2017/10/09 鈴木邦男

啄木、賢治に会いに行った!

①青森と岩手は作家・詩人が多い

青森県からは偉大な作家、芸術家が出ている。太宰治、寺山修司などだ。

私はその全ての生家、記念館に行った。

イエス・キリストのお墓にも行ったし、その追悼祭にも出席した。イエスは実は日本に亡命し、青森県に来て、そこで、ひっそりと亡くなった。という伝説があるのだ。

又、ピラミッドもあるし、青森はミステリーランドだ。

東北にはもう一つ、不思議な県がある。岩手県だ。

国民的歌人の石川啄木がいる。又、誠実な宮沢賢治がいる。

この二人で、岩手の人々はずっと守られているのだ。

それに岩手には、いろんな記念館、博物館がある。これは驚くほどだ。

啄木記念館、宮沢賢治記念館は勿論だが、「原敬記念館」、「与謝野晶子記念館」「千利休茶の湯館」などもある。

それに、変わったところでは、「盛岡市先人記念館」というのもある。

こういう記念館は、他にはない。これらも私は見て回った。

9月に盛岡で講演会をやった時は時間がなくて、どこも行けなかった。

しかし、4年前、ここで日教組の人たちに呼ばれて講演した時は、かなり回った。

原敬記念館、先人記念館は特に感動した。

他にも県立美術館とか、いろんな記念館、美術館がある。

では、この「盛岡市先人博物館」だ。〈明治期以降に活躍した盛岡ゆかりの先人130人を紹介〉と書いている。

超有名な人たちは、個人で特別コーナーがある。

「新渡戸稲造記念館」「米内光政記念館」「金田一京助記念館」などだ。

さらに、「政治に生きた人々」「社会の近代化につくした人々」「学術・教育に生きた人々」「芸術・文化に生きた人々」…と分けて、総数130人を紹介している。

故郷の先人をそれだけ愛し、丁寧に紹介している記念館は他にはない。これは素晴らしいと思った。

かなり見て回っているが、まだまだ行ってない所がある。

それで急遽、又も岩手に行って来た。9月30日(土)、10月1日(日)だ。

東北新幹線で盛岡に行き、そこで昼食。

「山猫軒」に入りました
「山猫軒」に入りました

駅前に「山猫軒」がある。宮沢賢治の小説にある。人間が食べに入るが、逆に「食べられてしまう」という食堂だ。

でも駅前にあるんだ。まさか食べられないだろう。思い切って入る。

「わんこソバセット」(13杯)に挑戦
「わんこソバセット」(13杯)に挑戦

「わんこソバセット」を頼む。わんこソバが13杯も出てくる。頑張って食べたが、残してしまった。

それからバスで、石川啄木記念館へ。

「石川啄木記念館」で。9/30(土)
「石川啄木記念館」で。9/30(土)

あれ、電車に乗ったのかな、銀河鉄道だ。ここであの「渋民」で降りる。啄木は「渋民村」に住んでいた。

渋民村を歌った歌も多い。

「渋民」駅です
「渋民」駅です
 
〈かにかくに 渋民村は 恋しかり おもひでの山おもひでの川〉

②啄木の「渋民村」へ行った

啄木と並んで
啄木と並んで
小学校で
小学校で
啄木と子供たち
啄木と子供たち
空まで幻想的です
空まで幻想的です
夕焼けも美しい
夕焼けも美しい
啄木の生家で 啄木の生家で

昔は、「渋民村」といった村だったが、今は合併して盛岡市になったという。ちょっと味気ない

。石川啄木記念館は立派だ。近くに小学校も置かれている。啄木が教えた学校だ。

いろんな資料もある。絵葉書もあるし、本もある。

啄木は盛岡の他に、函館にもいたし、小樽にもいた。そこにも記念館がある。それらも全て行ってみた。

今、記念館のパンフレットを見ている。紹介されている歌がいい。

 
〈新しき明日の来るを信ずといふ 自分の言葉に嘘はなけれど〉
〈ふるさとの山に向かひて言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな〉
〈東海の小島の磯の白砂に われ泣きぬれて蟹とたはむる〉
〈不来方(こずかた)の お城の草に寝ころびて 空に吸はれし十五の心〉
〈砂山の砂に腹這(はらば)ひ 初恋の いたみを遠くおもひ出づる日〉

