初めに、〈特報〉です。
鹿砦社主催の「西宮ゼミ」は第3期目を迎えます。
第1期は「鈴木邦男ゼミin西宮」で3年続きました。報告集も3冊出ています。
第2期は「浅野健一ゼミin西宮」で、1年間続きました。
そして、来年からは第3期です。
5年目です。誰がやるのだろうと、注目されましたが、このたび、発表されました。
「前田日明ゼミin西宮」です!
驚きです。格闘家であり、思想家でもある前田さんが来年、2ヶ月に1度、西宮に来ます。これは凄いです。すぐに申し込みましょう。
第1回目は、2月8日(日)の午後2時から。会場は同じく「Cafeインティライミ」です。
そして記念すべき第1回のゲストは誰か。
注目されてました。発表されました。「鈴木邦男」です。
テーマは、「誠の愛国者とは=現代日本社会を読み解く」です。刺激的です。挑発的です。今から楽しみです。
前田さんは真の愛国者です。ヘイトスピーチなどの排外主義には怒ってます。この日本の行方を憂えています。
今から興奮します。楽しみです。
それから、もう一つ、お知らせです。
12月14日(日)の紀伊国屋ホールでのイベントです。いよいよ、近づいて来ました。
孫崎享さんとの本『いま語らねばならない 戦前史の真相』(現代書館)の出版記念トークです。
孫崎さんと私。それに岩上安身さんとの3人でトークをします。
午後2時からです。チケットも売れてます。参加料金は1500円。お申し込みは紀伊国屋へ。TEL 03(3354)0141です。
では〈特報〉を終わります。ここからは、いつもの〈主張〉です。
11月16日(日)は、「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」の上映とトークが四日市で行われた。
24日(月)は野分祭(三島由紀夫・森田必勝両烈士顕彰祭)が行われ、25日(火)は憂国忌が行われた。さらに全国各地で慰霊・顕彰の集まりが行われた。
三島関連の本も出ている。来年は自決から45年。三島生誕90年だ。多くの本も出るし、雑誌の特集も出るだろう。
慰霊・顕彰のいろんな集まりに出て感じたのは、「三島の予言」だった。「予言者」としての三島だった。
自衛隊に向かって叫んだ檄文もそうだ。自衛隊はこのままでは魂のない、巨大な武器庫になる。アメリカの傭兵になってしまう。…と言った。
「集団的自衛権」で、アメリカと一緒になって戦争をする。「侵略者」になってしまう。
他の三島の本を読んでも、「予言」を感じる。
顕彰祭で安田光敦さんが言っていた。「楯の会」の人たちを取材して感じたのは「三島の予言」だったと。皆が憶えている三島の言葉は、それぞれが予言になっていると。
来年は自決から45年目だ。その節目の年に、「予言者・三島由紀夫」を書いてみたいと言っていた。
世界の行方、日本の行方についても三島は語っている。「これからは、親が子を殺し、子が親を殺す。通りすがりの、全く関係のない人間を次々と殺すような不気味な事件も多発するだろう」と言っていたが、その通りになった。
又、三島は「楯の会」の中に憲法研究会を作って、改憲案を作らせていた。天皇、国防、教育…などについても長時間、真剣に討議されている。
三島が出席して語ることもある。
出席出来ない時は、討論のゲラに朱筆を入れ、自分の考えを入れたという。
たとえば、「徴兵制」反対だった。40年後、この議論が起こることを見越していた。
「いまの若者は、ダラシがないから、軍隊に入れて訓練しろ!」「韓国の若者を見ろ。歌手も俳優も軍隊に入るから、皆、しっかりしている。日本と違う」と言う人がいる。保守派の文化人だ。
普段は韓国の悪口ばかり言っているくせに、こと「徴兵制」については韓国を見習え!と言う。
そんな軽佻浮薄な保守派の出現も三島は予測したのだろう。「徴兵制には反対だ」と言っている。
「国を守るのは国民の神聖なる権利だ。徴兵制にすると、その『神聖な権利』が『汚れた義務』になる!」。
今の勇ましい、掛け声ばかりの改憲論、国防論には我慢がならないだろう。
又、女帝問題には、むしろ理解を示していた。だから改憲論にも入れた。
「皇位は皇室典範に基づく世襲とし、その継承は男系子孫に限ることはない」と試案に入れている。
元「楯の会」班長・本多清監修の『天皇に捧ぐ憲法改正』(毎日ワンズ)に、その詳細が書かれている実に貴重な資料になっている。
「憲法研究会」は13名で、天皇、国体、国防…などについて長時間、話し合っている。一切のタブーなく話をしている。女帝問題もそうだ。
だから、この原稿を預かった本多氏も、発表しようかどうか、迷いに迷ったという。
「憲法研究会」の代表は阿部勉氏だ。彼が亡くなる時、本多氏がこの厖大な記録、資料を引き継いだ。そして、その一部分を発表した。実に貴重であり、驚くべき内容だ。この本の帯にはこう書かれている。
