2018/09/10 鈴木邦男

〈検察=正義〉ではない

「週刊アエラ」9/10号 「週刊アエラ」9/10号

不思議な本だと思いました。死刑囚が死刑に処せられ、その3週間もしないうちに、それらの本が出版され、世に出たのです。

そんなに早く出来るのか、と驚きました。麻原と同じ日に処刑された中川智正氏です。

この本の帯には、〈「死刑が執行されたら出版してください」と俺は言った〉と大きく書かれている。その通りになった。

でも正確には中川氏の本ではない。中川氏と面会したアメリカ人の大学教授、アンソニー・トゥーという人の本だ。

この人はオウム事件について興味を持ち、中川氏にずっと面会してきた。面会のため、わざわざアメリカから来た学者のために刑務所も無理を聞いたのかと思った。

でも、そうではない。検察の〈意志〉があったのだ。検察・警察としても中川氏は取り調べている。しかし、検察に中川氏は心を許してない。

その点、アメリカの学者になら心を許して話そうとする。という思いもあった。

そこで、検察の特別なはからいで面会は実現した。又、途中で中川氏は死刑囚になった。普通死刑囚は面会が難しい。弁護士と肉親以外は会えない。それなのに、この学者は会えた。検察側の配慮があったからだ。

それに、10分の面会時間なのに、この人は毎回、30分も許可された。勿論、面会の内容は検察、警察にも公表される。それでもいいと思った。

今なら秘密の話はないし、彼を無理矢理刑務所から奪還するなんて考えもない。死刑だって引っ込められない。

ただ、なぜあんな事件を起こしたのか、誰が命令したのか。そこを知りたい。

そんな検察・警察vs弁護側の対立を越えて、誰もが知りたいことだ。謎だ。そこに迫りたい。これは皆の願いでもある。

そういう願いをもって中川氏に毎回30分ずつ面会し、話を聞く。時には対話し、それをまとめて本にする。だから異例づくめの本だ。

こんな形で、本は作れるんだ、と驚いた。

でも、日本人で、こんなことはやれない。大体、検察と話して、こんなことをやれる人はいない。もしいたとしても、日本人だと、徹底的に批判される。「検察のスパイになったのか!」…と言われる。

でも刑は下ったし、今さら、どう響くのか。ただ、皆は知りたい。「謎」について深く掘り下げてほしい。そしてやったのだ。

日本人でなくてよかったのかもしれない。30分以上毎回会って話を聞いた。

これだったら、日本の検察ももっとやり方があると思う。あるいは…と思う。もしかしたら、他にもいろいろあるが、検察が知りたくても喋ってないかもしれない。

だったら、まだまだ「死刑囚」の本が出来るのかもしれない。麻原さんにもぜひ書いてほしかった。

今回の本で興味を持ったのは、その点だ。つまり、検察の「正義」は絶対に破れないし、取引も出来ないと思っていた。

「検察側の罪人」 「検察側の罪人」

警察が挙げてきた証拠をもとに、検察は筋書きを考える。その考えた筋書きを基に競売を考える。そして検察の「正義」は絶対だ。絶対の正義なんだ、と思っていい。

ところが、どうも違うと言う。それを書いたのがこの本だ。その点で興味深かった。

最近、検察についてもう少し考えることがあった。1本の映画を観たからだ。最近、かなり評判になっている。木村拓哉と二宮和也が主演だ。『検察側の罪人』だ。

2人は検事だ。だが事件をめぐって2人は対立する。木村の立てた筋書きに二宮は承服出来ない。

実際こういうことはあるのだろう。必ず一つの筋書きで全体がまとまるとは思えない。対立や、深謀もある。それが直裁に出ていた。

そうか。対立も必要だ。これは面白い映画だった。日本の監督が検察の中の対立を描いたのは初めてだ。いい映画だと思った。

「サマーセミナー」感想報告集
「サマーセミナー」感想報告集
「サマーセミナー」感想報告集
「サマーセミナー」感想報告集
「藤田嗣治展」
「藤田嗣治展」
銀座の水族館
銀座の水族館
集会後の懇親会
集会後の懇親会
集会後の懇親会
集会後の懇親会
大阪のくいだおれ人形と
大阪のくいだおれ人形と
ニューヨークで
ニューヨークで
タイで
タイで
タイで
タイで
三島の本ばかりが…
三島の本ばかりが…

