疲れました。ヘトヘトでした。久しぶりのデモでしたし。11月2日(日)です。
去年よりもキツかったですね。2時間も歩きました。
でも大勢の人が集まり、「ヘイトスピーチ反対!」「差別を許すな!」の声をあげました。
政治的立場を超え、左右を超えて集まったのです。国籍も超えてました。
「のりこえネット」の辛淑玉さんがいます。日本共産党の小池晃さんがいます。民主党の有田芳生さんがいます。作家の池田香代子さん、安田浩一さんがいます。さらに、山口祐二郎氏や右派の人もいます。
長い長いデモでした。
2日(日)12時に新宿中央公園集合。12時半、デモが出発。事前に配られた案内を見たら、
〈12時半デモ出発(2時間から3時間)〉
と、「所要時間」も書かれていた。
「えっ、デモって1時間くらいじゃないの」と驚いていた人も多かったですね。
「じゃ、キツそうだな」と、ビビった人もいたようです。私もそうでした。それに、どうも雨が降りそうだし…。
ということで、12時に集合した時点では、去年より少ない感じでした。
でも、12時半、デモが出発する頃になると、人がどんどん増えてきました。去年よりも多かったかもしれません。
マスコミの取材陣も多かったです。私も歩きながら、何社かの取材を受けました。
こうして市民サイドのデモや、集会があるし、又、国会でも有田さんたちが頑張っている。
他にも、反ヘイトの行動が行われているし、確実に効果を上げている。そんな実感を持った。疲れたとか、足が痛いなんて言ってられない。
隣りにいたオッちゃんは、「学生の時は、スクラムを組んで走ってデモをした」と言う。あっ、ジクザグデモですね。「それに、機動隊には殴られるし。それに比べたら、この位、歩くだけは、どうということもない」と。元気ですね。
池田香代子さんは、「今回は、カワ・チョゴリの人たちが多いでしょう。お披露目ですよ」と言う。
ほう、皮で作ったチョゴリですか。珍しい。と思ったら、「皮」じゃなくて、「可愛い」の「可愛」だという。「可愛チョゴリ」なんだ。
なんでも、カラフルで、布地も違って、かなり大胆で、ユニークなんだ。
何人かを見かけて話を聞いた。皆、楽しそうだ。そして一緒に写真を撮った。
「在特会粉砕」なんて書かれたTシャツを着てた人も何人かいた。凄い。勇気がある。
「どこで買ったの?」「これは売ってませんよ。自分で作ったんです」。
凄いね。自分でTシャツも作れるんだ。
辛淑玉さんは、「やあ、来てくれたのね。右翼は律儀なんだ!」と誉められた。
そして、いきなり抱きつかれた。ビックリした。とっさに腕を取って投げようとしたら、「何してんの?」「あっ、すみません。柔道のくせで…」。
「ダメねえ。でも、きのうはどうもありがとう」と言われた。
そうだ。前日も一緒だった。11月1日(土)、午後4時から神保町でトークをしたのだ。佐高信さん、辛淑玉さん、私で。
今、本屋では排外主義的な本ばかりが溢れている。その中で、平和を考えるブックフェアが行われ、その一環として3人のトークイベントだった。
「左・右・在日」のバトルロイヤルですね、と言う人もいたが、3人は仲がいい。
今の「戦争を辞さず」といった排外主義、右傾化の中で、勇気をもって、平和を考える声をあげていこうという試みだ。三人三様の立場から自由に語り合った。
会場は超満員。あまり宣伝はしてないのに、こんなにも集まったのだ。
佐高信さんは、最近も対談した。そうだ。10月3日(金)、鶴岡でやったんだ。高教組の主催で。その時の話から始まった。
そして安倍政権への批判、憲法問題へと話は進む。
この日は、「平和を考えるブックフェア」だ。金曜日、現代書館、彩流社など、私の本を出してる出版社も本を売っていた。
だから、終わってからサイン会。『いま語らねばならない戦前史の真相』にも初めてサインしました。ありがとうございました。
終わって、辛さん、佐高さんと3人で打ち上げ。かと思ったら、2人とも「仕事があるから」とサッサと帰った。「鈴木さんと違って、ヒマじゃないから」と佐高さん。
