日本は今、全体的に「強さ」を求めているのだろう。
「中国、韓国になめられるな!」と叫び、防衛力の強化だ。憲法改正だ!と言う人が多い。
「韓国・朝鮮人は出ていけ。死ね」と叫ぶヘイトスピーチデモの人も。テレビや新聞で言う人も。ネットで書く人も、同じだ。
絶叫する声の高さには各々、違いがある。上品・下品の違いもある。
だが、共通しているのは、「排外主義」であり、「強い日本」への希求だ。
日本の歴史について、ちょっと批判されると、「国辱だ!許せない!」とキレる。
日本は正しい。従軍慰安婦はいなかった。南京大虐殺なんてなかった。日本は聖戦を戦ったのだ、と言う。
「強い日本」になるためには、政治も教育も法律も強くなくてはダメだ。
自民一党独裁も支持する。
小学生からの愛国心教育も当然だ。
死刑制度だって変えてはならない。悪いことをした人間は厳しい罰を与える。人を殺すような人間は死刑だ。
それで人々は「安心」し、治安は守られるのだ。そう思っている。
その文脈の中で、天皇も強くあるべきだ。と思う人々が多い。
明治以降に作られた、例外的な天皇像なのに、こちらの方が、理想の天皇像だと思う。
軍服を着て、白い馬にまたがり閲兵をする天皇だ。だから、「女性天皇」は絶対に認められないと言う。
特に、「保守派」と自称する人々は、そう言う。「女性天皇はもはや天皇ではない」とまで言う人もいる。
そこで、今現在の問題だ。
天皇陛下は「生前退位」を意味するお言葉を発せられた。「平成の玉音放送だ」と言われる。
朝日新聞の世論調査でも84%以上の人が、「天皇陛下のお考えのままにしてさしあげるべきだ」と言う。
保守派の中には、「政治的な発言は憲法違反だ」「天皇にこんな発言をさせてはダメだ」…という批判もある。
しかし、国民の圧倒的多数は、「生前退位」に賛成している。
安倍政権にとってはショックだ。
生前退位を認められるように皇室典範を改正するしかない。
外国の王室では、「第一子を王に」するケースが多い。
初めての子が女子なら、「次は女王です」となる。男子ならば国王になる。
オランダは今、女王さまだが、第一子は男子だから、「次は国王です」と言う。これはウォルフレンさん(評論家)と対談した時に聞いたのだ。
又、11年前に佐藤由樹さんと共著で、『天皇家の掟』(祥伝社新書)を書いた。
日本の新旧の「皇室典範」について調べ、又、外国の王室のことも、必死になって勉強した。
11年前にこの本を出した時は、それほど注目されなかった。
しかし、今になって急に注目されている。「皇室典範」について、これほど詳しく言及した本はなかったからだ。
それに、皇室について人々は文句ばかり言ってる。「自分は皇室が必要だと思っている。
だから、男子でなくてはダメだ。『憲法を守る』と言ってはダメだ」…と文句を言う。
権利のない、自由のない天皇陛下に、さらに注文を付け、縛ろうとする。
それに対し、共著者の佐藤由樹さんは、「天皇の側から、やめると言う場合もあるのではないか」と書いていた。
つまり、11年後の「生前退位」を予言、予知していたのだ。
それに触発されて、私も必死に調べて、書いた。そのことが今、急に注目されているのだ。
そこで、この本は、今度、本文を追加し、祥伝社文庫になる。
又、この本を基にして、いろんなところから取材されている。週刊誌や、ブックレットに載るだろう。
田原総一朗さんと、月刊『創』で対談した。これは9月発売の『創』(10月号)に載るだろう。
その中で、田原さんは、「皇室典範」の改正は必至で、そのために1年か2年はかかる。その間、憲法改正はできない」と言っていた。
又、「生前退位」だけでなく、「女性天皇」の問題も論議されるだろうと言う。で
も自民や、日本の保守派は、「生前退位」にも「女性天皇」にも反対だ。
両方とも、「強い天皇」のイメージが損なわれると思っている。
「でも、男が強い」と思うのは幻想ではないか、と田原さんは言う。
そうなのだ。女性は強い。でも、かつてのような「強い男」に憧れ、幻想を持つのが今の保守派なのだろう。
8月27日(土)、円より子さんの「女性のための政治スクール」で講演した。午後3時から永田町の星稜会館だ。
円(まどか)さんは、ずっと国会議員で活躍してきた。
参院選では小林節さんの「怒り新党」から出た。
この党は、もの凄く注目され、論じられた。
絶対大丈夫だと思っていたが、敗れた。小林さんと円さんも落ちた。残念だ。
円さんは、かなり前から、次の時代の政治家を育てるセミナーをやっている。それが「女性のための政治スクール」だ。
女性が主だが、男性もいる。国会、県会、市会…と、広く政治家を育てている。2年前にも、ここで呼ばれて講演した。
