濃密な2日間の勉強会だった。3月31日(金)は、大阪から来た新聞記者の取材を受ける。
「あの事件」について、詳しく尋問される。大変だった。
夜はユージンプロで、文学論トークを聞く。栗山文昭さん(作曲家)と佐々木幹郎さん(詩人)のトーク。「抒情は詩人の武器であったのか?」。とてもいい話でした。
終わって、懇親会。
翌4月1日(土)は、午後3時から、「ビブリア文明講座」。衝撃的な対談。そして衝撃的なDVDを見る。
終わって、6時から、近くのたんぽぽ舎で、北朝鮮のよど号関係の本の出版記念報告会。
珍しいDVDが公開され、この本について、いろんな人が語る。両方とも内容の濃い、いい集会だった。
北朝鮮で買ってきたアコーデオンを弾いてくれる人もいる。
「ヨーロッパで買ったら100万はします。でも北朝鮮では、十分の一以下で買えました」と言う。音もいい。
この2日間は、グッと凝縮された勉強会だった。
特に、4月1日の「エスパス・ビブリア文明講座」だ。ここで、〈三島〉をバレエで甦らせたベジャールの話をする。
世界的に有名なバレエの振り付け師であるモーリス・ベジャールの話をしてたのだ。ベジャールをよく知る2人の人が対談をする。
その中で、ベジャールのバレエ「ザ・カブキ」と「M」の話になり、かつてNHKで放映されたものも流された。これは貴重だ。
ベジャールは大の日本好き。そして、三島を尊敬していた。
世界中で公演しているが、日本で公演したのは2回。1986年に東京・上野の東京文化会館で、バレエ「ザ・カブキ」を上演した。
これは大評判になり、私もやっとチケットを手に入れて見に行った。
日本の歌舞伎を基にしてバレエを作った。ヘエー、こんな歌舞伎があるのかと驚いた。
それから7年後、今度は、やはり東京の東京文化会館で「M」を上演した。
これは、「三島の生涯をバレエにしたものだ」と大評判になった。
世界一のバレエ振り付け師が、世界一の作家の生涯をバレエにする。
ものすごい評判になり、チケットもすぐに完売。
私は大変な苦労をして、チケットを手に入れ、見た。
これは、同時代の人間として、絶対に見なくてはならない、と思ったのだ。
すごいバレエだった。本当に三島の生涯なのだ。
ただ、ベジャールは、「三島」の名前は出さない。どんなに似ていても主人公は「M」だ。三島だと特定したら、いろいろと問題があるのだろう。潰された映画もあったし。
そんな点を考慮したのか。新聞では、こうも言われた。これは三島の「M」だ。そして、モーリス・ベジャールの「M」だ。又、音楽を担当した黛(まゆずみ)の「M」だ。…と。
でも、見た感じでは、三島だった。学生服を着た小学生の三島が出てくる。おばあちゃんに手を引かれて。
そして、このおばあちゃんに連れられた三島は小学生の時から、歌舞伎を見てたのだ。
そして、ノートに「感想」を書いていたという。早熟な天才だ。
その三島少年は、いろんな事件に出会い、後に「楯の会」を作る。
屈強な若者たちが「楯の会」の制服を着て、踊る。
でも、三島は小学生のままだ。
そして一人、正座して、目の前の短刀を取る。そして切腹する。
そこで世界は崩壊する。「楯の会」も崩壊する。
そこに、おばあちゃんが又、現われ、三島を立たせ、連れて行く。あっちの世界に連れて行ったのだ。
この世に、何年か置いたのは、文学のために見せたのかもしれない。この世界を。三島はずっと子供のままの純真な心のままに生き、そして、この世を卒業した。そんな感じがした。
しかし、小学生の三島が切腹するなんて。何という衝撃的な舞台だろう。かなり昔に見たバレエなのに、あの時の衝撃は忘れられない。
それに、この日、私は黛敏郎さんに初めて会った。
有名な方だし、三島との友情は知っていた。でも、会う機会はなかった。
