2008/12/01 鈴木邦男

愛犬クレーマー殺人事件と少子化対策

①「犬の仇討ち」だったのか

産経新聞(11/24付)

 では、犬は感謝しているのだろうか。「仇を討って頂き、ありがとうございました」と喜んでいるのだろうか。
 そう、34年前の「犬の仇討ち」をした小泉容疑者(46)のことだ。「いや、別の理由がある」「共犯者がいる」「黒幕がいる」、と言う人が多い。しかし、いないだろう。狂気のクレーマー殺人だった。
 もっとも、犬の殺されたことをずーっと毎日、思い続け、やっと「仇討ち」したわけではない。犬を殺された34年前は悲しくて、思いつめた。しかし、その後はずっと忘れていた。ところが最近、「年金」「厚労省」という言葉が毎日のようにマスコミから流される。「官僚が悪い」「こいつらは許せん」「厚労省こそ悪の元凶だ」…と。
 その時、フッと思い出したのだ。34年前のことを。保健所に犬を殺されたことを…。普通ならば、「そうだ、昔こんな悲しいこともあったな」と思い出し、それで終わりだ。でも、こうした人々の特徴として、その〈怨念〉から逃れられなくなる。ずーっと、何日でも何日でも考え込む。そして行動に移す。厚生次官の住所も調べた。そして、いきなり刺した。3人も続けざまに。2人は死亡し、1人は重傷だ。

 「教唆した人間がいる」「黒幕がいる」と言う人もいる。いや、いない。もし、いるとしたら、それはマスコミとネットだ。「厚労省、官僚が悪い!」と毎日言っていた。それが、彼の耳には、「こいつらを殺れ!」「お前がやれ!」と聞こえたのだ。「ちょうどいい。これで注目されるだろう」とも思った。次に、ネットの話だ。あの秋葉原の「通り魔殺人」のことを考えてみたらいい。「弱者がなぜ弱者を襲うのだ」と言われた。「殺人はいけない」と言いながら、〈支持〉する人も多くいた。自分たちの気持ちを代弁してくれたと思う人もいた。
 又、「同じ弱者が同じ弱者を襲っちゃいけない」「どうせなら〈敵〉を狙え」と言ってた人もいた。「政治家や、六本木ヒルズに住んでるような金持ちを狙え!」と無責任に叫んでいた人もいた。
 それが彼には「天の声」として聞こえたのだ。

 事件が起きた時、私は数社の新聞社から取材された。しかし、コメントは全て、ボツになった。面白くないからだ。彼らの「期待」に応えなかったからだ。マスコミは全て、「これは政治テロだ!」と思い、色めき立った。きっと右翼だろうと思った。「厚労省に天誅を加えたのだろう」と。右翼団体か、あるいは「潜在右翼」だろうと見当をつけた。公安もそう思って調べた。
 私は言った。「これは右翼ではありません」「潜在右翼でもありません。秋葉原の通り魔事件のような事件です。〈思い込み〉が強くて、刺した。でも、犯罪のシロウトですから、すぐに捕まります」と。
 「エッ!そんな馬鹿な!」と記者たちは言う。「厚生次官が次々と殺されてるんですよ。こんな時期に、次官への「個人的怨み」が重なるはずはない…と。そんな「偶然」はないと。

 テレビも新聞も、「政治的テロ」だという。その「大合唱」を見て、私も不安になった。もしかしたら、「テロ」なのかも、と。しかし、右翼がやるはずがない。やるなら、堂々とやって、その責任をとる。大体、関係のない奥さんを殺したりしない。
 でも昔、「風流夢譚」事件があった。中央公論社の社長夫人が重傷を負い、お手伝いさんが殺された。あれと似た事件かもしれない。その可能性もあるが、あれは、「社長をターゲットにし、いなかったので、パニック状態になった。眼鏡を落とし、近づく影を警察官かと思い刺した。初めから、関係のない女性を殺そうとしたわけではない。それでも右翼からは「女を殺して、右翼道に反する」と随分と非難された。
 今回の事件は、なんの迷いも逡巡もなく、いきなり夫妻を殺した。そして、もう1人、奥さんを刺した。ものも言わずに、「殺す」ことだけが目的だ。こんなことは右翼であれ、潜在右翼であれ、ありえない。
 「右翼なら堂々とやり、責任をとる」「逃げない」と言ったが、一件だけ例外がある。朝日新聞の記者を殺傷して逃げた赤報隊だ。もしかして「彼」かと思った。しかし、彼らだって、「殺し」が目的ではない。「主義主張」がまずあって、何度も小さな事件を起こし、声明文も出し、そのあとで「殺人」をやっている。いきなり殺して、逃げる、ということはない。
 それに、犯人は目撃されている。「30代らしい」という。あっ「彼」ではないと思った。

