2009/02/02 鈴木邦男

「将軍の料理人」と飲んだ夜

①「歴史の証人」と話したのだ!

藤本健二
藤本健二さん(右)と(1/22)

 2人とも大人物だ。ただ者ではないと思いましたね。「歴史上の人物」と私は話している。そんな実感でしたね。その時、歴史は動いたですよ。ただ者ではない、と思ったのは、金正日総書記だ。そして13年間、彼の専属料理人だった藤本健二さんだ。
 1月23日(金)に、「たかじんのそこまで言って委員会」に出た。ゲストの藤本健二さんの話には驚いた。「金正日を最も知る男」だ。いや、「唯一、知る男」だ。話に引き込まれた。
 収録終了後、海鮮居酒屋で、藤本さんと2時間も話し込んだ。いや、こちらが一方的に話を聞いた。めったに聞けない話だ。「世界史の第一級資料」だ。私だけが聞いては勿体ないと思った。居酒屋は2人だけでない。局のスタッフが3人来て、ビデオカメラを回していた。あんなにうるさい店で、音は拾えたんだろうか。この時の貴重な話は、有料サイトの「たかじんのそこまで言って委員会」で流すという。2時間全部は流せないだろうから、短くするのだろう。でも、何回かに分けて、全て放送してほしい。それだけの価値はある。
 普段は酒なんて全く飲めない私なのに、この日は楽しくて、随分と飲んでしまった。生ビールを2杯。それに焼酎のお湯割り。計3杯だ。鈴木史の中でも最高量だ。もう、この記録は破られることはない。それだけ感激したし、嬉しかったんですよ。

藤本健二
藤本健二さん(「たかじんのそこまで言って委員会」1/25放送)

 藤本さんは01年に決死の脱北行に成功し、日本に帰ってきた。03年6月に、北での生活を書いた『金正日の料理人』(扶桑社)がベストセラーになった。私はすぐに買って読んだ。凄い日本人がいるもんだと思った。でも、北の刺客を恐れて、潜伏生活をしてるというし、私など、一生、会うこともないだろうと思っていた。
 翌04年9月に藤本さんは、もう一冊本を出す。『金正日の私生活』(扶桑社)だ。そして、この2冊がまとまって、文庫になった。文庫本の『金正日の料理人』(扶桑社)だ。もう一度、読んでみた。面白い。スリリングだ。一気に読んでしまった。新宿中村屋に立て籠って、2時間半で読んだ。スープカリーと、野菜サラダ。それだけじゃ悪いと思って、マンゴー杏仁。又、時間をおいて紅茶を頼み、読破した。743円の本を読むために、その3倍もの金を使った。文庫本の巻末には「影武者など存在しない」と書かれていた。彼が言うのだから説得力がある。又、「親愛なる金正日将軍様」という手紙が書かれている。拉致家族を全員日本の親御さんのもとへ返してあげて下さい、と言う。これも命がけの提言だ。手紙だ。
 「たかじん」の時にもらった「資料・プロフィール」には、こう書かれていた。

李英和
李英和さん(「たかじんのそこまで言って委員会」1/25放送)
〈藤本健二(フジモト ケンジ)
朝鮮名は「朴哲」。元・金正日総書記専属料理人(年齢非公表)。1982年に初めて北朝鮮に渡り、平壌市内の日本料理店「安山館」で働き始める。一度帰国後、87年に再訪朝。ほどなく金正日総書記本人に請われて、専属料理人となる。以来、マグロの買い付けなどのために、たびたび日鮮間を往復しながら、都合13年間を北朝鮮で過ごす。96年、日本に帰国中に「出入国管理および難民認定法違法幇助」の容疑で逮捕されるが、釈放後の98年に三たび訪朝。2001年4月に決死の脱出行に成功し、日本に帰国。北朝鮮からの「刺客」を恐れて、潜伏生活を始める〉

 朝鮮名まであるんだ。「年齢は非公表」だという。寿司職人の腕を買われて北に行ったんだから、20才か30才の時じゃないだろう。それから13年、北にいて、帰ってきて8年だ。そうすると、40代か、50代か、60代だろう。テレビに出る時は、いつも「刺客を恐れて」変装している。バンダナを巻き、濃いサングラスをかけ、ヒゲをたくわえている。でも、そんな格好で街を歩いていたら目立って仕方ないだろう。そう考えて、アッと思った。きっと普段は素顔で生活してるのだろう。テレビに出る時だけこうやって変装する。そうしたら、普段は全く分からない。そう思って聞いたら、「そうです」と言っていた。
 外を歩く時は、細心の注意をしている。座る時は常に壁を背にしている。「まるで、ゴルゴ13ですね」と言ったら、そうですと言う。「刺客」の危険にあったのですかと聞くと、具体的に話してくれた。大変な人生だ。

②後継者は三男・正雲氏だと断定!

