2010/09/27 鈴木邦男

『遺魂』が、9月29日、発売です!

①今までにない「三島論」「野村論」だ

『遺魂』(無双舎)9/27発売
『遺魂』(無双舎)9/27発売
 

「本が出来ましたよ」と、五反田で椎野礼仁さんに手渡されました。9月21日(火)の夕方だ。「えっ、9月29日(水)じゃないの?」「そうですが見本誌が出来たので、鈴木さんに渡してくれと言われまして」。

 

五反田に来る前に、出版社の無双舎に寄ってきたそうだ。「本当に出たんですね」と胸にジーンと来た。厚い。ズシリと重量感がある。うん、いい本だ。「お世話になりました。おかげでいい本が出来て」と、椎野さんにお礼を言いました。

それから、「幸福の科学」の本部に行きました。『紙の爆弾』で連載している「鈴木邦男の越境対談」で、里村英一さん(「幸福の科学」広報局長)と対談したのだ。「これが来週でる本ですよ」と里村さんや『紙爆』のスタッフに見せびらかした。「凄いですね」「面白そうですね」と口々に言っていた。対談のことを忘れて、しばらくはこの本の話に熱中した。

 

では、この本の話だ。『遺魂(ゆいこん)=三島由紀夫と野村秋介の軌跡』(無双舎・1800円)だ。9月29日(水)、全国書店で発売だ。表紙は黒地。そして帯は白。そこに『遺魂』と大きく書かれている。字はシルバーのようだ。

本の扉の写真です
本の扉の写真です

でも、「これは、いろんな色を混ぜて、新たに作った色なんです」と椎野さんは言う。「既成の色ではなく、オリジナルな〈色〉を、わざわざ作ったのです。鈴木さんもこの本で、新たな境地に挑み、新たなカラーを出した。それを表してるんです」

 

そうなのか。題字のカラーひとつにしても、苦労し、金をかけているのだ。申し訳ない。そして、「三島由紀夫と野村秋介の軌跡」は赤だ。目立つ。帯の左には、「三島由紀夫没後40年」と書かれている。

今年は40年だ。他にも単行本、雑誌、テレビなどでも40年にちなんだ企画が出るだろう。その先駆けだ。でも、この本で今までとは全く違った「三島像」「野村像」を読者は知るだろう。そう思う。

 

本の帯の右には宮崎学さんの推薦の言葉が…。

〈三島に“取り遺された者たち”への哀惜がせつない〉
野村秋介さんと鈴木(1983)
野村秋介さんと鈴木(1983)
 

この本の内容をズバリと言っている。ありがとうございました。宮崎さんは早大時代は〈敵〉だった。早大闘争の時は、我々右翼学生は左翼学生と毎日、乱闘していた。でも、圧倒的にこちらは少人数だから、いつもやられていた。石まで投げられた。道路の敷石をはがし、巨大なブロックのまま投げ、多くの人が負傷した。その張本人が宮崎氏だった。

あれから45年。今は、仲がいい。こうして『推薦の辞』まで書いてくれた。

 

「推薦の辞」は帯の裏にまで続く。「もちろん筆者もその一人だ」と言う。私も「三島に取りのこされた」人間か。そうかもしれない。

〈そして日本人のみんなが、三島が突きつけた「死に様」=言論と行動の倫理に呪縛されたままだ〉

そうですね。帯にはもう一つ。編集者が考えたのだろう。こんなキャッチ・コピーが。

〈風化しない三島の魂と「生きざま」
「三島事件」が突きつける戦後日本の精神史〉

②三島以後、「40年の歴史」がここにある

西宮ゼミで(9/17)
西宮ゼミで(9/17)
 

そうか。「精神史」だな。この厖大な原稿を書いていて、いろんな事件に突き当たり、考え、自分なりの解決、謎解きをした。多分、間違っていないと思う。その過程で、これは松本清張の『昭和史発掘』を俺は意識してるな、と思った。それと、竹山道雄の『昭和の精神史』を意識したのかもしれない。