いいですね。啄木の歌は皆、いい。それにバリエーションが豊かだ。

望郷、親孝行、恋愛、さらに社会への不満、革命願望まである。

反逆的な歌は、戦前・戦中は紹介されず、戦後になってから大々的に紹介されたという。

私らが学校の教科書で習ったのは、親孝行の歌が中心だった。

 
〈たはむれに 母を背負ひて そのあまり  軽きに泣きて 三歩あゆまず〉

又、いくら働いても貧乏から抜けられないと嘆く歌もあった。

 
〈はたらけどはたらけど猶(なほ) わが生活(くらし)楽にならざり ぢつと手を見る〉

こういう歌は皆、知っている。

でも我々は、それ以上のことを知ってしまった。知らなくてもいいことを知ってしまったのだ。ネット時代の不幸な人間のように。

貧乏を嘆き、親孝行をする啄木。でも、そう教わってはいるが、実は違っていた。そのことも、我々は教えられている。

学校の先生が教える。いろんな本で読む。映像で見る。

ああいう風に歌に詠んだが、本当は仕事をサボって、ロクに働かなかったんだ。実は母親を背負ったことなんて一度もなかったんだ…と。「偽善」だったのか。

そのようにして我々は啄木を見ている。

ドナルド・キーンは、そういう日本人の冷たさに怒っている。

日本人は皆、啄木を「歌は多く歌ったが、人間的にはダメな男だった」と馬鹿にしている。

しかし、啄木は世界でも稀な歌人だ。そして中世から続く、日本の日記文学を唯一正しく継承した人間である。と言う。

そして、『石川啄木』という500ページもある大著をあらわしている。

これを読んで、啄木に対する評価が変わった。やっぱり啄木は偉大だよ。と思った。

そして、この本の書評を、週刊『アエラ』に書いた。ドナルド・キーンさんはとても喜んでくれた。

この本に皆、感動するが、余りに長いので、完全には読み切れない。だから書評をやった人はほとんどいない。それで喜んでくれたのかもしれない。

新潟県までキーンさんの講演に行った時も、会って話してくれた。又、東京でも話してくれた。石川啄木の話だ。

又、キーンさんは三島由紀夫の最大の理解者であり、二人は最も理解し合えた友人だったと思う。そんな話もした。

今回、啄木の記念館や、学校を見て、考えた。

よし、啄木のものは、歌に限らず、小説なども含めて、全て読んでみようと思った。

③賢治ワールドで二日、遊び、学んだ

宮沢賢治記念館。10/1(日)
宮沢賢治記念館。10/1(日)
山荘で
山荘で

啄木が終わってから、今度は宮沢賢治記念館に行った。

賢治は、若くして亡くなった。とても真面目で、誠実な人だった。生涯、独身だったし、童貞だった。

記念館の入口には「セロ弾きのゴーシュ」が立っている。小学校の時、この映画を観たな。と思い出した。

「賢治の学校」で
「賢治の学校」で

「賢治の学校」などもある。「童話村」もある。かなり広いところに、賢治ワールドが沢山置かれている。

夜は、ライトアップされて、とてもきれいだった。だから30日の夜と、1日の午前中に、2回来た。

「賢治の学校」で夜のライトアップ。9/30(土)
「賢治の学校」で夜のライトアップ。9/30(土)
これもそうです これもそうです

ここは、本当に心が洗われるようだ。前から、来なくっちゃ、と思っていた。やっと来れた。長年の宿願を果たしたようだ。

ここからさらに足を延ばすと、平泉がある。中尊寺がある。私は大学生の夏休みに毎年、来ていた。

ここで「生長の家の高校生錬成会」があり、その手伝いで来てたのだ

。別に中尊寺に泊まるわけではない。民家のようなところに泊まった。でも中尊寺、金色堂などは、毎年見られて感動した。

あとは、さらに海に出て、リアス式海岸をずーっと回ったこともあった。岩手は結構、来てるんだ!