たかじんのそこまでやって委員会
「たかじんのそこまで言って委員会」(1/25放送)

 ところで、今回の「たかじん」は藤本さんのハードボイルドな人生を紹介してるが、それだけではない。「金正日後継者問題」のゲストとして呼ばれたのだ。この日のテーマは大きく分けて3つだ。第一に「金正日後継者問題」。第二に「それでも消費税率を上げるのか?」。第三に、「祝オバマ大統領就任。たまにはアメリカを褒めてあげよう」だった。
 「金正日後継者問題」では、藤本さんと、もう1人、李英和さん(関西大学教授)が出て、激論を交わす。それに「委員」たちが加わる。この様子は「You Tube」でも見れる。なかなか面白かった。こんな「問題提起」から始まる。

〈健康悪化が伝えられる北朝鮮の金正日総書記が自らの後継者として、三男・正雲(ジョンウン)氏を指名した、との報道が伝えられました。しかし…。
 「99.999%ありえないですね…。まったく信憑性が無いと…」
 こう完全否定するのは、本日のゲスト・李英和教授。1993年以来、脱北者の支援や、北朝鮮内部の資料・映像を世界に公開し続け、いまや北朝鮮当局から指名手配されているお方。…。
 ところが、「金正男は愛人の息子ですよ。愛人の子どもを後継者にするほど、北朝鮮は甘い国ではないですよ」と、李教授の主張を真っ向から否定する人物が…。その人物とは、同じくゲストにお越しの“金正日将軍様”の元・専属料理人、藤本健二氏。
 一体、後継者は誰になるのか?それにともなう日本への影響は? オバマ新政権下での核問題、拉致問題はどうなるのか? 金正日総書記の病状は? 影武者は存在するのか?〉
鈴木邦男
鈴木邦男「たかじんのそこまで言って委員会」(1/25放送)

 「後継者は三男の正雲氏に決まった」というのは韓国のマスコミが流した。韓国以外では、どこも流してない。日本でも、「えっ、正雲氏って誰だ?」と驚いた。それで、「この人に聞いたら分かるだろう」と、藤本氏にドッと取材が行った。藤本氏は金ファミリーとは特に親しい。この正雲氏についても、「この人こそ指導者にふさわしい」という。一緒に生活し、その人間の器も能力も知っているからだ。又、世界中探しても、「正雲氏を知ってる」のは藤本さんしかいない。それで、毎日、マスコミに追われた。僕も、テレビの報道番組で何回か見た。いつも同じ変装で出る。そして、「後継者は正雲氏に間違いありません」と断言する。ウーン、そうかな、と正直、思った。でも当日、本人に会い、酒を飲んだ。説得力のある話だ、と思った。
 「テレビに出まくりでしたね」と言ったら、「2日間で12局に出ました」。凄い。
 でも、「後継者」を報道したのは韓国だけだ。日本のマスコミは戸惑い、それを「確認」するために、藤本氏にドッと取材にきた。「正雲氏」について知る唯一の人だからだ。又、「正雲氏の写真」を持っている世界唯一の人だ。
 だから、私は聞いた。これは「構図」が逆ではないのか。エッシャーの騙し絵のようなものだ。本当は、藤本さんの「発信」ではないか。三兄弟のうちでは一番優れているし、指導者に相応しいと藤本さんは思っている。一番好きだ。この人がなってくれたらいいのに、という「期待」があるのではないか。その「話」を韓国が報じ、日本では藤本さんに取材に来る。
 「そんなことはありませんよ」と藤本さんは笑って否定していた。しかし、(情報源は誰であれ)、なぜ韓国はそんな「情報」を流したのか。北朝鮮を揺さぶる気なんだろう。韓国の現体制は色々な問題を抱えている。それで国民の眼を外に向けさせる。そのためなら、少し位の「ドンパチ」もあるかもしれない。
 北朝鮮問題に詳しい人、何人かに聞いてみた。そうすると、「金正日さん自身もまだ決まってないだろう。ましてや幹部たちは」と言う。これが案外、正しいかもしれない。そこに韓国から、「正雲氏に決定した!」と流し、北の幹部の間に疑心暗鬼を起こさせる。「決まってないというが、本当は決まっていて、自分だけに教えられてないのではないか…」と思う。そういう「心理作戦」だという。これはありうると思った。

