9月10日(木)、新しい本が届いた。見本誌だが、全国書店には来週の中頃に並ぶという。
社民党・福島みずほさんとの対談本で、『戦争を通すな!』(七つ森書館。1500円)だ。
なかなか、いい。表紙もきれいだし、ページを開くとまず、2人で日章旗を持っている写真が出ている。大きな日の丸には、「武運長久」「米英撃滅」と書かれている。
あとは、ギッシリと人の名前だ。福島さんのお父さんが戦争に行った時、学友たちが書いたものだ。実に感動的だ。それをみずほさんは大事に持っている。
なぜ、手に入ったのか。お父さん、おじいさん…との関係についても語ってくれた。
長い間、アメリカに住んでいたそうだ。日米で戦争が始まると、大弾圧を受け、やっとのことで日本に帰ってきた。…と、「ファミリー・ヒストリー」は続く。
しかし、福島さんと長時間対談し、本を出すなんて…。よくやれたものだと思う。
20年。いや、10年前でも考えられなかった。社民党は「敵」だと思われていた。
「敵」とは、話なんか出来ない。ましてや本を出すなんて、とんでもない。そう思っていた。
いや、「本」を出すなんて、たとえ一瞬でも考えたことはなかった。その意味では、まさに〈奇跡〉のような本だ。
福島さんだって、周りの人から、「右翼なんかと本を出して…」と思われているのかもしれない。
そんな批判・罵倒に耐えて、本を出してくれたのだろう。本音で話し、自由に話したと思う。〈一水会〉も〈社民党〉もなく一個の人間同士で話をした。
223ページある。大きく2つに分かれる。「chapter1」は「愛国有理」。
「chapter2」は「No pasaran!(奴らを通すな)」。
前書きは私。「夢を持て、理想を語れ!」。
後書きは福島さんで、「自由を奪われるな」。
今年4・5月に行われた。今、目次を見ているが、かなり大胆な、挑発的なテーマも多い。
(第1部)「愛国心、これが目に入らぬか」「愛国心は自己申告」「(俺って)右翼の中にいたの?」。
(第2部)「戦争放棄できるのか? 非武装中立は?」。
この第2部では、戦争、兵役、靖国神社、死刑廃止…などについて話している。真っ向勝負をしている。
自分の運動家人生を思い出しながら、福島さんと話し合った。「左右激突」にはならなかった。穏やかに話は進んだ。
しかし、二人の胸の内は激しいものがあった。それは、ぜひ読んでもらいたいと思う。
来週の中頃には、全国の書店に並ぶ。
では、〈お知らせ〉は終わって、今週のテーマだ。私のことだ。「鈴木とスズキ」の話だ。
佐藤、斎藤、高橋、鈴木…。日本で多い姓だ。名字・苗字とも言う。
名前と違って自分で勝手に変えられない。結婚して、別の姓になる事はあるが、男は大体は変わらない。
そして、「日本に多い姓」の人たちは、皆、コンプレックスを持っている。
どこにでもある、平凡な姓に何故、生まれたのか。つまらない。だから「愛姓心」はあまりない。
それでいて、自分の姓が日本で何番目に多い姓なのか。それには関心があるらしい。
今のところ、佐藤と鈴木がトップを争っているようだ。「こんな、ありふれた姓は嫌だ」といいながら、でも、「日本が皆、佐藤姓になればいい」と思ってる人もいる。
人を使って、「鈴木」を誘惑し、結婚させ、姓を変えさせる。あるいは、結婚を妨害し、子孫が絶えるように仕組む。
もっと手っ取り早い方法では、交通事故に見せかけて抹殺する。そして、「No.1」の地位を獲得する。民族浄化作戦だ。そんな小説もあったな。
「No.1」では満足出来ず、さらに佐藤姓を増やす。合法・非合法を使って、佐藤姓を増やす。攻撃的、侵略的な「愛姓心」だ。
そして国民の3分の2。あるいは過半数に達したところで、「国民投票」をする。
「佐藤姓がこんなに多いのだから、国の名も変えよう。佐藤国にしよう!」と。
そして、この国は「佐藤国」になる。日本の歴史も変えられる。姓も、面倒だから、全員、「佐藤」にする。
そんな陰謀と野望を阻止するために「鈴木」さんたちも立ち上がる。そして、「佐藤vs鈴木」の戦争が日々闘われている。
