気軽に引き受けて身動きがとれなくなっている。うーん、考えが甘いんだな。こいつは。と自分で自分のことを叱っていた。
だって、随分と時間がありそうだ。無限にありそうな気がする。
「原稿は今年中にお願いしますよ」「まあ、年末でいいですよ。まとめて下さい」「『論座』年末まで校正して下さい」「年明け第1週でお願いします。年末から年始に
かけて、足かけ2年もあるから大丈夫でしょう」…と。
そう言われると、随分と先のような気がして、「いいですよ。それまでなら出来ます」と軽く返事をしてしまう。それが、どんどん溜まる。
それに、ずっと先だと思っていた「年末」は、もう今だ。
「足かけ2年」だって、本当はたったの1週間もない。誰だ、「足かけ2年」なんて言葉を発明した人間は。こんな言葉があるために、人間はついつい油断する。怠惰になる。
そんなわけで、これから地獄の日々が始まる。能力もないくせに、仕事をやたらと引き受けるからだ。
本当なら、家に引きこもって、仕事をしなくてはならない。宅配ピザを食べながら。
でも、いろんなイベントがある。対談・座談会がある。取材がある。出かけることが多い。
原稿はどんどん遅くなる。部屋も散らかしっ放しで、どこにメモや資料があるかも分からない。整理・整頓の本を読んでるが、うまくいかない。
「革命とは実務だ!」と竹中労さんが言っていた。本当だ。
時間を守る。期日までに仕事をやり遂げる。連絡はきちんとする。…そういうことが出来ないくせに、「革命するんだ!」と大言壮語する奴がいるが、そんな奴に革命は出来ないのだ。と言う。
その通りだ。右も左も市民運動も、「実務家」「事務屋」を馬鹿にする傾向がある。
たとえ時間に遅れても、連絡が遅れても、「闘い」が重要だ。「闘い」が主力だ。「俺は24時間寝ないで闘っている!」と豪語する人がトップに立つ。
私も、昔の「活動家生活」で、そんな考えが身体に染みついてるのだろう。いけないな。年末になっても、仕事が進まない。そんなに外に出てるのだろうか。スマホのスケジュール帳を見た。
12月3日(水)高槻市へ行く。辻元清美さんの選挙応援だ。
5日(金)、6日(土)。盛岡へ行く。元日教組委員長・森越さんと対談。原敬記念館や小岩井農場、岩手県立美術館などを見る。
7日(日)「笑の内閣」の芝居を見る。
8日(月)武蔵野美大で講演。「グレート・ジャーニー」の関野吉晴さんと対談。
9日(火)、10日(水)。札幌。10日夜、一水会フォーラム。
11日(木)「ミヤマ」で出版社と打ち合わせ。ロフトの会議。
12日(金)土井たか子さんのお別れ会。
13日(土)長谷川光良氏、池内ひろ美さんの「望年会」。
14日(日)紀伊国屋ホールで孫崎享さんと対談。
16日(火)「ザ・ニュース・ペーパー」を観る。
20日(土)清瀬に行く。塩見孝也さん(元赤軍派議長)が来年4月に清瀬市議選に出る。そのための会議。
21日(日)岩上安身さんのIWJシンポジウム。忘年会。
22日(月)「アエラ」忘年会。
25日(木)学校。出版社と打ち合わせ。
26日(金) 昼から、忘年会を3つ出る。
27日(土) 多摩センターに行く。福島菊次郎さんの講演を聞く。写真展も見る。夜、神田香織さん、安田弁護士の忘年会。
29日(月) 昼、座談会。夜、3つの忘年会に出る。
私にとっては、14日(日)の紀伊国屋ホールが最大イベントだった。
ずっと気になっていた。人も集まってくれたし、終わってから150冊もサインした。今まで最高だ。
それに夜、衆院選の開票速報を見てたら、辻元清美さんが早々と当選。よかった、よかった。ホッとしました。
そのことは先週書いたので、今日はその1週間後のビッグイベントについてだ。
21日(日)のIWJのシンポジウム・忘年会。そして、22日(月)の「アエラ」忘年会だ。「アエラ」の方から報告しよう。
22日(月)の7時から、銀座のsun-miだ。場所がよく分からないので、担当者と待ち合わせて、連れて行ってもらった。
超満員だった。「アエラ」に執筆してる人。編集者。記者。カメラマン…などだ。