 そして、犯人は捕まった。いや、出頭してきた。これだけは私も予測できなかった。「すぐに捕まる」とは思ったが、自ら出頭するとは思わなかった。でも、目撃されてるし、「逃げ切れない」と思ったのだろう。いや、「やるだけはやった」と思ったのだろう。「天の声」に応えて、やってやった。そして「呪縛」から逃れたのだろう。
 何人かの新聞記者から電話があった。「やっぱり鈴木さんの言う通りでしたね」と。「でも、どうして分かったんですか」。「それは、私もいつも“天の声”を聞いてるからです」「……」。というやりとりがあった。

②元活動家の二木さんと「テロ問答」をやった

スポーツニッポン(11/23付)

 11月26日(水)に、大阪朝日放送の「ムーブ!」に出た。二木啓孝さんたちと一緒だった。このニュースがトップだった。「動機が理解できない」「バックに暴力団や政治集団がいるはずだ」という。私は否定した。
 「理解できない」と言うが、理解できない理由で、ほとんどの犯罪は行なわれている。小・中学生が、ネットで悪口を言われた。そんな「ささいな事」で刺す。バカな!と思う。全く理解できない。夫が妻を口喧嘩の末に刺す。バカな。何も殺すことはないと思う。理解できない。犯罪は皆、「理解できない」のだ。理解する必要もない。100%理解したら、私らも同じことをやる。
 もう一つ。「仲間がいた」「バックがある」…。これも違う。この男は、近所でも有名なクレーマーだった。危ない男だ。車に当たって金をせしめたり。騒音がうるさいと建設会社に押しかけて金をとったり。だから、誰がこんな「危ない男」を鉄砲玉に使うか。考えてみたら分かるだろう。指令した方が、不安で不安でたまらない。いつ口を割るか分からない。だったら、自分でやった方が安心だ。
 それに、メリットがない。「いや、闇の勢力がいる」「政治テロだ」とか言う人もいる。しかし、少しでもこの男に接触したら、全て喋られる。
 政治テロや暴力団の抗争で、下の者に指令を出すことはある。しかし、それも、「自供されるかもしれない」「その時は仕方がない。自分も捕まってやる」という〈覚悟〉をもって指令を出す。初めから一体だ。
 その点、今回は、危なすぎて使えない。歯止めが効かないクレーマーだ。指令などでやる男ではない。
 「そうでしょう。二木さん」と私は「ムーブ!」の本番中に言った。「二木さんは左翼の過激な学生運動をやっていた。だから、分かるでしょう。こんな危ない奴は使いませんよね」と。二木さんは、ギョッと驚いてたが、「そうですね」と言っていた。でも、「右翼に言われたくねえよ」とも言っていた。

野分祭で講演する富岡幸一郎さん(11/24)

 「ペット・ロス」という言葉がある。家族とも思っていたペットに死なれ、悲しみに襲われ、心身が病んでしまう人々のことだ。かなり多いという。
 小泉容疑者は、子供の時、犬を殺された。野良犬を拾って来て飼ってたら、うるさい。やはり野良犬はダメだ。近所に迷惑をかける。と父親が保健所に連れて行った。そこで殺された。小泉少年はショックを受けた。殺したのは保健所だが、連れて行ったのは父親だ。怨むなら父親を怨めばいい。でも殺意は父親に向かない。それでさらに34年経って、厚生次官を殺し、「犬の仇は討った」と父親に手紙を出した。おかしい。見当違いだ。理解できない。でも、理解できない〈思い込み〉が全ての犯罪を起こすのだ。
 平和な今の日本でも、実に多くの犬や猫が殺されている。戦争中なら、なおのことだ。空襲になった時、犬が逃げ出して人を襲うかもしれないと思い、「全ての犬を供出しろ!」と命令された。泣く泣く、犬を供出した。子供たちは皆、ショックを受けて、悲しんだ。「ペット・ロス」の人々ばかりだ。そして、その時の悲しみを思い出しながら、60年経って本にした人もいる。『愛国の昭和』に書いたが、『ムツとわたし』という本だ。大和田啓子さんが書いた。とてもいい本だ。殺された犬を偲び、その時の悲しみを書いている。「ムツ」も本に 書いてもらい、本当に感謝しているだろう。喜んでいるだろう。

③しかし、池田清彦は凄い!

