7月23日(土)は、大阪に行ってきた。
あの「和歌山カレー事件」から18年だ。
大阪天満橋の「エル・おおさか南館10F」で、集会が開かれた。
〈和歌山カレー事件を考える人々の集い〉だ。
〈和歌山カレー事件再審請求のいま。そしてこれから。パートⅡだ。
京都大学河合潤教授の講演がある。再審請求弁護団の報告がある(現状と課題)。安田好弘弁護士、飛松五男さん(元兵庫県警刑事)の報告がある。そして、私の挨拶もある。
「林眞須美さんを支援する会代表」なのだ。全国から多くの人々が集まり、熱い集会になった。午後2時から6時まで。
そのあと場所を移して二次会。そちらも活発な報告、提言が出た。
私は最終の新幹線で帰った。
〈林真須美さんは、獄中から無実を訴え続けています〉と、チラシには書かれている。
集会の壇上には、「林眞須美さんは無実だ!〉と大きく書かれている。
河合潤教授は果敢に闘っている。弁護団も新たに若いメンバーが増え、闘っている。
和歌山駅頭では毎週、情宣も行われている。
この日の集会にも多くのマスコミの人も来ていた。その人々に、「林さんは無実だ」と訴えたのだ。
あの事件が起きたのは18年前だ。1998年7月25日だ。
和歌山市園部の自治会の夏祭りで住民の人たちによりつくられたカレーを食べた人たち67名が病院に搬送され、4名が亡くなるという事件が起きた。
初めは、集団食中毒事件かとも言われたが、「何者かがヒ素を入れた殺人事件」だと警察は発表し、林眞須美さんが逮捕されたのだ。
新聞やテレビでは、これを受けて、「犯人は眞須美だ」「犯人は彼女しかいない」と報じた。
家のまわりに集まるマスコミ人に対し、怒ってホースで水をかけるシーンは毎日、放映された。
又、町の人からいかに嫌われていたか。
ヒ素を持っていたし、それを使って保険金詐欺事件を起こしている。
「こんな悪い奴はいない。殺人だってやっているはずだ」と書きたてた。
確かに、詐欺事件はやっていたし、その刑は受けている。
マスコミへの対応にしても、丁寧ではない。「いい人」ではない。
だからといって、そんな人間だから「殺人もする」とは言えない。
眞須美さんの旦那さんが言っていたが、「保険金詐欺で大金を得た。だからこそ、一銭にもならない殺人なんかするわけがない」と言っていた。
妙に説得力のある言葉だと思った。
それに、眞須美さんは一貫して否認している。
又、具体的な証拠は何もない。
でも裁判所は、死刑を宣告した。彼女は「死刑囚」として収監されている。
再審請求弁護団は、これらの一つ一つについて、反証をあげて、闘っている。
例えば、林さんらしい人が、カレーの鍋にヒ素を入れた。それを目撃した人がいる。
しかし、調べてみると、当時は、公園との間に大きな木があって、実際には見えない。
又、「眞須美さんの家で見つかったヒ素と事件で使われたヒ素は同じだ」という中井泉鑑定も、最近になって、河合潤京大教授が見直した結果、
この検察側中井鑑定には、間違いやごまかしがあること。その二つのヒ素は「異なる」ことが明らかにされている。
でも、なぜ、ヒ素があったのか。それだけでも疑われる。
ただ、和歌山では、害虫駆除のために、ヒ素はかなり使われている。そんなに珍しいものではない。
日常的にあるものだからこそ、林さんも「保険金詐欺」の道具として使っていたのだ。
又、ヒ素はどれも全く同じだと我々は思っているが、全然違うんだそうな。その構造や構成が全く違うという。そのことを河合教授は立証した。
このことに関して検察は何一つ反証できずにいる。
「他にいないだろう。こんなことをする人は」と人々は言うかもしれない。
だからといって、林さんを「犯人」として捕まえてもいいものではない。弁護団はその点を強調する。
又、安田弁護士も言うし、弁護人も言う。自供もないし、証拠もないし。
それでもなぜ釈放しないのか。検察のメンツなのか。
あるいは「危ない事件」については、ともかく犯人を逮捕しいてるという姿勢を見せるためか。
