2009/01/12 鈴木邦男

謎の二重人格者・怪人K・伝

①極秘リスト「10人の容疑者」が出た!

別冊宝島『昭和・平成コールドケース」

 正月から人を批判し罵倒するのは、よくないことだろう。でも、こいつだけは許せん。とんでもない悪党だ。卑劣漢だ。

 1月5日(月)、本屋に入った。ムック本のコーナーだ。ムックとは「マガジン」と「ブック」から取ってつけられた名だ。大判で、写真やマンガ、イラストが多くて、「マガジン」のように気軽に読める。それでいて内容は濃いし、充実している。立派に「ブック」だ。そういう意味らしい。特に犯罪物が多い。「戦後未解決事件」とか、「最後のタブー」とか。
 2冊の新しい本が目についたので買った。1冊は、『ニッポン“タブー”事件簿』(別冊ナックルズ・ミリオン出版)だ。「狂気と謀略が渦巻く暗黒の日本“怪”事件史』とサブタイトルがついている。朝日新聞社の社員が殺された「赤報隊事件」。世田谷一家4人殺害事件。グリコ・森永事件。八王子スーパーナンペイ事件。…と。
 「真相赤報隊事件」は圧巻だ。中曽根・竹下の元両首相はなぜ赤報隊のターゲットとなったのか? そうか、赤報隊は首相も狙ったのだ。これが成功していたら、1960年の「浅沼事件」以来のテロになっただろう。それなのに、「巨悪」殺害をあきらめて、朝日の一記者を狙った。なぜか。ますます謎だ。
 もう1冊のムック本は、別冊宝島の『昭和・平成コールドケース」。これが又、凄い。赤報隊事件。グリコ・森永事件。三億円事件。国松長官狙撃事件。世田谷一家殺害事件。オウム真理教・村井幹部刺殺事件…などだ。最後の事件は「犯人」が逮捕されたが、その裏には巨大な組織と謀略があるという。こんなにも未解決事件が多いのかと驚く。
 それに、この「コールドケース」は画期的だ。〈漫画と重大証言で完全推理! 「9大未解決事件」のリアルな真犯人像〉と謳っている。特に赤報隊が凄い。時効になる直前。焦った警察は「10人の容疑者」をマスコミに発表した。主要なマスコミに対し、秘かに渡した重要資料だ。それを渡された記者たちは、時効後も、秘密を守っている。とても公表できない、おぞましい「秘密文書」だ。だから「この中に真犯人はいる!」と警察は自信を持って作成した。10人の顔写真、住所、本籍、家族構成は勿論、「なぜ疑われるのか」が実に詳しく書かれている。どんな行動をした。どこの集会でどんなことを言った。だから怪しい…と。

別冊宝島『昭和・平成コールドケース」

 でも、この「極秘資料」を見た人は、余りいない。実際に見た人も、事の重要性に恐怖し、口外しないからだ。「この10人のうちに犯人はいる」と警察は確信している。だったら、あと9人は「潔白」だ。写真入りで、これだけのことを書かれたら名誉棄損だ。「でも訴えるならやってみろ。お前も墓穴を掘るんだ」と警察は思ったのだろう。
 昔なら、この10人を捕まえて、締め上げただろう。拷問に耐えかねて何人かは「私が犯人です」と言っただろう。何人も出ちゃ困るが。それに、そんな荒っぽい手は今は使えない。10人のうち何人かはポリグラフ(嘘発見器)検査にかけられている。でも「白」だった。じゃ、かけられてない人間の中に犯人がいる。
 そこを、執拗に追う。そして、10人の容疑者の「極秘リスト」を手に入れ、公表している。これは衝撃的だ。「顔写真」はさすがにマズイと思ったのか、出てない。イラストになっている。そして、こう書いている。

〈警察が作成した「10人リスト」にズラリ並んだのは新右翼「一水会」関係者、新左翼からの転向右翼、右翼団体幹部の公務員…この中に果たして真犯人はいたのか?〉

 いたのでしょう。少なくとも警察はそう見ている。では何故、捕まえないのか。実は、別件逮捕、微罪逮捕で、これまで何度も捕まえている。ガサ入れも、各人に、何回もやっている。でも犯人は、ずる賢い男で、尻尾を出さない。戦後最大の悪党だ。困り果てた警察は、マスコミに協力を求めた。いや、マスコミを使おうと思った。それが「10人リスト」だ。

②「赤報隊」は自決した?

