久しぶりの名古屋でした。6月11日(土)、飛松五男さんと講演会をしました。午後2時からです。
その前に、名物書店に行きました。午前10時に名古屋駅に着いて、皆で地下鉄に乗って、千種に降りて正文館に行きました。
大阪のジュンク堂難波店の福嶋店長に紹介されたのです。「あそこは素晴らしい。ぜひ行ってみて下さい」と勧められました。
確かに素晴らしい書店でした。
普通なら、「売れ筋」のハウツー本や、ベストセラー、人気の推理作家の本などを中心に店頭に並べるのに、ここは違います。
私の本などもありました。ありがたいです。そして、思想的な本も。そこかしこにあって、「ほら」「これは何だ」と若者も手に取ります。そんな感じのお店です。
2階では時々、トークをやってるそうです。「明日は呉智英さんです」と店長が言う。
いいですね、こういうコアな講師を呼んで話してもらうなんて。
本屋でかなり時間を過ごし、店長さんともゆっくり話し、それから、又、地下鉄に乗って金山へ。
確かここは金山体育館があったところだな。昔、UWFのプロレスをよく見に来たな。と呟いていたら、岩井さんが、「エッ? わざわざプロレスを見に来たんですか」と聞く。
そりゃ、来るよ。前田日明が出てたし、高田もいたし、佐山、船木もいたし…。
でも体育館は見当たらない。もうないのかな。
でも、会場は、駅前の都市センターだ。市でやってるビルなのか。
不思議なことに、ここには美術館も入っている。
「名古屋ボストン美術館」だ。名前が変わっている。アメリカにあるボストン美術館と連携したものだ。早い話、〈支店〉だ。
だから、アメリカの本店から借りてきたものが多い。
「あれっ? ここ来たような気がするな」と言ったら、岩井さんが、「前に、大学に来た時、帰りに寄りましたよ」と言う。
あっ、そうだったのか。この都市センタービルの上の方は会議室だが、下は美術館だ。1階のフロアーにも、巨大な絵が展示してある。ゴーギャンだ。
だから言ってやった。「私も今、これと同じものを描いてるんですよ」と。
飛松さんと岩井さんが、驚いて聞く。「えっ、絵を描いてるんですか?」と。2人とも、怪訝な顔をしていた。
ここで写真を撮った。飛松さんも私も。このゴーギャンの絵を見て、皆、分かるでしょう。「あっ、見たことがある」と。
でも、この絵のタイトルを即座に答えられる人はなかなかいない。だって長いのだ。やたら長い。
タイトルはこれだ。
〈我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか〉。
どうです。長いよね。「それとお前の本と、どう関係あるんだ!」と言われるだろう。「われわれ」を「鈴木」に変えて、本のタイトルにしようとしてるのだ。札幌の柏艪舎は。私がどんどん、左傾化し、初心を忘れ、変節しているのでは…と言われる。鈴木はどうしたのか。もうダメか。…という疑問や批判に応えようという本だ。
ゴーギャンにならって、私の本のタイトルも長い。
〈鈴木邦男はどこから来たのか? 鈴木邦男はなにものなのか? 鈴木邦男はどこに行くのか〉
これがタイトルだ。今、この本を作っている。柏艪舎からもうすぐ出るだろう。
鈴木邦男の⑴過去、⑵現在、⑶未来だ。果たして「未来」はあるのだろうか。
タイトルが長過ぎるから、⑵だけにして、「鈴木邦男の本音」にしよう。という案もある。
あるいは、⑶だけにして、「鈴木邦男はどこに行くのか」にしようか。…と、いろいろ、案があり、まだまとまっていない。
この本の出版そのものが、どこから来てどこに行こうとしているのか。うん、それにしよう。
飛松さんとの話は、とてもよかったですね。
NPO「まなびや@KYUBAN」の川口裕有子さんが主催してくれて、主としてヘイトスピーチにどう対応するか。について話し合いました。
この都市センターの会議室は使いやすいし、今まで名古屋で何回もやったけど、ここが一番いいですね。
じゃ、川口さんにお願いして、2ヶ月に1度、ここでやりましょうと、私は主張しました。だから多分、そうなるでしょう。
名古屋近辺にも、知っている先生たちもいるし、声をかけて来てもらいましょう。
そうだ。この日、岩波ブックレットの『〈愛国心〉に気をつけろ!』を20冊持って行きました。
