これはもう『聖書』ですね。「山上の垂訓」ですよ。と、私は言った。そして、宮沢賢治の「雨ニモ負ケズ」を思い出した。
10月20日(火)、阿佐ヶ谷ロフトで漫画家の山田玲司さんとトークをした。大人気漫画『絶望に効くクスリ』の著者だ。どうしたら絶望から立ち直れるか。どうしたら自殺を止められるのか。そればかりを考えて、いろんな人々に話を聞く。太田光、島田陽子、森達也、雨宮処凛…と。日本だけではない。オノ・ヨーコ、オリバー・ストーンと外国まで行って聞く。まさに「革命的対談漫画」だ。凄い。今まで会った人は250人以上だという。
「ヤングサンデー」に連載していた。そして小学館から単行本になっている。何と15巻だ。絶望・地獄を潜り、乗り越えた人々だ。ビッグな人々だ。山田さんが彼らに聞く。「自分も鬱で、死にたいと思ってましたから」と言う。「自分の薬」を探して、対談をやり続けてきた。その人たちから、エネルギーをもらった。絶望を、悩みを乗り越えた力とエネルギーをもらっている。幸いなことだ。
でも、聞いてもらったことによって、喋る方も、絶望を乗り越えたことに「自信」を持つ。「確信」を持つ。だから、リバウンドする人はいない。絶望を乗り越え、成功したと思ってる人だって、本当は不安なんだ。少なくとも一抹の不安がある。それなのに、こうやって漫画になる。自信満々に「絶望を乗り越えた体験」を語る。それで、さらに〈自信〉を得たのだ。むしろ、山田さんの方が「救い主」だ。メシアだ。私は、そう断言した。嘘だと思うのなら、まず、この漫画を読んでみたらいい。私の言うことが分かるはずだ。
たとえば、「雨ニモ負ケズ」を開いてみよう。
〈東二病気ノコドモアレバ 行ッテ 看病シテヤリ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテ コハガラナクテモイイトイヒ
西ニ ケンクワヤソショウガ アレバ
ツマラナイカラ ヤメロトイヒ〉
うーん、これはまさに、漫画家・山田玲司ではないか。
次に、「山上の垂訓」を見てみよう。
〈心の貧しい人たちは、さいわいである。天国は彼らのものである。
悲しんでいる人たちは、さいわいである。彼らは慰められるであろう。
義のために迫害されてきた人たちはさいわいである。天国は彼らのものである〉
トークの終わりに、「何か一言」といわれたので、この「義のために…」を書きましたよ。私の人生のモットーです。「薬」です。いや、人生そのものです。今も迫害されてます。
「どうしたら、絶望から抜け出せますか」と山田さんに聞かれたので、答えました。「抜け出す必要はないでしょう。ずっと絶望していればいいんです。絶望を恒常化させればいいんです」
大体ですね、この漫画は250人もの人に会ってるが、皆、絶望を克服した人ばかりだ。ずっと絶望しっ放しの人も取り上げてほしい。そう言って、ハッと気が付いた。そうか。だから私なのか。これからも頑張って、〈薬〉を探してほしい。
それにしても、凄い本だ。まだ数巻しか読んでないが、「よし、全巻読破しよう!」と決意した。全巻読破したら、私も完全に変わるだろう。暗い、イジイジした性格から、カラリと明るく、さわやかな中年になるでせう。肉体だって、健康、頑強になりますよ。この漫画さえ読めば大丈夫だ。皆も、やってみんしゃい。ロデオ・ボーイやブルワーカーに頼らなくてもいい。
そうだ。この漫画に限らず、本さえ読んでれば健康になる。病気にならないという人がいる。そんなことはないだろう。目は悪くなるし、肩はこるし、腰は痛くなるし…と言うだろう。ところが違うんだ。岡本裕の『9割の病気は自分で治せる』(中経文庫)に書いてあった。なぜ、こんな本を読んだかって。まぁ、本屋で目にとまったからだ。それに、薄くて、20分位で読めそうだ。ノルマを達成するには、こんな本も必要だと思った。それに、本の帯に桐島洋子さんが推薦文を書いてる。何と、私に向かって語りかけてる。
