2017/02/27 鈴木邦男

『憲法が危ない!』が出た!

①〈慨世〉の次は〈憲法〉だ

『憲法が危ない!』(祥伝社新書) 『憲法が危ない!』(祥伝社新書)

2月21日(火)でした。高田馬場の喫茶店「ミヤマ」の会議室です。

カナダから来た、マイク佐藤さんと対談してました。カナダで温泉を掘り、それを広めている人です。たまに日本に帰ってきます。

学生時代は右派の運動をしてたのですが、卒業してからはカナダに単身、渡り、温泉掘りをしています。

午後2時から始まり、5時になりました。

「もう時間だ」とレーニンさんが言い、「じゃ土風炉に移ろう」と帰り支度をしてた時に、入ってきたんです。祥伝社新書の編集長・水無瀬さんが。

「やっと出来たんです!」と持ってきてくれたんです。わざわざ。すみません。

『世界とたたかった文学・高橋和巳』を発売 『世界とたたかった文学・高橋和巳』を発売

とうとう、今年、2冊目の本が出来たのです。今年1冊目の本は、先週紹介した、内田樹さんとの対談本『慨世の遠吠え2』(鹿砦社)です。

おかげさまで評判が良く、売れてるそうです。

カラーグラビアのページがあり、合気道をやってる写真もふんだんにあり、実に楽しい本になりました。

又、内田さんの「あとがき」も素晴らしくて、皆、感動してました。

勿論、一番感動したのは私です。鹿砦社も力を入れてます。福本さんの頑張りがあって、こんな素晴らしい本が出来ました。

田中角栄の息子さん。田中京さんと 田中角栄の息子さん。田中京さんと

さて、今年の第2弾です。水無瀬さんが持ってきてくれた本です。私の書き下ろしで、『憲法が危ない!』(祥伝社新書。780円)です。

タイトルはシンプルですが、ズバリと直言しています。

表紙のカバーには、こう書かれています。

〈改憲運動に半生を捧げた理論派右翼は、なぜ今、異議を申し立てるのか?〉
山平さん、中辻さんと 山平さん、中辻さんと

そして、あの言葉が書かれています。

「自由のない自主憲法より、自由のある押し付け憲法のほうがまだいい」。これは今でもそう思っている。我ながら、うまいことを言ったと思っている。

実は、この本を書くことで、吹っ切れたことがある。

初め、この本のタイトルは『憲法改正を急ぐな!』だった。

この時は、まだ「憲法改正」は〈正義〉だという考えがあった。キチンと見直すべきだ。

でも、今のように余りに熱くなって、あれもこれも改憲しよう! 家族制度を守れ! 軍隊を強固にしよう、核も持て、核の方が安いんだ。日本の若者はだらしがないから徴兵をしろ!…と、どんどんエスカレートする。