【だいありー】

  1. 9月3日(月)午前中、原稿。
     午後から図書館。
  2. 9月4日(火)午前中、原稿。
     午後2時、取材。4時、打ち合わせ。
  3. 9月5日(水)午後1時半。「コンビニ業界 おしごと説明会・相談会」に行く。コンビニの仕事で一番不安なのは「レジ打ち」だ。その体験も出来るというので、嬉しくってやってみた。出来た。それから、コンビニの説明。体験者の話。とても有意義だった。じっと聞いていたら、「あっ、鈴木さん。」と新聞記者に声をかけられた。「どうして?」「仕事ないの?」と聞かれたので説明した。
     夜は、「検察側の罪人」を観る。今、話題になってる映画だ。これはいい。寅次郎君もぜひ、観なさい。
  4. 9月6日(木)今日から新学期だ。学校に行く。
     3時、「現代文要約」。
     5時、「読書ゼミ」。見城徹さんの『読書という荒野』(幻冬社)を読む。命がけの読書論だ。とても考えさせられた。本の帯にはこう書かれている。
    〈読書によって正確な言葉と自己検証はもたらされ、正確な言葉と自己検証によって深い思考が可能になる。そして深い思考こそが、その人の人生を決める唯一のバックボーンになるのだ。血で血を洗う読書という荒野を突き進め!〉
     まさにこの通りの、凄い本だった。生徒も皆、感動していた。
  5. 9月7日(金)午前中、原稿。
     午後、図書館。
  6. 9月8日(土)昼から写真展を観る。
  7. 9月9日(日)一日、家で仕事をしていた。

【写真説明】

「週刊アエラ」9/10号

①週刊「アエラ」(9月10日号)に書きました。アンソニー・トゥー著の『サリン事件死刑囚・中川智正との対談』(KADOKAWA)の書評を書いた。型破りな本だ。凄い本だと思った。中川は7月6日、死刑に処せられた。すぐその20日後、7月26日に、この本は出版された。本の帯にはこう書かれている。
〈「死刑執行されたら出版して下さい」と彼は言った〉。
 こんなことが出来るのか、と驚いた。検察側の特別なはからいがあって、この対談は出来た。なぜ出来たのか。その秘密を知るだけでも読む価値はある。

「検察側の罪人」

②この映画も凄かった。予想以上だった。「検察側の罪人」。正義だけが全てか。正義ならば、何をやってもいいのか。検察を追及する映画だ。

「サマーセミナー」感想報告集

③「サマーセミナー」の感想報告集が送られてきた。こんな大きなイベントをやって大変だったのに、そのアフターケアまでやってくれる。大変だったと思う。凄い人たちだ。そして、マスコミにどう取り上げられたかを送ったくれた。

「サマーセミナー」感想報告集

④同じく

「藤田嗣治展」

⑤「藤田嗣治展」を観に上野に行きました。とてもよかったです。

銀座の水族館

⑥銀座を歩いていたら、ソニービルのとこで人が群がってました。大きな水槽が置かれており、魚が泳いでました。楽しい。水族館が出来たのだ。

集会後の懇親会

⑦これはオウムの処刑に反対し、オウム事件をもう一度考える集会をやった時の懇親会ですね。

集会後の懇親会

⑧同じく

大阪のくいだおれ人形と

⑨これはいつでしょうか。大阪に行った時です。くいだおれの人形の隣で撮りました。でも人形が口をきいた。人間だったんですか。

ニューヨークで

⑩ニューヨークに行った時ですか。人形がいました。「自由の女神」です。隣で写真を撮ってたら、「お金を払いなさい」と人形が。これも人間なんですね。大変です。

タイで

⑪これはいつでしょう。タイのバンコックに行きました。日本のキックボクサーたちと一緒です。タイのムエタイを見て、ジムに行き、練習しました。もう一度、あの時の強い体にに戻りたいと思って、今、リハビリをしています。

タイで

⑫同じく

三島の本ばかりが…

⑬三島研究家の瀧沢さんが、大きなカバンを持ってました。「どうしたの?」と聞いたら、「知り合いの先生に本をもらった」と言った。三島の貴重な本ばかりでした。

【お知らせ】

  1. 9月11日(火)一水会フォーラム。講師:田母神俊雄氏。演題は「弱体化し続ける日本をどうするか」。
  2. 9月16日(日)「大杉栄メモリアル2018=言葉と歌で日本の近現代史を振り返る=」。新潟県新発田市生涯学習センター。午後1時より。第1部講演。栗原康氏。「米騒動から百年。大杉栄がみた大阪の米騒動」。
    第2部。大杉栄と絶叫詩人・福島泰樹
    第3部。対談。「大学紛争から50年」改めて問う右と左とは。福島泰樹×鈴木邦男。
    申し込み・お問い合わせ、「大杉栄の会」斎藤徹夫。
    FAX 025(422)3372へ。
  3. 9月23日(日)。大阪のロフトプラスワン・ウエスト。お昼12時より。
    〈夫・林健治さんと迫る!「毒婦」和歌山カレー事件20年目の真実〉
    林健治さんと田中ひかるさん(『「毒婦」和歌山カレー事件20年目の真実』著者)との対談。これはすごい企画です。ぜひ聞いてみたい。寅次郎君と私で大阪まで行こうと思ってます。
  4. 9月29日(土)。劇団「再生」の「正義の人々」が公演中です。この日に、プレトークに私も出ます。高木尋士さんと。
  5. 10月10日(水)。一水会フォーラム。講師は佐高信さん。
  6. 10月27日(土)、28日(日)、富山で岩井さんが主催する合宿をやります。