2018/01/01 鈴木邦男

読書で始まる新しい年

①今年は〈挑戦〉ですね

山平重樹『ドキュメント 新右翼』 山平重樹『ドキュメント 新右翼』

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

正月は1月6日(土)に、名古屋読書会がある。そして1月8日(月)には毎年恒例の高木さんとの「読書対談」がある。

これも最近はギャラリーが多くなって、「私は毎年、○○冊読んだ」「この本がよかった」といろいろと話す。いいことだ。

ただ、高木さんにすれば、それだけでは満足出来ない。もっと高い目標を掲げた、革命的な「読書対談」にしようと言う。

いいですね。賛成だ。私もそう思う。今までのノルマやルーティーンをただ「続ける」だけではダメだ。これではダメだ。こう変えよう!という変革の志がないとダメなんだ。

そういえば、私の「ノルマ式読書法」もかなり長い。1970年から始めた。

その前、私は学生運動の世界から追われて、田舎の仙台に移り、縁があって産経新聞に入った。その時のことは山平氏の『ドキュメント 新右翼』に詳しい。

マスコミの世界だし、皆、本を読んでるんだと思った。しかし、読んでない。

学生時代のような知的な刺激、雰囲気はない。野球賭博やギャンブルの話ばかりだ。

「いかんな、これでは」。ただのバカになってしまうと思った。

学生時代なら、「この職場を変えようよ」と思い、声を上げるところだ。

でも、運動の世界は終わっていた。それに「全体」を変えるのは大変だ。それよりは「自分」を変える方が手っ取り早い。

そこで、自分にノルマを課し、自分を変えた。「月に30冊、本を読もう」というノルマだ。

それから47年、曲がりなりにも実行してきた。

月に30冊読めない月もあった。でも他の月で頑張って、年の平均では「月30冊」を維持してきた。

それで、大丈夫だろう。それ以上に、何を望むのだ、と思う。それが高木氏との違いだ。

「いや、それでは現状維持ではないか」と言う。さらに、どんどん妥協していくだろう。年だから「じゃ、月に20冊でいいか」「長い本を読んでる時は、ノルマ制を外そうか」となる。

うん、そういう形で〈現実〉に妥協したくない。前に「週刊現代」だったかな、〈今までの10冊の本〉という企画があった。

その時考えた。もっと読むべき本はある。読まなくちゃならん本がある。そして〈10冊〉を選んだ。それは毎年、変わってない。

それに、「最後の読書」という企画もあった。最後の夕食じゃないが、人生最後の時に、何を読みたいか、何を読みながら、この世に別れて行くのか。そんな「楽しい本」ばかり挙げている。

子供の頃感動した本。彼女と知り合って初めて読んだ本。自分のデビュー作…と、いろいろだが、自分のデビュー作を読みながら、行っちゃうなんて、私はいやだ。逆に〈挑戦〉したいね。そんなことを書いた。

〈挑戦〉の内容だが、世界で最も長い小説を読んでみたい。日本で一番長い小説は、中山介山の『大菩薩峠』だ。世界で一番長いのは、何なのか。『失われた時を求めて』だったかな。ド忘れしたが、それを読んでみたい。

今、図書館でアトランダムに本を借りて読んでいる。

今、親鸞の本をテーマ別にして読んでいる。丹羽文雄の『親鸞』(全7巻)を読んだところだ。これは読みでがあった。

そうだ。生長の家の谷口先生も親鸞の本を書いたよな。と思い出して調べた。なんか、『親鸞の本心』だ。内容は忘れたが、もう一度読んでみよう。

先生は、親鸞には随分と関心と興味を持っていて、女性の問題、親子の問題など、人間的な問題でも悩み、苦しんだ。そんな人間的な関心があったのかもしれない。

アマゾンで探したがない。他のネットの本屋で探してみたが、1店だけあった。値段が高い。5千円だ。10倍以上になっている。

でも買った。欲しい本は、すぐに買っておかなくてはいけない。

そうだ。本を買う時はお金がかかるが、それを読むのもお金がかかる。わざわざ喫茶店に行ったりするからだ。

ファミレスに行き、メシを食ったり、酒を飲んだり、コーヒーを飲んだりする。それがないと、4時間もいられない。

高木さんとはそんな話をしよう。読書の時間、場所はどこで決めるか、だ。

電車に乗って山手線を一周する(これも1時間で)。あとは新幹線に乗って、用事がなくても博多まで行って、帰ってくる。本を読むだけに新幹線に乗る。いいじゃないか。一番贅沢な「読書法」だ。

