2016/08/15 鈴木邦男
天皇陛下のお気持ち表明と生前退位
亀山社中記念館で
龍馬のピストルが
「龍馬通り」なんです
岩崎弥太郎のコーヒーです
日本二十六聖人記念館
二十六聖人の前で
①「そうじゃない。違うんだ!」と陛下が
8/8は号外が出ました
天皇陛下は8月8日(月)、午後3時より、象徴としての在り方や公務についてのお気持ちをテレビを通じて表明されました。「生前退位」への強いご意向を示されました。
このご放送のあと、天皇陛下のお仕事、象徴、皇室典範…などについて、政府、議員、学者、評論家などが意見を述べておりました。
街を歩いていたら、何と、号外が出ておりました。「生前退位強いご意向」と大きく書かれていました。これは産経新聞の号外です。
およそ10分間の「お気持ち」の中で、身体の衰えについてこう述べられています。
「既に八十を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています」
亀山社中の跡で
これが一番大きな理由だと考えられていました。
「生前退位」のご意向は、かなり前から宮内庁の人達にも言われていたそうです。
宮内庁の幹部たちは驚き、思いとどまってもらおうと、必死で言ったそうです。
「これまでの陛下のなさりようで、国民は知っています。公務をされずに形だけの天皇になられたとしても異を唱えるものなどいません」と。
「形だけの天皇」というのは極端な表現だが、でも、公務は大幅に減らしてもらった方がいい。日本に天皇陛下がいて下さるだけでありがたいのだから。
と、僕なども思ってました。政府にしても多くの国民にしても同じ思いでしょう。
ところが陛下は、「そうじゃない!」とぴしゃりと、言われたそうです。
アッと思いました。これほど象徴としての公務を厳しく考えておられたのかと思いました。こう言われたのです。
龍馬の像の前で
「そうじゃない。違うんだ。象徴としての務めを果たせないなら退くべきだ」と。
「形だけでも」「いて下さっているだけでも」と甘く考えていた我々はピシャリと否定されたのです。
健康な時に、全身全霊を以ってやった公務と、体調を崩して「全身全霊」とは言えなかった時の公務では、違いが出る。「公務が不平等になる」。
そう言われるのです。凄い決意ですね。
「お仕事を減らしてあげたら」「形だけでも」「おられるだけでもありがたい」などと我々は言いますが、それでは全くダメだと言うのです。
これは「闘う天皇」です。「元首」という規定よりも、ある意味「象徴」の方が厳しいのかもしれません。
今までなかった。陛下が自ら象徴になることによって作り上げてきたものだからです。
それは、「おことば」の中にも言われています。
②「象徴」とは何か、を考えてきた
「長崎チャンポン」発祥の店・四海樓
「私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じても来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました」。
こうした行動があって初めて象徴なのだ、と言われてます。
形だけのものであったら、退位したほうがいい。
そういう厳しい決意と覚悟をもっておられるのです。
チャンポンとギョーザを食べました
政府や国民の側が、「じゃ、ご公務を減らして」などと考えるのは、余りに失礼な話なのです。
それと、陛下は自らのお身体の心配をしてるのではありません。
これからの日本の、そして皇室の長い歴史のことを考えているのです。
だって、これは驚きでしたが、代が替わる時に、余りにも長い間、重い殯(もがり)の行事が続き、国民の暮らしにも大きな影響を与えることを心配しているのです。
あっ、そうなのか。ご自分のお身体のことではなく、こうした将来のことを心配されていたのか。と思いました。
ちょっと長いですが引用です。
映画を撮りました
「天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります」
西村修平氏と
これには正直驚きました。
こう言う長いタームで、皇室と日本のことを考えておられ、心配されていたのです。
ご自分の病気や、体力の衰えの問題ではなかったのです。
あえて、「殯(もがり)」の行事を持ち出して、「これでいいのか」と国民に問いかけたのです。
排外主義化し、右傾化する政府に対してではなく、テレビを通し、国民すべてに訴えたのです。
「これは平成の玉音放送だ」と保阪正康さんは言ってました。東日本大震災に続いて二度目です。
「事にあたっては、時として、人々の傍らに立ち…」というお覚悟と決意を示されたのです。