 

この本は、「月刊タイムス」に連載している「三島由紀夫と野村秋介の軌跡」をまとめたものだ。ただ、今月(10月号)で第63回だ。1回に400字詰め原稿用紙で20枚ずつ書いている。ざっと計算して、計1260枚だ。1冊の単行本は大体、300枚位だ。とすると、4冊分になる。じゃ、最初から1巻、2巻…と出したらいいようだが、そうはいかない。

「テーマ別にピックアップして、衝撃的なものをまとめて、まず、1冊にしましょう」と椎野さんは言う。エッ?4分の1にするのか。自分じゃ出来ない。「これも大事だ」「これも入れたい」と悩んでしまう。

飛松五男さんとトーク
飛松五男さんとトーク

「その仕分けは僕がやります」と椎野さん。それで任せた。椎野さんと高橋あづささん(フリーライター)がやってくれた。有能な2人だ。重複部分を削ったり、直したり。又、本に入れる写真の手配をしたり。野村さんの資料をもらうために蜷川正大さんに会ったり。「楯の会」の資料をもらうために、初代学生長の持丸博氏に連絡したり。気の遠くなる作業だ。私だったら、とても出来なかった。ご苦労さまでした。それで、こうした立派な本が出来た。

 

全体で22回分が入っている。4分の1ではなく、3分の1が入っている。「そのかわり、かなり厚くなりました。320ページです。そして定価も、1800円と高くなりました」。でも、いい本になった。「三島由紀夫没後40年」記念だが、私の「生誕40年記念」にもなっている。あっ、生誕100年だったか。じゃ、「鈴木邦男生誕100年記念」と入れてもよかったかな。

司会の岩井正和さん
司会の方とさん
 

校正の時も思ったけど、編集がうまい。川本三郎さんとの対談本を2年前に朝日新書で出した『本と映画と「70年」を語ろう』だ。あの時も、この有能コンビに編集してもらった。おかげで、「川本さんとの対談はよかったですね」と、いろんな人から言われる。今週だって、中森明夫さんに言われたし。「幸福の科学」の里村英一さんに言われた。映画や文学の話を引き出してくれたからだろう。

 

今回の『遺魂』も、そう言われるだろう。これが売れたら、第2巻、第3巻と出せる。6年前、「月刊タイムス」の連載を頼まれた時は、「1年も続けばいいかな」と思った。だって、三島、野村両氏についての話だ。そんなに書くことはないと思った。

ところが、あったんだ。そして、次から次と、いろんな「新事実」が出てくる。又、今まで分からなかったことが分かってくる。これは不思議だった。書くことによって、〈事実〉の方から、飛び込んでくるのだ。又、2人の魂を継いだ人が次々と現れ、事件が起こってくる。

二次会で。左端が松岡社長
二次会で。左端が松岡社長
 

極端に言ったら、三島死後「40年」は全て、三島にからんでいるのだ。そう感じた。この40年は、「三島の時代」だった。野村秋介さんは、「三島のように生きたい。三島のように死にたい」と思い、それを実行した人だ。だから、2人の生き方、死に方を中心に、この本は書いた。

 

又、生き方は違っても、死ぬ時は、「三島のように死にたい」「野村さんのように死にたい」と思った人がいる。政治家の新井将敬、柔道家の猪熊功、「憂国忌」世話人の三浦重周。そして小説家の見沢知廉がいる。これからだって、まだまだ続くのかもしれない。それらの人々のことを克明に書いた。

 

さらには、三島の決起に影響を与えた事件についても書いた。70年3月の「よど号」ハイジャック事件、68年の金嬉老事件。立て籠もって〈思想〉を訴えたという点では金嬉老事件は、日本で初めての思想事件だ。実は、最近、逮捕された田代まさしさんも、この事件には注目し、ビデオを3本作っている。金嬉老にも長時間、インタビューしている。私も会いたかった。