田中京さんと 田中京さんと

文句ばっかり言ってる人間は、さらに文句ばかり言う。そんな方向に行く。

昔、こんなことを言ってた人がいた。一人一票なんて「悪平等」があるから〈家〉はなくなる。家をまとめるなら、「一家に一票」でいい。

父親が、皆の意見を聞いて、最後は父親が判断して、「一家としての一票」を入れる。

そうすると家族はまとまり、争いはなくなる。そんなことを言っていた。

参ったなー。今時、こんなことを言う人がいるのかよ。と思った。

妻や子供がどこに投票しようと、気にしなければいい。

松木けんこうさんと 松木けんこうさんと

それなのに、「一家で一票」となると、皆の意見を父親の一票として代表する。何日間でも説得するか。無理だろう。

ただ、それでも父が納得しなかった場合、どうするか。大激論になるか、あるいは(不幸にして)大喧嘩。あるいは「殺し合い」。

ハッと我に返ったのだ。今までは、どうしても「改正するんだ!」ということにこだわっていた。アメリカから押し付けられたものだ。叩き返したらいい。

ただ、今、「改憲」がやれそうになると、いろんな不満が一挙に出てくる。

②初めのタイトルは『憲法改正を急ぐな!』だった

稲川淳二さんの「怪談話」 稲川淳二さんの「怪談話」

若者は、だらしがないから徴兵をしろ。軍隊が動きやすいように個人の自由は制限しろ、となる。憲法の「自主」にだけ目を向けると、その反動が見えない。

巨大な軍、核…などといったら、世界中の反発を買う。

そして、巨大な軍隊を整備し、動かせるように、人々のデモ、集会などはやめさせられる。

強大な国家になるが、国民は弱くなり、デモも出来ない国になる。それではダメだ。

稲川さんと 稲川さんと

ちょっと論点を整理する。

憲法改正は必要だ。ただ冷静にやれたらいいのだが、多分、混乱する。随分と闘いがあった。

何でもかんでも「憲法を改正しよう!」という怒号が多くなった。

勉強もしないで、「憲法さえ改めたら、いい方向に行く」。そう思ってる人が多いのだ。

そんな状況に対して、「憲法改正を急ぐな!」と言っていて、いいのか。「改正」は必要なのか。いらないだろう。

大阪NHKホールで「菜の花忌」 大阪NHKホールで「菜の花忌」

祥伝社でも、「急ぐな!」ではちょっと弱いのではないか。という意見が出て、私の方にも意見を出せ、と言ってくる。

それで、『憲法が危ない!』になった。

内田さんとの『慨世の遠吠え2』も評判になっているが、この『憲法が危ない!』も読んでいて、やはり、タイトルは変えてよかったと思う。

『憲法改正を急ぐな!』だと、改憲派の生き残りだ。そして、上から目線である。

その点、今回のタイトルは「改憲」は、キッパリと拒絶している。いい本が出来た。ありがとうございました。と礼を言いました。

実験スタジオで
実験スタジオで

③優秀な社員に支えられて、いい仕事が出来た

大阪城が見えました
大阪城が見えました
南禅寺です
南禅寺です
上まで昇りました
上まで昇りました
はるか下に人が
はるか下に人が
眺めはいいです 眺めはいいです

この本を書いていて、驚いたのは、社員の皆さんがとても優秀なことだ。

たとえば、学生の時、こんな歌をうたわされてたな、と思い出した。

そこのとこをちょっと書いたら、「それはこの歌でしょう」と、探してくれる。

すごい。「日本は若いのだ」の歌だ。「国が桜の花ならば、一人一人は花ビラだ」という歌は今でも思い出して、口に出している。

その2番は、「日本が火を吐く島ならば、一人一人は溶岩だ!」という歌だった。

ゲッ! 俺たちは岩かよ、と思った。

上を水が流れてます 上を水が流れてます

日本と一体のものとしてまとめようとして、無理をしてる感じもした。

又、フランスの国歌、日本の国歌…。随分と違う。

日本は平和的だ。「これじゃ、戦争を戦えない」と言って、陸・海軍は、「軍歌」をやたらと作った。国歌が平和的だからだ。なんでも作られた軍歌の数は5百とも千ともいう。

それから、この本には、第24条を書いたベアテさんに頼まれて、「憲法24条の歌」を探した。

それも見つかった。全文を紹介した。

さらに、今の憲法が出来た時、「憲法音頭」が出来て、皆で歌い、踊ったそうだ。

しかし、今、覚えている人はいない。そんな状況も説明した。私の本にしては珍しく、「歌でつづる戦後日本」になった。プロの歌手の人や、音楽家の人たちにも聞いてみたい。

銀閣寺 銀閣寺

さらに、3月には、もう2冊、控えている。保阪正康さんと「昭和維新」について考えた本だ。さらに、白井聡さんと永久敗戦化する日本について話し合った。三島についてもかなり話し合った。

