これは画期的なことだ。新しい時代の始まりだろう。フランス国民戦線党首のジャン・マリー・ルペン氏を初め、8カ国20人の国会議員、欧州議員、政党人が来日し、日本で「世界愛国者会議東京大会」が開催されたのだ。8月12日(木)から15日(日)まで行われた。会議そのものは12、13日にフォーシーズンズホテル椿山荘国際会議場で開かれた。14、15日は靖国神社などの参拝だ。
主催は「世界平和をもたらす愛国者の集い」実行委員会で、事務局は一水会が担当した。木村三浩一水会代表などが、フランス国民戦線を初め、ヨーロッパ中の愛国政党と長い間、交流し、語り合ってきた努力が実ったものである。木村氏はイラクに20回、その他、パリ、モスクワ…等に行き、各国の議員、政党人の大会に参加し、「愛国者インターナショナル」を作ろうと努力してきた。
今回の世界大会は日本のみならず、世界中のメディアからも注目され、取材が殺到した。
これまで、世界愛国者会議などということは考えられなかった。そんな発想も視点もなかった。愛国者は自国を愛し、自国の歴史、伝統、文化を愛する。それ故に、他国との間に誤解や不信や衝突が起きた時、その最前線に動員されたりもした。排外主義に陥りやすい弱さもあった。
しかし、真の愛国主義は違う。自国を愛するとは、その前に、他国の国民がその国を愛する気持を理解し、その上で生まれるものだ。その自然な感情を無視した愛国心は時として排外主義になる。又、「国際連帯」のみを急ぎ、各国の愛国主義を無視するならば、かつての「社会主義インターナショナル」になるし、グローバリズムにもなる。
まず各国の相互理解、交流、その上での「博愛」の精神が必要だ。それを各国の愛国者こそが率先して実行してゆく使命がある。1789年のフランス革命の理念は、「自由・平等・博愛」だった。この3つは、いつの世も〈変革〉運動の中心理念だ。そして、この3つは、一体となって初めて本当の変革が実現する。
これは、8月12日(木)の「国際大会」の開会挨拶で木村三浩氏(実行委員長)が言ってたことでもある。「自由」だけを切り離して追い求めると、弱肉強食のグローバリズムになる。アメリカを中心とした、その姿勢は今、世界中から批判されている。又、「平等」のみを唯一、目的化して追求すると、モスクワ発の社会主義になる。今、社会主義も、その国際版の社会主義インターも失敗した。
自由も平等も、博愛がなくては本当の達成は出来ない。日本は明治維新で、フランス革命に匹敵する改革をやった。そして「教育勅語」をつくった。その中には、「博愛、衆に及ぼし」という言葉がある。博愛を、国民一人一人の心にするのだ。それが無ければ、強欲な資本主義になるし、陰惨な社会主義になる。
この「博愛」の精神を強調し、排外主義に陥らないためにこそ、真の愛国者の台頭が必要だ。だから、この「世界大会」の「目的」の(3)では、こう謳われている。
「マス・メディア、グローバリスト、コミュニストなどからの不当・不法な干渉を排除し、国家、民族を守るために、それぞれの経験を活かし、世界平和という壮大なビジョンを実現するために協力する」
これは又、マスメディア等の間接情報に頼ることなく、各国の愛国者間の支援の中から生まれる第一次情報を共有し、分析し、そして政策提起を行うことになる。為にする情報、プロパガンダ、噂、謀略に惑わされてはならない。
これは、私自身も陥っていたことであり、反省を込めて告白したい。
今から7年前、2003年4月19日(土)〜21日(月)に、フランス国民戦線結成30周年大会に招待され、木村三浩代表と共に参加した。フランスのニースのアクロポリス国際会議場で開かれた。この巨大な会場に、5000人が集まり、外国からは29カ国の政党・団体の120人が招待された。日本からは木村代表と私だけだった。
