いやー、驚きました。8月2日(日)、生誕祭です。
阿佐ヶ谷ロフトに着いたら、入口の外には人がいない。階段は誰もいない。
ヤベー、誰も来ないのかな。と思って、とりあえず楽屋に飛び込む。
「鈴木さん遅いですよ!」と、スタッフが待っていた。
いかんな、時間を勘違いしていた。1時スタートなのに、1時打ち合わせ、2時からスタートだと思ってた。暑くて、ボーッとしてて、勘違いしたのだ。
打ち合わせは全部終わってた。「これからすぐ始めますから」と椎野礼仁さん。
でも、外にも、階段にも、ロビーにも人はいない。
「あまり集まってないのかな?」と、おずおずとスタッフに聞いたら、「超満員ですよ。ソールドアウトですよ。もう皆、中に入って開場を待ってるんですよ」と言う。
それからすぐ、礼仁さんに呼ばれて、楽屋から、壇上にあがる。
初めて、「阿佐ヶ谷ロフト」の客を見た。ウワー!凄い。入ってる。満員だ。立って聞いてる人もいる。
数日前に券がソールドアウトしたそうだ。当日券の人は立ち見だ。凄い。
スタッフがこまめに告知してくれた。
それに、豪華ゲストが来る。
アーチャリー、「謎かけ」のねづっち、武田砂鉄さん、あべ・あゆみさん、板坂剛さん、タロット占いの「占(うらな)さん」。飛松五男さん、板坂さん、元赤軍の金さんなどだ。
午後1時から4時までだ。3時間で、ゲストを割り振りする。
第1部は作家の武田砂鉄さんが司会。『止まった時計』を出した松本麗華(アーチャリー)さん。女優のあべ・あゆみさん。活動家の山口祐二郎氏などが並ぶ。
司会の武田さんは自分も作家だから、どうしても本の話題が中心になる。
アーチャリーの本をどう読んだか。さらに、最近出た二つの本。元「少年A」の本。そして芥川賞を取った芸人の本。それらを取り上げ、皆で話し合う。
「元少年A」の本は小説の書き方、遺族への謝罪をどうするか。本を出すことによって、遺族にとっては、「息子は二度殺された」と言ってたが、その通りだろう。
それに、相手はもう少年でもないのに、「仮面」のままだ。本を書くことの功罪について話し合った。
次は芥川賞だ。もう200万部も売れてるそうだ。見沢知廉も、頑張って生きていたら、もっともっと多くの小説を書けたのに…と思う。
第1部が終わり、第2部に移る前に、あべさんのヌードが披露される。
背中には立派な「唐獅子牡丹」だ。きれいだ。そして迫力がある。
それに唐獅子の絵柄は普通は横向きがほとんどだ。だからこの正面を向いた絵柄は珍しいし、とても貴重なんですと、「再生」の高木氏が解説する。
第2部は、司会は椎野礼仁さん。蓮池透さん、それに「謎かけ」のねづっちも登場。アーチャリーたちは残ってもらう。
礼仁さんは、蓮池透さんと、しばらくは真面目な話。北朝鮮はどうなるのか。「拉致」の問題は日朝両政府がどう「解決」しようと思っているのか…などを聞いた。
さらに、「よど号」問題も。蓮池さんは前にテレビで、よど号グループと話したことがある。その時の印象も含めて、語ってもらった。
「では、ここで突然ですが、〈よど号〉とかけまして。ねづっち、お願いします」と私が発言。
ねづっちも驚いてましたね。あとで、「謎かけ」のコーナーがあって、そこでやるのだと思っていた。
ところが、濃い政治的話が続く中で、突然、ふられたのだ。「え、何言ってんですか? それはないでしょう」と慌ててた。
それに、テレビでもライブでも、こうした政治的な〈お題〉を出されることはない。全くない。
でも、そこはプロ。一瞬考えて、「はい、整いました!」。
そして、言うんですよ。「インフルエンザで苦しんでいる人と解きます」。
えっ、何なんだ、と思ったら、そのこころは、「38度を超えたら危ないでしょう」。
ウワー、凄いですね。蓮池さんも、アーチャリーも驚いていた。
このあと、2部、3部を通して、ねづっちに居てもらった。
そして、話が興に乗ると、「では、三島事件とかけて」「では、連合赤軍事件とかけて」…と、お題をふる。
さらに、「オウム真理教とかけて」「アーチャリーとかけて」「蓮池透とかけて」…と、次々と政治的な難問がふりかかる。
そうだ。「鈴木邦男とかけて」と言ってた人もいた。板坂剛さんは、「鈴木は70過ぎて童貞だ、感動した!」と叫んでいた。
レーニンさんは、「では、鈴木さんの童貞とかけて」。「はい、整いました…」と即座にねづっち。
ほんと、この人は天才ですよ。私はつくづく思う。
ねづっちとは2年ほど、文化放送で一緒に仕事をした。
「夕やけ寺ちゃん活動中」という夕方の番組があって、毎週水曜日に私は出ていた。
その時、ねづっちも後半に出てくれて、いつも「謎かけ」をやってくれた。
ねづっちもプロだから、新聞も読んでるし、話題になってることは知っている。「これは出るだろうな」と思うことは考えてもいるだろう。