では、その本が出来た時に、又、書こう。

そうだ。高橋和巳の本が、河出書房新社から出た。これもいい。実にいい。

高橋和巳の文章も、紹介されている。三島由紀夫との歴史的対談も収められている。

当時の作家が書いた和巳論。そして、今の人々が書く和巳論。それが、一緒に収められている。私も書いている。

「読書ゼミ」では、この本を読みました 「読書ゼミ」では、この本を読みました

いい機会に、チャンスを与えてもらい、嬉しかった。

佐高信、三田誠広、それに坂本一亀さんも書いてる。

この人は坂本龍一さんのお父さんで、「伝説の名編集長」だ。高橋和巳、三島由紀夫を育てた人だ。

又、その下で仕事をした田辺園子さんも書いている。これは一冊、全てが「高橋和巳」だ。この本のタイトルがいい。

『世界とたたかった文学・高橋和巳』(河出書房新社。1900円)だ。文句なしに素晴らしい。

いい本に出会えるることは人生で一番の喜びだと思う。大事に読んでいる。

【だいありー】

本多清氏と対談。2/20(月)
本多清氏と対談。2/20(月)
対談が終わって 対談が終わって
  1. 2月20日(月)午前中、原稿。
     5時、高田馬場の喫茶店「ミヤマ」の会議室。元「楯の会」一期生の倉持清氏と対談する。
     彼はとても重要で、微妙な立場にあり、「聞くこと」は多かった。
     終わって、「土風炉」で飲む。
  2. 2月21日(火)午前中、原稿。
    午後2時、「ミヤマ」。マイク佐藤さんと対談。
居酒屋「土風炉」で 居酒屋「土風炉」で

マイクさんは、右派学生運動をやり、その後、カナダで活躍している。その頃の話を聞く。

  1. 2月22日(水)午前中、原稿。
     午後2時、打ち合わせ。
     午後6時、松木けんこうさんの「新年会&誕生日会」。松木さんは元気だ。多くの人たちに愛されている。
     そのあと、新橋に行く。長谷川光良氏の会だ。田中京さん(角栄さんの息子さんだ)と会う。
翌21日(火)。マイク佐藤さんと対談 翌21日(火)。マイク佐藤さんと対談

そして、「論争ジャーナル」の中辻さんと会う。編集長の弟さんだ。ほとんど50年ぶりだ。嬉しかった。

  1. 2月23日(木)午後3時、河合塾コスモ。「現代文要約」。
     5時「読書ゼミ」。今日読んだ本はこれだ。五味洋治さんの書いた本だ。金正男の『金正日と私』(文春文庫)。
     前に五味さんが会い、そして、メールなどを通して聞いた話をまとめたのだ。今回の殺人事件で、急遽、文庫化され発売された。
     それが終わって、市ヶ谷の私学会館へゆく。三島由紀夫研究会に出る。
終わって二人で 終わって二人で

今月の講師は、松本徹さん(三島由紀夫文学記念館館長)。なかなか勉強になりました。

  1. 2月24日(金)午前6時に起き、7時に家を出る。
     JR市ケ谷駅で8時45分に集合。置いて行かれたら大変だと急いで行く。河合塾コスモでは、 「日本国憲法を考えるゼミ」などをやっていて、そこで、「防衛省に行ってみよう!」という企画があった。これは私も行きたい! と思い、申し込んだ。
そして「土風炉」で そして「土風炉」で

防衛省では、午前と午後、1回ずつ、見学に応じている。とてもよかった。「東京裁判」の行われた法廷。三島が絶叫した屋上。これは歴史遺産だ。感動した。

  1. 2月25日(土)午前中、原稿。
     午後2時、千歳船橋。劇団「再生」の鶴見直斗さんの芝居を見る。「四元数の月=ある少女の死から=」。脚本は高木尋士氏だ。よかった。
  2. 2月26日(日)午前中、原稿。
     午後から東中野図書館で勉強。夜までいた。
「三島由紀夫研究会」2/23(木)
「三島由紀夫研究会」2/23(木)
講師の松本徹さん
講師の松本徹さん

【写真説明】

『憲法が危ない!』(祥伝社新書)