じゃ、神田ブックフェアでも見て、下の広場でやっている「カレーフェスティバル」にでも行こうかと思っていたら、ハッと、ひらめいた。JR東労組の二次会がまだやってる、と。
実はこの日(11月1日)は午後1時から日比谷公会堂に行っていたのだ。〈平和運動への弾圧を許さない!美世志会とともにJR東労組の強化を目指す11.1大集会〉だ。
満員だった。「冤罪・浦和電車区事件」の不当弾圧に対し、皆で、シュプレヒコール。私もやりました。そして、闘う労組員の報告を聞いていました。
3時過ぎに中座して、神田へ。〈“戦争前夜。本の街で平和を考える”〉。そこで辛淑玉さん、佐高信さんと4時から5時まで熱い討論を交わしたのです。
そして終わって、JR東労組のことを思い出したんです。
中座したけど、5時過ぎから二次会をやると言ってた。そこで携帯で電話したら、「今、始まったとこですので、ぜひ来て下さい」と言う。
急いで行きました。銀座のニュートウキョウだ。桜井昌司さん、浅野健一さん、佐々木愛さん…などとお話しました。
「じゃ、鈴木さんからも一言」と言われたので挨拶しました。
今は、全体が現状に屈服し、マスコミも労組も闘わない。闘っているのは唯一、JR東労組とJR総連だけだ。頑張ってほしいと言いました。
だから、11月1日(土)はJR東労組の集会。本の街で「平和を考える」トーク。
翌、11月2日(日)は「反ヘイトスピーチ」のデモに出て、2時間も歩いた。
11月3日(月)は、元NHKの川崎泰資さんと、「安倍政権の1年を総括する」対談。
4日(火)は、文化放送に出て、大竹まことさん、眞鍋かをりさんと、トーク。『いま語らねばならない戦前史の真相』と反ヘイトスピーチについて話した。
5日(水)は、ネイキッドロフトで、衝撃の映画『日本鬼子(リーベンクイズ)』について、松井稔監督、原一男さんとトークした。
さらに週末には西宮に行ったり、写真展、従軍慰安婦問題の集会…と、忙しい。
それに11月は1年で一番忙しい月だ。11月25日の三島由紀夫、森田必勝両氏の決起・自決を慰霊・顕彰し、考える集会がある。25日前後に全国でやられている。
又、飛松塾もあるし、奈良での講演会もあり、忙しい。さらに、いくつかの本の出版も進んでいる。
あっ、そうだ。重大な報告があったんだ。
11月2日(日)、2時間デモをして、ヘトヘトになって、そのあと、本屋に行った。阿川佐和子さんの『叱られる力』(文春新書)を買った。
4日(火)は文化放送に出るし、きっと阿川さんと会う。その前に本を読んでおこうと思ったのだ。(でも、火曜日は阿川さんではなかった)。
それで本を持ってレジに並んでたら、やはりデモ帰りの有田芳生さんにバッタリ。「あれっ、何買ったの?」と覗き込まれて怪訝な顔をされた。
説明するのも面倒なので、「はい、私はいつも叱られてるんで…」と言いました。
そのあと、上に行こうとエレベーターに乗ったんですが、横の壁を見てビックリ。驚愕の一瞬でした。
だって、デカデカと貼ってあったんですよ。早々と、12月14日(日)の私たちの講演会のポスターが。
〈第252回 新宿セミナー
『いま語らねばならない戦前史の真相』(現代書館)刊行記念
孫崎享×鈴木邦男×岩上安身
2014—2015 ニッポンの分かれ道〉
そして、3人の写真が出ている。ビックリした。もうポスターが出ている。まだ、チケットは売ってないのに。
〈11月5日(水)より、チケット発売。電話予約開始〉
と書かれている。料金は1500円。電話予約は、紀伊国屋ホール。03(3354)0141
じゃ、ついでに、このポスターの文章も紹介しよう。
〈2014年12月、安倍政権発足から2年目を迎えるこの年末は、戦後日本の大きな曲がり角となりました。国民の懸念の中、特定秘密保護法が施行され、消費税増税も控えています。さらに来年2015年は、原発の本格再稼働と、TPP参加協議の進展が政治日程に上り、憲法を書き換えようとする動きも加速する年になります。わずかな期間に、戦後日本の前提が次々と消されつつある今、日本人はどこに行こうとしているのか?タブーを恐れぬ3人の論客が徹底的に論じます!〉