そしたら、全部売れてしまいました。こんなことは今までないです。
1冊が580円と安いからでしょう。2500円の本なら、5冊も売れないでしょう。
「ダメじゃないですか。もっと持ってこなくては」と岩井さんたちに叱られたほどです。
大きな本屋では、どこでも岩波ブックレットのコーナーがあります。そこで平積みにされてます。
表紙の上には、〈岩波ブックレットNo.951〉と書かれてます。
もう、そんなに出てるんですか。全部読むのは大変ですね。でも、全巻読破に挑戦して成功した人もいるんでしょう。
本の最後のページには、〈「岩波ブックレット」刊行のことば〉が載っている。
経済、政治、教育、核…と、人類の危機にあって、出版人として、「正確な情報とその分析、明確な主張を端的に伝え、解決のための見通しを読者と共に持ち、歴史の正しい方向づけをはかることを、このシリーズの基本の目的とします」と書かれている。
最後には「1982年4月 創刊にあたって」と書かれている。
そうすると、創刊して34年か。その間に951冊だ。1年に28冊。月に2冊以上出してるんだ。
「刊行のことば」の下に、〈岩波ブックレットから〉という案内が出ている。
この本を読んだ人は、さらにこんな本も読んだら、どうでしょうね。という案内だ。
No.889「ベアテ・シロタと日本国憲法」。これは是非読まなくちゃ。
No.885「日本人は民主主義を捨てたがっているのか?」。想田和弘さんだ。これは読んだ。この人とは対談もしている。
No.923「安倍政権とジャーナリズムの覚悟」(原寿雄)。
No.933「「テロに屈するな!」に屈するな」。これは読んだ。
そして、最後の2冊も読んだ。
No.721「使える9条」。
No.826「未来に語り継ぐ戦争」。
そして、アッと思った。この2冊は読んだだけじゃない。私も書いてたんじゃないのかな。そう思って手に取ったら、確かに書いていた。
そうか。「岩波ブックレット」は、初めての体験かと思ったら、もう前に、書いてたんだ。1人で全部、書くのは初めてなんだ。
じゃ、「岩波ブックレット」のその3冊を紹介しよう。
⑴No.721。マガジン9編『「使える9条」=12人が語る憲法の活かしかた=』。
2008年4月9日発売。800円。143ページで、半藤一利さん、永井愛さん、鎌仲ひとみさんなど12人が書いている。私もその中に入っている。ありがたいです。
4番目に私が書いている。
〈愛国とは、強要されるものじゃない〉。これがタイトル。そして、こう書いている。「本当は外に対してはへりくだって、弊国、 愚国と呼ぶくらいでちょうどいいのに」。
そうか。8年前に書いたこの本を進展させて、今年出した、『〈愛国心〉に気をつけろ!』になったんですね。
⑵No.826『未来に語り継ぐ戦争』。2012年8月15日発売。560円。71ページ。〈老若世代14人が語り合う7本のシリーズ対談〉。
これは東京新聞が毎年8月15日にやっている戦争についいての対談を7本、まとめたものだ。なかなか刺激的で面白い。
7本を紹介しよう。
○むのたけじ×雨宮処凛
○半藤一利×田口ランディ
○品川正治×鈴木邦男
○野上照代×城戸久枝
○飯田進×安田菜津紀
○村井志摩子×稲泉連
○大城立裕×開沼博
私が対談した品川正治さんは、この時、83才。経済同友会終身幹事。経済界の重鎮だ。
戦争体験の話をし、いかに平和が大切で、9条が大切かを力説していた。無知な私の質問にも、丁寧に答えてくれた。とても勉強になった。
対談のタイトルは、「9条の旗はボロボロだけど手放さないでほしい」。
東京新聞本社で対談をやったが、編集長やら局長やら、更に上の人たちも、続々と詰めかけて、聞いている。
「この2人の話は一体、どこへ行くのだろう」と皆、興味津々で聞いている。
やけにギャラリーの多い対談だった。他の対談も、そんな雰囲気の中で行われたのだろう。
この本の帯には、こう書かれている。
〈あの戦争の過ちを繰り返さぬためには、どうしたら良いのか。戦争体験者と戦争を知らない世代、年齢差最大64が語り合う、7本の対談集。東京新聞が2006年から毎年8月15日に掲載したこれらの対談は、過去を直視し、未来に引き継ぐ教訓を得ようとする人びとに、大きな勇気と励ましを与えてくれるのに違いない〉