宮古では、毎年、「新選組まつり」をやってるという。

新選組の土方歳三が賊軍(薩長)の軍艦を奪って、函館まで行くのだ。海賊をやったのだ。その勝利を記念して、新選組を追悼するのだ。

去年、来ようと思ったが、用事が出来て来られなかった。来年にでも挑戦してみよう。

さて、賢治だが、9月30日(土)の夜に、会館のライトアップを見て、翌日は午前中、賢治記念館、童話村などを見て回った。

前日は「わんこソバ」セット(13杯)を食べたし、お腹は一杯だ。元気に見て回りました。

賢治の小説や詩などは、かなり読んでると思うが、きちんと計画的には読んでない。全集を揃えて、読破しよう。

啄木もそうだが、この2人は深い。そして優しい。世を変える原点ですよ。そんなこんなを考えました。

「田んぼアート」を見ました
「田んぼアート」を見ました
見事な「作品」です
見事な「作品」です
「南部杜氏伝承館」で
「南部杜氏伝承館」で
「酒アイスクリーム」を食べました
「酒アイスクリーム」を食べました

【だいありー】

10.1パレスチナ連帯集会
10.1パレスチナ連帯集会
記念講演の藤田進さん
記念講演の藤田進さん
挨拶する足立正生さん
挨拶する足立正生さん
パレスチナの現状が紹介された
パレスチナの現状が紹介された
祈る人々
祈る人々
私も取材された
私も取材された
懇親会で
懇親会で
  1. 10月2日(月)午前中、原稿。
     午後2時、取材。
     4時、打ち合わせ。
     夜は家で仕事。
  2. 10月3日(火)午前8時13分東京発の新幹線に乗る。
     9時54分名古屋着。メナード美術館が開館30年記念で世界のビッグな美術品を展示している。ピカソ、マネ、モネなどだ。感動的だった。
      そのあと、名古屋城に登ってから帰る。
名古屋城で。10/3(火)
名古屋城で。10/3(火)
名古屋城の展示室
名古屋城の展示室
  1. 10月4日(水)午前中、原稿。
     午後2時、取材。
     6時より、平河町の都市センターホール。「福島みずほ 未来をつくり、希望をつなぐパーティ」。
     沢山の人が集まってました。期待が大きいのです。
  2. 10月5日(木)午前10時、出版社との打ち合わせ。
     昼から河合塾コスモに行き自習室で勉強。
     3時、「現代文要約」。
     5時、「読書ゼミ」。今日は網野善彦の『歴史を考えるヒント』(新潮文庫)を読んだ。いい本だった。考えさせられた。
  3. 10月6日(金)午前中、原稿。
     午後1時、ホテルサンルートで「アエラ」の編集者と打ち合わせ。
     夜、座談会。
  4. 10月7日(土)福田文昭さんの写真展に行く。午前10時、JR平井駅から徒歩7分、「さくらワンダールーム」で。福田氏が、「かつて元気をもらった」政治家、芸術家など30名の写真を展示する。美空ひばり、菅原文太、平岡正明、野坂昭如などもいる。田中角栄のスクープ写真もある。
     それから急いで渋谷に行き、1時、待ち合わせ。2時から渋谷の「伝承ホール」。「響かせあおう死刑廃止の声2017」にでる。よかった。
  5. 10月8日(日)朝6時16分発の北陸新幹線で石川県に行く。
     8時46分、金沢に着く。岩井さんと車で七尾へ。七尾で、学生時代の後輩・布清信君と合流。
     それから、学生時代ののお世話になった「生長の家学生道場」の道場長先生、寮母さんの実家に行く。お二人とももう亡くなられている。お墓参り。
     もうお孫さんの代になっていた。私は、お二人にはものすごくお世話になった。

【写真説明】

「石川啄木記念館」で。9/30(土)

①9月30日(土)。岩手県花巻市にある「石川啄木記念館」に行きました。素晴らしかったです。

「渋民」駅です

②盛岡から銀河鉄道に乗って渋民で降ります。昔は岩手県渋民村といいましたが、今は合併で花巻市になってます。だから「村」はありません。花巻市渋民です。

啄木と並んで

③「石川啄木記念館」で。玄関で啄木さんが迎えてくれました。よく出来た人形です。

小学校で

④この近くに小学校がありました。ここで啄木は教えていたんですね。

啄木と子供たち

⑤学校の生徒たちと啄木ですね。いい銅像です。

啄木の生家で

⑥啄木の生家もありました。移転して来たんでしょう。

空まで幻想的です

⑦空を見上げたら、雲まで幻想的、童話的でした。こういう空を毎日、見上げていたので、ああいう詩や小説が生まれたんでしょう。

夕焼けも美しい

⑧これは夕焼けです。とてもきれいでした。

宮沢賢治記念館。10/1(日)

