金曜日、金曜日に行き、金曜日と会った。ちょと分かりづらいかな。1月29日(金)、「週刊金曜日」を発行している出版社の「金曜日」に行き、編集部の白井基夫さんに会った。そしたら、この本をもらったのだ。表紙を紹介しよう。きれいな本だ。スカイブルーのスカイ(空)を飛行機が、のんびりと飛んでいる。子供用の童話の本かな。ファンタジーかな。と思ったら、タイトルは『左翼・右翼がわかる!』。ドキッとした。ハードだ。凄い。「よくこんな本を出しましたね」と言って著者を見たら、「佐高信×鈴木邦男」。再び、ビックリ。
「八重洲ブックセンターでやる佐高・鈴木のトークセッション(2月9日)は、この本の出版記念トークなんですよ」と白井さんに叱られた。知らなかった。そうだったのか。私はてっきり、佐高さんがJALについて書いた新刊についてトークをやるのかと思っていた。
じゃ、2月9日(火)の八重洲ブックセンターのトークセッションが決まったので、急遽、この日の為に2人の「対談本」を創ったのか。大変でした。ご苦労さまでした。
今月(2月)は、本についてのトークセッションが3回ある。2月2日(火)は阿佐ヶ谷ロフトで、私の『右翼は言論の敵か』(ちくま新書)の出版記念イベントだ。宮台真司さん、斎藤貴男さん、森達也さんがゲストで来てくれる。
2月26日(金)は6時から、ジュンク堂新宿店だ。中川文人著、外山恒一聞き手の『ポスト学生運動史』(彩流社)のトークセッションだ。私も参加して、中川、外山氏とその本について語る。メチャ面白い本で、一気に読んだ。トークが楽しみだ。
そして、2月9日(火)の6時、八重洲ブックセンターだ。ここは初めてだ。佐高信さんとのトークセッションだ。私も、何の話をするのか、聞いてない。テーマも決まってない。案内状も出来てない。
だから、ずっと不安だった。でも、佐高さんはもの凄い数の本を毎月のように出している。だから、その1冊についての話だと思っていた。最新刊では、JALについての本を出したという。じゃ、飛行機の話か。と思っていた。
「この本についてトークして下さい」と「金曜日」の白井さんに本をもらった時、「やっぱり飛行機の本だ」と思った。大空に悠然と飛行機が飛んでいる。誰が見てもそう思うだろう。でも、佐高さんと私の対談本だったんだ。「エッ?最新刊ってこれだったんですか」と驚いた。確かに佐高さんとは対談をした。集中的に、熱く、長時間やった。それも、5日間もやった。でも、こんなに早く本が出来るとは思わなかった。出るのは今年の夏頃かな。早くても桜の咲く季節だろうと思っていた。だから、2月9日(火)に「佐高さんとトーク」と言われても、この本のことは全く念頭になかったのだ。
対談だけは年末に終わっていた。それから、大晦日、正月も、家に閉じ籠もって、校正したり、書き足したり…と大変だった。編集部の方は、もっと大変だったろう。何せ、「資料編」が、どっさりある。「注」がもの凄く充実している。「注」だけで1冊の本になる。白井基夫著で単行本にしたらいい。
そして、1月中旬に再校、三校…とあり、1月29日(金)には、見本が出来た。2月5日(金)には、全国の書店に並ぶ。そして、2月9日(火)には、八重洲ブックセンターでトークセッションだ。驚異的なスピードだ。八重洲ブックセンターでは予約を受け付けているが、申し込んだ人だって、「佐高さん、今度の新刊、何かな?」と思って申し込んだんだ。「週刊金曜日」の読者だってそのはずだ。何せ、対談者の私だって知らなかったんだから、他の人が知るはずがない。
でも、ちょっと不安だな。『左翼・右翼がわかる!』と本のタイトルを聞いて、「じゃ、やめる」と言われちゃ困る。「佐高信は好きだけど、もう1人は嫌だ」と言う人も多いだろう。当日、そういう人が多かったら、「もう1人」には帰ってもらう。佐高さんだけのワンマンショーになる。だから安心していらして下さい。
では、この本の内容だ。表紙がいいね。実に爽やかだ。すがすがしい。空だけだ。そして飛行機だ。多分、週刊金曜日の本社屋上から撮ったんでしょう。大空を飛行機が飛んでゆく。そうか。「左翼・右翼」について2人は語った。「翼」について語った。だから、飛行機なのか。「背中の翼が重い」と感じてる2人が語ったのだ。あるいは、鳥でもないのに、「左翼・右翼」と呼ばれる。そんな不条理からの脱却なのか。鳥ではなく、人間になろうと。空を飛びたいなら、飛行機に乗ればいいだろう。そんな寓意をこめた革命的な写真かもしれない。