それだけ〈象徴〉という存在は重いということでしょう。
そして、長い眼で見て、皇室と日本の将来を考えるのだと言います。
一水会フォーラムで。長谷川煕さん
木村代表。長谷川さん。鈴木
「のりこえねっと」で。8/11
③「国民の理解が得られることを」…と
きむきがんさんのひとり芝居
「そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」
堂々とした象徴天皇論だ。そこまで考え、心配して下さっていたのかと国民としてはただただ頭が下がります。
「英邁な君主と愚鈍な政府・国民」という言葉が思い浮かびました。
辛淑玉さんと
陛下の平和への想いを理解せずに、他国を罵倒し、挑発し、「ほら、日本を批判する国があるから強力な軍備を! 憲法改正を!」と叫んでいる政府。
それに対し、「男らしい」「頑張れ」と言う国民。
なぜ、分かってくれないのだろう、というお気持ちがあると思います。
でも、それは一切出されず、自らのお仕事をもっともっと強化し、全身全霊で取り組まれる。さらに、皇室と日本の安定的な将来を考えられる。
「象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました」と結ばれている。
「ここで、このお言葉は終わっていいはずですが、あえて、次のことを付け加えたのでしょう」と、保阪正康さんは言ってました。
きむきがんさんと
「国民の理解を得られることを、切に願っています」。政府や国会議員ではなく、直接、国民に話しかけ、理解してもらおうと考えたのでしょう。これは非常に重い言葉です。
いろんな人が、いろんなことを言ってます。「でも、生前退位は認められない」「摂政を置かれたらいい」…と。
でも、皇室のこと、日本のことを一番考えておられるのは陛下です。陛下のお心のままにされたらいいと思います。これに添うように政府も全力を尽くすべきでしょう。
【だいありー】
二次会で
雨宮さん、香山さんと
- 8月8日(月)天皇陛下の「おことば」が午後3時から放送されました。外に出たら号外が配られてました。
「ミヤマ」の会議室で取材に応じようとしたら、部屋は全部、借りられている。それで、ホテルサンルートの小会議室を取ってくれた。そこで、『宗教問題』という雑誌の取材に応じる。
夕方、「インデペンデンス・デイ:リサージェンス」を見る。こういうパニック映画は全部見ている。
- 8月9日(火)午前中、原稿。
仕事が遅れているので、家でずっと仕事をする。
- 8月10日(水)午前中、原稿。
午後2時、喫茶店「ミヤマ」の会議室。月刊誌の取材を受ける。
6時半、ホテルサンルート高田馬場。一水会フォーラム。長谷川熙先生(ジャーナリスト・元朝日新聞記者)の「朝日新聞のここが問題なんだ!」。
長年朝日にいて闘っていただけに、説得力のある話だった。
終わって、二次会へ。
- 8月11日(木)午前10時、取材。
午後1時から、「のりこえねっと」の集会に出る。水道橋の在日本韓国YMCAアジア青少年センター。
第1部は、シンポジウム「法律はできた!そして私たちは何をするのか」。パネラーは、雨宮処凛、石野雅之、香山リカ、中沢けい、野間易通、安田浩一。コーディネーター・辛淑玉。
感心して聞いてたら、途中から私も壇上に上げられた。
休憩を挟んで、演劇公演「在日バイタルチェック」。在日コリアン100年の生き様を描く。きむきがんひとり芝居。実に感動的な芝居だった。
自分の歴史であり、日韓の歴史であり、歴史への発言があり…と、「ひとり芝居」の無限の可能性を感じた。
前の日、徹夜で仕事をしていて、つい、うとうととしてたら、「そこのおじさん、寝ちゃダメだよ!」ときむさんに言われ、壇上に上げられた。「ひとり芝居」だからこその暴走だ。
ヒヤヒヤしたが、楽しかった。
終わって、「懇親会」。
- 8月12日(金)午前中、原稿。
午後1時半、西武線・新井薬師前駅で待ち合わせ。平田君やアーチャリーたちと。
そこで「酔いどれ天使」の芝居「Angel Identity」を見る。宗教的であり、未来予知的な芝居だった。
それから、大塚に行って萬劇場。「風の谷なう」を見る。面白かった。あべあゆみさんも出ていた。
そして、居酒屋で飲む。これからの本について、議論をする。
今日は一日、芝居漬けで、さらに、この日本はどうなるか、を考えさせられる一日だった。
- 8月13日(土)北浦和に行く。埼玉県立近代美術館の地下でやっている「埼玉平和美術展」を見る。青木花子さんが出品していたので。なかなか、よかった。
- 8月14日(日)午前中、原稿。
午後、図書館。
【写真説明】
①8月8日(月)は、各紙、号外が出ました。これは産経新聞です。