③トンデル三兄弟の凄い素顔

金正日の料理人
藤本健二『金正日の料理人」(扶桑社)

 後継者問題もあるが、藤本さんから聞いた「金正日の素顔」と、「三兄弟の素顔」が驚きだし、新鮮な話だった。なかなか、聞けない話だ。「金ファミリーは本当に日本が好きなんだな」と痛感した。そこを衝いて、もっともっと「交渉のテーブル」に上げ、拉致、核問題も解決の糸口を探れるのではないか。そう思った。

 金正日さん(64才)の子供の話だ。3人とも、実にユニークというか、面白い。藤本さんの資料と本から紹介しよう。長男は金正男(ジョンナム)氏(35才)。ミッキーが大好きで日本のディズニーランドにも来たことがある。お母さんは成恵琳(ソンヘリン)さんだ。正男氏の下には高英姫(コヨンヒ)さんから生まれた異母兄弟がいる。二男・正哲(ジョンチョル)氏(25才)、そして三男の正雲(ジョンウン)氏(22才)だ。
 後継者が、この3人の中から選ばれるのは確実だ。一番有力視されているのは正男氏。「この人がいいんじゃないですか。来日してるし、日本大好きだから」と言ったら、藤本さんが、「いや、下の2人も来日してます」。エッ、そうなのか。それに、将軍は「寅さん」や「釣りバカ日誌」が大好きで、何度も何度も見てるという。じゃ、映画交流から始めてもいい。
 でも、我々はその程度のことしか分からない。特に下の2人はどんな人なのか知らない。知っているのは藤本さんだけだ。藤本さんによれば、長男・正男氏はロイヤルファミリーや幹部が集まる中枢の場に1度も姿を見せず、「最初から構想にない」と言う。でも、儒教の国だ。お父さんが受け入れた「よど号」を息子の正日さんも丁重に扱っている。又、正日氏は長男だ。他の優秀な兄弟もいるといわれたが、長男が総書記になった。だったら、正男氏は依然有力だと思うが…。

週刊新潮
「週刊新潮」(2/5号)

 次に二男の正哲(ジョンチョル)氏だ。韓国情報機関から「最有力候補」ともいわれた正哲氏は、ジャン・クロード・ヴァン・ダムに憧れ、筋力増強剤を飲み過ぎて女性ホルモン過多分泌症となり、欧州の病院で治療を受けているとされる。藤本氏はこの「入院説」には、否定的だったが、アクション映画好きなのは事実。「マトリックス」のキアヌ・リーブスがかけていたサングラスを、正哲王子が、「日本に行ったら、これ買ってきてくれよ」と言われて、買っていったそうだ。なかなか面白い人だ。野性的だ。ただ、この正哲王子は後継レースから脱落したという。その理由は病気ではなく、人間の器の問題だ。三男の正雲(ジョンウン)さんの方が優れているという。藤本氏は言う。

〈幼少のときから01年までずっと見ていましたからね。違いはもう一目瞭然ですよ。王哲王子の場合は北朝鮮を統率することはできません。彼では無理です。そのぐらいのことは将軍だって把握しています〉

 その理由を、藤本氏は将軍から直接聞いている。息子2人が食事の後、バスケット場に行っていなくなった途端、すぐに将軍は正哲王子のことを言う。「あいつのハートは女の子みたいでダメだ」と。だから、三男の正雲氏で決まりだと言う。では、その三男の正雲(ジョンウン)氏はどんな人物か。藤本さんは言う。
 「その性格は温厚なところも当然あるが、攻撃的といえば攻撃的。何しろ父親の将軍にうり二つといえば間違いない。将軍の生き写しです」と言う。又、正雲氏はタバコが大好きで、少年時代、藤本氏のもとにこっそりもらいにくることもしばしばだったという。酒も強く、父親譲りで、ワイン、ウオッカと「何でも来い」だったという。
 正哲氏と正雲氏は幼いころ、兄弟げんかをしていて、藤本氏は、「正雲王子は気が荒い」と見分けた。しかし、けんかが殴り合いに発展することはなく、少なくとも5年前までは「意外と兄弟の仲はよい」という。
 さらに、『金正日の料理人』では、もっと詳しく、兄弟の性格の分析をしている。正雲氏には、藤本氏は随分と助けられ、優しくしてもらったという。