赤報隊容疑者「10人のリスト」

 「こんな極秘資料を流してくれるなんて、よほど信頼されているのだ」とマスコミは感動する。新聞、テレビ、週刊誌も大きく取り上げる。「10人」は常にマスコミに追われる。張り込みされ、尾行され、一瞬たりとも気を抜けない。カッとなった犯人は何かするだろう。その時が、逮捕する瞬間だ。そう思った。
 「いつまでも追いかけるな!」と記者と喧嘩になり、胸ぐらをつかむかもしれない。そこで逮捕する。あるいは、焦って「昔の仲間」と会うかもしれない。「信念」を確認する。又、事後の「整理」をしたかどうかを確認する。武器の処分は大丈夫だよな、と。
 あるいは、「10人」にデマを流し、疑心暗鬼にさせる。「赤報隊」を名乗って、「10人」の1人の家に放火する。「秘密を守ってるのに俺を疑うのか?」と容疑者は怒り、赤報隊の仲間に会いに行くだろう。そこを捕まえる。いろんな手を考えた。
 しかし、誤算だったのは、マスコミが動かなかったことだ。こんなに、「おいしい情報」をあげたのに…。でも、記者も忙しい。いろんな事件が毎日のように起きる。とても、これだけに関わってはいられない。ましてや、連日、「10人」を追いかけ、張り込むなんて出来ない。「ちくしょう、こんなことならNo.2だけでも逮捕しておけばよかった!」と悔いている。この「No.2」が一番、怪しい。こいつを捕まえてずっとぶち込んでおけばよかった。帝銀事件の平沢貞通さんのように…。「決定的証拠はないが、でも怪しい。無罪を証明するものはない」と言って、死ぬまでぶち込む。不十分でも、「ホシ(らしき者)は一応、あげた」と満足できる。

 この「10人」のうち、4人は一水会会員、あとは、その周辺の人間だ。「新右翼」の人間だ。「新右翼」でない人もいるが、人脈的に近い。
 イラストを見ると、皆、悪そうだ。ここまで載せるなら、「リスト」そのものを全部公表したらいい。『噂の眞相」があったら、やっただろう。写真も名前も「疑われる理由」も全て出したらいい。
 それでは出版社が訴えられると思ったのか、「10人」のイラスト、役職などだけだ。この「10人」は私も皆、知っている。特に「容疑者No.2」の「S」という男はよく知っている。最重要容疑者らしい。顔も、いかにも悪そうだ。痩せぎすで、眼鏡をかけ、鼻筋が通っていて、いかにも酷薄なイメージを与える。「S」というから、佐藤とか、斎藤、桜庭、佐々木というのだろう。悪党だ。彼の後ろには、「レコンキスタ」という一水会機関紙が描かれている。「S」については、こう書かれている。

ゴー宣『天皇論』「SAPIO」(09/1/28)
〈一水会元幹部、評論、著述を多くこなし、民族派新右翼のスポークスマン的人物で、過去に雑誌連載で赤報隊について何度も言及。
 「赤報隊らしき男たちに会ったことがある」という意味のことを何度か記述しているが、その記述の真実性については明言を避けている〉

