2009/11/16 鈴木邦男

今度は辞書を作ってみようかな

①全ては〈愛〉に始まるんですよ

『日本の品格』(柏艪舎)は11/25発売です
『日本の品格』(柏艪舎)は11/25発売です

『日本の品格』(柏艪舎)の表紙が送られてきました。これで決定です。前に紹介した「試作品」よりはグンと強く、主張する表紙になってます。強烈な赤です。赤誠、赤心、赤子の赤です。天皇への忠です。愛国者の究極の覚悟です。でも一歩間違うと共産主義の赤です。その、ギリギリの所で勝負を賭ける著者の心意気なのでしょう。

本の帯には〈愛〉と大きく書かれています。「天地人」で有名な直江兼継の兜にも大きく〈愛〉が書かれています。同じ覚悟なのでしょう。直江の言う愛は、単なる「優しさ」「いたわり」ではありません。自らの生き方、戦いの正邪・是非を仏に祈り、問う言葉です。仏が「是」とすれば、あとは阿修羅のように戦います。殺します。怖い〈愛〉です。

この『日本の品格』も、〈日本〉に祈り、問いかけます。果たしてこの戦いは正しいのか、間違っているのか、と。本の帯にはこう書かれています。

『アエラ』(11/16号)です。書評を書きました
『アエラ』(11/16号)です。書評を書きました
〈全ては愛に始まる
 日本への熱き想い。
 日本を越える深き想い…〉

裏の帯を見ると、「すべての争いの因は愛」「左右対決を越えた愛国運動は可能か」「民主主義の限界」「鈴木邦男が最後に伝えたいこと」「本物の勇気とは…」と書かれています。

最近の新聞、テレビを賑わしている事件も、皆、〈愛〉が因ですね。「憎しみ」や「敵愾心」なら、はっきり見えるし、対抗措置も取れる。それに、大きな事件にもならない。だから、愛なんですよ。愛するが故に殺す。さらには、日本に対する愛、皇室に対する愛。「俺だけが愛している」「俺だけが本物の愛だ」「他の奴らはニセの愛だ」…。そういう争いです。それが怖い。天皇陛下ご即位20年。いて下さるだけでありがたいです。日本に生まれた幸せを感じます。

1人で思い詰めた〈愛〉も怖いが、〈愛〉が集団になると、もっと怖い。右翼や左翼や宗教運動、市民運動です。それらが全て怖いのではない。だが〈愛〉の怖さを内包している。又、運動の「効率」を考えて、その〈愛〉の怖さを利用する。

本当は、そんな〈怖さ〉を利用しなくても運動は出来るはずです。排外主義にならず、「他人を殺す愛」にならない愛があるはずです。そうしたことを真摯に、必死に考えた本なのです。『日本の品格』は11月25日発売です。1300円です。

②『拉致2』も出ます!

『FLASH』(11/24号)。山田玲司さんの漫画
『FLASH』(11/24号)。山田玲司さんの漫画

それと、この1週間後の12月1日(火)には、もう1冊、本が出るんですね。共著ですが、これも衝撃的な本です。「家族会」の事務局長を辞めた蓮池透さんが今年初め、『拉致』(かもがわ出版)を出して、大評判になりました。拉致被害者奪還への新たな一歩になったと思いますが、中には、「裏切りだ」「変節だ」と批判する人もいて、大きな論争になっています。蓮池さんのその勇気ある「問題提起」を受けて、以下の3人が蓮池さんと討論します。だから、タイトルも、『拉致2・左右の垣根を超える対話集』(かもがわ出版)になっています。

  • 第一章 国家という怪物と拉致問題(池田香代子氏との対談)
  • 第二章 右も左もいっしょになってやればいい(鈴木邦男との対談)
  • 第三章 「拉致」解決への道を探る(森達也氏との対談)

他にも、書きたい本、出したい本はありますが、苦闘しています。来年、又、いい本を出せたらと思っております。

なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!
なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!