④こうして将軍様に信頼された

公安vs右翼
「公安vs右翼」(阿佐ケ谷ロフト1/22)

 ファミリーは全員が寿司が好きだ。これは、収録が終わって聞いたが、将軍はトロなどの脂っこいものが好きで、何度もおかわりをした。何でも食べるが、手を焼いたのは納豆巻き。一回で、「もういい」となった。又、「チラシ丼」。「藤本、これはどこから食うんだ」と聞いた。「どこからでも」と答えたが、苦闘していたようだ。
 服はいつも同じ国民服を着てるから、「一着しかないんですか?」と聞いたら、「そんなことはありません」と言う。同じものを何着か持っているのだ。ただ、服には全く金をかけない。「国民と同じ服装で、同じ目線で…」ということらしい。ただ、食べものはグルメだ。「じゃ、アメリカ発祥のカリフォルニア巻きなんかは嫌いでしょう。マガイものめ、と思ってるでしょう」と聞いたら、「ところが違うんです。大好きです。トビッコも好きですし」と言う。
 藤本さんは、日本にいる時、腕のいい寿司職人だった。それを見込まれて、北にスカウトされた。じゃ、これだけ腕のいい人を、ほっとおく手はない。実は、帰国後、すでに、どこかで握っているのかもしれない。素顔だと誰も分からないし。帝国ホテルやニューオータニで握っても分からない。それで、テレビに出る時だけ変装してくればいいんだし。
 「いいえ、そんなことはありません。今は失業中です。スポンサーがいて店を出せたらいいんですが」と言う。うーん、出来るんじゃないかな。あるいは、「ディナーショー」をやってもいい。将軍と同じものをコースで食べさせる。そして藤本さんが解説をする。「三万円位なら人が集まるよ。どう、テレビ局も考えてみたら」と私は提案した。
 将軍とは2人きりの時が、かなりあった。随分と奥深い、細かい事まで聞いている。又、そこまで信用されていたのだ。藤本さんと酒を飲み、話していて、この人は「思い切りのいい人」だと思った。イザという時の、腹が据わっている。命をかける。それを感じた。オベンチャラを言い、追従する人ではない。だから将軍も信用したのだ。

帝銀事件と冤罪の闇
「帝銀事件と冤罪の闇」(1/26)

 寿司を握ってもらった時は、いつも封筒に入ったチップを渡す。ある時、将軍は投げてよこした。地面に落ちた。藤本さんは拾わないで、そのまま帰ってきた。よく、そんなことが出来たものだ。でも将軍は、「先日は悪かった」と謝って、それからは必ず手渡すようになった。独裁者に謝らせたなんて他にいないよ。
 又、ある時、2人っきりで水上バイクの競争をした。「これは、真剣勝負だぞ!」と将軍は念を入れる。でも、普通なら、力を抜く。分からないように力を抜いて、「負けました。さすがは将軍様です」と言う。ところが、勝っちゃった。不自然に力を抜くことが出来なかった。将軍は、「自分が負けた」とは言わない。「お前が勝った」と讚えてくれた。まわりの幹部たちは、「大変なことになる」と怯えていた。しかし、この2つの「事件」で藤本さんは将軍の信用を得た。一歩誤ったら命を落とすところだ。命をかけている。腹が据わっていると思った。

 では映画の話だ。ロイヤルファミリーは皆、映画好きだ。将軍は「寅さん」、「釣りバカ日誌」、「座頭市」が好きで、特に、「寅さん」は全48作全てを揃えており、何度も見ている。48作で寅さんが沖縄で浅丘ルリ子と歩いていて、後ろから肩を抱こうとすると、人が来て浅丘は駆け出す。それで寅さんの腕が空振りになる。そこが面白いといって将軍は皆の前で演じてみせたそうだ。あと、都はるみの回も…。
 「これはいい映画だから北朝鮮でテレビ放映しようか」と将軍が言った。藤本さんは賛成した。でも実現しなかった。国民が寅さんを見て、だらけるようになってはと懸念したようだ。あるいは側近の反対があったのかもしれない。藤本さんは本の中で書いている。

