東日本大震災から4年を迎えた。
3月11日、国立劇場では、天皇、皇后両陛下をお迎えし、政府主催の四周年追悼式が開催された。
被災地をはじめ各地でも様々な行事があった。日本中が鎮魂の祈りを捧げた。
東京では憲政記念館で、〈3月11日 東日本大震災「祈りの日」式典〉が午後2時より開催された。私もそこに参列した。
第1部は「祈りの日」式典。
読経が流れる中、全員が鎮魂の献花。この日を忘れずに、鎮魂と復興の決意の日にするために、「祈りの日」として法制化する運動も起きている。超党派で進められている。
「鎮魂の歌」を皆で合唱し、第1部は終了。
第2部は、シンポジウム「これでいいのか日本」。
主催者の村上正邦さんの挨拶のあと、3人の方々によるシンポジウムが行われた。
村山富市さん(元総理)。亀井静香さん(元金融担当相)。西部邁さん(評論家)だ。
被災地復興、そして日本全体の復興、再生に向けての力強い、具体的な提言がなされた。
又、沖縄にこれ以上犠牲を押し付けてはダメだ。原発も全てやめる。といった発言もなされた。
「勇ましいことだけ言っていればいいのか」と亀井さんも強く言う。
村山さんは最近、韓国に行ってきた。その体験を踏まえて、日韓関係の正常化に向けた話をする。
4時から6時まで、3人の濃密な話、提言を聞いた。
終わって、3人に対し、活発な質問が出た。又、熱烈な提言も出された。
シンポジウムが終わってからも、3人は、多くの人々に取り囲まれて、質問されていた。
私も3人に挨拶をした。「鈴木さん、最近はよく会うね」と村山さんに声をかけられた。
村山さんの話をじっくり聞く機会があまりないので、今日は貴重だった。韓国での体験、討論について詳しく聞いた。
この日の「祈りの日」式典のことは翌日の産経新聞でも大きく取り上げていた。
この日、家を出る時に、本が届いた。3月25日発売なのに、もう見本が出来たのだ。現代書館の「FOR BEGINNERS」シリーズの『吉田松陰』だ。
書いた人は三浦実さん。イラストは貝原浩さん。そして、急遽、私が「解説」を頼まれて書いた。30枚だ。
この本は実は、30年前に出た本だ。初版は1982年2月25日だ。大評判を呼び、売れに荒れた。増刷に次ぐ増刷だった。
30年前は、まだ左翼が強かった時代だ。でも、売れた。
吉田松陰という男は、右にも左にも圧倒的な人気がある。
何といっても体制に対しての叛逆者だ。そして革命家だ。それも型破りの革命家だ。維新革命の近づくのを見ずに国家によって斬殺された。
当時は、「逆賊」「国賊」として殺されたのだ。明治維新が実現しなければ、「逆賊」「国賊」のままだったろう。
ところが明治維新は出来た。そして「松陰像」は大きく変わった。
明治、大正、昭和…と、松陰像は変わり続けた。その時代の為政者によって、人民によって、様々に変わった。
「憂国の士」、「教育者」であり、「忠君愛国の士」であり、「正義の人」である…と。
しかし、そんなにきれいにまとめられるものではない。又、NHK大河ドラマのようなホームドラマ的な人間でもない。
松陰は時に「狂」の人であり、「暴走」の人であり、周りの人間を怒鳴り散らす怒りの人でもあった。
30年前に読んだはずなのに、多分、その時は理解し切れなかったのだろう。読んで、ウーン、凄い人だったんだな、と思った。
そして、「正義の人」とか「忠君愛国の人」とかいう、小さな範疇に閉じ込めてはならないと思った。
はっきり言って松陰は「矛盾の人」だ。兵学者なのに、時には全く戦略も戦術もなく、ただ暴走する。
又、捕まって、取り調べの時など、聞かれてもいないのに「自分の罪」を自白する。
何だ、この人は、と思った。
その「矛盾」は何だろう。愚鈍とも言える。その暴走、暴論の底にあるものは何か。
それを今、じっくりと考えてみた。それを考えさせる本だった。
そして、私の危ない推論も書いた。これこそが松陰の本質だと思うことも書いた。
この本の帯には高橋克彦氏が推薦の言葉を書いている。後半、こう書いている。
〈吉田松陰とは何者だったのか。彼の魂に触れずしてこの国の未来は探れない。彼はきっと日本の今に満足していない。この本は爆弾だ。彼の怒りが炸裂している〉