そうだ。11月9日(月)発売の「アエラ」(11月16日号)に、書評を書きました。梯久美子の『昭和の遺書』(文春新書)を取り上げました。驚きましたが、昭和ほど夥しい遺書が書かれた時代はないそうです。もうこんな時代は来ないといいます。戦争があったし、国家と個人を常に見据えていた時代です。死の覚悟を持ち、全国民がそれを語り、書き記した時代です。軍人、特攻隊、学徒兵、従軍看護婦…。その遺書の最後は「天皇陛下万歳」となっています。その言葉で、天皇を通し、日本への愛を語っています。いや、抗議も、怒りも、呪詛すらも語っています。天皇に対する余りに大きな期待故に、「裏切られた」と思った2.26事件の磯部浅一の有名な遺書(「天皇陛下、御あやまりなされませ」)も取り上げられています。私の書評でも、その〈愛〉と格闘しています。

これは、もっともっと突き詰めて考えるテーマだと思います。維新運動に参加した多くの先生、先輩と私は会い、教えを受けてきたのですし、何とかそれを形にして、まとめてみたいと思います。それも来年の課題です。それと、又、『読書論』の本も作りたい。又、数年前、『右翼・公安用語の基礎知識』(コアラブックス)を作りましたが、あんなものを又、やってみたいですね。いや、右翼、左翼だけの〈用語〉じゃなく、一般の〈用語〉も含めて、解説し、考え、定義してみたい。

③筒井康隆は天才だね

なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!
なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!

つまり、辞書・辞典を作ってみたい。ということですな。辞書を引くのが面倒くさいからです。自分で作れば全て頭の中に入っていて、ひく必要はないだろう。手間が省ける。時間が省ける。そう思ったのです。それと、辞書は、「究極の思想」ですね。世の中の全ての事項、現象、人間、事件について、「こうだ!」と断言する。あなた達は一面しか見てない。この本質はこうだ!と断定する。「おっ、これは言えるぞ」「この方が正しい」「こんな見方もあったのか」と人々は驚く。そんな「辞書」」を私は作りたい。

アンブローズ・ビアスの『悪魔の辞典』では「愛国心」はこう定義されている。

〈わが名を輝かせようという野心を持った人間が松明(たいまつ)を持って、すぐに燃えあがるゴミ〉

「愛国心」はゴミなのか。それも、やたらと燃えやすい…。『悪魔の辞典』は、いろんな人が訳しているが、これは筒井康隆訳だ。

「辞書」ではないが、サミュエル・ジョンソンは『格言集』の中で、「愛国心」をこう定義する。

なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!
なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!
〈愛国心はならず者の最後の避難場所である〉

この言葉にショックを受けて書き始めたのが、3年前に出した『愛国者は信用できるか』(講談社現代新書)だ。

「辞書」とは名付けないが、「格言集」「箴言集」なども、似ている。興味のある言葉を取り上げて、自分なりに定義する。断定する。日本で有名なのは筒井康隆の『乱調文学大辞典』だ。同じような辞書、辞典を井上ひさしや清水義範も書いている。

筒井康隆の本は好きで、「全集」を読破した。他にも、出てるのは全て読んでいる。最も影響を受けた作家かもしれない。〈脱右翼〉の契機になったのかもしれない。昔、感激して読んだよな、と思って、再度読み直してみた。

『乱調文学大辞典』の面白いとこをピックアップしてみよう。

なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!
なかなかいいですね。面白い。クニオ少年が可愛い!

アウトサイダー 密造の清涼飲料水。

アガペー ギリシャ語で、神の愛のこと。すなわち神が罪人たち人間に対して向けるあかんべえのこと。

エッチング 猥褻【わいせつ】なことをすること。

おのの・とうふう【小野道風】 平安時代の書家。柳の枝にとびつこうとする蛙を見て引力を発見した。雨の日に傘をさして歩いていて、花札を思いついた。娘がいたが、他の男に奪われるのがいやで陰唇を縫ってしまった。これがのちの小野小町である。

かい・あわせ【貝合せ】 昔の物あわせ遊びの一種。どういう遊びかよく知らないが、非常にいやらしい遊びではなかったかと想像されている。

グラマー 英文法の女教師

グリム・きょうだい【グリム兄弟】 七人のこびとの兄弟で、彼らの妻は白雪姫といい、死ぬまで処女であったという。ただし小松左京説によれば、彼女の処女膜には、七つの小さな穴があいてたそうだ。