これは「ユダヤの陰謀」にも劣らない大陰謀だ。
しかし、困るな。そんな戦争に巻き込まれ、闘わされては。
でも不安なので、「名字の本」「鈴木姓の起源」「佐藤姓を根絶するために」…などという反「佐藤」本。嫌「佐藤」本を買ってきて読んでいる。
知らなかったが、鈴木姓は実は和歌山の神社がルーツなんだそうな。神社の鈴がルーツだ。
大昔は私は、鈴だったんだ。鈴だから、いろんなことを人に知らせる役目があった。楽しいこと、幸せなことを知らせ、皆で喜ぶ。
又、危険が迫ったら、鈴を鳴らして、知らせる。自分のことは考えず、皆の幸せを考えている。それが「鈴木」らしい。
だから、一見、ボーっとしてるように見えても、人はいい。愛がある。
その証拠に、犯罪者はあまりいない。と、書かれていた。ほう、そうなのか。
それに比べて「佐藤」は戦闘的だ。「鈴木」壊滅を狙っている。危ない。「鈴木」は団結し、集団安保を結ばなくてはならない。そう書かれている。
『鈴木の人』という名著がある。「鈴木本」の中でも最も詳しく、学問的にも権威のある本だ。そこから随分と教えてもらった。
その本には、「鈴木さん座談会」もあった。実は、私も出ている。
男子学生の鈴木さん。OLの鈴木さん。エンジニアの鈴木さん。主婦の鈴木さん。右翼の鈴木さん…などが出ている。
姓が同じなんだから、下の名前だけを書くのだろう。「ゆかりさん」「太郎くん」「クニオくん」…と。
そう思ったのだが、この本の編集者はヒネくれている。
「鈴木なんて、どうせ平凡で、個性がないんだから、名前を書く必要なんてない」と思い、全員、「鈴木」だけだ。「鈴木」が喋り、「鈴木」が反論し、「鈴木」が同意し…と。
一体、誰が喋っているのか分からない。「でも、皆、同じようなもんだろう」と、「鈴木」だけだ。私だって、どれが「私の発言」か、分からない。
ただ、似ている。多い名前だし、一般的平凡な名前だから、すぐ覚えられる。「だから、悪いことはできない」と言う。
それが、「鈴木姓には犯罪者がいない」という根拠になっているのか。
平凡だし、目立たない。そんな姓だから、本人も目立たない。ひっそりとした人間になる。
国家が個人を変えるように、姓が個人を変えるんだ。
じゃ、鈴木姓が日本で一番多くなり、この国が「鈴木国」になったら、絶対平和な国になる。
自衛隊も廃止し、非武装中立の国になる。悪い人がいなくなるんだから、警察も廃止出来る。理想の平和国家が出来るんだ。(でも、その前に仇敵・佐藤を滅ぼさなくては…)。
『鈴木の本』に戻る。「鈴木さんたちの座談会」だ。
出席者の1人。OL(だと思う)が言っていた。「鈴木という姓のもとに生まれた時から、あきらめがあった。どうせ鈴木だから…」と。
それ以来、目立ず、自己主張しない人間になってきた」
「私もそうです。引っ込み思案で、他人と争ったことはありません」
「闘いにも、恋愛にも情熱を燃やしたことはありません」…と言う。
皆、似ている。おとなしくて、引っ込み思案で、争いごとを避ける。それが「鈴木」さんだ。
魚の「スズキ」もそうです。「いや、鈴木のように自己主張しない、平凡な性格を持っているから、スズキと名付けられたんだ」と言う人もいる。
エッ?そうなのか。白身で、あまり目立たない。味も淡泊だ。まるで、人間の「鈴木」のようだ。ということで、この名前が付けられたという。ほう、そうなのか。と、ずっと私は信じていた。
でも、これは根拠のある、信憑性のある話なのか。
疑問に思って、中野図書館にこもって調べてみた。
百科事典や、官公庁の出版物や、専門的な本だけを調べるコーナーがある。そこで調べたんだ。
しかし、何冊かの百科事典や「魚事典」「魚の名前の由来」事典を調べても、そんなことは書かれてない。
これは大変だ。思い込みや希望・期待だけで突っ走ってはいけない。
「愛国心」と同じように「愛姓心」も科学と客観性がなかったら、暴走する。
沢山の分厚い百科事典を調べて分かったことがある。
まず、このスズキという魚は「成長魚」なんだ。成長するにつれて名前が変わる。「出世魚」とも言う。