〈現憲法はおろか、大日本帝国憲法をも否定する
超国家主義憲法の衝撃!!〉
確かに、現憲法を超える。
だからといって、大日本帝国憲法(明治憲法)に戻るものではない。さらに進む。
「超国家主義」というと、国家主義をさらに進化して、極める…という意味に使われるが、「国家主義」を超えるという意味もある。いや、そう考える人もいる。
つまり、個々の国家のエゴを超えて、世界全体を考えようということだ。
三島や「楯の会」には、その理想と夢がある。私は、そう思った。
だって三島は、言っている。
〈実は私は「愛国心」という言葉があまり好きではない。何となく、「愛妻家」という言葉に似た、背中のゾッとするような感じをおぼえる〉
と。「朝日新聞」(昭和43年1月8日)だ。
自決の2年前、今から46年前だ。
「三島の予言」というのなら、これが「最大の予言」だ。
この「愛国心」は、新潮社の「決定版。三島由紀夫全集」に入っているが、単行本、文庫本では、ほとんど入ってない。
しかし最近、平凡社から、三島のユニークな論文だけを集めた本が出た。これには「愛国心」が全文出ている。
三島由紀夫『日本人養成講座』(平凡社)だ。この本は面白い作りになってるし、実にいい本だ。読んでみたらいいでしょう。
それでもう一つ、「予言」だ。これは当たってほしくなかった。でも、当たっている。
三島と森田が自決したが、この事件は、「三島事件」と呼ばれるだろう。
そして三島にだけ、注目が集まる。
「そういえば、もう一人、一緒に死んだ人がいましたね」と憶えている人がいるくらいだ。
だから、「森田必勝のことをキチンと書き、伝えていかなくてはならない」。
死に臨んでも、三島の心の中には、そのことが、ずっと気掛かりだった。
だから、「檄」と同時に書いた「命令書」では、こう書かれている。
〈森田必勝の自刃は、自ら進んで楯の会全員及び現下日本の憂国の志を抱く青年層を代表して身自ら範を垂れて、青年の心意気を示さんとする。鬼神を哭かしむる凛烈の行為である。三島はともあれ、森田の精神を後世に向かって恢弘せよ〉
最後の「三島はともあれ…」は、三島の血を吐くような叫びだ。
だからこそ、憂国忌や野分祭など、全国で慰霊・顕彰の集まりが持たれている。
〈今日にかけて かねて誓ひし 我が胸の
思ひを知るは 野分のみかは〉
森田必勝氏のこの辞世の歌から取って、「野分祭」も行われてきた。
さらに去年からは、森田氏の地元、四日市での集まりも持たれている。映画を通して、若い人々に知ってもらいたい。
又、他の地方でも慰霊祭は行われている。
来年は没後45年だ。「三島生誕90年」だ。
安田さんは「三島由紀夫の予言集」を出したいというし、三島本がドッと出るだろう。
他にも、雑誌の特集や関連本もドッと出るだろう。
そして、司馬遼太郎を記念する「菜の花忌」のような集まりをやってもいいだろう。
慰霊・追悼とは別に、あくまでも〈文学者・三島〉を想起する集まりもあっていいだろう。
さらに裾野は拡がる。
第3部は直会。全国から多くの人たちが参加してくれました。
そのあと、直会。
それから、シンポジウム「吉田松陰と三島由紀夫」。
パネラーは4人。葛城奈海さん(キャスター・女優)。藤井厳喜さん(政治学者)。宮崎正弘さん(評論家)。水島総さん(日本文化チャンネル桜代表)。
とても刺激的で勉強になったシンポジウムでした。
そのあと、2人の発言。富岡幸一郎さん(鎌倉文学館館長)。村松英子さん(女優)。
「閉会の辞」は松本徹さん(三島文学館館長)。
最後は全員で「海ゆかば」を歌う。
その後、直会(なおらい)。ゲスト、来賓の先生方とお話をしました。昔の学生運動仲間たちも…。
及川氏は、ジャーナリストで、日本とフランスのインターネットテレビ(日仏共同TV)をやっている。国民戦線のルペンさんにも何度もインタビューしている。
この日もフランスの人が多かった。及川氏自らが司会して、同時通訳をしていた。
ビッグな人々に会った。フランスのジャーナリストを初め、フランスの人たち、宮台真司さん、保坂展人さん(世田谷区長)、そして都議会議員の塩村文夏さん。ヤジ問題では随分と騒がれましたが、今は立ち直り、元気でした。
「キャンディ・H・ミルキィ」さんにも会いました。
5階の大ホールは満員だった。全体司会は、徐正根さん(山梨県立大学)。
(第1部)主題発表(13:45〜16:10)
○加藤典洋(文芸評論家)「『敗戦後論』から安倍政権の暴走へ—日本社会の構造的変化の背景」
○木宮正忠(東京大学)「日本の戦後民主主義の基礎と現状」
○張寅性(ソウル大学)「日本の保守と日韓関係」
○金鳳珍(北九州大学)「日韓関係における『近代の呪縛』の構造不変」
(第2部)総合討論(16:30〜18:00)