ゲラ・ずり【ゲラ刷】 校正者が、誤植のあまりの面白さにゲラゲラ笑うもの。

こういん・や・の・ごとし【荒淫矢の如し】度を過ぎた情欲にひたっていると、月日がたちまち経過するという諺。

ターザン山本さんと(11/4)
ターザン山本さんと(11/4)

こじき【古事記】 戦前は国史。戦後は神話となり、今やエロ文学。

こんちゅう・き【昆虫記】 ファーブルの著。泣虫、弱虫、水虫、精虫、蓼(たで)食う虫、一寸の虫、ふさぎの虫などのことを書いた傑作。

スキャンダル スキャンティ一枚の裸でサンダルをつっかけ、白昼銀座を歩くこと。

せいぶ・せんせん・いじょう・なし【西武戦線異常なし】 西武デパートと東武デパートのはなやかな宣伝、販売合戦を描いた現代小説。作者不明。

セミ・ファイナル 蝉の優勝戦。

センセーション 女学校の男の先生が授業中に教壇から放尿すること。

チャリティ・ショー ストリップ・ショーの一種。野球拳を歌いながら脱ぐ場合が多い。

ツタンカーメン エジプトのラーメン

④まだまだ続きます。筒井ワールド

小路晃さん(左)、宮戸優光さん(右)と(11/4)
小路晃さん(左)、宮戸優光さん(右)と(11/4)

つみ・と・ばつ【罪と罰】 ドストエフスキー作。せっかく強欲非道の金貸しの老婆を殺すという世のため人のためになることをしておきながら、一娼婦の世迷いごとにだまされて自首してしまう大学生の話。

デカダンス 和田アキ子が踊るゴーゴーのこと。

とくは・いん【特派員】 特殊サービスをする派出婦。

ドッキング 犬の交尾。

ないゆう・がいかん【内憂外患】 女房の浮気と妾の子宮外妊娠が重なること。

なだ・いなだ どっちだ。

なんでも・みて・やろう【何でも見てやろう】 まあ、いやらしい。エッチ。

全員で。右端が漫画家の猿渡哲也さん(11/4)
全員で。右端が漫画家の猿渡哲也さん(11/4)

ヌーベル・バーグ フランスのハンバーグ。

ひきげき【悲喜劇】 きんたまが浴槽の吸水口に入って抜けなくなること。

ひっき【筆記】 筆という字を記すこと。
ひっこう【筆耕】 筆で田畑を耕すこと。
ひつぜつ【筆舌】 舌で字を書くこと。
ひつだん【筆談】 筆の座談会。
ひっち【筆致】 筆のオルガスムス。
ひゃっき・やこう【百鬼夜行】 文壇を知るまでは、絵空ごとだと思っていた。

ブック・エンド 史上最後の本。
ブック・レビュー 本の出演する見せ物

ふでおろし【筆下し】 新しい筆を使って女性がオナニーすること。

下中忠輝氏のご両親と(11/8)
下中忠輝氏のご両親と(11/8)

ペーパー・バック 尻の処女膜。
ベスト・セラー 勇敢なる水平。
ペンネーム ペンの名。例=ハンペン、プノンペン、ワッペン、ブルペン、ルンペン。

またたび・もの【股旅物】 猫のやくざものを主人公にした劇や小説。

みしま・ゆきお【三島由紀夫】 つつしんで冥「腹」を祈る。
ミスプリント プリント服地の似合う美女。

モノクロ 自慰の映画。
モノポリー 巡査の自慰。
モノマニア 自慰狂
モノレール レールに横たわって自慰をすること。

モンテスキュー オバキューと同じく、バーベキューの一種。

ワイフ 猥褻な妻

⑤他に、こんなものもあったぜよ

よど号・帰国支援センター関西の集いで(11/8)
よど号・帰国支援センター関西の集いで(11/8)

