2018/03/05 鈴木邦男
東海中学で講演した!
①私なんかでいいのかな、と思いました
2/24(土)東海中学で講演
中学生の実行委員が司会をしてます
講演のテーマは「奮い立て日本! 若者よ、夢を見ろ!そこから革新は始まるんだ!」
テーマが大きく書かれていました
正門前で岩井さんと
私担当の実行委員の中学生です
2月24日(土)、名古屋に行ってきた。東海中学で講演してきたのだ。
緊張したが、とても名誉なことだ。中学校で講演なんて、生まれて初めてだ。
まだ義務教育じゃないか。それなのに、私なんかが行って話していいのかな、と思った。
今まで、大学では随分とある。高校だってある。麻布高校に行って話した。
でも、ここは、先生たちが主導権を取ってやっていた。私に会いに来たのも先生方だ。憲法についてという企画をしました。
学者、弁護士、政治家の立場から「改憲」問題を考えたい。鈴木さんにも話してもらいたいという。
その時も、高校なんていいのかな、と思った。でも先生方が企画してるのだし、大丈夫だと思った。
ところが今回は全く違う。中学生が自分たちで自主的にやるのだ。
東海中学、東海高校は中高一貫の学校で、両方で「東海学園」と言われている。
この日、2月24日(土)は中学、高校挙げて、「講演会の日」なのだ。授業はない。
東京から、地方から呼んだ講師が来て、割り当てられた教室で講演をする。そして質問をする。まさに「生きた教育」だ。元防衛大臣の森本敏さん。小説家の万城目学さん。そして、歌手、タレントも来ている。東海学園は華やかなムードに包まれていた。
その講師の接待を含め、全て中学生、高校生がやる。これは画期的だ。
1月6日の名古屋読書会の前にも、ここの中学生と会った。
事前に打ち合わせしたいと言うので、「じゃ、名古屋に行くので、その日に」となった。読書会の始まる2時間前に会い、ファミレスで話し合った。
驚いた。私の考えていた「中学生」のイメージをはるかに超えていた。
よく勉強しているし、社会問題についても、考えている。
そして私は追及され、たじたじとなった。「一体何だ、この中学生は」と思った。
話の内容を確認し、まず中学生の実行委員から質問をし、そのあと、一般の生徒からの質問が出るという。
そこで別れるのかと思ったら、「ついでだから読書会の様子も見たい」と言ってついてくる。
皆、驚いていた。初めての中学生の参加だ。
それに、時々、質問したり、意見を述べたりする。それが又、正確だし、迫力がある。完全に中学生に乗っ取られた感じだった。
それから何回か打ち合わせをし、当日になった。
「当日は、この新幹線で来て、タクシーで学校に来て下さい」と指令があった。
11時に東京発の新幹線で、1時近くに名古屋に着く。そこからタクシーで中学に行く。地図も送られてきた。
それでも不安なので、名古屋在住の岩井さんに来てもらった。そして学校まで案内してもらった。
学校に着いた。もう、本当にお祭り騒ぎだった。学校あげてのお祭りだ。
向こうに着いて「鈴木です」と言ったら、すぐに担当の中学生が来てくれた。控え室は有名な先生方が沢山いる。私も挨拶した。
そして時間になる。2時から講演だ。教室も決まっている。
大きく名前と講演のテーマが書かれている。「奮い立て日本! 若者よ、夢を見ろ!そこから改新は始まるんだ!」。
なかなか元気一杯のテーマだ。あまり、こういうテーマで話したことはない。でも頑張ってやった。
教室に入って驚いたが、中学生だけではない。おっさんやおばさんもいる。「父兄かな」と思ったが、そうではない「一般のお客さんです」と言う。
この日は、中学・高校は全てに対し「開放」している。住民の皆さん、名古屋近辺の皆さんもどうぞ参加して下さい、という姿勢だ。これはいい。
環境問題やジェンダー、改憲問題なんて「お客さん」の方が多いくらいだ。
そんな中で、私の講演はスタートした。
はじめ1時間話す。それから質問だ。一般の人の質問に答え、実行委員の中学生が作った「質問」が出る。
〈なぜ改憲に絶望したのか〉〈なぜ学生運動で失敗したのか〉〈死刑は必要か。死刑と終身刑はどちらが残酷か〉…と、なかなか難しい問題も出る。頭のいい中学生たちだ。
私が中学生の時代なんて、全く、世の中のことは知らなかった。
秋田県の湯沢市にいたが、日本に天皇陛下がおられることも知らなかった。死刑があることも知らない。弁護士も知らない。ただのアホな中学生だった。自分が日本人であることも知らなかったかもしれない。