野分祭のあと記念撮影(11/24)

 では、今回の事件で、殺された犬(チロだったかな)は喜んでいるのか。喜んじゃいないだろう。それに、「誤爆だ」「逆怨みだよ」と言ってる。犬の声が私には聞こえる。「私のせいにされちゃ迷惑だニャン」と言ってる。(犬だから、ニャンとは言わんか)
 じゃ、毎年殺される膨大な犬の〈怨み〉はどこに行ってるのだろう。戦争中は、国家に取り憑いた。「何の罪もない私らを殺したのは許せない。じゃ、お前らも“犬死”させてやる」と国家を呪った。日本兵の戦死者の多くは、戦闘で死んだのではない。飢餓の中で死んだ。(失礼な言い方だが)犬死だ。これは殺された犬の復讐だ(と言う人もいる)。
 さて、では今はどうか。今はどれ位の犬が殺されているのか。ネットで検索したが、よく分からん。その怨みはどこへ行くのか。そんな霊的なことも分からん。ネットは不便だ。
 ところが、分かった。何の気なしに読んでいた本に出ていた。こういう形で、私の守護霊さまは私に教えてくれるのだ。河合塾コスモの授業で、池田清彦・養老孟司の『正義で地球は救えない』(新潮社)を使って、生徒と読んだ。そのことは前に書いた。この本は驚きの本だ。環境問題に関する「常識」が次々と打ち砕かれる。読んでいて、私は思わず目からコンタクトを落としてしまった。
 「よし、池田清彦の本は全部読んでやろう!」と思い、ジュンク堂で検索し、一挙に30冊買った。それで片っ端から読んでいる。
 池田清彦・養老孟司の『ほんとうの環境問題』(新潮社)をまず読んだ。本の帯にはこう書かれていた。

〈「地球温暖化を防止しよう」だって?
そんな瑣末なことは、どうでもいい。
大事な「問題」は、別にある〉

 その大事な問題が、「犬殺し」だった。いや、違うかな。大事な問題は何か、それはこの本を読んでくれ。ただ、この本の中に、「犬殺し」のことが出ていた。年間何と30万匹も殺されているという。
 その前に、池田はこんなことを言う。
 「日本国憲法を改正するかどうかなんて大した問題ではなくて、まず、エネルギー政策こそが最重要問題のはずである」
 うん、これは賛成だ。エネルギーと食糧問題だという。

(左より)松浦氏、田村司氏、伊藤邦典氏、鈴木(11/24野分祭直会で)
〈魚に関連して言うと、ブラックバスが増えたことが問題になっている。ブラックバスも、美味しい食べ方を見つけてどんどん食べてしまえばいいのである。国内にあるもので食えるものを食えば、自給率は上がるのである。何でもそうなのだけれども、国内で食べられるものを食べずにただ捨てて、輸入した食べ物でも三割は捨てる、ということをやっているその一方で、食糧自給率を上げようというのは、どこかチグハグな話である〉

 なるほど、そうだな、と思った。問題はこの次だ。ギョエッ!と驚いた。「キャイン!」と叫んでしまった。(いかんな、犬だということがバレてしまう。人間になり切っていたのに)。

〈チグハグなことはまだ他にもある。たとえば日本では年間に野良犬や廃犬を三十万頭も処分している(私のゼミの学生が調べたら、それは日本の人間の中絶件数とほぼ同じらしい)。あれにしても、ただ殺すだけでなくて、どうせのことならば食ってしまえばいいのではないかと思う。日本人が自分たちで食わないのなら、犬を食う食習慣のある国に加工して売れば良い〉

 凄いことを言う。この人はトンデいる。テレビなら、絶対にこんなことは言えない。愛犬家団体からクレームがどっと来るよ。でも、戦争中は供出された犬は毛皮にされて極寒の戦地に送られた。あるいは、缶詰にされて、兵隊さんの胃袋に入った。まさか「犬缶」とは書けないから、「牛缶」とでも書いたのだろう。食品偽装のハシリだ。