でも、この飛行機、なぜか右に向かって飛んでますね。それも右の極に近づいている。表紙を突き破って、さらに極右に進もうとしています。2人の話もそうだったのでしょうか。そういえば、飛行機には「日の丸」が。さらに飛行機の横には、この本で熱く語られたテーマが並んでいます。8つのテーマです。
〈天皇制。西郷隆盛。三島由紀夫。日蓮。宮沢賢治。大本。オウム真理教。軍隊〉
アレレ、やっぱり「右寄り」だ。左翼的といわれる左高さん。違った佐高さん。それに、「最近、急速に左傾している」といわれる鈴木君。この2人が話すんだから、左のテーマばかりのはずだ。たとえば、
〈世界革命。マルクス・エンゲルス。全学連と全共闘。ゲバラ・中国革命。毛沢東〉
といったテーマになるはずだった。ところが、「右寄り」のテーマばっかりだ。一体どうしたことだろう。佐高さんは愛郷心について熱く語り、寮にいた時の楽しい共同生活について語る。ウーン、本当は右翼的な人かもしれない。
この話は「第4章・我々の原点は青春時代にあり」で語られたのだ。小見出しは…
「自我の葛藤と友情の形成
「寮生活での規律と学習会」
「高橋和巳・魯迅・中野重治の影響」
青春時代の希望・悩み・葛藤について、じっくりと語り合いましたよ。庄内館は庄内出身の人たちが入る寮だ。あの大川周明もいた。「ほう、大川周明の後輩が佐高信さんですか。だったら右翼になるべきじゃないですか」と思わず聞いちゃいました。
佐高さんは、そんな寮生活や、愛郷心について語り、遠藤誠弁護士についても語る。庄内出身の佐高少年がいかにして成長し、進化したかを語る。「はじめに」で佐高さんは書いてます。
〈…。そんな私とほぼ同年輩の鈴木さんが、いったいどういう経験をして、どういう思想的な経路をたどって現在にいたったか。現在の政治や社会状況にからめて語り合ったこの対話から、左翼と右翼の相違点というより、「交差点」を探すつもりで見極めてほしい。
2010年1月1日 佐高信〉
やはり、正月に「はじめに」を書き、それから直しをやり、校正をやり、書き直し、書き加えをやったんだ。そして、1月29日(金)に本は出来た。「交差点」か。いい言葉だね。確かに、それはあったな。普通の「対談本」だと、小さい対立点を探し出し、ムキになって怒鳴り合う。読者は、どちらが正しいかよりも、もう、「2人ともやめてくれ」「2人ともいらん」と思ってしまう。その点、この本は違う。「交差点」を探し出し、2人の考えの「分かれ方」を考察する。そして、再び一致し、交差するポイントを探す。正・反・合の弁証法的対談だった。対立し、愛国心を語り、家族への愛を語った。又、愛国心と愛郷心の類似性、相違について語った。今まで、全く考えていなかった分野にまで踏み込んで話し合った。
何度も何度も話し合った。時には話が脱線し、まとまらなくなる時もあった。それは次回に又、やり直して話をした。余りに多岐にわたり、分量も厖大になった。それを、フリーの編集者・鈴木耕さんがまとめてくれた。天才的な編集者だ。うまい。よくここまで、章立てをし、まとめたものだと思う。さらに「週刊金曜日」編集部の白井基夫さんが、「注」をつけたり、直したりしてくれた。それで、こんな素晴らしい本なった。白井さんは優秀で、勉強熱心な編集者だ。この編集をやりながら、「高橋和巳全集」「円朝全集」を購入して読んでいた。偉いですね。
では、目次を紹介します。
佐高信×鈴木邦男 金曜日
目次
「おわりに」は、かなり挑発的なことを書いています。正直、「左翼・右翼」という言葉は、もう死語だろう。だから、「左翼・右翼」について語る〈最後の対談〉だ。その覚悟で臨んだ。大体、「100%の右翼人」も「100%の左翼人」もいない。何十%かの相対的な右翼、左翼人がいるだけだ。
佐高さんの中にも愛郷心や、保守的心情はある。それを引き出せし、「右傾度50%」を超えたら、私の勝ちだ。そう思って、対談に出かけたが…。ということを「あとがき」には書いた。
