2009/07/27 鈴木邦男

「カレー事件」の大阪集会。そして、再審請求で和歌山に行った!

①残酷な話だ。眞須美さんの近況

「和歌山カレー事件を考える集会」で(7/19)
「和歌山カレー事件を考える集会」で(7/19)

刑務官が急に優しくなったという。風呂の時間は5分延長された。生の果物も食べられるようになった。その「変化」が、かえって怖いと言う。和歌山カレー事件の林眞須美さんだ。最高裁で死刑判決が出てから、一般の人は会えない。夫の林健治さんが、最近の眞須美さんの近況を報告してくれたのだ。

7月19日(日)午後1時から、支援集会は開かれた。大阪の御堂会館だ。次から次と人が詰めかけ、補助椅子をいくら出しても足りない。それだけ、この事件への関心が高いのだろう。又、講師の辛淑玉さんの話を聞きたいという人も多い。さらにマスコミにすれば、近々提出される「再審請求」のことを聞きたい。それで200人以上の人が会場にあふれた。

動機もない。証拠もない。自白もない。とても立件できない「犯罪」なのに、状況証拠だけで林眞須美さんは死刑判決だ。弁護団は近々、再審請求をする。でも厳しい。再審は「開かずの扉」だと言われる。それにどう立ち向かうのか。

冒頭書いたように、眞須美さんの近況には驚いたし、背筋の寒くなるものを感じた。今までとは「待遇」が全く違う。刑務官の言葉も態度も優しくなった。「もうすぐ死ぬんだから」という気持ちが表れている。「死刑囚」と呼ばれることだけは絶対に嫌だ!と言っていたが、その「死刑囚」になってしまった。「死刑囚」として、もう「過去の人」になってしまった。そういう絶望感があるという。

辛淑玉さんと(7/19)
辛淑玉さんと(7/19)

今までは最高裁がある、と思っていた。やっていないんだし、必ず無罪になるはずだ。そう信じてきた。しかし、それは完全に裏切られた。今までは、〈死〉に直面することはなかった。最高裁という一筋の希望があったからだ。今はそれもない。いつ死刑を執行されるか分からない。毎日毎日、朝から晩まで、〈死〉を考えている。死に直面している。

10年前の逮捕当時と違い、今は、「無罪ではないか」「他に犯人がいるのではないか」という声も各方面から上がっている。いくら何でも法務大臣は判を押さないだろうと思う。しかし、これは「支援者」の希望的観測かもしれない。当の眞須美さんにしたら、環境は一変した。「死刑囚」となり、いつ死刑を執行されるか分からない。日々その不安と闘っている。

眞須美さんの近況を伝えた健治さんは、さらに信じられないことを報告する。死刑囚になってから、刑務官が急に優しくなったと言ったが、逆の現象も出ている。露骨に罵倒する刑務官もいるという。「どうせ死刑になるんだ。今のうち、旨いものを食っとけばいいさ」「お前のような悪党はすぐに処刑される。そのボタンを俺が押してやる」…と。許せない話だ。「言葉」だが、これは「暴力」だ。残虐な「拷問」だ。ゾゾーッと、背筋が寒くなった。

②動機も証拠もないのに殺すのか!

「支援する会」代表として挨拶した
「支援する会」代表として挨拶した

この「支援集会」での林健治さんの報告には会場がシーンと静まりかえった。涙ぐむ人もいる。眞須美さんは絶望的になり、焦っている。「死刑囚」として「過去の人」になったのではないか、と。しかし、やってもいないことで殺されるのは嫌だ!そう叫んでいる。

その眞須美さんをどうやったら救い出せるのか。大体、この事件の本質は何なのか。それがこの集会のテーマだった。辛淑玉さんが講師だと聞いていたので、はじめ1時間ほど講演し、そのあとで辛さんが弁護団に「今後の闘い方」を聞くのかと思った。「あの判決ってやっぱりヘン! 和歌山カレー事件最高裁判決」と演題も掲げられていたのだし。