私は「アエラ」では書評をやっている。私はトップで挨拶をさせられた。
「長期連載で、7年目に入ります」と司会者。えっ、そんなになるの。
この連載は、私自身がとても勉強になっている。編集者、カメラマン、デザイナーの力が大きい。執筆者は皆、そのことを痛感してるはずだ。
本を紹介するだけでなく、写真、デザインの素晴らしい演出、工夫がある。
たとえば私がプロレスの本を取り上げた時は、わざわざ、小さなマットを作り、その上に、本を立てる。それを写真に撮る。毎週、大変だ。
だから他にはないユニークな書評欄になっている。新聞、週刊誌にも「書評」は沢山あるが、「アエラ」は一番だろう。カラーページで、写真の取り扱いが面白い。又、取り上げる本もいい。
それに、「どの本をとりあげるか」は編集者が決める。これがいい。
執筆者に任せると、どうしても知り合いの本、世話になってる人の本…などを取り上げる。又、「この前、お前の本の書評書いたろう。だから今度は俺の本を書評してよ」なんて頼まれる。そんな書評が多い。
まあ、「自社の本はやらない」というストイックな規制はあるだろうが。自分の社で出している本の書評をやったのでは面白くないし、依怙贔屓だと思われる。「アエラ」でも、それは固く守ってるようだ。
大きな書評、そして小さな書評のコーナーもあるが、朝日新聞、朝日出版社の本は書評しない。よほど話題になったのなら取り上げるかもしれないが、私は今まで見てない。
「アエラ」の書評は担当者が1人だ。執筆者は7人。佐藤優さん、吉田豪さん、森永卓郎さん…などだ。私も入っている。
7人が順番で書く。だから、2ヶ月に一度、回ってくる。「どの本を取り上げるか」は編集者が決める。執筆者に決めさせない。
これは凄いと思った。「あなたは、これをやってみてはどうですか」と割り振ってくれる。4、5冊を提示して、その中から選ばせる。
これは「アエラ」の特長であり、ヒットの秘密だ。
執筆者に任せたら、(さっきも言ったように)個人的な情で引きずられる。他の人に取り上げてくれと頼まれても、「私に本の選択権はありません」と言える。これはいいことだ。
この編集者は優秀だ。若いのに、もう子供がいる。7人にどの本を取り上げてもらうか、日々、読んで、検討している。1ヶ月に4人だ。
どれがいいか、5冊を提示する時、「なぜ、この本を選んだか」を説明する。ということは、5冊を事前に読んでいるのだ。
だったら、5冊×4人で、月20冊は書いている。
他に、全く「候補」にもならない本もある。それらも読んでるから、月に30冊は読んでるはずだ。じゃ、軽々と「月30冊」は達成してるようだ。
ぜひ、この人を取り上げたらいい。『子供を育てながら、月30冊を読む法』なんて本はどうでしょう。
その前に、「アエラ」の「現代の肖像」に載せたらいい。と、挨拶した。「そうだ、そうだ」と皆、賛同していた。
私の後に、何人かが挨拶。そして、何と姜尚中(カン・サンジュン)さんが登場、オオー!と会場がどよめいた。
「やっぱり低音で喋るんですね、素敵!」と隣の女性が呟いていた。見たら、「マガジン9」の越膳さんだ。
「あれっ、どうして?」「アエラにも書いてるんです。去年も会ったじゃないですか」。「姜さんがいい。ぜひ写真を撮りたい」と言うので、紹介した。そして写真を撮った。
私だって久しぶりだ。嬉しかった。「やあ、鈴木さん」と姜さんと握手。
前はよく会ってたのに、最近は会えなかったですね」…と、積もる話をしました。
じゃ、最近の情勢について対談しましょうよ。「アエラ」でもいいし、という話になりました。
そこに山田厚史さん。じゃ、一緒に撮りましょう…となった。
山田さんは二次会でも一緒だったので、朝日誤報問題についても、かなり話をした。
山田さんは、櫻井よしこさんなどと真っ向勝負で対談している。
他の人たちは皆、避けるのに、山田さんは勇気がある。
会社としても、あまり出ることは勧めてないだろう。でも、話があったら、出る。「逃げるのは卑怯だ」と思っている。
偉いですね。感服します、と言いましたよ。
