2017/07/31 鈴木邦男

〈流れ〉が変わってきた。カレー事件集会!

①あれから19年。今年も大阪で…

講演する笹倉先生。7/22(土)
講演する笹倉先生。7/22(土)
多くの人が集まりました
多くの人が集まりました
河合先生の講演
河合先生の講演
杉山氏、鈴木、河合先生
杉山氏、鈴木、河合先生
林健治さんも来てくれました 林健治さんも来てくれました

7月22日(土)のカレー事件の大阪集会は盛り上がった。

毎年7月末は大阪でやっている。あの「カレー事件」があった日の前後にやっている。だから、毎年、7月末は大阪にはきている。

今年は、とても近代的な場所だった。梅田駅のそばの高層ビルの上だ。ヒルトンプラザウエストオフィスタワーだ。その14階だ。

14階は「龍谷大学梅田キャンパス」になっている。大学の施設だ。そこでやった。

全国から多くの人が集まった。今年の集会は「勢い」があった。

京大の河合潤教授が、今までの科学鑑定を覆し、検察のヒ素鑑定を真っ向から批判している。

又、ネットでも、警察やマスコミが垂れ流していた「フェイク情報」を次々と論破している。

記者に囲まれ、質問されてました 記者に囲まれ、質問されてました

それに今回の力強い助っ人はメインの講演をしてくれた笹倉香奈さんだ。アメリカの法科学者の話をする。

日本でも事件があると、いろんな科学者の医者たちが裁判で、いろんな証言をする。

検察側と弁護側があるが、検察側となると、いろんな有名な事件のもとに実験をやり、その結果をレポートする。それが勲章になって、大学で出世したりもする。

しかし、弁護側でやる人は、いろんなハンディがある。河合さんなんかがそうだ。大学の出世にも結びつかない。

警察、検察で主張している、ヒ素は同じなのか。

眞須美さんの手紙が読まれました 眞須美さんの手紙が読まれました

事件現場で見つけられたヒ素と、眞須美宅で見つかったヒ素は同じだと検察は言うが、どうも違うのではないか。その点を具体的な証拠を挙げて、河合さんは指摘している。

又、事件当時、眞須美さんが、カレーの鍋の傍にいた。それを見た人がいたという。

でも、果たして本当に見えていたのか。当時は間に柳の木があり、見えなかったようだ。

…と、あらゆる矛盾点から攻めている。

②テレビ、ネットでも変化が…

笹倉先生、安田弁護士と 笹倉先生、安田弁護士と

又、テレビやネットで問題になっていることもプラスに働いている。

この前、テレビに眞須美さんの息子さんが出ていた。大きくなっている。

家には随分とお金があった。でも、どうしてあったのか分からない。

事件で、母が捕まった時、高校の担任に言われた。「死刑囚の息子を実際初めて見た」と。そして、いじめられたという。

今なら訴えることも出来る。テープを録って、テレビで公表してもいい。

又、「カレー事件」で目撃されたのが母ではなく姉だったのではないか、との疑惑もある。

懇親会で 懇親会で

二人は体つきも似てるし、見間違うこともあるだろう。眞須美さんはそのことを知っていたのではないか。でも言えない。だから、自分の胸にしまっておいて裁判をやるしかない。

眞須美さん支援の集会に来ている人の中でも、そう思ってる人もいるだろう。

しかし、息子は、キッパリと言う。「それは絶対にありません。母はそんなに繊細ではありません。娘が怪しいと思ったら、すぐに本人にぶつける。その後から考え」。なるほどと思った。

昔、「火曜サスペンス劇場」では、そんな事件がよくあった。

それと、最近、ネット上で言われていることだが、あのカレー事件のあった頃、ヒ素を持ってる人はいなかったのか。ほとんどいない。

映画「ベースメント」の舞台挨拶。7/21(金) 映画「ベースメント」の舞台挨拶。7/21(金)

だから、それを持ってた人が、まず疑われたのだ、と言う。

我々の回りだっていない。人を殺すなんて、そんな危険な薬を持っていない。

ところが、あの事件が起きた頃、ヒ素を持ってた人、家庭は随分とあったのだ。シロアリ駆除とか害虫駆除のために持ってる人が、かなりいた。

林さんの家でもシロアリ駆除の仕事をしてたので、ヒ素があったのだ。

又、和歌山ではミカンが作られていて、ミカンを甘くするためにヒ素を肥料として使うという。

又、魚を捕る時に、ヒ素を固めて、エサにしてたという。和歌山ではかなりの家にヒ素があった。

私も挨拶しました
私も挨拶しました

③ヒ素はかなり使われていた

右が監督の井川さん
右が監督の井川さん
司会の瀧沢さん(左)が頑張ってました
司会の瀧沢さん(左)が頑張ってました
小林よしのり『明治日本を作った男達』 小林よしのり『明治日本を作った男達』

