岩波書店のWEB連載「3.11を心に刻んで」に私の文が載ってます。こちらもご覧下さい。
https://www.iwanami.co.jp/news/n22692.html
仙台で11月26日(日)に映画の上映とトークをやった。
大正アナキストを描いた「エロス+虐殺」だ。それを観てから、康芳夫さんとトークをした。
康さんは「虚人」と呼ばれ、「変な人」「ウサンくさい」と思われることが多いが、実際は、真面目な人だ。本質を考え続けている人だ。表面的には「虚人」として報道され、それを楽しんでいる心の大きさもある。
モハメド・アリを呼び、日本で猪木と試合をさせた。「呼び屋」の顔がある。
人間と猿のハーフのオリバー君を日本に連れてきた。又、ネス湖に行って「ネッシー」を捕らえるチームを作った。その他、いろんな〈虚〉を打ち出し、〈虚業家〉と言われた。
でも、沼正三の『家畜人ヤプー』を発表し、日本だけでなく、世界に衝撃を与えた。
自国民への批判は「自虐」と言われるが、これでは東洋人への批判、いや、人間そのものへの批判、罵倒だった。「反人的」であり、「非人的」なのかもしれない。
これに三島由紀夫は驚き、絶讃した。そこから二人の友情は生まれたと思う。
又、康さんがやっていた出版社には「楯の会」の森田必勝ら数人がバイトに来ていた。
そんなこともあって、康さんは三島と「楯の会」については詳しいし、個人的思い出もある。だから、かなり詳しい話になったし、(私にとっては)高度な話になった。「三島論」であるし「天皇論」にもなった。
康さんは2.26事件と北一輝のことについても話す。
三島は2.26事件への関心から、右翼運動に興味を持ち、「楯の会」を作ることになった。2.26に関する作品もいくつか書いている。『憂国』『十日の菊』『奔馬』『英霊の聲』などだ。
「でも北一輝は三島にとっての最大のライバルですよ」と康さんは言う。
ライバルというよりも、〈敵〉だったのかもしれない。北一輝は〈左翼的〉な考えを持っていて、今でも左翼の人の間には人気がある。三島も北も似たところがあると思われている。
しかし、違うという。私も違うと思う。その辺のとこを詳しく聞いた。
仙台で康さんと会った時、「今度、新宿で月一回、トークをやるので、出て下さいよ」と言われた。
12月からスタートし、私は1月13日(土)に出ることになった。〈虚人奇談会 歌舞伎町〉という。午後6時から、歌舞伎町ブックセンターでやる。歌舞伎町2丁目28−14(tel:03-6380-2259)だ。又、三島と「楯の会」の話を聞きたい。
又、森田必勝や、持丸博、阿部勉など「楯の会」の人間たちもよく知っていた。康さんが考える「楯の会」論。そして決起について考えてみたい。
そういえば、若松監もは左翼だと思われていたし、だから、日本赤軍、PFLP、連合赤軍の映画を撮った時は、応援・支援する人が多かった。
ところが、その後、三島事件の映画を撮った。「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」だ。
左翼の人たちの反応はよくなかった。「何で右翼の映画を撮るんだ」「左翼の映画をずっと撮ってきたのに、何で又、ここで転向するんだ!」と。
でも違う。「左の映画がやりたい映画で、右は観る人が多そうだからやった」と言う人がいるが、本当に撮りたいのは三島映画だった。そのために、左翼の映画を何本か作り、「地ならし」をし、資金を作った。そんな気がする。
又、三島のことは評価しながらも、森田のことを特に評価していた。「三島よりも森田の方が偉いよな」と言っていた。そんな若松監督の思いが映画になったのだ。
仙台では「エロス+虐殺」だったが、大杉栄、伊藤野枝の話よりも三島の話の方が多かった。
1月17日には又、康さんと話をするが、三島のことを中心にやりたい。
そうだ。12月10日(日)には、日大映画研の人が主宰する映画祭に出て喋った。ズバリ、「11.25自決の日」と、この上映のあとで話をした。ユーロスペースだった。
これは、全体のテーマが「映画と天皇」だ。そして、そのテーマに沿った上映作品が実にいい。私も全部観たいくらいだ。〈現役日芸生による〉〈さらば平成〉と銘打っている。
「行きゆきて神軍」「新しい神様」ソクーロフの「太陽」「天皇と軍隊」と、ゾクゾクするほどの内容だ。
「新しい神様」は雨宮処凛が右翼バンドを作り、「新しい神様」になるまでだ。衝撃的だ。
又、古い名作もある。「日本のいちばん長い日」「軍旗はためく下に」「拝啓天皇陛下様」「明治天皇と日露大戦争」。そして「戦ふ兵隊」「日本の悲劇」「日本敗れず」というレアな作品もある。
又、私が最も驚いたのが「孤独の人」だ。これは多分、他では絶対に観られないだろう。よく上映するものだと思った。
テレビではやれないし、レンタルビデオ店にもないだろう。だって、皇太子さま(現天皇)と御学友の学生時代を描く。実際にあった「銀ブラ事件」を中心に皇太子さまの生活を描く珍しい作品だ。
これだけだろう、皇太子さまが映画になってるのは。では誰が演じているのか、どう演じているのか。
それは映画の秘密だが、随分と工夫されている。これは本当に観る価値があると思いますね。
〈平成が終わる前に観客やトークゲストと共にじっくり「天皇」について考えること。これは、私たちの現在、そして明日についての考えを巡らせることでもあるだろう〉
