「三島由紀夫」柄のゆかたを買いました。芝崎るみさんの創作着物「ルミックス・デザイン・スタジオ」で作ってもらったのです。
せっかくだから撮影会をやろうということになりました。
それでカメラマンの平早勉さんにお願いし、撮ってもらいました。
劇団「再生」の人たちも協力してくれ、皆、ゆかたで集まりました。
前に「戦争」柄のゆかたを着て、撮影をやったのは吉原神社でした。
じゃ、そこかな。と思っていたら、「Rumi Rock」のお店が、麻布十番に出ているとのことで、そこに集合。
そして、二・二六事件の決起将校のお墓のある賢崇寺に行く坂道で撮影しました。決起・憂国の時代的雰囲気が感じられる場所で、撮影は行われました。
この時の写真を載せました。平早さん、本当にありがとうございました。
同じく「三島」柄のゆかたを持っている「再生」の俳優・鶴見直斗氏。「再生」代表の高木尋士氏。ミキちゃん。あづさん。なども一緒に撮りました。
同じ「三島」柄の直斗氏とは、「まるで親子ですね」と言われました。親子「三島」ですね。
そこに高木氏が入ると、まるで「三匹の侍」です。あるいは、三島の出た映画「人斬り」かな。そんな雰囲気になります。
この「三島」柄。いろんな絵が入っていて、三島を暗示させます。
大きな赤い薔薇が描かれてます。三島の写真集「薔薇刑」を思い出させます。
又、「聖セバスチャンの殉教」もあります。いくつもの矢を全身に受けて悶え苦しむ聖セバスチャンです。
又、「黒蜥蜴」もあります。
又、意味深な3本の線があり、それらの全てが三島を暗示します。三島文学ファンには堪えられないゆかたです。
芝崎さんのお店は吉原にあります。でも、「今、麻布十番に店を出してるから、その近くでやりましょう」ということになりました。
それで、6月26日(日)に、麻布十番で待ち合わせて、お店に行きました。今、そこを借り切って、「Rumi Rock」〈憂国の森〉をやってます。今まで作った創作ゆかたの数々も展示してあります。
驚いたことに、「自動車」がいくつも描かれた柄もありました。
他に、よく知られたところでは、「田中角栄」柄。鯉や池やブルドーザー、扇子、下駄…などが描かれています。田中角栄だとすぐに分かります。
次に、「龍馬」柄。大海の波があり、船があり、ピストルがあります。それで坂本龍馬だと分かります。
他に、「村上龍」柄もあります。村上の『コインロッカー・ベイビーズ』から取り、コインロッカーや子供も描かれています。
Rumi Rockの作品に興味がある人。ゆかた、着物を注文したい人は以下へ。http://www.rumirock.comです。
他にも、あなたの注文で、好きな絵を入れることもできます。
「自分の一生を描いてほしい」「自分が最も輝いていた時代のことを描いてほしい」と、いろいろ、リクエストも出せます。それも、かなりの格安で作ってくれるのです。
今、卒業式シーズンになると、貸衣装店が大流行りです。
着物、袴などを借りて、写真を撮って、それから卒業式に出て、返すのです。4万円から5万円くらいかかります。
それに比べたら、安いものです。一生、自分のものになります。
これは記念すべきことだからと思い、カメラマンに頼みました。平早勉さんです。
写真をもらいました。とてもいい写真です。モデルよりも、カメラマンの腕がいいのです。アルバムにして、平早さんはくれました。とてもいい記念になりました。
劇団「再生」の高木さん、鶴見さん、ミキちゃん、あづさんなども協力してくれました。おかげて楽しい撮影会になりました。
鶴見直斗さんは、「再生」の舞台でも、よく着ています。役者だから、着方もうまいです。
その上で、三島の「檄」を朗読します。完全に暗唱しています。真に迫っています。〈三島よりうまい〉と私は呟きました。
