7月22日(土)のカレー事件の大阪集会は盛り上がった。
毎年7月末は大阪でやっている。あの「カレー事件」があった日の前後にやっている。だから、毎年、7月末は大阪にはきている。
今年は、とても近代的な場所だった。梅田駅のそばの高層ビルの上だ。ヒルトンプラザウエストオフィスタワーだ。その14階だ。
14階は「龍谷大学梅田キャンパス」になっている。大学の施設だ。そこでやった。
全国から多くの人が集まった。今年の集会は「勢い」があった。
京大の河合潤教授が、今までの科学鑑定を覆し、検察のヒ素鑑定を真っ向から批判している。
又、ネットでも、警察やマスコミが垂れ流していた「フェイク情報」を次々と論破している。
それに今回の力強い助っ人はメインの講演をしてくれた笹倉香奈さんだ。アメリカの法科学者の話をする。
日本でも事件があると、いろんな科学者の医者たちが裁判で、いろんな証言をする。
検察側と弁護側があるが、検察側となると、いろんな有名な事件のもとに実験をやり、その結果をレポートする。それが勲章になって、大学で出世したりもする。
しかし、弁護側でやる人は、いろんなハンディがある。河合さんなんかがそうだ。大学の出世にも結びつかない。
警察、検察で主張している、ヒ素は同じなのか。
事件現場で見つけられたヒ素と、眞須美宅で見つかったヒ素は同じだと検察は言うが、どうも違うのではないか。その点を具体的な証拠を挙げて、河合さんは指摘している。
又、事件当時、眞須美さんが、カレーの鍋の傍にいた。それを見た人がいたという。
でも、果たして本当に見えていたのか。当時は間に柳の木があり、見えなかったようだ。
…と、あらゆる矛盾点から攻めている。
又、テレビやネットで問題になっていることもプラスに働いている。
この前、テレビに眞須美さんの息子さんが出ていた。大きくなっている。
家には随分とお金があった。でも、どうしてあったのか分からない。
事件で、母が捕まった時、高校の担任に言われた。「死刑囚の息子を実際初めて見た」と。そして、いじめられたという。
今なら訴えることも出来る。テープを録って、テレビで公表してもいい。
又、「カレー事件」で目撃されたのが母ではなく姉だったのではないか、との疑惑もある。
二人は体つきも似てるし、見間違うこともあるだろう。眞須美さんはそのことを知っていたのではないか。でも言えない。だから、自分の胸にしまっておいて裁判をやるしかない。
眞須美さん支援の集会に来ている人の中でも、そう思ってる人もいるだろう。
しかし、息子は、キッパリと言う。「それは絶対にありません。母はそんなに繊細ではありません。娘が怪しいと思ったら、すぐに本人にぶつける。その後から考え」。なるほどと思った。
昔、「火曜サスペンス劇場」では、そんな事件がよくあった。
それと、最近、ネット上で言われていることだが、あのカレー事件のあった頃、ヒ素を持ってる人はいなかったのか。ほとんどいない。
だから、それを持ってた人が、まず疑われたのだ、と言う。
我々の回りだっていない。人を殺すなんて、そんな危険な薬を持っていない。
ところが、あの事件が起きた頃、ヒ素を持ってた人、家庭は随分とあったのだ。シロアリ駆除とか害虫駆除のために持ってる人が、かなりいた。
林さんの家でもシロアリ駆除の仕事をしてたので、ヒ素があったのだ。
又、和歌山ではミカンが作られていて、ミカンを甘くするためにヒ素を肥料として使うという。
又、魚を捕る時に、ヒ素を固めて、エサにしてたという。和歌山ではかなりの家にヒ素があった。
又、それは薬局や農協などで堂々と売られていた。
別にヒ素として売られているのではない。「殺虫剤」「殺鼠剤」として売られていたのだ。その地方の何割かの家にはヒ素があったという。
だから、よく事故、事件もあった。猫がヒ素で殺されたり、池のコイが殺されたりする事件だ。本当に効くのかどうか、試してみたのだろう。
イタズラかもしれないが、すごい効果だ。
あのカレー事件だって、そんな「イタズラ」としてやられた可能性がないとは言えない。
事件当時、警察は「ヒ素を持ってる家なんてない。だから持っていた眞須美は犯人だ」とばかりに発表した。マスコミもそれに倣った。
でも全く違うのだ。初めに眞須美=犯人ありきで、あえて「話」を作っていたのだ。その点を、私は河合さんに聞いた。
前に『紙の爆弾』で、二人の対談をやったが、それがよかったので、第二弾をやってくれと言われて、この日、やったのだ。
いろんな風評、ヒ素はどれだけあったのか。同じヒ素かどうかは、どう鑑定するのか、などを聞いた。
又、これからの闘い方などについても聞いた。司会は、国賠ネットをやっている杉山寅次郎氏だ。
これは、とてもよかったと思う。
又、初めに講演してくれた笹倉先生の話もよかった。
アメリカでの法科学者の実態を研究し、発表してくれた。
裁判で公表するのだから、絶大な影響がある。その力を自覚し、責任を認知している。日本の学者とは覚悟が違うと思った。
「科学鑑定とえん罪」のテーマで話をしてくれた。
それと、驚いたことに、この日、眞須美さんの夫である林健治さんが車イスに乗って、駆けつけてくれた。本当に久しぶりにお会いした。
ヒ素を使った保険金詐欺事件で逮捕され、刑務所に入れられて、出てからは病院生活だ。やっと退院したという。
「でも、声があまり出ないんです」と小さな声で喋る。
「この前、息子さんがテレビに出てましたね。とても立派になって」と言いました。
私は健治さんには何度も会い、この人の言葉で、カレー事件はえん罪だと思ったのだ。
林さん夫婦は、他の人も巻き込んで、ヒ素を自分たちで飲み、入院し、それで、保険金を手に入れてきた。保険金詐欺だ。
勿論、悪いことだ。それで逮捕、刑務所に行っている。
その詐欺事件で何億と金が儲かった。「それなのに、何で、一銭にもならない殺人をしますか?」と健治さんは言ったのだ。それはリアリティがあると私は思った。
そして当時、北芝健さんたちと週刊誌に出て、「林眞須美は無罪だ!」という話もした。
さらに、三浦和義さんのあとを継いで「林眞須美を支援する会」の代表にもなった。
眞須美さん「えん罪」の確証を与えてくれたのが、健治さんだ。その話を思い出して、集会でも言った。
健治さんも挨拶してくれた。元気そうだった。河合さん、笹倉さんの話でも、力を得た。又、ネットなどにも、「えん罪」をうかがわせるニュースがある。
光が見え出した。元刑事の飛松さんもいる。強力な助っ人が次々と現われる。
8月上旬には、現地・和歌山で事件現場を見学する企画もある。事件のあった公園、林家があった場所(放火されて家はない)、そして集会もあるという。何とか私も出席しようと思っている。