 やっぱり悪党だ。何でそんなことを言ったのだろう。本人が容疑者のくせに。「犯人は別にいる。彼らと会った」といって、自分の容疑を他に移そうとしたのか。あるいは「原稿料稼ぎ」か。はた又、「社会を騒がせてやりたい」という気持ちか。分からない。それほど計画性もないし、思想もない男だ。思ったことを、口から出まかせにポンポンと言っている。よく考えもしないことを言う。軽薄な男だ。「こんな男の言うことなんか全部嘘だ」と警察は言う。「いや、バカだと思わせているだけだ。本当は、信じられないほど悪賢い奴だ」と言う人間もいる。その警察内部の対立があって、とうとう「S」を逮捕できなかった。
 この「10人リスト」とは別に、もう一人「重要容疑者」がいた。元自衛官で、海外の紛争地で義勇軍として銃を持って闘った。その後、日本に帰り、右翼団体に入る。銃の使用には慣れているし、「犯人像」に一番近い。しかし、その後、右翼をやめてやがて隠遁生活に入る。そして何と、不審な死を遂げている。それも火鉢の不始末で死亡したのだ。公安は今も、「自殺」「他殺」のセンで追っている。自衛隊レンジャー部隊にいて、海外の義勇兵までやった人間が、そんなことで死ぬなんてあまりに無用心だ。「10人」よりも、こっちの方が「本命」かもしれない。
 実は私も「容疑者」にされていた。この「自殺した元自衛官」が私だろう。テロを決行したが、そのあとは右翼らしく自決したのだ。

③「平成のハイド」は、ここにいる!

「SPA!」時代の「ゴー宣」より

 本屋でこの2冊を買って、レジで金を払った時だ。『SAPIO』(1月28日号・小学館)が目についたので買った。小林よしのりさんの『天皇論』が載っている。意欲的な連載だ。その2回目だ。天皇陛下、美智子皇后陛下が描かれている。昔なら、「天皇をマンガにする」なんて出来なかった。それだけで不敬罪になった。戦後かなり経っても、そうだった。昔、消しゴム版画家のナンシー関さんが、「こういうものを作ったんですが」と、おずおずと見せてくれた。天皇陛下だ。「私は尊敬し、愛情を持って描いたのですが、でも発表しちゃマズイでしょうね。右翼に襲われて殺されますよね」と言う。そんな馬鹿なことはありませんよ。とてもよく描けてるじゃないですか。発表したらいいんですよ。と言った。それで安心したのか、発表したようだ。その時、見せてもらった昭和天皇の消しゴム版画だ。紹介しよう。
 小林よしのりさんも、雅子妃のことをマンガにして、当時連載していた「SPA!」で落とされた。危なくて、載せられないというのだ。本当に危ないのか。そのことを小林さんはある右翼の人に会って聞いたそうだ。勇気がある。その右翼との対面がマンガで描かれている。小汚らしい顔をしているが、でもニコニコとして、『ゴー宣』を持っている。付箋を一杯つけて、「感動しました。ほら、こんなに熱心に読んだんですよ」と言ってる。人のいい右翼だ。人畜無害だ。

ナンシー関さん作の「昭和天皇」

 でも、この男、どこかで見たことがある。あっ、そうだ。『昭和・平成・コールドケース』に出ていた男じゃないか。「容疑者No.2」の「S」だ。それにしても「顔」が違う。状況に応じて「顔」まで変えられるのか。「表」では、ニコニコして、恐くありませんよと言って、バカのふりをしている。しかし、「裏」では人殺しをやっている。いや、人殺しの仲間だ。恐ろしい奴だ。じゃ、二重人格なのか。
 世の中に、二重人格、多重人格という人はいる。今まで明るく、ペチャペチャ喋っていたと思ったら、急に押し黙り、何も言わない。あるいは、普段、おとなしい人が急にキレて怒鳴る。でも、それは本当の意味の二重人格ではない。感情の起伏が激しい。とか、性格上の問題だ。