しかし、文化放送では私は、いつも、ねづっちが困るものばかり出していた。
大体、政治や右翼、左翼、宗教というものは出ない。危ないテーマだから、触れないのか。面白がる人もいないのか。
でも、私は、あえて、やった。ねづっちを困らせてやろうと、必死になって難題を考えて、ふった。
しかし、どんなお題でも、軽々と答える。
これには驚いた。それに、答え方が難しい。
思想、運動、宗教に対し、モロに批判し、潰すことはしない。逆に、絶賛し、持ち上げることもしない。
角度を変えて、皆が、「ヘエー!」と思う答えを出す。
これは凄い。政治討論で、「バカヤロー!」「帰れ!」と言ってるのよりは、ずっと難しい。
ロフトの第2部では、皆で政治的にじめっとした話を続けていた。そこで、司会者が、「では、ここまでのじめっとした話とかけて」と言う。今までの2時間の内容そのものがお題だ。
しかし、そんな無茶ぶりにも、必死で考えて、「はい、整いました」と答える。凄い。凄すぎる。
「やはり東大ですね。超頭がいい」と言っていた人も。
ヘエー、東大なのか。「違いますよ。東洋大ですよ」とねづっち。「でも略したら、東大じゃないか」。そうなんですかね。
さらに、ねづっち、蓮池さん、アーチャリーの前で、何と「全裸タロット占い」が行われました。そして、勝手に「鈴木邦男の晩年を占う」。
ゲッ! 大変だ。そして、まだまだ話はあるし、元赤軍の金さん、飛松さん、昼間氏なども登場、騒然とする。
4時過ぎに、終わりました。アーチャリーや、蓮池さんにも会場から質問が出ました。
蓮池さん、しばらく考えて、「はい、整いました」。これには会場が爆笑。
このあと、サイン会。随分、サインをしました。
そして、駅前の白木屋で二次会。さらに三次会…。
ともかく、大いに盛り上がった「生誕祭」でした。
それにしても、事前にチケットがソールドアウトなんて、初めてです。嬉しいですね。
では又、来年。その前に、8月10日(月)に、一水会で講演がある。一水会で講演するなんて、久しぶりだ。もしかしたら、初めてかもしれない。
それに、8月、9月は、映画のトークを初め、いろんなトークがある。
そして、急に問い合わせが増えた。「あのー、チラシが出来たんですが、鈴木さん、一水会顧問を辞めたんでしょう。肩書きを書き直しますか?」。
それじゃ、大変だ。「いいですよ。そのままで」と答えている。
だから、しばらくは「顧問」がいろんなとこに出るだろう。
しかし、暑いですね。日本初の連続猛暑だそうです。
この暑い中、原稿を書き、取材に応じ、仕事をしております。
浅田次郎の『壬生義士伝』を読んでいる。いいですね、浅田次郎は。
これは集英社文庫で上下・2巻だ。
これを読んだら『輪違屋糸里』(上・下)だ。
そして『一刀斎夢録』(上・下)だ。
これで、新選組三部作をクリアーできる。
そのあとは「浅田次郎全集」に挑戦しようかな。
でも、まだまだ元気で、これからも書く。全集挑戦は早いだろう。
そうだ。大西巨人の『神聖喜劇』(光文社文庫)を買ってきた。全5巻だ。1巻が1060円だから、5千円ちょっとだ。
今まで断片的には読んでたし、漫画版では全部読んでいた。でも全体をキチンとは読んでない。
9月19日(日)に『神聖喜劇』についてのトークをやるので、それまでに読んでおこう。
皆さんも、どうですか。1ヶ月で全5巻を読み、それで、トークを聞きに来る。贅沢なライブですよ。
このためだけに戦争大作をまとめて読む。そして息子さんの大西赤人さんたちの話を聞く。私も楽しみです。
それと、渋谷知美の『日本の童貞』(河出文庫)も読んでいる。8月2日に、阿佐ヶ谷ロフトでもらったのだ。
誰がくれたのか分からないが、プレゼントの袋の中に入っていた。板坂さんが、「鈴木邦男は童貞だ!」と絶叫していた。それに呼応して、誰かが持ってきたのだ。
でも、それを言うことを予知したのだろうか。タロット占いをする人以外に、人の行動・発言を余地できる人がいるのだろうか。
怖い話だ。でも、面白い本ですよ。『日本の童貞』は。
それに、図書館で借りてくる本も、読まなくっちゃいけないので、忙しい。
毎回、15冊ずつ借りている。2週間で返す。だから、月に30冊だ。
「今週は、この棚の左端から15冊全部借りよう」といった計画的、かつ几帳面な借り方をしている。
何が入ってるか分からない。IT関係の本ばっかりだったり、建築の本ばっかりだったり、料理の本ばっかりだったりもする。
でも、食わず嫌いにならないように、いろんな分野の本を、アトランダムに読んでいる。
その中には、アッと驚く発見もあって、驚かされる。
深田和範の『「文系・大卒・30歳以上」がクビになる=大失業時代を生き抜く発想法』(新潮新書)を読んだ。