それに、この人は、三島に「絶縁された人」だ。
仕事を一緒にしていたが、三島の書くものが〆切に間に合ったが、黛の作る曲が遅れて、それで仕事はパーになった。
三島はとりわけ時間に厳しい人だった。この「遅刻」で三島は黛と絶縁した。
「時間に厳しい三島」「仕事に厳しい三島」を伝える、格好のエピソードとして、有名になった話だ。
でも、「論争ジャーナル」誌にしろ、この黛敏郎にしろ、三島サイドから出た話だ。余りに三島が偉大だったから、三島の言うことだけを我々は信じた。
黛さんと会った時も、「本当はどうだったんですか」と、とても聞けなかった。言い分はあっただろうに。
あのことも含めて、ベジャールの二つのバレエは、今でも覚えている。でも、見てる人は、私の周りには誰もいない。
ここのビブリアに来て、二人の講師の話を聞き、昔の記憶が甦ったのだ。あの頃は、とても幸せだったと思う。
この「M」はNHKでもやったので、今もYouTubeなどで見れるという。すごい。
これを見ただけで私は昔の記憶が甦り、「M」の衝撃に襲われた。しばらく立ち上がれなかった位だ。
対談した二人の先生にも又、ゆっくりと話を聞いてみたい。
それと、今週はもう一つ、あったな。
そうだ。4月5日(水)の参議院議員会館だ。ちょっと変わった会合だ。〈小沢一郎を支持する会〉主催で行われた会だ。
〈新潟県の2つの選挙から学ぶ野党共闘〉。
森ゆうこ、そして、新潟県知事選で、野党共闘で二連勝した。その勝利を踏まえて、これからの野党共闘を考えようという集まりだった。
もう一つテーマがある。〈喫緊の課題、森友学園疑獄事件を解明せよ。そこから野党共闘へ!〉。
メインの森ゆうこさんが勝利の挨拶をする。小池晃さん(日本共産党)、松木けんこうさん(民進党)、青木愛さん(自由党)などが元気に話す。
そして「森友問題について」と言われて、私が指名された。それで、思っていることを語った。
人も多かったし、意気が上がった集会だった。
私も、この問題では随分と取材されていて、新聞、テレビ、そして「10万人デモ」でも喋ったな。
しかしまだ、解決しない。変だよね。子供たちが「教育勅語」を暗唱している。
そんなのを見たら、首相としては、それは否定されたものだ、やめなさい、と注意すべきだろう。
ところが、共鳴したからか、感動し、いい人だと思った。愛国者だと思い、信用した。
ここがおかしいと、そんな話をした。
この問題はまだまだ続く。こんなことでいつまでも時間を浪費してるのか。
この集会が終わって、小池さん、松木さんと、いろいろ話をした。
小池さんは、「共闘するなら、命をかけて共闘しろ!」と言っていた。迫力がある。その通りだろう。
でも、皆、他の野党は共産党が一番しっかりしてるから、怖いのだろう。腰が引けてる。そんな感じでした。
これから野党共闘もどうなるのか。何とか頑張ってもらいたい。
①モーリス・ベジャールのバレエ『M』(1995年)。三島のM。モーリス・ベジャールのM。黛敏郎のM。と言われましたが…。でも三島の名前は出さず、ずっと「M」で通してました。上野の東京文化会館で行われました。やっと切符を手に入れて私も見ました。バックは「楯の会」。その前に正座してるのは、三島少年のようです。
⑪何と、元ベ平連の小中陽太郎さんも来ていました。ベジャールが好きなんだそうです。休憩時間には、ヘルムート・ニュートン(写真家)の本を見てました。1冊20万円。下に置く台座付きです。1万部売ったそうです。
㉑3月31日(金)夜7時。ユージンプロダクトの勉強会に出る。テーマは、〈抒情は詩人の武器であったか?〉。 (左)栗山文昭さん(作曲家)。佐々木幹郎さん(詩人)。戦前、戦中の詩人の運命について、詳しく話してくれ、とても勉強になりました。ぜひ本にしてほしいですね。