対立し、闘い、さらに一致点、交差点を探し、さらに、それらが「化学反応」を起こし、さらにより大きなものに「進化」した。私も大きく進化した。その進化の過程・結果を見てほしいと思う。
〈あれはまさに口封じだった〉(三井環氏)
「調査活動費」実名告発当日に微罪逮捕された公安部長(大阪高検)が出獄激白!」〉
…と。
「週刊新潮」(2月4日号)にも出ていた。
〈こんな時に「三井環」出所で、検察の「イヤーな感じ」〉
さらに「週刊朝日」(2月5日号)にも。これは凄い。
〈検察の裏ガネで〝デッチ上げ逮捕〟された三井環元大阪高検公安部長が激白。検事総長の証人喚問をせよ〉
しかし、ひどいよな検察は。批判を一切、許さない。そんな人間はすぐに逮捕する。罪をデッチあげて三井さんを逮捕し、1年8ヶ月もぶち込んだ。検察の暴走を誰もチェック出来ない。恐ろしい話だ。
1月23日(土)、「岡山レコン読者の会」で。私は一水会を創るまで。そして代表を辞めるまで(1999年)の歴史について話しました。1960年、1970年の激動。そして1980年(一水会非合法闘争期)、1990年(「朝生」を機に合法路線に転換)、2000年(木村新体制発足)、2010年(愛国者インターナショナルの時代)…と、10年ごとの歴史を話しました。
今回の集会を開催してくれた番家誠(ばんや・まこと)氏です。30年前から一水会の活動をやっております。現在、一水会の副代表。まだ50前なのに孫がいるそうです。左は、久奥一郎氏。25年前に「朝日ジャーナル」の「若者たちの神々」に出た前代表を見て、手紙を出し、一水会に入会。「東京に来れば」と言われて上京し、一水会事務局に泊まり込んで活動家に。ところが、ガサ入れはある。デモに連れて行かれたら、左翼と乱闘になり、捕まって、20日間もぶち込まれたそうです。大変でしたね。そのあとは福島で活動し、今は岡山で選挙の手伝いなどをやってる。元活動家だし、実力はある。何人も当選させた。しかし、今は選挙活動を辞めて、クリーニング屋に勤めてます。「洗濯屋ケンちゃん」かよ。自分も選挙に出ろよ、と言われてました。一水会活動家時代の話を本にしても面白いですね。運命に翻弄されながら、誰を恨むでもなく、強く生きている。偉いですよ。健気ですよ。
木村氏(左)。神戸から来られた吉本さん(中央)。吉本さんは東京にもよく来られます。「劇団再生」のお芝居を観に。落語が好きで、自分でもやるそうです。この日も、「やってくれよん」と頼んだのですが、ダメでした。
新幹線で。「富士山が見えます」と車内アナウンス。つい瞬間的に写メールしました。三島のあたりでしょう。平岡さんは、三島から、雪の積もった白い富士山を見て「三島」「雪」からヒントを得て、「三島由紀夫」というペンネームを思いついたそうです。
その三島に憧れ、自分も作家になろうと思った高橋青年は、獄中で、こう思いました。「俺の本が本屋で並んだら、三島の直前に来るようにしたい」と。それで、ペンネームを「見沢知廉」にしました。ちなみに、三島の直前は「宮沢賢治」です。三島も、このことを意識したのでしょうか。
三井環さんが「週刊ポスト」(2月5日号)で「あれはまさに口封じだった」と、激しく検察批判をしています。
「調査活動費」(=裏金)を実名告発しようとした当日に逮捕されたのですから、確かにそうです。検察もやり方が、えげつない。そして1年8ヶ月も静岡刑務所にいた。お疲れ様でした。私は三井さんとは「創」で何度か対談しています。とてもいい人です。
1月26日(火)6時から「東京ドームホテル」で、危ない刑事、2人に会いました。元刑事ですが。北芝健さん(中央)と島袋修さん(右)です。この2人が組んで、又、危ない事を計画しているようです。左は単なる「傍観者」です。
「アエラ」(2月1日号)に書評を書きました。『戦後日本スタディケース② 60年・70年代』(紀伊国屋書店・2400円)。全3巻です。皆、面白いです。特にこの「60年・70年代」が一番、スリリングです。そして教えられることが多いです。書評のタイトルは、「この時代の息吹を若者たちに伝えたい」です。