃ち、殺したと思って、逃げた。そのあと警察に捕まる。
そこで、西田は重傷だが命は助かったと聞かされる。
「ホッとしたでしょう」と私は聞いた。やりたくもない「暗殺指令」を受け、いやいや行った。「殺した」と思った。
しかし、生きていた。まあ、やるだけやったし、「使命」は果たした。生きていてよかった。と思ってるのではないか。
そう言ったら、「いや、悔しくて眠れませんでした」と言う。
アッと思った。「今の考え」「現代人の思考」で私は聞いてる。
いけないな、と思ったが、川崎さんは、どんな事情があろうと、「殺そう!」」と思っていた。固く決意していた。
ところが、仕留めることが出来なかった。悔しくて眠れなかった、という。
反対に小沼正は、ターゲットの井上準之助を撃って、捕まった。周りにいた民衆にボコボコに殴られて、捕まった。
警察に行って、「井上は死んだ」と聞かされた。
「ホッとした」という。「やったか」「仕留めたか」という安堵だったという。今の我々の気持ちでは推測出来ないのだ。
この時、さらに中島さんと話をした。秋葉原事件や、最近、頻発するストーカー殺人事件について。
昔ならば、コートを頭から被って、「大変なことをした!」「申し訳ない!」と泣きながら、引き立てられてゆく。
しかし最近は、実に堂々としている。変な表現だが、何やら、スッキリしたような顔付きの人が多い。「やることはやった」という〈満足感〉があるのだろうか。
だったら、大変なことだと思う。
自分をふった女の存在は許せない。自分が全否定されたように思って、凶行に走るのか。そして、昭和維新のテロのような気分になるのだろうか。
全く情況は違うし、ターゲットの狙い方も違う。
もしかしたら、〈国家的人物〉〈巨悪〉を狙うよりも、「自分を否定する者」の方が大きく見えるのか。
〈自分を否定する者〉はどうしても許せないのか。
そういうと「自分が大事」なように思うが、違う。
そんなことで、自分の生涯も終えていいのか。自分もこの世から否定されてもいいのか。
ストーカー殺人を思いつめる前に、まず、中島岳志の本を読め! と言いたいね、私は。
今度は、そんな話を中島さんとやってみたい。
何故、血盟団の本を書くのか、何故、右翼青年のことを書くのかと聞かれて、「時代が似てるからです」と答えていた。
つ
同じような煩悶青年がいるからです、と言う。しかし、その煩悶がより近くの〈元恋人〉に向かったら、たまらない。
又、「誰でもいい」となったらたまらない。そんな問題をじっくりと聞いてみたいと思いました。
「時計台シンポジウム」の本は、これが第1弾だ。さらに第2弾、第3弾と出るでしょう。楽しみです。
困ったことだ。黒田さんは、今の状況の中で、どうしたら日韓関係が修復出来るかを必死で考えている。
日本の立場を向こうに伝え、向こうの立場をこっちに伝えている。「まさに民間大使だ」と司会者が言ってたが、そうだと思う。
終わって、いろいろとお話ししました。産経の大先輩だし、本も買って、サインしてもらいました。
今日、『週刊現代』(3月8日号)発売されました。私もコメントしてますが、凄い特集ですね。「妻がネトウヨになりまして」。
去年、三島の思い出を書いた本を出した。『呵呵大将 わが友、三島由紀夫』(新潮社)だ。とてもいい本だ。「アエラ」(2月3日号)で書評をした。その時には、もう亡くなられていたのだ。後で知って、27日、駆け付けた。ぜひ、会って話を聞きたかったのに、残念だ。
この日、7時からは、博品館劇場で「追悼公演」。竹邑さんを偲んで、歌、踊り、お芝居などが。なかなか、賑やかな偲ぶ会だった。「竹邑さんも喜んでいると思います」と言ってたが、そうだろう。劇団の人や、竹邑さんの妹さんなどと話をしました。
夜8時半、新大久保の駅で週刊金曜日の赤岩さんと待ち合わせて、「のりこえねっとTV」に行く。
打ち合わせのあと、10時から、『ネットと愛国』の著者・安田浩一さんと対談。
私の『愛国者の憂鬱』も出たばかりだし、その話を中心に、ネトウヨ、愛国心について話す。この日のテーマは、
〈なぜ「愛国者」が憂鬱になるのか〉。
終わって、金曜日の人たちと食事しました。
3時から「現代文要約」。
5時から「読書ゼミ」。今日は、『それでも日本人は原発を選んだ=東海村と原子力ムラの半世紀』(朝日新聞社)を読んで、皆と考えました。