司会 柳 赫秀(横浜国立大学)
パネリスト。張仁成(報告者)。金鳳珍(報告者)。鈴木邦男。金旼奎(東北アジア歴史財団)。金映根(高麗大学)。伊藤智永(毎日新聞)。黄盛彬
白熱した発表・討論が行われ、時間も延びる。
午後7時過ぎまで行われた。何と、6時間だ。
パネラーは、日本人は少ない。加藤典洋さん、伊藤智永さん、そして私くらいだ。国際的なシンポジウムで、とても勉強になった。
加藤典洋さんの『敗戦後論』は読んでたし、ぜひ会いたいと思っていた。又、伊藤さんは、毎日新聞で、戦後、特攻、靖国などの取材をし、連載している。意欲的な企画だ。
この日は皆、熱く語ったが、テレビのような「日韓激突」ではない。この対立の背景を分析し、「では、どうするか」を考える。
今まで全く知らなかった事実も指摘され、とても勉強になった。
こんな企画は、ちょっとない。企画した人たちにお礼を言いたい。又、私のような「異端者」まで呼んで下さりありがたかった。
6時間続いたシンポジウムが終わり、近くの韓国レストラン「麻布韓日館」で打ち上げ。なかなか趣のあるお店でした。
加藤典洋さんの隣りでしたし、随分と話し込みました。「鈴木さんとはぜひ会いたいと前々から思ってたんです」と言う。嬉しいです。
「本を出して私も随分と批判されましたが、鈴木さんも大変ですね。左右両方から批判されてるし。でも、鈴木さんのような人は、存在そのものが〈奇跡〉です」。えっ、そうですか。ただの「脱落者」であり、転向者だって、皆に言われてますよ。
そして、日朝論、日韓論と話が進みました。韓国の学者、評論家の人たちとも、ホンネで語り合いました。
こんな集まりは初めてですし、実に貴重です。「今度はソウルでもやりたい。ぜひ来て下さい」と言う。
いいですね。ぜひ、お願いします。7年前、ニューヨークに呼ばれて、ベアテさんたちと憲法についてのシンポジウムに参加した。次はソウルか。いいですね。
⑨直会が終わって帰る時、駅前で「幸福実現党」が街宣をしてました。「尖閣ロッカー」のトクマさんが演説してました。ギターを弾いて歌ってました。
それにしても、サメのいる海を泳いで尖閣に渡ったのです。凄いですね。と言ったら、「あとで知ったんです。サメは恐いです」。誰だって恐いですね。
⑭女優の村松英子さんと。三島の芝居、映画には沢山出ています。お父さんの村松剛さんは大学教授で、私たちが学生の時に、とてもお世話になりました。
とても温和な人ですが、芯の強い人でした。左翼学生に家を放火され全焼したこともありましたが、闘ってました。
⑱日学同初代委員長・斎藤英俊氏。言論戦も肉弾戦も強かったです。一般学生なのに。「お前、左翼だろう」と言って、いきなり殴ってました。ヒドイ!「違います。誤解です」と言ってるのに、「ほら、今、左を見た。だから左翼だ!」と言って又、殴ってました。学内では何をやっても許されたんですね。いい時代でした。アナーキーな時代でした。
⑲日学同初代書記長・宮崎正弘さんと。今は評論家として有名です。「もう200冊くらい出してるんじゃないの?」と聞いたら、「いやいや、170冊くらいですよ。鈴木さんだって、そのくらい、出してるでしょう」。いや、とてもとても。「私なんて、7冊くらいですよ」。
⑳山平重樹氏。彼も本を随分と出してます。売れてます。元日学同の運動をやってました。
「私、今、山平さんの本を読んでるんです。サインして下さい!」と女性が寄ってきました。山平氏の著書の『最後の浪人 阿部勉伝』、よかったですね。
㉔実は、ここは、樋口一葉が通っていた質店なのです。作品にもよく出てきます。人が住んでいるのですが、1年に1度だけ、開放して、中を見せてくれるのです。だから、この日は、全国から一葉ファンが押し寄せるのです。
㉛12月14日(日)紀伊国屋ホールで講演会です。孫崎享さんとの本『いま語らねばならない 戦前史の真相』(現代書館)の出版記念トークです。孫崎さんと私、そして岩上安身さんの3人のトークです。大きなホールですね。
チケットは売れてるそうです。早く申し込んだ方がいいと思います。
電話 03(3354)0141
㉜学校の黒板に書かれていました。「NYで新右翼が入浴」。7年前、私はニューヨークに行って憲法の討論会に出ました。そのことを言ってるようです。
「ニューヨーク」「ニョーウヨク」「ニョーヨク」と韻を踏んでるんでしょう。オモチロイです。
㊱「キャンディ・H・ミルキィ」さんと一緒に挨拶しました。「結婚報告」ではありません。「他国批判のために愛国心をつかうな!、と鈴木さんが言ってました。私も愛国者です。感動しました」とキャンディさん。
お子さんはかなり大きいのでしょう。心配してるのでしょう。それでも敢然と実行してるのです。我が道を行くのです。偉いです。