でも、それでも困らなかった。ネットも携帯もなかったし、直接、離れた友人と話をする道はなかった。又、そんなことも必要なかった。
これは、かえってよかったかもしれない。中学生なのに、世の中のこと全てを知ろうなんて意識したことはなかった。
それを考えたら、今の中学生はちょっとかわいそうだ。
あらゆる勉強をし、「これは必要な情報だ」「こっちはもっと大切だ」と言われ、焦る。机の前で勉強してるだけでは足りない。
実行委員の生徒は、講演者に会い、打ち合わせしなくてはならない。
「私たちはこんな質問をしますから答えて下さい」「一般の人からもいろんな質問が出ますから」と言う。
大変だ。事前の打ち合わせもある。中学生が講師に電話して、「ギャラはどうしましょうか」と打ち合わせる。大変だ。
私なんて中学生の時に世の中に「1万円以上のお金があるのか」と思ってた。アホだったので、まるで別の時代を生きていたようだ。
②中学なのに大学以上の環境だ
講演が終わると、質問やサインを求める人が
実行委員の中学生の質問が終わり、一般の人からの質問がある。
「私は20年前の中学生ですが」と前置きして質問する人もいる。
初めは父兄の人かと思ったが違う。新聞やネットを見て、「面白そうだから」と来てみた、という人が多い。
ともかく緊張した。その質問が大体終わる頃になると、昔、右派運動をやってた人も近寄ってくる。
「日学同のOBで矢野さんがいたでしょう。あの人は東海高校の卒業生だったんですよ」と言う。アッそうか。知らなかったなー。
又、三島由紀夫研究会に行った時、元日学同委員長の山本之聞氏がいて、「僕も東海高校の出身なんだよ」と言う。他にも何人かいたようだ。
又、「スタジオジブリの○○○○○○○○○ました」と言う人もいる。青木理さんと対談していた。「あのジブリの社長も東海高校出身ですよ」と言う。ヘエー、すごいな。
それに、サンダー杉山だったかな。プロレスラーがそうです。と言う。他にも随分といるようだ。ともかく、いろんな分野にいる。
アッと言う間に講演は終わり、質問も終わりました。
2月24日、この日は私にとっても「特別な日」になりました。優秀な中学生の前で話が出来たことですし、私などを呼んでくれた中学、高校に対し、ありがたい気持ちで一杯です。光栄でした。
「いい一日だったな」と思いながら、帰りの新幹線では爆睡でした。
鈴木質店の看板が目につきます
「槐多忌」で挨拶する窪島誠一郎さん
窪島さんと
福島泰樹さんの絶叫コンサート
窪島さんと古市さんの対談
会場は満員でした
福島泰樹さん(右)。左は寅次郎君
古市憲寿さんと
新幹線から見えた「観音様」
「檻の俳人句館」で
檻に入っているのはどっちか?
説明する青眼館長
【だいありー】
渋谷ロフト9で行われた「息衝く」のイベント
宮台真司さん、鈴木、木村監督
終わって、宮台さんと
「息衝く」のテーマソングを歌った北村さん
- 2月19日(月)「アエラ」(2月5日号)が発売になった。
私は、ジョン・ネイスンの『ニッポン放浪記』(岩波書店)の書評を書いた。
三島由紀夫と親交があった作家・翻訳者だということは知ってたが、そんなに大活躍をした人だとは知らなかった。
翻訳も、三島由紀夫だけでなく、大江健三郎、安部公房…などもやっている。面白い本だった。
- 2月20日(火)12時、高田馬場の喫茶店「ミヤマ」で取材。
そのあと、5時から新宿で対談。
- 2月21日(水)午前中、原稿。
午後2時、取材。3時50分に迎えの車が来る。
午後6時、キャピタル東急。経営塾の幹部向けセミナーの講師に呼ばれ、喋る。
テーマは、〈『天皇陛下の味方です』を刊行して〉。そんなに売れてる本じゃないが、いろんな所から質問がある。バジリコ出版は宣伝もうまいし、取材も多い。
前に経営塾では150人を前にして話したことがある。今回は幹部向けの少人数のセミナーで、そこで話す。
ホリプロの社長をはじめ、会社の社長、弁護士、大学教授、国会議員などが「聞き手」だ。偉い人ばかりでこっちが緊張した。皆から話を聞いて、僕の方が勉強になった。
- 2月22日(木)昼から学校。自習室で勉強。
3時、「現代文要約」。
5時、「読書ゼミ」。中野信子の『シャーデンフロイデ』(幻冬舎新書)を読む。これは面白かった。
終わって、車で日比谷へ。中日ビル地下1Fの「シーボニア」。元都議の塩村あやかさんを励ますパーティに出る。