そうだ。この前の日、21日(日)は、岩上安身さんの主宰しているIWJのシンポジウムと忘年会があった。これも凄かったな。
2日続けて、凄い忘年会に出た。忘年会だけど、酒を飲んで酔っ払っている雰囲気じゃない。この日本の行く末を考えさせられた。いろんなことを考えさせられた。
IWJは頑張ってますね。いろんな人たちの考え、活動を取り上げて紹介している。又、シンポジウムもやっている。
全国から多くの参加者が来ていた。講師もいいし、ぜひ聞いてみたいと思う人ばかりだ。だから、少々高くても聞きに来る。
松岡正剛さんのやってるセミナーだって、かなり高い。でも全国から集まる。これは凄い。
それだけ自分の勉強にお金をかけるのだ。テレビやネットでは得られない生の情報と感動があるからだろう。私も、こういう〈時間〉は、努力して作るようにしている。
それと、「本を読む時間」だ。年末の忙しい時に、書評を頼まれて、かなりの数の本を読んでいる。今まで全く知らなかった本もある。そして、書評を頼まれなかったら、絶対に手にしなかった本もある。それは、これから少しずつ紹介していこう。
やはり、「好きな本」だけ読んでいてはダメだ、と思った。他者からの「働きかけ」「義務」として…、読む本も必要なのだろう。
「読書のノルマ」も必死で実行している。「月30冊」のノルマは実行出来てると思う。年が明けたら計算して、発表するつもりだ。
今年もいろんな事があった。運動で、講演で全国を飛び回った。自分の関心のある人に会いに行った。話を聞きに行った。
多分、「仕事」として地方に行ったよりも、自分の「勉強」のために地方に行き、話を聞いた方が多いだろう。自分は「生徒」なんだと思う。
坂本龍一さんや、孫崎享さんとの本だって、私は「生徒」として、一方的に質問している。札幌や名古屋、姫路での講演会もそうだ。それが又、嬉しい。
来年も又、自分の「勉強の年」にしていきたいと思う。その「勉強のプラン」を立てながら、年末を過ごし、新年を迎えるでありましょう。
1年間、お世話になりました。良いお年を。
そのあと、中目黒の「青の洞窟」を見に行く。これも凄かった。
さらに新宿南口のイルミネーションも見た。
②私も挨拶しました。一番バッターでした。「連載7年目を迎えます」と言われました。じゃ、古い順かな。
書評を書いてるが、書評の欄は7人いる。だから2ヶ月に一遍、書いている。1年に6本か。7年だと42本か。もう、そんなに書いてるのか。本にまとめたいな。
書評欄の他の人。佐藤優さん、吉田豪さんなどは誰も来てない。皆、売れっ子で忙しいのだ。
7人を代表して私が挨拶した。「その7人を束ね、この人にはこれを書かせようと選び、采配する編集者が偉いのです。『現代の肖像』で、ぜひ取り上げて下さい」と言いました。
③山田厚史さんも来ました。朝日を代表して、闘っています。櫻井よしこさんたちと雑誌でも激突対談をしています。皆、嫌がるところを、敢えて出て闘っています。勇気があります。
姜さん、山田さんと3人で撮りました。勇気ある両巨頭から私も、少しでも勇気をもらいたいと思って…。
④越膳綾子さんも挨拶してました。「アエラ」の他、「マガジン9」や「通販生活」にも書いてます。
去年、「通販生活」で「入院生活」の特集があった時、私も取材されました。小学4年の時、盲腸をこじらせて1ヶ月入院した時の話です。その時、私の母は、毎日、私のかわりに小学校に通って授業を受けてたそうです。何十年か後に、同窓会で聞きました。そんな話を紹介しています。
左側に、姜尚中さんがいますね。その隣が、「アエラ」の編集者の三島さんです。書評欄の担当者です。とても優秀な人です。お世話になってます。
⑥これは、前日、12月21日(日)ですね。品川の大きな会場で、IWJのシンポジウムが行われたんです。午前11時から6時まで。
IWJは「インディペンデント・ウェッブ・ジャーナル」の略かな。岩上安身さんが主宰しています。6時からの忘年会に呼ばれて行ったのですが、まだ終わらなくて、シンポジウムを見ました。2階の特別席から見ると、とても小さく見えます。