 でも、この「容疑者S」は違う。相反することを平然と実行する。さらに、「善人」だった時のSと、「悪人」のSは、顔まで変わる。こんなことはその辺の二重人格者、多重人格者ではとても出来ない。
 それに「容疑者S」は二重生活者でもある。六畳一間のボロアパートに住んでいる。ストイックな生活をしている。と思わせておいて、実は田園調布に豪邸を持っている。そこに、本妻や本子供がいる。本ペットもいる。猫にはスカートをはかせているそうだ。「私は田園調布の豪邸を見た!」と証言する男もいる。「年末はマックで本を読んでいた」と言ってるが、ハワイで子供連れで泳いでいたのを見た、と証言する人もいる。

佐藤優さん(左)と(12/26ロフトプラスワン)

 こういう二重人格、多重人格、二重生活は、他にいない。とても出来ることではない。でも、この「S」だけはやってのけている。それに、歴史上、実はもう一人だけいる。「S」は、この男を見習って、やったのだ。
 その「先輩」とは、ジキル博士だ。スティーブンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』に描かれた人物だ。1人の人格の中に、2人がいる。善と悪と。そして全く「別の人間」になって、「別の人間」の行動をするのだ。彼はクスリを飲んで、別人になる。性格だけでなく、身長も、顔も変わるのだ。そう、「容疑者S」もそうだ。「容疑者S」は人殺しの「悪党」になった時は、身長180センチ、痩せぎす、鼻筋の通ったニヒルな男だ。冷たい「殺し屋」のイメージだ。ところが、クスリを飲んで「善人」になったSは、小汚いオッサンで、身長172センチ、小太り、アヒルな男だ。似ても似つかない。でも、同一人物なのだ。これでは警察も捕まえられない。
 ロバート・ルイス・スティーブンソン(1850〜1894年)の『ジキル博士とハイド氏』を読んでみたらいい。文庫ですぐ手に入る。1886年に発表された作品だ。何度か映画にもなっている。実在の人間をモデルにした話だ。でも、このモデルは「顔」までは変えられなかった。だから精神科医の「格好の研究材料」で終わった。
 でも、この「容疑者S」は違う。顔も変えた。性格も変えた。生活環境も変えた。こっちの方が本当の「ジキル博士とハイド氏」だ。

④だから、純粋な「100%悪党」になれるのだ!

佐藤優さん、雨宮処凛さんたちと(12/26)

 ハイドは「hide(隠れる)」から取った名前だ。ハイドは、あなたたちの心の中にも住んでいる。そして、ジキルと闘っている。人は皆、自分の体の中に、この2人を住まわせている。だが、どちらか1人のことはない。だが、この小説では、クスリを飲んで、どちらか1人になるのだ。そこが恐ろしい。それに、気紛れに、二つの人格を行き来しているのではない。その各々の「立場」「役」を必死でやっているのだ。「容疑者S」のように。新潮文庫の「ジキル博士とハイド氏」では、ジキル博士はこう告白している。

〈私は二重人格者ではあったが、いかなる意味でも偽善者ではなかった。私にあっては、善悪両方面ともひとしく真剣であった。学問の進歩のために精進しているときも、自制を失って破廉恥に憂き身をやつしているときも、ひとしく真剣な私自身であったことに変りはなかった〉
〈私はあえて推論する—人間とは究極のところ、多種多様のたがいに調和しがたい個人の集合体のようなものである。そして、この善悪ふたつの要素の分離ということを愛する白昼夢として空想するようになった。このふたつの要素をそれぞれ別の個体に宿らせることができたら、正しからざる一方の性格はおのが欲するままに行動できるであろうし、正しい一方の性格もまた、善をめざして一途に進むことができるであろう。意識のなかでこの両極端の双生児がたえず相争っていることこそ、人生の災いでなくして何であろう。しからば、いかにしてこのふたつのものを分離するか〉
大橋可也さん(左)と(12/28)