①今年の第2弾。『憲法が危ない!』(祥伝社新書)が発売になりました。

『世界とたたかった文学・高橋和巳』を発売

②この本も発売中です。「世界とたたかった文学・高橋和巳」(河出書房新社)です。私も書いてます。

田中角栄の息子さん。田中京さんと

③田中角栄の長男です。田中京さんです。とても信じられない苦労をしたそうです。

山平さん、中辻さんと

④山平重樹さん(作家)。中辻正さん。鈴木。

田中京さんと

⑤田中京さんと。

松木けんこうさんと

⑥松木けんこうさんと。

稲川淳二さんの「怪談話」

⑦稲川淳二さんの「怪談話」を実演してくれました。

稲川さんと

⑧稲川さんと。

大阪NHKホールで「菜の花忌」

⑨大阪NHKホールで。「菜の花忌」に参加しました。

実験スタジオで

⑩NHKのスタジオで遊びました。

大阪城が見えました

⑪NHKからは大阪城がすぐ近くに見えます。

南禅寺です

⑫翌日、南禅寺に行きました。

上まで昇りました

⑬上まで昇りました。急な階段でした。

はるか下に人が

⑭高いです。人は、はるか下を歩いてます。

眺めはいいです

⑮眺めはいいです。

上を水が流れてます

⑯上を水が流れています。琵琶湖から、取ってきてるようです。この前、「ブラタモリ」でやってました。

銀閣寺

⑰次は銀閣寺に行きました。金閣寺は何度も行ったことがありますが、銀閣寺はあまり来ません。

本多清氏と対談。2/20(月)

⑱2月20日(月)。元「楯の会」一期生の倉持清氏と対談しました。とても教えられました。

対談が終わって

⑲対談が終わって。

居酒屋「土風炉」で

⑳それから、居酒屋の「土風炉」で。

翌21日(火)。マイク佐藤さんと対談

㉑翌2月21日(火)は、マイク佐藤さんと対談。

終わって二人で

㉒終わって、二人で。

そして「土風炉」で

㉓「土風炉」で。

「三島由紀夫研究会」2/23(木)

㉔2月23日(木)、三島由紀夫研究会に出ました。

講師の松本徹さん

㉕講師の松本徹さん。

「読書ゼミ」では、この本を読みました

㉖コスモの「読書ゼミ」では、この本を読みました。

【お知らせ】

  1. 内田樹さんとの対談集『慨世の遠吠え2』(鹿砦社)が発売中です。おかげさまで好評です。そして、河出書房新社から高橋和巳論をまとめた本が出ました。『世界とたたかった文学・高橋和巳』です。本人の文章もかなり入ってるし、三島由紀夫と高橋和巳の対談も入ってます。又、大江、埴谷、坂本一亀などの高橋論も入ってます。さらに三田誠広、島田裕巳、佐高信、そして私も書いてます。
  2. 今発売中の週刊「アエラ」(3月6日号)で書いてます。青木理さんの「安信三代」の書評です。とてもいい本で、エキサイティングです。
  3. 保阪正康さんとの対談本『昭和維新史との対話=検証 五・一五事件から三島事件まで』(現代書館)が出ます。3月15日発売です。
  4. 3月4日(土)14:00〜16:30「循環する読書会」東京会。
    会場:カフェ「ミヤマ」高田馬場駅前店。
    テーマ本:「これからどこへ向かうのか」
    問い合わせ・申し込み:jyunkandokusho@gmail.com
  5. 3月9日(木)BS朝日。午後7時から9時。「ザ・ドキュメント」。〈連合赤軍事件45年後の総括〉。青木理さんがインタビュアーで、事件の関係者や、関心を持っている人たちに話を聞きます。私も取材されました。
  6. 3月13日(月)午後6時半。一水会フォーラム。6時半から。ホテルサンルート高田馬場。講師は八木秀次さんです。
  7. 3月14日(火)札幌時計台で講演会です。6時から。テーマは「これからどこへ向かうのか」。作家の鈴木亜繪美さんと鈴木邦男のトークです。
  8. 3月18日(土)埼玉県川口市。「憲法カフェ」で講演します。