これは面白かった。私なんて全く考えられない話だ。知らない世界だ。ホワイトカラーは、もう必要ないのか。
でも会社は彼らが支えているんじゃないの。と思ったら…。
〈振り返ってみれば、この20年間、日本のホワイトカラーは、企業や社会が直面している危機から目を背け、それを乗り越えるための働きをほとんどしていなかった。それどころか、企業の成長に貢献しない仕事を増やすことによって、自己増殖してしまった。これから、起こる大失業は、このようなツケが一気にまわってきた必然の結果なのである〉
そうか。私は昔、新聞社にいたが、やはりホワイトカラーで、考えてみたら、別にいらない分野だった。
印刷などの技術、広告取りなどは必要だ。それによって、我々は、かろうじて生きていられたのだ。
それなのに、ホワイトカラーは中心で、あとの部分は全部、機械化できるとおもっていたんだ。
大いなる錯覚だ。人間の方こそが不要だったのだ。深田はさらにこう言う。
一度、脅した上で、こう、慰めるのだ。
〈ただし、あまり悲観的にならないでほしい。ホワイトカラーの大失業は、日本経済の新たな成長のために必要なプロセスであるからだ。これらの失業者が、環境、エネルギー分野や介護等の産業に移動し、その現場を支えることによって、日本は新しい社会を構築することができる〉
そうか。じゃ、政治の世界もそうなるだろう。左右の運動の世界も。
かつて荒岱介さんのやっていた新左翼過激派「戦旗派」はその後、「ブント」に名前を変え、さらにNPO法人になってしまった。新左翼ではなく、環境団体になったのだろう。
その過渡期の時、私はブント主催のシンポジウムに呼ばれた。
「いくら新左翼を辞めるといっても、何も右翼の鈴木を呼ぶことはないだろう」と厳しい批判が起きた。「鈴木を呼ぶなら我々は辞める」と荒さんに迫った幹部もいた。
そしたら、何と、「じゃ、辞めていいよ」とあっさり言った。幹部の何人かは辞めた。この話は後から聞いた。
それほどの犠牲を払ってまで呼ぶ人間じゃないだろう、この右翼は。と皆は思うだろうに、荒さんは偉い人だ。
残念ながら亡くなってしまったが、新書版で本も出してたし、一般の人にも分かる言葉で聞ける人だった。惜しい。
荒さんとはじっくりと話して本を作りたかったのに残念だ。
「ホワイトカラーの大失業時代」について、さらに深田はこう書いている。
〈冷静に考えてみれば、企業業績の向上に直接的に貢献しないホワイトカラーの人数がこれほどまでに増え、その収入がこれほどまでに高くなった「現在の姿」の方が、むしろ異常なのだ。大量失業が発生するといっても、これほどの「異常な状態」が、「当たり前の姿」に戻るだけのことである。その意味では、特別に大騒ぎするようなことでもない〉
そうなのか。問題は、企業戦士だけではない。左右の運動の世界にも、マスコミの世界にも、政界にも言えることだ。その意味では、かなり内容の深い本だと思って読んだ。
私の家から歩いて10分位だった。マンションの地下2Fにある。凄い。こんな所にこんな劇場があったのかと驚いた。
芝居も面白かった。帝国軍人が出てきて、いきなり、「昭和維新の歌」をうたう。
終わって、高取英さんが言っていた。「鈴木さんが書いた『BEKIRAの淵から=証言・昭和維新運動』はよかったね。あれを読んだ後だったんで、帝国軍人に『昭和維新の歌』をうたわせたんだよ」と。
いやー、凄いですね。ありがたいです。
いろんな原稿も遅くなった。「早く書け」と毎日、催促されている。でも、暑いし、忙しいし、気が乗らない。喫茶店で本を読んでばかりいる。いけないな。
①8月2日(日)。午後1時より、阿佐ヶ谷ロフト。私の「生誕祭」に何と100人以上の人が集まりました。北海道、名古屋、大阪、和歌山、姫路…と、全国から来て下さいました。超満員です。数日前に、券が「ソールドアウトになった」と知らされました。こんなこと初めてです。
⑤第2部は、司会が椎野礼仁さん。蓮池透さん、「謎かけ」のねづっちさん。アーチャリーに残ってもらいました。「連合赤軍とかけて」「よど号ハイジャックとかけて」「オウム真理教とかけて」…と、ふられ、ねづっちが「整いました!」と答えています。
㉑8月4日(火)。月蝕歌劇団の「回転木馬共和国の逆襲」を見てきました。面白かったです。会場は新宿梁山泊。芝居砦・満点星。何と、私の家から10分もかかりません。こんな近くにこんな所があったんですね。驚きました。
㉕8月3日(月)。夕方、自由民主党本部に行きました。総務会長の二階俊博さんにお会いしました。中国・韓国とも仲良くして、日本の安全保障を考えようという姿勢は素晴らしいと思います。ぜひお会いしたいと思い、木村氏と訪ねました。