しかし、金嬉老は亡くなったし、田代さんは又、捕まった。これらは、今までの「三島論」「三島本」には出てこない話ばかりだ。  

又、今までの〈三島本〉では絶対に出てこない話は他にもある。松田妙子さんの「三島との恋」。三島の「楯の会」がコンドームのCMに使われたこと。などなどだ。

「そんなことがあったのか?」と今なら信じられないだろう。いろんな人に聞いても知らないという。じゃ私の錯覚か。妄想か。と思っていた時、椎野さんが大宅文庫で厖大な資料の中から見つけてくれた。これも大スクープだと思う。

③三島、野村に続いた人々。事件が…

西宮冷蔵の水谷洋一社長(左)と
西宮冷蔵の水谷洋一社長(左)と
 

…と、紹介していったら、キリがないな。よし、じゃ「目次」を紹介しよう。でも、長いからな。全体は5章で。22回分の原稿だ。しかし、1回ごとのタイトルが長い。サブタイトルもついてるし。でも、紹介してみるか。そうしたら、この本の全体像が見えてくるだろう。

『遺魂 三島由紀夫と野村秋介の軌跡』

〈目次〉

はじめに

〈第1章〉三島の自決とは何だったのか

  1. 男のロマンを貫いた二人の「革命家」
    =経団連襲撃事件の端緒となった日本赤軍のクアラルンプール事件=
  2. 「楯の会」はいまだ風化せず
    =40年前の民族派学生運動の盛衰と今も生き続ける精神=
  3. 予告されていた?三島の決起
    =不可能を成し遂げた「忠臣蔵」ばりの秘密裏戦術=
  4. 愛国心を鼓舞した日本刀での決起
    =「よど号」ハイジャック事件で見た日本刀と三島の自決=
  5. 三島が変えた右翼の決起スタイル
    =人質「立て籠もり」は金嬉老と三島が元祖=

〈第2章〉三島は何を考えていたか

下中忠輝さんのご両親と
下中忠輝さんのご両親と
  1. 「愛国心」を忌避した三島と野村
    =国旗・国歌の押しつけからは「愛国心」は生まれない=
  2. 「女帝」を認めた三島の真意
    =宮家の臣籍降下と側室廃止を憂慮して今日の事態を予言=
  3. 時代の変転を予見した三島の先見
    =三島の予言の彼方に起こった連合赤軍事件と野村の衝撃=
  4. 青春の情熱を吐露した『夏子の冒険』
    =三島には異質のこの作品で何を訴えたかったのか=

〈第3章〉三島に魅せられた人々

  1. 柔道家・猪熊功の「完璧な死」
    =三島のように死にたかった金メダリストの“光と影”
  2. “第二の三島”を叫んだ左翼の黒幕
    =三島事件に触発された京大助手・滝田修と「朝霞事件」=
  3. 四半世紀を経て知る三島の実像
    =ホモの噂はやはり本当だった。関係者が語る驚愕の新事実=
  4. 初めて明かされた三島との恋
    =女傑・松田妙子さんが打ち明けた三島との「初めての夜」=
  5. 最後のサムライ三浦重周の自決
    =常に死の覚悟を胸に秘め民族派運動をリード=

〈第4章〉野村秋介の素顔

吉本さん、原和美さん、鈴木邦男
吉本さん、原和美さん、鈴木邦男
  1. 死を通して行ったアイデンティティの探求
    =三島のように死んだ野村と彼を追った新井将敬の武士道精神=
  2. 民族派運動の「負い目の連鎖」
    =経団連事件から住友不動産会長宅占拠事件。そして…=
  3. 死をもって抗議した野村の激情
    =茶化されても無視した三島由紀夫?
     死を選んだ野村秋介=
  4. 野村秋介が予告した壮絶な死
    =初めて明かれされる自決の「真相」と「遺言」の謎=