ところが、違った。講演はなし。弁護団3人と林健治さん、それに辛さんの5人が壇上に並ぶ。そして辛さんから次々と質問が飛ぶ。いい話だけではない。今までの弁護活動の至らなさも指摘される。林夫妻の驚愕の「私生活」も暴かれる。林夫妻は決して「理想の夫婦」でもないし、「善人」でもない。何せ保険金詐欺で暮らしていたのだ。夜中まで麻雀をし、大声を上げ、近所迷惑な人だ。保険金詐欺で8億もとり、皆、ギャンブルに使ったという。さらに、健治さんは眞須美さんとよく喧嘩をし、殴りつけていた。DV(家庭内暴力)だ。又、「金が魅力で眞須美と結婚した」「付き合ってる時は、女房、子供がいた」と、衝撃の新事実も明らかにされた。辛さんも、「あなたは女の敵ですね!」「最低の男ですね!」と思わず叫ぶ。

眞須美さんだって、ただ「夫の暴力」に泣く「悲劇のヒロイン」ではない。夫と共謀し、次々と保険金詐欺を実行する。又、金銭には異常に執着がある。弁護団の1人が思わず、「眞須美さんは金に汚くて…」と口を滑らせた。弁護活動の中で、さんざん嫌な思いをさせられたのだろう。

林健治さん(右)と
林健治さん(右)と

これでもか、これでもかと夫婦の〈悪行〉が暴露される。それも、辛さんが話を持って行くのだ。一体、この集会は何だ。全く「支援集会」になってない! と思った。まるで林夫婦を糾弾する集会のようだ。

でも、これは辛さんの作戦だ。高等戦術だ。こんなに金にこだわり、金に汚い2人だ。仲間たちと共に、ヒ素を使って保険金詐欺を繰り返す。合意の上で、「死なない程度」のヒ素を飲み、保険金を騙し取る。悪の天才だ。

「だからこそ、全く金にもならない大量殺人をやるはずがない」と我々は思う。説得力のある話だ。詐欺で8億も取った。その金を使いたい。でも殺人をしたら刑務所だし、使えない。そんなことをするはずがない。それに、彼らは、ヒ素を使い慣れてるし、「ヒ素のプロ」だ。「住民から迷惑がられ、疎まれていたので仕返しにヒ素をカレーに入れた」と言われるが、「ちょっと腹痛」くらいにさせ、「復讐」することも出来る。そんな「手加減」はできる。だから、そんな「手加減」を知らない、「ヒ素の素人」がやったことだ。それに、弁護団が言っていたが、「2人とも近所の反撥など気にかけるような人じゃなかった」と。うん、これはその通りだ。周りの人から何と思われているだろう、迷惑をかけてるんじゃないか、と思い悩むような人ではないのだ。もっと大らかというか、神経が太い。悪く言えば、ズウズウしい。周りの目を気にして、「仕返ししてやる」なんて考えるヤワな人ではない。うん、これは説得力があると思った。

③保険金詐欺の凄絶な話が…

安田好弘弁護士(左)と
安田好弘弁護士(左)と

林健治さんは「保険金詐欺」は認め、刑務所に入り、満期で務め、出所した。だから、その保険金の話は生々しい。眞須美さんも、その「保険金詐欺」容疑だけなのだ。でも、「殺人」で起訴され、死刑判決だ。又、「夫・健治さんを殺害しようとした」という殺人未遂でも起訴されている。これは警察・検察の「分離作戦」なのだ。夫婦の一方を加害者、一方を被害者にして、争わせ、そこで「カレー事件」を「自供」させようとしたのだ。