と、「映画祭企画学生一同」は書いている。その意気や、よしだ。
次いで、12月1日の辻元清美さんのパーティについて話そう。
午後5時から憲政記念館で行われた。第1部はトーク。第2部は懇親会だった。
ものすごい人が集まった。今一番の人気がある。そして実力がある。選択眼も確かだ。失墜した小池さんとは違う。
もし、あの時、辻元さんだったら、躊躇なく、衆院選に出ただろう。そして「当選したら女性で初の首相になる!」と皆は考えただろう。
そうしたら、「希望の党」のやる気も伝わる。マスコミ、国民の認識も変わる。一気に政権交代、女性首相になったのに、残念だった。辻元さんだったら、やってたね。
だから、女性としての首相は、多分、辻元さんが先だね。12月1日の熱狂を見て、そう思いましたね。
第1部は、長妻さんとのトークで、これからの立憲民主について、政治について、日本について夢を語る。
第2部はパーティだ。この時となると、さらに人は増え、会場に入り切らない。
全ての政党の人がいる。この人には会っておかなくては…と皆、思うようだ。公明の太田さん、共産の穀田さん。多くの人と会って話をした。皆、辻元さんへの期待を語る。
こんなに多くの人に愛され、支持されているんだ。すごい人ですよね。辻元さんは。
自民党の森元首相、河野外相も来ていた。昔、「自社さ」連立政権の時は一緒に与党だった。又、与党に戻ってきて下さいよ、と言われていた。
私も挨拶した。彼女が国会議員になる前、早大生でピースボートをやっていた頃から知っている。
朝生や「朝日ジャーナル」で対談した。考え方は違っても、ズバリと言うし、卑怯な手は使わない。正々堂々とやる。だから、爽やかだ。
前の衆院選の時に頼まれて、高槻まで応援演説に行った。「ネトウヨに嫌がらせをされてる」と言っていた。
こういう卑怯なやり方は嫌だね。堂々と本人の眼の前でやったらいい。しかし、そんな勇気はないらしい。
今回の選挙では小林よしのりさんが応援に行っていた。すごいですね。かつては「ゴーマニズム宣言」で徹底的に馬鹿にしてたのに、今は「辻元支持」だ。
そして前の日は新宿で一緒に立民の応援演説をした。
前・湖西市長の三上元さん、そして菅直人さんと新橋で会って飲んだ時、三上さんが言っていた。「東京新聞に大きく出てましたね。小林よしのりさんと鈴木さんが応援したって。あれで流れが変わったんですよ。ありがとうございました」と。三上さんも立憲の応援をしていた。
それで、東京新聞を探したが、書いたものが見つからない。そしたら、やっと見つかった。河合塾コスモの福田さんが見つけてくれたのだ。ありがとうございました。
「東京新聞」10月31日(火)で「こちら特報部」に載っていた。しかも2ページの見開きで、大々的に載っていた。
〈立憲民主 躍進の理由〉
〈下からの民主主義実感〉
〈自民、希望と対照的、「一緒に戦おう」〉
〈「草の根」で1強に挑む〉
〈地域で対話、組織票を崩す〉
と見出しが踊っている。
他の政党は「上から目線」だ。ところが立憲は違う。「上から下から」ではないし、「右とか左とか」関係なく応援弁士が駆けつけた。
というよりも、新宿で行われた選挙演説の時は、「応援」が(元右派)の2人だけだった。左派、リベラルはいない。小林よしのりさん(漫画家)と私だけだった。それで、さらに熱狂的な雰囲気になった。
「東京新聞」ではこう書かれている。まず、私が喋った。
〈新右翼「一水会」元代表の鈴木邦男氏は街頭で「立憲民主党は名前がいい。かつての自由民権運動を思い出す。夢と希望を持った党名ですよ。ものすごく人気なのは、ただの判官びいきということではない。自由な言論を取り戻そうということだ」と熱弁を振るった〉
〈保守派の論客として知られる漫画家の小林よしのり氏は「民主主義というものは暴走するんです。安倍政権を見れば分かるでしょう。いちおう民主主義で選ばれたが暴走している。それをどうやって防ぐか。立憲主義ですよ」と強調した。どうやら、言論の自由や立憲主義が守られなければ、との思いが、彼らを応援に駆り立てたようだ〉
そして、小林氏は「枝野立て!」という声に押されて、立憲を作った。まさしく「下から」の動きと言えるもので、勝てると確信していた。すごいですねー。
それにしても、東京新聞の「こちら特報部」は実に内容があるし、よく出来ている。取材もちゃんとしている。
ということで、今週は終わる。
①12月1日(金)。「辻元清美とともに歩む集い」が行われました。憲政記念館で。満員でした。第1部は午後5時開始。長妻昭さん(衆院議員)との対談。司会は杉尾秀哉さん(参議院議員)。そして6時過ぎから、懇親会。ものすごい人でした。
②辻元清美さんと。小林よしのりさんが辻元さんの選挙応援に行ったのです。高槻市で。その前の日は新宿で一緒に立憲民主党の応援をしました。ものすごい迫力でした。そういえば、その前の選挙の時は、私が高槻まで行ったんでしたね。思い出しました。
⑱翌12月3日(日)、瀧沢さん主宰の「読書会」が行われました。『私、天皇陛下の味方です』を皆で読んで、自由に話し合いました。「そうだ。前日、明大OB会に呼ばれて話をしたんですが、テキストは今日と同じ本でした」。いろんな意見も出て、楽しかったし、勉強になりました。