〈第5章〉

  1. 今もなお封印される三島映画
    =「幻」の抗議運動で上映されない『MISHIMA』=
  2. 幻の血判状にみる三島事件の真相
    =『論争ジャーナル』と「楯の会」の葛藤、
     皇国史観と「憂国」の情の相克=
  3. 三島の見せた人間性の意外
    =金嬉老事件から自決に至る三島の内なる軌跡=
  4. 三島事件の原点と精神の遍歴
    =安倍譲二との交流に秘められた事実=
鈴木、木村三浩氏、富岡幸一郎氏、堀辺正史先生(9/15)
鈴木、木村三浩氏、富岡幸一郎氏、堀辺正史先生(9/15)

三島由紀夫、野村秋介に関する年表

あとがき

 

今、〈目次〉を書き写していて気がついた。タイトルが、かなり変わっている。うまくなっている。編集者の2人が直してくれたのだろう。6年間に亘って、書き続けた中から、22編を選び、さらに、こうしてテーマ別に分ける。グンと読みやすくなったし、校正している時も、自分の文だということを忘れて、読み耽ってしまった。

 

又、「年表」も入れてくれた。大変な作業だ。三島の『夏子の冒険』のところも面白い。これが三島の作品とは知らずに、小学校3年生の時に映画「夏子の冒険」を見ている。そして、絵日記に書いている。その貴重な絵までも、この本に入っている。もしかしたら、この本は、『私の遺魂』なのかもしれない。