しかし、「私は被害者ではない。自分でヒ素を飲んだ」と健治さんの口から明らかにされた。これは何とも凄まじい話だった。

眞須美さんのお母さんが死んで1億5千万の死亡保険が下りた。それを健治さんは勝手に持ち出し、競輪で使ってしまった。当然、夫婦喧嘩だ。「お前みたいな男は死んでしまえ!」「おう! 死んでやる」と、売り言葉に買い言葉だ。そして、「よし、俺がヒ素を飲むから、その保険金でお前の金を返す」と言った。そして本当に飲んで病院に担ぎ込まれる。「死なない量」は分かっているから大丈夫だ。しかし、軽すぎて、退院しろ、と言われた。仕方ない。もっと量を増やそうと又、飲んだら、少し多すぎて、何週間も人事不省に陥り、生死の間を彷徨った。

それで保険会社も「信用」して、保険金を下ろした。まさに命がけの「仕事」だ。そんなことが何回も、何回もある。よくやるものだと思う。普通なら絶対にやらない。それほどまでして金が欲しいのか。

又、このヒ素事件のあとも、仲良く2人は同居し、次のプランを練っている。検察が言うように、「殺されそうになった」のなら、とても同居できるはずはない。

「アトミック・サンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する集会(7/18)
「アトミック・サンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する集会(7/18)

一般の人から見たら、「保険金詐欺をするような人間だから、何でもするだろう」「大量殺人だってするだろう」と思うが、違う。金に執着し、金に汚いからこそ、金にもならない大量殺人はやらない。これは説得力がある。

だから、最高裁の判決が出た時も、自白もないのに死刑でいいのか、と多くの人がコメントしていた。「たかじんのそこまで言って委員会」でも三宅先生をはじめ多くのパネラーが、「この判決はおかしい!」と言っていた。「あそこまで三宅先生が言ってくれたのには驚きました」と健治さんも言っていた。又、「週刊SPA!」では、北芝健、石原伸司、私の3人で座談会をやった。タイトルはズバリと、「林眞須美は無罪である!」だ。

この2つは眞須美さんも、とても喜んでいた。再審への希望も見えたようだ。私は「支援する会」の代表だが、実は何もやってない。眞須美さんから「help!」の手紙を何通も何通ももらいながら、何もやれていない。でも、「たかじん」と「SPA!」に関われたのは大きな仕事だったと思う。

④厳しい辛さん。でも、優しい辛さん

「三鷹事件から60年。あらゆるえん罪を許さない集会」(7/15)
「三鷹事件から60年。あらゆるえん罪を許さない集会」(7/15)

この大阪での「支援集会」は5時に終わった。閉会の挨拶は私がやった。いやー、辛さんは凄い。話がうまい。話の持って行き方がうまい。そして「怖い」と痛感した。「これが支援か!」と思わせておいて、「だから判決はおかしい!」「眞須美さんは無罪だ」と語りかけ、証明していく。さすがだと思った。強い人だ。

それに、限りなく優しい人だ。5年ほど前のことだ。北海道で辛さんと私のトークを開くことになった。歌手の朴保(Pak Poe)さんも出演する。ところが直前になって主催者が、「辛さんだけの講演会にしてほしい」と言ってきた。いかがわしい右翼の人が一緒だと人が集まらない。市民集会にも汚点がつく。だから辛さん1人の方がスッキリするし、人も集まる、と。私はすぐに納得した。そうだよ、汚い右翼を呼んだら集会がダメになる。「はい分かりました。降ります」と言った。別に、誰を恨むのでもない。「右翼の原罪」だ。辛さんにも「1人で行って下さい」と頼んだ。

記念講演をした高見澤昭治弁護士(左)と(7/15)
記念講演をした高見澤昭治弁護士(左)と(7/15)

ところが辛さんが激怒した。「鈴木さんと一緒でないなら、私は行かない!」。凄い剣幕だ。「何も私のせいでそこまでしなくても…」と辛さんに言ったが、断固として辛さんは持説を曲げない。それで、とうとう主催者が折れて、2人のトークになった。私はポロポロと涙を流した。なんていい人なんだろうと。神様のような人だ。だから私は一生、辛さんには頭が上がらない。

この大阪集会でも、一見、厳しく質問し、追及しているようだ。でも、その底には「大きな愛」があるのだ。安田さんを初めとした弁護団、それに林健治さんも痛感したはずだ。そして、会場の皆も…。