塩見孝也 鈴木邦男
革命家・塩見孝也氏(左)と(1/25)
〈おそらくいちばんの問題は、寅さんの映画の内容に、革命や思想が導入されていないためなのだろう。日本の現代映画に革命や思想なる様子がはいった映画があるわけがない。そのことは私も分かる気もするけど、北朝鮮国民の「頭の休日」と考えれば、何も問題はないはずではないか。毎日毎日、革命だ、チュチェ思想だと頭に叩き込んでばかりでは北朝鮮人民は疲れ果ててしまわないだろうか〉

 いや、日本にも「革命映画」はありますよ。若松孝二さんの「実録連合赤軍」などだ。又、「寅さん」は、実は革命家(それも永久革命家)だと認識している人もいる。塩見孝也さん(元赤軍派議長)だ。自由を求め、「永遠の女性」を求めて失恋しても失恋しても〈夢〉を追いかける。これこそ、革命家の道だという。北朝鮮でも、そういう「理屈づけ」をしたら全家庭のテレビで見られる。今度、塩見さんを藤本さんに紹介しよう。
 それに、「寅さん」の良さが分かるのは日本と北朝鮮だけだという話もある。中国やアメリカ、ヨーロッパでは残念ながら、それほど見られてない。なぜなのか。文明観の違いがあるんだ。日本、北朝鮮、韓国では、寅さんの「無償の行為」に感動し、涙する。見終わったあとも、サッパリしている。でも中国で上映したら、全く不評だ。アメリカやヨーロッパでも人気が出ない。あんなに、動き回り、他人のためにと思って寅さんはやった。それで終わる。それが不満なんだ。「無償の行為」。努力をしてやった。では、それで寅さんは「何を得たのか」「何をしてもらったのか」を考える。新自由主義的だ。これだけやったんだ。これだけのことを要求しろ、と思う。でも、日本と朝鮮は、そんなことは思わない。「寅さんは偉いね」「けなげだね」と涙して、満足する。
 だったら、なおのこと。北朝鮮では全家庭で見せてほしいものだ、と思う。