そして紀伊国屋の新刊書コーナーには、この本が平積みにされていた。
他の書店でもそうらしい。評判になっている。売れてる。ありがたい。
今まで出した本の中では、一番だろう。孫崎享さんの力だ。現代書館の力だ。本当にありがとうございました。
11月4日(火)の文化放送でも、この本の話が中心でした。
現代書館で作ってくれたチラシがいいですね。大竹さん、眞鍋さんにも見せました。
〈「冷静な愛国心」が「狂気の愛国心」の前で立ちすくむ今、〈戦前〉を再解釈!〉
まさに今は、「狂気の愛国心」ですね。私もかつては、その中にいました。
しかし、考えは同じですが、〈狂気〉は取れたと思います。
それは、自分を客観視出来るようになったし、〈言論〉の力を思い知ったからです。
「プロレスやお笑いを見ることで、自分の狂気が取れた」と先週のブログには書いてましたね、と言われて、その話もしました。
眞鍋さんは、プロレス好きなんだそうです。「今のプロレス」を見に行ってます。
私は力道山、馬場、猪木、タイガーマスク、前田、高田…と、長い間プロレスを見てきました。
その中で、「狭いナショナリズム」を超える国際性。そして心の余裕、寛容さを学んだと思います。
簡単に言えば、「いいものはいい」、「それは国家の枠を超える」ということです。
今でもはっきりと思い出すことがある。全日本プロレスの試合だ。馬場・鶴田vsザ・ファンクスの試合だった。
ドリーファンクjr、テリーファンクの兄弟(ザ・ファンクス)は、もの凄く人気があった。強くて、個性的で、人気のある外人レスラーをどんどん呼んだ。新日も全日も。
特にこのザ・ファンクスは人気が高い。日本人レスラー以上に人気がある。
その証拠に、全日のトップ、馬場・鶴田よりも声援が多いのだ。
そして何と、馬場・鶴田がリングに上がると、ブーイングなのだ。
「何だ、これは」と馬場・鶴田も戸惑っていた。
プロレスは「小さな愛国心」など軽々と超えるんだ、と思った。今なら、「反日だ」「非国民だ」と言われるだろう。
でも、これはいいことかもしれない。何でもかんでも所属する〈国〉を意識する、というのが異常なんだろう。
こうしたプロレスが、もし戦前でも熱狂的にやられていたら、日米戦争はなかっただろう。と私は「アエラ」の書評で書いた。
全てを〈国〉単位でやり、何かあると〈国〉を意識するのはおかしい。〈愛国心〉は必要だろうが、それを超えるものを個々人が持っていないと危ない。
今言ったように「プロレス好き」とか、あるいは映画好き、アニメ好き、音楽好きでもいい。国を超える「趣味」や「仕事」を持ってる人は、国境を越える。そして日本を「客観視」出来る。そう思った。「狂気の愛国心」の前で立ちすくんでいてはいけない。
「そうです。こういう時だからこそ、この映画を1人でも多くの人に見てもらいたいです」と言っていた。この映画のDVDを発売する会社も。そして、松井さんも、原さんも。
文化放送の次の日だ。11月5日(水)だ。ネイキッドロフトだ。
果たして、人が集まるのかな、と正直不安だった。
だって元皇軍兵士が自らの戦争犯罪を懺悔する映画だ。14年前に作られ、今年11月にDVDになった。
「なんで反日映画を出すんだ!」という抗議も随分と来てるという。
でも、見てから、判断してほしい。辛いけど、暗いけど、でも、忘れてはならないことだ。でも今の時代、人が来ないだろう。と思っていた。
ところが超満員だった。今の「右傾化」「ネトウヨ化」した日本に不安を感じる人が多いのだろう。
映画を撮った松井監督とは私は、14年前に対談し、それが映画のパンフレットに載っている。今回のDVDの中にも入っている。
本当に衝撃を受けた。そして、松井監督の勇気とストイシズムに打たれた。
松井監督は、元全共闘だ。でも、日本の戦争犯罪を告発するんだから、何でもやろうという気はない。非常に厳しく取材する。