塩村さんは去年衆議院選挙に広島から出たが落選した。「じゃ、今度は参議院」かという声にははっきりと否定。「広島の衆院選から又、出ます」とキッパリ。「鈴木さんも応援に来て下さいよ」と言われ、「はい、行きます」と答えました。佐高信さんや、スポーツ選手など沢山の人が応援に来ていた。
- 2月23日(金)夕方まで家で仕事をしていた。
5時、渋谷のロフト9に行く。映画「息衝(いきづ)く」が明日からポレポレ東中野で上映されるが、その前夜祭だ。
私は事前にDVDで見た。「宗教と政治」をめぐる映画だ。パンフレットにはこう書かれている。
〈混迷する国。宗教団体で育ったよるべなき子供たち。それでも“この世界”を確かなものにするための旅はつづく〉。
こう書いてあると、オウムかな、と思うが違う。もっと大きな宗教の教団がモデルだ。そして、この子供たちが大きくなって「政治」を目指す。かつて存在し、今は姿を消したカリスマを探しに行く。殺人やテロはないが、政治で変えようとする。そして宗教的情熱を持って。普通の宗教に入っていく。こういう情熱を持って活動してるんだろう。
私だって昔はそうだった。と、思い出しながら「宗教」と「政治」について語った。
宮台真司さんは、すごい分析をしていた。おそるべし。
木村文洋監督はかつて、その宗教に入っていたこともある。そして、脚本の杉田俊介さん。そして宮台さんと私。この4人で、映画のことを話し合った。とても勉強になりました。
- 2月24日(土)11時13分発の新幹線で名古屋に行く。
1時13分着。岩井正和さんが迎えに来てくれた。そこから車で東海中学へ。さっそく打ち合わせ。
2時から講演がスタート。
〈東海高校・中学校 サタデープログラム 土曜公開講座〉と大きく出ている。森本敏さん(元防衛大臣)や作家、タレントなどが大勢来ていた。他のゲスト講師だ。
中学、高校を全部使ってやっている。森本敏さん、万城目学さん(作家)、青山紀子さん(ラジオパーソナリティ)…に会ったので挨拶する。
「全48講座」がある。すごい。それを中学、高校生が自主的にやっている。
私の担当は中学2年生だった。しっかりしてるし、頭がいい。
午後2時から講演。中学生だけでなく、父兄や、一般の人もいる。緊張した。
1時間くらい話をし、そのあと、質疑応答。中学生の質問も難しい。大変だった。
私が中学生の時なんて、何も知らなかった。東海中学の生徒はすごい。
終わって、「サインして下さい」と人が来て、せっせと書く。
「この前、スタジオジブリの本で青木理さんと対談してましたね」「はい」「そのスタジオジブリの社長さんはこの東海高校出身なんですよ」「えっ、そうですか」。
さらに、元右派の運動をしてた人も来ていて、「昔、日学同の矢野さんていたでしょう先輩だ。あの人もここを出たんですよ」。うわー、知らなかった。
- 2月25日(日)朝9時、東中野で寅次郎君と待ち合わせて東京駅へ。長野新幹線で上田へ。
そこに平田君が迎えに来てくれた。友人の車で「信濃デッサン館」へ行く。第39回「槐多忌」に参加する。
第1部。〈槐多・絶叫コンサート〉。福島泰樹さん(詩人)。永畑雅人さん(ピアノ)。すごいコンサートだった。
休憩のあと、第2部。公開対談「死について」。窪島誠一郎さん(デッサン館館主)×古市憲寿さん(社会学者)。
終わって、懇親会。大きな焚き火を囲んで豚汁を食べる。
ここには「デッサン館」の他に「無言館」もあるし、戦中、弾圧された俳人を記念する館もある。
又、金子兜太さん(かねこ・とうた)さんが亡くなり、それを記念する会館も出来た。この日の「信濃毎日新聞」には、そのことが出ていた。
〈上田市古安曽の信濃デッサン館別館「槐多(かいた)庵」の庭に、戦時中に治安維持法を根拠に弾圧された俳人を顕彰する「俳句弾圧不忘の碑」がある。
これを揮毫したのが金子兜太さんだった。この日の除幕式には金子さんも出席する予定だった。
碑は、金子さんが主宰の「海程」同人で、比較文学者のマブソン青眼さん(49=長野県)が発案。碑の建立に賛同した金子さんは、デッサン館館主の窪島誠一郎さん(76)とともに、呼びかけ人に名を連ねた〉。
これは、「檻の俳句館」よ呼ばれ、マブソンさんが館主を務めている。
22日が開館の日だった。金子さんの死もあり、多くの人が詰めかけていた。
上田から車で行ったら、そこで降ろされた。人が多くて、そこから歩いたのだ。ついでに、上ってみた。多くの人が詰めかけていて、驚いた。青眼さんが説明していた。そして我々は、まっすぐ行く。ここが懇親会の会場だ。「檻の俳句館」から来た人もいた。