それに、ギョッ!と驚いたのは、スズキは決して「平和的」な魚ではなく、「攻撃的」な魚なんだという。
反戦平和で、9条を守る魚だと思ってたから、海の中の藻や海草などを食べているのかと思った。
ところが、何と、他の魚やカニなどを襲って食べるという。「肉食」なのだ。
だから、外国ではスズキのことを「海の狼」とも呼ばれている。
ホントかよ、と思っちゃったが、学問的な報告なのだから、本当だろう。
タコの中でも「真ダコ」というのがある。マグロにも「本マグロ」がある。そして、スズキにも「本スズキ」がある。
平和的だと思ったが、本当は、攻撃的、戦闘的、侵略的なのか。これが本当のスズキなんだ。「本スズキ」だ。怖い。本当は怖いスズキの話だ。
じゃ、人間の鈴木にも、そんな怖い人間がいるのか。心の中に〈狼〉を飼っている鈴木がいるのだろうか。恐ろしい話だ。
では、『ブリタニカ国際大百科事典』から、見ていこう。
〈スズキ Lateola bray Japonica
スズキ目スズキ科 体は側偏しやや細長い。全長60cmをこえる。体の上面は鉛青色で下面は白色。沿岸の浅海にすみ、ときに川をさかのぼる。川口付近で産卵する。幼魚は淡水中で生活し、のち海に入る。成長とともに各地で呼び名が変わるため“出世魚”といわれ、幼魚はセイゴ、次にはフッコやトウといわれ成熟してスズキと呼ばれる。肉食性。北海道以南に多く分布する〉
『万有百科大事典』の「動物篇」にも詳しく出ていた。大体同じだが、『ブリタニカ』に出てないとこだけを紹介しよう。「魚、エビなどを捕食する。生育年齢によって、各地のよび名が異なるので出世魚とよばれている。東京付近では、25cmぐらいの1歳魚をセイゴ、40cmぐらいの2〜3歳魚をフッコ、60cm以上の4歳魚をスズキとよび、霞ケ浦では幼魚をヒカリコ、石川県、大阪府、広島県では30cmのものをハネとよぶ〉
どんどん大きくなっては名前を変えるし、食べるのも魚やエビだし、肉食系だ。
さらに、その攻撃性、獰猛性から「海の狼」と呼ばれている。
でも、これは出ていない。10冊くらい百科事典、魚事典、動物の名前の由来事典…を調べてみたが出てない。
そうか。ネットに出てたのだ。だから、今ひとつ、分からないが、紹介しよう。
ある詩人が言っていた。「日本語では“海”の中に母がいる。しかしフランス語では、母の中に海がある」と。
まず、日本語だ。「海」という字は、左がサンズイだ。右の下は母だ。海の中に母がいる。
次にフランス語だ。La meroが母。La merが海だ。母の中に海がある。胎児が羊水の中で暮らしているのは海にいるようなものだ。
大昔、生物は海に生まれ、そこから陸に這い上がって進化してきた。その長い長い過程を10ヶ月に短縮して追体験しているのだろう。
魚から人間になったのだ。スズキから人間に成長した。ここでも出世魚だ。
さて、この「母と海」の関係のに似てるが、フランス語で狼はloup(ルー)と言う。そして、魚のスズキのことを「loup de merp(海の狼)」というそうだ。
これは、ウィキペディアに出てた。百科事典では見つからなかった。この「海の狼」も、決して一般的ではなく、プロヴァンス地方の言い方だという人もいる。
私は、1974年に産経新聞をクビになり、1975年に『腹腹時計と〈狼〉』(三一新書)という本を書いた。それから、「新右翼」と呼ばれるようになった。〈狼〉と呼ばれるようになった。
でも今は、さらに成熟し、〈羊〉になった。これも出世魚なのだろうか。
夕方、毎日新聞社に行く。6時半から。毎日メディアカフェで。〈毎日映画社秘蔵フィルム上映会〉。第2回〈安保で揺れた時代〉。貴重なフィルムだった。
又、「よど号」や「連赤事件」を取材した加藤順一さんが解説してくれた。満員だった。なかなか見る機会のない映像で、興味深かった。
終わって、皆で、懇親会。貴重な話を聞けました。
そのあと7時、終わって、急いで松木けんこうさんのパーティに行く。都市センターホテルで行われた「松木けんこう君を励ます会」だ。