④これが究極の「少子化対策」だ

立川志の輔さん(右)と(11/21)

 しかし、日本じゃ、いくら何でも「犬料理」はやらんだろう。犬シャブ、犬スキヤキ、犬丼…なんて考えただけでも嫌だ。アジアの食犬文化のある国に輸出しろ。といっても、これでも大問題になるだろう。じゃ、どうする。年間30万頭だ。殺すんじゃ、可哀想だ。どこか、無人島に収容したらいい。罪はないんだが、「島流し」だ。そこで、自活させたらいい。犬同士が話し合って、共和制にするか王制にするかも、任せたらいい。犬の自活による新しい国をつくるのだ。
 しかし、池田が言ってたが、殺された犬の「30万」という数字は、中絶数と同じだという。こんな形で犬の復讐がされているとは思わなかった。
 そうだ。この本では、池田はもう一つ、凄いことを言っている。(他にも一杯言ってるんだが、よく、そんなことを思いつくものだと思う。こんな発想をする人は日本人で他にいない。いや、一人いたな)。

〈現在、世界の人口は67億で、そのうち中国が13億で、インドが10億ぐらいだから、合わせて23億である。つまり、人類の三分の一以上が両国の人間で占められている。
 インドの人口はそのうち中国を抜くという予測もあるから、しばらくしたら、中国とインドだけで、世界の人口の半分ぐらいになってしまう可能性がある。いずれ地球は、「中国人とインド人の惑星」になってしまうかもしれない〉

 ヘエー、「中国人とインド人の惑星」になるのか。驚きだ。そうしたら、少数民族になった日本人やアメリカ人は、どっちかに所属しなくてはならない。「オラはインド系日本人になる」「私は中国系日本人になる」と。ウーン、私はどうしよう。
 そうだ。11月26日(水)の「ムーブ!」に出た時、「米中は一体になる」といってた人がいた。これも、「中国人とインド人の惑星」化の第一歩なんだろう。その前段階武装闘争として、「チャルメラ」がある。米中が一体となるから、チャルメラだ。違ったかな。チャイナとアメリカだから「チャメリカ」か。その時、日本は仲間外れにされる。
 うん、これはあるな。中国ではアメリカのことを「美国」という。発音上、「美」をあてたのだが、こんなきれいな言葉を使ったのは、やはり好きだからだ。この一年に私は、北京に4回行ったが、そのことを痛感した。北京には牛丼、回転寿司など日本の食文化も輸入されている。しかし、それ以上に凄いのはアメリカの食文化だ。マクドナルドや、ケンタッキー・フライドチキンは、どこも満員だ。私も、マックで並んで食べた。
 アメリカは中国に食べられている。食い尽くされ、やがて、この地球は、「中国人とインド人の惑星」になる。そうはさせじと、日本のナショナリズムは、「出生率をあげよう!」と必死だ。民主党などは子供を生んだら補助金を出そうと言っている。池田の本で知ったのだが、民主党はこう言っている。少子化対策として、子供一人にあたり月々2万6000円也の「こども手当て」を出そうという法案を提示している。その法案が通れば、3人の子供がいる家族は、子供が生まれてから中学卒業まで毎年、94万近くの金をもらえる。大きい。すなわち15年で1400万円だ。その政策を施行するのに必要な金は年間に5兆8000億だ。これは、国家公務員に対して年間に支払われる金額(5兆4千億)よりも多い。
 そんな金を、ただ子供がいる家族にばらまいてどうするんだ、と池田は怒る。少子化対策にはならないし、弊害が大きい、と。
 収入の多い家族は月に2万6000円をもらえるからといって、じゃ、「子供をつくろう」とは思わない。逆に、貧乏人からしてみれば、「金がないから子供を産もうか」となってしまう。そういう動機で子供をつくったらどうなるか。補助金は義務教育の中学校卒業を終わった時に打ち切られるから、補助金をあてにしてそれまで暮らしていた家庭は、子供が中学を卒業したとたん、困窮してしまう。
 仮に、子供を年子で5人つくったとすると、その子供が一人卒業するたびに世帯収入はどんどん減ってしまい、高校に行かせる金はなくなってしまう。実は子供に一番金がかかるのは高校・大学なのだから、親が子供を高校に行かせられないとなったら、子供が自分で稼ぐしかなくなる。
 そうしたら、どうなる。ウーン、大変だな。子供はネットで「危ない仕事」「あやしい仕事」を探すかもしれないな、と私は思う。援助交際もドッと増えるだろう。しかし、池田の発想は違う。こう予測する。