それと、この前、ポスターを見たけど、「読書週間」というのがある。図書館で貼ってた。10月くらいかな。

だから、これを自分用にも作る。「今週は読書週間だから、電話は取りません、手紙も見ません。テレビも見ません」。

これで一週間、読書だけに専念する。かなり、贅沢な生活だ。

②「読書」が仕事だった人たち

大学を卒業してから、友人に電話した。

会おうよと言ったら、「今、朝から夜まで、束縛されてるんです。昼休みの1時間なら出られます」と言う。

ヘェー、会社に勤めているのか。そう思い、昼休みに会った。

「何の仕事してんの?」と聞いたら、仕事ではない。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を読んでいる。朝から晩まで偉いな、と思った。全く金の儲からないことで「束縛」されてるんだ。

でも本なんて、身動きの出来ないところでしか読めないよ。新幹線の中とか、飛行機の中とか。

だから、皆、各自の「読書週間」を作ったらいい。あるいは「読書月間」でもいいな。この間は読書以外は何もしない。いいですね。

あっと思った。いつも高木さんとの対談では「去年何冊読んだか」を発表し合う。

ウーン、手帳を見てみよう。1月50冊。2月30冊。3月45冊。4月30冊。5月53冊。6月60冊。7月52冊。8月32冊。9月32冊。10月31冊。11月38冊。12月76冊。で、合計で529冊。それを12で割った。44冊か。「月30冊」のノルマは達成している。それに、去年は月に40冊以上読んだ「優良月」がかなりあった。1月、3月、5月、6月、12月だ。

よく頑張って読んだな。と自分で自分を誉めてあげたい。

それと、今は、関心のあるテーマを決めて、本を読んでる。

保阪正康『三島由紀夫と楯の会事件』 保阪正康『三島由紀夫と楯の会事件』

今、丹羽文雄の『親鸞』(全7巻)を読み終わったところだ。

宗教学者や大学の先生が書いた本が多いが、小説家が書いたものだから、読みやすい。そして、結婚、追放、流浪、闘い、性、そして、息子との対立、義絶…と、刺激的なテーマが続く。

生長の家の谷口先生も、関心を持って書いてたな。今度釈徹宗さんに会ったら、いろいろと親鸞の話を聞いてみたい。まだまだ分からないことが多いのだ。

それに、今年のNHK大河ドラマは西郷だ。

憂国忌に行ったら、テーマが「三島と西郷」だった。あまり繋がりがないと思うけど…と思ったけど、でもあるのかな。「敬天愛人」とか、あと故郷の鹿児島に帰り、私学校の若者たちに持ち上げられて決起した。三島も似てると思った。

又、保阪正康さんの『三島由紀夫と楯の会事件』を読むと分かる。あの事件について書いた本の中で一番、正確で客観的な本だと思う。そして、「楯の会」の人間ドラマも書いている。今度又、話してみたいですね。

ということで、本と共に始まった今年だ。今年もよろしくお願いします。頑張って本を読みましょう。

1/14(日)。三島由紀夫生誕祭
1/14(日)。三島由紀夫生誕祭
恵観さんと。12/21(木)
恵観さんと。12/21(木)