今年は、テーマが「安倍政権とナショナリズム」だった。
日本会議のことなどを中心に話してくれと言う。
さらに天皇陛下の生前退位や、女性天皇の可能性について話をした。
そして、田原さんも言ってたが、「女性の時代」についても言及した。
今、企業の就職試験でも、大学の入試でも、女性の方が優秀だ。
成績だけで採ると、皆、女性になってしまう。だから面接で落としたりして、何とか「男性優位」を保っているという。
私らが中学、高校の頃は、女性が大学に進むというケースは、極めて稀だった。又、「どうせ勉強しても上の学校には行けないのだから」と、小学校、中学校でも、なかばあきらめていた人もいた。
でも今は違う。大学に行き、そのあとの仕事でも、どんどん、活躍する場が広がっている。
新聞社、テレビ局。そして政治の世界でも、どんどん女性が進出している。オリンピックでも女性の活躍はめざましい。
「家庭だって、支えているのは女性だよ」と田原さんは言う。
そんな時代に、「女性はダメだ」「強い男でなくては」と言ってるのは時代錯誤だと田原さんは言う。その通りだ。
しかし、そんな古い神話にすがっているのが、安倍政権であり、保守派の人々だ。
大学も、企業も、どんどん女性が進出する。政治の世界もそうだ。
昔は、女性を活躍させようと、「クオーター制」というものがあって、北欧などでやられていた。国会などで、40%か50%は女性にしようと「枠」を決めることだ。
手元にある『辞林21』(三省堂)には、こう書かれている。
〈クオーター【quarter】割り当て制。あらかじめ一定の(割合の)人数を採用・入学などの際に割り当てておくこと〉
この時は、弱い立場の「女性の割合」を一定程度、確保しようという思いがあったのだ。
しかし、これからは、女性がどんどん進出する。
そうすると、「男性の割合」を守るための「クオーター制」が必要となるのではないか。それによって、「男性側の恐怖」を取り払う必要もあるだろう。という話をした。
そしたら、円さんが言っていた。「昔、日本新党では、そのことを考えてました」と。
つまり、女性のクオーターではなく、「どちらかの性」が圧倒的多数を占めないように、「割り当て」を確保するという。
これは凄い。そんな昔から、考えていた人がいたのか。細川さんがやっていた日本新党だ。
他にも、日本新党の立ち上げに参加した人もいて、当時の「革命的な話」をしてくれた。
日本新党はどんな人に立候補してほしいか、その候補者を発表した。
いや、内々で検討してたのだが、それが『サンデー毎日』にスッパ抜かれてしまった。
かなり衝撃的な内容だった。「だって、高倉健、吉永小百合、そして鈴木邦男までいたんですよ!」と言う。
あっ、これは私も覚えていて、驚いた。エッ?どうして私なんかが…と思った。
「細川さんと会って、その話をしたんじゃないですか」と言う人もいる。
しかし、それはない。日本新党の中で、内々で、検討する人々が内々で出した〈試案〉だったんだろう。
スッパ抜かれたことで、これは白紙撤回になった。新聞記者に取材されたが、何が何やら分からなかった。
でも、どんな形でも、こうして「候補」にされるのは光栄で、ありがたい。
もし、あのまま、スッパ抜かれず、選挙になったらどうなったのか。
高倉健、吉永小百合と一緒だったら、私だって間違って当選したかもしれない。そう思うと複雑だ。
かなり貴重な話を聞き、「女性のための政治スクール」の講演は終わりました。
そのあと、皆で二次会に行きました。
では次の日だ。8月28日(日)、この日は「喜多見と狛江の小さな映画祭」に出る。
朝から、ずっと映画をやっている。私は午後からの映画2本を見て、トークに出る。
1時半から、「ゆきゆきて神軍」が上映され、そのあとトーク。
さらに、5時から、「靖国・地霊・天皇」を見て、監督の大浦信行さんとトーク。
8時過ぎまでやって、そのあと新宿へ。テレビ朝日の「居酒屋トーク」に出る。
「ゆきゆきて神軍」は原一男監督、奥崎謙三主演だ。ドキュメンタリーだ。戦後最大のドキュメンタリーだろう。
鬼気迫る映画で、私は今まで6回ほど見てるが、何度見ても、新しい。恐怖が走る。
戦争で上官によって罪をなすりつけられ殺された兵士の恨みを晴らすために奥崎は、決起する。
昔の上官を探して、全国を回る。
話し合いをしてるうちに激高して殴ってしまう。
パトカーを呼ばれることもしょっちゅうだ。ある日、犯人の上官の家に行く。出てきた息子と口論になり、襲い掛かる。ピストルで撃つ。
殺人未遂で逮捕され、12年、刑務所に入る。
そこまでの怒涛の「進軍」が描かれている。