②8月1日、2日に長崎に行った時です。坂本龍馬の作った亀山社中の跡を訪ねました。今、「亀山社中記念館」になってます。
③近くには巨大な龍馬像が立ってます。龍馬像というと高知県の桂浜を思い浮かべますが、長崎にもあるんですね。長崎にもよく来てましたし。そこから世界を見てたんですね。
④亀山社中記念館で。龍馬の写真、着物、刀などが展示されてます。
⑤有名な龍馬のピストルが。
⑥亀山社中に行く道には、沢山、出てました。そこは「龍馬通り」というんですね。
⑦コーヒーの表面に、ミルクやチョコレートで顔を描いて浮かべるんです。世界に誇る日本の技術です。亀山社中があるんで、ここのコーヒーには、岩崎弥太郎の顔が出てました。
⑧日本二十六聖人記念館。
⑨二十六聖人の前で。
⑩「長崎チャンポン」発祥の店・四海樓に行きました。
⑪「発祥の店」だけあって、もの凄く混んでました。1時間位待たされました。チャンポンとギョーザを食べました。
⑫映画を撮った時ですね。どんな映画か分かりませんが。(左から)主役のルポライター、監督、正義の刑事(私)、悪党です。
⑬一水会フォーラムで。講演する長谷川熙さん(ジャーナリスト・元朝日新聞記者)。テーマは「朝日新聞のここが問題なんだ!」。
⑭講演が終わって。木村代表。長谷川さん。鈴木。
⑮西村修平さんも来てくれました。
⑯8月11日(木)午後1時より。反ヘイトスピーチの「のりこえねっと」集会。〈のりこえ祭り。3年目も本気(マジ)!〉です。
第1部のシンポジウムを見ていたら、途中から辛淑玉さんに呼ばれ、壇上に上げられました。
⑰第2部はきむきがんさんのひとり芝居です。「在日バイタルチェック」。感動的な舞台でした。
⑱辛淑玉さんと。「シン・ゴジラ」見ましたよ。凄いですね。辛淑玉とゴジラが合体すると恐いですね、という話をしました。「エッ、そんな話なの?」と驚いてました。
⑲きむきがんさんと。
⑳雨宮処凛さん。香山リカさんと。
㉑二次会で。司会をしてるのが辛淑玉さんです。きむきがんさんが挨拶しています。
【お知らせ】
- 週刊金曜日(8月5日号)は、特集〈終戦記念号。日本会議と憲法〉。驚きましたが、谷口雅宣「生長の家」総裁が、「金曜日」の取材に応じてます。よく出てくれたと思います。〈日本会議を語る〉です。他にも、日本会議が目指す憲法改正について、いろんな人が書いてます。もの凄く、内容があります。次の号も雅宣先生の取材が続くそうです。
又、『紙の爆弾』(9月号)は、特集が〈安倍政権、改憲カウントダウン〉。「宗教選挙としての2016参院選」。かなり詳しいです。創価学会、日本会議は知ってますが、「世界家庭連合」(旧統一教会)は知りませんでした。名前を変えてるんですね。その他、幸福実現党など多くの宗教が選挙に出ています。
月刊『創」(9月号)は、「天皇退位報道の不可解」「鳥越俊太郎都知事選」など、興味のある記事が沢山ありました。私は両方に連載を持ってます。
- 8月17日(水)7時、代官山「晴れたら空に豆まいて」10周年記念イベント。豪華なゲストが出ます。私も出ます。
- 8月27日(土)円より子さんの「女性のための政治スクール」で講演します。午後3時から、星陵会館1FのE会議室です。
- 8月28日(日)「喜多見と狛江の映画祭」。朝から、「さようならCP」「ゆきゆきて神軍」。そして5時から「靖国・地霊・天皇」。この上映後のトークに私が出ます。
- 9月6日(火)一水会フォーラム。7時、ホテルサンルート高田馬場。講師は井筒高雄さん(元自衛隊レンジャー隊員)。演題は「安保法制の施行による自衛隊と私たちが直面する課題」です。お申し込みは、一水会事務局へ。03(3364)2015。
- 9月11日(日)渋谷のアップリンクで、映画「望むのは死刑ですか」の特別上映が決まりました。2回です。そのあと、長塚洋監督と私のトークがあります。
- 9月17日(土)午後1時より、新発田市生涯学習センター。「大杉栄メモリアル」。ゲスト・福島泰樹(絶叫歌人。僧侶)。私も参加します。
- 10月1日(土)大阪で読書会をやります。私も出ます。鈴木の『〈愛国心〉に気をつけろ』(岩波書店)を読んで、皆で語り合います。
- 10月15日(土)13:00〜。〈没後25年。竹中労追悼会。「戒厳令の夜」特別試写会と竹中労を偲ぶトークのつどい〉。
会場・甲府市中央1-1-7 桜座。
主催・竹中英太郎記念館。
第1部は「戒厳令の夜」特別上映会。
第2部は「労を偲ぶトークのつどい」
ゲスト:樹木希林(女優)
鈴木邦男
小沢司(沖縄音楽プロデューサー)
小泉信一(朝日新聞社 編集委員)
竹中紫(竹中英太郎記念館館長)
司会:金子望(竹中英太郎記念館主宰)