「あら、鈴木さん。お久しぶり。元気? 調子が悪くてもイジケちゃダメよ。病気になっても病院なんか行く必要ないのよ。まず、この本を読みなさい」
と帯には書いてあった。と思ったが幻聴だった。いや幻視だった。よく見たら、こう書かれている。
〈ドクターがここまで言っていいのかと心配になる快刀乱麻の医療論、目からウロコの健康論。この一冊で貴方の常識が一変する〉
読んで驚いた。私も目からコンタクトを落とした。本当だ。岡本は医学博士だ。それなのに、こんなこと言って委員会だよ。高血圧、コレステロール、肥満、メタボリックシンドローム、不眠症…は、自分で治せる。もともと、こんなものは病気ではない。医者にとってはこれらの患者は「おいしい患者」なのだという。命の危険はない。それで、ずっと通って、高い金を払ってくれる。そんな、ムダ金を使うのなら、それよりも、「自己治癒力を高めなさい」と言う。風邪も自分で治せる、と言う。これでは医者は困るんじゃないか、と思うけど。それよりも、皆に健康になってもらいたいんだ。〈神〉のような人だ。山田玲司のような人だ。人を助けるためなら、医者がはやらなくなり、廃業してもいいんだ。
そして、「自己治癒力を高める14の方法」を紹介する。
「前かがみの姿勢をやめる」
「ときどきゆっくり深呼吸」
「血流をよくする『ふくらはぎマッサージ』」
「1日に6000歩、歩こう」
「7時間睡眠のすすめ」
…と、お金のかからないことばかりだ。これじゃ、医者は儲からないし、薬屋さんも困る。でも、病人を治すことが先決だ。この13番目にあったんですよ。読書が。
「13.自己治癒力を高める『海外旅行』と読書」
えっ、そんな?と思いましたね。私もよく読書するが、いつも疲れる。体が健康になるなんて思ったことはない。海外旅行だってそうだろう。ヘトヘトに疲れ果てる。時差があって、ボーッとなる。
旅行に行くためには仕事をまとめてやらにゃならん。大変だ。キツイ、と思う。ところが岡本医博はこう言うんですな。
〈海外旅行と読書。この2つも自己治癒力を有意に高めてくれます。それはリンパ球数の増加や、がん患者さんの予後追跡調査などで確信しています。
海外旅行も読書も、時空を短期間で超え、価値観を変える格好の方法です。人が感動やカルチャーショックを受け、それがその人の考え方や生き方に変容を与えるほどのものであればあるほど、リンパ球数は増加します。すなわち、自己治癒力が有意に高まると私は考えています。このような事実を踏まえて、がん患者さんにはもちろん、慢性疾患の方、あるいはストレス負荷の多い方には、読書や海外旅行をお勧めします〉
ホー!と、しばらく絶句してしまいました。知らなかった。読書は体にいいんだ。こんなこと、誰も教えてくれんかったぞ。ありがとうございます。ドクター岡本。それに、勧めてくれた桐島洋子さん。感謝感激です。
じゃ、本なら何でもいいのか。いいんだろう。でも、「より効く薬」があるはずだ。よりよく「自己治癒力」が働く本があるはずだ。そこで考えた。そうか!と思った。
読書は、「時空を短期間で超え、価値観を変える」という。つまり、そういう本がいいんだ。自分が味わえない体験。全く行けない世界。全く理解できない人々。そうした「異次元」「異価値観」の本を読むと、脳が刺激されるし、リンパ球数も増えるのだ。
ということは、自分の生活を単に納得するための本や、ハウツー本ではダメなんだ。又、右翼の人が自分の思想を確認するために右翼の本を読む。こういうのも「価値観を変える」ことにならないんだ。アマゾンでやってるが、「この本を買った人は、さらにこんな本を読んでますよ」と言われて、類似の本を読む。こりゃ、いけないんだ。右の本を注文した人には、「たまには左翼の本も読んでみませんか。羽仁五郎はどうですか。毛沢東もいいですよ」と薦めるべきなんだ。