【だいありー】
川内康範さん(中央)と。左は木村三浩氏(07/7/1)
川内康範さん(中央)と。左は木村三浩氏(07/7/1)
  1. 7月20日(月)地方で仕事。取材をして、多くの成果があった。いつか本にする時に生かせるでせう。
  2. 7月21日(火)昼、帰ってきた。午後1時、トントンとドアを叩く音がする。開けたら背広姿の男が3人。タッと警察手帳を出す。「ゲッ、ガサ入れか!」と思った。しかし、違った。警察手帳ではなく、名刺だった。雑誌社の取材だ。「ぜひ、みやま荘で取材したい」と頼まれていたのだ。ホッ。
     4時、河合塾コスモへ。牧野剛さんを初めとした現代文の先生方3人が特別講義。「現代文」の解き方について。満員だった。私も「生徒」として聞いた。3人は話もうまいし、教え方もうまい。天才的だ。私なんて全く無能だな、と思った。「これを読みなさい」とリストを渡された。私も読んで勉強しなくっちゃ。中に内田樹さんの本が何冊かあった。ぜひ、読んで話してもらったらいい。私も会ってみたい。元学生運動をやってたというし、合気道もやってたというし。
     午後7時、安田生命ホール。「志の輔らくご」を聞く。久しぶりに堪能した。ホーキング青山さんにも会った。急いで帰って、朝まで原稿を書く。最近、ずっと忙しくて、2〜3時間しか寝てない。
  3. 7月22日(水)朝一番の新幹線で新大阪に。ここから乗り換えて和歌山へ。安田好弘弁護士、林健治さんなどと共に、和歌山地裁に行く。
    林眞須美さんの「再審請求」を提出したのだ。そのあと、近くの弁護士会館で記者会見をする。そして、帰った。私は用事があったので、すぐ帰京したのだ。和歌山に滞在したのは1時間半。そのために往復8時間も新幹線とJRの旅だ。新幹線の中で、バッタリと板東英二さんに会った。5年ほど前に板東さんの司会するテレビに出た。それ以来だ。
     みやま荘に午後5時半についた。ビックリした。ドアが開いている。5、6人の男たちが勝手に部屋に入って、「家捜し」している。ギョエ!又、ガサ入れだよ。ヤベー、逃げなくちゃ。逮捕されちゃうよ。と思ったら、「やあ、お帰りなさい」と大浦信行さん。あっ、そうか。今日は大浦監督の映画「見沢知廉」の撮影の日だったんだ。忙しくて、ボーッとしていた。記憶が飛んでいた。  前から決まっていた。この日、「朝10時からみやま荘で撮影させて下さい」と言われた。嫌だなと思ったが、押し切られた。
     ところが7月19日(日)大阪の「カレー事件」の集会の時に安田弁護士に言われた。「7月22日(水)午前10時半から和歌山で再審請求をして、記者会見をします。支援する会代表の鈴木さんにもぜひ出てほしい」と。無理ですよ。10時に撮影があります。30分後に和歌山には行けません、と。でも、再審請求は眞須美さんの命にかかわることだ。何としても行くべきだろうと思い直し、大浦監督に電話した。カメラマンも、共演の女優さんも忙しい。他の日はとれない。さんざん話し合って、「そういうことなら仕方ありません。終わったらすぐ帰ってきて下さい。来るまで勝手に部屋に入って準備しておきますから」と。それで、急いで家のカギを送った。この日は2時頃から準備してたという。フスマも全て外され、押し入れもさらけ出されていた。セーラー服なんか押し入れにおいてかなくてよかった。そんなの持ってないけど。劇団再生の高木さんも見学に来ていた。再生の女優さんが出るので付き添いだ。「セーラー服はないですね」と言う。「元々、ねえよ!」「でも佐伯さんの小説を読んだ人は、あそこだけは皆、本当だと思ってますね」。「右翼の原罪だよ」。「いや、私の不徳の致すところですよ」。
     部屋の中も大きく変わっていた。テレビがない。ヒーターもない。本も片付けられている。そして、畳の上にレールが敷かれ、そこにカメラが。ゲッ、みやま荘にレールが敷かれたなんて初めてだよ。
     それから、2時間、撮影。そして、又、元のように片付けてくれました。テレビも、どこからか持ってきて、入れてくれました。ホッとしました。
     夜は、疲れ果てて寝ました。5日ぶりにゆっくり寝ました。嬉しかったです。おわり。
河合塾コスモ。前期テストの食事会。もんじゃ焼屋で(7/16)
河合塾コスモ。前期テストの食事会。もんじゃ焼屋で(7/16)