「他人の話はしないでくれ」「自分がやったことだけを正直に語ってくれ」と言う。
それに、〈カメラを向けると誰もが演技する〉と言う。映画を撮る側の厳しさを持っている。
その点が、朝日新聞の〈吉田証言〉の扱いとは違う。そんな話もした。
暗く、衝撃的な映画だ。しかし眼を逸らしてはならない。勇気を持って、元皇軍兵士の話を聞き、その上で、日本の戦争を検証し、これからの日本のことを考えるべきだろう。
終わって、貿易センタービルの本屋へ行く。前に文化放送に出てた時は、いつもここに寄っていた。『戦前史の真相』が平積みされていた。ありがたいです。
〈「日本鬼子」が歪んだ今の日本に投げかける疑問符と怒り〉
『日本鬼子』の監督・松井稔さん。「ゆきゆきて神軍」の監督の原一男さん、そして私。司会は弓家保則さん。満員でした。
凄まじい映画です。一部分、「予告編」として上映しました。
そのあと、3人でトーク。「右傾化と言われる今こそ上映すべきだ!」という声が多かったです。
これからも、いろんな所で上映し、トークしていくそうです。大きな問題提起になるでしょう。
⑥安田浩一さんと。「あれっ、鈴木さん、タバコ吸うの?」と池田さんに言われました。
「喫煙コーナー」で安田さんと話していたからです。「安田さんがいるよ」と言われて、ここに来ただけですよ。「喫煙コーナー」だったのか。じゃ、吸わなくちゃ、と吸いました。
⑩デモが終わってから、紀伊国屋書店に寄ったら、バッタリと有田芳生さんに会いました。
又、エレベーターの所には、孫崎さん、岩上さん、私の講演会のポスターが貼ってありました。ビックリしました。12月14日(日)の午後2時。紀伊国屋ホールです。
⑬この本について話し合いました。11月4日(火)、文化放送です。大竹まことさんの番組で。
眞鍋かをりさんが本を持ってます。眞鍋さんは横浜国立大学卒なんですね。「学生運動の盛んな大学でしたね」と言ったら、「私の時はもう、ほとんどなくて。でも、ヘルメットを被ってる人が5人いました」。
⑭寺ちゃんと。数年前、「夕やけ寺ちゃん活動中」で、私は寺ちゃんとご一緒しました。孫崎享さんもそこに来てくれて、知り合いました。だから、『戦前史の真相』は文化放送から生まれたようなものです。
寺ちゃんは今は、朝の番組になりました。「朝早いので、2時に起きて、3時には文化放送に来てる」と言います。大変ですね。私は2時まで起きてることはあっても、2時に起きることはないですね。
⑮翌、11月5日(水)は午後7時から、ネイキッドロフトでした。14年前に公開された衝撃の映画『リーベンクイズ(日本鬼子)』のDVDが出ました。それを記念したイベントです。
〈「日本鬼子」が歪んだ今の日本に投げかける疑問符と怒り〉がテーマです。
(左から)司会の弓家保則さん。原一男監督。『日本鬼子』の監督の松井稔さん。鈴木。
⑱10月31日(金)「粕谷一希さんを偲ぶ集い」。粕谷さんは元『中央公論』編集長。その後、『東京人』を創刊。
私は1960年の「風流夢譚」事件について、長時間、話を聞きました。『論座』に載りました。その後、『東京人』でも何回か書かせてもらいました。とてもお世話になりました。
⑳大学の同級で、「土曜会」にいた佐々淳行さんがトップで挨拶してました。「土曜会」は、東大で共産主義と闘う学生の組織です。その当時の話。「風流夢譚」事件について話してました。「実は、私も粕谷さんにその話を聞いたんです」と佐々さんに言いました。
㉘足利尊氏の像。NHKの大河ドラマで足利尊氏が主人公に取り上げられたのは平成になってからです。昭和では難しかったらしいです。〈朝敵〉と言われてましたから。笠原さん脚本の映画「2.26」も平成になって撮られました。昭和では描けなかった「2.26」を作るという意欲作でした。
㊲女優の佐々木愛さんと。「鈴木さんも秋田出身なんだって?」と言われました。はい。幼稚園と小学1年が横手市。2、3年が秋田市。4〜6年と中学1、2年が湯沢市です、と言いました。佐々木さんも故郷は秋田だそうで、秋田の話になりました。