12年の刑を終えて、出てきてからの奥崎に、私は会っている。何回も、何回も。ロフトプラスワンで何度もトークをした。かなり壊れていた。
そして、今度は、ピンク映画に出演した。「もう、付いていけない」と思った人が多かった。その頃の話をした。
もう1本の「靖国・地霊・天皇」は、靖国問題を扱った大浦信行監督の映画だ。
靖国に祀られている韓国の兵士の遺族が「外してほしい」と訴訟を起こしている。
又、「国のために亡くなったんだ」「死んだら靖国で会おう」と言ってた人の思いを阻止する権利があるのか、と言う弁護士。
いや、おかしいと言う、訴訟を支援する弁護士。
又、「A級戦犯が祀られているので天皇も行けない」と言う人たち。
いろんな問題がある。それらを、ダンサーもからんで、芸術的に切り込んでゆく。大浦映画の集大成だ。
又、こんな重々しいテーマを扱っているのに、カメラは明るい。カラーもきれいだ。それが又、衝撃的だった。
久しぶりに又見て、大浦監督と、じっくりと話をした。
ところで、この映画館。実は、本当の映画館ではない。地図にも、番地と、「歯医者の2階」としか書いてない。
普通の家だったんです。2階で、一つの部屋がやけに広い。「多分、ここも歯科医にするつもりだったんです」と言う。そこを借りたのだ。
広い部屋で、そこに収容する人間だって50人は軽く入る。そこで、これはと思った映画を上映し、トークをしている。
今回は問題作2作品だったし、とても興味をそそられた。そして話をした。
大浦さんの映画は、7時に終わり、それからトーク。
8時になったので、失礼する。「すみません、テレ朝の取材が入ってますので」と言って、帰った。
実は、テレ朝の番組ではない。テレ朝が作っているが、いわばネットテレビだ。いやネットよりも、携帯で見る人が多い。
毎日やっているが、私はその中の「居酒屋トーク」に出たのだ。午後9時から11時までだ。
元NHKの堀潤さん。そして、漫才の「ウーマンラッシュアワー」の村本大輔さん。そして博報堂の原田曜平さん。この3人がメイン。
それに、「今日のゲスト」の私だ。テーマは、「右翼とは何か」。
エッ?そんなテーマでいいの。と思ってしまった。
なぜ右翼になったか。大体、右翼ってナーニ。といった話から入り、かなり深い話になった。
堀潤さんは元NHKだけあって、「解説」も正確だ。私も教えられた。
ウーマンラッシュアワーの村本さんも、なかなか面白い。
これは、新宿西口の大ガード近くの居酒屋で行われた。一応、個室だが、他の客の声も聞こえる。
それに、マイクがやたら小さく、スマホが机の上に3ヶ並んでいて、それで映像も音もとるようだ。あとは、小さなカメラを持ったスタッフ。それだけだ。
それで、テレビ放送ができるのか。
「できるんです」と言う。
初めから、ビールを飲み、かなり飲んだ。飲みながら、酔っ払って、2時間も喋ったのは、生まれて初めてだ。
11時に終わり、一緒に付いてきてくれた寅ちゃん、下中さんたちと帰る。近くで、お茶を飲む。
「あっ、もう12時だ!」と寅ちゃん。「僕が鈴木さんを送っていきますから」とタクシーを止めて、乗り込む。
落合で私が降りると、寅ちゃんは上高田5丁目に向かいました。
今週も土曜、日曜は忙しかった。でも、いろんな体験ができて、いい勉強になった
⑥8月28日(日)。「喜多見と狛江の小さな映画祭」。朝から、3つの会場で行われました。私は午後から参加。原一男監督の「ゆきゆきて神軍」(13:30〜15:32)を見てそのあと15:32から、主催者の高山正樹さんとトーク。そのあと、大浦信行監督の「靖国・地霊・天皇」(17:00〜18:30)を見て、18:30より大浦監督とトーク。これは、第1部の高山さんとのトークです。
⑩夜8時に終了し、急いで新宿へ。テレビ朝日がやっているネットテレビ「アメーバテレビ」の中の「居酒屋トーク」に出演しました。(左から)堀潤さん(元NHK)。鈴木。村本大輔さん(ウーマンラッシュアワー)。原田曜平さん(博報堂)です。ビールを飲みながら、2時間、大いに話し合いました。机の上の小さなスマホのようなもので撮影・録音しています。凄い機械です。
⑪狛江の映画祭から一緒に来た人たちです。私を案内してくれました。「居酒屋トーク」の間は、近くの席で飲んでました。本番が終わって、一緒に帰り、途中、ジョナサンでコーヒーを飲みました。(左から)和歌山から来た下中さん。杉山寅次郎さん。鈴木。塩田さん。
⑭8月31日(水)。〈政治生活20周年。保坂のぶとと世田谷区政をともにつくる会〉。6時から新宿・京王プラザホテルで。衆議院議員(社民党)で3期務め、「国会の質問王」と異名をとる。その後、2011年、世田谷区長に。現在2期目。超満員でした。