確かに、市ヶ谷の自衛隊員を前にして演説した三島よりも、うまいです。
そうだ。「ゆかた撮影会」の前々日、6月24日(金)に、劇団「再生」のお芝居がありました。高野悦子さんの『二十歳の原点』です。
この日は、高野さんの命日なんです。素晴らしい舞台でした。この時も平早さんが撮ってくれました。
この舞台の前には、高木尋士さんと私のプレトークがありました。
なんと、タイトルは、「読書の功罪」でした。本を読むことの「功」はわかる。全て、功だろう。
ところが「罪」があるという。何の罪だ。
高木氏の体験だ。子供の頃から、本を読むと危ない。死んでしまう、と言われたという。
太宰治などの本を読んで、アッと魂を持っていかれる。死なんて怖くないと思ったりする。
本を読む時に人は、そこに自分を投入する。
初めは、そこには取り込まれないぞ! と決意固く読んでも、引き込まれる。左翼の人が、獄中に入り、時間があるから、普段読まない宗教や哲学を読む。あるいは和歌をやったりする。どんどん、宗教や日本主義に引き込まれる。
塩見孝也さんなんかは、親鸞を読んでみたいと思ったが、そんな場所で一人で読んでたら心が持っていかれそうだと思って、やめたそうな。
それだけ読書の力は大きいのだ。
私だってそうだ。初めは「左翼をやっつけるため」に武器として読書をした。
右っぽい人は、そのまま武器として。左っぽい人は、どこかに欠点を見つけて、攻撃するために読んだ。
しかし、どうしても欠点の見つけられない人がいる。こっちの方が説得されそうになる。
パタンと本を閉じ、「危ない!」「危ない!」と思う。そんなことはよくあった。
今は、「説得されてもいいや」と思って読んでいる。だから自分の頭の中で、何十%が右で、何十%が左か、分からない。それもいいだろう。
本は最大のオルグかもしれない。右や左や、市民運動の…。
それから、「あの世界」からのオルグでもある。「太宰治は読んじゃダメ! 自殺するから」。と、親は心配して言うのだ。
6月24日(金)劇団「再生」の芝居を見る。高木さんとトークをする。「読書の功罪」について。
本は、生きてる人が、自分の思想、立場を表明するために書く。と同時に、死んだ人も、仲間を増やしたくて、書いてるのかもしれない。
太宰治なんて、そうじゃないか。太宰を熱狂的に読んでると、「あっ、死んでもいいんだ」と思ってしまう。それは怖い。注意しなくては。
又、自分と反対の立場の人から、オルグされることもある。
昔は、それが怖かった。確かに、今は、まあいいや、と思っている。ひっくり返されるのなら、ひっくり返してみろよ、と思う。
それが柔軟な読書なんだろう。それで言うことが変わったら、それでもいい。
血盟団事件の小沼正は、「日本精神は左だ」と言っていた。これは、高木氏が質問していた。
覚悟を持った読書からしか真理は生まれない。死の恐怖のある読書こそが本当の読書なのか。
太宰治の小説は暗い。読んでいて「死んでしまいたい」と思う。そういう人を狙っているのだ。
危機の時代、若者は命をかけて政治運動に飛び込む。怪我をしたり、死んだりする人もいる。太宰にオルグられたのかもしれない。
又、高野悦子のように、太宰が好きで好きで、それで、持っていかれた人もいる。もったいない。太宰と闘わなくてはならない。
そうか。荒俣宏の『帝都物語』に出ていた加藤は、太宰かもしれない。だから、第7巻、8巻には三島由紀夫、森田必勝も出てきて、加藤と闘うのだ。
これ以上、本でオルグして若者を死なせるな! と叫んでいるのかもしれない。
「三島」柄のゆかたを着てる人は、太宰とも闘わなくてはならない。
今週は、三島、高野悦子、そして、闘う写真家・福島菊次郎と出会った。
福島さん、この人も凄い人だった。もう生死を超えている。何度も襲撃され、家に火をつけられ、それでもやめない。