松元ヒロさん(左)と(11/24)
〈子どもが自分で稼ぐしかなくなる。中卒でアルバイト等で働く子どもが稼ぐ金は知れているから、そうしたらこの子たちはまた金(補助金)ほしさにすぐに子どもをつくろうとするかもしれない〉

 そうか。その可能性の方が大きいか。凄いことになっちゃうな。子どもが子供を生み、拡大再生産だ。

〈そういう循環になれば、たしかに狙い通りに子どもは増えるかもしれない。けれどもそれは貧民の数を増やすことだ。
 貴族階級と奴隷階級をつくってしまうことになる政策が日本の未来にとっていいのか。いいわけがない。政治は不安になるし、治安も悪くなるから、日本の知識レベルは落ちてくる。畢竟、格差社会を拡大することになる。
 そうなるぐらいなら、人口が6000万でもいいから、安定した社会をつくったほうがいいはずである。若い層の雇用を促進したり、最低賃金を上げる法律をつくったほうがよほど良い〉

 いやー、池田の発想は凄いね。6000万人でいいのか。でも、ほとんどが老人じゃないのかな。老人列島になる。もっと若々しい国にして、しかも、出生率を上げる方法は実はある。それは又、別の機会に紹介しよう。

【だいありー】
『天皇伝説』『ノモンハン』の看板を見かけた
  1. 11月24日(月)雨の中、昼、取材。午後2時から野分祭。花園神社二階会議室で。全国から、同志、仲間が駆け参じた。超満員だった。第一部、追悼祭。第二部、記念講演。富岡幸一郎先生(関東学院大学教授)で、『三島・森田の精神と日本人の覚醒』。感動的な講演だった。終わって近くの居酒屋で直会。「楯の会」の人たちもかなり参加していた。全国の仲間たちと久しぶりに会い、話し合った。
  2. 11月25日(火)朝10時40分からジャナ専の授業。「時事問題」。「田母神問題と自衛隊」について話をする。「『天皇伝説』のポスターを貼ったの、先生ですか?」と生徒に質問された。そんなわけはない。外に出たら、確かに貼ってある。渡辺文樹監督の挑戦は続いている。12月2日の夕方から日比谷公会堂でやるそうだ。その後、図書館で調べもの。家に帰ってずっと原稿を書く。
  3. 11月26日(水)朝の新幹線で大阪へ。大阪朝日放送の「ムーブ!」に出る。二木啓孝さんと久しぶりに会う。小泉容疑者の事件、マグロ漁、チャメリカ(米中)の話などをする。
     6時に終わって、近くのホテルで渡部完さんと会う。宝塚市の市長だったが検察の謀略で、逮捕され、市長を辞めた人だ。検察もひどい。二木さんも紹介して、三人で飲む。最終の新幹線で帰京した。
  4. 11月27日(木)昼、打ち合わせ。3時から河合塾コスモ。「現代文要約」。5時から「基礎教養ゼミ」。今週は牧野剛先生が選んだ本で、羽入辰郎の『マックス・ウェーバーの哀しみ』(PHP新書)。初めて知ることが多い。ウェーバーは母の期待と干渉が強くて、そのせいで、妻と結婚してからも全くセックスがなかったという。セックスレス夫妻はこの頃からあったのか。奥さんも、よく離婚しなかったものだ。謎だ。調べるべき謎が余りに多すぎる。大変だ。
     学校に、奇妙なTシャツを着てる生徒がいる。「怪しい者ではありません」と書かれている。下北沢で買ったそうだ。一日に五回も職質されたことがある、という。偉いね。勇気がある。
「怪しい者ではありません」Tシャツ、面白い!
  1. 11月28日(金)朝の新幹線で大阪へ。大阪読売テレビの『たかじんのそこまで言って委員会』に出た。あの話題の人、田母神俊雄さんが生出演するのだ。そこで、「国防スペシャル!」をやったのだ。そんな画期的な番組に呼んでもらえて光栄だ。いつものレギュラーの他に天木直人さん、原和美さん、井上和彦さんも出た。天木さんとは久しぶりだ。