世田谷、八王子の事件にしても、犯人逮捕に失敗すると、「あんなことをやれるのは、外国人だ」と言い出す。
たとえ犯人が捕まらなくても、「こんなことは日本人はやらない。外国人の仕業だ」と警察は言い、マスコミは書き立てる。
外に目をそらせて、「そうだ、日本人はやらない」と安心する。
又、自分たちの無力を弁護しているのだ。
〈未解決事件〉の多くは、外国人がやって、すぐ逃げて、国外脱出した。だから捕まらない。…ということで、外国への憎悪の目を向けることで、「だから捕まらないのだ」と言う。
しかし、飛松さんは、「いや、未解決事件の半分以上は警察官か元警察官が犯人だ!」と言う。元刑事だけに説得力がある。
カレー事件についても「ここがおかしい」と、いくつかの点を挙げて説明する。実に説得力がある。
近々、和歌山に行って、飛松さんに〈現場〉の解説をしてもらおう。
もう林さんの家もないし(放火された)。公園もない。
でも、イメージで再現できる。そこで、飛松さんに現地で解説してもらい、ビデオに撮る。
それを資料にして、又、和歌山か大阪で集会を開く。
新聞社かテレビ局がやってくれたらいいのだが、なかなか乗ってくれない。
私が飛松さんに聞いて、ビデオを撮りたい。だから、次の「カレー事件」の集会は、眞須美さんの冤罪を晴らすものとして、グンと近くなると思う。
この集会のあと、場所を移して、二次会をやり、今後の対策について、随分と話し合った。
そして、最終の新幹線で私は帰京した。
そうだ。この日は、かなり早く大阪に着いた。
午後2時から集会なのに、午前10時15分に新大阪に着いた。
東京は7時40分発だ。早い。
なぜ、そんなに早く新大阪に行ったのか。
実は、「飛松組」で、船に乗るためだ。
カレー事件集会のエル・おおさかは、天満橋にある。
その向こう側から、「ダック」が出ている。これを発見した人がいたんだ。
ダックとは、世にも珍しい、水陸両用バスだ。写真を見てくれたら分かるが、普通のバスだ。
それが、大阪市内を観光する。さらに、川に入るのだ。
ドッと水しぶきが上がる。そして、しばらくは「船」として走る。
ただし、運転手は替わる。陸と川では免許が違う。
川を船として走り、しばらくして又、陸に上がる。凄い。
さらに、翼を出して、空を飛ぶ。
「それはありません。007じゃありませんから」と言っていた。
でも、ジャッキーチェンの映画では、ホーバークラフトが、そのまま陸に上がって、疾走するのがあった。
あれも、できるはずだ。日本でも観光でやったらいいのに。
この「水陸両用バス」は大阪にしかないと思っていた。
ネットで調べたら、天満橋から出ている。
時間を調べたら、午前中の便がある。「よし、これに乗ろう!」と皆に声をかけたのだ。
この日は、いくつかのグループや家族連れが乗っていた。
乗る前に、写真を撮ってくれる。「どちらからですか」「どんなグループですか」と聞かれる。
我々も「どんなグループですか」と聞かれたので、「警察関係です!」と言ったら、向こうは黙ってしまった。
飛松さんは元刑事だし、他の人も、警察の対象になってる人が多い。寅ちゃんは冤罪事件で闘ってるし。
そうだ。寅ちゃんは、この日、新幹線で来ない。
おかしいなと思ってメールしたら、前の日の夜にバスで出たそうな。
早朝に着いたが、天満橋までは着かない。大変だ。
バスは安いが、疲れる。1千万以上の年収を取ってるくせに、時々、貧乏人のマネをするから困る。
でも、残業して、こうした旅費をためている。又、月に5万円以上、本を買っている。偉い。
それに感動したので、私は、新しいカバンをあげた。「カバン贈呈式」をやった。
ところで、水陸両用バス「ダック」だが、今は、いろんな所にある。
東京にもあるらしいし、諏訪湖、琵琶湖にもある。ハウステンボスにもある。
よし! 全国のダックを全て制覇しよう! と思った。
次は諏訪湖だな。平田君!