うーん、面白いですね。他にも井上ひさしや、清水義範はじめ多くの人たちが、我流「辞書」に挑んでいる。そうだ。覚えているのではこんなのがあった(誰が書いたかは忘れたが)。

スポーツマン ルールを守って競技をする人。
運動家 ルールを破って、競技をする人。(「国のため」とか、「人民のため」と呟きながら競技する)

宝の持ちぐされ 老女の巨乳。修道僧の巨根。

ワークシェアリング それを分けてやれよ!(貧乳や短小の人に)。

アイシーユー(国際基督教大学) 日本に神の大学を作ろうとしたアメリカ人が寄付を募る時、「あなたには神が見えますか?」「私(キリスト)が見えますか」と聞いた。「見えます(I see you)」と言った人の莫大な寄付によって出来た大学だ。この「I see you」をいつも思い出すように、「アイシーユー(ICU)」は作られた。(冗談のようだけど、本当の話だ)。

枕詞 全く意味のない言葉だが、これを置くと右翼に襲われない。おまじない。たとえば、「私も愛国者ですが」「皇室を大切だと思うから言うのです」。この枕詞さえあれば、あとはどんな不敬、反日的な言葉でも言える。

多目的ホール どんな目的にも使える穴。いやらしい。

洗濯板 胸のない人に対する差別用語で使用禁止になった。だから、板そのものも製造禁止になった。

毒婦 結婚詐欺をする鷺(さぎ)。鷺なのに太っている。見てくれは毒々しいが味はいいらしい。「乳テクが抜群」と東スポにも出ていた。意味がよく分からないが。

救援連絡センター事務局長の山中幸男さん(中央」と(11/8)
救援連絡センター事務局長の山中幸男さん(中央」と(11/8)

