「瑞穗(みずほ)」とは、みずみずしい稲の穂のことだ。だから、「瑞穗の国」というのは日本のことだ。「日本国の意味だ」と『辞林21』(三省堂)にも出ている。
そこから名前を付けられたんだ、福島みずほさんは。
だから、「福島を救え!みずほの国を守れ!」と叫んでいる。みずほの国を守るためにも反TPPを叫んでいる。「私こそ愛国者だ」と言う。その通りだと思う。
さらに、この日は、何と、大きな「日の丸」を持ち出してきた。5月1日(金)、参議院議員会館で対談した時です。
驚いた。と言うより、戸惑った。社民党副党首・福島みずほさんと「日の丸」が結び付かなかった。
お父さんは、「瑞穗の国」からとって、娘に「みずほ」という名前を付けた。
でも、娘は弁護士になり、社民党に入って、党首になった。今は副党首だ。
別に「日の丸」は好きじゃないだろう。きっと嫌いだろう。と私は勝手に思っていた。
だから、大きな「日の丸」を持って現れた時は、驚いた。
一体、何が始まるのだろう。まさか、日の丸に火をつけて燃やすつもりじゃないだろう。そんなことをしたら私は、命を懸けて「日の丸」を守らなくちゃ。と思っていた。
ところが、「鈴木さんに、ぜひ見せたいと思って」と言って拡げる。
アッと思った。出征兵士への寄せ書きが入った日の丸だ。「米英撃滅」「祈 福島行人 武運長久」。
「あれっ、この福島行人って、お父さんですか?」と聞いたら、「そうです」。
そうか。お父さんが出征する時に、皆が書き込んだのだ。よく見ると、「熊本県立商業学校第5学年3組」と書かれている。
「実は、米軍の手に渡ってたんですが、09年に、米軍が探してくれて、返還してくれたんです」。と言う。
出征した「福島行人」さんが、社民党・福島みずほさんのお父さんと知って、さぞや驚いたことだろう。その時の新聞も見せてくれた。09年8月8日だ。
〈戦時の思い出刻む父の日章旗
福島・社民党の党首の元に〉
と大きく出ている。この時は、社民党党首だった。
〈社民党の福島瑞穗党首の父で昨年12月に死去した行人さん(享年82)が太平洋戦争で出征する際、熊本県立商業学校の同級生から贈られ、戦後米軍に渡った日章旗が今年3月、福島さんの元に届けられた。福島さんは、「生前の父は戦争を語りたがらず、どんな思いで戦地へ赴こうとしていたのか。切なさとともに、平和の大切さをあらためて感じる」と話している〉
しかし、よくこの日章旗が返ってきたもんだ。奇跡的だ。
〈日章旗は、現在は米国在住の元海軍兵が熊本進駐時代に入手。今年6月、熊本市の幸山政史市長に対し、持ち主を探し、家族の元に届けてくれるよう求める手紙とともに送られ、同市から連絡を受けた熊商の同窓会が持ち主を探していた〉
〈寄せ書きから60年以上が経過しているが、傷みは少なく、丁寧に扱われていたことがうかがわれる。元海軍兵にお礼の手紙を出すという福島さんは「一生懸命になってくれた皆さんの思いに感謝したい」と話している〉
いい話ですね。お父さんは実はハワイ生まれだそうです。
おじいさん、おばあさんはアメリカに住んでいて、日本に帰る時、ハワイに寄り、そこで生まれたそうです。大きくなってからは日本のためにアメリカと闘ったんです。凄い人生です。
これはNHKの「ファミリー・ヒストリー」でぜひ取り上げるべきですね。家族の話も、「みずほ」という名前も、そして議員活動も、まさしく「愛国者」です。そんなことを感じました。
…さて、次は〈日本語〉のお話です。
中野図書館では1回に15冊まで借りられることになった。前は10冊だった。2週間で返すから、今は月に30冊、借りられる。
新書の棚のスレッドを見て、たとえば〈言葉〉とか〈建築〉〈歴史〉などのコーナーで、まとめて借りて貪欲に読んでいる。
4月は、〈言葉〉のコーナーに行って、「今回は、この端から30冊を読もう」と思って読んだら、一番衝撃を受けた本が、池上彰の『日本語の「大疑問」』(講談社+α新書)だ。
その18pageにこんなことが書いてあった。
埼玉にある「吉見百穴」は何と読む?と。
前半は「よしみ」だろう。地名らしい。後半は「ひゃっけつ」だろう。
ところが違うんだ。「ひゃくあな」と読む。変だな、と思った。
それにこの「穴」って何だ。住民が皆で、穴を掘って宝物を隠したのだろうか。初めて聞く名だ。
ネットで調べてみた。結構有名なところらしい。古墳として、随分と昔からあるが、江戸時代から、文献にも登場し、「不思議な穴」と興味を持たれていたという。