中島岳志さんは言っていた。『正論』を読んでる人はもう『正論』を読まなくていい。『金曜日』をとってる人はもう『金曜日』を読まなくていいと。そういう考え方の人が、さらに自分の考え方を確認するためだけに同じ本を読む必要はないというのだ。けだし名言だ。これではリンパ球数は増えない。
でも、いいのかな、こんなこと言って。だって中島さんは『金曜日』の編集委員だよ。いやいや、それだけ『金曜日』は寛容であり、許容度が大きいのだろう。私だって載せる位だから。
そうだ。『週刊金曜日』を年内購読した人には附録として月刊『正論』を付けたらいい。両者で協定して、「セット価格」を考えて、実施したらいい。産経新聞をとってる人には日曜だけは「赤旗・日曜版」が届くようにするとか。そうしたら、皆、「時空」を超え「価値観」を変え、健康になる。
そうだ。民主党政権下で、「国民健康法」をつくり、「価値観の違う本を読もう!」と運動すればいい。同じ思想、同じ傾向の本や雑誌ばかり読んでる人には、(強制的にでも)別の思想、別の傾向の本を読んでもらう。そうしたら、皆、リンパ球数も増え、日本人は健康になる。絶望する人もいなくなる。自殺もなくなる。
そうそう。どうしたら、自殺をなくせるかについては、先週の「マガジン9条」でも書いたな。これは「逆療法」だけど。まァ、見て下さいな。
そこで言い忘れたけど、年間3万人の自殺をなくすなんて、本当は簡単かもしれない。全国の中学校、高校を全て、ミッション・スクールにするのだ。キリスト教では、自殺は罪だ。私たちは創造主(神)によって作られたのだから、勝手に死ぬのは許されない。キリスト教徒で自殺した人は1人もいない。だから、中、高は全部ミッション・スクールにすればいい。これで解決だ。私は高校がミッション・スクールだった。だから同級生は誰も自殺してない。老衰で死んだ人もいない。皆、永遠の生を得ている。
うーん、でも、こう考えること自体、私の「愛校心」なんでしょうな。追い出された学校なのに、愛している。けな気ですな。涙が出ます。又、郷土にも愛着があって、「愛郷心」がある。それに、クビになった会社なのに産経新聞には「愛社心」があって、今でも産経新聞を取っている。産経の悪口は絶対に言わない。
そうか。こういう「愛郷心」「愛校心」「愛社心」の総和が「愛国心」なんだろう。函数なんだろう。これらの具体的愛を欠いては「愛国心」はあり得ない。口で言ってみても中味がない。空洞だ。こうしたエレメントに、「愛妻心」「愛親心」「愛子供心」「愛ペット心」も入れてもいい。つまり、そういう20位のエレメントが集まって「愛国心」を構成してるのだ。それが少なくとも15以上はないと「真の愛国者」とは認めない。そういう法律を作ってもいい。そして「愛国者検定」をやる。そしたら、「オレは愛国者だ!」と威張っている人は皆、落ちるよ。だって、家庭では嫌われ、奥さんには逃げられ、犬や猫にも家出され、学校からも町内からも鼻つまみ者で…。そんな人が、「オレは愛国者だ!」と叫んでも、「違います!」と検定してくれる。まァ、私だって、「愛国者検定」には落ちるよな。でも、いいんだ。もう愛国者じゃないから。その前の愛郷心、愛校心、愛社心の段階で止まってていいよ。愛国者のうちの半分位を充足してるから、「ハーフ愛国者」かな。新右翼だから、「ニューハーフ愛国者」かな。
①漫画家の山田玲司さん(中央)。それにライターの佐藤博之さん(右)と。阿佐ヶ谷ロフトでトークです。テーマは「絶望に効くクスリ」です。シリアスなテーマなのに、なぜか楽しくお話しさせてもらいました。盛り上がりました。