右翼 右の翼しかない鷺。当然、飛べないし、エサもとれないので死滅した。それを祀っているのが鷺ノ宮だ。

左翼 同じ理由で死滅した鷺。白い剥製になっている。中野区の白鷺町にある。高橋和巳の小説『白く塗りたる墓』は、そのことを書いた。

はめごろし ガラスが入っているが、開かない窓。しかし、他に表現がなかったのか。卑猥だ。毒婦の誘惑の手口のようだ。

偽装夫婦 夫婦は皆、そうだ。コードネーム・赤犬さんだけではない。安心しなさい。

肩こり・腰痛、ちかん 日本にしかいないそうだ。だから日本の誇るべき文化だ。自信を持てばいい。

肉体言語 ①政治的主張のために体を賭けること。
②言葉が突然、暴れ出すこと。
③エッチすること。

七転八起 こんなに転んで、八回目に起きて勝つなんてありえない。プロレスじゃないんだし。

七転八倒 これが正しい

【だいありー】
「洋食赤ちゃん」の前で(11/8)
「洋食赤ちゃん」の前で(11/8)
  1. 11月9日(月)すみません。全国的・全世界的に不義理をしています。夜中ずっと原稿書いたり、調べものをしたり。それで朝方、ちょっと寝て、仕事に行き、それが又、忙しくて。そんで、家では又、ずっと仕事です。個人的な時間がありません。ともかく、約束の仕事をやらなくては、と気が焦ります。「今度会おうよ」「飲もうよ」「歌おうよ」「踊ろうよ」「デモに行こうよ」「火炎瓶投げようよ」というお誘いにも応じられず、申し訳ありません。個人的なことを考える精神的余裕がないのです。それで友達を20人位なくしたでしょう。でも、ものを書く世界に没頭していたいのです。久しぶりに、モチベーションが高まっているのです。皆に不義理をし、仕事に没頭しています。「それだけやっても、この程度か」と思われるでしょうが、少しずつ形になるでしょう。
     今日、『アエラ』(11月16日号)発売になりました。梯久美子の『日本の遺書』(文春新書)の書評を書きました。いい本です。考えさせられます。戦争が続き、国民全体が〈死〉を日常的に意識していた時代。それが、昭和です。だから、「昭和」には遺書が多いのです。極端に言ったら、遺書を書くのは「昭和」で終わったのかもしれません。今は、自分の死期が分からない。病名も告げられず、生きる希望を持ったまま死ぬ。あるいは事故や犯罪に巻き込まれて死ぬ。とても遺書を書いてる余裕はありません。自殺した人も、パソコンやメールに「メッセージ」を入れるだけだ。22才で夭折した下中忠輝君も、ゲバラの写真の裏に「絶望」と書いただけだった。これも悲しい。
     この日(11月9日)は、11時、サンルート。仕事の打ち合わせ。2日徹夜したので眠い。一旦家に帰って、2時間寝る。それから又、仕事。
  2. 11月10日(火)『FLASH』(11月24日号)発売。山田玲司さんの連載漫画が載っている。「リア充ハンター。ウサラッチ」。今週は第28撮。新右翼・鈴木邦男の「国に恋する5秒前」。いやー、面白かったですね。私は、こんなにかわいくないけど…。でも嬉しいですね。2ページの漫画に、私の人生の全てが描かれてます。山口二矢、赤尾の豆単事件。これで教師を殴り、私は高校を退学になった。さらに左翼との乱闘、三島事件、『腹腹時計と〈狼〉』…と。こうみてくると、劇的な人生だ。いや、漫画的な人生だ。それにしても山田さんはうまいよね。たった2時間、ロフトで会っただけなのに、私の〈全て〉を見抜き、捉えている。脱帽です。
     この日、夕方まで家で仕事。夕方から、打ち合わせと、座談会。
  3. 11月11日(水)図書館で調べもの。本屋も探す。分からない。そのうち、自分が何を調べているのかも忘れる。人に会ったり、本を読んだりして大事なことはメモにしている。しかし、そのメモがどこに行ったか分からない。人に調べてもらった資料も、どこに置いたか分からない。いかんなー。学生時代、生学連の書記長だった時は、「整理魔」と恐れられていたのに。書記局員全員にも整理整頓を徹底させていた。「すぐ使えない資料は無い資料だ!」と叱咤してたのに。今じゃ、私が叱られるよ。竹中労は「革命とは実務である」と言った。いかんな。私は今や、「反革命」ですよ。
  4. 11月12日(木)天皇陛下ご即位20年を記念して祝賀行事が行われた。私は仕事で行かれませんでした。申し訳ありません。不忠者です。午前中、対談。河合塾コスモに行ったら、「おっ、正装ですね。お祝いで」と先生に言われました。行かれませんでしたので、早朝に行ってお祝いしてきました。