⑨次は宮沢賢治記念館に行きました。さらに翌日の朝に行ったんですよ。

「賢治の学校」で

⑩これは「賢治の学校」。名前のつけ方が面白いですね。

山荘で

⑪これは賢治記念館のバルコニーに出た所ですね。山の上ですし、とても見晴らしがいいです。ここで、賢治について考えてます。

「山猫軒」に入りました

⑫「山猫軒」があったので入りました。小説の通りだと、こっちが食べられるようですが、ここでは、そんなことはないでしょう。

「わんこソバセット」(13杯)に挑戦

⑬すごいメニューでした。一番人気は「わんこソバ」セットでしょうね。メインのソバの他に、なんと13ヶの丼がつくのです。これを食べるのは、決死の覚悟がいります。

「田んぼアート」を見ました

⑭「田んぼアート」を見ました。前は埼玉や他の地方でも見たことがあります。これは出来てから、色を塗るのではありません。初めから色の違った苗を植え付けて…。大変です。だから、すごいアートなんです。

見事な「作品」です

⑮見事なアートです。

「南部杜氏伝承館」で

⑯「南部杜氏」伝承館です。岩手は日本で一番、酒造りの杜氏が多いのです。酒造りで有名な所でも、実は岩手の杜氏が造っていると言います。とても勉強になりました。試飲コースもあって、飲みました。

「酒アイスクリーム」を食べました

⑰ここには、「酒アイスクリーム」もありました。他では、どこでも売ってません。おいしかったです。

「賢治の学校」で夜のライトアップ。9/30(土)

⑱これは前夜に見て来ました。ライトアップされて、とてもきれいでした。

これもそうです

⑲これもそうです。

10.1パレスチナ連帯集会

⑳これは、帰ってすぐに行きました。「10.1 パレスチナ連帯集会」です。文京シビックホールです。講師の藤田進さんが話してます。

記念講演の藤田進さん

㉑記念講演の藤田進さん(中東近現代史研究)。

挨拶する足立正生さん

㉒足立正生監督が元気に挨拶してます。

パレスチナの現状が紹介された

㉓パレスチナの映画が上映されました。「ハンダラ少年--透徹した視線が射抜く世界」。厳しいパレスチナの現状が紹介されました。

祈る人々

㉔犠牲になった人々に祈る人々です。

私も取材された

㉕終わって、私も取材されました。

懇親会で

㉖「サイゼリア」で懇親会が行われました。

名古屋城で。10/3(火)

㉗10月3日(火)、名古屋に行きました。「メナード美術館」30周年で国内外の大作を集めて展覧会をやってました。ピカソ、ミロなど、すごい迫力でした。そのあと、名古屋城を見て帰りました。

名古屋城の展示室

㉘壁の巨大な石を引く人々です。大変です。お城は美しいだけではありません。

【お知らせ】

  1. 10月10日(火)一水会フォーラム。6時半。ホテルサンルート高田馬場。講師は白井聡さん。
  2. 10月12日(木)〜16日(火)。「笑の内閣」が公演。「名誉男性鈴子」です。こまばアゴラ劇場です。チケットは3200円。
  3. 10月13日(金)恵比寿の日仏会館ホールで。『世界はなぜ過激化するのか?』(藤原書店)を書いたF・コスロカヴァールさんと対談します。6時30分より。この本を翻訳した池村俊郎さん(帝京大学教授)が司会をします。世界のテロについての分析と、どうしたらこの状況を変えられるのか。それについて語り合います。
    申し込み・問い合わせは、03(5454)6401。
  4. 10月30日(月)テレ朝で午後1時より出ます。
  5. 11月11日(土)四日市。森田必勝氏のお墓参りに行く予定です。
  6. 11月18日(土)午後1時30分。岡崎商工会議所大ホール(岡崎市竜美南1丁目)で。青木理氏と鈴木邦男のトークセッションがあります。「私たちはどこへ向かうのか=危険な空気に抗う」。
  7. 11月24日(金)三島・森田両烈士追悼祭。
  8. 11月25日(土)「憂国忌」。
  9. 12月6日(水)日ロ友好大会。
  10. 12月10日(日)、日大の映画祭に出ます。
  11. 2018年1月6日(土)名古屋読書会に出ます。午後1時30分より5時30分まで。場所はいつもの会場。「ウィルあいち」です。そのあと、懇親会です。テキストは、私の『天皇陛下の味方です』(バジリコ株式会社)です。