【だいありー】
笠原正敏さん(右から2人目)のお店で
笠原正敏さん(右から2人目)のお店で
  1. 9月20日(月)夕方まで原稿を書いていた。夜7時半、渋谷のアップリンクでドキュメンタリー映画「ANPO」を見る。監督はリンダ・ボーグランドさん。素晴らしい映画だった。「60年安保」を撮った映画だ。当時の政治決戦の貴重な映像。政治家、活動家の証言。そして、絵画で表現した人々。迫り方、切り込み方が多角的だし、衝撃的だ。
     こんな映画は、ちょっとない。リンダさんは前に、「TOKKO(特攻)」を作っている(プロデューサー)。日本人の特攻の生き残りを訪ね、取材する。同時に、特攻に襲われた米軍の生き残りの人の話を聞く。そして特攻とは何だったかを考える。凄い映画だと思った。その時、リンダさんに取材し、「創」に書いたことがある。
     今回の「ANPO」も、考えさせられる映画だった。ぜひ、全国民に見てもらいたい。
     映画の後、リンダさんと阪本順二監督のトークがあった。安保、学生運動、映画論、表現論など多岐にわたる話で勉強になった。
     終わって、2人に挨拶した。リンダさんは覚えていてくれた。阪本監督は前に「闇の子供たち」を撮り、その時、原作の梁石日さんなどとロフトでトークをした。「学生運動の話がよかったですね」と言った。「60年安保」闘争は、巨大な敵〈アメリカ〉と日本政府に向かっての闘いだった。敗戦後まだ15年だ。大きな闘いだし、「豊かな闘い」だったと阪本監督は言う。
     それに比べ、「70年安保」闘争は、小さくなり、内に向かい、内ゲバなどの不毛な闘いになった。大島渚に憧れて阪本さんは映画監督になろうとする。大島のように学生運動をやらないと監督になれないと思い、横浜国大に入る。
     しかし、自分をオルグに来た革マル派が、その帰り、中核派に襲われて殺される。その2人とも仙台二高の出身者だ。そんな陰惨な体験があった。
     そうした体験が阪本さんの映画にも深みを与えているのだろう。「仙台二高を落ちて、ミッションスクールに入り、それで右翼学生になった人もいましたよ」という話をした。
金子遊監督「ベオグラード1999」
金子遊監督「ベオグラード1999」
  1. 9月21日(火)、昼12時半から四谷の「若水」で、「創」の対談。中森明夫さんの小説『アナーキー・イン・ザ・JP』(新潮社)が9月末に出版される。その本について、中森さんと話をした。
     実は中森さんとこうして話すの初めてだ。「憂国ギャルの審査員になった時以来ですね」と中森さん。「SPA!」の企画だった。もう10年以上昔だ。中森さんは中森明菜からとったペンネームだ。サブカルの先駆けだ。でも本当は、深いし、思想的にも考えている。そのことは前から思っていた。
     今回の小説にもそれが出ていた。アナーキスト・大杉栄が100年後の現代日本に甦るという小説だ。小説だが、しっかり歴史考証はしているし、これは大きな「思想小説」になっている。短期間で2回読んだ。圧倒された。ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の中にある「大審問官」のような話だ。最近、もっとも衝撃を受けた小説だ。対談の内容は10月7日発表の『創』(11月号)に載る。
     対談が終わって4時に五反田に行く。『紙の爆弾』のスタッフと一緒に、「幸福の科学」の本部へ。広報局局長の里村英一さんにインタビューする。「鈴木邦男の越境対談」の4回目だ。景山民夫さん(作家)に連れられて昔はよく、「幸福の科学」の集まりに行った。20年前だ。その頃から、里村さんとは親しい。一緒に話したり、お酒を飲んだり、カラオケに行ったり。「自由で、明るい宗教だな」とずっと思っていた。その頃の思い出を話しながら、なぜ、政治に進出したのか。なぜ学校をつくったのか。今の日本をどう思っているの。などについて聞いた。
     里村さんは僕の本も随分と読んでくれている。その上での逆質問もされた。終わって、駅前の居酒屋で飲んだ。広報局長補佐の渡邊伸幸さん、『紙爆』のスタッフなど9人ほどで。楽しくて、久しぶりに痛飲をした。
同じく「ベオグラード1999」
同じく「ベオグラード1999」
  1. 9月22日(水)昼、新聞社の取材。
     夕方6時、早稲田大学の大隈講堂に行く。久しぶりに中に入る。早大出身の作家で最近亡くなった立松和平さんを偲ぶ会だ。「和っぺい、母校に還る」と銘打っている。
     絶叫歌人・福島泰樹さんのライブ「さらば立松和平」。麿赤児さん、高橋公さん、黒古一夫さん、知床の佐野博さんのパネルディスカッション「立松和平という男」があった。そのあと、懇親会。学生運動出身者が多い。「どうして右翼学生だった鈴木さんが?」と聞かれた。「私も全共闘世代ですよ。皆さんと同じです。と言った。
     同じ時代を共に闘った〈同志〉という感じがする。右と左の違いなんて、もうないよ。あの頃だって、本当はなかったのかもしれない。でも、あると思って、毎日、闘い、殴り合いをしていた。
  2. 9月23日(木)祝日だけど予備校はやっている。3時、河合塾コスモ。現代文要約。5時、基礎教養ゼミ。牧野剛先生が選んだ本を読む。コン・ボーン著、菅原秀訳の『殺戮荒野からの生還』(リベルタ出版)を読む。処刑場から逃れたカンボジア人の手記だ。
     「あっ、この訳者の菅原氏は友人ですよ」と叫んだ。東北学院榴ヶ岡高校の5年後輩だ。私が先生を殴って退学になった後、その先生は荒れ狂って、毎年、生徒に暴力を振るっていたそうだ。「鈴木さんのおかげで僕らも殴られました」と言ってた。申し訳ない。学校をキリング・フィールド(殺戮荒野)にしたのは私です。
     河合塾はカンボジアの支援活動を活発に行っているし、牧野先生も生徒を連れて何度も現地に行っている。この日は、カンボジアの大学院生も来て、詳しい話をしてくれた。終わって、インド料理店で食事をした。
  3. 9月24日(金)原稿がたまっていて、忙しい。ストレスも溜まり、体もなまっているので、夜は柔道に行こうと思っていたら、椎野礼仁さんから電話。
     小嵐九八郎さんの『日本赤軍!世界を疾走した群像』(図書新聞)の出版記念会があるので来いという。「いつですか?」「今晩です」。そんなー。貧乏で会費がないと言うと、出してやると言うので行く。神田の「薩摩ししゃも」だ。
     早大で乱闘をやっていた解放派、中核派、ブントの人たちが沢山いた。まるで、あの頃の「セクトを超えた同窓会」だ。早大全共闘議長の大口さんもいた。私を中核派にオルグしようとした木下さんもいた。挨拶の時、「あの時、中核派に入っていたら、全く別の人生も開けたのに。残念です」と言ったら、「どっちに行ってもお前はダメだったよ」と野次られた。
     「この前、テレビで見たけど、『ザ・コーヴ』のことで右翼に殴られてたじゃないか。だらしがない。元右翼暴力学生のくせに」と馬鹿にされた。
     この小嵐さんの本は5人の活動家のことが書かれている。重信房子、和光晴生、足立正生、若松孝二、塩見孝也の5人に話を聞いて小嵐さんがまとめた本だ。
     5人とも私は親しい。重信さんはお父さん(血盟団)にも私は会っている。「ここでお父さんに会ったのは私と足立さんの2人だけだ」と自慢し、お父さんの話をした。
     若松孝二監督、日本赤軍の和光晴生さんは共に宮城県出身だ。和光さんに東京拘置所で初めて会った時、私は言った。「和光さんは仙台二高ですよね。僕は二高を落ちて、ミッションの東北学院に行ったんです。二高に行ってたら、日本赤軍に行ってたのに…」。
     「いや、僕の時代からもう一つ、仙台三高が出来たんです。僕はそこに入ったんです。もっとも、滑り止めで、東北学院高校も受けましたけど」。ゲッ、じゃ、学院高に入ってりゃよかったのに。
     この日の出版記念会は、赤軍派、ブント、解放派、そして中核派が多かったな。元右翼は私だけで肩身が狭かった。帰りは元中核の幹部がタクシーで落合まで送ってくれた。
  4. 9月25日(土)昼、取材で雑誌社の人と会う。それから図書館に行き、勉強。
  5. 9月26日(日)昼、雑誌の仕事。夜7時、ネーキッドロフト。映画『キャタピラー』の若松孝二監督、園子温監督、平野悠さん(ロフト席亭)、多田遠志さん(ライター)、そして私で、トーク。映画や戦争、日本赤軍の話をした。
     若松監督は、次回作は、「山口二矢から三島由紀夫までの激動の時代と人間を撮る!」と言ってました。満員だった。「ニコ生」でも生中継した。
     この日、急遽、切通理作さん(作家)も登壇。大いに盛り上がりました。終わってから、12時過ぎまで飲みました。
【写真説明】
『遺魂』(無双舎)9/27発売