この前年の2002年4月のフランス大統領選挙では、国民戦線党首のルペンさんが立候補し、第1回選挙でシラクは20%、ルペンさんは17%だった。社会党現職ジョスパン市長を抜いてルペンさんが第2位に躍り出たのだ。そしてシラク、ルペンさんの間で決選投票が行われた。「ルペン人気」「ルペン効果」が急騰した。
その余熱の冷めやらぬ03年4月にニースに行ったのだ。大統領選挙だけでなく、国会議員に出てる人もいる。そのことは知っていた。知っていながら、でも、日本の右翼と同じように、強硬な人々や、過激で、排外主義的な人もいるのだろうと思っていた。メディアを通して「間接情報」で得たものだった。又、ネオ・ナチのような若者もいるのだろうと漠然と思っていた。
ところが、国民戦線の30周年に参加して驚いた。そんな「右翼」っぽい人は1人もいない。制服を着ている人も、スキンヘッドの人もいない。紳士ばかりだ。それに、フランスだけでなく、ヨーロッパの各国から来た人も、「国会議員」が多いのだ。これには驚いた。国会議員、そして今では欧州議員も多い集会なのだ。
参加者と話し合った。「日本から来たナショナリストの団体だ」と言うと、皆、一様に聞く。「では、一水会は国会にいくら議席を持っているのか?」と。驚いた。彼らは、いわゆる街で叫ぶ「右翼運動」ていう域を脱していた。本当の政治運動になっていた。
では、テレビなどで見た、「ヨーロッパの右翼」のイメージは何だったのか。ゴルニッシュ書記長(当時)に聞いた。ゴルニッシュさんは日本の京都大学に留学していたこともあるし、奥さんは日本人だ。又、リヨン大学で「日本文学論」を教えているし、親日家だし、日本のことは詳しい。ゴルニッシュさんはこんなことを言っていた。
毎年、5月1日には、「ジャンヌ・ダルク祭」を国民戦線がやっている。パリで開催し、3万人以上も集まる。パリのメインストリートを堂々のデモ行進をする。沿道の人々も参加する。そうすると、スキンヘッドで、ネオナチの格好をした人達が何人か入ってくる。叩き出すわけにもいかない。そうすると、取材のカメラマンは、「一部」の「異様な集団」だけを撮る。世界中のメディアが来てるから、世界中に配信される。それを見た人々は思う。「何だ、国民戦線にも、こんな人達がいるのか。だから排外主義的なこともやるのか」と。(僕だってそう思っていた)。
そうだったのか、と理解した。やはり、「間接情報」だけでは危険だと思った。「同じことは日本でもありますよ」とゴルニッシュさんに言った。
たとえば8月15日の靖国神社。圧倒的に多くの人は私服で、粛々として参拝する。ところが軍隊の格好をし、銃砲を肩に担ぎ、サーベルを抜いて行進してる人もいる。全体の0.0001%にも満たない。しかし、海外のカメラマンにとっては、「面白い風景」「絵になる風景」だ。それで、パチパチ撮って世界に配信する。
それを見たら、世界の人々はこう思う。「日本は又、戦争をやるつもりなのか」と。中国、韓国、北朝鮮やアジアの国々ならば、「また、我が国を侵略し、攻め込んでくるのか」と思っても仕方ない。ここは断固、靖国神社が、「軍服、サーベル、銃はやめて下さい」とキチンと言うべきだ。
それと、もう一つ感動したことがある。フォーシーズンズホテルで、ルペンさんの話を聞いていて思い出したのだ。7年前の国民戦線30周年大会の時も、ルペンさんは演説をしていた。2時間の大演説だった。立って、舞台を歩き回りながら、ジェスチャー入りで熱弁を振るう。そして、話が盛り上がった時だ。急にルペンさんは国歌「ラ・マルセイエーズ」を歌う。聞いている人々も立ち上がり、歌う。フランスの国旗(小旗)を振りながら歌う。これは感動的な光景だった。日本では絶対にない。
日本ならば、司会が「起立して下さい」と言い、「これから国歌を斉唱します」と厳かに宣言して、おもむろに皆で歌う。演説してる時に、感極まって歌うなんてことはない。それも、実に自然にやる。日本なら、こんなことをやったら、「不敬だ!」「不真面目だ!。ちゃんとして歌え」と批判が出るだろう。
8月13日(金)の「閉会の辞」の時私は、そうした話をした。又、各部の活動報告や討論の時などにも、そうした話をした。