そうか。4年ごとに出てるんだ、私は。
2008年に『使える9条』。2012年に『未来に語り継ぐ戦争』。そしてその4年後の2016年に『〈愛国心〉に気をつけろ!』だ。
⑶No.951『〈愛国心〉に気をつけろ!』。2016年6月3日発売。580円。71ぺージ。
そうか。「岩波ブックレット」には、随分とお世話になってるんだ。ありがとうございます。
「刊行のことば」にはこう書かれている。
〈読者の皆様が、市民として、学生として、またグループで、この小冊子を活用されるように、願ってやみません〉。
そうだよね。580円と安いんだし、いろんな集まりで使ってもらおう。高木さんの「読書会」とか、大阪の読書会とか。金曜日の読者会とか。
更に、寅ちゃん、貫井さんと3人で、「上高田読書会」を作って、これを読むのもいいな。
そのあと、又、局の車で、新宿の河合塾コスモに送ってもらう。3時からの授業(現代文要約)にちょっと遅れるが、前に言ってたので大丈夫だった。
5時から、「読書ゼミ」。今日読んだ本は。菅野完さんの『日本会議の研究』(扶桑社新書)。今、売れに売れている。それを読んで、生徒と考える。
6時半に終わって、すぐにネイキッドロフトに駆けつける。『東アジアに平和の海を』(彩流社)の出版イベント。〈ザ・ヘイトスピーチ論争。健全なナショナリズムはいかにして可能か〉。
前田朗さん、木村三浩氏、岡田充氏、野間易通氏、山口祐二郎氏、そして私だ。満員だった。熱い論争が展開された。
①6月11日(土)。名古屋市金山の都市センター会議室で飛松五男さんと講演しました。午後2時から。このビルは上が会議室。下が美術館です。1階に入り、エレベーターで会議室に行こうとしたら、この絵が目に付いたのです。ゴーギャンです。絵のタイトルはこんな長いものです。「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」。
「私も今、このテーマで原稿を書いてるんですよ」と飛松さんに言いました。柏艪舎から出ます。『鈴木邦男はどこから来たのか? 鈴木邦男は何者か? 鈴木邦男はどこへ行くのか?』です。
②午後2時から始まりました。主催のNPO「まなびや@KYUBAN」の川口祐有子さんが挨拶し、それから私。そして飛松さんが話し。そのあとは、会場の皆と、「どうしたら差別、ヘイトスピーチをなくせるか」について語り合いました。
⑦知多半島から村瀬さんが来てくれました。60年安保の時の英雄・唐牛健太郎さん(全学連委員長)のいとこです。佐野眞一さんの書く『唐牛健太郎』が、もうすぐ発売されます。そこにも村瀬さんの証言が載ってます。私が2人を紹介しました。
⑨近藤さん。岩井さん。飛松さんがいますね。二次会です。海鮮居酒屋「だんまや水産」です。名前が珍しい。名前の謂れを聞こうと思って忘れてしまいました。ここに来る途中、「宮本むなし」という店もありました。食堂でしょう。それから、「目利きの銀次」という居酒屋もありました。「ホテル・チュチュ」という店も。飛松さん曰く、「ホテルに入ったら、すぐ抱き合ってチュチュするからですよ」「きっとそうでっせ」と皆が。元刑事さんが言うてたから本当でしょう。
そうだ。この「だんまや水産」のトイレに入ったら、目の前に動画が。「的を狙っておしっこしてね! おしっこの量がはかれるよ!」。何だこれは。と思いながら、終わって出ようとすると、「おしっこの量」が表示されました。654mlでした。多いのか少ないのか、分かりません。
㉓6月16日(木)は、テレビ局の車が迎えに来てくれた。本番は1時15分〜2時20分。ハイヤーが待ってました。河合塾コスモへ。「現代文要約」。「読書ゼミ」の授業。
これで終わったと思ったら、ネイキッドロフトがありました。ちょっと遅れて着き、パネラー席に。『東アジアに平和の海を』(彩流社)の出版記念イベントです。
テーマは〈ザ・ヘイトスピーチ論争=健全なナショナリズムはいかにして可能か〉。パネラーの皆さんです。(左から)岡田充さん(共同通信客員論説委員)。木村三浩氏。前田朗氏。鈴木。山口祐二郎氏。野間易通氏。