     ゲストは田母神俊雄さん(航空自衛隊前航空幕僚長)。それに途中からもう二人、ゲストが加わる。松島悠佐さん(陸上自衛隊元中部方面総監)。川村純彦さん(海上自衛隊元海将補)。内容の濃い国防論だった。
     夜、帰京。今週はやけに忙しくて疲れた。新幹線の中で、悪寒がして、コートを着て、寝ていた。しかし、今月は大阪のテレビだけで4回出た。「たかじん」が3回、「ムーブ!」が1回。それに「よど号」の集会で大阪に行ったし、5回も大阪に行ってる。1〜3日は北京に行ったし。他にも千葉や埼玉にも行った。随分、遠出ばかりしている。私にとっては埼玉も北京も同じだ。おかげで、乗物の中で本は沢山読めた。
     帰ってすぐ寝ようと思ったが、仕事がたまってて、寝れない。夜中1時20分から「朝生」を見た。やはり「田母神問題」をやってたが、こっちは田母神さんは出てない。「たかじん」の方が豪華だよ。田母神さんの他に、もう2人も元自衛隊幹部が出て、思いのたけを喋っていたのだから。 もうすぐYouTubeで見れるでせう。
  2. 11月29日(土)午前中、仕事。午後、病院。先輩のお見舞いに行く。夕方から映画「日本のいちばん長い日」上映とトークに行く。半藤利一さんとは是非、話をしたかったので、トークの時に駆けつける。小田急読売ランドの「ザ・グリソムギャング」。半藤さんは、昭和史の第一人者だ。よく知っているし、こちらの質問にもキチンと答えて、教えてくれる。最近読んで感動した半藤さんの『ノモンハンの夏』の話をした。これで、「なぜ日本はアメリカと戦争したのか」の謎が分かった。
  3. 11月30日(日)昼、対談。忙しくて、頼まれてる原稿がどれもこれも進まない。いかんな、私は無力だ。無能だ。
     夕方6時半から、布川玲子先生(山梨学院大学教授)が声をかけてくれて、早大政経の時の同窓会。社青同解放派の活動家だったクラスメートとも久しぶりに再会。「あの頃は右翼反動のただのバカかと思ってたけど、その後も一貫して頑張ってる。その点は偉いよ。それに最近はなかないいい事を言ってるよ」と褒められた。「いえいえ、全共闘の皆さまに叩かれ、鍛えられたおかげですよ。新左翼の皆さまのおかげですよ」とお礼を言った。
【お知らせ】
  1. 12月2日(火)三浦和義さんの対談『敗れざる者たち』(ぶんか社)が緊急出版されます。対談者の一人に私も入っています。又、この出版記念会が12月6日(土)午前11時より午後2時まで行われます。場所は代官山のライブハウス「晴れたら空に豆まいて」です。
  2. 12月5日(金)宝島文庫『プロレス必殺技読本』が発売されます。私も書いてます。
  3. 12月6日(土)、7日(日)阿佐ケ谷ロフトで劇団再生の演劇「スーザンナ・マルガレータ・ブラント」が上演されます。その前に、7時半より高木尋士氏と私のトークがあります。
  4. 12月10日(水)午後7時、一水会フォーラム高田馬場サンルートホテル。重村智計さん(早大教授)が講師で、北朝鮮問題についての講演です。
  5. 12月26日(金)7時、ロフトプラスワン。年末恒例の「創」の特別イベントがあります。私も出ます。
  6. 1月26日(月)阿佐ケ谷ロフト。帝銀事件についてのトークです。私も出ます。
【お知らせ2】
  1. 筆坂秀世さんの『悩める日本共産党員のための人生相談室』(新潮社)が出ました。面白いし、力作です。私のことも出てました。
  2. 三浦和義さんの対談集『敗れざる者たち』(ぶんか社)をもらいました。対談してるのは植垣康博、林健治、北芝健、蜷川正大、柳田勲、折山敏夫、福井雅樹、そして私の8人です。それに何と、私がトップでした。申し訳ありません。三浦さんの「最期の手記」も出ています。貴重な本です。