人骨、玉類、金属器、土器類が出土し、ある学者は、この横穴を、「土蜘蛛人(コロボックル人)の住居として作られたものである」と発表した。
しかし大正時代になり、考古学の発達によって、各地で横穴の発見、発掘がなされ、出土品や横穴の構造からこの横穴は、古墳時代の後期に死者を埋葬する墓穴として作られたものであることが明らかにされた。
戦時中は、横穴群のある岩山に地下軍需工場の建設が行われた。その両方が、今も残っており、見ることが出来るという。
ネットで調べると、(埼玉県の)東松山駅で降りて、バスで行くのだそうだ。
一体これは何だ、と思って、池上さんの本を途中でやめて、池袋に行って、それから東武東上線で「東松山駅」に行く。
調べたら、バスはなかなか来ない。タクシーに乗った。
それにしても、吉見百穴も面白いが、その前に「東松山」という地名がまず面白い。
四国の松山と同じ地名が埼玉県にも偶然にあって、その東だから、「東松山」なのだろうか。
タクシーの運転手さんに聞いたら、「ここには、松山はありません。四国の松山のことです。その東にあるから、東松山です」。
ゲッ! そんな壮大な話か! 四国の愛媛県だよな、松山は。「その東」といったって、埼玉は普通、思い浮かばない。
それなのに、(四国の)松山の東にあるから「東松山」か。
それに、埼玉には、「上福岡」という地名もある。
「あっ、あれもそうです。(九州の)福岡の少し上にあるからです」。
ゲッ、かなり遠いよ。埼玉人の考えることは、シュールで壮大だ。
正岡子規が吉見百穴を訪ねて、句を作っている。実は、「吉見百穴」よりも、「東松山」に惹かれて来たのではないか。
だって、子規は、四国の松山に住んでいた。子供の時から、ボール遊びが好きで、自分の本名「のぼる」を「野」の「ボール」と分解し、自分のやってる遊びを「野球」と名付けた。そうなんです。野球の命名者なんです。
「いや、一緒に遊んでいた他の子供が付けたらしい」という説もあるが、子供の遊びの中から「野球」という名が出来たことは事実だ。だから子規は、野球の殿堂入りをしている。
又、吉見百穴からバスで20分位のところに「箭弓(やきゅう)稲荷神社」がある。箭弓とは、弓なんだが、発音が「やきゅう」という。
それで、野球選手やファンが、活躍、優勝を祈り、絵馬を奉納している。又、バットを奉納している。
これだって、松山から来た(野球と命名した)子規の縁かもしれない。
一日中、埼玉を歩き回ったが、とても勉強になった。
家に帰ったら、本が届いていた。木村聖哉さんの『言葉の貯金箱=私の読書ノートから』だった。今年の5月4日発行だ。
出版社は書いてない。「私家版・非売品」となっている。貴重だ。
新書にして出したら、どこでもやりたいだろうし、売れる。それなのに勿体ない。
自分が今まで読んだ本の中から、印象に残った言葉を書き留めた、という意味だろう。
だから、自分の「著」ではなく、「編」になっている。
謙虚だ。パラパラと頁をめくってみた。
○「人類は戦争に終止符を打たなければならない。そうでなければ、戦争が人類に終止符を打つことになろう」(ジョン・F・ケネディ)
○「海より広いものがある。それは空だ。空よりも広いものがある。それは人の心だ」(ビクトル・ユゴー)
○「教科書にうそを書く国は、やがてつぶれます」(司馬遼太郎)
○「オーストラリアでは、投票が権利であると共に義務である。投票に行かないと三千円あまりの罰金を取られる。だから投票率は毎回10割に近い」(杉本良夫)
○「核兵器に殺されるよりも、核兵器に反対して殺される方を、わたしは選ぶ」(宇都宮徳馬)
○「二十世紀は男性の歴史、historyでしたが、二十一世紀はherstory、女性の歴史に変えなければなりません。各国の指導者の半分が女性になれば、世界から戦争がなくなります」(呂秀蓮)
○「思想に自由あれ。しかし又、行為にも自由あれ。そして更に又、動機にも自由あれ」(大杉栄)
○「むずかしいことをやさしく。やさしいことをふかく。ふかいことをおもしろく」(井上ひさし)
○「一億一心にならないで、一億一億心になるように」(藤田省三)
○「人類から愛国主義者をなくすまでは、平和な世界は来ないだろう」(バーナード・ショー)
○「国がほろびるとき、あるいは国家をほろぼすとき、必ず、“愛国的な愚者”が権力の座にすわります」(司馬遼太郎)
○戦後の日本に外交と言い得るものはなかった。あったのは日米関係だけです」(木村俊夫)