①9月29日(水)発売の『遺魂=三島由紀夫と野村秋介の軌跡=』(無双舎・1800円)です。なかなか、凝った表紙です。

本の扉の写真です

②表紙を開けた扉のページです。三島由紀夫と野村秋介さんが向かい合っています。

野村秋介さんと鈴木(1983)

③この本の中には貴重な写真やイラスト等がふんだんに入っております。これは、27年前に撮った写真です。左は野村秋介さん、右は鈴木。

西宮ゼミで(9/17)

④9月19日(日)、午後2時より行われた「鈴木邦男ゼミin西宮」。喫茶店「カフェインティ・ライミ」で。第1部は私が講演しました。

飛松五男さんとトーク

⑤第2部は飛松五男さん(元兵庫県警刑事)とトーク。赤報隊事件や未解決事件について。又、最近の事件について。公安警察と刑事警察について。…など、話は多岐に亘りました。そのあと、質疑応答がありました。「HPを見て来た」という初めての人が多かったので、感想などを聞きました。

司会の岩井正和さん

⑥司会の方にはお世話になりました。

二次会で。左端が松岡社長

⑦ゼミが終わってから、5時半より、二次会。左端が主催者の松岡利康さん(鹿砦社社長)です。飛松さん、私もおります。初参加の女性も多かったですわ。

西宮冷蔵の水谷洋一社長(左)と

⑧「西宮冷蔵」の水谷洋一社長も駆け付けてくれました。「西宮冷蔵」の闘いはNHKでも報道されてました。(左から)水谷社長、鈴木、松岡利康さん、飛松五男さん。

下中忠輝さんのご両親と

⑨下中忠輝さんのご両親と。今回の「西宮ゼミ」は、「鹿砦社主催。下中忠輝さんの一周忌記念」です。若くして亡くなった下中氏は、爽やかで皆に愛された青年でした。東京にもよく来て、いろいろな集まりに出ていました。