     午後3時、河合塾コスモ。「現代文要約」。5時、「基礎教養ゼミ」。今週は私が選んだ本を読む。大貫健一郎の『特攻隊振武寮』(講談社)を読む。特攻隊で、出撃しながらエンジン不調などで、帰ってきた人々だ。人目をはばかり、「振武寮」という寮に入れられた。「お前らはそんなに命が惜しいのか!」「卑怯者め!」とさんざん罵倒され、「再教育」された。残酷な話だ。読むのが辛い。
     夜8時から「シアターN渋谷」に行く。連日、映画「ドキュメンタリー 頭脳警察」を上映している。5時間の大作だ。私も事前に2回も見た。凄い。大作だ。感動した。この日は、PANTAさん、木村三浩氏、そして私の3人で「上映記念トーク」。木村氏は皇居前広場で行われた「御即位20年をお祝いする国民式典」に参加し、その直後に駆け付けてくれた。2003年2月には、3人一緒にイラクに行き、「反米デモ」をやった。それも空しく、イラクはアメリカに攻められ、フセインは捕らえられ、死刑になった。
     フセインの孫にあたる14才の少年は1人で200人の米兵と戦って戦死した。その実話を木村氏から聞いて、「七月のムスタファ」をPANTAさんは作曲した。又、日本赤軍の重信房子さんの歌を作曲した。これもいい。全ての歌が革命的だ。煽っている。凄いロッカーだ。そんな話をした。終わって、飲んだ。久しぶりの酒なので、すぐ、酔いが回った。
  5. 11月13日(金)、山田さんの漫画に描かれているように私は高3の時、暴力事件で退学になった。その後、1年間、懺悔の生活で教会に通い、1年後、やっと卒業させてもらった。だから、高校を4年やったことになる。そんな高校だから、私のことなんて忘れてると思ったのに、何と、同窓会の案内がきた。嬉しかった。すぐ仙台に行った。
     それに、東北学院榴ヶ岡高等学校は今年で「創立50周年」なんだそうな。私は1期生だから、50年前に入学したことになる。大昔だ。もう、「日本昔話」だ。讃美歌を歌い、聖書を読んだ日々。先生には毎日、殴られた日々。でも、一発殴り返したら即刻、退学。そして、惨めで、苦しい懺悔の日々。山田玲司さんの漫画に描かれたのは3日前だ。でも、50年前の話なんだ。遠い遠い昔のようですな。ヤダな。老人の懐古のようになっちゃった。
     この日は、1時から50周年の記念式典。記念講演は生島ヒロシさん。宮城県気仙沼高校の出身だ。終わって話をした。それから「現役生と卒業生の触れ合いコーナー」がある。何か、動物園でやってるよね。野生の動物に子供たちが触ってみるコーナーですよ。昔はライオンか虎だったのに、年老いてもう牙もないし、大丈夫だよ。触っても平気だよ。と、そんなコーナーでした。そして夜は、祝賀会。同窓会。夜中、遅くまで懐かしい同窓生と話し合いました。
  6. 11月14日(土)朝一番の新幹線で帰京。午前中、対談があった。午後2時、慶応大学三田キャンパスへ。「慶應義塾大学戦没者追悼会」に出る。代表幹事は玉川博己さん。そして木村三浩氏も手伝っている。その関係で出た。有意義な集まりだった。戦争を考え、国のために亡くなった人を追悼する。大事なことだ。
     午後6時、池袋の東京芸術劇場へ。劇団東京ミルクホールの『水晶の夜・「グーテンダーク! 私たち、日本のとある元祖有名少女歌劇団です」』を見る。ヒトラー、ムッソリーニ、宝塚が出てくる思想的・歴史的そしてコミカルなお芝居だ。豪華だった。面白かった。
  7. 11月15日(日)昔の生学連の仲間に切符を送ってもらったので、千葉の「生長の家」大講習会に行く。幕張メッセイベントホール。午後、代々木競技場第二体育館へ。「2009北斗旗トーナメント 第3回世界空道選手権大会」に行く。東孝師範にも久しぶりに会う。宮城県の出身で、高校時代、三島由紀夫に憧れ、憂国の志を持って、「楯の会」に入りたいと三島に手紙を出した。でも、「高校生はダメ」と断られた。じゃ、大学になったら入ろうと思っていたら、三島は自決してしまった。その後、東さんは極真会館に入り、チャンピオンになる。そして大道塾を設立する。
     夜、6時から上野の「音音」。秋田県湯沢中学校の同窓会に出る。私ごときに声をかけてもらい、ありがたいです。皆、60過ぎの高齢者ばっかりだ。人のことは言えないな。今週は凄いな。一昨日に高校の同窓会。日曜日に中学の同窓会だよ。そのうち小学校、幼稚園の同窓会もあるかな。
【写真説明】