 これが難しい。どっちか一つに分離するのだ。それが、このジキル博士は出来たのだ。研究の結果、この双生児を分離する劇薬の調合に成功したのだ。ジキルにとっても喜びだった。善になり切って、仕事が出来るからだ。普通の人間は全て善と悪の混合体だ。善をやろうと思っても時に悪の誘惑がある。善の仕事だけに集中できない。その点、ハイドを作ることによって、善に集中できた。又、ハイドは全人類の中でただ1人、「純粋なる悪」そのものの化身だ。情け容赦なく殺せる。悪をする。普通、どんな悪人でも悪に徹し切れない。「ここまでやっちゃ悪いよ」とか、「女、子供まで殺しちゃかわいそうだ」という〈善〉の心が残っている。だから悪に集中できない。「徹底した悪」が出来ない。ところが、ハイドは、絶対的な〈悪〉そのものだ。
 そして、悪の限りを尽くす。家に帰る。クスリを飲みさえすれば、ハイドなる人物は鏡に吹きかけた息のくもりのようにたちまち消え、真夜中のランプの芯をかきたてて研究にいそしんでいるジキル博士が現われる。全く、「容疑者S」と同じだ。
 この話を聞いて、一般の人々は「絵空事」だと思うだろう。しかし、違う。君たち自身だって、「変身薬」を飲んでいるのだ。
 人間は善と悪の混合体だ。この混合の成分も時として変わる。日々、変わる。だったら、それをキチンと計る測定器を作ればいい。「この人は今日は善が80%以上だ。だから安心だ」とか。どっちにしろ、100%の「善人」や100%の「悪人」はいない。
 そこまでは皆も分かるだろう。だったら、なぜ〈思想〉においてだけ、100%分けるのか。人間は「100%右翼」もいないし、「100%左翼」もいない。右翼の中にも、アメリカ映画を見て、面白いと思う人もいる。「ヘプバーンが最高の美女だ。日本の女なんて、ペッ!」と言う人もいる。又、左翼の中にも、祖国愛が必要だと言う人もいる。つまり、1人の人間は「右傾度60%、左傾度40%」と、正確に測定すべきだ。それなのに、「ジキル博士とハイド氏」のように、「100%人間」を見ている。100%の「右翼」と「左翼」に分ける。おかしいだろう。
 「容疑者S」はどうだったのか。「極右」といわれているが案外、「右傾度は10%」位だったのかもしれない。でも〈悪〉は100%だ。そして、時々、クスリを飲んでは、〈善〉100%のニコニコおじさんになる。不思議だ。奇跡だ。恐ろしい。身震いする。こんな二重人格者とは友達になりたくない。消されちゃうよ。