○「みんな『戦後』と簡単に言うけれど、『戦後』なんて、地球上に一度も訪れていないじゃないか」(黒田征太郎)
○「右とか左とかってことじゃない。この人は信用できるかできないか。いざっていうとき裏切るかっていう、唯一の基準はそれなんだ」(丸山眞男)
驚きましたね。本当に素晴らしい言葉ばっかりだ。
これは凄い。その通りだ!と思った言葉を「読書ノート」に書き溜めていたのだろう。
本当なら、自分の〈宝〉にして取っておきたい。それなのに、こうして、〈宝〉を公開し、我々に分け与えてくれる。本当に「貯金箱」だ。
全部、紹介したい位だが、この辺でやめておこう。
途中まで読み進んで来たら、小さな付箋が貼られたところがあった。
あれっ、ここは特に強調したいところなのかな」と思ったら、何と、私の言葉だった。
そうか。それで、私に送ってくれたのか。ありがたい。こんな言葉だ。
○「国家に逆らったという名目で社会主義者、共産主義者を拷問し、殺す。どれだけの人間が『国家』によって殺されたことか。『国家』こそが最大のテロリストだ。それに比べたら、左翼やアナーキストや右翼など、たかが知れている」(鈴木邦男)
ウワー、凄いことを言ってる。こんな過激なことをどこで言ったるんだろう。それと、もう一つ、発見した。
○「今は経済不況だ。しかし、それ以前に思想不況であり、哲学不況である」(鈴木邦男)
うっ、これも凄い。
しかし、一体、どこで言ってるんだろう。
そうか。もしかしたら、私の書いた『竹中労=左右を越境するアナーキスト』(河出書房新社)かな。2011年12月に出した本だ。
この本を出す時に私は『言葉の貯金箱』の編者・木村聖哉さんに会った。そして教えてもらった。
木村さんは、『竹中労・無頼の哀しみ』という本を書いている。とてもいい本だ。
これを読んで、木村さんにお会いし、いろいろと教えてもらった。そして、本が出来てから私の『竹中労』を送った。
「編者略歴」を見たら、木村聖哉さんは1940年中国の大連で生まれた。熊本育ち。同志社大学社会学部卒。大阪労音事務局、ポップサウンド、話の特集編集室。十代の会などを経てフリーに。
この『言葉の貯金箱』は実にいい。又、残りを紹介してみたい。
少しだけ、紹介しておこう。予言が当たっている。
○「この先、ケータイはカラシニコフ以上の武器になるだろう」(池澤夏樹)
○「そんなに情報集めてどうするの そんなに急いで何をするの 頭はからっぽのまま」(茨木のり子)
○「永久革命という名前に価するのは民主主義だけなんですよ。資本主義も社会主義も永久革命じゃない。これはやっぱり制度です」(丸山眞男)
〈昔の老人はやばかった! 70過ぎても“婚活”! 姥捨て山に捨てられても、みごと生還! 極楽往生したくて、井戸にダイブ!〉
〈「舌切り雀」「浦島太郎」「源氏物語」…などの昔話や古典文学に描かれた「老人像」を追い、「昔の老人の知られざる生態」に迫る ユニークな本!〉
本当に面白い本だった。生徒たちも新発見の連続でビックリしていた。
本を読んで分かったが、扉に著者のサインがあった。あれっ、この人と会ってるのかな。それとも、サイン入りの本を古本屋で買ったのかな。謎だ。
①「鈴木さんにぜひ見せたくて」と、福島みずほさんが持ってきてくれました。お父さんが出征する時に、日章旗に書かれた同級生の寄せ書きです。「米英撃滅」「祈 武運長久」と書かれています。5月1日(金)。参議院議員会館で。
㉒ここにも沢山の願いが。「千葉ロッテマリーンズ。必勝、日本一へ」「必勝」「闘志」「躍動」…と、書かれてます。そういえば、「野球」という言葉を考えたのは正岡子規だとも言われてます。 子規は吉見百穴に来てますから、この神社にも来てるでしょう。
㉖5月4日(月)。「吉見百穴」の帰り、映画を見ました。「名探偵コナン」です。「業火の向日葵(ひまわり)」です。私はコナンは全部見ています。大人も楽しめる推理劇です。日本映画では、トップでしょう。右は、コナンと仲間たち。左は、「怪盗キッド」です。
㉘「これは面白い。原作も読まなくちゃ」とフェィスブックに書いたら、何と、当の石坂啓さんが送ってくれました。上・下です。サイン入りです。さらに、絵まで描いてます。「くにちゃーん!」とウサギが飛び上がってチューをしようとしています。
㉜なんと、こう書かれてました。
〈売国奴鳩山・強盗ロシアの手先。
エセ右翼、一水会。木村三浩糾弾〉
そして、「民族派有志連帯運動」と書かれています。右翼の街宣車も、一水会に毎日、抗議に来てるそうです。凄いですね。それだけ有名なんです。