  1. 7月23日(木)朝、早く起きて府中の運転試験場に行った。運転免許の更新で。5年に1度の大仕事だ。あれ以来、事故は起こしてないので「優良運転者」だ。検査して手続きをして、「優良運転者」向けの講習を受ける。法律がいろいろ変わり面倒だ。75才以上の人は、「認知機能検査」があるんだって。まァ、75になったら免許を返せ、ということだね。年をとったら、トッサの判断も出来ないし、モタモタして事故を起こすということだろう。でも、モタモタして、「ドジ!」「早くしろ!」と怒鳴られても、それで大事故にはつながらない。若い人間がスピードを出しすぎる。乱暴な運転をする。それが大事故になるんだ。75才以上の高齢者は、ぶっ飛ばして、レーサーごっこをしたりしない。又、女をさらって車で逃げたりもしない。おとなしいもんだ。
     それと、70才以上の「高齢者」も、本当に運転が出来るのか〈実技〉の試験をやるそうな。まいるなー。次の更新の時は71才だよ。面倒だ。国に免許を返そうか。と思ったが、あんなに苦労して取ったんだ。みすみす返すもんか。じゃ、どっかの車を盗んで練習するか。何も盗まなくていいのか。自動車学校で講習受けりゃいいんだな。
     普通の運転は出来るが、車庫入れ、縦列駐車は不得意だ。試験の時、「車庫入れ」だったので、何とか合格したが、もし、「縦列駐車」だったら落ちてたな。練習しなくっちゃ。
     それに、「右折」は長い間やってたから得意だが、最近は思想的に「左折」しているので、これも練習しなくっちゃ。本当は「右折」の方が難しい。対向車に気をつけて、右に曲がるのだから、時には対向車と闘う。だから右翼はテロなんだ。戦後の日本は左翼が強かったから、左側通行だった。今だって左側通行だ。これは楽なんだ。そのうち、「右側通行にしろ!」「国家の自主性を取り戻せ!」という運動が起きるだろう。
     それと、S字コース、クランクコースの練習もしなくっちゃならん。赤軍派時代に車を盗んでは、銀行強盗を繰り返していた植垣康博さんに教えてもらおう。運転テクニックを。「その前に、車を盗んでこい!」と言われるかな。
破れたズボン
破れたズボン
  1. 7月24日(金)夜中に起きて原稿を書く。出かけていることが多いので、仕事がたまってる。午後1時、雑誌社の人と打ち合わせ。難しい話だ。私に出来るだろうか。
     夕方、渋谷のuplinkで、ロシア革命アニメーション。「(B)ブロック」を見る。先日、「(A)ブロック」を見た。今回の方が、かなり思想的で、シュールだった。永瀬唯さん(作家・と学会)に会ったので、アニメや映画の話をいろいろ教えてもらった。
     そのあと、時間があったので講道館に行く。久しぶりに汗をかいて気持ちがいい。髭モジャの強そうな男性に「娘がお世話になって」と挨拶された。そうだ。月刊「創」の編集者が、「父が講道館に通ってます」と言っていたっけ。私の前の担当者で、とてもお世話になった。「こちらこそ、お世話になりました」と言った。それから、柔道の話をした。高校の時から柔道部だという。私なんて50才から柔道を始めた。とてもかなわない。娘さんにも負けるだろう。
  2. 7月25日(土)午前中、原稿を書いていた。昼、図書館。午後、過激派の会合。毎日、スリリングな日々だ。末期高齢者なのに。
     ちょっと時間があったので、神田の岩波ホールで「嗚呼 満蒙開拓団」を見た。とてもいい映画だった。帰り際、「やあ、久しぶり」と声をかけられた。驚いた。信じられない人と会っちゃった。
    帰り、東西線が止まっていた。落合駅で列車の下から煙が出てるとのこと。過激派のテロか。困るな。落合だと私が疑われる。又、ガサ入れが来たらいやだな。
  3. 7月26日(日)午後10時から夕方5時まで、「無門関解釈」の勉強会。とても勉強になりました。
     重信房子さんから、最近出た著書『日本赤軍秘史・パレスチナと共に』(河出書房新社)を送ってもらいました。これはまさに貴重な〈歴史〉です。500ページもあります。じっくり読もうと思います。
     それと、青木理さんから『絞首刑』(講談社)を送ってもらった。これも、さっそく読んでみます。  小林よしのり編『日本を貶めた10人の売国政治家』(幻冬舎新書)は凄いですね。メチャ売れてます。木村三浩氏も書いてます。
【写真説明】