⑩小出裕章さんと。原発問題では権威です。でも、テレビの対談番組は出てないそうです。「断片的にしか言えないし、言いたいことを言えないから」といいます。姫路か名古屋か札幌でぜひ対談させて下さいとお願いしました。学生運動もやってたといいますし、色々お話を聞きたいです。
⑪パーティの時、IWJのレポーターに取材されました。「おっ、愛ちゃんじゃないですか」と言っちゃいました。前に代々木の脱原発デモの時も取材されました。
タレントさんですが、IWJのレポーターも時々、やってます。心ちゃん、カナルちゃんと同じ事務所なんです。心ちゃんと3人で会った時、写真を撮って、「3人で愛国心ですね」と言ったんですよ。カナルちゃんが入ると、「愛国心かな?」になります。
孫崎享さんと私の本についても聞かれました。「全く正反対の立場だと思ったのに、意外と共通点かあるんですね!」。「そうですよ。生まれた年は同じ。トリ肉は食べれない。枝豆が好き。それに2人とも愛ちゃんが好きなんです」と言ったら、「あら、どうしましょう。私のことで喧嘩されたら困るわ」。
「じゃ、僕は、あきらめます。鈴木さんに譲ります」と孫崎さん。「そんなに簡単に譲られても嫌だわ」と愛ちゃん。外交交渉は複雑です。
⑭挨拶のあとは又、サイン会。何も飲まず、何も食べてません。「この後、二次会があるのですが、参加されますか」と愛ちゃんに聞かれ、即答。「行きます。何も食べてなかったから」。
何か、意地汚いですね、動機が。二次会も大変な人でした。200人位いたでしょう。居酒屋を貸し切り状態でした。私は左の奥にいます。こうしたテーブルが20位、並んでいます。「これ鏡ですか?」と聞いたほどです。奥の奥まで人がいました。
⑯IWJの前の日ですね。12月20日です。元・赤軍派議長の塩見孝也さんが、来年4月の清瀬市議選に出ることになりました。それで、6時から、清瀬駅前の会議室で、緊急会議です。中央が塩見さん、右端がロフトの平野さん。
⑰塩見さんは、今、清瀬市の駐車場で働いています。「労働者の代表として、この日本を変えたい。安倍政権と対決したい!」「レッド・シルバーの闘いだ!」と言ってます。
学生運動の体験の全てを賭けて闘う。それが「レッド」です。そして、清瀬市は3分の1が60才以上。シルバー世代のために闘う。と言います。全共闘世代も、もうシルバーです。だから、「レッド・シルバーの闘いです」。
でも、会場からはこんな反論も。「末期高齢者が末期高齢者に向けた闘いでは意味がない。シルバーとかレッドとか、色をつけちゃダメだ。『色彩を持たない塩見君』でやるべきだ」と。「そうだ、そうだ」と平野さんも言ってました。
さて、どんな闘いになるのでしょうか。おーい、金子遊さん。この「赤軍派・最期の闘い」を映画に撮ってみたらどうかね。考えて下さいよ。
㉑12月24日(水)。立体イラストレーター・Kucci(クッチー)さんの個展を見てきました。「箱庭劇場」です。「アエラ」の忘年会で知り合って、さっそく見に来たのです。素晴らしかったです。
絵のように見えますが、紙粘土で人形を作り、「立体イラスト」にしてるのです。凄いです。
㉓後ろにある『通販生活』に載せるために作られたんです。写真で見るよりも、こうして本物の人形を見ると、さらに迫力があります。
「今度、鈴木さんの本を作る時、やります」と言ってくれました。ありがたいですね。じゃ、『よど号グループは“明日のジョー”になれたのか』の時、表紙をやってもらいましょうか。それとも頁をめくったら、「よど号」が飛び出してくるとか。うん、これもいいな。
㉛12月25日(木)は、河合塾コスモで、打ち合わせがありました。又、クリスマス・パーティがあり、生徒も大勢来てました。フェローの福田さんから「たこ焼きを作るから、来んしゃい!」と言われて、行きました。
中央が福田さんです。マンガ家の石坂啓さんの妹です。お二人にはお世話になってます。
㉜知らなかったけど、電気の「たこ焼き器」があるんですね。それで焼いてました。ガスと違って、時間がかかります。手間もかかります。そして苦労して作ったたこ焼きがこれです。手前の半分は全部、私が食べたあとです。