又、それは薬局や農協などで堂々と売られていた。

別にヒ素として売られているのではない。「殺虫剤」「殺鼠剤」として売られていたのだ。その地方の何割かの家にはヒ素があったという。

だから、よく事故、事件もあった。猫がヒ素で殺されたり、池のコイが殺されたりする事件だ。本当に効くのかどうか、試してみたのだろう。

イタズラかもしれないが、すごい効果だ。

あのカレー事件だって、そんな「イタズラ」としてやられた可能性がないとは言えない。

事件当時、警察は「ヒ素を持ってる家なんてない。だから持っていた眞須美は犯人だ」とばかりに発表した。マスコミもそれに倣った。

平野悠『TALK is LOFT』 平野悠『TALK is LOFT』

でも全く違うのだ。初めに眞須美=犯人ありきで、あえて「話」を作っていたのだ。その点を、私は河合さんに聞いた。

前に『紙の爆弾』で、二人の対談をやったが、それがよかったので、第二弾をやってくれと言われて、この日、やったのだ。

いろんな風評、ヒ素はどれだけあったのか。同じヒ素かどうかは、どう鑑定するのか、などを聞いた。

又、これからの闘い方などについても聞いた。司会は、国賠ネットをやっている杉山寅次郎氏だ。

これは、とてもよかったと思う。

④笹倉先生の講演には感動した

平野さんと見沢知廉氏
平野さんと見沢知廉氏
平野さんと鈴木
平野さんと鈴木
若松さん。植垣さん。鈴木 若松さん。植垣さん。鈴木

又、初めに講演してくれた笹倉先生の話もよかった。

アメリカでの法科学者の実態を研究し、発表してくれた。

裁判で公表するのだから、絶大な影響がある。その力を自覚し、責任を認知している。日本の学者とは覚悟が違うと思った。

「科学鑑定とえん罪」のテーマで話をしてくれた。

それと、驚いたことに、この日、眞須美さんの夫である林健治さんが車イスに乗って、駆けつけてくれた。本当に久しぶりにお会いした。

ヒ素を使った保険金詐欺事件で逮捕され、刑務所に入れられて、出てからは病院生活だ。やっと退院したという。

「でも、声があまり出ないんです」と小さな声で喋る。

「この前、息子さんがテレビに出てましたね。とても立派になって」と言いました。

私は健治さんには何度も会い、この人の言葉で、カレー事件はえん罪だと思ったのだ。

三浦和義さん 三浦和義さん

林さん夫婦は、他の人も巻き込んで、ヒ素を自分たちで飲み、入院し、それで、保険金を手に入れてきた。保険金詐欺だ。

勿論、悪いことだ。それで逮捕、刑務所に行っている。

その詐欺事件で何億と金が儲かった。「それなのに、何で、一銭にもならない殺人をしますか?」と健治さんは言ったのだ。それはリアリティがあると私は思った。

そして当時、北芝健さんたちと週刊誌に出て、「林眞須美は無罪だ!」という話もした。

さらに、三浦和義さんのあとを継いで「林眞須美を支援する会」の代表にもなった。

眞須美さん「えん罪」の確証を与えてくれたのが、健治さんだ。その話を思い出して、集会でも言った。

健治さんも挨拶してくれた。元気そうだった。河合さん、笹倉さんの話でも、力を得た。又、ネットなどにも、「えん罪」をうかがわせるニュースがある。

光が見え出した。元刑事の飛松さんもいる。強力な助っ人が次々と現われる。

8月上旬には、現地・和歌山で事件現場を見学する企画もある。事件のあった公園、林家があった場所(放火されて家はない)、そして集会もあるという。何とか私も出席しようと思っている。

宮台真司、深作欣二、若松孝二
宮台真司、深作欣二、若松孝二

【だいありー】

  1. 7月24日(月)一日中、家で仕事をしていた。
  2. 7月25日(火)午前中、原稿。
     昼から図書館で勉強。
  3. 7月26日(水)午前中、原稿。
     午後2時、取材。
     夜、雑誌の対談。
  4. 7月27日(木)午前中、原稿。
     午後2時、喫茶店「ミヤマ」の会議室。編集者と打ち合わせ。
     5時、河合塾コスモ。学校は夏休みだが、フェローの福田さんたちと寺脇研さん脚本の芝居「ゴールデン街酔歌」を観に行く。松元ヒロさんも出ていた。
     終わって、いろいろと話をしました。
  5. 7月28日(金)11時、ホテルサンルート高田馬場。「アエラ」の編集者と打ち合わせ。
     夕方6時、千駄ヶ谷区民会館へ。「日本会議の実態と森友事件の真相」。菅野完さんの講演会があり、聴きに行く。分かりやすいし、とても勉強になった。
     終わって、菅野さんたちと打ち上げに出ました。
  6. 7月29日(土)午前中、原稿。
     昼から、阿佐ヶ谷ロフトに行く。
     1時から「生誕祭」。沢山の人が来てくれました。とても盛り上がりました。詳しくは、次のHPに書きましょう。
  7. 7月30日(日)仕事で福島に行く。