① 7月19日(日)午後1時から大阪御堂会館で、「和歌山カレー事件を考える集会」が行われ、200人以上が集まり、超満員でした。辛淑玉さんが、「あの判決って、やっぱりヘン!」と話します。又、安田さんたち弁護士、そして林眞須美さんのご主人の林健治さんにも質問します。なかなか厳しい質問もありました。辛さんは話がうまいし、ひきつけます。

② 尊敬する辛淑玉さんと。光栄です。腕まで組んでますね。

③「支援する会」代表として私も、最後に挨拶しました。

④ 林健治さんと。「厳しいことを言ってすみません」と謝りました。

⑤ 打ち上げで、安田好弘弁護士と。

⑥「アトミック・サンシャイン」沖縄展の検閲に抗議する集会。7月18日、日本教育会館。大浦信行さんの作品だけが落とされた。時代を見越した天才の作品だからだ。むしろ、時代に受け入れられないのは芸術家としての勲章かもしれない。大浦さんと一度、ゆっくり話してみたい。

⑦「三鷹事件から60年。あらゆるえん罪を許さない集会」。7月15日、武蔵野公会堂。記念講演しているのが高見澤昭治弁護士。

⑧高見澤弁護士と。この日、会場で売っていたので、高見澤弁護士の『無実の死刑囚 三鷹事件 竹内景助』(日本評論社)を買った。一気に読んだ。凄い本だ。三鷹事件について全く知らなかった。こんなひどい事件だったのか。最近読んだ本の中では一番衝撃を受けた。又、高見澤弁護士にゆっくり話を聞いてみたい。ロフトでやってもいいな。

⑨先週、「川内康範先生を送る会」の写真を載せたが、元気な時、一緒に写した写真が出てきた。07年7月1日だ。木村三浩氏と田町を歩いていたら、川内先生に呼び止められた。ホテルでコーヒーをご馳走になりました。この時はとても元気で、「日本を変える秘策がある」と言ってました。政治家にも精力的に会って提言していました。

⑩7月16日(木)は河合塾コスモの前期のラストの授業でした。授業が終わって、新宿のもんじゃ焼き屋さんで、食事会をしました。

⑪破れたズボンをはいてた生徒がいました。新しいズボンをわざと破いて売ってるんですな。分からん。「じゃ、撮る?」と言われて、「はい、お願いします」と撮った。何でも興味のあるものはすぐに撮ると思われてるようだ。まァ、実際そうだけど。