④桐島洋子さんがお薦めの本です。岡本裕の『9割の病気は自分で治せる』(中経文庫)。目からコンタクトの本ですよ。そうだ。右翼も左翼もカルトも皆、病気だ。だったら自分で治せるんだ。やってみんしゃい。この人を見よ! 私なんか、ちゃんと治った。やはり、本を乱読すると、あらゆる病気が治るんじゃにー。
⑤社民党党首で、大臣の福島みずほさん。頑張ってますね。水を得た魚のように大活躍です。同じ魚でも、スズキのフライは、へたばってます。10月15日(木)6時半から四谷のスクワール麹町で。みずほさんの出版パーティの時でした。
⑦社民党の阿部とも子さん(衆院議員)と会った。「おやじのせなか」よかったわ、と誉められた。阿部さんのお父さんも明治生まれで、似てるという。阿部さんは東大闘争で頑張った人だ。偉い。あの時代に闘った人は皆、無条件で偉いと思う。私は、知り合いに社民党の人が多いな。どんどん左傾するよ。これも進歩でしょう。進化でしょう。
⑧10月16日(金)5時から河合塾コスモで、「特別公開講座」が開かれ、出席しました。「女子プロレスラーという生き方」。現役女子プロレスラーの大畠美咲さん。そして元女子プロレスラーで、現「息吹」プロデューサーの吉田万里子さんが来て、話してくれました。試合のDVDを見ながら、楽しい話を聞けました。
⑪来年は「国際読書年」だそうです。いつ決まったの?誰が決めたの。新宿駅に貼ってあったから本当でしょう。じゃ、当然、強制力があるんでしょう。1年間100冊以上読まなかった人は逮捕だね。1冊も読まない人は死刑だね。あっ、いかんな。この前、「死刑反対」のデモに出たばっかりなのに。矛盾した私だ。
⑫JRも地下鉄も乗客のマナーが悪い。車内でメシ食ったり、化粧したり、下着を替えたり、抱き合ったり。東京メトロ地下鉄当局はキレて、「そんなこと家でやれ!」「学校の部活でやれ!」と怒りの「注意喚起ポスター」。でもなー。こんな大金かけてポスター作る余裕があんなら、君ら職員が見回って注意しろよ。逮捕しろよ。だって、私らじゃ出来んもん。ちょっと注意したら、「キャー、ちかん!」なんて、罪をなすりつけられる。だから、じっと我慢するしかない。ここは一番、職員さんがやってくれなくちゃ。昔の「鉄道公安官」のようなものを復活させたらいい。
⑬10月17日(土)午後3時、日本青年館。青思会(青年思想研究会)の物故者を偲ぶ会に参加しました。高橋正義議長をはじめ、中村武彦先生、白井為雄先生などには本当にお世話になりました。そうした先生方の思想と行動をきちんと研究し、いつか私もまとめて書いてみたいと思いました。
大日本生産党の杉山清一さんと久しぶりに会いました。又、市村さん、仙台の平沢さんなどに会いました。平沢さんは私より3才上で、昭和15年生まれだそうです。昭和15年は皇紀2600年です。国中が大きなお祝い気分だったそうです。この年生まれた人は、「紀男」とか「紀一郎」とか「紀子」という人が多いそうです。中には凄い名前があって、「原子二千六百年」という名前の同級生がいたそうです。原子(はらこ)は姓です。「二千六百年」が名前です。何て読むのかと聞いたら、「二千六百」は数字だから、「かず」と読ませる。それに「年(とし)」だ。だから、「かずとし」と読ませたそうな。誰も読めんよ。「その人はどうしてんの? 会いたいですね」と言ったんですが。「さア、どうしてるんだか」と平沢氏。そうだ。隣りにいた杉山さんに言った。杉山さんも清一じゃなくて、「杉山二千六百年」にすればよかったのに。まるで縄文杉だ。2600年も生きるでせう。
そうだ。12月22日(木)河合塾コスモから、丸善に行く途中、新宿駅でバッタリ、杉山氏に会った。「あっ、この前はどうも」と言うが、片目には眼帯。足を引きずっている。自転車に乗っていて、転んで怪我をしたという。かわいそうに。大事な縄文杉なんだから気をつけて下さいよ。