国会議員や報道関係の人も沢山来ていた。私も挨拶をしました。
舞台写真、世界の子供たち、そして、左右の運動現場の写真もある。役者たちとの出会い、感動についても語ってくれた。
又、平早さんは、野村秋介さんの写真も随分と撮っている。その展示会もやってほしいし、写真集も作ってほしい。
終わって駅前の店で打ち上げ。椎野礼仁さん。長野の平田君。和歌山の下中さんなども来てました。夜、遅くまで話し合いました。
①福島みずほさんとの対談『戦争を通すな!』(七つ森書館)の見本誌が送られてきました。1500円です。来週、全国書店で発売です。本の帯にはこう書かれています。〈ノー・パサラン! 奴らを通すな! ファシズムの台頭に対抗して、市民は立ち上がった。平和という名の新たな戦争を、絶対に許してはならない、と〉。
⑩「電撃ネットワーク」の南部虎弾(とらた)さんと。久しぶりです。南部さんは高崎経済大を卒業したインテリです。前に「電撃」を見に行ったら、いきなり舞台に上げられて、プロレスラーの安生さんと一緒に布団圧縮袋に入れられ、空気を抜かれました。「ギャー!」と叫んで暴れました。死ぬかと思いました。
⑪作家の大下英治さんと。「『“憂国”事件の男たち』(青志社)を買って読みましたよ」と言ったら、「あっ、ゴメン。送ろうと思ってたのに」と言ってました。最近の一水会の事などもいろいろと聞かれました。「又、講演して下さいよ」とお願いしました。この日のパーティの石川会長は、大下さんに紹介されたんです。右翼の人に紹介されたのかと思ってたら、違ってました。
⑫9月19日(土)。〈戦後70年に問う! 大西巨人『神聖喜劇』。戦争とは何か? 人間とは何か?〉のシンポジウムに出ます。それで今、再読しています。前はサッと読んだので。『神聖喜劇』は光文社文庫で全5巻です。1冊が600ページほどあります。〈21世紀に問う「不滅の文学」〉と、本の帯には書かれています。昔、読んだ時には分からなかったことが、理解出来ます。新しい発見もあります。シンポジウムが楽しみです。
⑮9月7日(月)。調布市の「ギャラリーみるめ」に行きました。畑中純展「純とみんな・宮沢賢治」を見て来ました。畑中さんにはとてもお世話になりました。亡くなった後も、こうして個展が開かれてます。 今年は、「宮沢賢治の世界」に絞っての展示です。賢治だけで版画が500枚以上あると言います。その前で写真を撮ろうとしたら、奥さんから「純さんも一緒に撮って」と写真を手渡されました。2人で撮りました。
⑯9月9日(水)正午。参議院・安保法制特別委員会委員長の鴻池祥肇さんに会い、「安保法制反対」の建白書を読み上げ、手交しました。山口祐二郎氏、木村三浩氏と共に私も行きました。「首相に伝えます」と鴻池さん。そのあと、じっくりと話し合いました。
⑲鴻池さんは早大の剣道部出身なんです。私より3才上でした。剣道6段です。「お孫さんと一緒の写真ですね」と言ったら、「左の子が今、ここれに来てます」。エッ、大きい。大学生でした。ということはこの写真は、20 年近く前のものなのか。
⑳珍しいお菓子を出してくれました。写真を撮ってから食べました。「切腹最中」。凄いですね。腹を切って、中からアンが出てるからでしょう。「でも、議員に送ると誤解される」と言います。そうですね。けしからんと思ってる議員に送ったら、「脅してる」と思われるでしょう。
㉒木村三浩氏。田城かおるさん、井筒さん、鈴木。実は、鴻池さんと別れて、廊下に出たら、田城さんの秘書にバッタリ会った。「今、井筒さんが田城の部屋に来てます。紹介しますよ」と。それで、田城さんの部屋に行ったのです。さらに、このあと、エレベーターで竹本直一さんに会いました。さらに、木村氏と、鳩山由紀夫さんの事務所に行きました。そこで皆と別れて、私は毎日新聞社へ。
㉚9月10日(木)。新宿センターホテルで「松木けんこう君を励ます会」が開かれました。松木さんは今、「維新の党」。今、分裂騒ぎになっている。あれだけ議員がいたのに、全く惜しい話だ。松木さんの立場、覚悟も聞いた。