そうか。この本、そのものが「爆弾」なのだ。文を書く三浦さん、イラストを描く貝原さん、怒りが二乗になって大きく炸裂している。
この2人に会いたかった。2人とも、10年前に若くして亡くなっている。
貝原さんの描いた『戸籍』(現代書館)は、ベストセラーになった。
1947年倉敷市生まれ。2005年6月に亡くなった。今、生きていたら67才。10年前亡くなった時は、まだ57才だった。若すぎる。
文を書いた三浦実さんは、1932年宮城県出身だ。私より10才上か。
それに仙台だ。同じだ。いろんな話が出来たと思うのに、残念だ。2006年に亡くなっている。
この「FOR BEGINNERS」シリーズは、日本だけでなく、外国の思想家、革命家も取り上げている。
以前は、どこの本屋にもズラリと並べられていた。100冊以上が出ている。
「これは全部読もう」と挑戦した学生、青年はかなりいた。マルクス、レーニン、全学連、大杉栄、ニーチェ…などだ。
このシリーズでは私も1冊、書かせてもらった。『ヤマトタケル』だ。神話の人物だが、日本人の〈原像〉かもしれない。
それと、このシリーズでは、『大杉栄』が印象に残っている。竹中労が書いている。力作だ。竹中の、火を吐くような文章の力にしびれた。
これを読んでから、私も「大杉栄」信者になってしまった。
この本を起点にして、河出から『竹中労』を出した。又、『ヤマトタケル』を書くことにもなった。
竹中と出会って、「大杉栄」を再び読むことになった。このことは『竹中労』に詳しく書いた。
竹中は『大杉栄』を書いてるうちに、大杉が乗り移ったのか、激烈な文章になる。文章が暴走する。そして。ラストで言う。
「大杉栄とは私である」
凄いことを言う、と思った。この本の書店トークも又、あるだろう。
竹中労の本は全部読もうと思って、今、挑戦中だ。
それと、「FOR BEGINNERS」シリーズも全部読みたい。100冊以上あるが、何とか挑戦したい。
それと、今、ぱる出版から出ている「大杉栄全集」だ。これは、ぶ厚いが、とても読みやすい。「自由の人」大杉を読んで、さらに自由について考えてみよう。
そうだ。もう1冊、書いておかなくては。内田樹さんとの本だ。
内田さんは著書が200冊近くある。それに毎月、3冊から5冊出している。
だから、いくら必死に読んでいっても、とても「全巻読破」にはならない。
内田樹さんとの対談本については、このHPでも、何度も書いている。校正も何度もしてるし、本の大体の「出来具合」はおおよそ見当がついていた。
ところが、3月10日(火」、送られてきた本を視て驚いた。予想以上に立派だ。エキサイティングだ。
それに、表紙をめくると、まずグラビアページがある。カラーで3ページだ。凄い。
私は今まで、80冊ほど本を出してきたが、こんなふうにカラーグラビアがついた本は初めてだ。随分と経費も手間もかかったと思う。ありがたい。
このグラビアを見てるだけでも楽しい。
表紙には、こう書かれている。
〈ともに思想家で武道家の内田樹と鈴木邦男が、戦後70年の日本社会の問題を10時間にわたり語り尽くした。対談本の概念・領域を超える。 超「対談」の記録〉
凄いですね。超「対談」の意味は、グラビアを見ただけでも分かるだろう。
会議室や、自宅の書斎、合気道場、映画館で対談をやる。又、合気道の稽古をつけてもらう。映画館では、そこを借り切って、映画を見たり、対談をしたり…。
こんな「対談」はないですよ。だから超「対談」なのだ。鹿砦社の福本氏が企画してくれた。よく考えたもんだ。
又、忙しい内田さんがよく協力してくれたものだ。「これは面白い」と思ってくれたんだ。
又、そう思わせた福本氏の企画力と執念だ。私は、必死で付いて行っただけだ。
いい体験をさせてもらった。ありがたい。
又、須藤元気さんが素晴らしい「大推薦の言葉」を書いてくれた。
〈ゼロ世代必読! 属国ニッポンの今が分かる一冊〉。
須藤さんは格闘家だ。今は拓大のレスリング部の監督をやっている。
元はプロレスラーで、そして思想家だ。もの凄い勉強家だ。