【だいありー】
塩見さんの新年会
塩見さんの新年会で(1/25)
  1. 1月26日(月)昼、取材。夜7時から阿佐ケ谷ロフト。「帝銀事件と冤罪の闇—戦後最大のミステリー」です。出演者は平沢武彦、遠藤浩良(薬物学者)、安田好弘、山中幸男…氏らだった。超満員。スリリングなトークになった。終わって近くの居酒屋で打ち上げ。
  2. 1月27日(火)10時45分、ジャナ専の授業「時事問題」。12時半、赤坂で人と会う。その後も、打ち合わせ。忙しい。
  3. 1月28日(水)午後、対談。6時から日本青年館で、「国体文化講演会新春のつどひ」。河本先生、笹井氏、藤本氏らと会った。高森氏、四宮氏にも会った。
     「小林よしのりさんの『天皇論』はすごいね」と何人かと話をした。『SAPIO』に連載されている「天皇論」は今回3回目。正月に皇居の一般参賀に行ってきて、「万歳」をしたと書いていた。今までは、やったことがなかったが、「万歳童貞」を初めて破ったと書いていた。凄い表現だ。青少年に与える影響力は莫大なものがあるだろう。ただただ、脱帽するのみ。
     そうだ。日本国体学会で出している月刊『国体文化』(2月号)に、私の講演が載っていた。去年の9月24日に、中野サンプラザで講演したものだ。8頁にわって。光栄です。ありがとうございます。
  4. 1月29日(木)午前中、取材。3時から河合塾コスモ。「現代文要約」。5時から「基礎教養ゼミ」。今週は牧野剛先生の選んだ本で、斎藤孝の『代表的日本人』(ちくま新書)。それと手島実郎の『脳力のレッスン』(「世界」09・2月号)を読んだ。
     この日発売の『週刊新潮』(2月5日号)が巻頭トップで大スクープ。島村征憲という人の実名告白手記「私は朝日新聞阪神支局を襲撃した!」。8ページの大特集だ。「共犯者」が自殺し、それで名乗り出る覚悟を決めたという。凄い。この件について、新聞社や週刊誌から、ドッと取材の電話がかかってきた。
     「この人は知りません」と私は答えた。ところが「週刊新潮」の記者が、「彼は鈴木さんを知ってますよ」と言う。そして詳しい話をする。そうか、あの時の「彼」だったのか!だから島村征憲という名前を見て、「あれっ、どこかで知ってる」と思ったのだ。それで僕が「教唆」したのか。そんなことはないと思うが、次回が待たれる。何か怖い。
国体文化
『国体文化』(2月号)より
  1. 1月30日(金)、カゼ気味なのに、朝早くから、いろんな人に会って、大変だった。疲れた。昼、赤坂で人に会い、そのあと、「フェイク シティ」の試写会。六本木の20世紀フォックス映画の試写室で。「ポチの告白」にコメントを書いたので、案内状をもらったようだ。キアヌ・リーブス主演の「警察映画」だ。これも凄かった。「ある男のルール」とサブタイトル。警察の中で誰が味方なのか、敵なのか分からない。「最期に頼れるのは、魂か。弾丸か」とキャッチコピーが。〈真実〉と〈正義〉を求めて、警察内部で疑心暗鬼になり、喧嘩し、殺し合う。なにやら、警察版の「連合赤軍事件」のようだと思った。2月14日(土)からみゆき座他で全国ロードショー上映なので、見て下さい。ともかく、衝撃的な作品だ。そうだ。金正哲さんはキアヌ・リーブスが好きだからもう見たのだろうか。「金正哲(金正日三男)さんのコメント」もパンフレットにもらえばいいのに。ヒットするよ。
  2. 1月31日(土)昼、取材で何人かと会う。カゼで苦しいが、夕方、5時、八王子に行く。八王子クリエイトホール。「Link to Peace vol.1」「パレスチナを伝えたい」。写真展を見て、高橋和夫さんの記念講演を聞いた。大勢集まっていた。とても勉強になった。
  3. 2月1日(日)朝の新幹線で和歌山へ。カゼで苦しい。1時半から、和歌山市民会館。「和歌山カレー事件を考える人びとのつどい」第5弾。全国から沢山集まっていた。安田好弘弁護士、林健治さんの話があった。又、山田悦子さん(甲山事件管財被害者)のお話があった。とても感銘を受けた。
【お知らせ】
  1. 河合塾の超人気講師・牧野剛さんが『人生を変える大人の読書術』を2月に出します。〈読書術〉の決定版です。これさえ読めば、あとは読む必要はありません。「40年以上もの間、1日に1冊読破してきた」といいます。株式会社メディアックスから2月28日発売です。楽しみです。長きにわたる読書を続けてきたからこそ、人生において新たな発見や問題の解決をすることができたといいます。
  2. 2月8日(日)日本赤軍、「よど号」などに対する政治犯への「不当弾圧に反対する集会」。午後1時より5時。京都駅前の京都キャンパスプラザ。私も「呼びかけ人」になってますので行くつもりです。
  3. 2月12日(木)警察の衝撃の告白映画「ポチの告白」が新宿のK'CINEMAで絶讃上映中です。この日、最終回が終わってから、9時半から、この映画について北芝健さん(元公安)と私の激突トークがあります。お楽しみに。
  4. 2月14日(土)午後1時半より。港勤労福祉会館。「和歌山カレー事件を考える人びとのつどい」の東京集会です。安田好弘弁護士などが講師です。
  5. 2月17日(火)7時半、一水会フォーラム。高田馬場サンルートホテル。講師は青木理さん(元共同通信記者)です。
  6. 2月21日(土)テアトル新宿で、若松孝二監督とトークをします。深夜です。『実録・連合赤軍』がDVDになるのを記念して行なう企画です。イベントは午後11時に始まり、我々のトークは深夜3時25分から1時間です。
  7. 3月5日(木)宝島SUGOI文庫の『左翼はどこへ行ったのか』発売です。
  8. 3月28日(土)、29日(日)劇団再生の新作公演です。「詩編・レプリカ少女譚」です。公演前に高木尋士さんと私のトークもあります。阿佐ケ谷ロフトで7時半からです。