終わってからも、そこの人たちといろいろと話をした。
そして最終の新幹線で東京に帰った。
- 2月26日(月)図書館。
- 2月27日(火)午後2時、自宅で映画の撮影。午後6時、対談。
- 2月28日(水)昼、打ち合わせ。6時、三島研。西村繁樹さん。
- 3月1日(木)学校。帰りに病院に行く。
- 3月2日(金)午後5時、森村泰昌さんのライブに行く。
- 3月3日(土)大阪に行く。桂ざこばさんに会う。
- 3月4日(日)午後2時、塩見孝也さんのお別れ会に行く。
三島研で講演する西村さん
懇親会で
西村さんと
3/1(木)。病院に行く前です
【写真説明】
①2月24日(土)。名古屋にある東海中学で講演しました。この日は、東海中学・高校挙げて講演会をやってました。「サタデー・プログラム」と題して。他の教室では、森本敏さん(元防衛大学学長)や、万城目学さん(作家)などが講演してました。私のところも、中学生だけでなく、父兄や一般の人も来てました。
②全部、中学生がやるのです。私の担当中学生は、実に優秀で、当日の質疑応答もやったようだ。
③講演のテーマは「奮い立て日本! 若者よ、夢を見ろ!そこから改新は始まるんだ!」。すごいですね。これも中学生が考えてくれたんです。
④テーマが大きく貼り出されていました。
⑤東海中学・高校の正門です。名古屋駅まで迎えに来てくれた岩井さんと。そうだ、駅では大村県知事に会い、「この人が鈴木さんです」と紹介してくれました。何でも仕事で知事さんとは会ってるようです。顔が広いです。
⑥私の担当者で、実行委員の中学生と。しっかりしてますし、とても勉強してます。
⑦講演が終わると、質問の人がドッと来ました。それからサインを求める人も。
⑧名古屋に来ると、「鈴木質店」の看板が目に付きます。この人にいつか会ってみたいですね。
⑨「槐多忌」で館主・久保田誠一郎さんと。
⑩「アエラ」(2月5日号)に書きました。
⑪福島泰樹さんの絶叫コンサートです。とてもよかったです。
⑫窪島さんと古市憲寿さん(社会学者)の対談。
⑬会場は満員でした。
⑭福島泰樹さん(右)と。左は寅次郎君です。
⑮古市憲寿さんと。
⑯新幹線に乗ったら、「あっ、大観音だ!」と寅ちゃんが声をあげて写真を撮ってました。だから私も撮りました。日本には沢山の大観音があります。全て見てみたいと思ってます。
⑰「槐多忌」に行こうと思って車に乗ったら、少し前で降ろされました。今日開館したばかりの「檻の俳句館」がオープンし、ものすごい人でした。新聞記者にも何人も声をかけられました。ジャーナリストの斎藤貴男さんにも会いました。
⑱俳句と写真は一つ一つ、檻に入れられてます。この趣向がすごいですね。
⑲これだけ檻の中の俳句を見てみると、こんな愚かなことをやったのかと痛感しました。檻に入っているのは一体誰なんでしょうか。
⑳2月23日(金)、映画「息衝く」のイベントがありました。監督、脚本家、さらに宮台真司さんも来てくれました。私も出ました。
㉑木村監督はかつて、この宗教に入っていたそうです。その体験も貴重です。宮台真司さんが、宗教と政治について語ります。迫力があります。
㉒終わって、宮台さんと。
㉓映画「息衝く」の最後にも流れますが、この映画のテーマソングを作ったのがこの北村早樹子さんです。この映画に関連した歌と、さらに、「個人的なことですが」と断って、連合赤軍の坂口さんへの憧れを歌った歌をうたってくれました。驚きです。
㉔三島研究会で西村繁樹さんが話してくれました。「三島と最後に会った青年将校」だそうです。かなり深い交流があったようです。
㉕懇親会で。
㉖西村さんと。
㉗怪我をして病院に行ってきました。幸い大事には至らなかったようです。気をつけなくちゃ。
【お知らせ】
- 3月6日(火)、岩波ブックレット『3.11を心に刻んで2018』が発売になります。私も書いてます。
- 3月〜5月の一水会フォーラムが決まりましたので、紹介します。場所は全てホテルサンルート高田馬場3階会議室。午後6時30分からです。
1.3月14日(水)
田村重信さん(前自民党政務調査会審議役)
演題「憲法改正を議論する」
2.4月9日(月)
佐々木良昭さん(経団連アナリスト)
演題「最新の中東情勢を考える」
3.5月9日(水)
孫崎享さん
「日米安保の意義を問う」
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