このダックに皆、感動していた。「じゃ、来年も、カレー事件の日はこれに乗りましょう!」と言っていた。いい体験をした。
冤罪で苦しんでいる人の救援集会なのに、我々は遊んでていいのか。と言う人もいたが、我々も、陸や川を越えて、発想を転換して、闘いに挑まなくてはならない。そんなことを考えたんですよ。
そして、エル・おおさかで、集会に出て、皆で発表し、二次会に出て、夜、東京に帰った。
帰って、たまっていた仕事をやってたら、朝になった。
翌、7月24日(日)は、朝9時の羽田発だ。7時に家を出た。寝てる時間がない。
札幌からレンタカーを借りて、私が運転して、富良野に向かう。
北海道の真ん中だ。「北の国から」の舞台になった所だ。
今、ちょうどラベンダーが真っ盛りだ。
30年前、運動仲間とここに来た時に見た。それが忘れられなくて、今度、来たのだ。「彩香の里」「ファーム富田」「ラベンダーの森」などに行く。
だだっ広い所にラベンダーが咲いている。巨大な絨毯をひいたようだ。思わず息を飲む。
昔と違い、ちゃんと「見る所」が用意されている。前は、道端にあったような気がしたが、今は、広大な畑、広大な山、そこら一面がラベンダーだ。
そして、「ラベンダーソフトクリーム」「ラベンダーサイダー」を飲み、メロンを食べました。
水陸両用バスとラベンダー。とても心が洗われる思いでした。
カレー事件も、冤罪が晴れ、林さんが出られるように、頑張りましょう。
飛松さんと一緒に和歌山に行って、仕掛けますよ。
それと、寅ちゃんにも声をかけてもらって、河合さん、弁護士さんたちと、大反抗の闘いをやりましょう。
⑧カレー事件の集会の前に、行ってきました。午前中に集合し、「飛松組」でバスに乗ります。後ろのバスですが、陸を走るし、さらに川に入り、川も走ります。水陸両用バスの「ダック」です。前から乗りたいと思ってたんです。乗り場が「エル・おおさか」の向いだったので、これは…と思ったのです。
⑬7月23日(土)は、大阪から最終の新幹線で東京に帰りました。そして、仕事をして、ほとんど寝てません。翌、7月24日(日)、朝一番の飛行機で札幌に行きました。レンタカーを借りて、富良野へ。「ラベンダー畑」を見ました。凄いです。きれいです。
⑱次の日、7月25日(月)帰ってきました。羽田からバスで新宿に着いたら、都知事候補が沢山集まって順番待ちをしてました。新宿西口は、人が多いからです。上杉隆さんも頑張ってます。さらに、山口敏夫さん、幸福の科学の人、NHKをぶっ壊せという人…いろいろです。
⑳7月27日(水)午後7時、「学び舎遊人」で、「対論!考・安保法制」。今回は新実徳英さん(作曲家)と、島薗進さん(宗教学者・上智大学教授)で、〈日本は今、全体主義へと向かっているのか〉。島薗さんの本は随分と読んでるし、ぜひ聞いてみたいと思っていたので、出席しました。とても勉強になりました。
㉔7月28日(木)、BS朝日の「激論!クロスファイア」に出演する。田原総一朗さん、青木理さんと。テーマは「日本会議」でした。青木さんは『日本会議の正体』(平凡社新書)を出したばかりです。もう6万部売れたそうです。
㉖60年安保の英雄、全学連委員長・唐牛健太郎さんの評伝が出ました。佐野眞一さんの書いた『唐牛伝=敗者の戦後漂流』(小学館)です。これは素晴らしい本です。こんな男が日本にいたのかと驚きます。私も晩年、お会いしてます。
㉗朝日新聞(7月24日(日))の書評欄に出てました。鈴木宏三氏の『三島由紀夫 幻の皇居突入計画』(彩流社)の書評が。原武史さんが書いてました。なかなかよかったです。「理想としての天皇を守るとは」です。