【だいありー】
HIKOさん(中)と(12/28)
  1. 1月5日(月)『SAPIO』(1月28日号)発売。小林よしのりさんの『天皇論』は凄いですね。こういう視点から展開するのかと感動。私らではとても出来ん。天才の仕事に感嘆するのみ。特集「私の愛した女優たち」も載っていて、私も書いている。
     日中はコタツにもぐり込んで、ずっと原稿を書いていた。夜は左翼の新年会に行く。塩見孝也さん(元赤軍派議長)に会った。「コラ!オレのことをブログに書いてただろう」「すみません。だから、2万円払ったじゃないですか」「それは夢だろうが。大体、我々、左翼のことを面白おかしく書いて、原稿料を稼いで。けしからん。だったら、我々の運動にカンパしろよ」「ハイ、分かりました」と言って、銀行に行って、なけなしの金を5万円下して、塩見さんに渡した。イジメに遭ってる中学生のようだ。「おっ、なかなかいいとこがあるじゃないか」と言われた。そこで目が覚めた。エッ!これも夢だったのか。それにしてもヤケにリアルな夢だったな。夢に見るほど塩見さんのことが気にかかるのか。好きなのか。愛しているのか。気色悪い。
  2. 1月6日(火)一日中、コタ勉(コタツで勉強)。仕事がはかどったので、ごほうびに本を読ませてやった(もう1人の自分に)。本が沢山読めると喜んでいた。近くのミスドに行って、ミスチルを聴きながら、ミステリーを読んでいた。
     「大晦日もマックで本を読んでたなんてかわいそう」とメールが来た。ヘエー、どこが、かわいそうなんだろう。年末年始にかけて、集中して原稿を書いたし、本を読み、思索した。もの凄く充実した年末年始だったと思う。精神が高揚している。幸福だ。「貧しい生活」と思えば思え。私の方が精神的に求めるものが贅沢なのです。あなたたちと違い、私は自分のことを客観的に見れるのです。
  3. 1月7日(水)1時から、高田馬場の「ルノアール」会議室で対談。なかなか、面白い対談になったと思う。メルマガの「マガジン9条」に遠藤誠弁護士のことを書いた。私が人格的に変身する上で、とてもお世話になり、教えられた先生です。私は「変身薬」を飲まなくても、悪から善に変身できたのです。
今、話題の『共産党宣言』(アルファベータ)
  1. 1月8日(木)河合塾コスモに行く。授業はまだやってないが、冬期講習があるので、学校はあいている。自習室で勉強する。まわりは皆、勉強してる人ばかりだから、いい。仕事も進む。喫茶店だと、「不動産のいい物権があるがどうだ」とか、「どこの会社を脅そう」とか、金と女と事件の話ばっかりだ。精神が汚れている。ハイドばっかりじゃないか。うるさい。その点、受験生はいい。そんな話は誰もしない。勉強ばかりだ。そして、静かだ。私も、そこに溶け込んでいる。幸せだ。
     夜、サカナを焼いた。電子ファンがあるのに、なかなか臭いがとれない。知り合いの人に聞いたら、「電子ファンって、ただの換気扇のことでしょう。あんなのは効かんばい」と馬鹿にされた。「ウチなんか空気正常機があるから」エッ?なんだそれ。住んでる人間を〈正常〉にするのか。悪のハイドは善のジキルになる。凄い。右翼や左翼も治って、「正常人」になるのか。
     「ちゃいまんねん。空気清浄機ですよ」。なんだ、そんなもんか。つまんねえ。
  2. 1月9日(金)又、学校に行って勉強した。「週刊現代」(1月24日号)発売。お金のことを書きました。「借りたカネ、貸したカネ」のコーナーです。
  3. 1月10日(土)東中野図書館に行った。分かんないことがあって、調べている。夜までかかった。
     新聞記者に取材された。赤報隊のことを。例の「10人リスト」は持ってるという。「でも、一水会関係者ばっかりですし。ちょっと、リアリティがない」と言っていた。これだともの凄い狂悪集団の悪人だと思ったが、実際会ってみると、普通のオッチャンだったりする。このギャップが大きい。それで、ちょっとリアリティがないという。10人のうち、せめて一水会の人は2人にして、あとはヤクザとか、殺し屋とか、入れたら、もっとリアリティのあるリストになったのに。と言ってました。そうですよね。「でもNo.2は本命でしょう。こんなことをやれるのは、こいつだけですよ」と言っていた。
  4. 1月11日(日)午前中、コタ勉。昼、左翼の新年会。面倒だ。忘年会も新年会も一緒にやればいいじゃないか。それも、10年ごとにまとめてやれよ。「平成20年代新年会を行います」とかいって。次に行くのは平成30年代だから、楽だ。
【写真説明】

①12月26日(金)ロフトプラスワンで佐藤優さん(作家)たちとトークしました。佐藤さんと小林よしのりさんが喧嘩していると聞いたので、「もっと大きなテーマがあるのに、2人の天才がこんなことで衝突するのは国家の損失だ! お互いの道で、思い切り力をふるってほしい」と言った。「小林さんは天皇論を始めたし、私は大川周明、国体論をやるし、お互いの道でやることになるでしょう」と佐藤さん。ありがたかった。嬉しかった。それでつい、握手した。