①今年4冊目です。『「日本の分」について考える』(柏艪舎)です。3月1日、全国発売です。「鈴木邦男シンポジウムin札幌時計台」の報告集です。中島岳志さん、鈴木宗男さんとの対談が入ってます。衝撃的、かつスリリングな話が沢山語られています。
②その鈴木宗男さんと、2月20日(木)、会いました。松木けんこうさんの誕生日会で。「おかげさまで、いい本が出来ました」とお礼を言いました。この本では、対談前には、1時間、大演説をしています。北方領土問題をめぐっての日露間の交渉秘話を語っています。
⑦維新の松浪ケンタさんと。ケンタさんは、空手をやっていて、北斗旗の大会にもよく出てました。だから、とても姿勢がいいです。
背筋がピンと伸びてるし、国会で質問していても、実に爽やかです。又、質問の仕方も爽やかです。質問された安倍首相も、「さすがは維新のケンタさんですね」と褒めてました。
おじさんは松浪健四郎さんで、今度、日体大の理事長になりました。
⑪『サイゾー』(3月号)の特集は、
〈タブーなき「映画」のミカタ〉
映画の「見方」であり、危ない映画の「味方」なんでしょう。「永遠の0」は反戦映画なのか。海外の「戦争映画」が打ち破る天皇制のタブー。
なかなか力の入った特集です。私も取材されて喋ってます。
⑫『週刊現代』(3月8日号)の特集も凄いです。
〈増殖中! 妻がネトウヨになりまして〉
「何気ない一言に耳を疑った」「おかしいのはそっちよ!」「国のためなら夫も差し出す」と、見出しも凄い。
〈香山リカ氏が、右翼運動に参加しているある女性に「もし徴兵制が敷かれたら、どうするんですか?」と問うと、こう返ってきたという。
「夫も息子も喜んで差し出します。お国のために尽くしてくれるなら、こんなに嬉しいことはありません」。
凄いですね。でも、こんなに強い女性なら、むしろ、こう言ってほしいですね。「その時は、夫や息子を守るために、私が戦争に行きます!」と。
⑬『サンデー毎日』(3月9日号)の特集は、NHKです。「これだけは言いたい!」と3人が発言してます。上野千鶴子さん、中村桂子さん、そして私です。 〈会長や経営委員の発言をNHKスペシャルで検証しろ!〉と言ってます。
⑭2月23日(日)、あべ・あゆみさんが出ている芝居を見に行きました。ノーコンタツの「もののけの姫」です。下落合のシアター風姿花伝で。面白かったです。右から2人目があべさんです。終演後、舞台姿のままです。右は劇団「再生」の高木尋士さんです。
⑰練馬区は、「かまくら」があるし、「わらぐつ」をはいてる女性もいました。もう、ここは雪国です。
聞いてみたら、ワラじゃなくて、「もこもこブーツ」というそうです。雪や雨の日は、汚れるからはかない、と言ってます。実用的じゃないですね。ただのファッションですな。
⑱お酒を一滴でもこぼすまいとして、口をコップに持っていって、飲むんですな。雪国では。あまり格好よくないですね。でも、そんなことを言っちゃおれんのでしょう。酒好きには。
この後、テーブルにこぼれた酒をなめてました。
⑲女性が皿を受け取ったら、その瞬間、バリッ!と音がして割れました。雪国の超常現象です。
空気が乾燥してたのか。皿が、耐用年限を超えていたのか。はた又、この人が「超能力少女」なのか。周りにいたお客さんや店員さんも、余りのことに呆気にとられていました。ぜひ、テレビに出て実演してほしいです。
㉒2月26日(水)午後10時から、「のりこえねっとTV」に出ました。安田浩一さんと。
安田さんの本『ネットと愛国』。それに私の『愛国者の憂鬱』を中心に、ヘイトスピーチ、愛国心について語り合いました。タイトルは、「なぜ『愛国者』が憂鬱になるのか」。
㉖2月25日(火)午後5時より、竹邑類(たけむら・るい)さんを送る会が行われました。お会いして三島の話を聞きたかったです。
竹邑さんは三島由紀夫の小説「月」のモデルです。
そして去年、『呵呵大将 我が友、三島由紀夫』(新潮社)を書きました。11月25日発行です。それから、病状が急変し、亡くなりました。
この本は、「アエラ」(2月3日号)で、私が書評しました。とてもいい本で、文章もきれいで、若々しいです。まるで小説「月」の続編のようでした。
この日は、お別れ会が銀座博品館劇場のロビーで行われ、その後、お別れの踊り、歌などがあり、賑やかなそして感動的な「送る会」になりました。