【だいありー】

  1. 12月25日(月)昼の新幹線で名古屋に行く。
     4時から名古屋地裁で泉水博さんの裁判を傍聴する。面会を禁止されているのを不服だとして、我々原告団は裁判所に訴えた。それが何と「全面勝訴!」だった。すごい。弁護士の方、本当に大変でした。そのあと、別の裁判を起こしている。
     そのあと、弁護士さんと共に協議。泉水裁判の闘い方を話し合う。
雨宮さん。鈴木。平野悠さん。12/26(火)
雨宮さん。鈴木。平野悠さん。12/26(火)
一水会忘年会。12/26(火)
一水会忘年会。12/26(火)
  1. 12月26日(火)午前中、原稿。
     午後2時、ロフトの事務局に行く。雨宮処凛さん、平野悠さんと座談会。先頃亡くなった塩見孝也さんのことを話す。ロフトでやっているネットマガジンに載るようだ。
     そのあと、一水会事務局へ。6時から、忘年会。「温野菜」で。今年一年、よく頑張った、とねぎらいました。
加藤登紀子さんと
加藤登紀子さんと
鈴木。椎野夫人。加藤登紀子さん。椎野さん
鈴木。椎野夫人。加藤登紀子さん。椎野さん
加藤さん。椎野さん。鈴木
加藤さん。椎野さん。鈴木
椎野夫人と
椎野夫人と
小木戸利光さんと
小木戸利光さんと
加藤登紀子ほろ酔いコンサート。12/27(水) 加藤登紀子ほろ酔いコンサート。12/27(水)
  1. 12月27日(水)午前中、原稿。4時、「加藤登紀子ほろ酔いコンサート」を聞きに行く。
     よみうりホール7Fだという。メールで地図を送ってもらったが、そこは大手町の読売ホールだった。7Fがない。
     おかしいなと思って聞いたら、「それは有楽町のよみうりホールです」と言われ、車で向かう。二つもあるのか。それに両方とも芝居やコンサートをやっている。遅れて駆けつけた。
     コンサートはとてもよかった。「ほろ酔いコンサート」は加藤さんが日本酒をぐいぐい飲みながら歌う。それがかえっていい。
     終わって、あいさつしました。テレビ局の御手洗さんが切符を取ってくれ、瀧沢さん、礼仁夫妻と行った。
     礼仁さんの奥さんは初めてです。シャツやセーターを作っています。とても斬新なデザインで、評判を呼んでます。礼仁さんも、いつも自慢しています。「甲斐性なしの亭主と別れて、洋品店を開いたらいいのに。売れますよ」と皆に言われてました。それだけの才能がある人です。
森達也さんと。12/28(木)
森達也さんと。12/28(木)
山本太郎さんと
山本太郎さんと
福島みずほさん。松元ヒロさんと
福島みずほさん。松元ヒロさんと
松元ヒロさん。寅次郎君と
松元ヒロさん。寅次郎君と
ビンゴが始まりました
ビンゴが始まりました
  1. 12月28日(木)12時、出版社の人と打ち合わせ。
     それから図書館で勉強。河合塾コスモは冬休み。
     6時、港合同法律事務所の忘年会。超満員で身動きが出来ないくらいだ。安田弁護士初め、多くの人権派の人や運動の人たちが集まる。森達也さん、雨宮処凛さん、山本太郎さんなどに会う。
     「あれっ、顔どうしたの?右翼に殴られたの?」と皆に聞かれた。怪我をしてたらしい。「転んだんですよ」と言っても信じてもらえない。「又、右翼に殴られたんだろう」と言われた。
     そのうちビンゴが始まる。私は早い時間にビンゴ。入浴剤をもらいました。
  2. 12月29日(金)午前中、原稿。
     1時、家の掃除をしていた。きれいに読んだ本はブックオフに行って、売る。
     7時から飯田橋。河合塾コスモの有志でやっている忘年会に出る。
  3. 12月30日(土)原稿を書いたり、部屋の掃除をしたりして一日が終わった。
  4. 12月31日(日)午前中、原稿。
     午後2時、下北沢。大川興業のライブを観る。
     それから、友人の忘年会に出る。

【写真説明】

保阪正康『三島由紀夫と楯の会事件』

①保阪正康さんの『三島由紀夫と楯の会事件』(ちくま文庫)です。1月10日発売です。三島とあの事件については一番詳しいし、客観的に書かれています。

山平重樹『ドキュメント 新右翼』

②山平重樹さんの『ドキュメント 新右翼』(祥伝社新書)です。三島事件以降の新右翼については一番詳しいです。

1/14(日)。三島由紀夫生誕祭

③1月14日(日)。銀座TACTで「三島由紀夫生誕祭」が開かれます。

恵観さんと。12/21(木)

④恵観塾で。12月21日。ニューオータニで。

雨宮さん。鈴木。平野悠さん。12/26(火)

⑤雨宮処凛さん、平野悠さんと話しました。革命家・塩見孝也さんのことについて。12月26日

一水会忘年会。12/26(火)