何度か対談したことがある。「午前中は図書館で勉強。午後は取材に応じたり、人に会ったり。夜は稽古です」と言っていた。
1日を三分割して、その1つは〈勉強〉だ。図書館で本を読み、原稿を書いてるという。
なかなか出来ない。「この本はいい。ぜひ読んだらいいですよ」と、元気さんに勧められて読んだ本が何冊かある。
「大推薦の言葉」、本当にありがたいですね。又、お会いしたいですね。
最近はAOKIのCMでダンスを披露している。これもいいですね。武闘家にして舞踏家だ。西宮ゼミで前田日明さんと対談してもらったらいいのに。
そうだ。格闘技雑誌で前に元気さんと私は対談した。それも本にしたいですね。日野原さんや、元日教組委員長や岡留さん…などとの対談もあるし、本にまとめたい。
その前に今、手がけている本を出さないと…と、焦ってます。
では又、来週。北陸新幹線も開業した。石川県七尾にも行かなくっちゃ。
学生時代とてもお世話になった「生長の家学生道場」の大森道場長ご夫婦のお墓参りにも行きたい。本当にお世話になったし、その体験が今の私を支えています。
『吉田松陰』は30年前の本の、革命的な復刊ですが、私が35年前に書いた本も、革命的に復刊する。『証言・昭和維新運動』だ。
血盟団事件、5.15事件、2.26事件などに参加した実行者たちに会って話を聞いたのだ。
これは、あの時やっておいてよかったと思う。あの時は、昭和維新運動を実行した人たちが生きていた。必死に探して、押しかけて取材した。
あの時の感動は忘れられない。本当に貴重な本だ。それも、もうすぐ出るだろう。
札幌でやっている「時計台シンポジウム」の対談記録(第3巻)も、3月末に出るようだ。ありがたい。
司会は福田文昭カメラマン。石川カメラマンには久しぶりにお会いしました。
私は途中で失礼して、高田馬場へ。少し遅れて、一水会フォーラムに出ました。講師は元農林水産大臣の山田正彦さん。テーマは「TPP交渉をやめる闘いを巻き起こそう!」。
山田さんは今、弁護士で、「TPP交渉差止・違憲訴訟の会」幹事長です。熱いです。皆、熱心に聞き入ってました。
終わって二次会。
3月11日は東日本大震災から4年。政府主催の式典があり、他にも、犠牲者を悼む式典、集まりが全国で行われました。
午後2時からは憲政記念館で、〈3月11日 東日本大震災「祈りの日」式典〉が行われ、そこに参列しました。
第1部は、「祈りの日」式典。
第2部は4時から、シンポジウム。「これでいいのか日本!」。
主催者の村上正邦さんが挨拶。
続いて、村山富市さん(元総理)、亀井静香さん(元金融担当相)、西部邁さん(評論家)の3人によるシンポジウムが行われました。会場からも質問が出、活発な会になりました。
そして、6時、文京区民センターに行く。「和歌山カレー事件、噂の真相。東京報告集会」。超満員でした。
河合潤、佐藤優、神田香織、鈴木邦男が講演、報告。
「林眞須美さんは犯人なのか?」。そしてこう書きます。「彼女のことは嫌いでも、彼女の無実は知ってください」。いいコピーですね。その通りです。とても充実した会でした。
終わって、二次会。
⑧3月16日(月)発売です。内田樹さんとの対談本です。『慨世の遠吠え=強い国になりたい症候群=』(鹿砦社・1400円)。須藤元気さんの大推薦の言葉も入ってます。
〈ゼロ世代必読! 属国ニッポンの今が分かる一冊〉
⑮現代書館の『吉田松陰』が復刊になりました。大ベストセラーになった本です。衝撃的で、とても教えられました。今回、「増補新装版」を作るにあたって「解説」を頼まれました。急遽、30枚を書きました。
三浦実さん(文)、貝原浩さん(イラスト)です。
⑰本文の、貝原浩さんのイラスト。昔から吉田松陰は左右両翼からもてたんです。軍国酒場「憂国」のおネエさんに右から誘われてます。「実弾サービス」と書かれてますね。
左のおネエさんは「Barゲバゲバ」ですね。看板には、「突き放題」と書かれてます。ゲバ棒で突きまくり、武装蜂起するのでしょう。
左右両翼から好かれてる人なんて、今はいませんね。私なんて、どっちからも嫌われている。