【だいありー】のところに、12日(木)、13日(金)の会議のプログラムは書いた。実に内容の濃い国際大会だった。同時通訳をイヤホーンで聴きながらの討論だ。ヨーロッパの愛国者の国会議員、欧州議員も、活発に発言する。自国のアイデンティティの話。EUの話。少子化の話。移民の話…などだ。日本よりもずっとずっと問題は深刻だ。
しかし、その中でも、建設的、具体的な提案をする。「愛国者インターナショナル」をつくろう。いや、3年に1度「愛国者サミットをやろう!」…と。又、アムネスティ・インターナショナルのようなものを弁護士が作り、愛国者が愛国者ゆえに国家から弾圧されることを防ごう。という画期的な提案もあった。
最後の日の、「共同宣言」も感動的なものだった。日、英、仏の3カ国の言葉で発表される。たとえば、こんな部分がある。
〈我々愛国者は、自らの文化、伝統を護持することを目指します。それゆえ、我々は同じ心情を有している他国の愛国者を完璧に理解します。この相互理解は世界に平和共存をもたらすものに貢献すると考えます〉
〈この「世界平和をもたらす愛国者の集い」は、自国を愛することが他国の排斥を意味した古い時代、より悪化した全体主義的インターナショナリズムの行いを乗り越え、世界の愛国者が連帯して共通の夢を求める新しい時代の第一歩として、意義深いものです。「右」(right)側に立っている議員を含み、欧州議会の訪問団は言葉の発祥通り「正しい」(right)といわれることでしょう〉
これも素晴らしい事だ。これで歴史も変わるだろう。そんな期待を抱かせる大会だった。いろんな建設的な提案も出された。ヨーロッパだけでなく、アフリカ、ユーラシア、北米、南米…と、各大陸ごとの愛国者大会を開こう
いや、「愛国者インターナショナルにしよう」「3年に1回ずつ、愛国者サミットを開こう」…と。さらに、今回のように東京で「国際大会」を2年ごとにやった方がいい。…と、いろんな案も出た。各国が当面する「アイデンティティ」や「移民」「グローバリズム」などのテーマ毎の会議を開いてもいい。その意味で、大きな展望が見えてきた大会だった。
①「世界平和をもたらす愛国者の集い」が、8月12日(木)〜13日(金)に、フォーシーズンズホテル椿山荘国際会議場で行われました。8カ国20人の国会議員、欧州議員、政党役員が来日し、活発な激論が展開されました。
⑥梁石日(ヤンソギル)さんの『めぐりくる春』発行記念。阿佐ヶ谷ロフト。〈フィクションで表現する「慰安婦」の真実〉。8月6日(金)夜7時。(左から)司会の佐高信さん、西野留美子さん、梁石日さん、朴慶南さん、鈴木。
⑨8月8日(日)午後1時より。阿佐ヶ谷ロフト。「聖戦!?大東亜戦争」(ビルマ篇)」。松林要樹、鈴木、深山明敏、牛山才太郎、山本哲朗、安岡卓治(映画プロデューサー)で、トーク。
牛山さんは作戦参謀だけあって、とても詳しい。99才なのに頭脳も明晰だ。あの戦争のことも、冷静に分析し、どう作戦を立てたか。又、上層部に対し、どう反対したか話してくれた。
⑩「聖戦!?大東亜戦争」(第2部)。少々メンバーが変わりました。牛山さん、深山さんが帰られたので、大川周明の門下生、山本哲朗さんの話を中心に聞きました。又、ビルマなどの報道写真を撮っている南風島(はえじま)渉さんの貴重なフィルムも紹介された。
⑫山本哲朗さんと。大川周明について詳しく聞きました。天才だったそうです。5.15事件や右翼運動の中の大川周明を中心に僕らは考えてしまうが、「大川先生にとって右翼運動は単なる道草でした」と言う。有能な人材を育て、世界を変えるビジョンを持った人だったという。
⑬阿佐ヶ谷名物「島田の革命的英会話」を提唱する島田さんに会いました。今度は「英会話体操」を提唱。「なーに、それ!」と思って、話を聞きました。「タオルしぼり」の要領で、「英会話体操」を教えてくれました。(左から)鈴木、島田さん(革命的英会話)、椎野礼仁さん(元革命家)。