⑥それから、一水会の忘年会に行きました。「温野菜しゃぶしゃぶ」です。

加藤登紀子ほろ酔いコンサート。12/27(水)

⑦有楽町よみうりホールでありました。「加藤登紀子ほろ酔いコンサート」です。舞台で日本酒をグイグイ飲みながらのライブでした。

加藤登紀子さんと

⑧終わって、加藤さんと。

鈴木。椎野夫人。加藤登紀子さん。椎野さん

⑨鈴木、椎野夫人。加藤さん、椎野さん。

加藤さん。椎野さん。鈴木

⑩加藤さん、椎野さん、鈴木。

椎野夫人と

⑪椎野夫人と。

小木戸利光さんと

⑫俳優の小木戸利光さんも来てました。彼は若松さんの「実録・連合赤軍」で加藤三兄弟の弟役を演じました。

森達也さんと。12/28(木)

⑬安田弁護士(港合同法律事務所)の忘年会に行きました。すごい人でした。森達也さんと久しぶりに会いました。

山本太郎さんと

⑭山本太郎さんも来てました。

福島みずほさん。松元ヒロさんと

⑮福島みずほさん。松元ヒロさんと。

松元ヒロさん。寅次郎君と

⑯松元ヒロさん。寅次郎君と。

ビンゴが始まりました

⑰ビンゴが始まりました。私も当たりました。

【お知らせ】

  1. 1月10日発売なのですが、もう書店では並んでますね。山平重樹氏の『ドキュメント 新右翼=何と闘ってきたのか』(祥伝社新書)です。力作です。新書なのに458ページもあります。随分とぶ厚い新書です。定価は1200円と、新書の常識を超えてます。力作です。それで三島以降の「新右翼」の全てが分かります。
  2. もう一冊、これも1月10日発売となってますが、保阪正康さんの『三島由紀夫と楯の会事件』(ちくま文庫。900円)も力作です。〈1970年。何が起きたのか? 綿密な取材をもとに描き出す! 戦後日本と憲法、天皇、自衛隊〉と本のカバーには書かれています。この本の「解説」を頼まれて私が書きました。かなり苦労しました。
     でも、久しぶりに再読しましたが、「新しい」のです。見方が新しいし、左右の断定から自由なんです。戦後史についても保阪さんは、偏見なく、対象に向かい書き進めます。「楯の会事件」についても、その手法をとります。初めから肯定・否定しません。又、戦前・戦後の昭和維新運動の中で、この事件を取り上げ、位置付けます。さらに「楯の会」の人にも取材し、愛情を持って書きます。特に阿部勉氏との友情には心を打たれます。
     正月から、素晴らしい本が2冊出るのです。これは読書会の時や、高木さんとの読書対談でも話してみたいと思います。
  3. 「ヤフーニュース」でも紹介されてますが、私のドキュメンタリー映画を中村監督が撮っており、その予告編が出ています。今年の1月か2月には、もう新宿の映画館で上映される予定だそうです。
  4. 岩波書店のウェブ連載「3.11を心に刻んで」に原稿を書いてます。三浦綾子の『泥流地帯』を引きながら書いてます。
  5. 2018年1月6日(土)名古屋読書会に出ます。午後1時30分より4時30分まで。テキストは、私の『天皇陛下の味方です』(バジリコ株式会社)です。場所はいつもの会場。「ウィルあいち」です。そのあと、懇親会です。会費は3000円です。 申し込みは、牛嶋敦子へ。090(9151)5006 atsuko.ushijima@gmai.com
鈴木邦男講演会「憲法について語ろう!」 鈴木邦男講演会「憲法について語ろう!」
  1. 1月13日(土)〈「虚人奇談会」歌舞伎町〉。午後6時。歌舞伎町ブックセンター(歌舞伎町2丁目28−14 tel:03-6380-2259)。康芳夫さんと私のトークです。
  2. 1月17日(水)。一水会フォーラムホテルサンルート高田馬場。午後6時から。武貞秀士さん(拓大特任教授)。「揺れ動く北朝鮮情勢」。
  3. 2月17日(土)岩井正和さん主催の講演会を金沢でやります。私の他、岩井さん、布清信君(学生運動の後輩)も話してくれます。