①11月25日発売の『日本の品格』(柏艪舎・1300円)です。情熱の赤です。

②11月9日(月)発売の『アエラ』(11月16日号)に鈴木邦男「読まずにいられない」が載ってます。私の書評コーナーですな。〈55人の魂の記録から激動の時代をたどる〉。梯久美子の『昭和の遺書』(文春新書)を取り上げました。いい本です。皆さんも読んでみて下さい。

③11月10日(火)発売の『FLASH』(11月24日号)です。山田玲司さんの連載「ウサラッチ」に取り上げられました。嬉しいですね。これで、私の全てが分かります。クニオ少年も可愛いですね。昔は、きっと、素直で、可愛かったんでしょう。国を憂えて、ひたむきに運動してたんでしょう。読んでいて、笑いながらも、つい、ホロリとしてしまいました。山田さん、ありがとうございました。

④「二つのアカオ事件」か。うまいですね。「赤尾の豆単」を燃やされて、怒り狂って職員室に行って教師を殴り、退学。その前は、上京して愛国党の赤尾総裁を訪ねてるんですね。何を考えているのか。危険で、カッとしやすい17才だったんでしょう。

⑤やっと大学に入り、自由を得たと思ったら、そこは左翼の天下。「左翼にあらずんば学生にあらず」でした。これでいいのか!とクニオ少年は思ったんですな。でも、「行動」する勇気はない。

⑥そこに、「やるべきよ、クニオ君!」「左翼からこの日本を守るのよ!」と女子大生に言われて、「ハイ」と言ってしまった。これで私の運命は決まったんですな。

⑦それからは、左翼と乱闘の日々。右の頬を殴られたら、「左」の頬を殴り返していた日々でした。(うまいですね。山田さんは)。

⑧11月4日(水)プロレス・格闘技の座談会で久しぶりにターザン山本さんに会いました。写真を撮ろうとしたら、山本さん、「2人合わせて何才だ?」「さあー、300才位でしょう」と私。

⑨小路晃さんは、以前、PRIDEで大活躍していた選手です。今は「ハッスル」に出ています。体が大きくなって、最初、分かりませんでした。宮戸優光さんは「Uインター」の選手でした。世界王者ルー・テーズが日本に来た時、会わせてくれました。宮戸さんが講演会を開いたのです。その時、サインも、もらいました。私の宝です。その1か月後、テーズは亡くなりました。

⑩この座談会の時の全員です。右は猿渡哲也さん(漫画家)です。この座談会は12月末に本になるそうです。その時に又、お知らせします。

⑪22才で夭折した下中忠輝君のご両親と。(11月8日(日))。「ブログに載せませんから」と言ったら、「載せてもいいですよ」と言われたので。お父さんは忠輝氏にそっくりでした。忠輝氏を知ってる人たちは皆、「爽やかでいい青年だったのに」「かわいい青年だった」と言ってました。皆に愛されてたんですね。

⑫11月8日(日)午後1時半から、よど号・帰国支援センター関西の集い。いろいろと話し合いました。隣りの人が持ってるのは蓮池透さんの『拉致』(かもがわ出版)です。大評判になり、売れました。この後を受けて、『拉致2』が出ます。蓮池さんと、池田香代子、森達也、そして私との対談が載ってます、という話をしてるところです。

⑬救援連絡センター事務局長の山中幸男さん(中央)と。前の晩、徹夜で原稿を書いてたので、眠くて眠くて…。つい、ウトウトしちゃいました。すみません。

⑭集会が終わって二次会に。天満の居酒屋を探していたら、「洋食 赤ちゃん」という店があった。共産主義者ばっかりだから、「赤ちゃん」いらっしゃいと誘ってるんだよ。入ろうよ、と言ったんですが、人が多くて入れませんでした。でも、「赤ちゃんプレー」をする店かもしれません。 赤(共産主義者)の運動なんて、しょせん「赤ちゃんプレー」だったのかもしれません。

【お知らせ】
  1. 11月24日(火)三島由紀夫・森田必勝両烈士追悼の「野分祭」です。午後6時半。サンルート高田馬場。第1部・式典。第2部・記念講演。西部邁先生で「我が憂国論」です。
  2. 11月25日(水)私の本『日本の品格』(柏艪舎)が発売です。
  3. 11月28日(土)札幌で、私の『日本の品格』(柏艪舎)の出版記念講演会です。木村三浩氏(一水会代表)も行きます。北海道青年フォーラムです。午後6時から。「かでる27」820号室です。
  4. 12月1日(火)、この日、蓮池透さんの『拉致2・左右の垣根を超える対談集』(かもがわ出版)が発売されます。池田香代子さん(作家)、森達也(映画監督)、そして私の3人が、蓮池さんと対談しております。衝撃的な本です。又もや、論議を呼ぶでしょう。
  5. 12月2日(水)武蔵野美大の授業に呼ばれて話します。
  6. 12月14日(月)一水会フォーラム。7時サンルートホテル。「フォーラム100回記念」で、何と私が記念講演をやります。責任重大です。