「自衛隊を写させてくれ」と言ったら、「軍事機密もあるので、それは撮らないでくれ」と約束させられた。
福島さんは、誓約書を書いた。「これは軍事機密だから撮らないでくれ」と言われたことが何度もあった。
「分かった、分かった」と言って、カメラは肩からフワリとぶら下げておいた。
しかし、巧みにシャッターを切った。見ないで、見当だけでシャッターを切った。
さらにそれを発表した。防衛庁は激怒し、福島さんを呼びつけた。「何だ、約束を破って。訴えるぞ!」と。
福島さんは少しも騒がず、言った。憲法の約束を破って自衛隊を創ったのはあなたたちではないか。だから、それを告発するためなら、法律を破ってもいいんだ! 凄い。向こうは憲法裁判になったら 大変だと思って、やめた。
しかし、そのあと、何人かの暴漢に襲われ、家に火をつけられた。
考えは違っても、その信念、覚悟は凄い。ぜひ、対談をしよう、ということになった。福島さんは承知してくれた。
約束の日、月刊『創』の編集長とカメラマンを連れて行った。
ところが、ここで、フラッシュバックが起きた。昔、反戦写真展をやって、右翼に襲撃され、写真展を壊された。これを思い出した。
「だから、右翼とは対談できない!」と言い出す。私は何もしてないのに。
しかし、言い出したら聞かない。
その後、何回か会ったが、ダメだった。「しかたない。山口まで行きますよ」と言った。
でも、亡くなってしまった。何とも残念だ。「実は、対談はやっていたんだ!」と言って、自分で書いて出そうか、とも思ったが、やめた。
相手が不法なものなら、法を破ってもいいと言って、自衛隊と闘ったが、その福島さんに、その論理は通らないだろう。残念ながら、あきらめるしかない。
三島のゆかたを作ったら、そんなことが、ドッと襲ってきた。三島になって、三島の頭で考えられるようになったのだろう。
あなたも、試してみたらいい。
他にも、田中角栄柄、村上龍柄等々、沢山ある。太宰治柄でもいいかな。あるいは、見沢知廉柄とか。
思いもよらない発想ができるし、世界が全く違って見えるだろう。
①〜③創作着物工房「Rumi Rock」で、「三島由紀夫」柄のゆかたを作ってもらいました。素晴らしいです。これはいい記念になるので、カメラマンの平早勉さんに頼んで、写真を撮ってもらいました。るみさんに着付けをしてもらい、それから、麻布十番で撮りました。黒い素地の中に、真っ赤に大きく咲いた薔薇。そこに矢も…。三島の代表作「薔薇刑」をイメージしています。他にも、「黒蜥蜴」「聖セバスチャンの殉教」などを暗示する絵があります。探してみて下さい。身体もキリリと締まり、心も締ります。サムライのようです。
⑧6月24日(金)。劇団「再生」のお芝居「二十歳の原点」が、6月24日、25日に上演されました。24日(金)は、公演前に高木さんと私のプレトークが行われました。テーマは〈読書の功罪〉でした。
高木氏が手に持って掲げているのは、『滅びゆく日本へ=福田恆存の言葉』(河出書房新社)です。「これはいい本だ!」と感動してました。高木氏の膝の上にあるのは、私の『〈愛国心〉に気をつけろ!』(岩波書店)です。
⑫伊藤正福さんが見に来ていました。北一輝の研究家です。『北一輝のための終わりなき戯曲』(新潟日報)。そして文庫本の『北一輝のための終わりなき戯曲』(文芸社)を出版しました。2冊をもらいました。本を手にして、一緒に写真を撮りました。
⑰この映画を撮った監督・長谷川三郎さんも写真展に来ていたので撮りました。この映画の上映トークの時、会いました。銀座です。「初めまして」と言ったら、「私、昔、一水会のドキュメントを撮ったことがあるんです」と言う。在日の若者が、両方の国の「愛国心」に悩み、一水会を訪ねて入会する。そして、先輩たちと話しながら、「初めての街宣」をするまでのドキュメントだ。実にいい。