②12月20日(土)新国立劇場で大橋可也さんの過激な舞台を見てきた。終わって、大橋さん、HIKOさんと写真を撮った。凄い舞台でしたよ。

【お知らせ】
  1. 今、発売中の月刊『創』(2月号)では、「『共産党宣言』に再会した」を書きました。早大時代の〈敵〉との再会についても、又、日本で『共産党宣言』が初めて翻訳されたその背景についても、なかなか面白いドラマがあったんですよ。森達也さんが連載で、誉めてくれてました。ありがとうございます。
  2. 1月15日発売の『通販生活』(2009年春号)では、特集が「私は断固、この人を総理大臣に推します」。佐藤優さんはじめ、いろんな人が書いてます。私も書いてます。
  3. 1月19日(月)午後7時、一水会フォーラム高田馬場のサンルートホテル。井川一久先生が講師で、「オバマ政権誕生。『日本独立』への好機」です。
  4. 1月20日(火)2日間連続しての一水会フォーラムです。田母神俊雄先生(前航空自衛隊幕僚長)が講師で、「日本は侵略国家であったのか」。時間、場所は同じです。
  5. 1月22日(木)7:30阿佐ケ谷ロフト。「公安vs右翼」。北芝健さんと私の対決トークです。他に、手澤有さん、御堂岡哲昭さん、石原伸司さん(極道作家、夜回り組長)が出演します。ご期待下さい。
  6. 1月24日(土)衝撃の話題作『ポチの告白』(高橋玄監督)が、いよいよ封切りです。新宿K’S cinemaで。警察犯罪というタブーに挑む、社会派エンターティメント大作です。又、大騒ぎになるでしょう。映画チラシには、宮崎学、佐藤優、寺澤有、そして私の4人が、超過激なメッセージを寄せてます。大問題になるでしょう。
     又、1月19日(月)7時より、阿佐ケ谷ロフトで、この映画に関するトークがあります。
  7. 1月26日(月)阿佐ケ谷ロフト帝銀事件についてのトークです。「帝銀事件と冤罪の闇—戦後最大のミステリー」です。出演者は平沢武彦、遠藤浩良(薬物学者)、安田好弘、山中幸男、ヨシダ・ヨシエ、そして私です。
  8. 1月31日(土)「Link to Peace vol.1」「パレスチナを伝えたい」。八王子クリエイトホール。1時〜6時写真展。6時45分からイベント。高橋和夫さんの記念講演。そして、ディスカッション。私も聞きに行きます。
  9. 2月1日(火)和歌山市民会館。「和歌山カレー事件を考える人びとのつどい」第5弾です。午後1時30分からです。
  10. 2月8日(日)日本赤軍、「よど号」などに対する政治犯への「不当弾圧に反対する集会」。午後1時より5時。京都駅前の京都キャンパスプラザ。私も「呼びかけ人」になってますので行くつもりです。
  11. 2月14日(土)午後1時半より。港勤労福祉会館。「和歌山カレー事件を考える人びとのつどい」の東京集会です。安田好弘弁護士などが講師です。
  12. 2月17日(火)7時半、一水会フォーラム。高田馬場サンルートホテル。講師は青木理さん(元共同通信記者)です。
  13. 2月21日(土)テアトル新宿で若松孝二監督とトークをします。深夜です。『実録・連合赤軍』がDVDになるのを記念して行なう企画です。イベントは午後11時に始まり、我々のトークは深夜3時25分から1時間です。
  14. 3月28日(土)、29日(日)劇団再生の新作公演です。「詩編・レプリカ少女譚」です。公演前に高木尋士さんと私のトークもあります。阿佐ケ谷ロフトで7時半からです。
  15. 3月30日(月)「月刊現代休刊とジャーナリズムの未来を考えるシンポジウム」です。内幸町です。