【お知らせ】
  1. 7月29日(水)午後7時、阿佐ケ谷ロフト。「週刊金曜日」主催で、「総選挙・政局を考える」シンポジウムです。私も、急遽、出ることになりました。
  2. 7月30日(木)蓮池透さんの『拉致』(かもがわ出版)の出版記念トークを三省堂本店(神保町)でやります。夕方6時半からです。蓮池さんと私です。書店に予約が必要です。
  3. 映画「花と兵隊」が7月下旬より、渋谷のイメージ・フォーラムで上映です。国のために戦いながら終戦後、日本への帰国を拒否した兵隊たち。なぜなのか。〈もうひとつの「戦後」の記録〉です。とてもいい映画です。国家とは何か。戦争とは何かを考えさせられる映画です。
  4. 8月4日(火)7時。阿佐ケ谷ロフト。ドイツ赤軍の流血の闘いを描いた衝撃の映画「バーダー・マインホフ」がこの夏、上映されますが、それを記念して、映画に関するトークの夕べです。ともかく凄い映画です。日本の赤軍にも影響を与えています。予告編も上映予定です。私もトークに参加します。
    翌5日(水)発売の「SAPIO」で「日本最強の外交官は誰だ!」の特集。私もアンケートに答えました。
  5. 8月7日(金)映画「靖国」の李監督の本が出るそうです。『映画秘宝』でやった私との対談も入ってます。
  6. 8月7日(金)〜9日(日)前進座で「銃口」(三浦綾子原作)が上演されます。「銃口」については、このHPでも紹介しました。感動的な物語です。私も見に行きたいと思ってます。
  7. 8月15日(土)昼、一水会フォーラム。いつもは夜ですが、この日だけ、終戦記念日特集で、特別に昼の2時からです。講師が何と、格闘家の前田日明さんです。ご期待下さい。この日は、夜は、ロフトで、前田さんたちが又、激しく訴えます。両方行ってもいいでしょう。
  8. 8月21日(金)〜23日(日)。劇団再生の主催で「見沢知廉生誕50年展」が行われる。「天皇ごっこ〜調律の帝国」の舞台化。そして、トークライブとして高木尋士氏と私の「死後に成長する命・言葉・人生」があります。お楽しみに。この日、50才で誕生した見沢氏は、これから、どんどん若くなって、さらに多くの可能性に挑戦するのでしょう。
     トークには、現在、映画『見沢知廉』を撮っている大浦信行監督も3回共、参加することになりました。ご期待下さい。見沢氏本人も特別出演するかもしれません。
  9. 9月8日(火)午後6時半。阿佐ケ谷ロフト。「日米安保締結から60年」記念トークです。「砂川の熱い日=米軍立川基地拡張阻止闘争の記録」上映会とトークです。
     この映画の監督・星紀市さん。それに砂川事件の元被告。弁護士さんたちが熱く語ります。主催は早大政経`63年入学同級生3名です。布川玲子(山梨学院大学教授)、浜口龍太(日本国際ボランティアセンターJVC会員)、そして私です。3人は同じクラスでした。でも思想は違い、対立してました。特に浜口氏は新左翼のバリバリの活動家でした。それが40年経って、一緒に「主催者」として結集しました。奇跡的な再会です。左右を超え、日本を考えます。砂川闘争を皆で考えます。私も今から楽しみです。
  10. 9月12日(土)午後1時から4時。「大杉栄メモリアル2009=映像とことばで日本の近現代史をふりかえる」。新潟県新発田市生涯学習センター講堂。
    第1部 映画「鶴彬=こころの軌跡」。
    第2部 講演。鈴木邦男「大杉栄と三島由紀夫=私が魅かれる理由」。
  11. 9月28日(月)午後7時、Parc自由学校で講演します。「天皇制と民主主義」です。「Parc自由学校2009」の受講案内のパンフレットが送られてきた。「連帯のための哲学=生きる場のことばと実践から」のコーナーで私は講義します。パンフレットには、私の「天皇と民主主義」の講義の紹介が書かれている。
〈天皇制と民主主義は両立するのか。天皇制は民主主義の例外か。民主主義の欠陥を補うものか。あるいは、完全な民主主義実現のためには廃止すべきものか。天皇制を「休む」という選択肢も含めて危ないテーマについて考えてみる〉