吉本さん、原和美さん、鈴木邦男

⑩左より、吉本さん、原和美さん、鈴木。西宮ゼミの前に、皆で食事をしました。三宮の名物「小金太ラーメン」を食べました。シャッターを押してくれたのは「大金太」岩井さんです。

鈴木、木村三浩氏、富岡幸一郎氏、堀辺正史先生(9/15)

⑪9月15日(水)、一水会フォーラム。富岡幸一郎さん(文芸評論家)の「私の文化防衛論」。フォーラムの二次会で。(左より)鈴木、木村三浩氏、講師の富岡幸一郎氏、骨法道場の堀辺正史先生。

笠原正敏さん(右から2人目)のお店で

⑫二次会のあと、笠原正敏氏のお店に行きました。笠原氏は、以前、民族派の活動をやっていた仲間です。(左から)そうる透さん(ドラマー)、大阪から来た紀ノ崎剛氏、鈴木、笠原正敏氏、木村三浩氏。

金子遊監督「ベオグラード1999」

⑬金子遊監督の映画「ベオグラード1999」。新右翼・一水会の初のドキュメンタリー映画です。
〈1999年に元恋人を通じて新右翼「一水会」の木村三浩氏に近づいた、全共闘ジュニアの監督。木村が世界を舞台に「第2国連」を構築する活動を追って、ビデオカメラはイラク、旧ユーゴの紛争地へ。イラクの民衆、旧ユーゴ大統領、民族浄化の首謀者、セルビア民兵との交錯により、ニュースでは伝えられない「本当のナショナリズムの姿」が浮上する〉
 10月30日(土)、奈良前衛映画祭で、この映画が上映され、金子遊監督と鈴木のトークがあります。又、11月下旬、渋谷アップリンク他で公開されます。全国で順次公開予定です。

同じく「ベオグラード1999」

⑭同じく、「ベオグラード1999」のチラシの裏です。

【お知らせ】
  1. 9月29日(水)、私の『遺魂(ゆいこん)=三島由紀夫と野村秋介の軌跡』(無双舎・1800円)が発売です。全力を尽くして書きました。
  2. 10月4日(月)午後7時より、一水会フォーラムサンルートホテル高田馬場です。講師は、中国人の評論家で、メディアでも大活躍中の石平さん(拓大客員教授)です。
  3. 10月30日(土)奈良前衛映画祭で、「ベオグラード1999」が午後6時から上映され、その後、金子遊監督と私のトークがあります。
  4. 11月1日(月)午後7時より、阿佐ヶ谷ロフト。私の『遺魂=三島由紀夫と野村秋介の軌跡=』の発売記念トークです。
  5. 11月6日(土)新潟県新発田市の生涯学習センターで午後6時半より、「三島由紀夫と蕗谷虹児=うたと講演のつどい」が行われます。斎藤徹夫さんが企画しました。蕗谷は新発田市出身の偉大な叙情画家で「花嫁人形」の作詞家でもあります。
     第1部は、ソプラノ歌手の柳本幸子さんによる「三島由紀夫と蕗谷虹児の世界を歌う」。
     第2部は私の講演で「三島由紀夫と蕗谷虹児=一枚の挿し絵にこめた想いとは」です。
  6. 11月7日(日)午後1時より、新潟市駅前のジュンク堂で私のトークがあります。終わって、サイン会をやります。
  7. 11月13日(土)、14日(日)劇団再生の公演です。APOCシアター(小田急線千歳船橋駅)で。『交響劇第二番 嬰イ短調』です。お芝居の前に、代表の高木尋士さんと私のプレトーク「劇場論」があります。