【写真説明】

講演する笹倉先生。7/22(土)

①7月22日(土)和歌山カレー事件を考える会です。笹倉香奈さんの講演。「科学鑑定とえん罪」。とてもいい講演でした。

河合先生の講演

②河合潤教授の講演。

杉山氏、鈴木、河合先生

③河合先生と私の対談です。司会は杉山寅次郎氏。

多くの人が集まりました

④多くの人が集まりました。

林健治さんも来てくれました

⑤林眞須美さんの夫で、林健治さんも車イスで駆けつけてくれました。

記者に囲まれ、質問されてました

⑥新聞記者もドッと来て、取材してました。

眞須美さんの手紙が読まれました

⑦眞須美さんの手紙が読み上げられました。

笹倉先生、安田弁護士と

⑧笹倉先生。安田弁護士と。

懇親会で

⑨懇親会で。右は河合先生ですね。

映画「ベースメント」の舞台挨拶。7/21(金)

⑩7月21日(金)。映画「ベースメント」の舞台挨拶です。監督や出演者がそろって挨拶しました。

私も挨拶しました

⑪私も挨拶しました。

右が監督の井川さん

⑫右が井川監督です。

司会の瀧沢さん(左)が頑張ってました

⑬瀧沢さんが司会で、頑張ってました。

小林よしのり『明治日本を作った男達』

⑭小林よしのりさんの『大東亜論』(小学館)はすごいですね。私も教えられ、勉強になりました。「大東亜論」第三部が出ました。『明治日本を作った男達』です。すごいです。

平野悠『TALK is LOFT』

⑮平野悠さんの著書。『TALK is LOFT=新宿ロフトプラスワン事件簿』。これはすごい本です。日本の闘論の歴史です。日本の文化人、言論人が全て出ています。

平野さんと鈴木

⑯平野悠さんと鈴木。

若松さん。植垣さん。鈴木

⑰若松孝二監督。植垣康博さん。鈴木。連赤事件について語り合ってます。

平野さんと見沢知廉氏

⑱見沢知廉氏もいます。懐かしいですね。

宮台真司、深作欣二、若松孝二

⑲これも豪華ですね。宮台真司さん。深作欣二監督。若松孝二監督。映画「バトル・ロワイヤル」の公開記念イベントの時です。

三浦和義さん

⑳三浦和義さんも出てました。「闘う人」でしたね。懐かしいです。

【お知らせ】

  1. 8月8日(火)一水会フォーラム。講師・新垣毅氏(琉球新報社報道部記者)。「沖縄の現状を考える」。
  2. 8月19日(土)「ベースメント」。シネマスコーレ(名古屋)で。6時からの回の終了後、舞台トーク。
     主演の増田俊樹さんと鈴木邦男、瀧沢さんのトークがあります。
  3. 8月27日(日)8月に狛江映画祭があり、その中で「天皇と軍隊」を上映し、この日はトークも行います。主催者と、ゲストの鈴木邦男です。
  4. 9月2日(土)午後3時より、盛岡で佐高塾。私も講演します。
  5. 9月5日(火)。ロフトプラスワン。午後7時。上祐史浩さん(「ひかりの輪」代表)と私の特別トークがあります。そこに、元公安調査庁にいて、イスラム教に改宗して、公調を辞めた西道弘さんが特別出演します。今年初めの『週刊ポスト』にも、〈公安調査庁 国際テロ担当が「イスラム教に改宗」大騒動〉と出てました。テロ、宗教、右翼、左翼をめぐり、大討論が行われると思います。ご期待下さい。
  6. 9月8日(金)劇団「再生」。見沢知廉十三回忌追悼公演でプレトーク。午後6時半より。高木尋士氏と鈴木。(9月7日の予定でしたが、プレトークは8日に変わりました)。
  7. 9月11日(月)午後7時。一水会フォーラム。ホテルサンルート高田馬場。講師・伊勢崎賢治氏(東京外国語大学教授)。演題「主権なき平和~地位協定の国際比較と自衛隊PKOから見る日本の姿」。
  8. 9月15日(金)青森県弘前市で講演です。